2017.01.18

■情報 『TRIBUTE TO OTOMO: トリビュート トゥ オオトモ』 大友克洋リスペクト 展覧会と図録

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図録『TRIBUTE TO OTOMO』
講談社 公式HP

"2017年の「アングレーム国際漫画祭」開催日に、フランス版・日本版を同時発売!"

図録「TRIBUTE TO OTOMO」岸本斉史、貞本義行ら約80名が参加 大友克洋の世界を描き下ろし | アニメ!アニメ!

" フランスで開催される「アングレーム国際漫画祭」開催日である2017年1月26日に発売される。この「アングレーム国際漫画祭」は、フランスのアングレーム市で行われるバンド・デシネのイベントで、1974年より開催されている歴史あるマンガの祭典だ。

 浅田弘幸、江口寿史、五十嵐大介、上條淳士、桂正和、岸本斉史、松本大洋、望月峯太郎 村田蓮爾、弐瓶勉、貞本義行、士郎正宗、田島昭宇、高野文子、竹谷隆之、谷口ジロー 寺田克也、浦沢直樹、吉田戦車とマンガ家からイラストレーター、キャラクターデザイナーと幅広く、ジャンルも様々だ。B4サイズ168ページというボリュームで、価格は5,000円(税別)である。"

 フランスの「アングレーム国際漫画祭」にて展示される大友克洋のトリヴュート展について情報をまとめる。まず冒頭のリンクは、講談社で出版される日本版図録。
 そして「アニメ!アニメ!」のサイトには日本人の参加作家の紹介がある。
 全員で80名の作家が参加しているということだが、そのうちの日本人が上記引用。
 次に「アングレーム国際漫画祭」の展示会場風景とフランスを中心にした海外作家の紹介。

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【展覧会】TRIBUTE TO OTOMO 大友克洋オマージュ展
- アングレーム国際漫画フェスティバル 日本語ブログ【公認】

"参加作家リスト

Virginie Augustin, Bannister, Dominique Bertail, Matthieu Bonhomme, Aleksi Briclot, Francesco Cattani, Lorenzo Ceccotti, Merwan Chabane, Olivier Coipel, Luigi Critone, Simone D’Armini, Ludovic Debeurme, Benoît Feroumont, Manuele Fior, Juan Gimenez, Joël Jurion, Jean-Philippe Kalonji, Viktor Kalvachev, Nicolas Keramidas, 金政基(キム・ジョン・ギ ), Olivier Ledroit, Stéphane Levallois, Li-An, Liberatore, Julien Loïs, Vincent Mallié, Dilraj Mann, Stan Manoukian, Thierry Martin, Laureline Mattiussi, Hugues Micol, Timothée Montaigne, Nicolas Némiri, Vincent Perriot, Gloria Pizzilli, Victor Santos, Stan Sakaï, Otto Schmidt, Guillaume Singelin, 谷口ジロー, Lucio Villani, Vince

展覧会の図録『TRIBUTE TO OTOMO』シリアルナンバー入り限定999部、表紙は大友克洋による描き下ろしイラスト(27.5 x 32cm、88ページ、29ユーロ)がフランス版『AKIRA』発行元のグレナ社が出版、同社が運営するパリのギャラリー Galerie Glénat で2月2日から販売。 なお、出品イラストは6月8日〜28日、パリ・Galerie Glénat で展示・販売される予定。"

 図録はシリアルナンバー入りの999部限定版と普及版があるようだ。
 限定版はパリのギャラリーでの販売のみのようであるが、詳細はGalerie Glénat公式サイトあたりで探してみるしかないです。フランス語なので私はお手上げ(^^;;)。

 次に引用したのは、展示会の様子を紹介した公式動画。
 これは日本でもぜひ開催して欲しいものです。
 

FIBD2016 - Hommage à Katsuhiro Otomo - YouTube

 現時点でネットで観られるトリビュート作品は以下のギャラリーの絵画販売サイト(今は購入できないようです)と、Google画像検索で確認ください。
Votre recherche pour otomo - Galerie Glénat
 グレナギャラリー 絵画検索「OTOMO」。

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TRIBUTE TO OTOMO - Google 検索
 なかなか興味深い絵があります。

『TRIBUTE TO OTOMO』(Amazon)
 1/27の発売は、Amazonでも扱いがあります。

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2017.01.16

■感想 黒沢清監督『クリーピー 偽りの隣人』


黒沢清監督『クリーピー 偽りの隣人』予告編 - YouTube

 黒沢清監督『クリーピー 偽りの隣人』ブルーレイ初見。
 日本のどこにでもある住宅街を舞台に、黒沢節が炸裂し、異常な不安感に満ちた映像描写が素晴らしい。

 ストーリー運びやキャラクタのセリフの不自然さ等、通常の作品批評の文脈で観ると荒く感じる部分がいろいろとある。しかし黒沢が描きたいのは恐らくそんなものでは決してない。この作品が描きたいのは冒頭で述べた異常な不安感を、映像として写し込み、映画館の観客を異次元に運ぶことだけである。そのために必然的にいびつに描かれる物語とキャラクターと映像演出、そして音楽。

 主要人物を描写する、その背景にいるエキストラの動きに顕著だけれど、隅々までその不安感を観客の無意識に対して叩き込むような映像描写になっている。照明と風とカメラの視点移動。恐ろしくスクリーンの奥から響いてくる音楽と音響。

 精神的に歪んだ隣人を中心にして、人間のいびつさをこれでもかと描くテーマの映画で、映像と音響が最大限の効果を発揮する様が見事にこのブルーレイに焼き付けられている。

 従来、安易な映像批評は、文学に対して映画は目の前に固定した画像を提示してしまうために、文学の想像力に及ばない、と言ってしまうことがある。だけれども文学が直接的に文字で表現する心象を、映画はこうした映像と音響で観客の想像力に委ねる比率が高いため、容易に文学を凌駕する場合がある。

 この黒沢映画は、まさにそんな一本である。

◆関連リンク
・当ブログ記事 黒沢清 関連 検索

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2017.01.11

■感想 瀬下寛之総監督 安藤裕章監督『亜人』


TVシリーズ「亜人」第2クール番宣CM(angela×fripSide) - YouTube

 瀬下寛之総監督 安藤裕章監督『亜人』第2クール、終わりましたね。素晴らしい緊迫感溢れるシリーズでした。

 第1クールが亜人の生態と永井と佐藤の非人間性を中心に描いたのに対して、今回は日本(米国),永井 VS 佐藤の戦いに集約して虚々実々の肉弾戦兵器戦を見事に描ききってました。

 クライマックスの盛上りも秀逸で、第3クールへの引きも充分。毎週テレビでこれだけの迫力を注入されると、このシリーズのない日常はアドレナリンが足りず耐えられません(あの音楽は麻薬的)(^^;)。

 今日、桜井画門の原作漫画8,9巻を読んだのだけれど、テレビシリーズの方が、物語演出ともに相当上を行っている感じ。攻めと守りの頭脳戦とその規模の拡大でアニメ版のスケールが凄い。

 加えて大友克洋似の桜井漫画描写も良いのですが、ポリゴンピクチャーズの作画が素晴らしい。亜人という非人間を描くテーマに、セルルック3Dアニメのリアルな人体描写と少しだけ自然でない動きが見事にマッチしている。
 作画のレベルで考えると、2D手描き作画の沖浦啓之、本田雄といったスーパーアニメーターと呼ばれる方々の硬質な人物の動きに少し近いような気がする。それがコンスタンスに作成されているこの手法の今後の発展に期待です。

 来年はこのスタッフ+脚本虚淵玄による『GODZILLA』の登場。見逃せません。

◆関連リンク
CGプロダクション向けフィニッシングセミナー~ポリゴン・ピクチュアズ 『亜人』メイキング、FlameとSmokeでクオリティアップ~ | Meet the Experts オートデスク ウェビナー | AREA JAPAN

"2016 年 9 月 2 日(金)に開催した「CGプロダクション向けフィニッシングセミナー~ポリゴン・ピクチュアズ 『亜人』メイキング、FlameとSmokeでクオリティアップ~」をオンデマンド配信でご覧いただけます。

CGプロダクションの皆様向けに、ポリゴン・ピクチュアズ ショット部エディットグループのクリエーターの方をお招きして、Autodesk Smokeを活用したアニメ『亜人』のメイキングについてご紹介します。
12 月 15 日(木)までの限定配信となりますので、お早めのアクセスをお願いします。 皆様のご視聴を心よりお待ちしております。"

大ヒット公開中『亜人 -衝動-』FXスーパーバイザー秋山知広氏による3DCG<エフェクト×Houdini>メイキングセミナーを開催|デジタルハリウッド株式会社のプレスリリース.

"■秋山 知広氏/FXスーパーバイザー (デジタルハリウッド[専門スクール]卒業生) 1979年生まれ。ポリゴン・ピクチュアズ所属。2006年よりFXグループリーダーとしてチームを束ねながら、エフェクトスーパーバイザーとして多くの映画、TV、ゲーム映像などの案件に関わる。 代表作は「ストリートファイターⅣ」「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0」「Tron: Uprising」など。 最新作の 劇場アニメ3部作 第1部『亜人 –衝動-』では、形状が常に変化し続ける特殊なキャラクター<IBM>のアセット開発と、Houdiniパイプライン開発を担当した。"

Shotgun がプロジェクトを救う:第6回:国内導入事例を徹底取材 Case3:ポリゴン・ピクチュアズ 〜インハウスツールをShotgunへつなぎ、大量データの一元管理と二次利用を実現〜 | 連載 | CGWORLD.jp.

"TVシリーズのような大型プロジェクトは、膨大な量の情報やデータを扱います。1エピソードの平均ショットが300として、1期12話でショット数は3,600、アセットも何千という数にのぼります。それらを管理するため、SVとPMたちが各々の立場で工夫を重ねてきたので、多種多様な使い方、見え方のGoogleスプレッドシートが生まれました。"

CGWORLD (シージーワールド) 2015年 12月号 vol.208 (特集:アニメ『亜人』、達人たちのコンポジットワーク) | |本 | 通販 | Amazon.

"第1特集 アニメ『亜人』 11月より劇場3部作の第1部が公開、また来年1月よりTVシリーズの放映も予定されている一大アニメプロジェクト『亜人』。 決して死ぬことのない亜人と人類との戦い、亜人のもつ特殊な能力「IBM」の表現など映像化は困難と言われていた本作のアニメ化に、『シドニアの騎士』シリーズで国産アニメCGの新たな可能性を示したポリゴン・ピクチュアズ(PPI)が挑む。 Direction&Production Design 企画・演出・プロダクションデザイン Production Pipeline プロダクションパイプライン Part 1 キャラクターデザイン Part 2 ストーリーリール Part 3 アニメーション Part 4 エフェクト Part 5 背景"

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2017.01.09

■情報 簡単パノラマVR写真 | Entapano VR

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魚眼レンズ一体型カメラ Entapano 2| Entaniya

"Entapano 2はシャッターボタン1つで水平視野250°の超広角な魚眼写真を撮影できるカメラです。 たった一枚の写真で目に入る全ての景色を写すことができます。

Entapano 2で撮影した写真は「Entapano VR」に登録すると グルグルと動かせる臨場感たっぷりのパノラマ写真として楽しめます。 パノラマ変換サービスのEntapano VRは無料でご利用いただけます"

 VR写真を1ショットで撮れるカメラ Entapano 2 のモニタ品を株式会社インタニヤさんからお借りしたので、その使い心地と撮影したVR写真をご紹介します。

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Entapano VR butfilp(究極映像研究所)
 こちらに僕が撮影したVR写真が掲載されています。

 現時点、近所の飛騨木曽川国定公園で手頃に撮影してきた試し画像だけなので、以下のように川の岩場という地味な画像ばかりですが、この点はご容赦ください(^^;)。将来的にはいつもこのブログで紹介しているような、美術展(主に立体造形物)とか建築物を撮って、掲載していきたいと思っています。

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 まずはVR写真の撮り方。
 サンプル提供いただいたカメラEntapano2で撮影した画像は、PCで読み込むと以上のように魚眼レンズにより円形のものになっています。

 Entapano VRのサイトでアカウントを登録すると(メアドのみで無料で設定可能)、上の写真をVRサイトにアップロード可能。その際に自動的にVR画像に変換してくれます。そのVR画像は以下。

 この写真は、マウスで操作すると周辺画像が見渡すことができます。
 スマホでアクセスすれば、スマホを持つ角度を変えるだけであたかも周囲を見回している感覚で画像が動きます。もちろんそのスマホをヘッドマウントセットに装着すれば、頭の向きを変えただけで周囲を見回すことが可能。

 これだけ簡易的にVR写真が撮れると今後のVRの可能性が広がりそうです。インスタグラムのような交流サイトでVR写真がやりとりされるようになると、SNSとしての臨場感が上がり、よりコミニュケーションが進むような気がします。

 ただ、自分の興味で書くと、、、今は撮れるのは2D写真のみ。僕はもともと立体写真が好きなので、いずれ近い将来、このような簡易的な方法で立体3D VR写真(もしくは動画)が撮れるようになるのを期待したいと思います。

 最後になりましたが、モニタ品貸し出しでお世話になった株式会社インタニヤの皆様に感謝したいと思います。どうもありがとうございました。次回はもう少しVRとして見栄えのする写真を撮ってきたいと思いますので、まずはご容赦ください。

◆関連リンク
簡単パノラマVR写真でPR | Entapano VR モニタ募集 200名までとのことです。まだ現時点では受け付けられていますので、興味ある方はリンク先で詳細確認を。
ENTANIYA コンパクトデジタルカメラ 超広角魚眼レンズ一体型カメラ Entapano 2(Amazon) こちらでカメラが発売されています。

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2017.01.05

■新年ご挨拶 映像悦楽共犯者

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 新年あけましておめでとうございます。

 本年も皆さんと映像の「悦楽共犯者」として楽しんでいきたいと思いますので、よろしくお願いします(^^)。

 本業が忙しくなってきて、昨年後半から、更新頻度が週一に落ちていますが、なんとか週二に復活したいと思っていますが、、、どうなりますやら(^^)。

 Facebook(奇映輝名義)ではブログ記事の卵(情報の元ネタ)を、週二以上は発信しているので、情報量は今までのブログ記事より薄いですがそのまま転載して記事数を維持することも考えたいかなw、と。

 待望のヤン・シュヴァンクマイエル新作は、今年でなく来年の予定ですが、とにかく完成に至って頂きたいものです。その前に今年は『ツイン・ピークス』新シリーズ(前作デイヴィッド・リンチが監督!!)があるので、そのあたりで盛り上がれたらいいなあと思ってます。

◆関連リンク 当ブログ記事
・情報 ヤン・シュヴァンクマイエル監督『蟲』ファーストテザー & クラウドファウンディング Jan Švankmajer - Insects 2018 first teaser & Cloud Faunding

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2016.12.28

■情報 デビッド・クローネンバーグ長編小説「Consumed(原題)」

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デビッド・クローネンバーグ監督が作家デビュー 処女小説の予告動画を公開 : 映画ニュース - 映画.com

"320ページの長編小説「Consumed(原題)」は、出版社の公式シノプシスによれば、「ソーシャルメディアの時代を背景に、恋人同士でありライバルでもあるジャーナリストの男と女が、あるフランス人哲学者の死を契機に、グローバルな陰謀のなかへと超現実的な旅に出る」というストーリー。 一方、予告編は、小説の登場人物のひとりであるブダペストの無免許医Dr.モルナーの視点から撮られた映像で、両胸をあらわにした若い女が、体のなかに虫がいるので乳房を切除してほしいと訴えるという内容になっている。"

 前回の記事で紹介したブルータス誌「危険な読書」特集で滝本誠氏が紹介されていたクローネンバーグ監督の処女小説「Consumed(原題)」。これらの記事によると、なかなかぶっ飛んだ内容の様です。
 以下リンクが、その予告篇映像。
 なかなかショッキングな映像であるため、視聴は御注意ください。


David Cronenberg: Consumed - YouTube

滝本誠氏のTwitterつぶやき

"クローネンバーグの小説『CONSUMED』、どうも東京情報が正確すぎるような気が。まるでS情報他、柳下毅一郎さんが基礎データを送信したかのような印象。"

 ますます興味深い。早く翻訳が実現し、日本語で読める日が来ることを祈りたいと思います。どうしても我慢できない方は、kindle版がすぐ入手できるので、以下リンクをご利用ください。

◆関連リンク
デヴィッド・クローネンバーグ - Wikipedia.を見ると長篇映画は『マップ・トゥ・ザ・スターズ Maps to the Stars 』(2014年)以降、予定されていない様だ。
David Cronenberg- CONSUMED presentation - YouTube
A tale of sex, technology, and murder: David Cronenberg's first novel "Consumed" - YouTube
 インタビュー。
David Cronenberg Reads From Consumed - YouTube
 クローネンバーグによる朗読。
David Cronenberg『Consumed』
 Amazon.co.jpでKindle版と洋書、購入できる様です。
William Hurt朗読CD David Cronenberg『Consumed』
 こちらもAmazon.co.jpで購入可。

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2016.12.26

■情報 ブルータス (BRUTUS) 「危険な読書」

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危険な読書 - Brutus No. 838
ブルータス (BRUTUS) マガジンワールド

" ただ共感を得られることを目的とせず、当たり前に思っていた価値観を崩壊させ、考え方やモノの見方を一変させる。そんなこころ揺さぶる「危険な読書」体験、してみたいと思いませんか?
 文筆家、小説家、書評家、詩人、ミュージシャンなどが、小説、エッセイ、ルポタージュとフィクション・ノンフィクションとりまぜて、一冊まるごと「危険な読書」について語り尽くすします。“日本で最も危険な作家”、筒井康隆の特別インタビューも。あなたの人生変えちゃうかもしれない1冊に出会えます。"

 ブルータス「危険な読書」特集。
 滝本誠×荒俣宏対談「10代で読んでおきたい異常本」おどろおどろしさ満点(^^)。
 滝本さんが中学時代に夏休みの宿題として書いたというハードボイルド『黒いバラのエネルギー』、クローネンバーグが2014年に発表した第1小説『CONSUMED』、読んでみたいものです。

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 そのほか、筒井康隆のインタビューほか、興味深い記事が満載。
 今から、読みます。

◆関連記事
危険な読書 - From Editors No. 838 フロム エディターズ | ブルータス (BRUTUS) マガジンワールド

"数年前に演劇関係の古書を多く取り扱う神保町の矢口書店にて滝本誠さんの処女評論「映画の乳首、絵画の腓(こむら)」を発掘し氏の小誌連載(「cafe noir」)を担当していることもあって取り寄せたのですがこれがタイトルに偽りなく、はたして異常な本でした。滝本さんはとりわけ狂気やインモラルをはらむ危険なアーティストや作品を取り上げ、映画、芸術、文芸、音楽といったジャンルを縦横無尽に飛び越えてはそれらの題材をあいまいな記憶でつなぎとめたかのような魔術的な原稿が魅力となっております。「映画の乳首〜」に描かれたほの暗さや淫靡めいた異常世界を後ろめたい気分で読みながら思ったものです、本はこうでなきゃ。"

 滝本誠氏はブルータス編集部のOBです。映像評論集『映画の乳首、絵画の腓(こむら)』、最高です。

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2016.12.19

■感想 ギャレス・エドワーズ監督『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』"Rogue One / Star Wars Story"


STAR WARS ROGUE ONE Final Trailer (with Darth Vader) - YouTube.

 ギャレス・エドワーズ監督『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』、IMAX 3D 前から2番目席@109シネマズ名古屋。初週の土曜18:40回、客は5割の入りでおっさんが多いw。大ヒットは厳しい雰囲気か(^^;)。

 まず総論。素晴らしいスピンオフでありプリクエル。
 前半少しすっきりしない展開だけど、とにかくクライマックスとラストで全て払拭されて、感嘆にむせびます(^^;)。
 クライマックスの宇宙戦闘シーンはシリーズ中、もしかして最長か?
 3D効果が最大限発揮されていて見事な迫力でした。今回の3Dは2D-3D変換でクレジットはステレオDで日本人の青木洋一郎氏も担当されているようだ。

 正直、前半とか人物シーンは元々の映像があまり3Dを意識した画面設計ではなかった気がして3Dとしてイマイチだったが、クライマックスの戦闘は素晴らしかった。Xウィングというのは3D素材として見栄えがしますね。そして艦隊戦から地上の基地を見下ろすカットとか、3Dによる空間の見せ方と奥行き感が素晴らしいものでした。(3Dマニアとしての欲を言うと、もっと画面手前に戦闘機とか爆煙が迫ってくる演出があってもいいかと。没入していくような3Dの撮り方ができるはずで、それにより驚異の宇宙戦シーンというのは、ぜひ映画で一度観てみたいものです。)

 それにしてもルーカスの先進性には改めて感嘆します。ほぼ40年前の作品のデザインを多用しても現代的な映像が撮れてしまうのが凄い。特に帝国軍のスター・デストロイヤーとか共和国軍の戦艦のデザイン。白を多用したシンプルな全体の形態に、巨大感を演出するデティールの表現。Xウィングはさすがに古い感じを否めないが、戦艦、タイファイター、デススター等、全く古びない素晴らしいビジュアルだと思う。

 加えて今回、自分のお気に入りはアンドロイドのK-2SO。 多くの観客が彼のファンとなったことでしょう。ちょっとシニカルなコメディリリーフが最高でした。
 劇場で後ろの席にいた白人2人組は笑い転げてました。
 目玉(?)が動いて視線から表情が生まれているのが素晴らしいです。C3POとは違うこの眼の表現がとても秀逸で、存在感に大きく貢献してました。
 で、顔が浦沢直樹 『プルートゥ』ブラウ1589に似てると思ったのは僕だけかw。


『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』セレブレーション特別映像 - YouTube
 メイキングを観ると、ブルーバックだけでなく、スクリーンプロセスを使っているのですね。確かにこの方が演者の臨場感は上がりますね。




★★★★★★以下、ネタバレ注意★★★★★★★★


 以前も一度書いたかもしれないけれど、僕は『エピソード4』初見時、実は映画のビジュアルは凄いと思ったけれど、ストーリーはもっとハードでクールな戦争映画を期待していたので、物足りなさを覚えていた。

 今回のスピンオフは、スカイウォーカー家から視点が離れたことで、必ずしもハッピーエンドで後につなぐ縛りがなくなり、ストーリーをハードに、主要登場人物たちの全員の死を前提に物語を組み立て得るため、ジェダイに憧れてフォースを持つことがなかった市井の名もなき戦士たちの悲劇の表現が可能になり、もしかしたら僕が観たかったリアルでハードにスターウォーズになっていたのかもしれない。
 もともとのこのスピンオフのコンセプトはきっとそれだったのではないかと思う。

 でも、そこで悔やまれるのは、前半。
 人物のつながり方を、『エピソード7』くらい見事に描き、感情の積み上げが丁寧だったら、このコンセプトで描かれるクライマックスがもっと素晴らしくなっていたのではないだろうか。

 ドニー・イェンの演じるチアルート・イムウェとチアン・ウェンのベイズ・マルバスのコンビで描かれたフォースを持たざるもののフォース描写。
 ムービーウォッチメン「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」でライムスター宇多丸氏が評したこの二人はドンキホーテとサンチョパンサであるという卓見。すでに消えたジェダイの騎士を信じるチアルート。そして最後には自分もフォースを唱えながら死んでいくベイズ。
 この二人がこの映画ももう一組の主役であろう。
 ジェダイなきあとの帝国の圧政に耐える市井の戦士。前半で中途半端だったこの二人の描写がもっと具体的なエピソードでうまくここらのフォースへの希望をうまく描いてあったら、このクライマックスがもっと感動的になっていたのではないだろうか。
 本来この映画が持っていたそうしたコンセプトが今後のスピンオフ版の骨格になり、さらに素晴らしい傑作が生まれてくることを祈らずにはいられません。

◆関連リンク
[鍋潤太郎のハリウッドVFX最前線]Vol.48 青木洋一郎氏に聞く、映画「GODZILLA ゴジラ」における2D-3D変換と、ハリウッドにおける最新動向 - PRONEWS

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2016.12.05

■感想 プレイステーションによるヴァーチャル・リアリティ体験 PlayStation®VR

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 プレイステーションVRをソニーショップの体験会で予約して、発売日の10/13に購入しました。しばらくいろいろなコンテンツを試してみたので感想簡単にまとめてみます。僕の結論は、最後まで読んで頂ければ分かりますが、臨場感は相当に興味深いけれど、今一歩映像の高精細の飛躍がほしい。少し残念ではありますが買うのは待った方が良いかな、というものです。ソニーの野心的な試みには大拍手なのですが、VRの普遍的な普及のためにはさらなる進化を期待したいと思います。

『シン・ゴジラ』スペシャルデモコンテンツ for PlayStation®VR(PS4) | 公式PlayStation®Store 日本.

"実際の映画用に製作された3DCGデータを使用し、史上最大となる全長118.5mのフルCGゴジラが目の前に迫るという、PS VRでしか味わえないリアリティあふれる究極のゴジラ体験を味わうことができます。その恐怖と臨場感は、ファンならずとも必見です"

 まず何はなくともこのコンテンツが最大の期待作でした。少しややこしいセットアップを終えて、最初に試したのが『シン・ゴジラ』が我が家に現れるこのコンテンツ(なんと無料)。

 まずソフトを立ち上げると自分が東京駅丸の内口に移動。頭上を巨大な尻尾が通り過ぎ、ゴジラが東から東京駅を回り込み、東京駅の駅舎 右手にその全体像を現わします。そして右から、大きな足音とコントローラの振動とともに今度は自分の位置へ向かっシン・ゴジラが進撃。
 途中自衛隊の戦闘ヘリが頭上を飛び、シン・ゴジラに対して攻撃を加える。
 そして最後は、、、、(一応、ネタバレは回避しておきます)。

 東京駅周辺の光景が360°全周に存在し、自分の頭の動きとともにその立体視の世界の見え方を変え、リアルなステレオサウンドと振動が迫力を持って、そこにいるシン・ゴジラの臨場感を提供している。凄まじい経験、と言いたかったところだが、残念ながら現実にはグラフィックが映画とは大きく違い、データが荒く、とてもフォトリアルと言えるような完成度ではない。残念ながらプレステ4のスペックではここが限界なのかもしれない。

 それは解像度の1920×1080(左右の目それぞれに960×RGB×1080の映像を表示)がひとつの原因だろう。そしてもう一つは左右の眼球の前に置かれたレンズによる中心と周囲のピントのずれ。
 まず片目の解像度がフルハイビジョン1920×1080ピクセルより低いことで、よく見ると画素が荒く見えてフォトリアルを損ねている。さらにレンズの歪みで視野角のピントが眼の位置で甘いところがあり、違和感が残る。

 これによりせっかくの映画のシン・ゴジラのリアリティには程遠い、いわゆるゲーム的な映像となってしまっている。全篇が数分と短いことも相まって期待していたのにいささか残念な出来であった。

 シン・ゴジラファンにおいては、このコンテンツ観たさにPS VRを手に入れようとする向きもあるかもしれないが、何とか知り合いに持っている人を探して体験させてもらうのが得策であろう(あくまでも個人の見解です)。

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NORTHERN LIGHTS -極北の夜空に輝く光の物語-(PS4) | 公式PlayStation®Store 日本.

"2015年3月、稀にみる大規模な磁気嵐が各地に美しいオーロラをもたらしました。 今回の撮影の為に開発された高解像度撮影システム「MAKIBISHI」により、オーロラだけでなく夕暮れの美しい空や星々まで、まるで現地で空を見上げている感覚をお楽しみいただけます。"

 次に観たのが、このオーロラのVR。
 定点設置されたカメラからの映像であるが、全天周をオーロラが駆け巡る雄大さはなかなか。ただしここでも前述の解像度等が影響して、相当の臨場感は得られているが、本当にその場にいるほどの錯覚には残念ながら今一歩。

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THE PLAYROOM VR(PS4) | 公式PlayStation®Store 日本.

"「モンスターエスケープ」 でヒーローになって巨大な怪獣と対戦!「キャット&マウス」でチーズをかけてバトル!「ゴーストハウス」で協力してお化けを退治!「ロボットレスキュー」でレスキューミッションに参加!「ウォンテッド」で無法者と対決!小さなVRボット達もあなたがやってくるのを待ち望んでいます!さあ、楽しいVRの世界へ行ってみよう!"

 こちらは戯画化されたキャラクターによるコミック調CGのゲーム。
 解像度の違和感は、コミカルなゲームキャラであることでほとんど気にならない。
 特に面白かったのは、右上の引用画「モンスターエスケープ」。自分がこの緑の怪獣になり、簡易化されたビル等の街の中を歩き回って、破壊の限りを尽くす。
 インターフェースは自分の頭の動きで、体を大きく動かして、ビルに体当たりして破壊する臨場感がなかなか。

 本来なら、自分がフォトリアルなシン・ゴジラになって、リアルな自衛隊と戦うことも可能なはずで、ついそうしたものを期待してしまう。しかしこのグラフィクスでも体の動きが伴うことで、この臨場感が得られるのであれば、解像度が両目ごとフルハイビジョンになり、レンズの歪みがなくなり、映画同等のリアルなCG計算が可能になる未来(ムーアの法則から考えるとあと2-3年かw)には、素晴らしくリアルなVRが現実化するのは間違いないだろう。


Penrose Studios - Allumette Trailer - YouTube
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(公式HP)
Allumette(PS4) | 公式PlayStation®Store 日本

"雲上にある街に住む少女の物語。 悲劇に遭いながらも、望みを失わない彼女。ハンス・C・アンデルセンによる「マッチ売りの少女」にインスパイアされ、Allumetteは母娘の織りなす献身的な愛を綴っています。"

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INVASION!(PS4) | 公式PlayStation®Store 日本.

"『マダガスカル』のエリック・ダーネル監督、イーサン・ホークがナレーションを務めた『インベージョン!』は、ヴァーチャル・リアリティ用の色彩美あふれるアニメーション作品。地球征服を企むエイリアンの二人組が地球に到着。邪魔者は容赦なく排除する勢いだが、彼らの目の前に現れたのはとっても可愛い白ウサギたち。皆さんは、なんとそのうちの一匹としてお話に参加!何が起こるか体験しよう!ウサギになった自分の体をチェックするのをお忘れなく!"

 この二つは、いずれもコミック調CGで描かれたキャラクターが、全周スクリーンを使って目の前で演じる短編CG映画といった作品。
 違いは立体で全周360°において、自分の頭の動きでその短編映画をいろんな視点で眺めることができるところ。
 近寄れば大きく見えるし、回り込むと陰になっているところも観ることができる。

 特にキャラクターが視野によって立体感を持ってどこからでも観えることで(裏からは無理だがw)、まるでそこに人形があるように感じられるところが素晴らしい。

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 自分がCG世界の住人になったようで、思わず手を伸ばして触りたくなる雰囲気。
 もしこれがパペットアニメなら、まさにそこに人形がいるように感じられるだろう。特に人形アニメーションのような雰囲気を狙ったAllumetteは、まるで自分の部屋に、人形アニメーションスタジオが現れたような立体感があり、素晴らしい。

 案外ゲームより、こうしたインタラクティブな映画作品の方が、VRに向いているのではないか、と将来の可能性を垣間見せてくれるような体験である。

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DRIVECLUB™ VR(PS4) | 公式PlayStation®Store 日本.

"世界の超高級マシンに乗って白熱したレースバトルが楽しめる人気レースゲーム「DRIVECLUB™」がパワーアップしてPlayStation®VR専用タイトルとして登場!"

 これはドライビングゲームのVR。デモゲームのみ試してみたが、もともとドライブゲーム不得意なのであっちこっちにぶつけて視点がグラグラ。で、まさにひどいVR酔いになってしまった。

 他のソフトでも実は少し長い時間(20分くらい)続けると、VR酔いがやってきた。
 特に頭の動きと視界がずれているという感覚ではなく、プレステVRのレンズによる映像の歪みが原因のような気がする。
 自分が眼鏡をかけて、その上にプレステVRを被るからかもしれないが、プレステVRのレンズと自分の眼鏡による複合的なピントのずれが酔いの原因かもしれない。時々頭が痛くなる感じがどうにも辛かった。

 ゲーム好きで動きに慣れている人、眼鏡をかけず肉眼でゲームをできる人は、問題ないかもしれないが、これが耐えられないような気がして、買ってから結局週に15分くらいチョコチョコ見ているだけなのでこれは手放した方が良いかな、と思っている。
 次の各眼フルハイビジョン、レンズの歪みが(眼鏡の人にも合うように)補正されてからのヴァージョンで本格的に導入した方が良いのではないかと考えている。(今なら中古でオークションに出しても定価近くで手放せそうなので、、、)。

メディアプレーヤー(PS4) | 公式PlayStation®Store 日本.

"メディアプレーヤーは、メディアサーバーやUSBストレージ機器のビデオや音楽を再生や画像の表示のためのアプリケーションです。ライブラリをブラウズできるほか、BGM再生の機能も搭載しています。PlayStation®VRを使うと、360度全天球カメラなどで撮影したビデオ/フォトを表示できます。また、DSEE HX™によりハイレゾ相当の高音質で再生されます。現在、次のコンテナおよびコーデックに対応しています。ビデオ: MP4、MP2TS、MP2PS、MKV (H.264)、AVI (MPEG-4 part 2 および H.264) オーディオ: MP3、AAC、FLAC 画像: JPEG、PNG"

 もうひとつ今回期待を裏切られてたのがこのメディアプレイアー。
 なんとブルーレイ3Dの立体視再生ができないのだ。ただの2Dヘッドマウントディスプレイとしてしか働かない。将来的にはソフトのアップデートでなんとかなるかもしれないが、これができないのは寂しい。
 と、HMDとしても解像度が荒いために、映画を観るには残念ながらフルハイビジョン画質でないため、画素が荒く観え、映画観賞用としてはイマイチ、なのも映画ファン的に残念な点である。

 ソニーには3DハンディカムHDR-TD10の3.5inch液晶で実現した2562×480=123万ドットの素晴らしい高精彩ディスプレイがあったのだから、今回の5.7インチサイズでも微小な画素は可能なはずなので、是非早急にPS VRの高精細化版を出して欲しいもの。でないと、このVRブームも一大市場のゲーム界で普及せず3Dハンディカム同様にブームが去り、廃れてしまう危険がある。なんとかして下さいソニーさん。

◆関連リンク
PlayStation®VR | 公式PlayStation®Store 日本
 こちらにVRコンテンツの紹介ページがあります。
PlayStation VR (PSVR)のスペック「解像度:1920 x RGB x 1080」の『RGB』って何なの? | PSVR情報局

"PlayStation VRでは1920 x 1080ピクセルすべてにRGBの画素(サブピクセル)が配置されたディスプレイを採用しています。 これはPlayStation VRのこだわり。 これを正式にスペックとして書き表すために「解像度:1920 x RGB x 1080」という表記が使われている、というわけです。 PlayStation VRがより快適で、高精細で、VR酔いしにくく、没入感が高い体験が得られる理由がここにあります。"

【PSVR】物語から離れたくなくなる傑作VRアニメ『Allumette』 娘と母に訪れた悲劇、そして愛を描く | Mogura VR - 国内外のVR最新情報

・当Blog関連記事
 凄い! 3Dハンディカム HDR-TD10 裸眼3D対応 3.5型高解像度液晶モニター

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2016.11.28

■感想 片渕須直監督『この世界の片隅に』


映画『この世界の片隅に』予告編 HD - YouTube
この世界の片隅に - Wikipedia

" 片渕自身がこの作品のアニメーション映画を企画し、こうのに許諾を請う手紙と自作『マイマイ新子と千年の魔法』のDVDを送った。
 こうのは1996年に放送された片渕のテレビアニメ『名犬ラッシー』にあこがれ、「こういう人になりたい、こういうものが作りたいと思う前途にともる灯」として捉えていたため、この手紙を喜び枕の下にしいて寝たという"

 片渕須直監督『この世界の片隅に』を名古屋伏見ミリオン座で観た。
 まず第一に、冒頭のことりんごの主題歌が出てくるシーンの素晴らしさ。息を飲むような素晴らしい空のシーンにまずじんわりと映画全体がそこに結晶したような感覚を(冒頭なのに)何故か覚えたのは僕だけだろうか。

 そしてそれに続く本篇のアニメーション表現の何と豊かなことか。
 冒頭の化け物の背追い駕篭から、座敷わらし。空襲のリアリティとファンタシー。衝撃的な場面の心象を前面に出したようなアニメーション映像。

 音響設計と相まって、映画を芳醇にする、まさに魅せる映像になっている。
 こうの史代の原作も、ロ紅で描いたり、左手で描いたりしたそうだが、映画の心象を見事に表現した、アニメーションの柔軟な描写が活きている。

 片渕須直監督と、そして監督補・画面構成を担当された浦谷千恵さんのアニメーション表現が存分に発揮されたみごとな映像。
 アンドウの頃からの活動を会誌で少し知っていたので、このお二人のアニメーションの結実がなんとも素晴らしく感動です(^^)。

 淡々とそしてユーモラスに描かれる日常のリアル。
 絵を描くシーンも日常の家事も、いずれも主人公すずの手作業を丹念に追い、そこに息づく人間のぬくもりを伝えてくる。ホワッとしたすずの人柄がなんとも微笑ましい。
 そして呉という街の独特の雰囲気と、その日常描写があいまって、映画は戦時中の人々の生活をリアルに描き出している。

 そうした人の手の作業を前半で描き、それに退避して描かれる後半の痛ましい現実。積み上げた日常を破壊する戦争という過酷な現実の表現として、ほわっとしたすずのあるシーンでの慟哭が強く胸を撃つ。

 戦争と市井の人間を描いた素晴らしい傑作。多くの人に観てほしいアニメーション映画です。

◆蛇足 岩井俊二監督『リップヴァンウィンクルの花嫁』との関連
 この映画を観て、僕は今年観た『リップヴァンウィンクルの花嫁』を何故か強く思い出していた。主人公 皆川七海の浮遊感と、状況への巻き込まれ感がきっとその原因なのだろうと思う。

 描いている時代もテーマも大きく違うが、ここにもうひとつの現代の『この世界の片隅に』が存在しているような気がする。いささか強引だけれど、描かれている人の気持ちはとても似ている。こうした市井の心象の丹念なスケッチは、日本映画の見事な堆積物の賜物のような気がするのは僕だけだろうか。

◆関連リンク
・当ブログ記事 ■感想 岩井俊二監督『リップヴァンウィンクルの花嫁』: Bride wedding scores for rip van winkle

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2016.11.21

■動画 ピーター・ジャクソン監督とギレルモ・デル・トロ監督の映画関連コレクション


Adam Savage Tours Peter Jackson's Movie Prop Collection! - YouTube
本物のHAL 9000が! ピーター・ジャクソン監督の隠れ家を訪問|ギズモード・ジャパン

"映画『ロード・オブ・ザ・リング』三部作と『ホビット』三部作が代表的なピーター・ジャクソン監督もまた、途方もないコレクションを誇るオタクな人物のようです。 今回は、そんな監督の隠れ家にお邪魔してみるとしましょう。"

Photo Gallery: Peter Jackson's Movie Prop Collection - Tested
 こちらにピーター・ジャクソンの宝物殿、この"魔窟"wの写真144点が掲載されています。

 どこまでがフィギュアで、どこからが撮影用の本物か、よくはわかりませんが、以下のような錚々たるアイテムが並んでいます。

 『2001年 宇宙の旅』HAL9000のカメラアイ、『スターウォーズ』イウォーク、『ジュラシックパーク』ヴェロキラプトル、『ゴーストバスターズ』プロップ類、『エイリアンズ』クィーン・エイリアン、『サンダーバード』1, 2号、『ナイトメアビフォークリスマス』『ジャイアントピーチ』主要キャラクタ達、『ターミネーター2』液体金属ターミネーター等々。

 素晴らしいコレクション。ピーター・ジャクソンを形作った物がここに集積されている感じ。まるで彼の脳内空間を覗き込むような、ワクワクする空間が映し出されています。もっと長い映像レポートを見てみたいものです。


Andy Visits Guillermo Del Toro's Bleak House - CONAN on TBS - YouTube
映画ファンには夢の国のようなギレルモ・デル・トロの家を訪問|ギズモード・ジャパン

"L.A.郊外のサン・フェルナンド・ヴァリーに建つこの家は、デル・トロ・コレクションを展示した「ブリーク・ハウス」と名付けられ、表には看板も出ているほど有名。玄関に入ると頭上には巨大なフランケンシュタインの顔が飾られており、いきなり来訪客のド肝を抜きます。"

映画ファンには夢の国のようなギレルモ・デル・トロの家を訪問|ギズモード・ジャパン.

"なお、この「ブリーク・ハウス」から約500点ものコレクションや、監督が描いた資料などが展示される「ギレルモ・デル・トロ:アット・ホーム・ウィズ・モンスターズ」展が、ロサンゼルス・カウンティ美術館にて2016年8月1日~11月27日に開催されます。"

 そしてこちらはもう一方の雄、デル・トロ監督のコレクション。
 こちらはアメリカで展示会が開催されているとか。ぜひ日本にもこうした企画を持ってきてほしいものです。

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2016.11.14

■情報 『シン・ゴジラ』VFX / CG StealthWorks 米岡馨氏/ 特撮班美術 三池敏夫氏

StealthWorksFXReel_2016 from StealthWorks LLC on Vimeo

thinkingParticles 6によるシン・ゴジラのVFX / StealthWorks CEO 米岡馨氏 « TMSサポート

" 私は9年日本のVFX業界で働き「ファイナルファンタジーXIII」や「SPACE BATTLESHIP ヤマト」等の作品に加わりました。その後ベルリンのPIXOMONDOで 「レッド・テイルズ」、 「センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島」、「ゲーム・オブ・スローンズ シーズン2」 、「スター・トレック イントゥ・ダークネス」等に参加した後、バンクーバーのスキャンラインに移り「アイアンマン3」、「300 帝国の進撃」、「ポンペイ」、「カリフォルニア・ダウン」の初期のR&D等に参加しました。

 今のところ主に日本でですが、「Evangelion Another Impact」「ガメラ50周年記念ムービー」「シン・ゴジラ」「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」等の大きなタイトルに参加出来ました。

「ヤシオリ作戦」はゴジラを凝固剤で凍結させるミッションで、StealthWorksはゴジラに直撃させ転倒させるために7個のビルを倒壊させるシーケンスを担当しました。これ程までのスケールの大きい破壊エフェクトは今までの日本のVFXにはありませんでした。このシーンの構成要素は非常に大きいもので、TPのキャッシュは43個あって計520GBの容量がありました。また18個のFumeFXのグリッドがありそれは3.3TBまで達しました。"

『シン・ゴジラ』が見せる特撮のこれまでとこれから
 『シン・ゴジラ』で特撮班美術を担当した美術デザイナー、三池敏夫さん
PART1
 PART2

"「技術的には、日本でもできます。『シン・ゴジラ』のヤシオリ作戦の高層ビルの倒壊は全部CGです。合成素材は現場でも撮っていますが、ビルの破片が飛ぶとか、煙もほぼCGです。CGで全部やるのは可能ではあるけれど、日本映画の制約の中でCG班が全部やるのは大変なことです」

「出来上がりの理想の画は見えていても、与えられた条件の中でそこに行きつく保証は何もないわけです。ミニチュアだったら、その場にある画はできているわけですから、最低限の保証があります。ミニチュアを超えるCGができればどんどん入れ替えるかもしれませんが、タイトなスケジュールで何百カットも仕上げる保険としては、最低限現場で撮った画があれば成立します。全部CGだったら、スタート時点では白紙からのスタートになるから、いいものになると保証できる人は誰もいません」"

 長文になりましたが、興味深い『シン・ゴジラ』のVFXについて、CGを担当されたStealthWorks 米岡馨氏と、ミニチュア担当 特撮班美術 三池敏夫氏のインタビュー記事。
 まずハリウッドのレベルに追いつき/追い越したと感じられた「ヤシオリ作戦」のビル破壊CGシーン。まさに米岡氏がハリウッド大作で経験された蓄積が、庵野秀明/樋口真嗣/尾上克郎各氏と日本スタッフと融合して生まれた名シーンであったことがわかる。

 三池敏夫氏は、CGはどこまで完成度を上げられるか、時間との勝負となる際にリスクが大きな課題になる、ということを語られている。ミニチュア特撮に関しては、どちらかというと今後は衰退する方向で、技術の温存を特撮アーカイブで物と制作の両面で維持していく必要性が述べられている。

 特撮ファン、ミニチュアシーンにワクワクしてきたファンとしては残念な気分になるがこれも時代の趨勢で致し方ないことかもしれない。

Shirogumi x StealthWorks Shin Godzilla DestructionReel from StealthWorks LLC on Vimeo.

『シン・ゴジラ』が見せる特撮のこれまでとこれから
 『シン・ゴジラ』で特撮班美術を担当した美術デザイナー、三池敏夫さん
PART1

"たとえば、手前に街燈とか街路樹があって、その奥に家とか雑居ビルが広がり一番奥にゴジラが立っている画を想像してください。すべてをひとつの画面に収めたい時はどうするか。

「それぞれの大きさを変えます。怪獣映画の基本は25分の1ですが、画面手前の街燈なんかは10分の1とか15分の1で大きく作ります。小さいものをカメラに近づけようとするとぼやけてしまうので、カメラからの距離は、被写界深度(ピントが合っているように見える被写体側の距離の範囲)を考えると、なるべく離します。カメラからは離れているけれども画面では大きく見せる必要があります。ライトをいっぱい当てて絞り込むというのが特撮の基本です」"

 特撮が培ってきた映像表現の工夫がここで述べられている。
 これはミニチュアシーンについての発言だと思うが、僕が知りたかったのは、こうした特撮のノウハウがCGシーンにも適用されたかどうか。
 CGワールドで街全体を精緻にモデル化すれば、リアルな破壊シーンはできるだろう。しかしそこにこうしたミニチュア特撮の工夫点を適用したらどうなるか。

 CGデータ作成の節約と、ある部分円谷英二等により蓄積された映像のダイナミズムを生み出す工夫がCGワールドでも縦横無尽に映像に迫力をもたらす方向に活躍するような気がするのだけれど、、、。

 ネッドで見ててもあまりそうしたところは触れられていないが、今度出る予定の『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』でそうしたミニチュア技術によるCGの活性化みたいなところが述べられているのを楽しみにしています。

◆関連リンク
Kei Yoneoka(StealthWorks) "Evangelion Another Impact" DestructionFX Reel - 米岡馨氏によるアニメーター見本市公開のリアルエヴァ作品破壊エフェクトリール
カラー、東宝, 庵野秀明『ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ』

当Blog関連記事
■感想(2) 「館長庵野秀明 特撮博物館」 ミニチュア特撮の未来
 CGと特撮技術の融合について、以前書いた記事です。

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2016.11.09

■情報 "DAVID LYNCH meets HOSOO"展 デイヴィッド・リンチと西陣織のコラボ展

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DAVID LYNCH meets HOSOO | GYRE OMOTESANDO

"The Multistory World 多層的世界 meets The Multilayered World 重層的世界

「螺旋状の夢_ 夢見るように目覚める」

鬼才映画監督デヴィッド・リンチの描写する多層的世界_The Multistory World が、西陣織十二代目の細尾真孝の9,000本の糸によって紡ぎ出す重層的世界_The Multilayered Worldと出会って構成される本展。

デヴィッド・リンチの絵画作品「SPIRAL」のイメージと世界観を、
細尾真孝がハイパーテクノロジー化した西陣織の技術を駆使して解析するなど、実験的最先端のクリエイティビティとデジタル技術によって再生、および日本の伝統が融合した、未だかつて見たこともなかった体験をぜひGYREで。

デヴィッド・リンチからEYE OF GYREへのメッセージ                 
「螺旋は上昇・下降を繰り返す円環である。
この螺旋は、私にとって進化を表象する円環なのである」 

会期 : 2016年10月7日(金) – 11月13日(日)
会場 : EYE OF GYRE / GYRE 3F
時間 : 11:00〜20:00
キュレーション:ART DYNAMICS  
会場デザイン :武松幸治+EPA
監修: 飯田高誉 ・ 生駒芳子"

 気づくのが遅れて、既に会期は〜11/13までの残すところ一週間あまりですが、東京でデイヴィッド・リンチと西陣織のコラボ展示が開催されています。
 冒頭の絵画がリンチによるもので、それにインスパイアされた西陣織の細尾真孝氏による作品が合せて展示されているようです。


Background of DAVID LYNCH meets HOSOO - YouTube

 こちらも関係動画ですが、どういう位置づけか、よくはわかりません(^^;)。

◆関連リンク
株式会社 細尾

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2016.11.07

■感想 六本木アートナイト2016 名和晃平作品 & ダリ展 @ 国立新美術館

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THEME | 六本木アートナイト2016
 ダリ展の前に、六本木ヒルズと国立新美術館に展示されている「六本木アートナイト2016」の名和晃平作品を観てきた。
 作品は名和の作品としては、球面を活かした樹脂成形の作品。
 まず上のヒルズB2階に展示された大鹿を象った造形「White Deer」と球体の塔「Ether」。
 昼間の光のもとの写真と夜間のライトアップ。
 それぞれの佇まいが都市の中に自然が混入し、素晴らしい情景を作っている。

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 そして次に国立新美術館前に作られた、これも球面で構成された名和作品。
 人と奇妙な台車をイメージしたような作品。
 国立新美術館に展示されたダリ作品と呼応するように、その球面による軟体な作品がゴツゴツした岩の中で異彩を放っている。

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 こちらも昼の情景とライトアップ。
 ライトアップは写真にあるように下から暖色系のライトで照らされ、夜空の寒色とで作品を重層的に魅せている。
 これらは3Dハンディカムで立体映像として撮ってきたので、いつかどこかで紹介したいと思う。いつも書いているが、これらの立体造形作品は、3Dによる立体映像こそが(実物作品を除けば)記録媒体での作品表現に適している。艶かしい作品の立体の魅力をいつか3Dブルーレイで、究極映像研映像記録として配布したいものです。

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◆ダリ展 | 国立新美術館

 ガラスの球面に覆われた斬新な建築の国立新美術館に展示されたダリ作品、高校の時に図書館でシュルレアリスム好きの友人から見せてもらったダリの図録で触れて以来、ずっと観たかったサルバドール・ダリの作品を初めて生で観ることができた。
 以下、印象的な作品について、簡単なコメントです。リンクをクリックするとネット上にある作品写真を見ることができます。

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「巻髪の少女」
 展示はダリの少年時代からスタート、そしてこの作品は22歳の時の作品。
 まず冒頭で印象的だった作品。後ろ姿の少女の巻髪と、肉感的な尻と足の絵画。デフォルメされた人間の筋肉を思わせる足と体の形状が力強く描かれている。展示された作品ではここから鮮やかな色が使われていて、ダリらしさを印象付けた。
「姿の見えない眠る人、馬、獅子」
 獅子と人の融合。シュールレアリズムのダリへの注入。
「皿のない二つの目玉焼きを背に乗せ、ポルトガルパンのかけらを犯そうとしている平凡なフランスパン」
 これはタイトルによるイメージ喚起が強烈で、それと実際の絵とのギャップに絵の前で考え込んだ一枚。目玉焼きを背にしたフランスパンの前で10分(^^;)。
「エミリオ・テリーの肖像」
 岡本太郎のような男の前の、不思議な黒いオブジェの乗る机。男の視線と机の上の奇妙な立体造形がまるで観客に彫像作品を擬似的に見せているように印象的。
「謎めいた要素のある風景」
 謎めいた要素のある風景。黒い溶けた巨人と白い球体。そして手前にヨハネス・フェルメール「絵画芸術」のような絵を描く画家の後ろ姿。黒い溶けた巨人のような形態は、まさに怪獣映画にも導入可能w。こうしたシュルレアリスムの映像作品への転用は今はそれほど多くないが、映像としての可能性の戦端を開くにはもっと造形として援用されてもいいのではないか、とか思いながら見ていた。
「アンダルシアの犬」(映像作品)
 そのシュルレアリスムの映像への援用の代表作。ピアノの上に牛の死骸二体。3人の男を引きずる欲望の男と蟻。このイメージは映画に素晴らしい奥行きを与えていると思う。現在のリアリズムに寄った幻想映画はもっと想像力の羽をこうしたイマジネーションの世界に飛ばしてもいいのではないだろうか。
「ガラの晩餐」
 これは書籍として刊行されたもの。数々のサイケデリックな料理を中心とした絵が素晴らしい。まさにヤン・シュヴァンクマイエルを直撃しただろうFoodたち。
「ドンキホーテ」挿絵
 とてもダイナミックなイラスト群。特にXの文字を大きく描いたドンキホーテと雲のような巨人の絵(リンク先参照)。なんと荒々しいパワーに満ちた作品。簡単しかありません。
「ポルト・リガトの聖母」
 福岡美術館所蔵の巨大な絵画。特に中心付近の高精彩が凄い。フォトリアルなダリのシュルレアリスムの真骨頂。圧倒的な迫力にしばし脚が動きませんでした。
「ニューヨーク万国博覧会のためのパヴィリオン」制作中のダリの工房写真
 ヴィーナスの夢のオブジェ制作現場。人魚やマネキンが妖しく佇む空間。こんなアーティストが想像力を羽ばたかせた万博展示が観たくてたまらなくなった。


New York World's Fair 1939 part 1 - YouTube
 ニューヨーク万博展示。その一部映像がありました。1'00"あたり。このパビリオンは行ってみたかった!! 

◆関連リンク
SANDWICH(名和晃平公式)

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2016.10.31

■レポート 「大都市に迫る 空想脅威展」

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大都市に迫る 空想脅威展

"2016年9月24日(土)〜2016年11月13日(日)
東京シティビューラウンジ@六本木ヒルズ
戦後、日本独自の文化として盛り上がってきた特撮作品。作品内では、空想上の怪獣や怪人たちが幾度となく都市を襲ってきました。映画やドラマで人々の平和を脅かした空想上の怪獣や怪人たち(=空想脅威)と都市との関係を、撮影で使用されたセットや模型とともに振り返ります。通常一般非公開の森ビル株式会社の縮尺1/1000の都市模型が登場し、怪獣が壊してきた首都・東京のスポットを模型とともにご覧いただくことが出来ます。"

 東京へダリ展と合せて、「大都市に迫る 空想脅威展」を観てきました。写真を中心にレポートします。

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 ヒルズ前、パリ出身のアメリカの彫刻家ルイーズ・ブルジョアによる彫刻「ママン」が「空想脅威展」にぴったりで雰囲気を高める。

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 初めて登ったヒルズ52階シティビューラウンジから見下ろした光景と展示のファーストパネル。この東京全体を見下ろせる場所で観る東京が空想上で進撃された脅威の記録。なかなか素晴らしい立地である。

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 まず入り口で迎えてくれるのは、『ガメラ 大怪獣空中決戦』の東京タワー上のギャオス。高さ2mほどの精巧なタワーの模型とギャオスの鉄骨で作られた巣がリアル。

Img_5651side 森ビルの都市模型。
 『巨神兵東京に現わる』にも登場した精巧な都市模型の実物を観られて、なかなかの感動。

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 東京が襲われた歴史を紹介するパネルと都市のミニチュア。
 この都市部分は、3Dハンディカムで撮影し、ミニチュアの立体造形を家に持ち帰りました(^^;)。

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 そして登場するガメラの彫像。
 ゴジラというよりは、昭和ガメラで育った僕には、左の素朴なガメラも素晴らしく特撮のクオリァを想起されます。リアルな平成ガメラは細部まで気迫がこもり迫真の迫力でした。

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 展示されていた樋口真嗣特技監督の平成ガメラ内部図解スケッチが興味深い。

" 「アトランティス人の作った生体融合炉」「炉心容器として甲羅を持った巨大爬虫類の化石を使ったらしいぞ」「全身を循環する冷却液は"緑色の液体"だ‼︎」「制御棒(石板)」「プラズマチェンバー エネルギーを圧縮する」。"

 まるでシン・ゴジラの兄弟だ!(^^)

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 次のコーナーは、永井豪『デビルマン』。
 ここは漫画映像と都市の競演。できればデーモン一族を造形で見せて欲しかったと言ったら、欲張りすぎだろうか。

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 こちらも圧巻の森ビル都市模型。ミニチュア東京を襲うガメラも豊洲市場はお気に召さない様子。

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 そして最終展示コーナーはこちらのレギオンとイリス。実際に撮影に使われた着ぐるみらしい。記憶していたより鋭角的なデザインだったんですね。イリスは電飾もあり、生物というよりメカ的なイメージが強い感じ。

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 展示会場から外へ出たところで、特撮図書ライブラリーと軽食コーナー。

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 図書とフィギュアがなかなか充実していて、こちらも楽しめます。
 そして昼ごはん食べてなかったので、お約束のガメラバーガー、何故かチキンのバーガーでした。亀の味はチキン?(^^)

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 そしてこの軽食コーナーから観た国立新美術館の端正な景勝。
 次はここで開催されているダリ展へ向かいます(来週の更新になりそうです)。

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2016.10.19

■感想 岩井俊二監督『リップヴァンウィンクルの花嫁』: Bride wedding scores for rip van winkle


映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』予告編2 - YouTube

"岩井俊二監督最新作 「リップヴァンウィンクルの花嫁」
http://rvw-bride.com/
監督・脚本 岩井俊二
出演 黒木華 綾野剛 Cocco 他
制作プロダクション ロックウェルアイズ

 岩井俊二監督『リップヴァンウィンクルの花嫁』DVD初見。
 「リップヴァンウィンクル」を冠したタイトルは、この映画の前半の虚ろなフィクションに彩られた人々の物語と、生命という現実に直面したある登場人物がクライマックスで望んで観た最大限の"夢"、そしてそれに触れて少しだけ現実に帰ってきた主人公の、まさに夢の物語を表している。

 前半のネット描写と結婚式で虚ろに描かれる虚構の描写が鋭く現在を描いている。ほやっ〜と夢見るように揺蕩う黒木華がそんな虚構の中で、綾野剛演じる何でも屋の男"ランバラル"の友人こと安室行舛(あむろ ゆきますw)が誘う悲劇に落ち、雨の中を歩くシーンが素晴らしい。このまま観客はどこまで連れられていってしまうのか、どん底の不安に包まれる前半。

 後半、謎の女優 里中真白が現れ現実が一転、二人がピアノバーで森田童子「ぼくたちの失敗」と荒井由実「何もなかったように」を歌うシーンの暗闇の中の鈍い輝きは鮮烈。

 クライマックスの夢と現実、リリィが演じた母親と綾野剛が取る行動。悲劇映画の中のこれだけ奇異な喜劇の超現実的な光景も他にはないだろう。
 そんなシーンで描かれた本映画の着地点。これはどんな他の映画も描けていない現実のちょっとだけの希望を観客に見せてくれた。岩井監督がずっと描き続ける現在の姿から、まだ当分我々は眼を離せません。


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2016.10.17

■感想 『この世界に生きている – 加藤泉 × 陳飛 : LIVING IN FIGURES IZUMI KATO × CHEN FEI』展

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この世界に生きている – 加藤泉 × 陳飛

"2016.9/18-12/18 @富山県入善町 発電所美術館

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加藤泉は、独自のプリミティブな形象をもつ「人」をモチーフに、油彩画と、木やソフトビニールを素材とした彫刻を制作しています。加藤の手から生み出される、胎児や民俗彫刻を思わせる「人」は、時に植物や地と交わり、根源的な生命感を放ちます。平面と立体を行き来する中で表現が磨かれ、迫力やユーモア、愛らしさなどさまざまな表情を見せる存在となっています。

日本で初の発表となる陳飛は、大学で映画を学んだ経験をもとに、物語的な情景や意味ありげなシーンなどを絵画で活写。人間の業を見つめ、時にユーモアも交えて表現しています。それはあたかも一人で創作できる映画のよう。一人っ子政策後に生まれ、欧米や日本の資本主義社会や文化の影響を受け、自国との間で問題意識を抱えながら新しい表現を模索する「ポスト1980年代」の作家です。改革開放後の急激な近代化の中で生まれ育ってきた世代の葛藤を、重層的に描写しています。

本展で、加藤は新作の絵画と3メートルを超える大型彫刻などおおよそ12点、陳飛は大作の新作絵画と彫刻1点を含む約12点の作品を展示します。"

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 カナザワ映画祭の前に、お隣の富山県に立ち寄り、これも念願だった富山の発電所美術館に行きました。

 もちろん御目当ては、加藤泉さんの木造彫刻と絵画。あの土俗的な雰囲気に痺れているBPですので、カナザワ映画祭の時期に、ちょうどこの展覧会開催を見つけた時は、とても嬉しかったので勇んで行きました。

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 発電所の遺跡に佇む加藤泉さんの彫刻、まさに異世界がそこに現れた様な空間が素晴らしい。上の写真は、まさに発電所の発電機と操作パネルの前に展示された木製の彫像とソフトビニール製フィギュア。
 操作パネルのアナログなメカ感とプリミティブな造形の奇妙なコラボレーション。

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 日本の特撮は、その生まれに数々の美術家が参加され、キュヴィズムやシュルレアリスムとの親和性が高いのだけれど、それを刷り込まれている我々世代には、このアートと発電所のメカ感の融合は素晴らしく興奮させるヴィジュアルになっています。

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 富山の融雪の水を讃える山々から流れ着いた水流による発電。その跡地が広い空間の展示スペースになっているこの独特の美術館空間で観る加藤泉作品の魅力は格別です。上の写真の穴は上流から水を通していた穴を効果的に使った展示ビュー。穴の中へ入って眺めた情景も素晴らしいものがあります。

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 そしてコラボ展となっている中国人アーティスト 陳飛の作品。これも発電所の水流のパイプの中を使った展示で右の女性フィギュアを置くなど、空間を利用した展示も魅力的です。

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 陳飛さんは大学で映画を学んでいたとのことで、絵画作品には各種の映画を思わせるビジュアルに親近感を持ちます。
 右の女性の腕には、「FIRE WALK WITH ME」とリンチファン、ツイン・ピークスファンを喜ばせる刺青が。

 富山県入善町の発電所美術館、他に類を見ない独特の展示空間で美術館好きとしてはその展示室だけでなく、建築を見るのも楽しく見所の多い施設です。

 ひとつ残念なことに駅から遠く、バス等の公共交通機関がなく徒歩(1時間以上かかりそう)か、タクシー(15分くらい)で行くしかないため、注意が必要です。自家用車もしくはレンタカー,レンタサイクルをオススメします。

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2016.10.12

■感想 イリヤ・ナイシュラー監督 『ハードコア・ヘンリー : Hard core henry』日本プレミアム爆音上映@カナザワ映画祭


First Look at 'HARDCORE' - The World's First Action P.O.V. Film - YouTube
完全にFPSな映画『Hardcore Henry』、4月8日米国公開 | EAA!! - FPS News.

"舞台はモスクワ、主人公のヘンリーは死から蘇ったサイボーグだ。ヘンリーは、彼の妻であり創造主でもあるエステールを、テレキネシスを操る暴君“アカン”と彼が雇った傭兵達の魔の手から救わなければいけない。唯一の頼みの綱となる相棒ジミーと共に壮絶な1日を乗り越え、ヘンリーは妻を救うことが出来るのだろうか。"

 FPS : First Person Shooting , POV : Point of View Shotと言われる一人称視点カメラで映画全篇を描いたロシア映画 イリヤ・ナイシュラー監督の 『ハードコア・ヘンリー』をカナザワ映画祭での日本プレミアム爆音上映で観てきた。

 会場に少し遅れて入ったので、一番前、しかも右スピーカの前という爆裂な環境。
 映画はとにかくシャープなアクションでガンガン進む。正にキレキレの映像とはこのこと。凄い勢いで、状況に巻き込まれて、アレヨアレヨと巻き込まれ、主人公同様に観客もヨレヨレになる。

 とにかく爆音も含めて、アドレナリン全開。
 映画としてはハードアクションであり、超能力サイバーパンクもの。
 主要キャラクタであるジミーの設定が素晴らしい。ネタバレになるので詳しくは書かないが、とにかくぶっ飛んだサイバーパンク設定に痺れる。
 最初の登場シーン、浮浪者の姿で現れたジミー。息つく間も突然現れるキラキラ光る鏡男とその火炎放射器の対決。その後も姿を変えて現れる遠隔操縦サイバー男ジミー。なんともパンクでPOV VRな存在を考えたものだ。

 単なるPOV大アクションと思いきや、さにあらず。このジミーと主人公の設定で優れたPOVサイバーパンクになっている。そして一人称映像で観客にも仕掛けられるサイキック暴君"アカン"の存在。

 一部『AKIRA』ばりのテレキネシス戦も見せながら、爆音の砲撃の音が観客に突き刺さり、クールな音楽の挿入もあいまって観客の没入感は沸点へ。

 アクション映画『アドレナリン』へのリスペクトや、様々なアクション映画パロディ、アイデアをこれぞとばかりに投入した殺戮シーン。とにかく飽きさせず楽しめる大エンターテインメントになっているので、血液沸騰映画を観たい向きには大いにお薦めです(^^)。

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 この映画を撮ったのがこのカメラとカメラリグ。
 搭載されているカメラは、GoProと思われる。このようなレイアウトなら、日本映画でも手作りでこうした撮影器具は作成可能かもしれない。
 この写真からはカメラが平行に2台搭載され、ステレオに成っているように見えるが今回の映画は2D。いずれこうしたカメラで、POV & 3Dのこの映画を超えるようなものが出てくるかもしれない。
 さらには、この360度カメラ版が作られ(すでにあるでしょう)、VRヘッドセットを使って、観客の任意の視点で全篇を描くような、完全没入型劇映画も出来てくるかもしれない。そんな近未来の斬新な映画に期待です。


映画『ハードコア・ヘンリー』日本版予告編 - YouTube

◆関連リンク
FPS視点で話題沸騰のアクション作「ハードコア」17年4月に日本上陸! : 映画ニュース - 映画.com.

"「ハードコア」は、17年4月1日から東京・新宿バルト9ほか全国で公開。"

 日本公開(邦題は何故か「ハードコア」)はまだ先の来年4/1のようです。
How Hardcore Henry’s POV shots were made | fxguide
Inside the World's First POV Action Movie: 'Everybody Has To Be Awake or Somebody Could Die'
 メイキングについては、これらページに詳しい。
FPS映画「ハードコア・ヘンリー」の内容を60秒にまとめたアニメ | EAA!! - FPS News

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2016.10.10

■感想 岩切一空監督『花に嵐』 と 「期待の新人監督2016」@カナザワ映画祭 


PFFアワード2016入選作品 『花に嵐』予告編 - YouTube

期待の新人監督2016 - カナザワ映画祭2016|かなざわ映画の会

"9/25(日) 12:45〜 一般公募自主映画の中から選ばれた3作品を上映し、最優秀作品としてカナザワ映画祭期待の新人監督賞、観客投票で選ばれる観客賞、そして出演俳優賞を選ぶ。
・太田慶 監督・脚本・編集『狂える世界のためのレクイエム』(15年/88min)
・大野大輔 監督・脚本・主演『さいなら、BAD SAMURAI』(16年/61min)
・岩切一空 監督・脚本・撮影・編集・主演『花に嵐』(15年/76min)
審査員 黒澤清、ダンカン、柳下毅一郎、小野寺生哉委員長(カナザワ映画祭)"

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期待の新人監督2016 受賞結果発表 - 目標毎日更新 カナザワ映画祭主宰者のメモ帳

"期待の新人監督賞 『さいなら、BAD SAMURAI』
観客賞 『花に嵐』
出演俳優賞 里々花(『花に嵐』)"

 カナザワ映画祭の期待の新人監督の三本を観た。応募された60本からこの日、候補作3本が上映され、観客の投票による観客賞と審査員による出演俳優賞、期待の新人監督賞が決定された。

 以下、上映順に僕の感想です。

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 まず『狂える世界のためのレクイエム』、映画をめぐるサスペンス&メタフィクション。女優 東亜優が素晴らしい。その眼の演技が男たちをテロリストとして先導していく役にぴったり。テロリスト3人の個性も良かったし、小宮孝泰による撮らない映画監督によるラストのメタフィクションも、好きな作品になりました。

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 『さいなら、BAD SAMURAI』、黒沢清が講師を務める映画美学校出身の大野監督作品。正に監督紹介に書かれている通り「呪われた映画監督」。これも自主映画を巡る制作の苦労の物語なのだけれど、その道筋の混沌。同人誌を作っているシネフィルが途中登場しおちょくられるシーン、なかなかの爆笑でした。(こんなブログをやってると自戒自戒(^^;))

◆岩切一空監督『花に嵐』

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 早稲田大学公認自主映画サークル「稲門シナリオ研究会」出身の岩切一空監督『花に嵐』大学映研の日常を描くPOVとしてスタートしたドキュメンタリーが、見事に伏線を回収してフィクションに転化して昇華していく傑作。

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 予告篇の映像は映画のシーンを右左に2分割して短いカットを繋いであるけれど、そこから切り出した映像で簡単に映画のイメージを紹介してみたいと思う。(予告篇のイメージは必ずしも本篇とは合っていなく、この予告篇そのものの映像性を狙ったものになっている)

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 まず映画冒頭、上の画像のように、砂浜を撮り空が写り込んだ海面を天地逆にして表現している。ここに不安を掻き立てる、学生時代を思い出すようなモノローグがかぶり、映画のトーンを予告する。映像的に新しい何かを観せてくれる予感も合わせて表現していて秀逸。 

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 映画は大学構内、春の新入生サークル勧誘から始まる。
 POVで描かれた、キャンパスや学生サークルの部屋、そして新歓飲み会の描写はごく自然。新人がサークルのハイビジョンカメラで日常を切り取っていく体を取っている。

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 学生たちの日常としか思えない自然な描写にジワジワと忍び寄るフィクションのディーテール。日常描写として違和感があったシーン(ex. 広報写真に使われているコインロッカー前のシーン等)も見事に伏線として回収されていくテンポのいい展開。

 そして、まさかの空撮(ドローンを調達できず風船20個にカメラぶら下げたとか)による映画的ショック。

 みずみずしい感性としっかりしたストーリーの縦糸を持つ映画の構造はまさに岩井俊二の初期作を思い出させるレベル。けどその感性は21世紀の新しい今。

 僕の知ってる自主映画、特に学生映研を舞台にしたものは、映画づくりへの情熱と、あの年代特有の鮮烈で新鮮な感性が結実したような映画が傑作として記憶されているのだけれど、この映画はそうした感覚を持った上で、エンターテインメントとしての結構とサスペンス、そして映画的な映像の快感を持った傑作だと思う。

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 上映後のツイートでこの映画を観た人から、劇場で一般公開できるレベルと複数書き込まれているのを見たけれど、まさにそんな映画。

 岩切一空監督のこれからの作品も大いに期待です。 主演賞に選ばれた里々花の活躍も楽しみ。

◆関連リンク
花に嵐(青山シアター)
 有料ですが、ネットで全篇上映中!
PFFアワード2016『花に嵐』|第38回PFF

"= 今後の上映スケジュール =    
京 都 会場 】 2016年10月31日(月) 16:40~ @京都シネマ
   ※同時上映『おーい、大石』『山村てれび氏』    
【 神 戸 会場 】2016年11月5日(土) 16:00~ @神戸アートビレッジセンター
   ※同時上映『おーい、大石』『山村てれび氏』    
【名古屋 会場】 2016年11月11日(金) 18:30~ @愛知芸術センター
   ※同時上映『回転(サイクリング)』『シジフォスの地獄』"

PFFでの映画紹介ページ

"[2016年/76分/カラー] 監督・脚本・撮影・編集:岩切一空/録音:石川領一 出演:岩切一空、里々花、小池ありさ、篠田 竜、半田美樹、不破 要、吉田憲明"

岩切一空 関連 YouTube
岩切監督twitter , "i" tumblr (岩切監督tumblr)
りりかtwitter , ririka(公式HP)

◆「期待の新人監督2016」審査員コメント

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 3人の審査員からのコメントのメモです。

・ダンカン

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 昔の自主映画は何だったんだろう、と言う位、みんな本格的。
 『さいなら、BAD SAMURAI』の主役、大野さんは友達になりたくないタイプ、イライラ感がつのる(笑)。
 たけし監督の『監督バンザイ』も酷かった。自分が楽しめるのが大切。覚醒剤と同じ、映画続けるか、人間やめるか(笑)。

 岩切監督はいい芝居だった。POVでうつっている以上の芝居を想像させる。
 りりかさんは絵が持つ女優、オーラがあった。最優秀俳優はりりかさん。

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・柳下毅一郎 観客賞 岩切監督『花に嵐』言うまでもなく。観てて面白かった。まさに映画に祝福されている。それに対して『さいなら、BAD SAMURAI』の大野監督は映画に呪われている。祝福と呪いなら呪いは一生。『さいなら、BAD SAMURAI』の方が強いと思う。
 『狂える世界のためのレクイエム』は、やはりあのストーリーなら、本当にテロをやるのが映画。もう一歩踏み越えて欲しかった。

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・黒沢清
 3本とも映画を巡る物語で、皆んな青春を描いている。8mmを撮ってたのに大して格段の進歩。
 やはり青春を若い人は撮ってしまう。そして映画に、呪いか祝福か捕らわれてしまう。
 『狂える世界のためのレクイエム』映画を撮ることと女性。後半から映画を撮ることに集中。
 まず撮ることからはじまるが、気持ちよくフィクションにつないでいく。
 期待の新人監督賞『さいなら、BAD SAMURAI』は、映画を撮ることのせつなさを感じた。

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・大野監督挨拶
 映画作ってて良かった。大きなスクリーンで上映され幸せな瞬間。審査員の3人の方に観てもらい恐縮の限り。次作はガラリと雰囲気を変えて『ア二一ホ―ル』みたいな新作を撮りたい(会場 笑)。

◆関連リンク
カナザワ映画祭2016 期待の新人監督審査員講評 - 目標毎日更新 カナザワ映画祭主宰者のメモ帳 公式な審査員講評はこちらをご覧下さい。

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2016.10.07

■レポート クリスピン・グローヴァーかく語りき No.2 @カナザワ映画祭2016 ”What is it?.”上映後トークショー

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”What is it?.”上映後 Q&Aとトークショウ
 カナザワ映画祭2016 9/25(日) ”What is it?”上映の後の、クリスピン・グローヴァートークショーについてレポートします。

 前回のレポート同様、こちらも通訳を務められた特殊翻訳家 柳下毅一郎による言葉をその場でメモさせて頂きました。早いスピードで語られるクリスピン/柳下氏の言葉を聞き違えている所もあると思うので文責はBP@究極映像研です。

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 このトークは、映画が21:00に終了し、その後、延々3時間あまりに渡ってクリスピンが精力的に語り続けたものである。実は僕はメモ取っていたこともあり、23:30頃にギブアップしてホテルへ帰りました。ので、最後までのレポートでないこと、最初にお断りしておきます。3時間実施されたというのは、twitterで得た情報で確かな終了時間は不明です。さらに実際はトークショー後もサイン会が深夜まで続けられたようで、凄いタフなイベントでした。
 遅くまで対応されたスタッフと柳下毅一郎に、貴重な機会をいただき感謝したいと思います。

 今回は、”It is Fine! EVERYTHING IS FINE.”上映後のトークショーと異なり、Q&Aからスタートしたのだが、語りたくてたまらないクリスピーにより、ほとんど質問は無視した話が続き、最後に申し訳程度にAが語られるという顛末に、、、。

◆ハンディキャプの人の映画出演について
質問「ダウン症の人について、いろいろ自分も考えたが、どう思っているか?」

 彼らはダウン症の役をやっているのでない。
 ハンディキャップの人は、もっと映画に出てもよい。彼らで表現が広がる可能性あるのに他の映画で出ていないのは残念。
 (”It is Fine! EVERYTHING IS FINE.”の映画の予告篇上映)
 スティーブンは重い障害を負っている。別な物を啓発しようとした。

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 自分の心理的反応を描いた。商業映画30年の、不快な物を排除しようという圧力が働いている。観客、こんなものが映画になっていていいかと、観客のタブーに触れることを目指した。

 こうした映画の描写が心に問いかける。もともとエデュケーショナルという言葉は、自分の問いを内側に問うていくこと。商業映画はそれをなくしてる。
 ”It is Fine! EVERYTHING IS FINE.”スティーブンの出演第2作は、まさにタブーを扱っている。内容は全く違うが、同じ問いかけをしている。

(ここからスティーブンの養老院、殺人ミステリTVの話。前回のトークショーレポ参照)

◆映画技術の”進化"について
質問「カナザワ映画祭は今年で終わり、ロキシー劇場も50年の歴史を閉じる。カナザワ映画祭をどう思うか?観客とカナザワの街について何か思うところがあればコメントを。」

 "What is it?”は、9年間かかって完成し、2005年にサンダンスでプレミアム上映した。
 以来11年世界中をツアーしている。その間のテクノロジーの進化は凄い。でも35mmはとても優れた技術だと思う。
 映画にニューデジタルテクノロジーが入ってきている。デジタルが35mmを置き換える。しかしデジタルで安くなるというのは嘘である。
 フォトカムというフィルムの管理所に、例えば"What is it?”のDCPはいくらかかるかと聞いたら1万ドル。35mmフィルムを焼くのと同じ値段。

 プリント持って回っているので独立系劇場の映写技師、オーナーと話す。往々にして彼らは35mmのコレクターである。2005-10年でDCPが義務化され、デジタル上映のため劇場に数千ドルの費用負担が課せられた。これがないと、新作が配給されない。大きな劇場はその予算なんともないが、独立系オーナーは、ポップコーン代で何とか劇場を維持していて、5、6干ドルの投資はとても大きい。
 またDCPは投影システムに付属するPCのアップデートのため、数年ごとに入れ替要。35mmは百年間一緒だった。デジタルのシステムは大会社と子会社が儲ける仕組みに組み込まれている。

 これは映画と関係ない様にみえるが、大きく関係している話。
 映画のシステムは芸術の一部のはずが、会社の商業に支配され、間違った方向へ進んでる。

◆映画を支配するプロパガンダ
 (クリスピンがスマホで検索し確認しながら)1928年、エドワード・バーネイズプロパガンダという言葉を英語で初めて使った。
 バーネイズはフロイトの甥。フロイトをアメリカヘ呼んだ。メディアが無意識をコントロールしていると言った人。民主主義、知識による操作、見えない政府、支配する力。

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 今年、アメリカの政治が大資本のコントロール下にあることに民衆は気づいた。民主党のバーニー・サンダース候補が訴えた。"What is it ?"も大資本の支配を訴えたものである。サンダースによってなされた様な民衆の動きはとても嬉しい。

 1984年『バックトゥザフェーチャー』に出演したが、疑問がありシリーズの2,3には出なかった。あの映画はプロバイダと近い。第1作のオーディションでエージェントと相談。2つの役、2人の父を一人の役として演じるということで、これは良い役と思い受けた。
 マイケル・J・フォックスの役は最初5週間、別の役者で撮っていたが、役者を変えることになった。同じシーンとりなおした。
 脚本もらってから監督のゼメキスと相談した。最初の脚本と映画のラストが変わっている。

 最初の脚本ではマクフライファミリーはお金持ちになり、黒人の召使いを雇うとなっていた。ゼメキスに意見した。これだと観客の好感が落ちる。私だけでなく他の人も疑問を言ったのだろう、ラストはビフが召使いになるものに変わった。映画としてその方が良かった。
 ただそれでも納得いかなかった。この映画はお金が主役になっている。最終目標はお金を儲ければ成功だと刷り込もうとしてるようにみえる。ゼメキスにもそう話したが、彼は怒っていた。君は変な映画好きだからネ、それで『ユーズドカー』は売れなかった、と。俺は金持ちに成りたい、とゼメキスは言っていた。

 怒ったのは彼もわかっていたからだろう。お金は映画を作り宣伝するメジャーにとって良いもの。リーマンショックでもプロバガンダした人は損してない。プロパガンダをし掛ける人がいつも儲けている。
 これと同じことをサンダースも言っている。政治家への献金は合法的買収。映画も作るための活動は正しいかもしれないが、これからも圧力は強くなっていく。

 アメリカを世界の警察、道徳基準と信じられる様、米大企業はミリタリーアクション映画を作っている。
 例えばメタファーとしてエイリアンの侵略に、どこにでもあるアメリカの一家が戦う。これはまさにプロパガンダ。ビジランテ物も、敵と戦って勝つ。独立戦争も。
 実際はアメリカが最大の軍事国家なのに、いつも(軍事支配する)帝国と戦う映画を撮っている。

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 もう一つの小さなプロパガンダは、非モラルとして描かれるぶち壊す快楽。
 こういうことを話すと、君は考えすぎだ、映画は楽しめばいいんだと言う人もいるだろうが、それこそ、プロパガンダにやられてる。
 サンダース負けて、クリントン、トランプとも(資本側の政治家で)だめだと思う。しかしアメリカはこの選挙戦で大資本のコントロールを知ることが出来た。

 (柳下氏と一緒に通訳に立たれていたスタッフから元の質問を再度尋ねられ) カナザワ映画祭は、大変重要。プロパガンダに抗うホール。
 映写のコントロールで、独立系はつぶされてしまう。一番好きなのは、50年代のボードヴィル劇場。そういうのが潰れている。前回来日した8年前より大きな映画祭に成長している。決まり切った大資本の映画でない物に観客が集まってくる。プロパガンダと言わなくても観客はわかっているのだと思う。

◆次回作
 チェコにNPOで現象所持っている。35mmフィルムで映画を続けられる様にする。
 デジタルプロジェクションは良い所ある。一世代焼く回数減って画質がよくなる。ただしフィルムの粒子とフリッカーは失われる。
 次回作は、ITトリロジーとは別の一本。

◆”What is it?”について
質問「映画に登場するハーケンクロイツの意味は? マンソンの曲も使用されているが、彼も一時ハーケンクロイツ使ってた。何か意味があるか?」

 96年に2人の脚本家が持ち込んできた企画。私が監督して、本も書き直していいならやると言った。それに合意して作業を始めた。
 当時はディヴィッドリンチがエグゼクティブPでお金を集めるはずだった。
(昨日の”It is Fine! EVERYTHING IS FINE.”の話の一部繰り返し)

 元々86分を72分にして、一部撮りなおした。
 ダウン症の役ではない役を演じている映画。タブーが何故なのかを問いかけている。
 主人公と対立構造を作るためのスティーブンの出演。そしてマンソンやハーケンクロイツはタブーを入れるためである。
 大資本の映画でもそれらは出てくるが、良い物と悪い物を明確に区分けして提示している。観客に考えさせない。映画は有機的で意図しない偶然がある。これを観客に具体的に指し示す様なことしたくない。

◆35mmブローアップ
質問「”What is it?”の16mmから35mmへのブローアップどうやったか?」

 16mmはHDより粗い。HDモニタに映してそれを35mmに撮った。現在、35mmネガをスキャンして簡易デジタル化している。

◆映画へのスタンス
質問「タブーにあらがうのにはエネルギがいる。そのエネルギはどこから?」

 13才からエージェントと契約し俳優をやっていた。俳優は仕事としていいと思ってた。その前、地質学者やりたかったが、岩を砕いて何か水晶とか見っけるのとは違う仕事だということがわかった。
 13才は子役としては年をとっていてそれほど仕事なかった。その後プロに。
 20才まで俳優学校で勉強、映画におけるアート、人に疑問を持たせる仕事としてやりたくなっていた。

 そしてその後、出る映画への欲求不満で仕事を選ぶようになった。心理的に満たされる役をやろうと思っていた。8,90年代役は役にめぐまれなかった。
 (2000年~ ”It is Fine! EVERYTHING IS FINE.”撮影後のスティーブンの入院の話。そしてチャーリーズエンジェルの話。
 この後、15分程度話は続いたようですが、僕が力尽き会場を後にしましたので、失礼します)

◆トークショー感想
(以下は2回分を聴いての、BP@究極映像研による感想です)

 とにかく素晴らしいサービス精神の表れか、はたまた自らの映画についてしゃべり倒さずにはいられない性分なのか。特に2日目のQ&AのQから逸脱した語りの世界は、ある部分鬼気迫るものがあった。

 終始落ち着いた、紳士的な口調であるが、特に映画のプロパガンダについて述べたくだりは、陰謀論的な色合いが入り、観客は少し引き気味であったことは否定できない。
 ただ、ハリウッド映画に関して、クリスピンが訴える様に、メジャーの意図であるかどうかはともかく、あのようなヒロイズムが前面に出た映画群が出来上がっているのは、僕も意識的にしろ無意識的にしろ、アメリカの精神性の表象であることは間違いないと思う。アメリカ映画論としてもこの切り口は興味深い。

 そしてそうしたことへのアンチテーゼとして彼の撮った映画は、ハリウッド映画に大きな疑問符を投げかけることを目的としているという。あまりに映画の意図を前面に語られると、映画自身が持ち得たいろんな可能性がスポイルされるようで、どうかとも思うが、彼の言っているテーマが映画から明確に伝わってくるのは確かな事実である。ただしどこかそんな見方だけでない、深みをあの映画たちは獲得しているように見える。

 グローヴァー監督があれほど熱意をもって語る理由は何か、なーんてことも思わざるを得ない。
 もしかしたら、アメリカでのタブーに触れてることで、何かそれについて論理を語らないと自分の気が済まないような西欧の縛りを彼自身が背負っている証明なのではないか? 日本人の僕にわからない、強固な西欧近代の持つ秩序。そんなものに対抗するのは、彼ほどの異端を覚悟した人にとっても重いものなのかもしれない。
 なので、彼は論理的に自身の映画をあれほど雄弁な言葉で語らざるを得ないのかもしれない。

 映画はもっと芳醇なイメージを持っているはずなのに、彼がそうした縛りに対抗するためにテーマを語るほどに、彼の映画も両極の片方である、ある種のプロパガンダを表現してしまうというジレンマも持ってしまっている様に感じられる。

 前回の記事 ”What is it?”の感想で述べたように、僕は日本映画が描いているアプローチ、『あん』とかの描写の方がテイストは全く違うけれど、同様なアンチテーゼを芳醇な映画として表現しているような気もするのだ。
 全然違う映画を比較することに無理があることは理解しつつ、、、書かずにいられないのが、ここの研究所の特徴だったりするので、悪しからず(^^;)。

 クリスピン・グローヴァーのとても刺激的な映画の語りに、カナザワ映画祭10年の成果を、最後の年で初の参加者ではありますが、肌で感じることができました。クリスピンの次回作の上映は、やはりこのカナザワ映画祭しかないような気がして、是非とも今後の復活を期待したいと思います。

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