2018.01.15

■情報 マジックリープ AR (拡張現実) ヘッドセット「マジックリープ 1 : Magic Leap One」

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Magic Leap、技術はかなり凄そう。でも正直デザインはまだ恥ずかしいよね | ギズモード・ジャパン

"Magic Leapによると我々が目で捉えている「ライトフィールド(明視野)」を操作することでARを実現しているということです。(略)

 (彼らの結論は)脳の視覚野はコンピューターの中のグラフィックス・プロセッサーのような機能を担っているということでした。目から与えられた情報を元に、その人間が知覚する世界をレンダリングしているのです。そしてそれをするために必要な情報量はとても少なくて良いということでした。(略)

 脳は必要に応じた時にだけ必要な情報を目から得て、視覚野でアバターを生み出すかのようにレンダリングをして”見ている”というわけです。

 であれば、彼らが開発するデバイスも常に全ての情報を使って映像を再現する必要は無いと考えたとのこと。必要に応じて正しいライトフィールドを脳へと届けることができるチップを作れば、そこに存在しないものを”見ている”と脳に信じ込ませることができると確信したわけですね。"

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Welcome | Magic Leap(公式HP)

 上記記事にあるように、謎のARスタートアップ、米マジックリープ社のヘッドセットが初公開された。
 かっこ良い/悪いは両論あるようだけれど、僕は初登場したものとしては、なかなかサイバーパンクで良いかな〜と思う。
 今までのVRヘッドセットやGoogleグラスと比較してみると、特に特徴的なのは前面と側面に設えられた複数のレンズとカメラのようなデバイス。
 これにより、外界の3次元空間を捉えて認識し、ARの仮想映像をどの位置に重畳して表示するかをCPUで演算しているのであろう。複数のカメラは、立体的に外界を捉えて、奥行きを含む位置情報を把握してCPU内部で3次元空間を再現していると考えられる。

 そしてその仮想映像の重畳に用いられているのがライトフィールドという技術のようです。人間の眼に入ってくる外界の光に対して、ヘッドセットのメガネの2眼レンズに、仮想の映像を重畳するのがこのライトフィールドという技術のようです。

 詳細は今回の発表では明らかにされていないですが、現在、わかっている情報から以下推定してみます。まずは公式ページ情報。

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Welcome | Magic Leap Features
 (上の公式ページ写真のDigital Lightfieldの文)

"Our lightfield photonics generate digital light at different depths and blend seamlessly with natural light to produce lifelike digital objects that coexist in the real world. This advanced technology allows our brain to naturally process digital objects the same way we do real-world objects, making it comfortable to use for long periods of time.

私たちのライトフィールドフォトニクスは、さまざまな深度でデジタル光を生成し、自然光とシームレスに調和して、現実の世界に共存する実物のデジタルオブジェクトを作り出します。この先進的な技術により、私たちの脳は、実世界のオブジェクトと同じようにデジタルオブジェクトを自然に処理することができ、長期間快適に使用できます。"

 ここからは「さまざまな深度でデジタル光を生成」する技術という位のことしかわかりません。

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Magic leap製品予想

" ライトフィールドを直訳すると「光線空間」 意訳すれば「光線の全て」 撮像素子に入ってくる 「光の量」だけでなく 「入射角」も記録する 撮影後に任意のフォーカスに合わ せた画像を作り出せる。

 ライトフィールドカメラのしくみ 撮像素子前面にマイクロレンズ マイクロレンズの屈折からメインレンズに入った光の位置を記録する。

 Magic Leapのライトフィールド Eric Seibel教授のチームはFiber Scanning によるライトフィールド映像の出力について 論文を出している ライトフィールドカメラと逆に光の眼への入射角を制御する!

 ライトフィールドプロジェクタ ▼ マイクロファイバーを束にして一体化 ▼ マイクロファイバーからに表示物の配置位置に合わせ て光を目に照射 ▼ 目の焦点運動によりCG映像がフォーカスが合ったり ボケたりすることによりリアリティーのある映像表現! 現実に溶け込んだCG表示が可能!!"

 こちらの解説は、ライトフィールドを推定したものである。
 こちらのページが書かれた時には、Magic Leapの特許を調べられているが、日本での公開特許は存在しなかったようである。
 現時点で特許を調べてみると、ライトフィールド他について、詳細の技術がある程度はわかる。以下、いくつかザクザクと見てみた結果である。

特許情報プラットフォーム|J-PlatPat 
 リンク先の特許検索ページで「マジックリープ」のキーワードで検索すると、2014年から2017年に出願された30件の特許を見ることができる。
 まずその中から「マジックリープ」と「ライトフィールド」の2つの検索ワードで絞り込むと一軒の特許が見つかる。

特許・実用新案テキスト検索 【公表番号】特表2017-518532)|J-PlatPat

20180114_214112 この図から頭の側面から何らかのデバイスにより投影された映像がレンズによって眼球の前に映し出されていることがわかる。この投影の際に、仮想映像を映し出す投影角度を制御することで、リアルな現実世界に対して、3次元的な位置を特定して脳が認識する幻影を重畳している仕組みであるのがわかる。

特許・実用新案テキスト検索【公開番号】特開2017-223970|J-PlatPat

20180114_201900 ヘッドセットの内部構造。メガネ側面のプロジェクタと複数の異形なレンズにより眼球にある投射角を持って映像が投影されていることがわかる。この構造が今回発表されたヘッドセットに仕込まれているのだろうか。

特許・実用新案テキスト検索【公表番号】特表2014-513367|J-PlatPat

"【請求項1】該仮想世界の少なくとも一部分は、該仮想世界データの変更に応答して変化し、 該仮想世界データの少なくとも一部分は、該ユーザデバイスによって感知される物理的オブジェクトに応答して変更される、システム。
【請求項2】 前記仮想世界データの変更は、前記物理的オブジェクトとの所定の関係を有する仮想オブジェクトを記述する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】 前記仮想世界データの変更は、前記所定の関係に従って第2のユーザに提示するために第2のユーザデバイスに提示される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】 前記仮想世界は、前記コンピュータサーバまたはユーザデバイスのうちの少なくとも1つによってレンダリングされるように動作可能である、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】 前記仮想世界は、2次元形式または3次元形式のうちの少なくとも1つで提示される、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】 前記ユーザデバイスは、増大現実モード、仮想現実モード、または増大現実モードと仮想現実モードとの組み合わせのうちの少なくとも1つにおいて、ユーザと前記仮想世界との間の相互作用を可能にするためのインターフェースを提供するように動作可能である、請求項1~5のうちのいずれか一項に記載のシステム。"

 こちらが日本で2012年にはじめて出願されたマジックリープの特許。
 彼らの技術の一番ベーシックな部分が書かれているようだ。

◆その他の特許
 いくつか興味深い特許があったので御紹介。

特許・実用新案テキスト検索(詳細表示)
【公表番号】特表2015-501101(P2015-501101A)【発明の名称】3次元仮想現実および拡張現実表示システム|J-PlatPat

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 なんとこのPatにはガンダムの写真(お台場に居た奴?)が使われている。
 重畳されているのはミツバチのようなキャラクタである。
 何だかガンダムが使われているところが未来技術とマッチして、そして微笑ましい(^^)。

特許・実用新案テキスト検索(詳細表示)【公表番号】特表2017-500605|J-PlatPat.

"【発明者】 【氏名】ブライアン・ショーウェンゲルト"

 なんと請求項が880という膨大なボリュウムの特許。本業の方で特許はかなり見ますが、こんな数のクレームは見たことがありません。これを詳細に読み込めばマジックリープの謎がいろいろと解けるかも。時間があれば真面目に読むのですが、、、w。

 この特許の発明視野である、ブライアン・ショーウェンゲルト Brian Schowengerdt Ph.D. 氏は、このリンク先によるとマジックリープのチーフサイエンス&エクスペリエンスオフィサーとのことです。

◆関連リンク

・Avegantのライトフィールド技術は、複合現実の未来に希望を与えます
(Google機械翻訳)

" Avegantのソリューションは、ライトフィールド技術を検討することでした。 この技術は、複数の焦点を同時に表示します。つまり、焦点に応じてオブジェクトがぼやけて鮮明に表示されます。 要するに、それはあなたが実際に現実世界で見る方法を模倣します。 ライトフィールドディスプレイ技術はすでに存在しています。マジック・リープが使用している技術と同じですが、Avegantは、これらの技術は現時点では実現可能ではないと述べています。 「彼らは狂ったコンピュータと多くの機械的な光学系を必要としている」とタン氏。 「このような製品を作ってから数年後に実際に出荷することには、いくつかの実用的な問題がある」 だからAvegantは何かを発明した。 同社が光の場を生み出すまったく新しい方法であると言われる、まったく新しい光学部品です。 Tang氏によると、Avegantの技術は既存の製造技術と既存のサプライチェーンを使用できるという点で、大きな違いがあります。 「これにより、規模を拡大することができます。

スペースを介して浮かんでいる小惑星は、ピン・シャープに見えました。これまでに見たHDディスプレイよりも確かにシャープです。 また、MicrosoftのHoloLensとは異なり、Avegantのプロトタイプの視野は巨大でした。 それは私の顔の前に100インチのテレビがあるように感じました。 この明確さの理由の1つは、Avegantの以前の網膜イメージングの経験です。 その太陽系のイメージは、小さなマイクロミラーの配列で私の目の中に直接投影されました。

私が歩き始めたとき、特定の角度で、私は実際に焦点を1つの惑星から別の惑星に移し、周囲の環境をぼかすことができることを発見しました。 たとえば、私が地球の隣に立っていたとき、月が私の目の前で右に回った。 私が月に直接焦点を合わせると、地球は背景にぼやけました。 私が視線を地球に戻すと、月が前景にぼやけました。 私はそれに少しショックを受けたように感じました。そして、私は大声で叫んでいます。「これはとても奇妙です! しかし、もちろん、それはまったく変わってはいけません。なぜなら、これは私たちが普通に見る方法なのですから。 私はこのように仮想オブジェクトを見るのに慣れていないということだけです。"

 こちらはライトフィールドで検索して見つけた技術。こちらも参考になります。
magic leap 当ブログ関連記事 Google 検索

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2018.01.10

■感想 湯浅政明監督『夜は短し歩けよ乙女』『夜明け告げるルーのうた』


『夜は短し歩けよ乙女』 90秒予告 - YouTube

 湯浅政明監督『夜は短し歩けよ乙女』DVD初見。
 傑作『四畳半神話大系』に直結する快作。
 なんなのでしようね、語りと絵の魅力なのか、京都の大学の雰囲気を見事に写し取った青春の香りに満ちた映画。『四畳半神話大系』でも見事だったのだけれど、このどこか甘酸っぱい現実と夢が混濁した映像空間はどこから生まれてきているのだろう。

 樋口師匠とかパンツ総番長とか古本市の神様とか李白とか、、、そうした謎のキャラクタの魅力と黒髪の乙女の小股の切れ上がった女っぷり、そして先輩の気恥ずかしさ、そんなものが混ぜこぜになってのこの感覚。

 森見登美彦の原作を読んだことはないのだけれど、原作の持つ京都の学生の雰囲気と、そして幻想味に満ちた湯浅監督の軽妙な絵柄と演出の成果なのでしょうね。こんな世界に紛れ込んで一生出てこれなくても良いと感じてしまう空間造形が素晴らしい。

 パンツ総番長とかゲリラ演劇「偏屈王」とか『クレヨンしんちゃん』の良い影響もあるのでしょうね。


『夜明け告げるルーのうた』PV① - YouTube

 続いて湯浅政明監督『夜明け告げるルーのうた』DVD初見。
 アニメーションだけが描ける素晴らしいイマジネーションの映画。自在なパースとハッピーな動き、特に前半の音楽シーン等、観ていて何故だかドキドキする映像がとてもここちいい。

 後半、物語を閉じるためのロジックが、映像のイマジネーションをある意味、型にはめている様な部分があって、少し残念なのだけれど、ルーのパパの描写(何故か日常に異様な人物が馴染んでいるところ)とか、クライマックスのスペクタクルと物語の登場人物の感情のシンクロとか、とにかくエキサイティングな映像が素晴らしい。

 すぐ前に観た『夜は短し恋せよ乙女』と比べると、オリジナル作品だけに、湯浅監督による映像の奇想成分の暴走がさらに気持ち良い。逆に前作が持っていた文学的な言葉による映画としての表現の奥行きは少し本作では弱い。ここが前作の原作 森見登美彦と脚本の上田誠両氏による映画の芳醇なのかもしれない。

 ということで、次作は永井豪の傑作『デビルマン』と湯浅映像のコラボレーションになるわけで、どんな融合の成果が観られるのか、楽しみでならない。
 1/5からもう配信スタートらしいけど、NETFLIX入ってないのでしばらくお預けです。

◆関連リンク
・Devilman Crybaby | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

 湯浅政明監督『Devilman Crybaby』、Netflixで全10本既に公開されているのですね。
 一気公開であの壮絶なラストまでが観られる。
 そそられますが、まだ加入していないですw。

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2018.01.08

■情報 『デヴィッド・リンチ版画展』@ 渋谷ヒカリエ 8/03/ART GALLERY/TOMIO KOYAMA GALLERY

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8/03/ART GALLERY/TOMIO KOYAMA GALLERY/デヴィッド・リンチ版画展

"会期/2018年1月18日(木)~2月12日(月)
時間/11:00~20:00
※オープニングレセプション1月18日(木)18:00~20:00(作家の来日はございません)
会場/8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery(東京都渋谷区渋谷2-21-1)
料金/入場無料

 この度、8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryでは、デヴィッド・リンチの版画展を開催いたします。 (中略)
 日本では1991年に東京の東高現代美術館、2012年にラフォーレミュージアム原宿にて個展を行っています。 本展では、 新作を含む版画作品を展示いたします。映画同様に、夢と幻が描かれたダークな作品制作をし続けるリンチの近作をご覧頂ける貴重な機会となります。是非ご高覧ください。"

 1/18から、リンチの版画展が東京で開催されるそうです。
 残念ながらデイヴィッド・リンチ御本人の来日はないようです。

 今回の展示作品の情報はほとんどネットにないですが、公式ページで唯一紹介されているのが冒頭の引用画像。

 この作品は "Squeaky Flies in the Mud 2015 lithograph on Japanese paper 60.0 x 60.0 cm" と銘打たれた版画で、訳してみると「泥の中のきらきらとしたハエ」という意味になりそう。そして注目すべきは和紙に刷られているというところ。

 2015年制作の様だけれど、日本での展示を意識した作品なのだろうか。

◆関連リンク
Csw900x6002820x510 ・Exhibition / David Lynch. Silence and Dynamism - Centre Of Contemporary Art in Torun 公式Facebook 

When: November, 12th, 2017 – February, 18th, 2018 Exhibition Opening: November, 12th, 2017 at 17:00

 ポーランドで開催中のリンチの個展「静粛とダイナミズム」。
 オープニングセレモニーの様子 動画
デヴィッド・リンチ展 – Tomio Koyama Gallery 小山登美夫ギャラリー

"デヴィッド・リンチ展 2014年6月25日 [水] - 7月14日 [月] 日月祝 8/ ART GALLERY/ TOMIO KOYAMA GALLERY"

 同じくヒカリエで過去に開催されたリンチ版画展。その際の作品の様子がリンク先で観られます。

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2018.01.01

■2018年 究極映像研 新年挨拶

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 あけましておめでとうございます! 本年も皆様よろしくお願いします。
 今年も究極映像犬として奇想映像を探索します(^^)。

 トップ画像は『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』の宇宙犬 COSMO です。

 コミックでは、以下に説明が記されていますが、なかなかごつい感じでコワモテのする犬です。

コスモ・ザ・スペースドッグ
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』!
 気まぐれ!アメコミ等紹介blog

" ライカ犬(50年代、ソ連のロケット打ち上げ実験の際、実験動物としてスプートニク2号に乗せられた犬。大気圏突入の際、ロケットと共に燃え尽きて死亡した。)をイメージして作られたキャラクターです。  ソ連の打ち上げ実験に搭乗させられた彼は、そのまま宇宙を旅することとなり、惑星ノーウェアに辿り付き、超能力が使える犬として、ノーウェアの警備員となりました。  後に、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーに加わります。"

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2017.12.27

■情報 ヤン・シュヴァンクマイエル監督の最新作『蟲』

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チェコ蔵 CHEKOGURA - Facebook

"ヤン・シュヴァンクマイエル監督の最新作『蟲』は2018年2月19日にチェコ初上映を迎えることとなりました。その前に、ロッテルダム国際映画祭で世界初上映が行われます。乞うご期待。"

 シュヴァンクマイエルの新作がいよいよ公開!
 前作『サバイヴィングライフ』からはや7年、ひさびさにチェコのシュルレアリストの長篇を観ることができる。

 特に以下のクラウドファンディングのページにある男が虫に変容するシーンが素晴らしい出来なので、日本で観られる日が楽しみでならない。

Švankmajerův Hmyz kombinuje příběh ochotníků, dokumentární záběry a sny. Premiéru bude mít v únoru - Aktuálně.cz Google 翻訳

"この映画は複雑な構造をしています。 「オイディプスの複合計画の基本計画に基づく劇場のアマチュアの物語もあり、 ČapekBrothersの昆虫生存ゲームの第二の行為であり、最終的には製作からのドキュメンタリーショットもある」とŠvankmajerは言う。

「虫の人生の遊びは悪循環であり、私の脚本家は人間と昆虫との類似性が深まり、 カフカの変容のメッセージを忘れてはならない」と彼は付け加えた。

 彼は創造的なプロセスが最終結果よりも重要であると考えているため、シュヴァンクマイヤーはこの複雑な形を選んだ。

 「だから私はこのプロセスを開いて、ストーリーのドラマを乱さずに何が起こっているのかを視聴者に見させる」と彼は説明する。

 昆虫は2018年2月19日にチェコ初演を行う予定ですが、その前にロッテルダム国際映画祭のディープフォーカス:シグネチャーセクションで彼を見ることができます。"

New work by established makers | IFFR
 ロッテルダム国際映画祭HPでの『INCECTS』紹介ページ。
 映画祭は、2018年1月24日から2月4日までということでチェコでの初公開よりも半月ほど早く観られるということになる。

Google 翻訳

"83歳の映画監督と芸術家は、昆虫が彼の最後の長編映画になると述べている。

昆虫は、アニメーションとアクションの両方のセグメントを持っており、1921年にČapek兄弟によって書かれた昆虫の生命からの風刺的な人種的遊びの写真に基づいています。映画では、アマチュアの俳優たちは演劇の第2幕でリハーサルを行います。キャラクターは恐ろしい変形を経験し始めます。 Švankmajerは、2011年にIFFRのCineMartに選ばれた、この映画の準備に7年間費やしました。"


Insects: Last film of Jan Svankmajer - YouTube

◆関連リンク
The last film by Jan Švankmajer: Insects | Indiegogo
 クラウドファンディングのページ。

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 クラウドファンディングのHPに載っているこの蟲への変容動画が素晴らしい。期待です。画面をクリックすると、動画が見られます。
Jan Švankmajer - Hmyz ヤン・シュヴァンクマイエル監督の最新作『蟲』 関連記事 当ブログ Google 検索

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2017.12.25

■感想 大林宣彦監督×檀一雄原作『花筐/HANAGATAMI』


大林宣彦監督×檀一雄原作『花筐/HANAGATAMI』予告編 - YouTube

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 大林宣彦監督『花筐』を名古屋シネマテークで、観てきました。『この空の花 -長岡花火物語』『野のなななのか』に続く高密度イメージ圧縮映画第三弾。

 今回も冒頭の絨毯爆撃のようなセリフと音楽の密度は圧巻。

 前作よりはその過激さは少しセーブされ、後半で大林劇映画に回帰する感じであるけれど、それでも大東亜戦争直前の学生達の生活を活写し、まるで現実と幻想と夢が記憶の断片のように描写される筆致は素晴らしい。

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 デジタル技術を駆使する、この生涯アマチュア映画魂を失わない作家の凄みの結実。
 戦前の学生生活と病床の美少女、まるで吸血鬼のように描写されるその義姉。反戦への意志と戦争に向かう高揚、そして血と性。佐賀県唐津市の「唐津くんち」と呼ばれる極彩色の山車の祭りの映像で描かれる、美しくも混沌としたクライマックスは本篇の見事なクライマックスである。

 夢のような映画の中で、リアルな重い現実を体現していた、門脇麦と長塚圭史(とても学生とは見えないがw)の存在感が素晴らしかった。

 そして映画館で買ったパンフレットに書いてあった右の記述。

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 大林監督が2018年に次の新作を予定中とある。次の作品でも映画の革新を先に進めてほしいものです。次回作、期待しています。


◆シナリオ 「花がたみ」

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 上の写真は、DVD『HOUSE』の特典映像に入っていた、大林宣彦による商業映画デビュー作『ハウス』の映画化成立までの道のりを語った中で、紹介されていた初期『花がたみ』のシナリオ。
 商業映画第1作としてこの『花がたみ』を撮りたかったが、東宝からこうした文芸作は東宝の社員監督でも撮れるが大林さんにはもっと斬新な映画を(スピルバーグ『ジョーズ』なような作品を)提案してほしいと言われて、当時11歳の娘 千茱萸(ちぐみ)さんのアイデアを元に『HOUSE』の企画に至る過程が語られている。
 そのプロセスについては、以下の最新の大林監督の語りでも聴くことができる。

 『HOUSE』の冒頭。檀一雄の娘さんの檀ふみが先生として登場。そして女生徒の手にはカメラ。本作『花筐』との連続性を感じないわけにはいかない。


【宇多丸×大林宣彦】映画について『リビング・レジェンド』と語りつくす!《サタデーナイトラボ》 - YouTube

"サタデーナイトラボ「<最新作『花筐(はながたみ)』公開記念!>大林宣彦 監督 再降臨!!この際だから、巨匠ともう一度、ざっくばらんに映画駄話特集!」"

◆関連リンク
・当ブログ感想『この空の花 -長岡花火物語』『野のなななのか

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2017.12.20

■動画 デイブ・スクール卒業制作(?) 「スター・ウォーズ:コンセプトトレイラー」The Star Wars: Concept Trailer from The DAVE School

The Star Wars: Concept Trailer from The DAVE School on Vimeo
 ラルフ・マッカリーによるコンセプトアートを映像化した、なかなか興味深い試み。もうひとつのスター・ウォーズ、といったところでしょうか。
 枝分かれしたパラレルワールドでは、別のスターウォーズが花開いていると想像すると楽しいです。

 これは、DAVEスクール(Digital Animation & Visual Effects School)卒業生の2017年8月の作品のようです。
 面白い試みですね。もっと他の映画のコンセプトアートも同様に映像化してみてほしいものです。

◆関連リンク
DAVE School | Digital Animation & Visual Effects School(公式HP)
 各種作品が掲載されています。
THE STAR WARS Concept Trailer Resurrects Ralph McQuarrie’s Early Designs | Nerdist

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2017.12.18

■感想 ライアン・ジョンソン監督・脚本『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』: Star Wars: The Last Jedi


Star Wars: The Last Jedi Trailer (Official) - YouTube

 ライアン・ジョンソン監督・脚本『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』観てきた。
 今回、IMAXが2Dのみ(3D上映はリンク先によると12/29〜追加とのこと)なので、立体映画ファンとして、今は仕方なくReal-Dによる3D 吹替版を観てきた@各務原イオン。

 ネタバレは後半で書くとして、152分の長い映画、途中のダレ場があったとはいえ、観終わった時は充実した映画体験ができたと満足。

 ep.4-6ファンの琴線に触れる描写と、新しい登場人物による活き活きした物語、その両輪が前作ほどではないとしても、まあ上手く噛み合っていたのではないか。
 僕はJ・J・エイブラムスの爽やかなメリハリある描き方に軍配をあげる。今回のライアン・ジョンソン監督のちょっと粘着して描かれる人物像で好き嫌い別れそう。

 3D描写は、ひさびさにIMAXでない3Dを観て、残念ながら光度とコントラストが悪く、映像の切れはイマイチだった。しかし前作に続き立体視を意識した戦闘シーンほか、なかなかダイナミックな迫力のある3D映像を堪能できて満足。

 今回のステレオ化は、Stereo D社。前作同様、あのかっこ悪い(失礼)デザインのXウィングを大迫力のシャープなアクションシーンにしているところは、立体映像の効果も大きいだろう。

 それにしても巨大なファーストオーダーの戦艦描写、赤い砂漠のシーンの色、そしてルークの島の映像、、、素晴らしい映像の快感効果も映画の印象を良いイメージにしていた。

 最近のブログ記事を見てもらうと分かるように、今年後半はツイン・ピークス シーズン3に耽溺しすぎていたのでw、かつてのシリーズが懐かしのキャラクターと新キャラクターで語られるところが同等で、つい比べてしまい、このシーンはリンチならこう捻るなとか、ここには謎を置かなきゃ駄目だろうとか、ここは幻想シーンが必須とか、ついツイン・ピークス脳で観てしまったことも正直にメモしておきます(^^)。



★★★★★★★ネタバレご注意★★★★★★★★




 迫力はあるのだけれど、冒頭の戦闘シーンがあまりにも無謀でレジスタンスの真剣度が削がれて残念。その後の追跡劇も何故か冗長な追いかけでリアリティに欠け、そうした詰めの甘さで全般的に戦闘シーンの緊迫度はアクション映画としては残念な出来だった。

 途中、レジスタンスが絶望的な状況に陥っていくところ、並行して描かれるレイのジェダイとしての修行シーンは、ep.5『帝国の逆襲』をなぞっているようで、このまま誰かがカーボンで固められるのかな、とか思ったのだがw、、、。

 ここはep.7がep.4をなぞっているのと対になっているようだったが、ライアン・ジョンソン監督の脚本はこの後、ぐいぐいと新しい物語を切り開いていった感じ。そのクライマックスが映画にドライブ感を与えて、観終わった後の満足感を持てたように思う。

 カイロ・レンとレイの闘いもスノークとの闘いと絡めて、ダイナミックな展開で面白かったかなと。カイロ・レン、演じたアダム・ドライバーと対するレイ役のデイジー・リドリーによって前作から深みを付けてなかなか迫力の闘いになっていたと思う。

 あとツイン・ピークスファンとしては、あのローラ・ダーンが主要人物として登場するのも注目。
 ついついローラ独特のビッチな役かとw思いきや、、、、知的な軍人役で素晴らしい活躍に拍手と涙。この映画では金や赤でなく紫の高貴な髪w。

 エンドタイトルで、ジョン・ウィリアムスのあの音楽が変転し寂しげになる瞬間、画面には、60歳という若さで亡くなってしまったキャリー・フィッシャーへの追悼文。僕は第1作からレイア姫の熱心なファンであったことはないが、それでもグッと来てしまった。改めてご冥福をお祈りします。

◆関連リンク
レイアの死、ルークの帰還──『スター・ウォーズ:最後のジェダイ』制作秘話 | WIRED.jp ライアン・ジョンソン監督の言葉。

"『エピソード8』を監督するにあたり、ヘンリー・キングの『頭上の敵機』(1949)のような第2次世界大戦ものや、岡本喜八の『斬る』(1968)、五社英雄の『三匹の侍』(1964)のような1960年代の“泥臭い”時代劇を観まくったらしい。"

Star Wars: The Last Jedi | Evolution of the Crystal Fox - YouTube
 ガラスの狐:クリスタルフォックスのメイキング映像。
 クリスタル・フォックスはまるで名和晃平のガラス玉の動物のように、アート作品を見るようでした。

スターウォーズ 当ブログ関連記事 - Google 検索

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2017.12.13

■感想 ニコライ・アーセル監督『ダーク・タワー』: THE DARK TOWER


THE DARK TOWER - Official Trailer (HD) - YouTube
ダーク・タワー - Wikipedia

"2007年頃からJ・J・エイブラムスやロン・ハワードにより映画化が検討されていたが、実現には至らなかった。最終的に『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』の脚本で知られるニコライ・アーセルによって映画化され、アメリカでは2017年8月4日に公開。日本では「ダークタワー」の邦題で2018年1月27日公開。"

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 中国出張の飛行機で観た。
 スティーヴン・キングの集大成とされている小説の映画化。実は未読なので、この映画観るかどうか迷ったのだけれど、日本ではまだ未公開とのことで、飛行機の小さい液晶画面で観てしまった。

 それにしても7分冊のキングの大長篇をわずか95分の映画でどのように映像化するのか。未読のため比較はできないが、、、。

スティーヴン・キングの超大作が原作の映画『ダーク・タワー』予告編。実は小説の続編!? | ギズモード・ジャパン

"原作ファンの一部にはイメージと違う!と怒る人もいるかもしれませんが、Entertainment Weeklyによると、映画は小説の続編であるということがキング本人と監督によって明らかにされているので、最終巻での話(大きなネタバレなので詳細は割愛)を思い出せば、納得のいく展開ですし、この画像を見たらファンは観ないわけにはいかないでしょう!"

 ということでこの映画、小説の続篇とのこと。
 原作ファンの人は、きっとあの物語の続きが〜、とキャラクタの世界の続きが観られて感慨深いのでしょうね。

 僕はガンスリンガーという名前くらいは知っているけれど、小説版の話は全くわかっていなかったけれど、この映画単独としても十分楽しめた。キングの映画化作品としては、上位3割位のところかな〜と。

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 まず端正な画面構成が気持ち良い。冒頭の塔を巡る異変の映像がなかなかいい。ここで世界観としてトールキン『指輪物語』が底流に流れていることは明らか。

 そして導入部の主人公の少年の描く絵がとても良い。これが映画の基調のトーンを構成。どこか寂しげな主人公のキャスティングが良い。

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 映画の最大の見所が、ガンアクション。
 ガンスリンガーであるローランドの銃さばきが素晴らしい。凄まじい感覚能力と超絶の運動特性。

 特筆すべきはクライマックス。
 この映画最大の鋭敏なシーンがここだ。
 西部劇をファンタジーの世界で再生させている。黒衣の男(マシュー・マコノヒー)との決戦は見逃せない。

 制作費60millionドル。世界での興行収入は111millionドルとのこと。
 以下リンクにあるが、映画の前日譚(つまり小説の本篇)がテレビドラマ化の可能性もあるとのことで、この興行収入はヒットとしては十分なものではないが、期待したい。

◆関連リンク
The Dark Tower - The Official Website
キング「ダーク・タワー」映画版に「ロイヤル・アフェア」ニコライ・アーセル監督 : 映画ニュース - 映画.com(2015.6.8)

"アーセル監督はキングの大ファンで、「ダーク・タワー」も熟読しており、脚本のリライトを手がける予定だという。ソニーは、スウェーデン版「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」の共同脚本家でもあるアーセル監督なら適任だと考えているようだ。"

映画『ダーク・タワー』のあらすじと日本公開日は?キャストと原作を紹介! | 映画FANー映画から始まる充実した時間

S・キング原作「ダークタワー」18年1月27日公開! 超絶ガンアクションを映す予告編も : 映画ニュース - 映画.com.

"8月4日に全米で公開されると、オープニング成績初登場第1位を獲得。18年の制作開始を目指し、映画版の前日譚をつづるテレビシリーズ化プロジェクトも進行中だ。"

The Dark Tower (series) - Wikipedia.

"A film based on The Gunslinger and also serving as a sequel to the events of The Dark Tower due to the nature of said book's ending was released in August 2017."

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2017.12.11

■ミニレポ 中国東北部 瀋陽市

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 中国瀋陽市に週末、本業の出張で行ってきました。-10℃の北の大陸の街。中欧米折衷な800万人の大都市。

 天使がいますが、ベルリンではありませんw。 郊外には果てしなく続く高層マンション群。入居が始まってない新しい摩天楼の無人の街。

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 中国の底力を感じると共に、底冷えした大地に生えた不気味な都市生物のような幻影も感じました。恐るべしパワー漲る中国。

 ただFacebook もLINEもグーグル検索も出来ない、ネットの凍土も体験しましたw。

 2泊3日とんぼ返り、なか日仕事で後は移動、街を見たのは移動中と30分の散歩のみ。以下に街の様子です。ダウンタウンまで足を伸ばせばもっと興味深い写真を撮れたでしょうに残念です。

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◆究極ガラス劇場 盛京大劇場

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 一個、究極映像研的に外せないものを見かけたんですが、後で調べるとこういうものでした。

 盛京大劇場というガラス張りの300m程の巨大な劇場。車移動中で写真撮れなかったのが残念。

 ということで、右と以下は、ネットで検索した画像リンク。
 リンク先で詳細はご覧ください。

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Shengjing Grand Theatre
Shenyang theater glass - Google 検索

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 この劇場の外観、ガラス清掃の風景。なんとも凄い作業です。

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沈阳盛京大剧院官方网站
浪漫平安夜《天空之城》-久石让·宫崎骏动漫作品视听音乐会(租场演出)(1米以下儿童谢绝入场) 网上选位!!

 何とここで宮崎駿作品の上映?『天空の城 ラピュタ』の映画上映かと思ったら、久石譲らしき名前が先に書いてあり、クリスマスコンサートみたい。

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2017.12.06

■情報 ポーランド映画祭2017「スタニスワフ・レム特集」「画家ベクシンスキー特集」@東京都写真美術館


【予告】ポーランド映画祭2017 - YouTube 東京都写真美術館

"【11月25日ー12月15日までポーランド映画祭2017開催!】
東京都写真美術館ホールにて開催!

新しいポーランド映画から、クラシック名作、スタニスワフ・レムのドキュメンタリーや、昨年90歳で亡くなったアンジェイ・ワイダの追悼上映、画家ベクシンスキーについてのフィクションとドキュメンタリー映画や、ポーランドアニメーションなど。"

 素晴らしい企画、本研究所的には「スタニスワフ・レム特集」「画家ベクシンスキー特集」が強く響きます。これは東京行きたくなる。

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◆「スタニスワフ・レム特集」
 ドキュメンタリー『ソラリスの著者』とアンジェイ・ワイダ監督によるレム短篇の映画化『寄せ集め』(なんと、レムが脚本も書いたSFコメディ!)。

 レムとアンジェイ・ワイダ、しかもコメディ。
 全く頭の中の回路がつながりません!(^^;)
 調べたけれど、原作が邦訳されているか分かりませんでした。どなたかご存知でしたら、教えていただきたく。

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画家ベクシンスキー特集
 ポーランドが生んだ奇想幻想の絵師 ズジスワフ・ベクシンスキーのドキュメンタリー マルチン・ボルハルト監督『ベクシンスキー家の人々』と、まさかの彼の人生をドラマ化した映画 ヤン・P・マトゥシンスキ監督『最後の家族』!

 これは凄いラインナップだ。まさかこのようなものが日本で観られるとは!
 ベクシンスキーの絵はネット等で日本においても有名だが、何と言ってもまだ肝心の絵画展が開催されていないのだ。その日本でこうした映画が上映されるとは奇跡的!

 この映画にお客さんがしっかり入った暁には、東京都写真美術館さんには是非とも絵画展を、もしそれが無理なら彼の写真展だけでも開催してほしいものである。

「NHK100分de名著」スタニスワフ・レム『ソラリス』
 
名著71 「ソラリス」:100分 de 名著(NHK公式HP)

" この作品は、人類とは全く異なる文明の接触を描いているだけではありません。ソラリスの海が引き起こす不可解な現象は、人間の深層に潜んでいるおぞましい欲望や人間の理性が実は何も知りえないのではないかという「知の限界」をあぶりだしていきます。ロシア・東欧文学研究者の沼野充義さんは、レムは、この作品を通して「人間存在の意味」を問うているのだといいます。

 さまざまな意味を凝縮した「ソラリス」の物語を【科学や知の限界】【異文明との接触の可能性】【人間の深層に潜む欲望とは?】【人間存在の意味とは?】など多角的なテーマから読み解き、混迷する現代社会を問い直す普遍的なメッセージを引き出します。"

 そしてこの映画祭と期をいつにして、スタニスワフ・レム『ソラリス』が「NHK100分de名著」に登場。凄い、このような本格SFがテレビで紹介される!全4回。テキスト買わなきゃ(^^)。指南役は新版訳者の沼野充義さん。期待です。

沼野 充義『スタニスワフ・レム『ソラリス』』 100分 de 名著)

◆関連リンク
 以下、ネット検索した関連動画。もし上記映画祭に行くことを検討されたい方、以下を参考に、是非とも映画祭でご覧ください。
Przekladaniec 1968 polski dubbing - YouTube
 アンジェイ・ワイダ監督、スタニスワフ・レム原作脚本『寄せ集め』
Trailer of a documentary film "Autor Solaris" by Borys Lankosz (Facebook)
 こちらは『ソラリスの著者』予告篇。

Ostatnia rodzina (Dailymotion)
 ベクシンスキー家を描いた映画『最後の家族』。ポーランド語なのでこれで試視聴、是非映画祭へ。ベクシンスキーの絵画も当然のように出てくるようです。
動画 ズジスワフ・ベクシンスキー 絵画制作過程 Zdzisław Beksiński
 ドキュメンタリー『ベクシンスキー家の人々』に関係するかも。以前このブログで紹介したベクシンスキー家のホームビデオで撮られた絵画制作風景。

Golem - based on the short story by Stanislaw Lem [PL] - YouTube.
 こちらは関連動画として、レム短篇「ゴーレム」を映画化したもの。
MASKA - YouTube
 ブラザーズ・クエイ監督,スタニスワフ・レム原作の『マスク』。
ブラザーズ・クエイ監督,スタニスワフ・レム原作『マスク』@イメージフォーラムフェスティバル2011
 こちらは当ブログの感想記事。

スタニスワフ・レム : 作品 - 映画.com

スタニスワフ・レム関連記事 当ブログ Google 検索
ズジスワフ・ベクシンスキー関連記事 当ブログ Google 検索

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2017.12.04

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第18話


Chrysta Bell performs 'Sycamore Trees' | 'David Lynch: Between Two Worlds' at QAGOMA - YouTube.

 18時間にも及ぶリンチの大長篇映画wが、いよいよ最後の放映になってしまった。
 最後の感想である。
 そして今回の冒頭引用動画は、FBI捜査官タミー・プレストンを演じたシンガー クリスタ・ベルによる「シカモア・ツリー」。素晴らしいヴォーカルだ。

 ある意味、本シリーズの最後に引用するのにふさわしい曲かもしれない。シーズン2の最終話、赤い部屋のシーンでジャズ歌手 ジミー・スコットが歌ったのと同じ曲を歌うクリスタ・ベル。この寂しさはシーズン3最終話にもとても似合う。

 どんなラストを迎えるか、観る前はとにかくドキドキワクワク。何にしても終わってしまうのが怖くてならなかったが終わってしまった。 怖い? そうです、何故だか大げさだが、そんな感じだったのだ。リンチの最新作を毎週観られる充実の5ヶ月。それが終わってしまい、次週から緊迫した土曜21時を迎えられないのは、ファンとして、怖いくらいなのであるw。
 18話を観終わったらこの半年あまりツインピークスという夢を観てきた我々も夢から強制的に目覚めないといけないから、怖いと感じるのかもしれない(^^;)。

 そして観終わっての感想。
 この半年間、スリリングで幻惑的で貴重な時間を過ごせた。ここまで濃密な映像体験はなかなか他では味わったことのないものだった、というのが偽らざる感想。デイヴィッド・リンチ監督には感謝とこの喪失感を埋めるw、次への期待の言葉を贈りたいと思う(^^)。

 実は観終わった直後、最初は阿鼻叫喚だったが、今は虚無だぁ〜と叫んで町を走り出したい気持ちw。こんなドラマは他にない、と惚れた弱みで思うしかない(^^)。
 惚れたファンでリンチを取り囲み、どうなってんだ! と愛しく問い詰めたいようなラストww。あとはネタバレ感想で以下、どうぞ。

 



★★★★★★★ネタバレ、注意★★★★★★★★






◆時間改変

 「私たちは夢の中で生きている」というのは17話のクライマックスで時間軸を改変し、17話までのツインピークス世界の現実を変えてしまった、そのクーパーが語った(と思う)セリフ。 うっすらと画面にかぶるその寂しげな顔は、まるでその現実に別れを告げるように現れたかのようだった。

 そして改変された世界がテレビの前の我々に今回提示される。
 その世界は、しかし単なるクーパーがローラを救った世界ではない。17話のラストで、2017年の時間軸からのサラ・パーマーの叫び声により、改変された世界が再び異変に見舞われる。それはまるでクーパーが変えた時間軸を、もう一度、押し戻したかのようだ。

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 しかしその結果として現れた25年後(?)の世界は、我々が観たことのない異様なものになっていた。見知ったツインピークスの街は寂しげで違和感のある街に変貌を遂げ、そしてさらに登場人物は、名前が変わり、見も知らぬ人物になっている。

 通常の時間改変SFでは、ここまで世界が変わることはまずない。
 通常は25年前の改変があったとしても、人物の名前と顔までもが全く変化してしまうことはない。たとえば『バック・トウ・ザ・フューチャー』では、マーティンの父母等、同じ登場人物が改変により別の人生の過程を通ってきたことで境遇やその経験による性格の変化があるくらいである。

 しかしこのep18では、クーパー、ローラ、ダイアンという主要登場人物の名前が変わり、若干ベースの性格は似ているように見えないこともないが、全くの別人とかしているのである。

 いったい何がおこったのか。
 前述した17話のラストでのサラによる叫び声とその際の時間改変の揺り戻し。その相克によって時空が大幅に乱れて、世界が全く違う様相を呈した、というのが僕の理解である。

 そんなSF的な解釈よりも、「私たちは夢の中で生きている」と語ったうっすらクーパーの言葉、これがツイン・ピークスの世界観には合っているのかもしれない。
 現実と夢の境界が溶け、ひとつの街の住人と別の世界/時間軸の住人が融合し入れ替わる。そんな世界が最終話にしてまた我々の前に現出した。

◆ダギーの現実
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 唯一のなごみシーン(^^)。
 良かったね、ジェニーEとサニー・ジム(^^;)。この家族が今作のほのぼの担当だったので、この再開はとても嬉しい。

 17話ラストの時空の歪みもここまでは至らなかったか、、、とホッとしたが、でも考えてみるとこの後のシーンで、クーパーはリチャードになりダイアンはリンダに変貌している。
 次の朝、世界は変貌したとしたら、、、この家族も、、、。今はそんなことは考えないようにしようw。

ダギーの一言のセリフ「ここは家だ」で、クーパーというよりダギーが戻ったと感じさせるカイル・マクラクランの演技、素晴らしかった(^^)。

◆時間改変以外の変貌
 17話のサラのパワーが余波を巻き起こす。

 クーパーがローラを助けたことで、何故ローラと思しき人がキャリー・ペイジになってしまうのか?? これもサラによる時空の歪みなのか、、、。

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 ここは前述したように、クーパーによるローラ救出という単なる事象の変化でなく、サラの力で大きな歪みが生じて、いろんなものが変化してしまったと考えるしかない。

 430マイルの高圧電線の近くの地を越えた後、彼らは既にリチャードとリンダに変異させられていたのかもしれない。
 それにしてもこの流れで、モーテルでいきなりベッドシーンになるとは驚き。別れをあの長いベッドシーンはどういう意味があるのか。

 二人とも430マイルの地点から徐々に別の人間に変貌してしまうことがわかっていて、その別れを惜しんで抱き合っていたのだろうか。特にそのシーンでの二人が、主にダイアンの表情と仕草で表現されていたが、クーパー/リチャードの顔を押えて天井を辛い表情で睨んでいたのが印象的で、別れの苦しみと感じたのかもしれない。

◆オデッサの謎
 そして前の記事で書いた謎の「ジュディ」の名前を冠したレストランの登場。
 でもジュディの店は、ジェフリーズの言う「シアトルの店」ではなかった。なぜなら、ツインピークスから430マイル以上を走った場所がジュディの店のあるオデッサの街だから。ジェフリーズの言った「シアトル」なら、ツインピークスからはわずか数十kmの距離。

 オデッサで検索すると、一番にテキサス州の街がでてくる。
 wiki「オデッサ(テキサス州)」によると、18話で出てきたオデッサの街の看板にあった「POP 99940」と同じ人口99940人(2010年の調査によると記されている)。

 で、ワシントン州スノコルミーまでで距離を見ると、1800マイル(2880km)と凄く遠いことは間違いない。で、クーパーとダイアンが車に乗った距離430マイル(688km)との整合はない。430マイル地点を過ぎたところのモーテルから、一晩で別の2200kmほど先のモーテルへ空間転移したのか??

 そしてキャリー・ペイジの部屋に置かれた射殺屍体。腹の緑の変なものがカビの様に見えたが相当に時間が経っている?、あれはなんなのだろう。18話最大の新たな謎かもしれない。

 この屍体役、Facebookで教えて頂いた情報では、ダギーの借金取り立てにジェニーEが会った2人組のうちの1人が演じていたらしい。どんな時空のつながりなのだろう。

◆オデッサからツインピークスへ
 グーグルマップで、オデッサからスノコルミーの経路を見ると、テキサスから、まず(ホワイトサンズのある)ニューメキシコ州ロズウェル!とインディアンの地 ナバホを通り、コロラド州、ユタ州、アイダホ州、オレゴン州、ワシントン州というコースになる。今回の舞台になったラスベガスとかはある程度の近くだけれど、通らない。

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 長いリチャード/クーパーとキャリー/ローラの車のシーンで思わず(1〜18話で初めて)時計を見てしまった。あと20分しかない!! どう終わるんや〜〜って。

 で、そのままずっと車の無言シーン!! 残された謎は満載なのに、ファン、まさに阿鼻叫喚w。

 そしてローラの家と思って訪ねたアリス・トレモンドの家、元はミセス・チャルフォンの家と言ってた。で、以下のサイトだと、トレモンドとチャルフォンという名は、、、。

ツイン・ピークス THE RETURN 第18話ネタバレ解説 – Twin peaks Japan

"ミセス・チャルフォンは、「FWWM」で、コンビニエンスストアの上にいた老婆です。あと、チャルフォンのトレーラーハウスの床下で、指輪を発見したデズモンド捜査官が消えました。重要人物です。「トレモンド」という名前も、蘭を育てるハロルドのエピソードで出てきました。チャルフォンとトレモンドは同じ人物だったはず。"

 あの謎の老婆 トレモンド夫人。
 もしかするとあの老婆とその孫の不思議な少年(FWWMでリンチの実子が演じた役)は、異世界間を自由に行き来する、2つの世界をつなぐミッシングリンク的な存在なのだろうか、、、。もはやこの謎もいろいろな憶測を我々ファンの脳内に渦巻かせる事象のひとつにすぎない、、。

◆フィクションから現実へ、そして再びフィクションへ
 「映画秘宝 17.12月号」の滝本誠師×高橋ヨシキ対談によると、ローラの家の住人 アリス・トレモンドを演じていたマリイ・リベアーは、ローラの家としてロケで使ったあの家の本当の住人らしい。
 
 なんという事実。
 これは、シーズン1,2〜シーズン3の17話までが夢/フィクションで、この18話が現実だ! とでも言っているのか。
 そう考えると、先に述べたオデッサのリアルな人口との整合、普通の映画のシーンと異なり、まるで現実の長距離ドライブの様に無言のシーンが続くところ等、いずれも現実に帰ったことを明示しているかの様だ。

 我々は、ツインピークスの世界から、現実のテキサス州オデッサとワシントン州「ツインピークス」の街に戻ったのであろうか。

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 そんなローラの家で迎えるラストシーン。リチャード/クーパーがつぶやく「今は何年だ?」のセリフに続く、「ローラ!」という低い叫び声(サラ・パーマーの17話の叫びだろう、それしかないはず)を聴き、覚醒した様に叫ぶローラ。

 我々は現実に帰ったかと思ったら、あのラストでまたツインピークスのフィクション世界に引き戻され、もうそこから戻ってこれない現実に居続けるしかない、という訳なのだろうか。

 観た後に感じた阿鼻叫喚と虚無感は、リンチによって仕掛けられたこうした迷宮の罠に閉じ込められた我々の無意識が叫ぶ理性の断末魔の声だったのかもしれない。

 やはり凄いドラマだ! まだこの世界はリンチによってフィクションに絡め取られたままだ。なので、一週間経ってツインピークスのない土曜21時を迎えても、思ったよりも喪失感がないのかもしれない、、、、。

 それにしても、リンチ、まさにトラウマと唖然の中間くらいに落として、そしてエンディングのリンチ/フロストプロダクションとSHOW TIMEを無音にして視聴者の心に強烈な虚無を生成するという離れ業。 途中の無言のドライブシーン、ローラ絶叫の後の放送事故的真っ黒静寂画面も同様の効果をもたらしている。

 最後に、やはり惜しかったのはWOWOWのクレジット。他のエンディングシーンと同じく、何で無音にしないんだ! と強く突っ込んでしまったのは僕だけではないはず。 

◆関連リンク
映画秘宝 17.12月号 株式会社洋泉社
 “タキヤン×高橋ヨシキ対談、決着はどうつける?
 『ツイン・ピークス The Return』通信 最終回。第14話~18話完全解説!/In Memory of “TWIN PEAKS””
 ネタバレが怖くて買えなかった「映画秘宝 17.12月号」をamazon マーケットプレイスで購入。デイヴィッド・リンチファンとしての僕の心の師 滝本誠さんと、高橋ヨシキ氏の14-18話、一気見後の熱い対談でお薦め(僕は映画秘宝初購入号)

Jimmy Scott-Sycamore Trees (Twin Peaks) - YouTube
 ツインピークス シーズン2の最終回を飾ったジミー・スコットの"シカモアツリー"。
[COLUMN] ツイン・ピークス The Return 観察日記(第18話) – | HERE I AM | AKIRA MIZUMOTO WWW

“ というわけで、25年ぶりの新作が完結した。
 オードリーはどうなった? とか、全裸で見つかったジェリー・ホーンは? とか、そんな些細なことを気にしている場合ではない。
 なにせこの最終回は新作の第1話から第17話まで、あるいは旧シリーズの序章から29話までと同様の展開を、たったの60分で描き切ってみせたのだから。
 シリーズを見通した上で、ぼくの思うところはこの〈観察日記〉を来年ZINE化する予定なので、そこで詳しく書こうと思う。(中略)

 しかし、これもまた〈6〉の電柱と同じことだ。
 悪の象徴としてローラたちの前に度々出現する存在───というだけで、深く考察したところでなんの意味もない。

 さて、もう一度書こう。
 ツイン・ピークスに謎など、なにもなかった。
 すべては繰り返される輪の上の出来事で、どこが始まりでどこが終わりでもない。
 過去が未来に、未来が過去に影響を与え、クーパーはローラを……いや、リチャードはキャリーを助けるために、ぐるぐると廻り続ける。
 シーズン4があろうと、シーズン100まで続こうと、もはやぼくは気にしないだろう(もちろん見るけど)。

 あなたがもしこの〈TWIN PEAKS THE RETURN〉で答えを見つけられなかったのなら、クーパーのように何度でも赤い部屋のカーテンをめくり、はじめからやり直せ(RETURN)ばいい。

 こちらはミズモトアキラさんの観察日記。
 いろいろと斬新な解釈がされていて、大変興味深い。この引用だけではそこがわからないと思うので、是非全文を読まれることをお薦めします。黒クーパーとダイアンの実態、最後のシーンでサラの叫ぶ「ローラ!」という言葉の真相。素晴らしくラディカルな読みがなされていてスリリングな論考です。ZINEでのさらなる詳細化もとても楽しみです。
内藤理恵子さん、twitter
 解釈できたそうです! 考察を楽しみにしましょう!

Twin Peaks final episodes synced - YouTube
 これは面白い!「これは未来か、それとも過去か?」というのは、この動画の共時性みたいなことを言ってるんだろうか?
Twin Peaks The Return Synced Ending [Synced 17&18] "Happy Ending" Theory - YouTube
 こちらも核心に迫ってますね。

ツイン・ピークス The Return 登場人物相関図
 毎週更新されている、ネタバレ注意。

◆関連 当ブログ記事
分析『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第17話 と 『ローラ・パーマー最期の七日間』と『もうひとつのローラ・パーマー最期の七日間』、そして『ツインピークス 序章』比較
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第17話
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第16話
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第15話
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感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第13話
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第12話
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第11話
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第10話
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感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第4話
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第3話
動画『ツイン・ピークス』ペンデレツキ「広島の犠牲者に捧げる哀歌」
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第2話
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第1話 

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2017.11.29

■分析 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第17話 と 『ローラ・パーマー最期の七日間』と『もうひとつのローラ・パーマー最期の七日間』、そして『ツインピークス 序章』比較


Twin Peaks: The Entire Mystery/Missing Pieces (2014) - Official Trailer HD - YouTube.

 最終回に向けて、『ローラ・パーマー最期の七日間』( "Twin Peaks:Fire Walk with Me (1992)" )と『もうひとつのローラ・パーマー最期の七日間』( "Twin Peaks : Missing Pieces (2014)" )、そして『ツインピークス 序章』(パイロット版) を見直した。まずは謎の存在、ジュディについてのメモ。

 



★★★★★★★ネタバレ、注意★★★★★★★★



◆ジュディの謎
ミズモトアキラさんの観察日記より、以下引用

"ブリッグス少佐が姿を消す前、『ある存在を発見した』とわたしとクーパーに報告してきたんだ。それは究極的な負の力(An Extreme Negative Force)で、かつてはジャオデイ(Jowday)と呼ばれていた。やがて時間が経ち、その名は変化し、ジュディ(judy)となった。クーパーとわたしと少佐はそのジュディを探す計画を立てた。"

 17話でゴードンが語った「ジャオディ」って、またチベット関係かと思ったが、ググってもそれらしき言葉は見つからない。ジェフリーズが、黒クーパーに対して「既にジュディに会っている」と言ってたので、一体正体は、、、?

 という最も謎の存在、ジュディについて、過去作から紐解いてみる。

『ローラ・パーマー最後の七日間』

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① FBI フィラデルフィアのゴードンの部屋に現れたジェフリーズ。部屋に入るなり「ジュディのことは話さない。彼女の話は一切禁止だ」とゴードンとクーパーとアルバートに突然語る。

『もうひとつのローラ・パーマー最後の七日間』
② ホテル(ブエノスアイレス?)の受付でジェフリーズ「ミス・ジュディはここに宿泊を?」

続いて、上記と同じゴードンの部屋で、同じセリフと加えて以下のセリフ。
③「ジュディも確信している」
「やつらの集会を見た。コンビニエンスストアの上だ」「夢だった。僕らは夢の中で生きている。」アルバート「シリアルが降っている夢か?」と混ぜっ返すw。

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④「ちくしょう、そうじゃない。シアトルのジュディの店で何か見つけたんだ」「やつらがそこにいた。何時間も黙って座ったまま。やつらをつけてった」「指輪。指輪に」。ゴードンの言葉に「5月(メイ)。2月。1989年?」と言ったと思うと消えるジェフリーズ。

次のシーンはホテル(ブエノスアイレス?)の階段に突然ふっと湧いて出て叫んでいるジェフリーズ。

 これだけの情報がジュディについて明らかになっているのだが、もう消去法的に考えて、ジュディが人だとしたら、あの蛙蛾が入ったあの人しかいないはずなんですが、、、。

 シアトルの店が、あのコンビニエンスストアのことなのか…。それにしても何故シアトルなんだろう?
 

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 今調べると、シアトルってワシントン州で、かのツインピークスの町のロケ地であるスノコルミーから僅か30kmくらい。ということはツインピークスに最も近い都会。あの人が若い頃に、店やってても不思議はないか!?

 そして17話でゴードンによって語られたジュディの謎。「究極的な負の力」という存在。
 これと上記ジェフリーズの語った言葉から考えると、「やつらのいる店をシアトルに持つミス・ジュディは、究極的な負の力と呼ばれる存在である」となる。

 そして16話のジェフリーズの言葉から黒クーパーが既に会っていることもわかっている。ジュディって、女なんだよね。それとも抽象的存在何だろうか??

 にしても、FWWMで全く回収されないこの謎を仕込んだのも、25年後を考えてたのか…恐るべしリンチ!

◆17話と過去作との映像比較

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 ツインピークスのパイロット(序章)と17話の映像比較をしてみました。左が序章、右が17話。序章のジェシー登場の冒頭シーンから歴史改変されるピートの釣りシーンまで。

 4:3 サイズのTV画面の上下を切って、ハイビジョンの横長にしているのがよくわかります。

 ただピートが歩くシーンは横長にするのに、新たに左右の映像が追加されてますね。

 あと比べるとジェシーのアップカットの入る位置が違うとか、ピートが製材所を出て歩き出す位置が序章では手前になっていたり、ローラに気づくシーンが丸ごとカットとか、編集が変わっていることに気づきます。

 音響的には、どちらも女の声が被っていること(ジェシーの悩ましい声)。ただし17話はシーンの後半で、(たぶん)サラと思われる女の嗚咽のような声がかぶせてあります。うしろのパーマー家のサラの恐ろしい声のシーンの前振りですね。時間線が捻じ曲げられるのに対する怨念の声。

 最後のピート釣りシーンは、もちろん新たに作られた映像です。

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 これはダイレクトに歴史が改変された瞬間。左 FWWM、右 17話。
 FWWMのシーンからローラが削除されているのがわかります。あとFWWMではレイがタバコを顔の真横に持っていくところまで映っていませんが、17話ではタバコを真横まで持っていく新しい映像(FWWMでカットされていたコマ)が使われているのが分かりました(細かい話ですw)。

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 左 FWWM、右 17話。
 リーランドがバイクでローラとジェームズが走り出すところを睨むシーン。若干、17話は画像のトリミングがなぜか変わっています。
 下も若干トリミングされていますね。

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 左 FWWM、中もうひとつのFWWM、右 17話。
 ジェームズがバイクで迎えに来て、ローラを乗せるシーン。
 カメラの位置が3つとも違います。FWWMは、もうひとつのFWWM映像の一部 2人をアップに拡大してあるみたい(画像が荒い)。
 17話ではカットしてた別位置から撮ったシーンが新たに使われているのが分かります。

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 左 FWWM、中もうひとつのFWWM、右 17話。
 バイクが走り出すシーンも3つ比較。両脇は同一映像のカラーとモノクロです。もうひとつのFWWMのみアップ。

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 これが最後(疲れたw)、左がFWWM、右が17話のパーマー家リビング。
 当然25年の時間が経っているので、様子がずいぶん違いますが、ローラの写真だけが同じ位置に飾られている。しかしこの後のひどい仕打ちを考えると、、、。

 ということで映像比較レポートでした。

 あとFWWMを観て気づいたのは、コンビニの2階にいるイスラム風の男。クレジットはウッズマンとなっている。
 そしてこれがシーズン3では、黒いウッズマンに変わった。
 ここはおそらく911を経て、アメリカ国内のイスラムへの受け止め方が大きく変わり、その偏見に結び付けないための方策だったのだと思う。

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2017.11.27

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第17話


Julee Cruise - "The World Spins" (Twin Peaks 2017) - YouTube

 いよいよ17話、まさに大団円に向かう大きなうねりの回。そしてここに来てジュリー・クルーズのこの曲が流れるラスト!

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 前回がダギー・クーパーによる「明」のツインピークスとすると、今回は悪クーパーによる「暗」のツインピークス。いろんなことがこんな形で集約するとは ! 、という驚き!

 クライマックスの大ネタで、リンチの中で最高のSF映画にいまのところ成就。その結末はまだ来週に持ち越されているけれど、それが今回のラストをひっくり返す雰囲気もあり、まだまだ目が離せない。

 16話は高いテンションがずっと冒頭から維持され、最後までクライマックスのような緊張感が続く。
 いままでの16話分、それだけでなくシーズン1,2と映画版で貼った伏線、ギリギリと蓄えてきたテンションがここへ来て、解放された感じ。いろいろな伏線がラストへ向かって収束し、そして解放されるカタルシス。

 twitterで実況した人たちのコメント読んでたけれど、途中で「ひどい!」と怒ってる人も少数はいたが、大部分がこの急転直下の大団円に興奮しているのが伝わってきた。これでこのシーズン3の18話、DVD/ブルーレイが出た時に、胸を張って大推薦できることが確定(^^)。

 ということを書いて、17話の感想を先週中にあげることができず、実は今回、既に最終回放映後にこの記事をまとめていますが、衝撃の18話については、また来週、落ち着きを取り戻してから書いてみます。ので、今週はこれでご勘弁下さいw。






★★★★★★★ネタバレ、注意★★★★★★★★






 怒涛の展開は、冒頭のゴードンの「ジャオディというネガティブな力」についての語りから始まり、電線を流れる電気と追走する悪クーパー。座標への到達。巨人の登場と黒い鐘群。保安官事務所でのスリリングな展開とルーシーとフレディの活躍。まさかのNAIDOの変異。そして315号室からのトリップ!

 それに続く大ネタは、なんとこんな展開が用意されていたとは!! という驚き。この後はジュリー・クルーズのエンディングまで、涙なしには観られなかった。
 ここからの来週が想像できません。でも貼りまくった伏線は今回の大きな新ネタの導入で、解消の糸口が見えたような見えないような、、、。

 後半のあの3人の登場、序章のリピートとその変容。やはりこれはツインピークスだ(^^)!


◆二つのシーズン3のクライマックスと最終話に向けて
 16話は明のクライマックス、そして17話は暗。
 僕はクライマックスとしてはどちらも甲乙つけがたい感じだった。そして次は ?? 正反合じゃないけれど、明暗合って感じだろうかw?

 25年後のサラの圧倒的狂気のパワーがキーになりそう。
 この流れだとサラがあの8話の少女だったことは確定だろう。
 あの巨大な核のパワーが蛙蛾に集約し口に入った。そのパワーは時空の改訂を超えるということなのかも。

 クーパーは25年前にいるわけで、サラがローラの写真を叩き潰しているのは現在。時空を超えた対決になるのか、それにしても単なるタイムパラドックスに終わらない、凄い展開が待っていそう。

 序章から何かサラって変な印象だった。ずっーと伏線貼ってきてたのだろうかw。それともリンチの無意識は、そこに向かっていたのかw。

「僕らは夢の中で生きている」

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 今までのいろんな現実と幻想のブレは、タイムパラドックスだったのでしょうか。ツインピークスの町に、ふたつのパラレルワールドが交差していた??

 この言葉「僕らは夢の中で生きている」は、文字通りの「夢」ではなく、タイムパラドックスで時間線が変化して、別のパラレルワールドに変化してしまうことを表現してたのでないか。

 つまり、この17話までの時間線の世界のことを、クーパーが25年前に戻って変えてしまうため、幻として消えてしまう「夢」と表現したのではないだろうか。
 
 それにしてもアメリカでは17,18話を続けて放映したらしいけれど、一週間余韻と次週の想像を膨らませる我々日本の観客の方が幸せかもしれない。一週間、この気持ちが延長されたのは喜ばしいかと思うw。

歴史改変とサラ・パーマーの怨念
 今のところ、タイムスリップで時間線を変更して、ローラのあの屍体が存在しない朝、ピートが釣りをする1989.2/23になったという落ちを、サラが蟲パワーで揺り戻しをかけ時空に大きな歪みを与えてるという壮大な展開に見える。

 ストーリー的にもタイムパラドックス物のSFとして、蟲パワーという新機軸でさらにドンデン返しを仕掛けるという大技に見え、次回いかにリンチが暴れようと、時空の壮大な歪みという説明が可能で、リンチ史上最高のSFになったような気がする。

 17、18話がその構成として、物語的に万能のバトンタッチとなっていて凄い。この後、リンチがどこまで暴れるかが見もの。

歴史改変の予測
内藤理恵子 のブログ: 【わかったぞダイアン】旧作ツインピークスと新作ツインピークスの「つなぎ目」がBTTFですんなり分かる!
 歴史改変の件は、仏教学者にして、ツイン・ピークス評論家(WOWOW公式番組出演の)内藤理恵子さんの推定が見事に当たりましたね。

 僕は上の推定を読んでいたので、突然のタイムトラベルと歴史改変はそれほど驚かなかったけれど、それによって、ローラを救ってしまう展開は予想外。

 それにしてもカルト映画作家ディヴィッド・リンチの映像作品が『バック・トゥ・ザ・フューチャー』をベースにしているとは。ロバート・ゼメキスとリンチの時間改変テーマ対談を是非どなたかご用意下さいw。

 しかしあの前シリーズでの信号機とか、伏線として今回の時間テーマにつながる部分、シーズン1,2で既に仕込んであったとすると凄いぞ、リンチ&フロスト!
 前作までではタイムトラベル要素はゼロ。いったいいつからこの展開を考えたか聞いてみたいものだ。

 アメリカではBTTFとツインピークスの読み解きって、既になされてるんだろうか?知りたい。例えば以下、ツインピークスを好きな人向け映画リスト。

Great Movies To Watch If You Liked “Twin Peaks” « Taste of Cinema - Movie Reviews and Classic Movie Lists
 ここでは、BTTF、挙がってないですね。ツインピークスのテイストとは、真逆なので普通挙げないかw。

Julee Cruise ”The world Spins“
Julee Cruise - The world Spins HD ( Twin peaks S2E7 ) - YouTube
 S2E7でのJulee Cruise ”The world Spins“の映像、これは涙なしには見れません、丸太おばさんもいるし…。こうした悲劇を巻き戻したくてクーパーは17話の行動を取った。極めてクープらしい善き行動ですね。

 この歌の歌詞。噛み締めてしまいます。

Julee Cruise – The World Spins Lyrics | Genius Lyrics

"Moving near the edge at night
Dust is dancing in the space
A dog and bird are far away
The sun comes up and down each day
Light and shadow change the walls
Halley's comet's come and gone
The things I touch are made of stone
Falling through this night alone

Love
Don't go away
Come back this way
Come back and stay
Forever and ever

Please stay

Dust is dancing in the space
A dog and bird are far away
The sun comes up and down each day
The river flows out to the sea

Love
Don't go away
Come back this way
Come back and stay
Forever and ever

The world spins."

◆関連リンク
ツイン・ピークス The Return 登場人物相関図
 毎週更新されていますので、最新回を見られていない方は、ネタバレ注意。
[COLUMN] ツイン・ピークス The Return 観察日記(第17話) – | HERE I AM | AKIRA MIZUMOTO WWW.

今回のエピソードなんかを見ていると、前シリーズの30本、劇場版、そして劇場版の削除シーンを集めた『Missing Pieces』を含めた全ツイン・ピークス・サーガを有機的に再構成し、『過去が未来を決定(Dictate)』する壮大な作品になっていることがわかります。

◆関連 当ブログ記事
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感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第8話
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感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第5話
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第4話
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第3話
動画『ツイン・ピークス』ペンデレツキ「広島の犠牲者に捧げる哀歌」
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第2話
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 第1話 

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2017.11.20

■感想 虚淵玄 脚本、静野孔文,瀬下寛之 監督『GODZILLA 怪獣惑星』


アニメーション映画『GODZILLA 怪獣惑星』本予告 - YouTube.

 『GODZILLA 怪獣惑星』をミッドランドスクエアシネマ2、8番スクリーンで初日に観てきた。
 まず以下はネタバレしませんが、これは新しいゴジラ映画として、何も情報なしで観に行く映画だと思う。すぐに情報シャットアウトして映画館へ向かうことをお薦め。あと劇場へ早く着いても、映画館に置いてあるチラシ類も見ちゃだめw。御注意下さい。
 情報シャットアウトして観ると、『シン・ゴジラ』とはまた別種の新しいゴジラの姿に驚くはず。特に今回は凶暴さはピカイチ、さらにその存在のSF的な設定と、さらにどう討ち取るのかという難問度合いも格別。そんなゴジラを観たい方にはまさにお薦めです。

 特に映画として、虚淵 玄の絶望が冴える。絶望のクラスでは『シン・ゴジラ』を超えるスケール。また時間スケールとそれによる進化の形が興味深い。

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  映画としては、音響が素晴らしく凝っている。熱線のショック感が凄い。これは大音響の劇場での鑑賞がお薦め。僕が観たミッドランドシネマは、ドルビーアトモスのスクリーンもあるけれど、8番スクリーンは残念ながら違う。けれども、はじめてだったけれど、この劇場の音響すごく迫力がある。またスクリーンの大きさもかなり満足できる(109シネマのIMAXと面積では結構近いのでは?)。駅からも近いし、今後、こちらも通ってみようかな。

 次に映像は、ある意味観たことのないものになっている。超硬質なセルルックCG。
 宇宙船シーンは今までの日本映像で観たことないレベル。(シドニア観てないんでそちらが既に実現していた映像なのかもしれない…w)

 機体や スーツのくたびれ感。宇宙機の重量感。いずれも米国映画のSF大作の迫力に負けていないし、独特の質感が後述するようにとても興味深い。
 『亜人』は観ていたけれどポリゴンのCG映像のレベルがさらに進化しているように思う。

 物語も音響も理解できるけれど、あの映像の質感量感の他にはない異質さは、一回では解析しきれない感じ。単に僕の映像感知力が錆びてきてるかもしれないけれど…(^^;)。ストーリーも見せるが、この映像はとにかく一見の価値があると思う。

 そしてこの映像で、今後、何が可能になるかを考えるとワクワクする。本格宇宙SFは可能だろう。
 小松左京が生きて若かったら、『ゴルディアスの結び目』の映像化を望んだかもしれない。練られた演技も邦画の実写というよりむしろ西欧映画のレベルで、存在感がとてもいい。(顔の表情はまだいまいちだけれど…)

 映像の異質感が何に由来するか。ゴジラの質感か。セルルックでのリアルな汚れ描写か。縦横無尽のカメラの動きとアングルなのか。物語の絶望と、ゴジラ映画としての異質感、そうしたものに間違いなくこの新しい映像が大きく貢献している。

 今後もこの道の進化からは眼が離せない。

◆関連リンク
『GODZILLA 怪獣惑星』は『シン・ゴジラ』がなければあり得なかった!その見どころを解説! | ニコニコニュース
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2017.11.15

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第16話


Eddie Vedder Out of Sand Twin Peaks - YouTube.

 第16話、凄かった〜。声を出して吃驚するシーンが最低でも3箇所はある!
 特に一番吃驚したシーンはこの楽曲の演奏中だった。

 いよいよ前作の続篇的な味わいが濃厚に現れ、そして物語の歯車がグルグルと強く回り始めた。
 ここまで引っ張って、溜めに溜めた水をイッキにダムを瓦解させるように放出して、視聴者の涙腺も瓦解させる。うーん、リンチとフロストの術中にハマりまくりの快感(^^)。





★★★★★★★ネタバレ、注意★★★★★★★★







◆エディ・ヴェダー「Out of Sand」
 まずは、冒頭の曲について。

パール・ジャムのエディ・ヴェダーが『ツイン・ピークス』新シリーズのために書いた新曲「Out of Sand」を最新ライヴで初披露 - amass.

"2017年に海外で放送されるドラマ『ツイン・ピークス』の新シリーズ。200名を超える出演キャストのひとりであるパール・ジャム(Pearl Jam)のエディ・ヴェダー(Eddie Vedder)が、同ドラマのために書いたと言われる新曲「Out of Sand」を最新ライヴで初披露。"

 この曲、曲想からはちょっとリンチっぽくない感じ。だけれど、ドラマのために作られた歌であるという。

Eddie Vedder – Out of Sand Lyrics | Genius Lyrics

"今は消えてしまった
私は誰ですか
私は誰だった?
私は再び来ることはありません"

 動画のエディ・ヴェター"Out of Sand"の歌詞、ラストのフレーズ。
 これは消えてしまったダギーと、本篇で消えていった悪ダイアンへの追悼歌の位置付けなのだろうか。そうやって聴くとグッとくる歌である。

ダイアンが打った座標

 「48551420117163956」は、ルース・ダメンポートの腕に書かれていた番号と一緒のように見えた。これはヘイスティングス校長秘書からレイが入手した数字と同じということになりそう。
 リチャードが爆発した岩の上の座標は、悪クーパーが入手したもう一つの座標で(ジェフリーズからか)、そちらは間違いではないかと疑った上で、まずリチャードで危険を承知で試させたということになる。ちなみにリチャードが爆散した後、悪クーパーは舌打ちしている。もう悪を極めた男だ。

◆クーパーの覚醒 !!

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 前回のゴードン・コールと電気ショックから昏睡状態となったダギー・クーパーが遂に覚醒した。
 そして覚醒後の、ツインピークスのテーマの使い方、クーパーが病院を去る時の言葉。「私がFBIだ ! 」もう最高です。

 あのメインテーマ曲が流れたら、もう駄目。クーパーが戻ってきたのと、ダギーが消えてしまったのと、両方の涙が涙腺を、、、。

 ここでのクーパーは、幼児化したダギーの中に意識としてずっと存在してジェリーEとサニー・ジムとの経験も知っていたという描写。
 ジェニーEとのカジノでの抱擁、こんなラブストーリーをツインピークスで見せてもらえるとは思わなかった! これも大きな驚きの一つ。
 ここでのナオミ・ワッツとサニー・ジム。とても素晴らしい役者さんです(^^)。

 やっとはじまったクーパーの物語。もっともっと観たいもの。
 次回、S1,2にあった「前回のツインピークスは...」というクーパーによる前回のあらすじ紹介が復活するかも注目w。僕はあれ、大好きなんですけどね(^^)。あれは吹き替え版だけのものかもしれないけれど、、、。

◆オードリーのバンバンバーへの登場 !

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 まさかのオードリーとチャーリーの登場。前回まででオードリーの昏睡状態の夢ではないかと書いたのだけれど、3回のチャーリーとの悪夢の様なやりとりで視聴者の想像のベクトルを昏睡状態ではないか、と方向付けておいてのこの驚愕。
 ひとりで大きな声を上げてしまったのは、まさにその場面。

 そして何とも凄絶なオードリーのダンス。
 あのシーンも、非現実感が漂っていた。50代のオードリーの決して優雅とは言えないあのダンスに、バーの若者たちが乗って体を揺すり続ける。そんなことが本当にあるのだろうか。

 最後にインサートされたオードリーの闘病中らしき姿。現実かと思わせてラストはやはり昏睡状態の暗示で終わるシーン。
 やはりバンバンバーは、現実と夢のひとつの結束点なのだろうか。

 なんだかツインピークスという町自体が夢のような存在として、だんだん足が透明になって幽霊化、現実から乖離してきている。
 リンチのテーマが『マルホランドドライブ』に顕著な様に、現実と幻想/夢の並立性であるとしたら、まさにこのオードリーとバンバンバーのシーンが、今作での象徴的な場面になっているのではないだろうか。

 物語としては、黒クーパーがリチャード・ホーンの父であるとわかり、ツインピークスで昏睡状態のオードリーに会っていたという以前出てきたエピソードと合わせて考えると、やはりリチャードは、昏睡状態のオードリーと黒クーパーの間で出来た子供だという推測が立つ。

 Googleで「昏睡状態 妊娠」で検索すると、昏睡状態での出産という現実の例もあるようで、その公算が大となってきたかと。まさに今回のリチャードへの仕打ち含め、酷いまさに悪魔のような男だ、黒クーパー。

ミッチャム兄弟とキャンディーズ

 ミッチャム兄弟とキャンディーズも素晴らしくいい味出している。
 まさかのダギー家前での大立ち回りを彼らの視点から見せる手際。惨劇が兄弟とキャンディーズにより、まるで夢の一シーンのように描写されてしまう絶妙の効果。

 かつて『ツインピークス』の後、WOWOWで放映された『オン・ジ・エア』というリンチとフロストによるコメディドラマがあったが、あの時、外しまくっていた(愛すべき)ギャグwがあったのも、この兄弟とキャンディーズを生み出すための実験だと思えば、あのギャグに耐えたw、われわれ観客も浮かばれようというものww。


One The Air - Episode 1 - YouTube.

 このドラマ、アルバートは素晴らしくいい味出してました。
 DVDは残念ながら日本では出ていないのです。

 ミッチャム兄弟、黄金のハートの持ち主!!


化身 ダイアンの消滅

 FBIの3人と対峙するダイアン。ダイアンの内部から悪がにじみ出て、それを抑え込もうとする真のダイアン? との相克。あのローラ・ダーンの演技、素晴らしい緊張感だった。

 ダギー→クーパーが髪の毛を抜いて片腕の男に渡していましたが、もしかして孫悟空みたいにあれで化身が出現するのだろうか? ダイアンもそうして、、、、タルパ:化身が生じるのだろうか。

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 そしてまさかのダイアンのブラックロッジへの転移。

 本物のダイアンは保安官事務所にいる、というダイアンの相克の苦悶の中からの言葉。これが本当だとすると、クーパーが示したように髪の毛から化身の種が作られるとしたら、ニセモノは同じDNAで顔が一緒だのはず、、、、。顔が違ってもいいなら、あの保安官事務所ではあの人しかいないだろう(にしても元々、本物を知っているゴードンとアルバートが、偽ダイアンは顔が違えば気づいていたはずなのに、、、)。
 まずはクーパーとの再会が見ものである。
 twitterでは、DIAN(E) と NAID(O)のアナグラムを指摘している人もいた。
 (おまけで、DIANE と (C)ANDIEというアナグラムも指摘されている。一体どうなっているんだろう??)

Muddy Magnolias - American Woman (Twin Peaks S03x1 and S03x16 Soundtrack) (David Lynch Remix) - YouTube
 ダイアンがゴードンとアルバートとタミーの待つホテルの部屋へ行くシーンでかかっていた曲、第1話で悪クーパーの登場シーンでかかっていたのと同じ曲。Muddy Magnolias "American Woman"のスローモーション版。リンチのアレンジが凄い。

Muddy Magnolias - American Woman (Audio) - YouTube
 その元曲はこれ。ある意味、歌のタルパ(化身)。 バッド・"アメリカンウーマン" 。


 来週はいよいよツインピークスに役者が集合か。ということはクーパー、RRダイナーへ? もうテレビの前にコーヒーとチェリーパイを用意して、クーパーと一緒のタイミングで食べるしかない(^^)。

◆関連リンク
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2017.11.13

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第15話


The Veils "Axolotl" in Twin Peaks 2017 - YouTube.

 第15話、今回はまずダギー〜〜! エド〜ノーマ〜!そして丸太おばさん〜〜!な回でした。 あと3話なんて信じたくない!(^^;)。

 ツインピークスまわりのいくつかの話が収束していく様子が描かれるとともに、各地での謎が、だんだんとツインピークスへ向かうことで解かれていく。

 映像の奇想と物語の結構がどうクライマックスに向けて動いていくのか、楽しみである。

 





★★★★★★★ネタバレ、注意★★★★★★★★






 今回はキャサリーン・コールソンに捧ぐでなく(それは第1話エンドクレジット)、丸太おばさんに捧げられている。本話ラストでのホークと丸太おばさんの電話でのやり取りは、とても胸に迫るものがある。キャサリーン・コールソンとリンチの長年の作品作りに対する付き合いを思って観ると、なんともこのシーン、空の映像や森の映像にもいろんな想いが籠っているような気がして、グッとくる。

 丸太おばさんに追悼の意を改めて捧げたい。黙祷。

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◆ダギーの覚醒
 まさかの『サンセット大通り』での「ゴードン・コール」という言葉による覚醒への一歩。そしてコンセントにフォーク!
 コーヒーとチェリーパイの同時食で覚醒かと思っていましたが、意外な展開。

 ゴードン・コールのシーンは、ビリー・ワイルダー監督『サンセット大通り』のこのリンク先のパートから。
 この『サンセット大通り』、リンチが好きな1950年の映画だけど、ハリウッドの裏側を描いた、モノクロ映画とはいえ、今見ても古びていないノワール。未見の方は是非ご覧ください。ちなみにリンチの自宅の玄関には、この『サンセット大通り』のポスターが飾られているらしい(右図がそれと同じものかは不明)。

◆コンビニエンスストア
 あの8話でウッズマンたちの溜まり場となっていたコンビニエンスストア、そのトマソンな階段が、こんな世界につながっていたとは。

 そしてジェフリーズに通じる謎のホテルと"Bosomy woman"とクレジットされている謎の二人の女/男?。Bosomyって調べると豊かな胸の女となってて、でも顔つきが男でまたもや謎の存在。

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 コンビニエンスストアのないはずの二階でウッズマンの一人がテレビ?の裏の電気スイッチ?をいじった際に、放電とともにインサートされたピエロのような赤い鼻の人物。この人はJAMPING MANとクレジットされているが、映画『ローラ・パーマー 最後の七日間』にも出てきたキャラクターに似ている。

 しかし変わり果てた姿のジェフリーズは、この者たちと一緒にいるということはブラック・ロッジ側ということなのだろうか。黒クーパーとも繋がっているようなので、そうなのかもしれない。しかしあの釣り鐘のような姿は、ホワイトロッジの巨人側のアイコンのようにも見えるため、ここも大きな謎である。

◆不思議なバンバンバーの女とダギーの同期

Twin Peaks Compared: Cooper and Ruby crawling - YouTube.

 バンバンバーのシートに座っていた女 ( WOWOWの字幕でルビーと表記 ) の不自然な膝まづく姿。このシーンと同じく膝まづいたダギーの姿を並行で比べて映した動画。ラストまで見てもらうとわかるが、ダギーが感電するのとルビーが叫ぶところが見事にシンクロしている。この同期を見つけた人は凄い。そして、仕掛けた方も。

 女優はクレジットからはシャーリン・イー。リンク先の説明では、あれ、少女と思ったら31歳。

 この同期が何を意味しているのかは謎であるが、どこかバンバンバーに漂う異世界感がその理由なのかとぼんやりと思ってしまう。

◆オードリーの迷宮

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 オードリーとチャーリーがなかなかバンバンバーへ外出できない。
 外出できないことから、ネットで噂されている様に、やはり前作からオードリーは昏睡状態のままで動かない身体に閉じ込められてることが、部屋から出られない悪夢になってるというイメージが感じられる。
 ただそうするとリチャードがどう生まれたかという謎が…。
 リチャード含めオードリーの夢というのは、あまりに安直だし(^^)、そうするとバンバンバーやいろいろも夢ということになってしまう。

 既にツインピークスの街は、そうした現実と幻想の淡いに落ちているということなのか、、、、オードリーを起点にして、現実と幻想の境がどんどん幻想側にとろけている印象で、今後の展開がスリリングである。

◆関連リンク
ツイン・ピークス The Return 登場人物相関図(twitter やすなおさん作成)
 日々更新されている相関図。カラーで画像も凝っていて、そしてとても見やすい素晴らしい出来です。
『ツイン・ピークス ファイナル・ドキュメント』
 マーク・フロストの本、12/22日本語版発売予定。本篇で謎になっている部分の設定もいろいろと書かれているようです。

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2017.11.08

■レポート プロジェクションマッピング レストラン “Tree by Naked Tajimi” @岐阜県多治見市


岐阜県多治見・食×アートの体験型レストラン「TREE by NAKED tajimi」10/11オープン - YouTube

TREE by NAKED tajimi(公式HP)

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 プロジェクションマッピング レストラン “Tree by Naked Tajimi” へ行ってきた。
 以前からプロジェクションマッピングには強い興味を持っていたが、田舎ではなかなか見ることができない。そんな時に、古くからの陶芸の街 多治見にこうしたレストランができたとのことで勇んで出かけた。

 プロジェクションマッピングは森の四季を描いた落ち着いたもの。ちょっと残念だったのは店内が明るいため、映像のキレが弱い。映像ファンとしては物足りない。
 時間を決めて店内を真っ暗にして映像を見せる時間があっても良かったかなと。

 でも右の写真のコーナーは、映像の落ち着いた雰囲気が素晴らしく、ここがこの技術の本領ではないかと。テーブルへの映像投影もここにはあるし。次はここで一度、食べてみたいもの。(今回は別のテーブルで、そこへの投影はなかった)

 全体として、料理も美味しかったのでお薦め。
 自分の趣味だとアンジェロ・バダラメンティの音楽流して、もっと暗い森にして、リンチ映像を流して欲しいけど(^^)。そんなツインピークス レストランが出来たらいいなあ。でもプロジェクションマッピング式なら、このレストランのアプリを入れ替えれば、実現できるんですよねw。

 あとは以下、撮ってきた写真アルバムです。

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◆180度パノラマVR 写真 (Entapano VR)
 プロジェクションマッピング レストラン “Tree by Naked Tajimi” | Entapano VR
 こちらにも写真を掲載しました。

◆関連リンク
・食×アートのレストラン「TREE by NAKED yoyogi park」体験レポート。代々木公園に7月28日オープン - T-SITE LIFESTYLE[T-SITE]

 Tree by Naked、元は東京で、代々木と丸の内にもあるよう。特に丸の内のVRレストランはもっと手が込んでいるようで行ってみたい。

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2017.11.06

■感想 『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第14話


Lissie - Wild Wide West | Twin Peaks | Part 14 - YouTube.

 第14章全体もいろいろな進展があり、盛り上がって素晴らしかった。そして今回のエンディング曲 Lissie “Wild Wide West”もとても雰囲気が合っていて良かった。

 サウンドデザインでクレジットされてるリンチ、ロードハウスのエンディング曲のサウンドミキシングも担当してるんじゃないだろうか。正にリンチサウンドになっていて、低音の張りとか素晴らしい。やはりいつか劇場で全話爆音上映が観たいもの(^^)。

 正に怒涛の展開(とリンチの暴走w)。
 まず森のシーンが、素晴らしかった。ホークが先頭でラビットパレスから座標へ向かうシーン、コマ落としかスローモーションか分からないが、映像のスピードが遅くなったようで、森の重苦しいイメージが迫ってくる感じ。昼間なのに闇が迫ってくるようなあの雰囲気。そして行き着いた先には、、、。

 





★★★★★★★ネタバレ、注意★★★★★★★★



 まさかのNAIDOの登場。そしてアンディの転移と巨人との会話。アンディが消えた瞬間、思わず声を上げてしまった。なぜアンディなのか!?もしかしてチーズのみのサンドを食べたから(^^;)。

 てっきり今まで出てきたいくつかの座標は、全部ツインピークスの森につながっていて、大団円の舞台になるかと思っていたが、あっさり14話で登場。
 いったい登場人物たちが一堂に会する大団円はありえるのか。リンチなのでそうした予定調和はないのかもしれない。

 ジェームズとグレートノーザンの警備員をやってる、謎のイギリス人フレディ・シーケス。緑の右手袋が面白い着想。消防士(巨人)がツインピークスにTrueなメンバーを集めているのか!?
 緑の太い手からハルクを思い出した僕は、クライマックスでアベンジャーズ張りに、森でのブラックロッジ側との大決戦が展開されるシーンを夢想してしまった(^^;)。リンチではありえないww。

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 そしてリンチが好き放題夢で会いたい女優と会う企画 第一弾(^^)。モニカ・ベルッチ。このシーンで出てくるセリフがとても意味深なので以下引用。

[COLUMN] ツイン・ピークス The Return 観察日記(第13話) – | HERE I AM | AKIRA MIZUMOTO WWW

"モニカ・ベルッチ「わたしたちは夢のなかを生きているみたいなもの。まるで夢見人よ。夢を見て、それから夢の中で生きつづけるの(We are like the dreamer who dreams and then lives inside the dream)」
ゴードンが「理解した」と彼女に答えると、モニカはこう言葉を続けた───「でも、その夢を見ているのは誰?(But, Who is the dreamer?)」"

 これ、最近のリンチ映画のメインテーマと思えるのは僕だけだろうか。『マルホランドドライブ』に顕著なように、現実と夢の近似がリンチの描いているもので、それは想像するに老齢になったリンチが現実を振り返って、夢との差異がつきにくいという認識を持ち、その感覚をベースに映画という幻を撮っている事につながるような気がする。

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 特に今回、素晴らしい幻の映像となっていたのは、アンディのホワイトロッジ(?)のシーン。あの黒と白のトーン。光のイメージが幻想絵画のようだ。

 映画という幻と現実という夢。リンチ映画が不思議に溢れているのは、そんな夢を映像で描いているからじゃないかと、ぼんやりと思って今シーズンの今までの14話分を眺めていたので、今回のこのセリフがダイレクトに刺さった。はてさて我々はリンチの夢のどんなゴールに連れて行かれるのか。あと4本。

 いつもバンバンバーで最後に出てくる物語に直接絡んでいない女の子たちとか、さらにその会話で語られる人物、そしてチャーリーたちの会話に出るビリー、、、、。
 あの女の子たちはローラ・パーマー予備軍でいつか殺されそうだし、その他にも悪の香りが漂っているし、ツインピークスの奥深い闇の表現なのかもしれない。
 もしかするとこの後のクライマックスで一堂に彼らが悪の側として一斉に登場するのか、、、期待。

 そして最後に、セーラ・パーマー。
 前回から相当に不安定な心的描写がなされていたが、今回それはピークを迎え、禍々しいシーンがツインピークスの酒場に現出。
 まるで口裂け女のようなシーンに、あまりに大胆な描写に仰け反りつつも、セーラは、シーズン1,2でも狂気を垣間見せていたけれど、やはり異形の存在だったのかと納得。ある意味、リーランドよりも凄まじいかもしれない。
 ローラの悲劇がさらに深くなった瞬間なのかもしれない。

◆関連 当ブログ記事
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第16話
感想『ツイン・ピークス The Return』(Season 3) 2017 第15話
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2017.10.30

■感想 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『ブレードランナー 2049』


Blade Runner 2049 Trailer #2 | Harrison Ford, Ana de Armas, Ryan Gosling, Jared Leto - YouTube.

 上記動画は予告篇ですが、かなりストーリーに踏み込んでいるので、視聴はご注意ください。

 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督『ブレードランナー 2049』IMAX 3Dで観てきた。
 白紙で観るのをお薦めしますので、まずはネタバレなしの感想ですが、未見の方は御注意を。



 『ブレードランナー』の正に正当な嫡子であり、ドゥニ・ヴィルヌーヴの正統SF映画である傑作、これが見終わったあとの感想である。

 見事に前作のテーマと物語の続篇として成立し、そして新たに追加されたヴィルヌーヴ印の新作映画としての、本格的なSFの香り。その香りは、前作のテーマを深化させて、レプリカントと名付けられたアンドロイドの進化と孤独を見事に描き出している。

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 SFとして、今回もちろんブレランのサイバーパンク的な継承は溢れている。しかし、この映画は、原作のフィリップ・K・ディックやサイバーパンクの代名詞であるウィリアム・ギブスンというよりは、ジェームス・ティプトリー・Jr的ではないか、というのが僕の感想。

 本作で凄く良かったのが中盤から後半で出てくるSFの大ネタ二つなのだけれど、それらがとてもジェームス・ティプトリー・Jr的だったのだ。

 もちろんティプトリーもサイバーパンクの文脈で語られることの多い作家だけど、『ブレラン』の1982年より遡る70年代の彼女のある傑作短篇を想い出させる秀逸なSFイメージが今作のある意味でのコアになっている。

 ディックに比べて映像化では作品数に恵まれていないティプトリーだけど、今作は彼女のSFイメージと作品のハート部分をうまく映像化している作品と捉えることもできるのではないかと。僕の思い込みかもしれないが、、、。

 ハート部分は、ジェンダーの問題と新たな地球上の知的存在(レプリカント)の存在をめぐる部分。ティプトリーが描いてきた宇宙の知的存在の有り様みたいなものがうまく今回の物語に表現されていると感じたのは僕だけだろうか(今のところ、twitterとかFacebookのキーワード検索で調べても引っかからないので、個人的な受け止め方かもw)。

 

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 ヴィルヌーヴは、『メッセージ』でテッド・チャンのSFを見事に映画化した監督ですが、おそらくティプトリーとかそうしたSFも読んでいるんじゃないかと思わせる、見事なSF小説のコアエッセンスを自作に取り込んでいる作家と言えるのではないだろうか。(今作の脚本は前作と同じハンプトン・ファンチャーマイケル・グリーン、『メッセージ』はエリック・ハイセラーということで、物語にどれだけヴィルヌーヴが入り込んでいるかは不明だけど、、、、w)

 あと映像としてリドリー・スコットの前作にリスペクトしながら、酸性雨の2019年の都市は、雪と乾いた砂漠の未来都市のイメージが映画として混入し、そうした映像感覚は、『複製された男』『メッセージ』にも通ずるヴィルヌーヴ風の映像。そして3D映画としての立体視を意識した映像レイアウトも素晴らしく正に堪能した。

 酸性雨にむせぶダウンタウンの映像は前作のモニタから、予告篇にある3D映像に変化し進化。加えて描かれる砂漠、海等の未来描写も素晴らしくアーティスティックに表現されていて、1シーン1シーンが見てて飽きない深みを持っている。

 特に前作で美しいシーンであった、タイレルコーポレーションでデッカードとレイチェルが初めて会うシーンの美しさに対して、今回はラブとKが会うシーンが光と影を見事に使い、建築のデザインは前作と随分違うが、リスペクトが明らかにわかる素晴らしいシーンになっていた。

 3Dシーンは、雪の効果、水の立体感ほか、随所に立体を意識した映像が用意されていて、高いレベルを実現している。今回、

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 ちょっと残念だったのは、ハンス・ジマーによる音楽。
 意味なくいろんなシーンで、「ドーン」という衝撃音を鳴らしているのだけれど、全体的に大仰/深刻な重いトーンで僕は馴染めなかった。新しいサントラ、という意見もあるようだけれど、確かに新しさとしては認める部分があるにしても、この映画に合っていたかというと少し違うのではないか、というのが僕の感想。

 どうしても前作と比較してしまうのだけれど、ヴァンゲリスの音楽はもっと幅があったと思う。そしてあの音楽こそがブレランでもあるわけで、音楽だけでもヴァンゲリスをベースにして、それをアレンジ形にできなかったのかと思う。

 特にレプリカントの切なさ、そして主人公をめぐる後述する愛の物語に、前作のサントラ「メモリーオブグリーン」が聴こえてこないのが残念。思い込みだけれど、あの音楽こそがブレランの真髄と感じているので、勝手に頭の中で鳴らしていたのだった。

 ネタバレ注意 




 以下に直前に見直した前作の感想を書いたが、テーマとして僕が感じるのは、記憶と新たに人間によって作られた、地球上の知的存在であるアンドロイドとAIの持つ寂寞感。

 そのテーマは、今回、主人公のブレードランナーであるKと狩られるレプリカント、そしてジョイという存在によって見事に表現されている。

 僕がティプトリー的と感じたのは、そのKとジョイの交流。そのクライマックスは町で知り合ったレプリカントの女性を二人の部屋に呼んで、ジョイがその女と同期してKと肉体的な接触を果たすシーン。

 そしてアナ・ステリン博士。彼女がヴァーチャル空間で紡ぐレプリカントの記憶の物語。

 これら二つのシーンで僕が想起したのは、ティプトリーJr.の「接続された女」である(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア, 浅倉 久志『 愛はさだめ、さだめは死 』(ハヤカワ文庫SF所収)。サイバーパンクに先立つ、ティプトリーのその作品と『2049』の共鳴は、少なくともうなづいていただけるのではないかと(^^)。

 あと関連作として思い出したのが、日本アニメの影響。
 レプリカントの捜査官であるKの部屋は綾波レイの部屋を思い出させる無機質さを持っている。またそれによってジョイの存在の鮮やかさが際立っている。

 上で書いたアナ・ステリン博士のシーンは、未来少年コナンの過去を記憶したヴァーチャルリアリティの部屋を思い出させた。ヴィルヌーヴが見ているかは定かでないが、ティプトリーの影響含め、聞いてみたいポイントである。どなたかインタビューで聞いてください(^^)。

◆関連リンク
黒酢さんのツィート

"To 3D Or Not To 3D: Buy The Right Blade Runner 2049 Ticket
『ブレードランナー2049』IMAX3D版の3D映像についてのレビュー。部分的な映像の暗さが指摘されるが、3D映像としての質の高さは太鼓判級で長尺も問題無し。撮影監督のR・ディーキンスは撮影段階で3Dを意識、3D映像も監修している。"

"R・ディーキンスはIMAXを好まないし3Dも嫌いだと明言しているが『ブレードランナー2049』をIMAX3Dで上映する以上は全てを自身で監修してプロとしての仕事を行っているという事か。"

 3Dについての興味深いツイート。嫌いだからこその見事な出来だったのかも。

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア, 浅倉 久志『 愛はさだめ、さだめは死 』(ハヤカワ文庫SF)
ブレードランナー 2049 - Wikipedia

"Blade Runner 2049 は、標準の2Dおよび3Dフォーマットに加えて、 IMAXシアターでリリースされた。 [56] 北米の映画愛好家の間で、IMAX 2D(3Dとは対照的に)の人気があったため、この映画はIMAXの劇場ではアメリカ国内では2Dでしか見られなかったが、国際的には3D形式で上映された。"

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