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2004.09.08

■BS アニメ夜話 『カリオストロの城』

 今日は国生さゆりが加わったからか、割と普通の話にまとまっていたよーな。もっと『やぶにらみの暴君』の話とか、アニメータの話題にも触れてほしかったなーー。
大塚康生とのコンビ
 面白かったのは、大塚康生とのコンビネーションの話かな。僕も宮崎駿の黄金期※1は、『未来少年コナン』と『カリ城』と思うのだけれど、どうしてそうなのかな?と思ってたので、参考になった。
 唐沢俊一の言っている「宮崎-陰、大塚-陽」というのはちょっとピンとこないのだけれど※2、確かに『コナン』と『カリ城』とか大塚とのコンビ作に傑作が多いのは間違いない。※3 ここらの分析をもっと読んでみたい。『リトルニモ』が宮崎+大塚コンビで作られていたら、検証できたかもしれないのだけど。今から大塚作監を復活させて検証するわけにもいかないし、、、。『雑想ノート』のどれか小品を30分だけ老人チームで作ってみてほしかったりして。
何故、『コナン』と『カリ城』なのか。
 検証されないとわからないなら、この切り口でなく何故『コナン』と『カリ城』が傑作なのかをちょっとだけ考えてみる。もしかするとやはりこの宮崎監督作の初期2本は、ずっと蓄積された宮崎の想いが初めての監督作で思い通りに解放されていることが原因かもしれない。(あ、割と一般的説明ですが、、、。)
 何がいいって、特にこの二作の一番の名場面を挙げるとすると、僕は『コナン』の「大津波」のモンスリーが過去を思い出すシーンと、『カリ城』で過去にルパンとクラリスが会っていたことをルパンが思い出すシーンが、とにかく最高シーンだと思う。どちらも似たシーンだけど、宮崎がずっとそこまでの画面にそこかしこで込めてきた想いが結晶化しているようなそんなシーンだと思う。情感というか記憶の回復というか、これこそ言葉では書けない映像のみの持ちうる何ものかの表現なのだと思う。で、何が言いたいかというと、ここに象徴化されているようにこの二作にはそれ以外にも宮崎のそれまでの想いの蓄積が随所に結晶化されていて、それで傑作たりえているのではないか、と思うのだ。つまりここで一番純粋な形で、宮崎が蓄積してきたいろいろなものが解放されて傑作が生まれた。その後の作品は技術レベルは高いけど、観客にここまで伝わってくる「想い」が込められていないのではないかな、という解釈。 ど、でしょ。長文でくどくてわかりにくいっすね。
何故、少女を助けるのか?
 この蓄積について一つだけ書く。白い服を着た少女について。『宮崎駿の原点―母と子の物語』という大泉 実成が書いた本の中に非常に興味深い宮崎の子供時代のエピソードがある。あまりに後の作品にピッタリはまりすぎてかえって嘘くさく思えるエピソードなのだけど、、、。
 手元に本がなく記憶で書くけど、東京大空襲の中、トラックで逃げる宮崎一家と駿少年の前に、逃げられず助けを求める白い服の少女がいた。しかしトラックはいっぱいで見捨てて逃げてしまった。宮崎少年はこの時の少女に強烈な原罪を感じている、というもの。
 その時、逃げてしまった宮崎が悔いるのは、少女の持っていた未来の可能性を殺してしまったのではないかということである。ありえたかもしれない未来を奪ったのが自分であるというような想いを持ったというようなインタビュー記事だったと思う。
 『コナン』も『カリ城』も、まさにこの白い服の少女を助ける、というモチーフが歴然とある(と言うか、その他の作品もこればっか(^^;))。そして記憶がよみがえるシーンで物理的に助けるだけでなく、精神的な浄化みたいなことも同時に描いていたりする。ここに込められた宮崎の想いというのは、たぶん僕らが単にロリコンと揶揄する以上の何ものかがあるのだと思う。
 んで、細かくは分析できてないけれど、ここをもっとも見事に結晶化しているのが、この二作を傑作としている理由ではないかと思うのである。番組で井上伸一郎がインタビューでクラリスは理想化しすぎているのではないか、と言ったら烈火のごとく宮崎が怒ったと話していたが、宮崎にこんな後悔の記憶と、ありえたかもしれない少女の可能性に対する想いがあるとすると、烈火の怒りもわからんではないなーー、と思ったりするのである。特に長年の想いを初めて自作で解放したこの二作については。※4
( あー、明日も仕事だというのに、何を真剣に長々と書いているんだーー>>>自分。ちょっと仕事逃避モード強い今週です。許してたもれ。)

※1.ただし漫画の『風の谷のナウシカ』は別格。これは本当に凄いと思う。『コナン』と『カリ城』の宮崎アニメの良さとは、またちょっと別ですが、、、。あと後期宮崎では『魔女の宅急便』と『ON YOUR MARK』とかも好きですが。
※2.『旧ルパン』や『侍ジャイアンツ』や『ど宝』、『空飛ぶ幽霊船』の宮崎原画を観てもコンテや『雑想ノート』にしても、宮崎のおおらかな作画センスが出ていて、大塚-陽に対する陰とは思えないので。
※3.でも大塚コンビ作だけでなく「テレコム」で作ったのは、後期に比べ傑作が多いと思う。
※4.少女を助ける、そのものの話に宮崎は傑作が多い。『ON YOUR MARK』、「泥棒は平和を愛す」とか。東映動画『ガリバーの宇宙旅行』で新人アニメータの立場で、強引にラストをこのモチーフに持ってきたエピソードも有名。

◆関連リンク
・唐沢俊一が収録の様子を書いています。裏モノ日記 2004年8月の8/18分。『やぶにらみの暴君』についても語っていたようですね。放送ではカットされてたみたい。
『宮崎駿の原点―母と子の物語』(Amazon)
未来少年コナン 6「大津波」収録 (Amazon)
ルパン三世...スタジオジブリ絵コンテ全集...「泥棒は平和を愛す」収録 (Amazon)
・当Blog記事
 ■BS アニメ夜話 ラインアップ
 ■BS アニメ夜話 『銀河鉄道999』

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