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2004.11.02

■古川日出男 『gift』 (集英社刊)

 今年2冊めの古川本で嬉しい。150ページ、ほぼ新書版サイズの本に19編の掌編が収められている。作者初の短編集である。
 一編一編は約10ページ前後。ショートショートということではなく、各作品が幻想的だったりリアルだったり夢想だったりという幅のある「小説」そのもの、と言っていい言葉によって紡がれたひとつの世界になっている。
 僕が好きだったのは、学校の屋上のアクアリウムを舞台にした恋愛小説「夏が、空に、泳いで」とか、アビシニアンも登場する猫の物語「光の速度で祈っている」とか、バカバカしい楽屋落ち「アルパカ計画」(本当の物語はどうなったんだよ!)とか。
 先にも書いたように、とても幅のある傾向の作品だけれど、これは長編でも一編ごとに文体が変わる古川の多様さの証明とともに、小説の可能性への旺盛な開拓者精神の現れであるのだと思う。

 そして特筆したいのが、各作品の読後の透明感/疾走感。もう一度見直すと、最終の一行で飛翔していたり、愛がいきなり誕生したり、希望の言語が現出したりして、一種、勢いを持った終わり方をしている。ここに生み出された独特のエピソードと文体とともに、古川の小説の持つ魅力が結実している。

◆関連リンク
小説すばる 今月のお薦め本 by 豊崎由実
「ページをめくる指が止められなくなる、贅沢な掌篇小説集。」「小説が言葉で成り立っていること、文章の連なりが小説であること、その単純な事実の意味と重さをしっかり心に留めている真正作家の、これは、小説を愛するわたしたちへの贈り物なのである。」
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