2021.04.19

■感想 Oliver Schwehm監督「民間初のロケットに挑んだ男:FLY ROCKET FLY」BS1 ドイツの民間ロケットベンチャーOTRAG


FLY ROCKET FLY - Trailer

「民間初のロケットに挑んだ男」(NHK公式)

"アメリカとソ連が宇宙開発にしのぎを削っていた半世紀前に民間で宇宙ロケットを飛ばそうとした起業家がいた。その奇想天外な物語を豊富なアーカイブと関係者の証言で描く。

大国が国家の威信をかけて取り組んできた宇宙開発事業。いまや民間企業が参入する時代となったが、半世紀前に民間で宇宙ロケットを飛ばそうとしたドイツの起業家がいた。しかし、起業家がアフリカの独裁者から発射実験の場所の提供を受けたことで、彼の事業は思わぬ方向へと進んでゆく。民間初のロケット事業をめぐる奇想天外な物語を描く。 原題:FLY ROCKET FLY(ドイツ 2018年)©️Lunabeach TV und Media GmbH"

 NHK世界のドキュメンタリー「民間初のロケットに挑んだ男」BS1 観ました。
 イーロン・マスクのSpaceXの最近の打ち上げは、民間ロケット会社として華々しいものがありますが、それを遡ること45年前にドイツでこのような民間ロケット会社が台頭していたと言うのは、寡聞にして知りませんでした。

 これはルッツ・カイゼル(Lutz Kayser)によって設立されたドイツの民間ロケットベンチャーOTRAG:Orbital Transport und Raketen AGの、ザイールの台地でのロケット開発の物語。

 ドイツの若者とNASAドロップアウトのエンジニアによる、直列でなく並列に小さなロケットを束ねる低コスト発想、ザイールでの打上げ、解放戦線が迫る中でフランス外人部隊を雇って村の住人と守備隊を作ったり…。

 SF作家 山田正紀氏の長編超冒険小説(『謀殺のチェス・ゲーム』『火神を盗め』)のような、そして一本の映画を観るような素晴らしいドキュメンタリーでした(^^)。

 NHKオンデマンドでも配信されてるようです。
 それにしても、NHK世界のドキュメンタリー、毎週5-6本のこうしたドキュメンタリーが放映されていて、これを録画するだけでも、結構なドキュメンタリー映画ライブラリが出来そうで、眼が離せません。多分今までに50本近くは録画しましたが、1割も見えていないw。

◆関連リンク
OTRAG:Orbital Transport und Raketen AG  (Wiki)
OTRAG 打ち上げの記録
 ザイールの後、リビアで打ち上げていたようです。こちらもキナくさいですが、いろんな冒険があったかも。
OTRAG Youtube

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2021.04.12

■感想 企画展 「岩合光昭写真展 どうぶつ家族/ねこ科」@岡崎市美術博物館 マインドスケープミュージアム

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企画展 「岩合光昭写真展 どうぶつ家族/ねこ科」(土日祝日事前予約制)

"会期:令和3年4月3日(土曜日)から5月16日(日曜日)
「どうぶつ家族」は館内展示(有料)、「ねこ科」は屋外展示(無料)
「どうぶつ家族」の入場は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため土日祝日に限り日時指定事前予約制(ホームページ予約)を導入します。"

 「岩合光昭写真展 どうぶつ家族/ねこ科」@ 岡崎市美術博物館 マインドスケープミュージアムへ行って来ました。

 何と言っても4月の快晴の空の下、猫たちの大判(2m弱位)の写真パネル50枚ほどを観られるのが素晴らしかったです。コロナの影響かもしれないけれど、この屋外展示、実は企画を知らなかったので、かなり嬉しい気持ち良さでした(しかも屋外は無料展示)。

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 館内の有料展示は、一部外部展とダブっていましたが、もっと大きなパネルもあり、岩合ワールドを堪能できます。
 しかしやはり屋外と比べるとその気持ちよさ、開放感(動物たちも溌剌として見えます)が屋内は残念に見えてしまい、通常の写真展と変わらないのに何故か減点的に見えてしまいました。

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 最近、家で4Kテレビのドキュメンタリーや岩合ネコ歩きを見ているので、どうしても展示のパネル写真のプリントの解像度がちょっと足りないとか、動くダイナミズムはやはり動画だよね、とかいらぬことを感じてしまったのでした。もちろん、写真としての一瞬を切り抜くシャッターチャンスの冴えは充分感じるのですが、、、。

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 あと掲載した、このマインドスケープ美術館の外観。実は20数年前から何度もここには来ているのに、すぐ南の池の公園から見たことはなかったのですが、今日は天気も良いし散歩して、美術館の全景を見てみると、今更ですが、この景観がとても素晴らしい。

 特に美術館のクールなガラスと打ちっぱなしのコンクリートの建築と、春の新緑と五月晴れの空のマッチングが恐ろしく心地よいw。
 そして特撮ファンならw、この景観から何だか建物が未来建築に見えてくる、、、僕は「シン・ウルトラマン」の科特隊基地はきっとこんなじゃないかと、ジェットビートルの飛び立つ姿を観たような気になりました。この美術館の外観だけでも見ものです。

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 ここで以前、「ブラザーズ・クエイ展」とかダークなのもやっていたりして、奇想建築下のアンダーワールドだったわけで、ますます好きになってしまいました。ちょっと家からは遠いのだけれど、また気候の良い時に行ってみたいものです。

◆関連リンク
当ブログ 岡崎市美術博物館 関連記事



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2021.04.07

■感想 「特集:「エヴァ」シリーズの”作画”を総括してみる!」 by アニメーター 井上俊之


追告 B『シン・エヴァンゲリオン劇場版』絶賛公開中

After 6 Junction TBS アトロク 特集:「エヴァ」シリーズの”作画”を総括してみる!

 アトロク「『エヴァ』シリーズ作画の真髄」アニメーター井上俊之さんの話、とても面白かった。
 テレビ版 1話と19話の磯光雄作画から始まり、Qでの自身のエヴァ改2号機、8号機作画について。本当はキャラを描きたかったのに、アスカは数カット、シンジも5カット位しか描けなかった。

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 鶴巻和哉監督のフリクリ以降の日本アニメへのキャラクターの外連味とリアルのバランスという貢献とエヴァでのカメラが動きまくる/空間をたっぷり使ったメリハリのある映像への貢献(鶴巻監督は宮崎駿監督的に映画全体の作画に関与されているとか)。そして前田真宏の抽象概念を絵にするスキルの凄さ。

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 Qでの本田雄作画監督による登場人物がそこに実在する様なリアリティ、その絵がシンの現場でも多くのアニメーターの参考になっていたというエピソード。

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 最後に今後の日本アニメについて問われて、宮崎駿監督の元で新作の作画監督を務める本田雄の話に。宮崎監督に理屈通りでなく、リアルを超えた表現/カットにふさわしい表現を実現する可能性のある人材として大抜擢された。昨年自分も加わって一部試写を観たが、宮崎アニメでありつつ、本田イズムがある良い作画だった。この秋くらいに完成するのではないか。夏にまた追い込みで井上氏もジブリに戻る、とか。

◆情報の補足
 最初から関わってなかったから、エヴァを語るには余り自分は適切じゃないからと当初断られていたという、井上俊之さんの発言で一部誤解されているかな、と思う部分。

・本田雄はテレビ版後半でエヴァのルックを作った→第2話から8,19,25話で作監。
・本田雄は序に参加してない→序ではメカ作監
・前田真宏はテレビ版参加してない→設定補として8,9話に使徒デザインで参加

 僕はエヴァのキャラもだけれど、メカの作画も本田雄がかなりそのイメージの中心にいたのでは、と思ってるので、荒探しということでなく、メモっときます。

◆関連リンク

・エヴァ 25話Air/まごころ 弐号機戦闘シーン アニメーター担当パートAMV(ニコニコ動画)

"25話Air/まごころの弐号機戦闘シーンの担当アニメーターを併記したAMVです。
新世紀エヴァンゲリオン劇場版原画集上巻に 村木靖パート(P126~141) 岡村天斎パート(P144~156) 本田雄パート(P160~170、P174~177) 磯光雄パート(P202~243) 小倉陳利パート(P245~253) 鴨川浩パート(P261) 吉成曜パート(P263~280) 安藤真裕パート(P285~296、P301~305)"

 この動画を見ると、本田雄氏がエヴァメカ作画のトーンを牽引したのがよくわかります。
 2'20-3'00 本田雄パート エヴァ2号機と量産型の対決シーン。4'18までの磯光雄パートが、特にすばらしい。

#アトロク 井上俊之 再降臨!本当にすごいアニメーターとは?特集パート2 #utamaru 2018.10.16(火)(togetter)
#アトロク 2018.08.07(火) hy4_4yhライブ&配信決定!/アニメーター 界の神・井上俊之降臨(togetter)
2019/08/27(火) アフター6ジャンクション #utamaru - 宇多丸&宇垣美里/井上俊之 アニメ映画「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」とは(togetter)

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CGメイキング映像特別公開(カラー公式twitter)

"ヴンダー艦内(Cパート/シーン133/cut002)
プリヴィズ→3Dにてアニメーション検証後、キャラは作画です。"

 プレヴィズでのアングルの複数制作、そこからキャラ作画へ移行する様子がよくわかります。最終のプレヴィズが絵コンテがわりになってるんでしょうね。

『新世紀エヴァンゲリオン 原画集』が20年の時を経て電子書籍で復刻!
 本稿で引用した原画は、いずれも原画集のサンプルからです。この原画集持っていないですが、サンプルにはアニメーターのクレジットがなく、残念です。なので、上記引用も特に文章に出てくるアニメーターと引用原画の関係は不明ですので、念のため。

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2021.04.05

■感想 ベン・リューイン監督『500ページの夢の束 : Please Stand By』


映画『500ページの夢の束』予告編(ロングver)
 ベン・リューイン監督『500ページの夢の束 : Please Stand By』(2017)をAmazonプライムで初見。

 スタートレックの脚本コンテストを目指す21歳の自閉症の女性の物語。『宇宙戦争』のダコタ・ファニングが演じている主人公ウェンディがとても良い。かんしゃくを起こしてしまうことから施設に入っているのだけれど、そんな自分へのもどかしさと姉と姪と暮らしたいという想い。『スタートレック』の世界にどっぷりと浸かり、半分その世界に住んでいる様な夢想の様が、まるでティプトリーの傑作SF短篇「ビームしておくれ、ふるさとへ」を想い起こされる。

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 彼女が選んだビームの先は、ロサンゼルスのパラマウントスタジオ。そのロードムービーが瑞々しく素晴らしい。本作の監督 ベン・リューインは70歳で撮った作品、その年齢でここまで世の中に一人で出ていく感覚を初々しく描けるというのは中々に素敵です。他の作品も観てみたいものです。

◆関連リンク

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『故郷から10000光年』
 短篇「ビームしておくれ、ふるさとへ」所収。

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2021.03.31

■感想 クロエ・ジャオ監督『ノマドランド』


『ノマドランド』予告編

 クロエ・ジャオ監督『ノマドランド』@ イオンシネマ各務原で観ました。公開初週の土曜夜だったのだけれど、観客は両手に余る位で残念でした(コロナ禍ではありがたかったけれど、、)。

 静かな、インパクトのある作品でした。多くを語らず表情でじわりと伝える主演のフランシス・マクドーマンド、とても良かったです。『ファーゴ』『スリービルボード』に続き、三度目のアカデミー賞を取るかもしれません。

 車上生活のノマドとして、雄大なアメリカ大陸を旅する高齢者ノマドワーカーたち。経済的な閉塞感の一方で、いろんな社会のくびきから解放されたノマドたちが自由に大自然を呼吸する姿が素晴らしい。

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 セリフを極力廃して、無言/無言語で自然の中を歩く主人公ファーンの佇まいが美しい。これは押井守がヒトに対比して描く動物の姿に近いかもしれない。言葉でない感覚で自然に触れる姿は、資本主義の行き着いた現在の姿の格差社会等の大きな課題を突破する何らかのきっかけなのかもしれない。(うまく表現できていなくて、誤解を招きそうな言い方だけれど、ご容赦ください)

 もっと雄大な自然を美しく撮ることもできただろうけれど、その姿はどこか燻んで荒廃の様を見せる。しかし解放的な空気感が伝わってくるカメラがとても良い。

 主要登場人物は、主役の二人以外、本物のノマドワーカーの一般人とのことだけれど、それによるドキュメンタリー的な何とも言えない実在感が見事。

 監督の北京生まれのクロエ・ジャオは、既に今年公開予定の(本来は20年公開予定だったとのこと)、マーベルスタジオの『The Eternals』を撮り上げているらしい。それにしてもMCUを率いるケヴィン・ファイギの新人起用の選択眼は鋭すぎます。

 プロの俳優ではなくリアルな人々を登場させる作風が、MCUのヒーロー映画でどう機能するか、物凄く楽しみになってきました。リアルなヒーローが出てきたら、、、、w。

◆関連リンク
『エターナルズ』(Eternals) 
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2021.03.29

■情報 ポピー ジャンボマシンダー 恐怖の悪魔軍団 マジンガーZ ガラダK7 フィギュア

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希少 ポピー ジャンボマシンダー 恐怖の悪魔軍団 マジンガーZ ガラダK7 ダイナミックプロ 東映動画 現状品
 何とこのフィギュア、21.3/27に1000万円で落札されたとのこと!
 マニアの世界は凄いですね!Q&Aをみると出品者さんの驚きがリアルで、これは本当かもと思えてきますが、真相やいかに…(^^)?

 それにしても「ヤフー簡単決済」で1000万円って取り扱えるのかなw??
 以下、とても貴重なフィギュアの写真です。ヤフオクからの引用です。
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 ということで、このフィギュアについて、いくらかネット情報から確認してみると、、、、。
 どうやら、このフィギュア、本当に実在されるかと言われていた逸品らしい。

幻のマジンガーZ敵ロボット「ガラダK7」のフィギュア!!海を越えてアニメ大好きベルギー人が3Dプリントで再現してみた!!
 このリンク先をみると、その辺りの状況と、本当に貴重な逸品ということがわかります。

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「キーワード:ジャンボマシンダー」の検索結果(まんだらけ)
 そしてまんだらけでは、上記事情を勘案してか、買取価格が何と1千万円。

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ジャンボマシンダーのガラダK7のジャンク品で、その落札価格は5,251,000円
 数年前のヤフオクでカマなしで500万円、というのはどうやらこれみたいですね。


Garada K7 Jumbo Machinders, figura de acción imposible de conseguir

 スペイン語の動画に、ガラダK7のCM映像!1番最後の辺り。
 まさに世界で貴重な逸品とされていることがわかります。
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RARE JAPANESE TOY GOES TO AMERICAN COLLECTOR

 2006年に石川県の女性がゴミの中から見つけてオークションに出品したガラダK7は170万円で落札…とか書いてありますね。

 同じヤフオクで日本沈没(73年版)の深海潜水艇わだつみ 6500円をいつも眺めて入札すら出来ない自分の小ささが嫌になりますw。
 にしてもマジンガーZにそれほど思い入れのない私は、事情を知らずこのフィギュアだったら、1000円でも落札していなかったでしょう。物の価値というのは、不思議な物です。

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2021.03.24

■写真レポート リトルワールド 特別展「こわいモノ」


リトルワールド「こ・わ・いモノ」篇
 近所の愛知県犬山市「リトルワールド」へ久々に、"1日世界一周" 行ってきました。コロナ禍で遠出はできないけれど、近場で世界一周気分が味わえるここは、今最高かも(^^)。ということで春の気候の良い天気で、まあまあ混んでましたが、大部分が屋外なので三密の心配はありません。

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 特別展「こわいモノ」というのがやっていて、民族学的な怖いものを展示している特別展があり、その冒頭に飾られた「大威徳明王 ヴァジュラ・バイラヴァ」、ネパールから運ばれた3.3mの像が素晴らしかったです。全体の力強さと、細部の造形の見事さ。そしてなりより呪われそうな形象の迫力。

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 文化人類学的展示もリニューアルされていて、上の写真のように広大なホールに世界の彫像等が見事に展示されています。
 大阪の国際民俗学博物館に近い仮面コレクション他、迫力でした。
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 そして屋外は世界の多様な街並み、建築が一同に介している。
 ミニミニ世界旅行気分も楽しいのだけれど、それぞれの国の建物等、ここを使った映画ロケとかも良いのかもしれないなぁとのんびり散策してきました。
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2021.03.22

■感想 アリ・アスター監督『ミッド・サマー』


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 アリ・アスター監督『ミッド・サマー』WOWOW録画初見。
 前作『ヘレディタリー/継承』もでしたが、この監督の趣味の悪さは天下一品ですw。今回も、ストーリーも映像もそしてテーマも黒い黒い。気分が悪くなることは保証できます。映像の一部美しさは素晴らしいですが、僕はこの路線が続くんだったら、興味はあってもあまり積極的に観たい監督ではないかも。

 多分に自分の実体験が導入されているらしいけれど、恋愛関係の不安定な状態を描くところも、スウェーデンの白夜の下の、コミューンの独特の生態にしても、どこか不自然さが漂う。前者は昨年のチャーリー・カウフマン監督『もう終わりにしよう』の深さはなく、後者も薄っぺらでとてもこのコミューンが数十年も社会として維持される感じがしない。要は実体験の負の経験を、異常な環境下で映像化しているということで、そのリアリティよりも異常さの描写に重点があり、人の心的な組み立てがどうにも自分には合わない感じ。加えてグロテスクなショック映像がさらに気分を悪くさせ、、、、。
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 とはいえ、映像的にはなかなかシャープで、そして面白い部分もある。特に僕が面白いと思ったのは、ダンスシーン等で表現されていた異界が覗くように、花々がグニャリと空間が歪んだような、活きて動いているようなシーン。幻覚であるという設定のシーンだと思うけれど、ここの表現はなかなか見物。

 とはいえ、全体としては気持ち悪さが先に立つ、とやはり書きたくなってしまう。それでも次回作、きっと観てしまうんだろうな、、、とは思いつつも、、、、w。

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2021.03.17

■感想 フレッド・マクロード・ウィルコックス監督『禁断の惑星』


Craig Barron on the Technology of "Forbidden Planet"
 フレッド・マクロード・ウィルコックス監督『禁断の惑星』、NHK BSプレミアムでハイビジョン放映されたのを録画見しました。

 冒頭の電子音楽からしっかり50年代SFの世界に浸れました。素晴らしい映像とストーリーと深遠な異星人テーマ。これはやはりSF映画の金字塔ですね。
 ジェームス・キャメロンがリメイクしたかったという情報がはるか昔にありましたが、僕は今でもキャメロン版が観たくてたまりません。

 21世紀の終わりに月面着陸したという設定のもう一つの人類の、22世紀の宇宙物語。電子音楽にもクレル星人の音楽という設定があったり、もちろんロボットロビイのロボット法3原則もクレルの32kmに及ぶ地下エネルギ施設も、そして"イド"の怪物も見事なSFのセンスオブワンダーを体験させてくれます。

 そして今の時代からはリアリティのない人間関係/恋愛シーンも、50年代の雰囲気を醸し出しているというか、22世紀はもしかしたらこんな人間関係もw、とか思わせてくれたり、、、(嘘)。

 リンク先は、今回検索して見かけたミニチュアとプロップ、そしてクライマックスのイメージスケッチ(ウォルター・ピジョンの"イド"が!?)を写した貴重な動画。

 今回見直してプロップとかセット、ロビイのデザインの統一性とか、ロビイのディーテールの素晴らしさに感嘆としたのでした。

 この名作をハイビジョン放映したNHKには感謝です。
 (映像的には35mmフイルムからのハイビジョン化としては何だか少し画素が荒い感じでしたが、、、(^^))

◆『禁断の惑星』関連動画
 Youtubeにメイキングは見当たりませんが、関連のドキュメントがいくつかありましたので、ご紹介します。ファンにはたまりません。


Film Histories Episode 18 - Forbidden Planet
 こちらのドキュメントも良いですね。
 ロビイは映画制作費1.9ミリオン$の7%を費やしたとか、2017年にオークションで5.3ミリオン$の値がついたとか。アン・フランシスのミニス カートはハリウッドで初だったとか、なかなか興味深いです。


Forry Ackerman introduces William Malone and Robby the Robot from Forbidden Planet
 フォレスト・アッカーマンとウィリアム・マローンがロビィについて語っています。外部操作パネルからロビィの各種装備を動かすところ、内部の構造を映像で見せてくれるなど、こちらもとても興味深い動画です。

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2021.03.15

■感想 庵野秀明総監督, 鶴巻和哉/中山勝一/前田真宏監督『シン・エヴァンゲリオン劇場版 :||』


『シン・エヴァンゲリオン劇場版』本予告・改2【公式】
 庵野秀明総監督『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』@ イオンシネマ豊田にて観てきました。初めて行った映画館だったんですが、フィギュアやイラストがいっぱい飾られてて、スクリーンもデカくて良かった。
 まずはファーストインプレッションをメモっときます。先入観なくご覧になりたい方は以下感想ですが、御注意ください
 また、ネタバレ感想は、明示した上で、さらに下の方に書くようにします。
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 TVシリーズ第一話本放送をテレビ愛知の木曜朝(確か)に身始めてから、25年以上観続けてきた作品が見事に終幕し、大満足の一本でした。以前から都度都度、各作品の感想はブログで書いてますが、今日は以下の3点で記しておきます。

①エヴァの登場人物内面ストーリーは僕は最初から関心の少ない所なんですが、シンジ君のビルドゥングスロマン的には、見事な終焉だったと思います。TVシリーズで混沌の中、あのようになったラストを、『The End of エヴァンゲリオン』では(僕は傑作と思ってますが...)一応の収拾を図っていたのですが、何だかこの内面ストーリーの視点からはモヤモヤがどうしても残ったのでしたが、今回は父子の関係やシンジ周辺人物との決着も見事だったのではないでしょうか。あまりに見事すぎて少し予定調和的にも見えて、あの混沌が懐かしいという気持ちも湧いたりして、、、w。

②庵野監督の悩み描写とエンタメの抑制が今回も(『シン・ゴジラ』同等以上に)見事な塩梅で作品化されていたと思います。そしてモロに311後の作品だった『Q』に対しても落とし前を付けていて(震災がなかった世界の新劇場版を夢想しないわけにはいかないですが)、その観点でも素晴らしいと感じました。

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③やはり僕にとってのエヴァは奇想映像の先端を切り開く、その姿勢と成果を観るのがいつも楽しみな作品なのですが(^^)、今回も冒頭のパリの描写から超絶特撮&SFX映像のオンパレードで、もう3回位は劇場で観たくなりました。今回、『シン・ゴジラ』で活躍したプレヴィズがエンドタイトルでしっかりとスタッフクレジットされていたところから、最大限の活用がなされているのが感じられましたが、ここは今後のメイキングの公開が楽しみなところ。

 上の画像は、Youtubeの予告等シーンから、コマ送りでなく中をいくつか省いて、ダイナミックな連続アクションを取り出したもの。
 マリのアクションからエヴァ8号機の見事なアクションの連続が心地よい。

 映像的には、庵野監督が学生時代から描いてきた自主制作アニメ、特撮の手法含め、映像技術の集大成として(こう使うかという感嘆とともに)、そしてさらにジブリにも配慮しつつw、CGでまたしても最先端のエッジの効いた映像をこれでもかと見せてくれます。特にCGを用いて特撮の手触りをわざと感じさせる手法は、使い所含めてグッと来つつもちょっと笑ってしまったのでした。

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 上記の画像は、同じく予告のエヴァのカットをコマ送りで4コマ分取り出したもの。
 このシャープなコマ運びが、観客の脳内映像としてクールな動きを生み出している。ちゃんと確認したことはないけれど、ハリウッドSFX大作でもここまで一コマづつのレイアウトに細かく気を配ったアクションシーンは少ないのではないか。

 本気のアクション/奇想映像シーンは、画面のアングルとか構成とか、この切れ味は何百億円の製作費をかけたハリウッド映画でも未だ実現できていないエッジを切り開いていて、米国または中国の映像プロデューサーがスタジオカラーに100億円位の予算で大エンタメ作を依頼しても全く不思議でないと思っているのは僕だけでしょうか(^^)。

 ハリウッドの映像技術に、スタジオカラー的センス・オブ・ワンダーがまぶされたSF大作、皆さん、観たいと思いませんか。

 本作が米国で認められるのに、①の視点がずいぶん邪魔しているんじゃないかな、というのが僕の感想の偏りだったりします(^^;)。

★★★★★★★以下、ネタバレ感想★★★★★★★
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 上記②にも少し関係するけれど、エヴァの中心SFテーマである「人類進化」の観点の感想をネタバレで以下、メモしたいと思います。
 以前、「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(というより『THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に』の方がしっくり来ますが)に関連して感想を書いたことがあったけど、やはりA.C.クラーク『幼年期の終わり』との関係は書いておくべきかと、、、。

 『THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に』において、人類意識の集合体化というのを映像で見せて、最後にアスカの「気持ち悪い」で『幼年期の終わり』のオーバーマインド完全否定を描いた庵野秀明総監督、今回はこの「気持ち悪い」という言葉を使わないで、同様の否定的なシーンを描いた。今回はエヴァインフィニティが津波のように人類の魂を飲み込み同化するシーンとして描かれている。ここで津波のいめーじを使ったのは、正に上で述べた②の311後の描写で、「気持ち悪い」に変わる、オーバーマインド的な生命進化(諸星大二郎「生物都市」的というか)を否定的な視点で描いているのだと思う。これはゲンドウのカルト宗教的な描写にも顕著で、冒頭の第3村との対比で、見事に『THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に』で少し未消化に描かれていたテーマが、浮き彫りになっていたと思う。

◆関連リンク
【ネタバレ】シンエヴァ専門用語まとめ
・当ブログ関連記事 『THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に』

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2021.03.03

■感想 イ・チャンドン監督『オアシス』


『オアシス』日本版劇場予告編

 イ・チャンドン監督『オアシス』Amazonプライムで観ました。
 
 これも凄い映画でした。前知識ゼロで観たので画面から目が離せない展開でズシンときました。ネタバレになるので、何も言わないし、予告篇も観ないで頂きたいですがw、『バーニング』はマジックアワーを見事に描いたシーンが印象的でしたが、『ペパーミントキャンディ』も『オアシス』もマジカルな瞬間が素晴らしい映画でした。

 『ペパーミントキャンディ』に続く主役のソル・ギョングと、ヒロインのムン・ソリの力いっぱいの演技が印象的でした。
 そして本作でのマジカルは、主に二箇所。ネタバレはできないですが、ヒロインの"演技"とタイトルのオアシスを示す小道具をネタにしたシーンはとても素晴らしいシーンでした。
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 ただ、僕はムン・ソリの演技については力演だと思う一方で、実はちょっと不自然に観えました。これは同じ脳性麻痺の主人公を描いた『37セカンズ』を観た後だからかもしれません。症状の重さが違うことは別にして、どこか不自然さを拭えなかったというか、、、、。ただしマジカルなシーンの一つとして電車の中や、その他シーンで描かれるヒロインのある姿のために、こうした演技プランにしていた節もあり、やはりイ・チャンドン凄腕の監督さんです。デビュー作含み、残りあと3本、楽しみに観ていきたいと思います。

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2021.03.01

■感想 原將人監督『初国知所之天皇』


『初国知所之天皇』予告編
2021年2月14日(日)初国知所之天皇復活ロードショー

"日本/カラー/1973-2021/108 分
監督・撮影・編集・音楽・脚本・主演:原 將人
自宅焼失というアクシデントで燃えてしまった伝説のフィルム『初国知所之天皇』が、 2020年12月に京都市主催のクラウドファンディングで復活した。イマジカラボに保管されたネガから、16㎜フィルム​ニュープリント、デジタルリマスター版がリプリント<復活>された『初国知所之天皇』の世界は、より透明感を帯び,​「​映画 とはなにか? ​」​という命題に寄り添いながら創造性​を​激しく​刺激する。"

 2/13-14にネット配信された原 將人監督『初国知所之天皇』激生ライブを4時間観ました。
 「『初国』以上の映画体験を未だに経験していない」(以下に引用した瀬々敬久監督の言葉)と世に言われている伝説の映画、そしてその2021年バージョンを体感できたのはとても貴重な映画体験であった。

 多分初めてこの映画のタイトルを聞く方は、タイトルに含まれる「天皇」という言葉が観る際の一つの障壁になるような気がします。まず最初に書いておきますが、本作は政治的な偏向は特になく、むしろここから述べるように映画の可能性に挑戦した、映像詩ならぬ音楽のような映画なので、映画の持つ可能性の先端を気にしている映像ファンは是非とも鑑賞されることをお薦めします。

◆感想
 以前僕は、8mmで撮られて16mmにブローアップした映像で構成された2画面マルチ映像、1993年に作られた16mmマルチヴァージョン 1Hour48Min版というのをDVDで観て感想を書きました。大きくはその感想は変わらないですが、今回、配信版は21.1月にコロナ禍でライブが無観客で実施され、その様子をカメラで撮って、原監督自らの手で再構成されたもので、2面マルチというよりは、過去の8mm/16mm映画映像と今回の生ライブ映像を二重映しに合成した新たな2021年版の"新たな"『初国』である。

 前後篇、ほぼ4時間の大作だが、47年前に撮られた映像が夢幻な雰囲気で、さらにそこに生の音楽が被って詩的な空間が広がる。そしてさらに映像も47年前のロードムービーが手前と奥に、時に時間をずらして、さらには二重映しで重層的に描かれている。

 ここまでが正に劇中で述べられている通り、ミュージカル映画というよりは、映画の/映像のミュージカルというか、音楽のように映像がその空間に揺蕩い、そして舞い踊る独特の新しい映画を構成している。

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 さらに特筆すべきは、特に前篇の冒頭に顕著な、今の原監督によるナレーション。
 詩的な言葉というよりか実はかなり哲学的な論考が映画にかぶせて語られる。ここが凄みを出している部分ではないかと今回思った。

 原監督の著作『見たい映画のことだけを』を遅ればせながら最近入手して読み始めたのだけれど、ゴダールとハイデッカーとメルロ・ポンティ等を引用しながら、未来の映画について語る原監督の言葉が、今なお生ライブの形で語られている。

 原監督に一昨年、映像短歌というのを教えて頂いたのだけれど、本作は映画/映像ミュージカルであると同時に、映像短歌ならぬ、映像論考というどこにもない映画を現出させているのが、今回の劇生ライブ版は感じさせた。

 以下に瀬々敬久監督の言葉を引用したが、まさしくどこにもない映画体験が本作の魅力なのだと思う。47年間に渡って原監督が育ててきたこの映画が、今も正に成長しているということで、今後も眼が離せません。

◆以下関連リンク
当ブログ感想 原將人監督『初国知所之天皇(はつくにしらすめらみこと)』DVD

【上映会 21. 3/13 】初国知所之天皇復活ロードショー 上映会

"コロナにより延期になっていた、待望の 劇生ライブ上映会!
 1970年代、国家と社会に全面的に異議を申し立てた全共闘運動が終焉した。当時、映画を志す22歳の原 將人は、既成の映画に対して全面的に異議を申し立て、国家を根底から考える 映画『初国知所之天皇』を製作した。8㎜と16㎜フィルムを併用し、2 台の映写機を切り替えながら自ら映写する8時間に及ぶ長編作品は、同世代、とりわけ映画を志す若者たちに熱狂的に支持され、伝説のフィルムと呼ばれるに至った。その 後、摩耗する8㎜を16㎜に引き伸ばした4時間のリフレイン版を、その20年後には4 時間を左右に切り分けた2時間の2面マルチバージョンが完成した。"

【上映会:3/14】初国完成47周年記念 原 將人 激生ライブ上映会 2021-03-14

"激生ライブ​上映​は『初国知所之天皇』の誕生から47年間ずっと変わらない、原監督の生演奏付きの映画上映である。​このライブ映画の上映スタイルで、会場をまるごと映画空間へと昇華させる「映画体験」を実現させる。今年70歳になる原は、上映会場でナレーションを読み上げ、歌をうたい、ピアノを弾く。至高の仕方で、既成の映画概念を見事に突き破る。日本映画界において『初国知所之天皇』が、伝説と称される所以である。クリエイターたちにも絶大なファンを持つ。これだけのハイクオリティーの映画のライブ上映は、世界中見回しても、原にしかやれない。初国完成47周年を記念する今回の激生ライブ上映会では、2人のミュージシャンとスペシャルセッション。ハイクオリティーの音響設備を備え、6台のカメラ、7チャンネル​で世界へ向け、リアル動画ライブ配信される​。
遠藤 晶美 (ミュージシャン・コンポーザー)
島田 篤 (ピアノ・キーボード演奏・作編曲家・弾き語り)"

『初国知所之天皇』 復活上映会に寄せて 瀬々 敬久より

"『おかしさに彩られた悲しみのバラード』を高校生の時に見て以来、8ミリで映画を撮り始めた。それほど原將人信者だった。大学生の頃、原將人全作品上映の企画をして上映会を行った。その大きな理由は、噂に高い『初国』が見たかったからだ。『初国』は遥かにその伝説を超えていた。映写機と見る者、その空間、それらが混然一体となったまさに映画体験だった。上映という行為でしか成しえない作品、それでしか享受できない感動。あれ以来、僕は『初国』以上の映画体験を未だに経験していない。
瀬々敬久:映画監督『64ロクヨン』『最低。』『友罪』『楽園』『糸』"

 

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2021.02.24

■感想 イ・チャンドン監督『ペパーミントキャンディ』


イ・チャンドン監督伝説の傑作『ペパーミント・キャンディー』予告編

"1999年、春。旧友たちとのピクニックに場違いな恰好で現れたキム・ヨンホ(ソル・ギョング)。 そこは、20年前に初恋の人スニム(ムン・ソリ)と訪れた場所だった。仕事も家族もすべてを失い、絶望の淵に立たされたヨ ンホは、線路の上で向かってくる列車に向かって「帰りたい!」と叫ぶ。すると、彼の人生が巻き戻されていく。自ら崩壊させ てしまった妻ホンジャ(キム・ヨジン)との生活、互いに惹かれ合いながらも結ばれなかったスニムへの愛、兵士として遭遇し た「光州事件」...。
そして、記憶の旅は人生のもっとも美しく純粋だった20年前にたどり着く...。

1999年/韓国・日本/本編130分/韓国語5.1ch/ビスタ/原題:박하사탕
(英題:Peppermint Candy)「第3回アジア・フィルム・フェスティバル」NHK国際共同制作作品"


 『ペパーミントキャンディ』Amazonプライム視聴、初見。
 『バーニング』しか観てなかったイ・チャンドンの2000年のNHK共同制作の作品。『バーニング』とは雰囲気は違うけれど、これも傑作ですね。

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 冒頭の衝撃的な展開から、引き込まれて時間線を遡る構成の妙にまず感嘆。丁寧に張られた伏線とその回収、細かな感情の揺れ。見事な映像描写ですね。
 ラストで示される主人公の既視感。ここだけ観るとまるでSF映画の佳作を観てるようなタイムスリップ感が画面に浮遊しています。
 次は同じくAmazonプライムに入ったイ・チャンドン監督『オアシス』を観てみます。

◆関連リンク
■感想 イ・チャンドン監督/村上春樹原作『バーニング 劇場版』
■感想 イ・チャンドン監督『バーニング』NHK放映版

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2021.02.22

■感想 山田篤宏監督『AWAKE』


映画『AWAKE』予告編

 山田篤宏監督『AWAKE』刈谷日劇にて観てきました。久々の映画館は、平日だったので客は2人だけ。

 本作は第1回木下グループ新人監督賞グランプリのオリジナルシナリオの映画化作品。AI将棋の電脳戦を描いたもの。
 この手の映画でありがちな感情の起伏を極力抑えた描写がなかなかの佳作でした。

 将棋のコマ運びは端折ってあって、将棋の局面自体はあまり分からせようとした描写にはなってない。この辺りはNetflixのチェスドラマ『クィーンズ・ギャンビット』と時期を偶然同じくして共鳴している感じ。

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 欲を言えば、AI生成過程は少しでも機械学習のメカニズムに触れて欲しかった。いかにして“人工知能”が人を超えていくかが画面に表現されてたら、せっかく大学サークル「人工知能研究会」磯野マスオ役に落合モトキという面白い役者を配していたのだから、もっと傑作になったと思うので残念でならなかった。

◆関連リンク
カントク日記 #1 映画「AWAKE」これまでの制作時系列

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2021.02.17

■入手 タイガー 機械式計算機 電動タイプ E60-3

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 長野の古道具屋さんで、タイガーの機械式計算機 電動タイプを購入。
 写真右は、以前から持っていたタイガーの手動機械式計算機。その大きさがよくわかると思います。そして何と重量は11kgと大変重い。
 機械の塊であること、この重さからメカ式の集積回路であることがわかります。

 帰ってからネットで調べると、1960年発売の電動式 初号機E60-3というものであることが分かりました。とはいえネットにはほとんど情報がなく、写真も不鮮明な2枚ほどしか掲載なく大変貴重なものと思われます。

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 恐る恐る電源投入。何と動きます!動画を掲載しましたが、割り算、足し算はできているようです。ときどき内部の切り替えレバーが引っかかって、上手くいかないのでチューニングは要りそう。

 写真の黒いのはもともと持っていた同じくタイガー計算機の手動機械式。原理は一緒だけど、手回しで計算してたのが、モーターで自動で電動計算されます。

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 ガチャガチャ内部の歯車が動いて計算している様は、まるでスティームパンクのバベッジ、ディファレンスエンジンの様で格好良い!凄く手頃な値段で買えて、暫く楽しめそうです(^^)。

 今のところ、+−のボタンで、足し算/引き算/掛け算を電動で実施できるところまでは確認しました。
 × ÷ のボタンについては、今一つ作動がどう実施されるか、よく分からずに計算は模索中です。

◆関連リンク
動画をこちらのFacebookページに掲載したので、ご覧ください。
東京理科大 電動式計算機 手動・電気計算機データベース 
・情報処理学会タイガー計算器-コンピュータ博物館
機械式計算器学会

 

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2021.02.15

■感想 フョードル・ボンダルチュク監督『アトラクション 制圧』『アトラクション 侵略』


映画『アトラクション 制圧』予告編

 フョードル・ボンダルチュク監督のロシアSF映画『アトラクション 制圧』『アトラクション 侵略』WOWOW録画見。

 SFXはなかなかの本格派でハリウッド大作レベルの出来でなかなか眼の保養になりましたw。少しストーリーは大味でご都合主義なのは残念だけれど、そこは脳内補完して楽しめました(^^)。

 『制圧』は冒頭の宇宙船落下から生物的強化スーツ等、素晴らしくゴージャス。そして『侵略』は主演女優 イリーナ・スタルシェンバウムの可憐な強さとラストの寂寞感にかぶさるビリー・アイリッシュ「I Love You」がピッタリで痺れました。
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 あと『制圧』冒頭で中国で17世紀に30万人が死んだ隕石落下事故について触れられるシーンがあるのだけれど、全く知らなかったのでググってみたら、どうやら「王恭廠大爆発」という事件らしい。「爆発範囲は半径750m、面積2.25㎢に及び、2万人以上の死者を出した。 天然ガス爆発説、隕石落下説、隠れた火山からマグマが噴出した説」ということで原因不明の爆発事件らしい。これも想像力をかき立てられますね。

 ロシアのSF映画らしくない、ハリウッドエンタメ系狙いで肩の力を抜いて楽しめるSFアドベンチャーでした。
 にしても$6.3, $14.8 millionでここまでの大作ができてしまうのってロシアは映画制作費安いんですね。

◆関連リンク
千古謎團!明朝「王恭廠大爆炸」秒殺2萬人

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2021.02.10

■感想 ニール・マーシャル監督『ヘルボーイ』(2019)

映画全篇を楽しみたい方は、リンク先はクライマックスシーンなので、観ないことをお薦めします。また相当にグロいので御注意下さい。

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 ニール・マーシャル監督『ヘルボーイ』(2019)WOWOW録画見。

 ギレルモ・デル・トロの前2作と比べるとストーリーが未整理で最初、なかなか映画に入り込めなかった。

 素晴らしかったのは、ロンドンに黙示録の世界が現出するリンク先動画のシーン、ここで眼が覚めました(^^;)。

 『ゴールデン・アーミー』でも、そのイメージにリスペクトされた映像が作られていた、ポーランドの地獄を幻視する幻想画家ズジスワフ・ベクシンスキー。本作でのこのクライマックスの地獄の現出も正にベクシンスキー世界を再現している。一見の価値ありです。
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◆関連リンク
当ブログ記事 ヘルボーイ関連
・       ベクシンスキー関連

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2021.02.08

■感想 「諸星大二郎展 異界への扉」@ 長野イルフ童画館

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「諸星大二郎展 異界への扉」@ 長野イルフ童画館

"会期 2021年1月24日(日)~2021年3月13日(土)
※会期中、一部展示替えを行います。
前期:1/24~2/16、後期:2/18~3/13
休館日 水曜日(祝日は開館)
開館時間 10:00~17:00(受付は16:30まで)
会場 長野県岡谷市 イルフ童画館 2階企画展示室"

 「生物都市」『暗黒神話』『マッドメン』『妖怪ハンター』、、、ワクワクしたあの作品群の原画を観られて感激でした。諸星氏のタッチの細部を堪能しました。
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 縄文文化の地、長野県諏訪湖近郊の岡谷市で開催されている諸星展、縄文の土偶と諸星氏の原画が対比して置かれたコーナーも、その展示空間を異界の趣に変貌させていて、実に印象的な体験でした。

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 そしてミュージアムカフェで特別メニューとして暗黒星雲チーズケーキを食し、魂は伝奇空間から遥か彼方の馬頭星雲まで飛翔しましたw。
 これが「暗黒星雲」でなく「暗黒神話」チーズケーキだったら、きっと今頃、家には帰ってこれなかったことでしょうw。

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 ショップには数々の諸星グッズが溢れていましたが、どうしても欲しかったオオナムチTシャツもマッドメンのサイン入り版画も家内の冷たい視線にたじろぎグッと我慢なのでした。でも眼福眼福。さすがに平日だったので、観客はほぼ貸し切り状態で何とも贅沢な空間でした。

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 展示作品リストを追加しました。展示が入れ替わる、後期も観に行きたくなってしまいます。

 長野の後の巡回予定です。

"・2021年3月20日(土)~5月23日(日)
 北九州市漫画ミュージアム(福岡県北九州市)
・2021年8月7日(土)~10月11日(月)
 三鷹市美術ギャラリー(東京都三鷹市)
・2021年10月23日(土)~12月26日(日)
 足利市立美術館(栃木県足利市)"


◆関連リンク

図録『諸星大二郎 デビュー50周年記念 異界への扉』

当ブログ記事 諸星大二郎関連

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2021.01.20

■感想 歌舞伎『風の谷のナウシカ』


新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』ディレイビューイング本予告

 歌舞伎『風の谷のナウシカ』前半3時間をNHK BSPで観ました。

 中村七之助のクシャナと坂東巳之助のミラルバが良かったですが、やはりナウシカが全然ナウシカに見えてこないのが残念でした…。後篇では巨神兵オーマがどう描かれるかが注目ですね。

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 歌舞伎『風の谷のナウシカ』後篇、オーマの具象化とクライマックスのシュワの墓地、なかなかの迫力でした。

 歴史的日本SFの到達点である原作漫画第7巻の映像化として、あの壮大なイメージをリアルに描写せず、歌舞伎という手段で一種抽象化したのが、なかなか良かったのではないかと思いました。
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 原作やアニメ映画に寄った造形よりも、歌舞伎古来の表現にダイナミックに置き換えたシーンの方がどちらかと言えば、雰囲気を出せていた様にも思い、いっそナウシカやオーマの造形もそちらに振ったものを観てみたい気持ちになりました。

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2021.01.18

■感想 アリ・アッバシ監督『ボーダー 二つの世界』


アリ・アッバシ監督『ボーダー 二つの世界』予告編 

 しばらく更新が途絶えてしまいましたが、今年もボチボチやっていきますので、宜しくお願いします。
 元旦に、2021年の初映画を何にしようか迷って、WOWOW録画ディスクから選んだ、アリ・アッバシ監督、2018年スウェーデンのファンタジー?映画『ボーダー 二つの世界』。

 全く事前情報なしで観たんですが、前半不穏な展開に全然先が読めず、意外なところへ連れて行かれる感が半端でない。
 これは思ってもいなかった映画で、年明けに当たりでした。後味の悪さも、大袈裟に言えば人類の常識を直撃するが故、自分の価値観を揺さぶってなかなかの衝撃です。

 ボカシが酷くて、想像力で補ったんですが、ある意味、設定は違うけれど「ノンマルトの使者」なんかもこのテイストを導入したら凄まじい傑作になるのかもしれない。

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