2018.10.17

■感想 入江悠監督『太陽』(2016) 、前川知大演出『太陽』(2016)


『太陽』予告編 - YouTube 映画公式サイト

 劇団イキウメの前川知大による原作脚本の映画『太陽』をWOWOW録画で初見、続けて、2016年に再演された前川知大 原作脚本演出の舞台『太陽』をNHK BSプレミア版で初見。簡単だけれど、見比べた感想を記します。
 まず映画版。
 キュリオのひなびた村の光景、対するノクスの近代的な都市等、どこかSFチックな映像を見事に見せてくれて、まず映画的な世界の広がりに感嘆。
 物語は、ウィルスの拡散により人口が激減した世界で、ウィルスに耐性を持つが太陽光を浴びると体が燃えてしまうノクスと、ウィルスに罹患すると死んでしまうが元々の人間的な生活を太陽のもとでおくるキュリオの対立を小規模の境界を舞台にして描いている。
 そうした設定で描かれる世界は、少人数だけれど、新しい未来像を描き出していて、どう展開するのかワクワクしてしまうプロローグ。
 ただ、物語は閉鎖的な世界としてのキュリオの村の描写を昭和の邦画のようなドロドロとしたものとして描いていく。ここが僕はいまひとつだった。

宇多丸『太陽』を語る!by「週刊映画時評ムービーウォッチメン」2016年4月30日放送.

"「村としての日本、村人としての日本人」。もっとはっきり言えば、こういうことですね……「オラこんな村、イヤだ!」っていうね。「オラこんな村、イヤだ! ……でも、我々はここで生きていくしかないのだから……」っていう、こういう話をある意味、入江さんは毎回やっていると言える。"

 という評もあるが、確かに入江悠監督のテーマとしてそうした描写は必然的だったのかもしれない。しかし僕はしっくりこない。
 キュリオとノクスの世界の接触による異文化SFとして期待したものが、なぜ、昭和的日本人のムラ世界の湿度の高い世界描写に収束しなければならないのか。特に芝居にはないレイプシーンにはガッカリ。陰湿なムラ世界描写の協調かもしれないけれど、その前のシーンで太陽の下での若者三人の溌剌とした世界を描いていながら、ノクスとの対比で本来最も特徴的に描けたはずの太陽の光の下でのキュリオの世界描写を相殺してしまっている。ここが最も残念なところだった。

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 そして芝居版。
 こちらは映画とは逆のテーマが描かれている。人工的なノクスの論理的世界に対して、太陽の下で奔放な芸術、職人スキルでの突出(主人公 鉄彦の紅茶に対する深い理解)。ヒロイン結の変貌は映画も演劇も同様に描いているが、その後の鉄彦のとる態度で、逆の意味合いを持たせた芝居の方が僕は好きなテーマだった。

 映画は芝居で描けない太陽の光の描写を映像として思う存分にできるため、本来映画化ではそこがもっとも強いイメージを残せるはずで、それがテーマ的に消化するのは、芝居が描き出したテーマだったはず。

 映画は、入江監督のこだわりのテーマでタイトル『太陽』の持つ意味を否定してしまった。この映画化は監督とのミスマッチで、せっかくの良い映像を撮っているのに、それを十分に生かせず、芝居に対してテーマ的に力を失ってしまったのではないか、というのが僕の比較して観た感想です。

◆関連リンク
イキウメWeb 『太陽』2016 
イキウメWeb 通信販売ページ 前川知大演出『太陽』DVD
入江悠監督『太陽 Blu-ray』(Amazon)
前川知大演出『太陽 DVD』(Amazon)
前川知大『太陽』小説(Amazon)

 

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2018.10.15

■新刊情報 飛浩隆 第2長篇『零號琴(れいごうきん)』

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零號琴 | 刊行年月,2018年,10月 | ハヤカワ・オンライン

"特種楽器技芸士のトロムボノクと相棒シェリュバンは惑星〈美縟〉に赴く。そこでは首都全体に配置された古の巨大楽器〈美玉鐘〉の五百年越しの竣工を記念し、全住民参加の假面劇が演じられようとしていた。上演の夜、秘曲〈零號琴〉が暴露する美縟の真実とは?"

 ついに 飛浩隆さんのSFマガジン連載作『零號琴』が第二長篇として刊行される。

 SFマガジンで読んでいないため、どのような話なのか、公式HPにある上記ストーリーを読むしかないが、音楽劇を中心にした奇想な世界が堂々開陳される雰囲気。
 こころして刊行を待ちたいと思います。

飛浩隆16年ぶりの第2長篇『零號琴(れいごうきん)』刊行記念トーク&サイン会、開催!!.

"10月18日(木)発売の『零號琴(れいごうきん)』の刊行を記念して、八重洲ブックセンター本店にて著者・飛浩隆氏のトーク&サイン会を開催いたします。「グラン・ヴァカンス」以来、16年ぶりの第2長篇小説。飛浩隆氏と編集担当塩澤が制作秘話や裏話を語ります。

〔日時〕10月20日(土)14:00~15:30
〔場所〕八重洲ブックセンター8階イベントスペース
〔出演者〕飛浩隆 塩澤快浩

詳細とお申込みについては、八重洲ブックセンターHPをご覧ください。"

 トークショー、激しく聞きたいですが週末の東京行きはなかなか、、、。
 どなたか、レポートお願いいたします。

◆関連リンク
2018年京都SFフェスティバル 飛浩隆先生のレポートツイート かーらーのー 「創作踊り説」! - Togetter
飛浩隆twitter
題材不新鮮 SF作家 飛浩隆のweb録

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2018.10.08

■感想 ナ・ホンジン監督『哭声/コクソン』


3/11(土)公開 『哭声/コクソン』予告篇 - YouTube

  ナ・ホンジン監督『哭声/コクソン』WOWOW録画初見。

 この映画は一筋縄ではいきません。衝撃を受けたのは確かなのですが、僕は観終わった今もストーリーに釈然としないものを覚えて、モヤモヤとした想いでいます。

 ということで、まずはネタバレなしの感想から。

 端正な画面と少しコミカルな登場人物の営み。この映画はそのように始まります。
 そして谷城(コクソン)の村に起こる猟奇的な殺人事件。ここのサスペンスはなかなかのもの。サイコサスペンスとして、さらにはそこに祈祷師という存在を登場させ呪術的闘いというホラー寄りのサスペンス見せていく。

 ここまでの映画のサスペンスはなかなかのもの。エンタテインメントとしてかなり恐ろしい話を見事に映像化している。映像の美しさとともにエンタテインメントとしての完成度もなかなかのものです。
 特に國村隼の不思議な落ち着きを持った狂気の演技が素晴らしい。

 そしてラストの15分間のすごい映像。主人公ジョングと謎の女ムミョンとの農家と畑の間での夜明け前のシーンの素晴らしさ。

 光と影と、光の色の表情、凄みのあるこのシーンの映像、助祭イサムと國村隼のシーン、そしてジョングの家をカットバックで見せ、多義的なシーンを描き切ったこのクライマックスのもたらす映画としての魅力に正に感嘆。凄いものを見せてもらいました。



★★★★★★★ ネタバレ注意 ★★★★★★★ 

 さてここからが難しい。僕は少なくともまだこの映画を噛み下せていないので、この後は疑問点の提示に留まりそう。

 冒頭に引用されるキリストの言葉としての聖書の一文

「なぜうろたえているのか。どうして心に疑いを起すのか。わたしの手や足を見なさい。まさしくわたしだ。触ってよく見なさい。亡霊には肉も骨もないが、あなたがたに見えるとおり、わたしにはそれがある。」

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 そしてクライマックスの國村隼演じる日本人の手の甲に穿たれた穴と、この言葉を模したセリフ。明らかにキリストとこの日本人をダブらせた演出。

 しかし助祭は、この日本人を自分の見聞きしたことから「悪魔」と呼んでしまう。
 國村が答えるのは、あなたがそのように信じているのなら、私がなんと言おうと「悪魔」であろう、という言葉。そしてカメラを構える、あの凄まじいシーンが描かれるのである。

 観客はここで、この日本人が村を救おうとしたキリストなのかそれとも悪魔なのか、どちらなのか迷ってしまう。

 同時にムミョンを信じられなかったジョングが自分の家に戻ることによって、ムミョンが悪霊に仕掛けた家の魔よけが変化するところが映し出される。魔よけの植物と思われたものが小さな髑髏に変貌するシーン。

 どちらも信じることとそれによる世界の変容が描かれている。

 この映画が多義的で、観客にとってどのように捉えたら良いか、迷わせてしまうのが、こうしたシーンを見ていると、まさに監督がこの映画で描きたかったものなのではないかと思えてくる。

 つまり映画の多義性は、この世界の姿が人の信じる想いによって変化してしまうことこそが映画のテーマなのかもしれない、という感想。

 とりあえずの僕のこの映画の感想まとめはこうしたことになる。
 実はキリストなのではないかと描かれた國村が殺された自分の愛犬をジョングの家にぶら下げたり(祈祷師イルグァンの仕掛けたものかもしれない)、真剣に國村に「殺」の念を送ったイルグァンが日本人の家にあった数々の呪いの対象の写真を持っていたり、、、ひとつの解釈をしようとすると、その反証として思い浮かぶシーンが多数埋め込まれている。そしてそれらも映画の結構としては、毒キノコの混入した健康食品の見せた幻覚と解釈できないこともない仕掛け。

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 そうした仕掛け含め、この映画全体が多義的に解釈できる世界を象徴的に描き出そうとしているものだとしたらどうだろう。
 クライマックスで登場人物たちが信じたことが世界に顕在してしまう本作は、どのエピソードも矛盾するように散りばめられているが、それらすべてが人が解釈のために自分が信じたい事象を現実から選び出しているように、この映画の断片は観客が自分の信じたい解釈のために監督が用意し散りばめられた素材だとしたら。

 我々は真相などというものはなかなか存在しない現実を生活している。この映画はナ・ホンジン監督がそれをデフォルメして我々に見せているそんな映画なのかもしれない。これが現時点の僕の解釈です。

 今後何度か観て、この映画の仕掛けをもっと深く確認してみたいものである。

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2018.10.05

■感想 ザック・スナイダー/ジョス・ウェドン監督『ジャスティス・リーグ』


映画『ジャスティス・リーグ』特別映像【HD】2017年11月23日(祝・木)公開 - YouTube

 ザック・スナイダー/ジョス・ウェドン監督『ジャスティス・リーグ』WOWOW録画初見。

 ヒーロー映画らしい構造で気持ちよく見せてくれました。

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 ガル・ガドットのワンダー・ウーマンの美しさととりわけ笑顔が素晴らしい。この映画の気持ちよさの半分は彼女の笑顔によるものではないかという位。あのアナクロなコスチュームでこのインパクトなのだから、現代的な装いでのアクションものに登場したら、と考えると恐ろしい(^^;)。

 『アベンジャーズ』ほどのインフレがなくコンパクトに収めているため、最強のヒーローの登場が痛快。もちろんインフレを極めていくマーベルも大好きだけれど、こうした小気味好いコンパクトなまとめ方も大好きです。

 圧倒的なパワーの爆発を見せるには、こんな描き方がまさに効果的。

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 CGにしても、ところどころかなり荒いところがあったけれど(アマゾンの島の空撮ショットとか、、、)、ほとんど気にならない。映画の不思議は、各シーンの完成度が100%でなくても全体としての効果に貢献していれば、シーンごとの出来はそんなに気にならないというところ。(そんなことはその究極の『カメラを止めるな』をみればすぐわかりますw)。

 インフレ化している大作の世界も、こんな割り切りで、全体の構造、シナリオの練り込みに時間をかけて、適度なコストでさらに傑作が量産されることを望むものです。

◆関連リンク
ジャスティス・リーグ (映画) - Wikipedia

"ジョス・ウェドンが監督した劇場版とザック・スナイダーが監督したオリジナル版では演出や脚本の内容が異なっており、上映時間が劇場公開版では約50分ほどカットされている"

 いずれザック・スナイダー単独監督版も観てみたいものです。
ザック・スナイダー/ジョス・ウェドン監督『ジャスティス・リーグ 4K ULTRA HD&3D&2Dブルーレイ』(Amazon)
ザック・スナイダー/ジョス・ウェドン監督『ジャスティス・リーグ 3D&2Dブルーレイ』(Amazon)
 3Dも是非入手してみたいものです。

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2018.10.03

■感想 黒沢清監督『予兆 散歩する侵略者 劇場版』


映画『予兆 散歩する侵略者 劇場版』予告編 - YouTube

" 「もうすぐ世界が終わるとしたらどうする?」
 《概念》を奪う「侵略者」はほかにもいた。 映画『散歩する侵略者』から生まれた恐怖と驚愕の侵略サスペンス。
  「侵略者」がやってきたそのとき、別の街では何が起きていたのか? 黒沢のそんな着想から生まれた本作では、新たな設定、キャストでアナザーストーリーが語られてゆく。
 黒沢に「神がかった熱演」と言わしめた彼らの演技から目が離せない。 常軌を逸していく世界で、ただひとつ揺らがないものとは― 今、新たな物語が始まる。 "

『予兆 散歩する侵略者 劇場版』公式サイト

" ほぼ三人だけのキャストで、侵略の予兆というテーマに挑みました。ごく身近な人間が、家庭や職場が、世界全体がゆっくりと確実に変貌していきます。やがて誰もいなくなった街の中で、夏帆さん演じる主人公は何と直面し、どのような決意を持って先に進んでいくのでしょうか。壮大で身の毛のよだつ出来事が、可能な限りリアルに描写されています。"

 同じ黒澤清監督による映画『散歩する侵略者』のスピンオフドラマ(WOWOWで放映)を映画版としてまとめて公開したもの。ドラマでは40分×1回+30分×4回であったものを140分にまとめてある。ドラマ版を先に観ているが、ほとんど内容としては同じと思う。ただし各話の OP, ED がなくなり違和感なく繋がれた連続した140分の作品として、緊迫度と不穏さは増しているように思う。

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 この作品のポイントは、概念を奪うということの不気味さと、侵略の"予兆"が漂う日本のなんでもない光景の持つ異様さである。
 なんどか黒沢清映画の感想で書いている、通常の日本のなんでもない日常を写した映像に付与される不穏な空気感。光と影、そして画面レイアウトで醸し出される黒沢映画独特のそんな空気感が最大限に発揮された素晴らしく、不安さを湛えた侵略の予兆を描いた傑作といえよう。

 『ウルトラQ』等のウルトラシリーズで描かれていた侵略の恐怖、それを現代のリアルな空間で最大限再現し、そしてそれを見事にブローアップして見せた黒沢清と脚本の高橋洋の手腕の凄み。

 東出昌大のまさに異界から来たような幽玄なサイコ演技はもちろんだけれど、それを受け止める日本の良識的リアルを体現している夏帆の芝居、そしてその狭間で異界へだんだん取り込まれていく様を見事に演じている染谷将太。

 この3人の演技と日常の切り取り方だけでここまでの侵略ものの前哨を不気味に描いた映画は、リアルSF映画好きには超お薦めです。

 週末に来襲した台風24号が現在我が地方にも迫っていますが、そんな不穏な空気の中、映画を観終わって見上げた空は、まさにこの映画のラストと強く共鳴していました。

◆関連リンク
前川知大『散歩する侵略者』(Amazon)

"海に近い町に住む、真治と鳴海の夫婦。真治は数日間の行方不明の後、まるで別の人格になって帰って来た。素直で穏やか、でもどこかちぐはぐで話が通じない。不仲だった夫の変化に戸惑う鳴海を置いて、真治は毎日散歩に出かける。町では一家惨殺事件が発生し、奇妙な現象が頻発。取材に訪れたジャーナリストの桜井は、“侵略者”の影を見る―。再演を重ねる人気舞台を、劇作家自ら小説に。黒沢清監督による映画化原作。"

前川知大『 DVD 演劇 イキウメ 散歩する侵略者』(Amazon)
 原案、原作となった演劇のDVD。これは是非観てみたい。演劇の限られた空間であの不気味さがどう表現されているか、観たくてたまらないです。
黒沢清監督『散歩する侵略者』(Amazon)
黒沢清監督『予兆 散歩する侵略者』(Amazon)

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2018.10.01

■情報 ハイエンド一体型VRヘッドセット「Oculus Quest」


Oculus Quest -- VR Done Right? - YouTube

ハイエンド一体型VRヘッドセット「Oculus Quest」発表、399ドルで来春発売 | Mogura VR - 国内外のVR/AR/MR最新情報

"Oculusは、アメリカ・サンノゼにて開催中のイベントOculus Connect 5の基調講演にて、新たな一体型VRヘッドセット「Oculus Quest(オキュラス・クエスト)」を発表しました。発売時期は来春(2019年春)を予定しており、価格は64GBモデルが399ドル(約45,000円)。PCやスマートフォンを使わずに、身体や手を動かすことのできる没入感の高いVR体験が可能となります。"

Oculus Quest | Oculus(公式HP)

"Oculusは、アメリカ・サンノゼにて開催中のイベントOculus Connect 5の基調講演にて、新たな一体型VRヘッドセット「Oculus Quest(オキュラス・クエスト)」を発表しました。発売時期は来春(2019年春)を予定しており、価格は64GBモデルが399ドル(約45,000円)。PCやスマートフォンを使わずに、身体や手を動かすことのできる没入感の高いVR体験が可能となります。"

 Facebookのザッカーバーグがやってくれました。これだけワクワクするITガジェットの発表は久しく聞いたことがないというくらい。

 先日レビューした現行のスタンドアローン機 Oculus Goは、両眼で2560×1440のWGHD液晶パネル、なので、3割ほど高精細。しかもこちらは6Dof(自由度)で手の動きと頭の動きを捉えて、VR空間の中を動き回ることが可能。


Vader Immortal - YouTube

ダース・ベイダーがテーマのVR体験三部作「Vader Immortal」発表 Oculus Quest向け | Mogura VR - 国内外のVR/AR/MR最新情報

 6Dofだからできるこういうアプリがキラーコンテンツになるのかな。
 もちろんライトセーバーを振り回して、ダースベーダーと相見えることが可能です。

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MoguraVR Twitter

 Oculus Questで実現するMR環境。現実がVRの中でも見えるようです。
“Dead and Buriedでは、実際の世界にある段ボールを障害物として銃撃戦を行なうが、ハンドコントローラのAボタンを押しっぱなしにすることで、現実世界とVR世界を混ぜたものを「見る」ことができた。その映像は撮影できないので実物をお見せできないのが残念なのだが、段ボールの模様や縁、自分の手や体が「輪郭強調された白黒の低解像度映像」のように見えて、そこに、CGが重なるべき部分にグリーンなどの色のマーカーが見えた。実空間でのゲームの安全性を確保するものとして実装されていた機能だが、この先に「MR技術によるデスクトップがある」のは明白だ。”
 MRで映し出せる実景部分は「輪郭強調された白黒の低解像度映像」とのこと。カメラ映像を点群で処理したもののようです。 リアルな実写にVRの映像を重畳させる電脳コイル世界を実現するにはSOCの処理速度の桁がいくつか上がらないと無理なのかな。それとも今回の画像センサの解像度の問題なのか…。

"Oculus Goは、両眼で2560×1440のWGHD液晶パネルを備えています。リフレッシュレートは60Hzか72Hzで動作。プロセッサにはVR対応したSnapdragon821を採用しています。Snapdragon821は、2016年のプロセッサですが、高品質な描画を低負荷で処理するために「Fixed Forbiated Rendering」という独自技術で補っています。"

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2018.09.26

■感想 Oculus Go の VR世界(2) アプリ、コンテンツ

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 前回のOculus Goの全体的な感想に続き、今回はアプリケーションとそのコンテンツの紹介です。

Samsung VR

 VRプレイヤーアプリの"Samsung VR"のコンテンツで気に入ったものをいくつか御紹介します。

The Spacewalker VR(Russian VR Seasons)

"VR short film lets you experience the first human walking in space The film immerses audiences in the experience of Leonov and his fellow cosmonaut Pavel Belyaev during their flight on the Voshod-2 on March 18-19, 1965
Site: www.cgfww.com "

 まず、このロシアの宇宙ものVRが素晴らしい。冬のロシア、ヴォストークの打上げをドローンから撮ったシーンが最高。このようなアングルでのロケット打上げの映像は観たことがないけれどVRの臨場感が素晴らしい。実写と見間違える程の立体視CG。右の引用画では燻んだように見えるけれど、まさにロシアのロケット基地(バイコヌール?)上空から神の視点でロケット打ち上げを見られる感覚はとても貴重。
 Oculus以外でも観られるようなので、なんらかのVR視聴環境がある方、必見です。リンク先で通常の2D動画としても観られますが、3D VRを絶賛お薦めです(^^)。

Mission: Impossible - Fallout - Behind The Scenes 360°
 『ミッション・インボッシブル フォールアウト』のトム・クルーズのアクロバティックなヘリ他のメイキングVR。手に汗握ります。

Amaze VR
 VRのバラエティチャンネルということだけれど、ポールダンスやお笑い、お色気ものも沢山あるけれど、ここでは究極映像研っぽいものを紹介します。毎週アップデートされているようでコンテンツの幅の広さが魅力のサイト。

The Giant from New Media Ltd on Vimeo

"The Giant" is this week's Staff Pick Premiere! Read more about it here: vimeo.com/blog/post/staff-pick-premiere-the-giant

Directed by New Media Ltd
Newmedialtd.co
Original Score by Jake Aron and Ludwig Persik
With support from Paul Horton Visuals, Neighborhood Watch Films, and Pulse Films"

 リンク先で動画を360° 2Dで観られるけれど、これも360° 3D VRでは圧倒的な迫力があるので、そちらをお薦めします。身体が異様に変形した女性の(雌型の)巨人が居並ぶ異世界の光景が素晴らしい。恐ろしい光景なのだけれど、何故か惹かれるVR空間。この異様さは良質な異世界ものSF短篇のレベルに迫っていると思います。

Waking up in the Universe VR from Julius Horsthuis on Vimeo.

"in 1991, professor Richard Dawkins gave the Royal Institution Christmas Lectures. I have taken some parts of it and weaved them through a wondrous journey through fractal time and fractal space. A Mandelbulbian homage to science.
Music: Asura - Le Dernier Voyage ultimae.bandcamp.com/album/360-24bits
for more on my work: julius-horsthuis.com"

 こちらはAmaze vrでは、"fractal journey" というタイトルになっていたが、これもリンク先では360° 2Dだけれど、Amaze vrの360° 3Dで観てください。
 フラクタルで描かれた広大な空間、幾重にも折り重なったフラクタル模様の世界の地獄めぐり的な様相を呈している凄いアート空間が広がっています。
 この手法なら、酉島伝法氏の『皆勤の徒のあのSFの極北にあるような奇想世界も映像化できるのではないかと錯覚するような異様さがヘッドセットを通して脳内に展開されます。
 VRの奇想映像空間として、アート空間としての凄みの一端を感じられる映像をまずは二つ紹介しました。


Amaze 3D: The Pact VR Video 360 - Supernatural, Kidnapper, Scary VR Short Clip (Oculus, HTC Vive) - YouTube

 こちらはサイコパスもののホラー短篇。臨場感もなかなかですが、女優二人が魅力的だったので掲載w。VRとしては180° 3Dの短篇映画VRという感じ。
 ハリウッド女優のわりに小柄な二人の存在感。通常映画の2D画面より二人の女優のコンパクト感(??)がそこに存在するように身近な感覚で、サイコパスの恐怖感も、メイクとかイマイチなのだけれど、見ている部屋に突然現れたようなリアリティ。

◆映画館アプリ CINEVR - The Movie Theater | Oculus
 アプリを立ち上げると豪華な劇場でスクリーンを観ている感覚に入り込める。
 しかも他のOculusユーザの観客がリアルにVRの劇場シートに、アバターの姿だけれどいるのである。話しかけることもできる。遠方の友達と一緒の時間にそこで映画を観て盛り上がることもできる。

 その際に工夫されているのは、映画の音声と観客席の会話のボリュームを自由に変えられるため、周りがうるさい時は劇場内の会話ボリュームを下げれば良い。発声して応援上映をする場合は、ボリュームを上げる。
 劇場で世界の人を相手にナンパもできるはず(英会話が必須だけどw)。そう考えて観てると、観客が近くにいる劇場へ本当に行っている感覚が生じてくるのでとても面白い。もちろん、声はかけていませんが(^^;)。

 コンテンツは3D映画の予告篇が数本置かれていたり、そこそこ観られます。まだコンテンツの充実はこれからですかね。

◆関連リンク
Oculus Go おすすめVRコンテンツ|VR版バラエティTV『Amaze』 | なるほど!いいね

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2018.09.24

■感想 Oculus Go の VR世界(1) ハードウェア中心に

20180630_224734Oculus Go | Oculus (公式HP)

"さまざまなストーリーの世界を楽しめる VRの世界に今すぐダイブ!
ゲーム、ソーシャルアプリ、360度エクスペリエンスなど、1,000本以上のコンテンツが揃っています。"

 スタンドアローンタイプで今最も手頃なVR専用ヘッドセットであるOculus Goを数日借りて体感したので、レポートします。
 PS-VRは1ヶ月ほど試してヤフオクで売ってしまいましたが、こちらは改めて自分で購入しようかと思っている次第。手頃さとコンテンツの豊富さがなかなか良いです。

◆画質
・PSVRは5.7インチ、1920×1080ドット有機ELパネル。それに対して、Oculus Goは5.5インチ,2,560×1,440ドットの液晶パネル。
・画像は映画を立体視で観るとさすがに荒く感じるが、VR専用コンテンツでは眼を凝らさないと画素は気にならなく、PS-VRよりも高精細な印象。
・後述する映画館の劇場空間の中でスクリーンに映された映画を見るコンテンツで言うと、体感300インチくらいの大きさで観えるが画質が荒く映画館感覚を減じているのが残念。
・時々レンズのグリグリが見えるのは愛嬌かw。

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◆コントローラ
・片手で操作する空中マウスのようなコントローラが付属している。これによって画面に映るインターフェーズ(ボタン等)を操作する。リモコン側のボタンは主にはトリガーで押す。
・画面上の指示は、このコントローラの前後の軸方向に光の矢が画面上に現れることで操作。Touchサーフェイスと呼ばれているパッド部分を指でこすると画面のページをめくったりできる。ここはスマホの操作感に近く、かなり直感的に使うことができてここにもお手軽感がある。

◆装着感と音質
・メガネの上へ被って、ヘッドバンドで頭に装着した感覚がなかなかいい。
・特にヘッドバンドとHMDの装着部分に設えられた左右のヘッドフォンの音が気持ち良い。耳の中に入れるわけでもなく、耳の近くに小さな穴が空いているだけなのに、なかなかの音質。
・耳が圧迫されず、自然にステレオ音。しかもVR空間で首を振ると、その音の方向が変化。空間の臨場感をあげている。別のヘッドフォンを使うことも可能とのことだが、特に支障を感じない出来だと思う。
・VR酔いはPS-VRより良いように感じたが、これはコンテンツによるのかもしれない。

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◆3D空間
・PS-VRとの大きな違いは、このOculus Goには、PS-VRにあるカメラのような、ヘッドセットの位置を外部のセンサで捉えるシステムが存在しない。
・Oculus Goはヘッドセットに装着されたセンサで頭の向きの変化を捉えるのみ。これにより頭の向きが変わることによる視界の変化を再現している。この再現のリアリティが見事で、ほとんど遅れを感じさせない自然な動作を実現している。これにより視線の変化による空間の広がりが的確に映し出されて、まるでその空間の中にいるような気分になる。
・残念なのは、頭の位置が動いても映し出されている対象物をその頭の位置から見られるわけでないところ。PS-VRでは目の前のCGモデル等の裏側に回り込むようなこともできる(コンテンツによる)が、Oculus Goは無理。
・このVR空間は、ヘッドセットを取り囲む360°の全天球球面スクリーンに映し出される3D立体視映像ということになる。コンテンツによっては3Dでなく2D、360°でなく180°のものもあるが、前述の頭の動きに映像がうまく追従するため、2D 180°のものでもなかなかのリアリティを確保している。

◆関連リンク
Oculus Go オキュラス 単体型VRヘッドセット スマホPC不要 (64GB) [並行輸入品] (Amazon)
 Oculus (公式HP)から購入すると、Amazonの並行輸入より安く買えますのでご注意を。
【西田宗千佳のRandomTracking】「Oculus Go」に見る“みんなのVR”時代。VRで実現するパーソナルごろ寝シアター - AV Watch.

"Oculus Go向けには、ハイエンドVR向けとして人気がある「Bigscreen」というアプリがあり、これを使うと、PC上の画面や音をなんでも転送できる。

 テレビ録画を見るには、著作権保護技術である「DTCP-IP」に対応したアプリが必要だが、日本以外ではマイナーであるため、現状、Oculus
Goから直接視聴はできない。しかし「Bigscreen」を介し、「PC上で再生した動画を見る」ならば対応できる。PC上でゲームを動かしてそれを楽しむことも可能だ。Oculus
Go内蔵ブラウザで対応できないサービスは、「Bigscreen」を使ってPC経由で楽しむ……という方法もある。"

Oculus Goは魅力的だが、やっぱPSVRの方が満足度高そう | More-interest.GAME.
 両者を丁寧に比較されていますのでご参考。
・当ブログ 関連記事
 ■感想 プレイステーションによるヴァーチャル・リアリティ体験 PlayStation®VR

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2018.09.19

■予告篇 ルカ・ハルゴヴィック監督「スライス・オブ・ライフ (人生の一コマ)」"Slice of Life"


Slice of Life - Official Trailer - YouTube

""Slice of Life" is an original short Science Fiction film inspired by the Blade Runner universe."

 "Slice of Life" ブレードランナー風未来都市を描いたインディーズフィルム!
 『ブレード・ランナー』にインスパイアされたルカ・ハルゴヴィック(Luka Hrgović)監督による短篇映画。

 リンク先の予告篇を観てもらうとわかるが、「強力わかもと」ならぬ「吟徳門」と名付けられた商品(日本酒か?)のCMガールのふんどし美女が凄い(^^)!

 そして手作り特撮と思えぬ完成度の映像。後述するメイキングの映像を見るとわかるが、いずれも手作り感のあるミニチュアによる特撮である。
Slice Of Life Film(公式HP)


Creating the miniature sci-fi city in a garage - from junk! - YouTube.
 こちらにミニチュアの手作りシーン、それを利用した特撮シーン撮影のメイキング記録映像。

 『ブレード・ランナー』インスパイアは、その制作スタイルにまで徹底している。全篇見てみたいものです。

◆関連リンク

Solposter_web_big

Creating a sci-fi city in the garage
 特撮シーンの模型制作等のメイキング映像。
Slice of Life (Facebook)
 メイキング映像ほか、最新情報が語られています。
Slice Of Life - YouTube.
 こちらにも多数のメイキングが掲載されています。
Slice of Life - original short film homage to 80's SCI-FI by Julius Film — Kickstarter
 キックスターター、すでに受付は終了しています。ファンディングゴール $25,000に対して、$81,756の資金が集まったようです。
ファンが作った「ブレードランナー」のサイドストーリー動画「Slice of Life」のクォリティが高すぎる - DNA.

"クロアチアのLuka Hrgovićを監督に、極少人数のグループが自主制作している短編動画。完成すれば30分程度の上映時間になるそう。 現在、実写パートの撮影は終了し、ミニチュアなどを使った特撮パートの撮影に入っているとのこと。今後はKickstarterで3万ドル(約340万円)の出資を募り完成を目指すとしています。"

『ブレードランナー』へのラブレター、80年代SF映画への愛を込めた短編SF作品『SLICE OF LIFE』。 - ぼくと、むじなと、ラフカディオ。.

ちなみに本作品では、80年代のSF映画における特殊技術、ミニチュア、リアプロジェクション、マットペインティングなどの、今となっては旧式だと言われる技法がフル活用されているとのことで、「You won't find any CGI here!!!」と豪語している、それは本当にすごい!

Luka Hrgovic - IMDb
 4本の短篇映画の制作実績が記載されています。

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2018.09.17

■感想 フアン・アントニオ・バヨナ監督『怪物はささやく』"A Monster Calls"

 フアン・アントニオ・バヨナ監督『怪物はささやく』、WOWOW録画初見。
 少年のリアルとファンタジーの交錯。

 裏の巨大な古木が巨人として少年の前に現れ、人間の3つの物語を語り、悪夢に絡む4つ目の物語を少年に語らせる。
 巨人の語る物語を映像化したイラストレーション風の3D CGアニメが素晴らしい。絵本の中から立ち現れたような水彩風のCG。このシーンを観るだけでも、大きな満足が得られる映像。この映画は3D上映はなかったようだけれど、3Dでこの水彩の映像が動くところが見たくてたまらない。

 巨人の現実との重なり合い、伝える善悪の併存というメッセージの少年への影響、母親との関係。そしてラストで示される映画だけの、この巨人のエピソード。
 アメリカではヒットしなかったようだけれど、なかなか素晴らしい映画。どこかで観られる機会があれば、お薦めです。

 最後、蛇足ですが、少年の悪、自分の周りのものへの暴力が罰せられることがないところは少し違和感。通学路のごみ箱、祖母の居間、そしていじめっ子への逆襲。いずれも誰からも否定的な言葉は出ず、母親からはラスト付近で、怒りは自由に出しなさいと逆に肯定的に言われるところ。

 ある意味、この主人公の「悪」部分が本人にとって肯定的とも受け取られかねない描写が取られている。決してハッピーエンドではないこの映画のラストにこの映画はある意味、少年の将来が暴力に彩られるのではないか、という不安な余韻をもたせているように感じた。この後の祖母との生活、学校での生活がどんな展開になるかで、少年の未来は決定されていくのだろうけれど、そうしたダークなイメージを残したのも人の善悪の並存を描いたこの映画のテーマに沿って、そうした余韻は意図的なものなのかもしれない。

■3Dアニメーション部分のメイキング

Making of A Monster Calls (Animation Sequence)
  from GLASSWORKS VFX on Vimeo
 こちらにメイキングがある。
 やはり3D CGを水彩風に描き出した手法。こういう手法で撮られたアニメーション立体映画を是非制作いただきたいものです。短編でもいいので(^^;)。

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2018.09.14

■感想 黒崎博脚本・演出『容疑者Nと刑事の15年』 NHKスペシャル | 未解決事件 File.07 警察庁長官狙撃事件


NHKスペシャル | 未解決事件 File.07警察庁長官狙撃事件容疑者Nと刑事の15年

"この日は、「実録ドラマ」で描き出す。 執念の捜査で犯人を追っていく刑事役に國村隼さん。別の強盗事件がきっかけで容疑者として浮かび上がった男役にイッセー尾形さん、警視庁トップ、警視総監役に小日向文世さん。日本を代表する名優たちがしのぎを削り合う「実録」にして「本格派」。「未解決事件シリーズ」ドラマの新境地を開く。"

 黒崎博脚本・監督『容疑者Nと刑事の15年』、力作でした。
 押井守の映画音楽を手がける川井憲次のサントラをバックに描かれる現代警察事件の闇。まるで『パトレイバー THE MOVIE』の帆場暎一のように霧散していく犯人像。
 警視庁捜査第一課元刑事・原雄一を演じた國村隼、容疑者N 中村泰を演じたイッセー尾形の熱演と、黒崎脚本による「虚構」と「真実」のせめぎ合い。
 昨年の是枝裕和脚本・監督『三度目の殺人』の影響もあるかもしれない。三隅(役所広司)ほどではないが、掴みどころのない中村(イッセー尾形)の描写は影響を受けているような気がする。
 で、興味深いのは、このドラマが現実をベースにしていること。まだ謎は明らかになっていない。
 先週のドキュメンタリーのラストからは、NHKはまだこの資源を取材し続けている。今後の展開にも期待したいもの。

◆関連リンク

原雄一『宿命 警察庁長官狙撃事件 捜査第一課元刑事の23年』 

警察庁長官狙撃真犯人「捜査秘録」 原雄一×江川紹子 | 文春オンライン
 原雄一元刑事の証言。
 これを読むと今回のドラマの各々のエピソードが実際に原氏が警察内部で経験したことを元にしたのがわかる。

   それより面白いのは、原視点では中村は思想犯、自分が革命家であるというフィクションを作りたがっている殺人愛好家である、と分析しているところ。
 ドラマでは隠し続けた事件当日の共犯者の名前を明らかにしなかったのは、自分の物語を崩してしまう、ただ金が欲しかった共犯者であることが明るみに出るのを恐れてのことだったのではないか、と推定し語っている。

 ドラマは、全体として中村の革命家的物語を意図してか意図なしにかわからないが、番組としての強度を高めるために(?)、そうしたフィクションを結果的に補強してしまったように見える。

 現実とドラマの関係性が、メタレベルで、この事件が複雑化しているのを地で表現してしまったようでとてもスリリング。

警察庁長官狙撃事件「真の容疑者」中村泰からの獄中メッセージ(原 雄一) | 現代ビジネス | 講談社
 そしてこちらは、獄中の中村泰による、原雄一『宿命 警視庁捜査第一課刑事の23年』レビュー。
 この第三者的筆致、すごく面白い。現実は小説より奇なり。

 次はこのNHKのドラマのレビューも書いてもらいたい。

警察庁長官狙撃事件の真犯人を支援した男の「正体」(原 雄一) | 現代ビジネス | 講談社
 事件当日の共犯者について、原氏が自著にあえて変えて記述した仕掛けに、本当の共犯者かもしれない男から連絡が入った経緯。

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2018.09.12

■写真レポート 【空宙博】岐阜かかみがはら航空宇宙博物館


「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」イメージ映像 - YouTube

【空宙博】岐阜かかみがはら航空宇宙博物館公式ウェブサイト

"航空と宇宙を同時に体験できる 国内唯一の本格的な専門博物館"

 今年の3月にリニューアルした空宙博:かかみがはら航空宇宙博物館に行ってきました。実物の迫力、やはり良いです。
 今回は写真レポートです。

 まずは入館する前、博物館の前の広場に展示されている5機ほどの飛行機。
 こちらは入場料なしで観ることができます。下はそのうちの1機「川崎 P2-J 対潜哨戒機」、このスレンダーなプロポーション、魅力的です。

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 そして大人料金800円を払って入場。この手の入場料としてはなかなかリーズナブル。この値段でこれだけの展示物が見られるのはお得かと思います。
 まず冒頭には、今回のリニューアルの目玉になる太平洋戦争中の戦闘機「飛燕」の世界で一機という実機と、ゼロ戦試作機「十二試艦上戦闘機」実物大模型。
 「飛燕」はジェラルミンのボディが美しい。僕は零戦よりこのデザイン、好きです。 

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 そして次にメイン展示スペース。巨大な屋内(体育館3つ分位)に並べられた航空機各種。

Sora_haku10 戦闘機からSTOL飛鳥まで、壮観です。

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 その一角からはじまる宇宙コーナー。
 まずはH2のフェアリングとエンジン。フェアリングは近くの川崎重工岐阜工場で作られたものとか。

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 そして2階へ上がってNASAとJAXAの展示。
 火星探査機とISSに搭載された日本実験棟「きぼう」の実物大模型。
 きぼうには内部に入り、実験装置のラックやエアロックを見ることもできます。

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 次にはISSの模型とJAXAの衛星群。
 下は無人宇宙実験機 SFUの模型とパンフレットの展示。これに搭載された部品の開発を担当していたので、感慨深いです。

Sora_haku08

 ということで、今回の写真レポートを終わります。
 実は今回、立体映像を撮るために3Dハンディカムを持って行ったのですが、何と充電がすぐ切れてしまい、ロクに動画が撮れなかったので、今回体験できなかったシミュレーター体験共々、再度来訪予定。家から車で40分ほどと近いのでいつでも行けるのです(^^)。

◆関連リンク

岐阜かかみがはら航空宇宙科学博物館リニューアルオープン記念番組~オープン前に博物館の中をまるっと見せちゃいます~ - YouTube.
Sora_haku11
「ひそねとまそたん」上映会|【空宙博】岐阜かかみがはら航空宇宙博物館公式ウェブサイト
 この9月には「ひそまそ」上映会も開かれるとのこと。
 聖地「自衛隊岐阜基地」のすぐ隣の空宙博会場での上映はファンには格別ではないでしょうか。ショップにはグッズコーナーもあります。

日本最大級! 岐阜かかみがはら航空宇宙博物館 - 3月24日にオープン! (1) 「飛燕」が里帰り - 幻の「Qロケット」の風洞試験モデルも公開 | マイナビニュース.

"空宙博最大の目玉となるのは、三式戦闘機「飛燕」の実機である。正確には飛燕の中でも、エンジンなどを改良したII型の、試作17号機という。 飛燕は1941年に開発された旧日本陸軍の戦闘機で、当時の日本軍戦闘機としては唯一、液冷式エンジンを積んでいるのが最大の特徴。空冷エンジンを積む「ゼロ戦」などとは異なり、液冷ならではの細くスマートな機首をしている。 飛燕を開発、生産したのは、岐阜県各務原市にあった川崎航空機岐阜工場(現在の川崎重工航空宇宙カンパニー)で、飛燕全体では約3000機、II型に限っては99機が生産されたという。空宙博での展示は、飛燕にとっては"里帰り"にあたる。

展示機体は塗装のない、ジュラルミンがむき出しの状態になっている。これは工場からの出荷時の姿でもあるものの、実際に配備されたあとも迷彩色などに塗らず、日の丸など以外は無塗装のままの場合もあったという。"

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2018.09.10

■感想 ヨン・サンホ監督『新感染 ファイナル・エクスプレス』&前日譚『ソウル・ステーション/パンデミック』"Train to Busan 2016" "Seoul Station"


Train to Busan 2016 - Behind the Scenes - YouTube

 ヨン・サンホ監督『新感染 ファイナル・エクスプレス』と前日譚『ソウル・ステーション/パンデミック』WOWOW録画初見。

『新感染 ファイナル・エクスプレス』
 見事なホラーアクション映画。そして家族の物語。とても泣かせます。
 この映画、アニメーションの監督であるヨン・サンホの実写作品とのことだけれど、シナリオも見事(各エピソードと解決策等)なら映像の作りもきっちりしていて(ガラスが集団の重みで割るところとか列車に大勢がぶら下がったところのシーケンスとか)、安心して観ていられる作品。
 閉じた空間での恐怖感をうまく演出している。映像としての外連味もあり、世界でヒットした理由がわかります。


Seoul Station Japan Trailer - YouTube.

 そして前日譚のアニメ長篇『ソウル・ステーション/パンデミック』。
 こちらがヨン・サンホ監督の本来の領域での仕事なのだろうか。シナリオとか映像の作りは、実写版からスケールダウンしている。アニメ描写もロトスコーピング(?)なのか、キャラクタの表情と演技が硬い感じ。

 、、、、と思っていたら、これはこの映画のラストの非情さを描くための仕掛けだったのかもしれない。このラストの救いのなさはある意味すごい。
 『新感染 ファイナル・エクスプレス』が家族の愛の映画になるのに対して、こちらは正にそれをひっくり返したようなブラックさ。
 この監督の他のアニメーション作品もぜひ観てみたいと思った。

◆関連リンク

・「新感染」続編製作へ 2019年撮影開始 : 映画ニュース - 映画.com.

"続編について、「ウイルス感染後の半島が舞台だという点と、ゾンビ映画にインスパイアされたサバイバルアクション物だという点では続編と呼べるかもしれないが、キャラクターもまったく異なるし、さしずめ『同一の世界観を持った前作の延長線上の物語』とでも言ったところかな」と明かしたヨン監督は、「まだ脚本を書き始めたばかりだけど、前作よりはるかにスケールの大きい、アクション満載の映画になるということだけは確か」と自信をのぞかせる。"

ソウル・ステーション パンデミック 特集:
 あの感染はなぜ起こった?ソウルに何があった?本作を見て、初めて“すべて”が完成する! - 映画.com
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2018.09.07

■感想 岡本喜八監督『独立愚連隊』


Dgrenntai_yokoku - YouTube

 岡本喜八監督『独立愚連隊』WOWOW録画初見。
 何しろ毎週10本くらいの映画を4倍速で録画してブルーレイに突っ込んでるので、3年ほどで溜まった映画が1000本を超え、いくら観ても未消化が一向に減りませんw。

 さて今週は以前からいろんな作家とか監督が良い良いと評価されているのを聞いて、ずっと観たかったこの映画。
 確かに洒脱で痛快な感じがとても良かった。主人公の佐藤允の笑顔がまず印象的。で、三船敏郎のまさかのあの破天荒な役。こんな贅沢な使い方が当時許されたのですね。

 鶴田浩二の馬賊もカッコ良かったけれど、やはり助演の中谷一郎と佐藤允のコンビが素晴らしい。この方、水戸黄門の弥七の役の方だったのですね。観終わってから検索して気づきましたw。
 好みからはもう少し話がトリッキーで、アクションのポイントの押さえ方がシャープだと、噂に聞き続けてきた僕のイメージの中の『独立愚連隊』になるのですが、1959年当時の映画ファンの盛り上がりの一端に触れることができました。

 『独立愚連隊、西へ』から『血と砂』まで1枚100円のブルーレイに入っているのでw、しばらく楽しめそうです。

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2018.09.05

■感想 パティ・ジェンキンス監督『ワンダー・ウーマン』


Behind The Scenes On Wonder Woman (2017) + Movie Clips - YouTube

 パティ・ジェンキンス監督『ワンダー・ウーマン』WOWOW録画初見。
 イスラエル軍でトレーニングを積んだ主演 ガル・ガドットの魅力が、『ジャスティスの誕生』に続き素晴らしい。

 それにしても戦争に対してまっすぐの思いで突っ込んでいくこの女性主人公の姿は、いろいろと複雑な想いも抱くが、心打つものがある(ドイツ軍の兵士ならドカドカ殺しても問題ないのね、とかw)。彼女が第一次大戦からどのように世界と戦ってきたのか、この後の展開も大変楽しみ。

 コミックヒーローもの全盛の現在、神のような能力の大インフレ状態が映画界に吹き荒れているわけだけれど、このような物語の趣向で、画面構成が同じようなものになりそうなのに、映画が一定の緊張度を持続し続けていること、現在の映画の力の素晴らしさに感嘆するばかりである。

 こういう映画が年に何本も観られる状況。僕たちはCGによって素晴らしい映画の時代に生きている、と言ったら70年代オールドファンの方々の顰蹙を買うのだろうか、、、(^^;)。僕も70年代にティーンだったオールドファンの一人でもあるのですがw。

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2018.09.03

■情報 富野喜幸監督『無敵超人ザンボット3 Blu-ray BOX』発売予定


「無敵超人ザンボット3」SD/HD比較映像PV - YouTube 公式サイト

"初回放送から41年。サンライズ初のオリジナル作品『無敵超人ザンボット3』が遂にブルーレイで登場!ニュープリントマスターポジフィルムから2Kスキャンした最高画質の全編フルHDリマスター映像! 発売日:2018年12月4日 希望小売価格:30,000円(税抜)

【封入特典】ブックレット(200P)※内容予定
・シリーズ構成・設定書、長編映画構成台本など未公開の貴重な資料集
・富野由悠季監督、安彦良和氏へのインタビュー

【映像特典】※予定
・ノンテロップOP/ED
・クローバー「ザンボット3 コンビネーションプログラム」CM集
・番組告知CM

【静止画特典】※予定
・第1話絵コンテ
・完成台本(全23話分)"

 初のブルーレイ化!リンク先の動画を観ると、オープニングフィルム(35mmとか)のみですが、見たことのない鮮やかな色になってますね。(ザンボットはあの淡い色合いが好きなので複雑だったりしますが…) 。

 「幻の長編映画構成台本などの未公開の貴重な資料や、 富野由悠季監督ほかへのインタビュー」、御存命なら金田伊功さんの作画語りが収録されたかもしれないと思うと残念でなりません。

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 また「幻の長編映画構成台本」、あのエキサイティングなストーリーが長篇映画の尺でコンパクトにインパクトを持った映像として語られるというのはファンが夢見ていたことです。どんな話に再構成されているか興味深いです。

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◆関連リンク
富野 喜幸 監督『【Amazon.co.jp限定】無敵超人ザンボット3 Blu-ray BOX (安彦良和氏複製サイン入りB2サイズ布ポスター(三方背アートBOXイラスト使用)+オリジナルキャラファインボード付) 』
富野 喜幸 監督『無敵超人ザンボット3 Blu-ray BOX 』

金田伊功 ザンボット3 関連当ブログ記事 Google 検索

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2018.08.31

■情報 ヤン・シュヴァンクマイエル監督が引退を表明

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 ヤン・シュヴァンクマイエルがついに引退を表明しました。本当に新作『蟲』が最後の作品になってしまうのでしょうか。まだまだ作って欲しいものです。

 チェコの映像配給等されているアットアームズさんのチェコチェコランド ブログにおいて詳細記事が発表されているので、ご紹介します。(右の引用画像は今回の引退表明の画像ではなく、最新作にして最後の作品になる『蟲』のポスターです)
 

" 世界のシュルレアリスト ヤン・シュヴァンクマイエルが 引退を表明しました。 新作の「蟲」が 完成したとは 聞きましたが、 それと ともに”引退表明”と ネットで見つけましたので、 私の代理人を通して 事実かどうか シュヴァンクマイエルに確認しましたら、 「It is true.」と 返信がございました。

 シュヴァンクマイエルも 来月 9月4日で 84歳になられます。 私は 10年以上のお付き合いがございますので、 彼の性格は 少しは理解しているつもりですが、 力が尽きるまで 創作をされる方だと勝手に 思っていましたが、 やり尽くしたのでしょうか。"

 アットアームズの チェコアニメ事業部の記事になります。この記事自体がどなたの執筆になるものか、忌明がないためよくはわかりませんが、文面からシュヴァンクマイエルの著作の翻訳、来日時の通訳等をされていたペトル・ホリーさんが関係されているように思われます。あくまでも推測ですので、間違っていたら申し訳ありません。

シュヴァンクマイエルさんという人… | チェコチェコランド

"(ヤン・シュヴァンクマイエルが)ミクロネシアのある国に招かれたことがあったそうです。

そこで初めてカヌーを経験されたそうです。楽しんで遊んでいたら、引き潮であっという間に沖に流され、島は見えなくなったそうです。

喉が渇き、どうしようもなく、”死”を意識したそうです。
しかし彼が感じたのは、”恐怖”ではなく、こう思われたそうです…。

「しまった!カメラを持ってくるべきだった!

人間の体が干からびて、ミイラになる過程が撮影できる絶好のチャンスなのに!大きなミステイクだ!

…でも、カメラが合っても誰が撮影するんだ?
…助手を連れてくるべきだったか?
…いや、こんな映像自分で撮影しなければ意味がないぞ!
…でも、さすがの私も自分がミイラになる過程を自分で撮影はできやしない!絶好の撮影素材なのに!」"

 そして引退に関係して、チェコチェコランドブログの執筆者の方が語られたシュヴァンクマイエルのエピソード。
 シュヴァンクマイエル自身が、カヌーで沖へ流された際に、人間がミイラ化する過程が撮影できる絶好のチャンスと考えた話。凄まじい映画魂。

◆関連リンク
シュヴァンクマイエル 当ブログ関連記事 Google 検索

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2018.08.29

■感想 セオドア・メルフィ監督『ドリーム』"Hidden Figures"


Hidden Figures | Teaser Trailer [HD] | 20th Century FOX - YouTube

 セオドア・メルフィ監督『ドリーム』"Hidden Figures" WOWOW録画初見。
 マーキュリー計画とその後のNASAのプロジェクトにおいて、黒人女性数学者,工学者の活躍を描いた実話ベースの物語。

 何度もグッとくるシーンがあって泣けます。いい映画です。数学弱いんで黒板に描かれる数式のエキサイティングなシーンは雰囲気で感じるしかないのだけれど(まあエンタテインメントとしてかなり簡略的に描かれているんでしょうが、、、)、良きアメリカンスピリットに溢れた感動作でした。

 「電子立国日本の自叙伝」(古い! w)みたいなNHK的描き方、もしくはさきほど感想を書いた是枝監督ドキュメント風フィクションの描き方、史実を描く手法として、このNASAの女性数学者テーマでそうした別の手法を想像すると、また幅広いドキュメンタリーの広がりがある素材だと感じる。

 果たしてこの映画の手法がベストかというと、擦れたSFファンとしては、もっと別の描き方もあったかも、とか無い物ねだりをしてしまうのだけれど、この映画は広い人々に受けるエンタテイメントとしてはベスト級の映画になっているのでしょう。

 しまった、前の記事で書いた『3度目の殺人』と同じ日に観るんじゃなかった、、、(^^;)。

ドリーム (2016年の映画) - Wikipedia

"史実との相違点 本作は1961年のNASAを舞台にした作品であり、当時のNASAに白人用の設備と黒人用の設備が存在したかのように描かれている。しかし、1958年にアメリカ航空諮問委員会(NACA)がアメリカ航空宇宙局に改組された際、そうした差別的な設備は取り払われた。

また、劇中のドロシー・ヴォーンは昇進願いを却下されているが、実際のヴォーンは1949年の段階でスーパーヴァイザーに昇進している[19]。 劇中でメアリー・ジャクソンは工学の学位を得ようと奮闘する女性として描かれているが、実際のジャクソンは1958年の段階で工学の学位を修得し、エンジニアの職を得ている[20]。

また、劇中でキャサリン・ジョンソンは1961年にNASAに配属されたことになっているが、実際のジャクソンは1953年の段階でNASAの前身であるNACAに配属されている[21]。 劇中では、アル・ハリソンがSTGの責任者であったとされているが、実際のSTGの責任者はロバート・R・ギルラス(英語版)であった。これは複雑な人間関係を分かりやすくするための処置であった。ヴィヴィアン・ミッチェルとポール・スタフォードは実在の人物ではなく、当時のスタッフの行動及び価値観を分かりやすい形で反映したキャラクターとなっている。

なお、カール・ジーリンスキーはメアリー・ジャクソンのメンターであったカジミェシュ・クザルネッキをモデルにした人物である[22]。 ジョン・ハーシェル・グレンがジョンソンにIBMの計算が正しいかどうか確かめて欲しいと依頼するシーンがあるが、現実のジョンソンはそのシーンの数日前から検算に取り組んでいた。 "

 wiki pedia見ると、史実から大分と脚色してしまっているのですね。エンタメとしては致し方ないか。

 

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2018.08.27

■感想 是枝裕和監督『3度目の殺人』


映画『三度目の殺人』予告編 - YouTube

"第66回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞作『そして父になる』の福山雅治と是枝裕和監督が再び組んだ法廷サスペンス。死刑が確実視されている殺人犯の弁護を引き受けた弁護士が、犯人と交流するうちに動機に疑念を抱くようになり、真実を知ろうとするさまを描く。弁護士や検事への取材に加え、作品の設定通りに実施した模擬裁判で出てきたリアルな反応や言動などを脚本に反映。福山ふんする主人公が弁護を担当する殺人犯を、役所広司が演じる。 公式サイト:http://gaga.ne.jp/sandome/ "

 是枝裕和監督『3度目の殺人』WOWOW録画初見。
 是枝監督タッチで撮られた黒沢清作品的な映画w。といったら「違う!」と言われそうだけれど、役所広司の役がそんなイメージをもたらしたのかもしれない。

 その役所広司が素晴らしい。
 特に接見室のシーン、この多重性。福山雅治演じる重盛が次第に役所に引き込まれていくシーンが凄い。その重盛に「俺たちは象のどこを触っているのだろう」というセリフがあるのだけれど、まさに我々観客(群盲)もなでているその巨大な象の姿が見えない。

 ミステリが描き続けている「真相」を霧散させてしまうラスト。まさにアンチミステリの秀作と言える。そして日本の司法の阿吽の呼吸の描き方、アンチミステリはこの現代日本の法廷に横溢しているのだろうか。

是枝監督のインタビュー(セッション22 Podcast)
 阿吽の裁判舞台裏の会話は本職弁護士がまず台本を書き、撮影も立ち会ってリアルを追求したとか、興味深い。
 このリアルは、裁判にかけられることは絶対に止めようと誓う位の抑止力を持った恐怖(^^)。

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2018.08.22

■感想 ドゥニ・ヴィルヌーヴの長編第2作『渦』Maelstrom 2000


Maelstrom 2000 trailer - YouTube.

 ドゥニ・ヴィルヌーヴの長編第2作『渦』WOWOW初見。
 なんの予備知識もなく観始めたのですが、なかなか重厚な傑作。
 冒頭のまるでアレクセイ・ゲルマン『神々のたそがれ』のような陰鬱な映像、沼地の木造建築の中で奇怪な魚をさばく男。そして映画はパリの街のひとりの20代の娘について、その魚が語り出すところから始まる。

 その主人公マリ=ジョゼ・クローズ、その影のある姿は、どこかナオミ・ワッツに似ているというか『マルホランド・ドライブ』後半のあばずれ状態のワッツに酷似して眼の周りの隈がその陰鬱な状況を顕現。そして主人公の堕胎した胎児はまるで『イレイザーヘッド』の悪夢の再現。
 物語にここかしこで登場する魚の姿。
 魚と水が画面のトーンを昏く煌めかせ、ある男の事故死とその息子と主人公の恋。そうです、この映画は実は恋愛映画だったのです。二人の運命の奇想は、クライマックスでの恋愛感情の高まりをそのまま盛り上げて終わるのだけれど、その未来に横たわる気味悪い魚の姿。
 これだけ陰鬱な恋愛映画はそうそう出会えません。
 クローネンバーグを継ぐようなスタイルでこの長篇を撮ったカナダの秀英監督、やはりただ者ではありません。
 今回WOWOWで初期代表作を放映したので、録画したそれら作品を紐解くのが楽しみでなりません。

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