2019.08.21

■感想 平野暁臣編著『太陽の塔』

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平野暁臣編著『太陽の塔』(小学館 公式HP)

"再生を果たした太陽の塔の真髄に迫る
2018年3月に恒久的なミュージアムに生まれ変わる太陽の塔。
 既刊『岡本太郎と太陽の塔』とおなじく、貴重なヴィジュアル資料を豊富に収録するとともに、新たに発掘された種々の秘蔵史料を初公開。太陽の塔の制作状況を時系列で追った250枚におよぶ「実録・太陽の塔」をはじめ、本書が備える高い資料価値は、一般読者のみならず図書館や学校、研究者等の期待にも応える内容となっています。また、今回の「太陽の塔再生プロジェクト」を指揮した著者自らが著すプロジェクトの記録は後世に残すべき資料となりました。
 さらに建築家・磯崎新、作家・森見登美彦、文芸批評家・安藤礼二の論考も収録。多面的な角度から太陽の塔を読み解くヒントを満載しています。"

 平野暁臣編著『太陽の塔』読了。先日の太陽の塔の内部見学の衝撃から、建造当時の様子を知りたくて読んでみた。多数の当時の写真と平野暁臣氏による渾身の長文レポート「実録・太陽の塔」が素晴らしい。

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 写真で特に興味深かったのは、現在のリビルドで再生されなかった地下空間と空中展示の概要がわかったこと。それぞれ、人の原初的な無意識領域と進歩の先の未来を描いた展示で、中間の太陽の塔と生命の樹をセットで本来の万博テーマ空間が表現されているわけで、見学できた部分に組み合わせてイメージすることで、岡本太郎の構想にちょっとだけ近づくことができた感触。

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 平野暁臣氏の「実録・太陽の塔」は、岡本太郎の著作や対談、当時の公式記録、新聞記事、岡本敏子さんのメモ等から丹念に時系列でドキュメントとして描き出した労作。コンセプトの誕生から、岡本太郎のテーマ館プロデューサー就任の過程、精力的な組織編成と世界を飛び回ってのプロデュースの生々しい再現。まさに岡本太郎の強い想いの具現化の軌跡がトレースできて、より立体的に太陽の塔の全体像に近づくことができる。

◆関連リンク
平野暁臣さんに聞く『太陽の塔』と『明日の神話』のストーリー(ほぼ日)

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2019.08.19

■レポート 太陽の塔イルミネーションと生命の樹公開

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 太陽の塔イルミネーションと内部公開を、8/10に見学してきました。
 2018年3月の内部公開からずっと行きたかったのですが、お盆休みの3-4日前に予約サイトを見たら、夜の部が空いていたので、予約して出かけました。ちょうど夜間のイルミネーションイベントもやっていて、8/25までがお薦めです。

 太陽の塔オフィシャルサイト「太陽の塔」入館予約はこちらから。

 イルミネーションについては、こちらに情報。

"2019年7月20日(土曜日)から8月25日(日曜日)
※水曜日定休(8月14日(水曜日)は開園)

毎年恒例となった幻想的な光の祭宴を、今年は期間を大幅に延長して開催。会場全体をミラーボールの輝きでライトアップし、太陽の塔とのコラボレーションで夏の夜を華やかに彩ります。"

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 内部の「生命の樹」は、1970年の万博での展示をできるだけ再現したもの。地下展示空間は埋められてしまい、上部の大屋根も撤去されてしまっているため、当時のテーマ館の展示のうち、現在見られるのは、「太陽の塔」とその内部にある生命進化をディスプレイした「生命の樹」、そして地下で展示されていた「地底の太陽」と民俗学的な仮面を配し地下展示のエッセンスを示した導入部のみである。

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 地下展示のうちの「地底の太陽」と仮面展示は、「生命の樹」のある太陽の塔内部へ誘導する通路の短い空間に展示されている。
 当時の地下空間の「いのち」「ひと」「こころ」と名付けられた空間の雰囲気をこれらの造形物と、「地底の太陽」へのプロジェクションマッピングの映像で再現している。再現度合いは、、、当時、小学生で万博自体へは1日だけ行ったけれど、こうした有名展示はひとつも見ていない(父親が並ぶのが大嫌いな人で、大ものの展示は一切見ていないw)僕には、どの程度、当時の雰囲気が再現されているのかは比較のしようがない。

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 そして「生命の樹」のサイケデリックな色彩に頭がクラクラ。ここは、撮ってきた写真で見ているより、素晴らしい照明効果です。
 写真だけでなく、造形物を記録するため、しっかり3Dハンディカムで立体視映像撮ってきました(^^)。

 内部の広大な空間は、見学では階段で登れるのは、腕のある30mのところまで。頭までは70mということで、その巨大感が実感出来ました。

 あとネットに情報がなく心配してましたが、内部はエアコンが効いて快適な空間でした(いわゆる屋外用スポットクーラー的なものでしたが、なかなか涼しい) ので、後続を検討されている方のためにここに記しておきます。

 イルミネーションの動画は、Facebookのページに掲載しましたので、こちらのリンクでご覧ください

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 「太陽の塔」の"べらぼう"さに今だ興奮冷めやらない。
 今回、万博から数えて4度目の邂逅だったのだが、いつ見ても記憶の中のイメージを凌駕する大きさに感動。あの造形物の巨大な迫力は、まさに人類の作り上げた巨大で素晴らしいもののひとつだと思います。世界遺産のひとつとして登録はできないものだろうか。

 今回、内部に入ることで強く実感したのは、これは巨大彫刻、造形美術品という視点だけでなく、まさしく巨大建築であるということ。
 内部に人が入って行けて、その中で人が活動できることから、これは紛れもない巨大建築物でもあるわけです。改修プロジェクトを担当した昭和設計のページには、「工作物」から「建築」への変貌の推移も描かれている。

"1970年「大阪万博」の際、岡本太郎によりデザインされた太陽の塔の改修プロジェクトである。建築基準法上工作物扱いのため閉幕後は内部への立入りが不可能であったが、一般の方が入場可能な展示施設として機能させ、当時の空間を蘇らせることが今回のプロジェクトの最大の目的であった。
 耐震性能が不足していた塔は、腕より下は内側に鉄筋コンクリートの壁200mmの増打ち補強を行った。腕より上部は補強箇所が内外から一切分からないよう鉄骨補強を行い、塔内最上部のホリゾントの裏に隠しながら、万博当時の空間演出と耐震補強を両立させた。ホリゾント上部には機械排煙機を見えない位置に据え、全館避難安全検証法により密閉空間での火災に対しての安全性を確保した。"

 特に建築構造物として素晴らしく痺れさせてくれたのが、腕の内部構造。LED照明の赤と青の光で照らされた鉄骨の美しい形状は建築ファンも必見でしょう。
 元々の太陽の塔の建築物語をしっかりと読んでみたいものです。(今週のもう一本の記事でその本の感想をレポート予定)

◆関連リンク
「太陽の塔」腕の中には階段が入っている! その構造がまるでSF映画のような未来感

Reboot よみがえる太陽の塔
 これらのふたつのページに、素晴らしい写真が紹介されています。

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2019.08.07

■感想 「小松美羽展 DIVINE SPIRIT 〜神獣の世界〜」@ 一宮市三岸節子記念美術館

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 「小松美羽展 DIVINE SPIRIT 〜神獣の世界〜」@ 一宮市三岸節子記念美術館 で観てきた。迫力のある幻獣たちに圧倒されました。
 画風としては、主には上の写真の2枚に代表されるようだ。右が初期の作品で黒を見事に使ったダイナミックな画風。
 そして左が最近の作品で、鮮やかな絵の具のタッチにより極彩色の幻獣がキャンバスに所狭しと描かれている。

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 開催初日にあったライブペイントの様子が動画で展示されていた(右)。そして出来上がった作品が左の写真。
 これはライブペインティングに是非とも観に行くべきでした。近くなのに行けなかったのが残念でなりません。
 動画では、作品と同じで、ダイナミックに絵の具をぶん投げながらキャンバスと戦う作家の姿が観られます。生の迫力が想像できるというものです。

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 屏風のように横広に会場狭しと飾られた巨大な絵画作品と、彫像作品。
 この幻想味はまるで異世界の生物か、悪魔の姿を幻視して描いたもののようで、何か気配のようなものが会場に漂ってきます。

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小松美羽さんのVR作品「祈祷=INORI」がヴェネツィア国際映画祭VR部門コンペティション作品に

"「祈祷=INORI」は、日本の現代アーティスト小松美羽 氏と、世界でバーチャルリアリティの先駆者HTC CORPORATION、台湾の著名音楽プロデューサーKay Huang(黃韻玲)の三者によって共同製作されたVRインタラクティブ作品です。

 作品は、没入型デジタル環境(システム)を通し、小松美羽氏のインスピレーションが形成する精神の過程が可視化されています。

 彼女のシグネチャーともいえる「見えない世界の神獣たち」が色彩豊かに生き生きと動き、跳ね、そして体験者は神獣に導かれ、小松美羽氏のインスピレーションが形成する精神世界へと誘われます"

 またヴェネツィアビエンナーレで公開されているVR作品。何とか観る手はないでしょうか。
 ネットのプレス写真を観ると、幻獣を立体ペインティングした作品でもあるようです!HTCとのコラボとのことで、VIVEのサイトで見られるようになるのを期待したいです。

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2019.08.05

■感想 「近藤喜文展」@三重県立博物館

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 「近藤喜文展」@三重県立博物館、観てきた。美術館でなく博物館での開催で、会場入り口には写真のように、「ミエゾウ」という古代の象の巨大な化石が観客を出迎えてくれます。

 会場入って、まず『未来少年コナン』の原画、コナンがジムシーと会うシーン、ラナを抱いて塔から落ちた後の足がビリビリするシーン、近藤喜文さんの原画だったんですね。知らなかった。あの躍動感あるアニメート、素晴らしく印象に残るシーンでした。宮崎駿さんとのコラボレーション、すでにここから始まっていたのですね。

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 続いて『名探偵ホームズ』での緻密なレイアウト画、人物もメカも構図も素晴らしいですね。やはり鉛筆のタッチに痺れます。
 ほかに映像化されなかった宮﨑駿「王女と献身的な犬」のイメージスケッチ 肉感的女性の青い影の魅力。『退魔戦記』のワクワクする設定画(棚田の月とか)、「大きい一年生と小さな二年生」とか知らなかった作品の準備中の絵がとても良くって映像化されていたら、また違った日本アニメの世界が広がっていたかもと想像させます。

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 パイロットまで作られてた『リトルニモ』の映像展示も素晴らしく、早逝された名アニメーター 近藤喜文さんにより、生み出されえなかった傑作を夢想させ複雑な気持ちで会場を後にしました。

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 帰路、博物館近くの古風な喫茶店「魔愁」(『赤毛のアン』繋がりw?)で美味しいけれど苦いコーヒーを飲んで帰ってきました。

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2019.07.31

■感想 『クリムト展』@豊田市美術館

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 『クリムト展』@豊田市美術館 観てきた。
 思ったより作品数はこじんまりとしていた。
 でも「医学」1897-98年、「ユディトI」1901年、「葉叢の前の少女」1898年頃 等、堪能しました。
 金箔を使ったクリムト独自の絢爛でデカダンな油彩から鉛筆のスケッチによる流麗なタッチまでしっかりと眼に焼き付けました。
 やはり絵画の醍醐味は生で観ること。画家が描いたその絵の前に、観客自身が立って、その絵を描いた時の画家のあれこれを想像する楽しみが最高に貴重な時間だと思うけれど、最新の8K映像ならば、この臨場感はかなりの割合でモニタ上に再現できる気もして、そんな8K放送を一度試しに見てみたいと思ったり、、、。

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 豊田市美術館はリニューアルしたはずが、ほとんど以前と変わらず(チケット売場の位置は変わってたが)、期待してたのに残念。

 今回、豊田市美術館の1Fの半分、南側を使った展示でかなりコンパクト。朝一で30分待ちでチケット購入、さらに入場まで20分待ち。入ってすぐが狭いので、人が滞留、もっと広く会場を確保すべきかなあと思います。1Fの北側スペースが広いお土産ショップになっていたけど、そんなものより展示重視にして北側も絵画の展示に使って欲しかった。

 豊田市美術館は、自分がたぶん一番回数行っている美術館なので、今後のこうした絵画重視での展示を期待したいものです。

 以下、Facebookに3D風写真を掲載しているので、ご覧いただければ幸いです(^^)。

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2019.07.29

■感想 山崎貴監督『アルキメデスの大戦』


映画『アルキメデスの大戦』予告

"山崎貴監督が描く「戦艦大和」 1933年(昭和8年)、戦艦大和の建造をめぐる“机の上の大戦”が始まる。 これは、帝国海軍という巨大な権力に立ち向かい、数学で戦争を止めようとした男の物語。"

 山崎貴監督『アルキメデスの大戦』@ミッドランドスクエアシネマ、観てきました。
 冒頭から迫力のあるシーンで魅せられます。
 菅田将暉と田中泯がとにかく良い。その2人のやりとりが素晴らしい。一方、重要な会議シーンとか、他の役者陣のやりとりの緩さが気になるけれど、この2人によって映画としてグッと引き締まっているのは間違いない。






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 以下ネタバレ避けつつ書きますが、予備知識なしで観られたい方は読み飛ばして下さい。








 原作を全く知らず、予告篇くらいしか前知識なかったのだけれど、大和に込められた意味付けが凄く興味深かった。
 史実的にはこうした意味はなかったと思うけれど、現代の視点からは、象徴的にそんな意味付けがされるのはラジカルで面白い。

 戦闘機と戦艦の違いはあるけれど、その設計過程を描いているところから、宮﨑駿『風立ちぬ』を思い起こさせるけれど、この意味付けのみでは、本作の方が勝っているかもしれない。それくらい魅力的な設定だと思う。ここは原作の功績なんでしょうか。確かめてみたい。
 
コミックス アルキメデスの大戦 現在16巻 (RENTA)
 リンク先の試し読みと全巻のあらすじを読んだ限りでは、大和の意味づけについては、原作には明確な設定はなさそう。平山中将(田中泯の演じた役)が原作のどこかで語っているのかも。
 あと原作はまだ続いていて、もうひとつの太平洋戦争を描きだしていこうとしているよう。そして『風立ちぬ』とつながり堀越二郎と戦闘機開発の話も登場している。今後の原作の展開によっては、今回の映画化の冒頭シーンは、描かれない可能性もありそう。史実とフィクションの配分がなかなかスリリングな物語です。

アルキメデスの大戦 第1話 新型戦艦建造計画(コミックDAYS)
 こちらで冒頭3話分が無料で読めますが、かなり原作に近い組み立てになっていることがわかります。

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2019.07.24

■情報 「加藤泉-LIKE A ROLLING SNOWBALL」展

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左から「無題」2008年 原美術館蔵 Photo: Ikuhiro Watanabe、「無題」2019年 Photo: Kei Okano、「無題」2018年 Photo: Yusuke Sato、「無題」高橋龍太郎コレクション蔵 Photo: Tsuyoshi Saito

「加藤泉-LIKE A ROLLING SNOWBALL」 (原美術館公式)

”ハラ ミュージアム アーク(群⾺県渋川市)2019年7月13日[土]〜2020年1月13日[月・祝]
原美術館(東京都品川区) 2019年8月10日[土]~2020年1月13日[月・祝]

東京の美術館としては初の⼤規模個展となる原美術館では、新作の絵画、彫刻作品約 30 点を、元々は個⼈邸宅として建てられた独特の建築空間と対話するように展⽰します。吹き抜けのギャラリー1 では、加藤泉の新たな試みの⼀つである、⼤判のファブリックを⽤いたインスタレーションがお⽬⾒えします。ほか全館で絵画や彫刻など最新作約 30 点を展観、ストローク跡も⽣々しい加藤による表現世界の現在が出現します。

別館のハラ ミュージアム アークでは、作家秘蔵の未発表作品も交え、代表作を中⼼に約 100 点にのぼる圧倒的なスケールの作品群でこれまでの活動を振り返ります。初期作品から近作まで、未発表作品を含む約 100 点によって、作家の四半世紀にわたる活動を網羅的に紹介します。加藤の作品に登場する⼈のような形は、1990 年代半ばの彼の絵画作品に既に⾒ることができます。 初期から現在に⾄る代表作がハラ ミュージアム アークの開放的でシンメトリーな空間で⼀堂に会することによって、このモチーフが、素材と技法の幅を広げながらどのように展開されてきたのか、その変奏の過程をたどることができるでしょう。

また、⾼さ 13 メートルのメインギャラリーでは、代表的な⼤型の⽊彫作品を中⼼に、ソフトビニールや⽯を ⽤いた⼤⼩様々な彫刻作品の共演が予定されています。"

 群馬と東京で、加藤泉の作品 約140点が一堂に見られる大々的な個展が開かれている。
 なんとも言えない魅力的な/プリミティブな迫力に満ちた加藤泉作品をたっぷりと堪能できるということでこれは、是非とも行かなくてはと思う。
 
 僕が加藤泉作品を観たのは、いくつかのグループ展 (例えば「みんな、うちのコレクションです」展 @ 原美術館 (2016)) と、個展(と二人展)では 加藤 泉『はるかなる視線』展 @ アートスペースSix(2011) 『この世界に生きている – 加藤泉 × 陳飛 : LIVING IN FIGURES IZUMI KATO × CHEN FEI』展(2016) だけであるので、今回のこの機会はとても貴重で楽しみ。

 群馬県渋川市、調べてみると、東京から新幹線を使っても2時間あまりかかる。これは1日ではふたつは回れないですね。どうしよう、、(^^;)

◆関連リンク
加藤泉の全貌。ハラ ミュージアム アークで加藤泉の個展「LIKE A ROLLING SNOWBALL」を見る (美術手帖) 

"本展では、1994年から2019年のあいだに制作された143点もの作品が、3つのギャラリーと特別展示室「觀海庵(かんかいあん)」の4つで展示される。"

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2019.07.22

■感想 新海誠監督『天気の子』

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 新海誠監督『天気の子』@ミッドランドスクエアシネマ、観てきた。

 いきなりの『The Catcher in the Rye』の無邪気な登場に、新海誠健在と感じて、新宿の雑踏の緻密な美術世界にスムーズに入っていけましたw。

 今回も、初期新海作品が苦手な僕には、相変わらずだなあ〜ってちょい引くモノローグはあるけれど、RADWINPSの曲とエンタメストーリーは闊達に、微妙なところで、モノローグ的世界に行きっぱになるのを回避している。

 美術とアニメートのディテールの高精細解像度が、観客にその映像世界のリアリティーを把握させる手腕は見事で、その世界の奇想に登場人物とともに浸って行ける。

 場内は2〜30代の若者で満席だったけれど、そんな奇想は彼らにも自然に感じられたんじゃないだろうか。

 ポスターのメインビジュアルになっている空のシーン。アニメートの自由な空間描写で大空に描かれたアートが素晴らしい。雲の下、東京の陰鬱な空間に対しての開放感。言語で描けない大空をキャンバスにした、なにものかの描写が本作の白眉。

 詩的モノローグから言語空間として組み立てられていたような初期作品に対して、無意識的な言語化される前の映像的なイメージから構築された最近の新海作品らしい伸びやかな映画世界。

 主人公の選択と東京の街の変貌。水を中心に描いた今夏の『プロメア』『海獣の子供』『きみと、波にのれたら』に比べると(空に対して)水の映像は今ひとつだったけれど、そこは現出した街と主人公たちのこれからのイメージの広がりで、なかなかの傑作になってたと思う。

◆関連リンク
感想 新海誠監督『君の名は。』

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2019.07.17

■感想 「高畑勲展 日本のアニメーションに遺したもの」@東京国立近代美術館

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「高畑勲展 日本のアニメーションに遺したもの」@東京国立近代美術館

"会場:東京国立近代美術館 1F 企画展ギャラリー
会期:2019年7月2日(火)~10月6日(日)
開館時間:10:00-17:00 ( 金曜・土曜は10:00-21:00 )
休館日:月曜(7月15日、8月12日、9月16日、9月23日は開館)、7月16日(火)、 8月13日(火)、9月17日(火)、9月24日(火)"

 本業の出張ついでに一泊して、開催第1週の週末 7/6(土)に行ってきた。情報量が凄いと事前情報を聞いていたので、朝一番10:00に入って、昼飯挟んで約5時間みっちり観てきた。はじまったばかりだったが、館内はなかなかの人混み。まだ入場待ちは発生していない様だったけれど、今後、混雑が予想されるので、じっくりと観たい方は早めの見学をお薦め。

 圧倒的な資料に記憶の中のいろんな映像が刺激され脳内再生される。前半見たところで昼飯休憩しヒートアップした頭を休めた。
 前半、まず『ハイジ』まで観て、ほとんど僕は観たことのなかった直筆の宮﨑駿レイアウト、原画を舐めるように見て、その鉛筆の線に痺れ、頭の中がいい気持ちに(^^)。

◆総論
 僕はアニメーター、特に宮﨑駿とか大塚康生、小田部羊一氏の作画に興味があるため、とにかく彼らの肉筆の絵、その鉛筆の線に目がいってしょうがなかった。まさにその点でもこの展示会は、しっかりとアニメーターの作画をじっくりと観ることが出来て、とても堪能できる。観終わった後も、高畑勲の演出というよりも実はその印象が非常に強い。

 演出家を美術展で取り上げることの難しさ。それがこの観終わった後の印象にも影響しているのかもしれない。

 演出家は、コンセプトを言語化して伝えるのが仕事である。企画書も絵コンテもメモであったり、絵コンテの作画担当への口頭での依頼だったり、いずれも言語が介在する職種である(一部、高畑氏も絵を自身で描かれている展示もあったけれど)。

 それに対して、この美術展は企画メモ、構想ノート等が大量に展示され、加えて高畑氏のインタビュー映像による演出意図のビデオが飾られている。いずれも言葉での表現である。一方、大量のメモを読むのに、美術館の展覧形式は適していない。高畑氏のメモは、かなり読んだつもりであるが、読めたのはおそらく展示で示されている(メモのページがたくさんあって奥にあって見えない資料も数々あり)1/10位だったと思う。

 実は美術というのは、言語化できない領域の芸術表現である、と思っている僕は、美術館へ美術展として観に行っているので、どうしても絵に重点を置いた見方になってしまったのではないかと思う。それが観終わったあと、「東映動画初期作画展」「『カルピスこども名作劇場』作画展」といった印象を強く持ってしまった要因なのではないかと思う。

 言語で表現される演出家の「芸術」領域は、ご本人執筆の本や構想・企画メモ、絵コンテの文字部分を読むことで受け止めることができる。それは美術展というより個人的な読書での鑑賞の方がふさわしい形式のように思う。

 それに対して、演出家の言語化できない無意識の「芸術」領域とは一体なんなのだろう。もしかしたら、美術展で演出家を取り上げる際のポイントはそんなところかもしれない、とぼんやり考えていた。
 もちろん今回の展示が、その構成で描いているように、高畑勲氏が漫画映画界に残したコンセプトは、多大なものであり、その功績は膨大な展示物とその構成によって見事に表現されていたと思う。それはコンセプトとして、先に述べた言語で表現できるレベルの高畑氏の考えである。ここで触れたいと思ったのは、そこから先、演出家の無意識の表現をダイレクトに体感できるような美術展というのはどういうものなのだろうか、と夢想し考えているということです。

 絵コンテが描ける演出家はその絵の鑑賞がそのひとつとして挙げられる。加えてFOとかカット割りの演出を絵コンテで体感というのもあるかも?
 が、そう考えると、後者の場合はやはり出来上がった映像が展示されていれば良いことになる。それは美術展というより映画館もしくは劇場で開催すべき回顧上映といったイベントが適している。

 今回も館内でいくつかの映像シーンは展示されていたが、それはごく限られたシーンであり、全体の印象として演出家のイメージを十分に体感できるボリュームにはなっていない。(これは美術展なのである意味、当たり前なのだけれど、、、)

 同時期に博多で開催されている、富野由悠季展がどういうアプローチをされているか、興味深い。が、しかし静岡に来るまでは僕はいけないでしょう。(今回も冨野氏の『アルプスの少女 ハイジ』の絵コンテが飾られていたけれど、あの絵から映画監督の無意識のイメージが伝わったかというと、ちょっと違いますね。)

 高畑勲展では、そのためのアプローチの一つとして、『アルプスの少女 ハイジ』の第1話のハイジがおんじのアルムの小屋に向かっていくところで厚着の服を脱いでいくシーンの演出意図とその原画/映像展示とか、『かぐや姫の物語』のかぐや疾走シーンの演出意図と原画から映像までの多角的な展示が印象的だった。こうしたところに美術展での演出家の展示企画のポイントがあるのかもしれない。言語化されない無意識の表象としての美術、この定義自体がどちらかというと僕の個人的なものなので、より一般的な意見を聞いてみたいものです。
 皆さんはどう思われますか。コメントいただけると幸いです。

 と書きつつ、このブログでも取り上げているけれど、僕は今まで、映画監督のアート展を実はそこそこ鑑賞してレポートしている。ヤン・シュヴァンクマイエル、デイヴィッド・リンチ、ブラザーズ・クエイ、ユーリ・ノルシュテイン等々。
 彼らは、いずれもその造形だったり、絵画だったり、かなり映像作りにアート的表現が侵食している作家たちである。映画と独立してアートとしての表現も確立されているため、今回の高畑勲展とは一概に比較できないかな、と思った次第。

◆以下、各展示メモ
 いずれも会場で展示物を見て、忘れないように、iPhoneにメモを入力したものです。
 まだ図録がほとんど読めていないため、図録に書かれていたり、もしかしたら当たり前の話もあるかもしれないので、あくまでもこのブログなりの備忘録くらいとして、読み飛ばしてやってください。

◆ナウシカの映画音楽についてのメモ
「王蟲の聖なる役割につける音楽、苦悩を背負っている (しずかな) 根源的生命力
 ミュンベルクウェーベルン→バッハ
              ペンデレツキ」
 と書かれていた。ペンデレツキの陰鬱な曲が王蟲の姿にかぶっていたら、相当な迫力だったかも。

◆ドラえもん企画メモ
 「シリーズの構成は不要であり、いかにバラエティを考えるかだけが重要」。
 物語というよりショートショート的に一話ごと見せていくことの重要性を言われているのでしょうね。

◆ルパン23話 絵コンテ 一冊。ただし展示は表紙しか見えません。
 この中身が見たかった!! ハイジとかと同じく高畑氏が文字、宮崎氏が絵を話し合いながら書いていったのであろうか。
 今回の企画協力者に宮崎氏が挙がっていなかったが、その辺りの具体的な進め方が今後明らかになるといいですね。(NHK「なつぞら」で小田部羊一氏監修でそこらがドラマで再現されると一番良いのですが、、、)

◆やぶにらみの暴君
 後年、監督により再編集された『王と鳥』と高畑氏はどっちを好きだったか、知りたくなる。著作に当たれば両作への感想は書いてあるのだろうか。(『王と鳥―スタジオジブリの原点』『漫画映画(アニメーション)の志―『やぶにらみの暴君』と『王と鳥』』の2冊、読んでみないと)

◆かぐや姫 メモ
 高畑氏が1959年東映動画入社まもなく、内田吐夢監督による『竹取物語』漫画映画化の企画があり、応募はしなかったということだが高畑氏が企画を練った際の資料メモ「ぼくらのかぐや姫」「『竹取物語』をいかに構成するか」の展示。
 「美のアルチザンとしての翁の目つきに対して、かぐや姫が翁を殺してしまう」という過激なストーリー、「特に好きでもなく作りたくなかった」という当初の『竹取物語』への考え方、「音楽劇 影絵」動画として作る考えとかが読め興味深かった。

◆狼少年ケン
 24話 象牙の湖 の彦根氏との一話が高畑氏のお気に入りだったとのこと。
 僕は展示されていた、(たぶん)月岡貞夫氏のコンテの、キリンとダチョウの絵がべらぼうにうまいと感じました。目福(^^)。

◆太陽の王子ホルスの大冒険
 ここのコーナーは、制作当時の資料が相当の量で展示されていて、充実しています。
 香盤表とか、キャラクタの担当表が、制作過程をうかがわせて興味深かった。
 キャラクタについては、「作者、(作画)責任者」がそれぞれ分けて書かれ、ひとりが両方担当する場合(「氷象」は「作者、責任者」とも宮﨑駿)と、「岩男」のように分かれている場合(「作者」 : 宮﨑駿、「責任者」: 大塚康生)があったとのこと。またカットごとの原画の担当表も展示されていた。こういうのがとても興味深いが、残念ながらこの資料は図録に掲載されてなかった。

 岩男と氷象の戦いの 宮﨑駿氏の原画 5枚が展示されていた、凄い筆致で思わず見とれてしまった。
 あと大塚氏の 高畑勲と一緒に描かれた絵コンテ。その生原稿(一部、青焼き)が観られたのも収穫でした。肉筆の迫力は何ものにもかないません。

 あと宮﨑駿氏の提案書 25枚ほど。
 「シータ(ヒルダ)は ホルス(パズーという名はどうでしょう)」という名前を変えてしまう提案とか大胆。
 「全体にリアルなものにしたい」「しかしシンドバット的リアルはエセリアルなり」「東映調反対」なーんてところが変革者としての気概を感じさせます。

 森康二氏による作画修正も、ヒルダの冷たさが 口元や目の線一本のわずかの位置の違いで表現されていて、素晴らしい。

 小田部氏によるホルスの船出シーン。ここも抜群にうまいです。波含めて凄い迫力。人の手によって映像が生み出される凄みを感じさせて、漫画映画の持つ力の一端が表現されています。

◆長くつ下のピッピ
 えんとつ掃除シーンについて、「ピッピ ここで超能力を見せる」というメモ。ピッピが超能力を持っているのは知りませんでした。

◆パンダコパンダ
 宮﨑駿氏の絵コンテ 6枚、雨ふりサーカス レイアウト22枚。
 脚本準備ノートとか含めて、柔らかい線が素晴らしい。メモの「ものすごーく大きな」という表現だとか目が点で表現されているがその表情の豊かさ、このころからハイジくらいまでの宮崎氏の絵の稚気が溢れてるところがとても和みます。波の表現も絶妙で感動。

◆アルプスの少女 ハイジ
 第1話のコンテ。ここでも宮﨑駿の絵が凄い。まさに画面の原型であり、この鉛筆のタッチは、出来上がった映像を超えているのでないかというくらい、味わい深い。
 富野由悠季氏のコンテも#18が展示。

 びっくりしたのはハイジのOP。TBSラジオ アトロク(以下関連リンク参照)で小田部氏が「OPの踊りの参考にするため、宮﨑氏と小田部氏ふたりで踊ったところを8mmフィルムで撮った」と語っていたところ。なんとそのシーンの原画は森康二氏でした。それを小田部氏が修正。自分たちの姿を大先輩に描かせるという二人の若手アニメーター、凄い(^^)!
 その森康二氏原画と作画監督 小田部氏の修正が並べて展示されている。前者の柔らかな描線が良いが、キャラデザが違うため、そこは小田部氏が直しているというのがよくわかる。
 OP映像もプロジェクタで上映され比較できるようになっていたが、ここは是非8mmフィルムも合わせて上映して欲しかったのです。凄まじい展示になったのにと残念ですw。

◆母をたずねて三千里
 ここでも宮﨑氏のレイアウトが多数、見られた。
 船のロープが水面に落ちているシーンに「今日の標語 レイアウトそのままやると失敗す。信ずるな、例え天下のレイアウトでも(字あまり)」と書いてあって、笑ってしまった。

 ペッピーノ一座と寂しそうなマルコの対比。

 アメデオの原画 9枚、宮﨑氏によるとものでこれが凄い。目とアメディオのポーズ。動物の持つ知性とかわいさの表象が素晴らしい。

 「原画参考」と描かれた人形を操るフィオリーナのおそらく宮﨑駿氏による絵も、映像のフィオリーナが持っていた寂しさが生の絵としてそこにあり、どれだけ見ていても飽きることがない味わい。

◆赤毛のアン
 レイアウトは1話〜15話が宮﨑駿氏のはずなのに、展示の絵にはクレジットがない。展示されていたものの中では、46話のみ別の方のはず。何故、ここだけクレジットがないのでしょうね。こちらのレイアウトの絵も味わい深いけれど、前述した稚気というようなものは物語の違いもあり、あまり感じられません。

◆じゃりんこチエ
 レイアウトと背景画が充実。ここでレイアウト図と背景が並んで展示されていたので、じっくりと見てみた。
 以前から思っていたレイアウトでのデッサンと質感の良さが、背景画では何故かドロップしてるような気がするのは、僕だけでしょうか。

 例えば冷蔵庫と家の質感。全体のバランスよりひとつづつの事物を写実として描こうとしているからなのか、レイアウトでのいい味が十分表現されていないと感じた。

 三千里やハイジも、そういう見せ方で宮﨑駿レイアウトがどう背景画で変わったか見たかった。

◆かぐや姫のものがたり
 高畑氏の制作意図から、橋本晋治氏の作画が多面的に表現されている。

◆ミュージアムショップ
 今回の展示原画を使った絵はがきやグッズ類がたくさん売っていたのですが、アニメーターの名前は残念ながら書かれてません。
 作画監督とか画面設計とか中心スタッフ名で代表してクレジットされているのですが、権利的にはどうなっているかわからないけれど、美術館での販売として、絵をこうして売るのであれば、その原画を描いた人の名前をクレジットしてしかるべきではないだろうかと思った。
 展示としては、アニメーターの名前がかなりのボリュウムで今回表記されていただけに、そうしたところは少し残念でした。

 以上、長文で好き勝手にいろいろとすみませんでした。堪能させていただきました。

◆関連リンク
伝説のアニメクリエイター・小田部羊一に聞く「アルプスの少女ハイジ」「母をたずねて三千里」秘話に震えろ
神アニメーター、小田部羊一さんへの超貴重なインタビュー【ハイジからポケモンまで】
 TBSラジオ、アフタ−6ジャンクション公式サイト、音声ファイルあり。小田部さんと「高畑勲展」企画アドバイザーで図録の執筆もされている、高畑勲・宮崎駿作品研究所代表 叶精二さんが登場されています。

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2019.07.15

■感想 劉慈欣『三体』( 立原 透耶 翻訳監修, 大森 望, 光吉 さくら, ワン チャイ訳 )

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劉慈欣『三体』刊行記念! 短篇「円」特別公開(早川書房公式)
三連休は『三体』を読もう! 読書のおともにどうぞ! 登場人物表(早川書房公式)

 劉慈欣『三体』読了。いや〜面白かった ! このワクワク感はたまりません。3部作の続き『黒暗森林』は来年翻訳出版予定、第3部『死神永生』が出るのはさらにその先で待ち遠しくてなりません。Wikipediaを覗くと三部作の粗筋が書いてあるようですが、読みたくてしょうがないけれど、もったいなくて読めません(^^;)。

 冒頭の文化大革命の近衛兵の少女の鮮烈なシーンからはじまり、軍の巨大施設での謎のプロジェクトと某仮想世界の話が並行で進む。スリリングな施設のシーンと奇想の仮想世界。そしてそれらの交点に炙り出されるある存在とのファーストコンタクト。

 中国の理論物理学者の苦悩と、それを伏線としたある重大な決断。ここの悲劇性から描かれるのは壮大な人類の暗黒。ノワールなその後の描写とクライマックスで描かれる人類の絶望感の共鳴が絶妙。そして、、、、。

 僕はこの前半の文革の描写と中国の政治的側面からのいろんな科学者の生活上の制約のドラマ部分、そして短編「円」に代表される奇想映像(ある意味バカSFの系譜)としてのSFアイデアに痺れながら読み進めました。
 
 もうひとつ面白い縦糸は、作戦司令センターの警察官 史強の追う謎。ミステリ的に、史強の直感が壮大な宇宙の企みを予測し、そしてラストで史強が示す人類の持つべき姿勢が小気味良い。

 あと最近エンジニアの本職仕事で分子原子スケールの物理学の話題が頻繁に出てきて、ロートルエンジニアは着いていけなくなっているのだけれどw、この人類の絶望感、そんなところからも共鳴して、ある部分実感として読み終わりました(^^)。

 テクノロジーのネクストレベルはミクロな粒子をマクロなレベルで操作する(原始時代の焚き火からナノテクまで)ものではなく、ミクロ次元の制御と操作なのではないか、本書のひとつの大きなテーマです(本書 P361丁儀のセリフ)。

 このテーマからいくと、本書のクライマックスで描かれた次元を操るテクノロジーのシーンは、さらに大きく拡大し、今回の奇想シーンを超える壮大な物理学絵巻が開陳するのではないかという期待が高まります。

 中国では3部作で2100万部、英語版とドイツ語版で110万部とか発行されているようだけれど、日本でも既に発売一週間で8刷とかのようなのでヒットも期待できそう(中国の約1/10の人口の日本だけれど、さすがに200万部とかは難しいでしょうかw)。

  中国ではITベンチャー系に受けたようだけれど、エンジニアの人数データだと2014で “日本:81.9万人、アメリカ:357.3万人、中国:327.3万人”ということなので(日本国内と海外のITエンジニア人口の推移 より )、日本の4倍で大きく見えますが、2100万部÷3冊/セット=700万人に対して、ITエンジニアで半分くらいですね。あとは学生たちかな。

 映画化は中国で撮影までトライしたが完成できず(以下、関連リンクに幾つかその断片情報を添付しました)、その後、Amazonでの映像化の噂があるようですが、確かにこんな本格SF作品が映像化されたら、本物のSFブームが到来するのかも。本作は20時間くらいの大長編としてじっくりと丁寧にこのワクワク感を映像化してもらいたいものです。

 最後に、映画化よりも、まずは素早い翻訳出版を、関係者の皆様、よろしく御願い致します。早く続きが読みたくてたまりません。

◆関連リンク
中国人SF作家・劉慈欣氏の小説「三体」がヒューゴー賞長編部門を受賞(15.8/24)

"中国人SF作家・劉慈欣氏の小説「三体」が第73回ヒューゴー賞長編小説部門を受賞した。
 ちなみに、劉慈欣氏がプロデューサーとして作った同名映画も撮影を終え、2016年7月に上映される予定だ。"

中国SF『三体』の映像化はいつ? 映画化とドラマ化はどうなった?

"実は撮影も完了していた

2015年には『三体』の実写映画化が進められ、撮影が完了したという報道もされていた。ポスターやトレイラーも公開され、中国のSFファンは映画版『三体』の公開を今か今かと心待ちにしていた。当時は『さまよえる地球』ではなく、『三体』の公開が中国のSF映画を取り巻く状況を一変させると大きな期待を受けていた。"


“The Three Body Problem” movie: sci-fi made in China? 
 上のリンク先にあったメイキングらしき映像。
 
オバマも絶賛! リュウ・ジキンの登場がSFを変える

"オバマ氏は、2017年12月に北京で開催された国際教育サミットでリュウ・ジキンとの面会を果たした。オバマは、この年の1月にニューヨークタイムズのインタビューで、『三体』を絶賛していた。今回、オバマはジキンの次回作について質問し、ジキンは自身の作品の映画化についてオバマへ話をしたという。"

世界が注目する中国人SF作家、リュウ・ジキンの肖像 (Wired)

"その作風は、荒涼とした現代的なテーマへと向かいがちな最近のSFの傾向とは異なっている。彼はこうした違いの原因を、近年の中国の科学技術の向上からくる高揚感によるものだと考えている。
「中国の新しい世代は、前の世代より広い視野をもっています。彼らは自分自身のことを、単に中国人であると考える代わりに、人類の一部として考えています」とリュウは言う。「彼らは地球全体に関する問題を、よく考えているのです」"


 《三体·起源》 the three body problem · origin 中国での映画化の断片映像が見られます(フェイクかも)。
Transcript: President Obama on What Books Mean to Him (NY Times)
 オバマ元大統領インタビュー。『三体』についての部分。

"It’s interesting, the stuff I read just to escape ends up being a mix of things — some science fiction. For a while, there was a three-volume science-fiction novel, the “Three-Body Problem” series —

— which was just wildly imaginative, really interesting. It wasn’t so much sort of character studies as it was just this sweeping —

Exactly. The scope of it was immense. So that was fun to read, partly because my day-to-day problems with Congress seem fairly petty — not something to worry about. Aliens are about to invade. [Laughter]"

【緊急開催!】陸秋槎×大森望「劉慈欣『三体』日本語訳版刊行記念イベント」【大森望のSF喫茶 #30】

"主催: ゲンロンカフェ 東京都品川区西五反田1-11-9 司ビル6F
2019/07/19 (金) 前売券 1ドリンク付 ¥2,600"

◆若干のネタバレ感想
 僕は本書を初めから最後までとても面白く読んだのですが、唯一ダメだった部分は以下。
 ネタバレなので、文字をホワイトアウトしますので、読後の方は、カーソルで文字反転させてみてください。

 後半クライマックスの三体星人の会話のくだりはダメでした。感想して干物のようなペラペラの存在になる生命体が、あのように地球人と同じメンタリティで会話していてはダメかと。あれじゃまるでガミラス星人です(^^)。(『宿借りの星』を読んだ直後なので、特に大きな違和感が…)

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2019.07.08

■感想 古川日出男『平家物語 犬王の巻』

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古川日出男『平家物語 犬王の巻』(河出書房新社 公式HP)

"時は室町。京で世阿弥と人気を二分しながらも、歴史から消された能役者がいた。その名は犬王――鳴り響く琵琶は呪いか祝福か。窮極の美を求めた異貌の男の一生が物語られる。平家物語異聞。"

 古川日出男『平家物語 犬王の巻』読了。

 湯浅政明監督による映画化の報に触れてから読んだという、古川奇想小説ファンとしては恥ずかしい状況ですがw、能と琵琶の物語世界を、古川独特のスピード感ある文体で堪能できる傑作でした。

 ここでも、古川日出男の朗読を聴くと顕著に分かる演劇的な文体と、いにしえの物語を語る物語の絶妙な適合が、他にない小説空間を作り出しているのですが、犬王という呪われて能の家庭に生まれた若者が、自ら兄たちを観て必死に舞を覚えることで霊を祓い浄化していく様が、この小気味好いリズムの文体で清々しく体感できることで、読者の何かも浄化されるような気持ちのいい小説になってます。

 先日観た湯浅監督最新作『きみと、波にのれたら』 が、やはり気持ちのいい空間を提示してたので、ますます楽しみなコラボになりました(^^)。

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古川日出男『平家物語 犬王の巻』映画化決定 2021年公開

"映画『犬王』
公開時期:2021年予定
原作:「平家物語 犬王の巻」古川日出男著/河出書房新社
監督:湯浅政明
脚本:野木亜紀子
キャラクター原案:松本大洋
アニメーション制作:サイエンスSARU

古川日出男コメント
私が書いたのは芸能についての小説だ。芸能とは歌であり演奏であり、感情、感動である。私は文字だけでその物語化を成し遂げようと試みた。今回、それらは一冊の本の内側から解き放たれる。すなわち音が、声が、色彩が。それから感情が、もちろん感動が。その監督やその脚本家やそのキャラクターの設計家や、音楽家や、その他その他によって、それらはついに放たれるのだ。

湯浅政明コメント
歴史にはわずかにしか書き記されていない、「犬王」という猿楽師を大胆に解釈された古川さんの物語。野木さんの脚本。松本さんのイメージ。・・・これは面白くなるしかないですね。楽しみにしててください!"

 そして映画情報は現在のところ以上です。
 松本大洋と湯浅政明のコラボレーションというのも興味深いですが、ミュージカルというのが最大の期待。
 『きみと、波にのれたら』の歌のシーンが素晴らしかっただけに、この能と琵琶を主題にした物語で、その音楽劇がどのようなものになるか、楽しみでなりません。2年先というのは首が長くなりますが、まずは湯浅監督の『映像研には気をつけろ!』を20.1月からテレビシリーズとして楽しみながら待ちたいと思います。あ、その前に早くNetflixに入って『DEVILMAN crybaby』を観なきゃ(^^;)。

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2019.07.03

■感想 湯浅政明監督『きみと、波にのれたら』


『きみと、波にのれたら』港&ひな子の歌シーン

 湯浅政明監督『きみと、波にのれたら』@ミッドランドスクェアシネマ で観てきた。
 これは、元気が出る物語で、さらにアニメーションの自由な表現で、活き活きとしたいい映画になっていました(^^)!

 湯浅監督らしい、伸びやかな描写、幻惑的シーンが鮮やか。海のシーンはもちろん、コーヒーを淹れたり、オムレツを作るシーンさえ気持ちがいい。
 残念ながら大ヒットという感じではないようだけれど、幅広い層の観客が気持ちよくなれる映画だと思う。

 僕が観たのは週末金曜の夜の回だったけれど、客の入りは小さな劇場で半分ほど。若い人が多かったけれど、『君の名は。』の様な大きなうねりにはなっていない様だった。この原因のひとつに、宣伝がうまくこの映画の良さを表現する様に機能していなかったと思う。

 セリフを多用し物語を言葉で語り、ちょっと痛い感じの悲劇の映画のように見せている予告篇とCM。
 ああじゃなく、このリンク先の映像のような、あの2人の歌をバックに躍動感とユーモアの溢れる映像の力で、この映画の気持ち良さを存分に表現した予告だったら、もっと幅広く受け入れられたんじゃないかと、ちと残念。

 この後の口コミでの広がりも期待できるけれど、現在の予告篇を観た人にはなかなかあの印象を覆して劇場へ足を向けてもらうのは難しい気がする。

 ということで、湯浅ファンはもちろん、『君の名は。』のヒットにあやかった恋愛アニメなんて、と思ってる方にも、この映画の映像と音楽の奏でる気持ち良さを、是非伝えたいものです(^^)。

 Youtubeのこの動画、本篇と少し音楽に乗せた映像の運びが異なると思うけれど、このシーンだけでも、この映画を観る意味があるくらい、僕は好きになりました。この主役二人の歌は以下のリンク先の対談によると、偶発的にできたもののようですが、この録音ができた時に、本作の成功を湯浅監督は確信されたんじゃないかな、と思えるほどの良いイメージと感じました。

◆関連リンク
・湯浅政明×片寄涼太 対談
 この歌の出来上がった経緯とか分かる、なかなか良いインタビューです。
 主役の2人、『3年A組 』のあの2人だったんですね。

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2019.07.01

■情報 100分de名著『小松左京スペシャル』 2019年7月

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100分de名著『小松左京スペシャル』 2019年7月 (NHK 公式HP)

"「宇宙にとって人間存在の意味とは何なのか?」「未曽有の災害に直面したとき人はどう行動したらよいのか?」「本当の意味で豊かな文明とはどんなものなのか?」……人間にとって根源的な問題をSFという手法による思考実験を通して、大胆に問い続けてきた作家・小松左京(1931-2011)。卓越した日本人論,、文明論としても読み解ける小松左京作品を通して、「人間存在の意味」や「真の豊かさとは何か」といった普遍的な問題をあらためて見つめなおします。

番組では宮崎哲弥さん(評論家)を指南役として招き、小松左京が追い求めた世界観・人間観を分り易く解説。「地には平和を」「日本沈没」「ゴルディアスの結び目」「虚無回廊」等の作品に現代の視点から光を当てなおし、そこにこめられた【日本人論】や【未来論】【文明論】など、現代の私達にも通じるメッセージを読み解いていきます。

第1回 原点は「戦争」にあり ~「地には平和を」~
【放送時間】2019年7月1日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ

第2回 滅びとアイデンティティ  ~「日本沈没」~
【放送時間】2019年7月8日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ

第3回 深層意識と宇宙をつなぐ ~「ゴルディアスの結び目」~
【放送時間】2019年7月15日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ

第4回 宇宙にとって知性とは何か ~「虚無回廊」~
【放送時間】2019年7月22日(月)午後10時25分~10時50分/Eテレ"

 小松左京の作品のうち、「地には平和を」『日本沈没』『ゴルディアスの結び目』『虚無回廊』という大好きな4作が取り上げられるので、これは必見です!
 今回は紹介記事として、以上ですが、このあと、放映後の感想も載せていきたいと思っています。 

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2019.06.26

■感想 山田太一『男たちの旅路』最終話「戦場は遥かになりて」他

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 山田太一『男たちの旅路』、ちょっと前にNHKで1-3話が再放送された際に観はじめて、録画してあったDVDで全話を十数年ぶりに見直した。
写真は最終話「戦場は遥かになりて」(BS2での再放送録画版)のOPと冒頭部分。このドラマが放映された1982年の4年前にヒットした『さらば宇宙戦艦ヤマト』が10カットほど動画で流される。(しかもノンクレジットなのである。気骨があったNHKということだろうか?)

 鶴田浩二演じる特攻隊生き残りのガードマン会社の吉岡司令補が、第一作「非常階段」で若いガードマンに戦争体験を美化して語るのに対して、最終話「戦場は遥かになりて」では戦友に美化してはいかん、あの頃俺たちは…と戦争に突入して行った日本の実情を生々しく語らないといけない、と話すようになり変節している。これは第4部の1話「流氷」で水谷豊演じる杉本陽平が吉岡を北海道から連れ帰る際に、あんたらには戦争がどんな風に起こったのかを語る責任がある、と訴えたシーンの、山田太一の結論と見ることができる。

 ヤマトの映像はOPで流されるだけで、当時の世相についてもドラマ中で何も語られないが、この吉岡の発言から、ヤマトの特攻シーン、当時ブームになり好戦的な雰囲気が(特に制作側に)あったこと等から、批判的に引用されてるのは明らか。

 よく引用が許されたものだと思う。DVDでは戦争映画のポスターか何かに差し替えられてるらしい。ネットにもこのOPの画像は存在しないようなので、1つの記録として掲載します。

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 この物語が上記のような吉岡の戦争感の変節を描いたものなのに、なぜかドラマのクライマックスは自衛隊協力のUS-1を使った、このドラマシリーズらしからぬスペクタクルな雰囲気で終わっていく。もちろん自衛隊が救命隊として日本の生活に軍事的でなく有益に働いている、という非戦的な描写と考えることもできるけれど、なんだかこの勇壮な雰囲気でドラマの本筋が鑑賞後に余韻としてあまり残らない感じになっていたのは何故なのだろう、とか考えてしまった。

 最後に個人的なこのドラマの影響について蛇足的に書くと、学生時代に熱中して見ていた『男たちの旅路』を今回全篇観直して、本業の会議の時に時々自分の中に沈殿した司令補が熱い発言(もちろん戦争についてではないですw)をしてしまうのを感じたりするのでした(^^;;)。

◆関連リンク
「男たちの旅路スペシャル・戦場は遥かになりて」(ブログ「フルタルフ文化堂」さん)
 上記感想は、リンク先のブログ記事を参考にさせて頂きました。

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2019.06.24

■感想 酉島伝法『宿借りの星』

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『宿借りの星』(東京創元社 公式サイト)
 酉島伝法『宿借りの星』読了。『皆勤の徒』に続き、まさに文字(主に漢字の造語)で異世界にトリップできるVR-SF。
 電車の中で読んでいて駅で降りると、コンコースの看板の文字が不思議な感覚にゲシュタルト崩壊する。あれ、ここはどこの異世界だっけ、すっかり『宿借りの星』住人視点で日本のヒトの町が異質に見えてしまうという破壊力。

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 今回読んでいる最中にずっとBGMに聴いていたのが 50年代の異星の文明を描いたSF映画『禁断の惑星』サントラの電子音楽。これが妙に甲殻類なSFに合うんですねw、なぜだか。

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 ムーミン+次郎長三国史というのが酉島氏自身が本書のイメージを伝えるためにつぶやかれた言葉だというが、そのようなありもののワードで簡単に表現出来るような小説世界ではない。作者も入り口として敷居の低いイメージを提示したかっただけだろうから、あたりまえだけど、、、。
 じゃあ、どういう小説か? と問われると、これは表現が超難しい。かといって敷居が高い作品かというとそうではなく、割とすんなり読み進められるが、その際に読者が脳内で連れ去られる世界の芳醇さ/奇想さ/ぶっとんだユーモア感覚はかなりの複雑さを呈している。

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 物語は卑徒(ひと)と呼ばれる種が滅んだ後の異星で、甲殻系の(地球感覚からは)異様な生態系を持った蘇具(ぞく)たちの倶土(くに)を舞台に、主人公マガンダラと弟分のマナーゾ(上図 左)の道中が描かれる。異質生態系の奇妙な世界、食と行動と習俗を段々と自分の身体が甲殻化するような体感をしながら、そしてあるものが体内に寄生し宿っていく過程は精神的な侵食も進んでいく。

 描かれるクライマックスの情景は、正直まだ自分の貧困なイマジネーションではイメージがぼんやりとしているけれど、その星の世界が神話的に大変動するダイナミックさ。

 他の映画や小説で何か例えてこの読書体験を伝えたいと思ったのだけれど、なかなかこの世界は他に例が思い浮かばない。ので、興味を持たれたら、上記東京創元社の公式リンクで冒頭を立ち読み/または池澤春菜さんによる本書朗読を聴かれる(以下リンク参照)ことをお薦めします。(あえて言うとヤン・シュヴァンクマイエルとブラザーズ・クエイとヴァーツラフ・シュヴァンクマイエルのシュルレアリスム作品をAIでミックスして、自動書記自主映画を生成したような、、、w)

◆関連リンク
池澤春菜さんによる本書紹介@TBSラジオ アフター6ジャンクション(アトロク)は以下。本作の貴重な朗読は、4:38から聴けます。
酉島伝法 初長篇『宿借りの星』進捗(Togetter)
 今回の記事の添付画像は、twitterでつぶやかれた作者自身の本書収録イラストを使わせて頂きました。そのtwitterのまとめは上記リンク。
酉島伝法初長篇『宿借りの星』感想集(Togetter)

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2019.06.19

■情報 デイヴィッド・リンチ、アカデミー名誉賞受賞!!

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『ツイン・ピークス』デヴィッド・リンチらにアカデミー名誉賞が贈られることに!(excite ニュース)

"アカデミー名誉賞はアカデミー賞を主催する映画芸術科学アカデミー(AMPAS)の理事会がガバナーズ賞として芸術のために人生を捧げ、卓越した業績を残した世界の映画人に授与する賞で、毎年開催されるアカデミー賞授賞式で授与されていた名誉賞を独立させたもの。"

THE ACADEMY TO HONOR GEENA DAVIS, DAVID LYNCH,
 WES STUDI AND LINA WERTMÜLLER 
AT 2019 GOVERNORS AWARDS
 (アカデミー協会 公式)

"  4つのオスカー®像は、10月27日日曜日にアカデミーの第11回年次総督賞、ハリウッド&ハイランドセンター®のレイドルビーボールルームで発表されます。"

 デイヴィッド・リンチ監督がアカデミー名誉賞(カバナーズ賞)を受賞!
 リンチは今まで、『エレファント・マン』『ブルーベルベット』『マルホランド・ドライブ』で監督賞、作品賞等ノミネートされていますが、残念ながら受賞は逸しています。
 本当は新作を撮って、作品で賞を取って欲しかったけど、まずはおめでとうございます。名誉賞撮った後、作品で再び受賞というのもクールなので、リンチには是非頑張ってほしいものです(^^)。

“No Input, No Output”: Jim Jarmusch on Strummer’s Law, Favorite Horror Directors, and Twin Peaks

“But I think the masterpiece that took the last few years in American cinema is really Twin Peaks: The Return. Eighteen hours of incomprehensible T.V. It wasn’t easy for him, and, by the way, no one will finance David Lynch’s feature films — so, what the fuck, I don’t get it. That is a real work of incredible beauty because it is so incomprehensible. I just found it to be a masterwork.“

 映画監督 ジム・ジャームシュが『ツインピークス ザ・リターン』をここ数年のアメリカンシネマの傑作である、と言ってます。これはファンとして凄く嬉しい。
 WOWOWとブルーレイだけという、日本の限定的公開と、とりわけSFシーンからの反応の薄さが残念でならない、真にSF映画と言えるこの傑作について、もっともっと語られていいと思うので…。
 上記引用は、リンク先の最後のパラグラフです。
 ジャームッシュの『ツインピークス ザ・リターン』評が読んでみたいものです。

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2019.06.17

■感想 ラース・フォン・トリアー『ハウス・ジャック・ビルト』


『ハウス・ジャック・ビルト』予告編
 ラース・フォン・トリアー『ハウス・ジャック・ビルト』@ ミッドランドスクェアシネマ2、観ました。
 いや〜、トリアー史上でも一二を争う鬼畜ぶり。

 残虐なシーンに弱い僕は、ところどころ指の間から画面を覗きつつ、ジャックの“アート”とやらをウェッとか心で呟きつつ、脅迫性障害のシリアルキラーという場面で思わず吹き出したり…。

 ネタバレどうこういう作品ではないですが、予備知識なく観たい方は以下ご注意下さい。










 トリアーらしい衒学的なダイアローグや絵画の引用、自作や戦時のドキュメントを中心とした映像シーン、そしてデイヴィッド・ボウイの“FAME”、グレン・グールドの演奏。ジャックが見るネガな光の世界。これらが伏線になって(?)、観客が誘われるクライマックスの煉獄の映像が素晴らしい。

 実在のサイコパスがどんなものだったか、殺人後の”アート“シーンもその実物がモデルなのか、トリアーの創作との関係に興味は尽きない。

◆関連リンク
【イベント】映画公開記念 アートから読み解く『ハウス・ジャック・ビルト』 ラース・フォン・トリアー監督の頭のなか 滝本誠×小谷元彦トークショー

"2019年 06月15日(土) 蔦屋書店1号館 2階 イベントスペース
劇中に幾度も唱えられる“芸術”という言葉、不穏に鳴り響くデヴィッド・ボウイの名曲『FAME』。
シリアルキラーの内なる葛藤と欲望はアーティストのそれと同じ、それ以上なのか。
視聴覚に強烈に訴えかけてくる"破格の問題作"をアートの視点から読み解きます。"

 すでに先週末に開催されたイベントですが、滝本誠さんの語る『ハウス・ジャック・ビルト』、異常に聴きたかった。
ラース・フォン・トリアー「ハウス・ジャック・ビルト」に登場する絵画について
『ハウス・ジャック・ビルト』公式知恵袋
 たとえば、僕の知りたかった「テッド・バンディ」についても書かれています。ネタバレありなので、リンク先ご注意です。

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2019.06.12

■感想 Oculus Quest

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 待望の Oculus Quest を公式サイトで購入。Amazonで予約してたのが一向に送付されず、5/29にキャンセルして、公式で香港からほぼ2日間で届きました。

 4日ほど試した感覚、6DoFのトラッキングが見事で、身体の動き頭の動きに対する追従性はほとんど違和感のないレベル。またモニタ解像度も、PS VR、Oculus Goに比べて高精細でじっくり見ないと画素の粗さは目立たないレベル。流石に4Kテレビを見てるのより粗いけれど、全天周映像になってるので迫力は満点。

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 家の狭いリビングが大画面映画館になったり、アラスカのオーロラの原野になったり、ダリの幻想的な広大な3Dアート空間になったり、素晴らしい出来です。

 今後、モニタ解像度の高精細化はまだまだ進み続けるはずで、5年もあればヒトの視覚にかなり迫るはず。3D映像オタクとしては3Dテレビは廃れて残念だけど、ヘッドセットで立体映像の未来は明るいと思う。個人的には3Dプロジェクターの4K化は不要かなと思います。

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 VRとしてOculus Questはスタンドアロンの自律型なので、ゲーム機やPCにつなぐケーブルレスで、ボクシング(クリードになれますw)、テニス等のスポーツでも身体の自由度がありがたく、思わず狭いリビングを忘れて汗かいてます(^^)。

 チュートリアルソフトとか、標準で付属しているスポーツアプリでまずはかなり遊べます。

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 ただし欠点は、ソフトがまだ少ない事。
 Oculus Goで楽しめた Samsung VRとかAmaze VR とかがまだ未対応で遊べない事。Google Earthなんかもまだないのが残念。
 Youtube VRは楽しめるけれど、360° や180° 3D動画は、カメラ移動と身体移動のギャップでちょっと酔う。やはり前半述べた6DoF ソフトの方が酔いの面でもかなり有利ですね。

 ネットで見るとかなり評判良く、数は出そうなので、今後のソフト数拡大が楽しみ。

 これはVRを初めて導入しようとしてる方に、初めて薦められるVRデバイスですね(^^)。僕もこれが初購入になります(PS-VRは買ったけど試してすぐ売り払いました)。
 ちなみに猫にVR体験させるチャレンジはまだしてませんので御安心をw。

◆関連リンク
Oculus Quest 公式
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2019.06.10

■感想 渡辺歩 監督『海獣の子供』"Children of the Sea"

 
『海獣の子供』 予告2(『Children of the Sea』 Official trailer 2 )
 渡辺歩 監督『海獣の子供』@小牧コロナ、観てきました。

 ファンタジーアニメーションとして最高峰に到達した素晴らしい映画でした。手描きアニメーションと背景美術をCGにより幻想的な映像として昇華させた傑作。

 五十嵐大介 原作、渡辺歩 監督、小西賢一 キャラクターデザイン・総作画監督・演出、木村真二 美術監督ほかスタッフ陣が構築した新しい作品世界に111分間、劇場で浸ることができます。
 
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 まず冒頭の港町の中学生の溌剌とした夏休みの描写に惹きつけられます。特に部活動のハンドボールでトラブって学校から帰宅する主人公 琉花の背景描写の美しさ。手描きの背景を3D-CGモデルの中で縦横に動かすシーンの画面全体の躍動感に打たれます。

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 そして水族館はじめ、海の生物たちの鮮やかで幻想的な息をのむ描写。クジラや夜光虫の描写は、アン・リー監督『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』の海のファンタジックなシーンを想起させますが、フォトリアルなそれと比べ、手描きゆえの独特の味わいはそうした世界一級の幻想シーンに勝るとも劣らないものに仕上がっています。

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 物語は、海と宇宙と生命の交点である浜辺を舞台として、哲学的詩的空間を構築しクライマックスを迎えます。この宇宙的な広がりもファンタジー映画としての達成のひとつのキーポイントと言えます。畳み掛けるように描かれた宇宙と海の生命の交感は、原作を読んでない私にはとても一回の視聴では噛み下せない詩的な内容だったので、次に観る時に言語的なセリフと映像描写の相関を少しでも読み解けるように、鑑賞したいものです。

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 映画はアウタースペースとインナースペースをつなぐようなビジョンを展開するわけですが、アニメーションという表現形式が特にインナースペースを描き出すことが得意な映像手法なので、人の手から脳内イメージを直接描き出されることでこのファンタジーをより一層魅力的に見せているのだと思う。

 おそらくこの映画がひとつの手本としたものに同じくアウタースペースとインナースペースの融合というクライマックスをSFXという手法で描いた『2001年 宇宙の旅』があると思うけれど、アニメーションというイマジネーションを直接画面に描写できる手法を活かしきったところで、ある部分においては、それを超える現代的な表現を獲得できているのではないだろうか。と書いたらさすがに褒めすぎだろうか。しかし『2001年』もスターゲートシークエンスは眠くなりますからね(^^;)。

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2019.06.05

■情報 ARグラス nreal light

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公式サイト

 サングラスのような軽快なタイプのARグラス、nreal light、かなり輝度の高い映像のようです!
 登場は、2020年初頭とのことで、Magicleapより早く市場投入かと思われます?しかもこの軽快なデザインがそのまま商品化されれば、なかなかの市場インパクトでしょうね。そして同じくARに力を入れている Apple も黙ってないでしょうね。

 Andoroidとつなぐことで、システムを軽くして $499との事なので、これ出たら、僕もメガネからコンタクトレンズに変更して、いよいよ電脳コイルな世界へ第一歩、踏み切るかな(^^)。

CES2019での展示品の動画 (twitter kajiken0630 さん)

 こちらのリンク先に動画がありますが、展示会場という周りが結構な照度の照明の中、なかなかの鮮明度を持った画像を、メガネのシースルーの外の光景に対して重畳していて、CG映像がしっかり見えて、期待が高まります。

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 コンシューマー $499、デベロッパーズキット $1199とのこと。
 リリースは、前者が2020年初頭、後者が2019年9月とのこと。本当にすぐですね。

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nreal light | First look from inside
こっちのデモはCESのものではないですが、6Dofの追従性も素晴らしく見えます。

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 スペックは以上のようになっています。

メガネ型MRデバイス「nreal light」499ドルで2020年一般発売 開発者版は今年9月から提供 (Mogura VR)
 nreal社、元MagicLeapのエンジニアが起こした会社なんですね。
 あれ、こっちには3DoFと書いてあるけれど、上の映像は6Dofですよね。どちらがただしいのでしょうか。

◆関連リンク
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CES 2019: Trying Out NREAL AR Glasses
 こちらの映像の11分からのメガネの映像を撮ったものでは、6DoFには見えないですね。電脳コイルをやろうとすると、6DoFは必須ですが、、、。

・twitter AR_OjisanCES2019動画 (twitter)
 こちらは3DoFっぽい。

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