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2004年6月13日 - 2004年6月19日

2004.06.19

■『ビッグフィッシュ―父と息子のものがたり』
      ダニエル・ウォレス著/小梨 直訳(河出書房新社)

 『ビッグフィッシュ―父と息子のものがたり 』(Amazon)
 ティム・バートン監督による映画が良かったので、原作も読んでみた。
 小説は映画より幻想味が薄れ、より父と子の日常的な交流が強調されている。映画では現実からかなり遊離した空想により脚色された夢幻的世界を人生として旅してきた父親が描かれているが、原作ではどちらかというと父親の空想は現実的なジョークの連発に近い。
 こうして読んでくると、映画でのティム・バートンらしさが浮かび上がってくる。小説の前半でバラバラのエピソードとして少しだけ触れられた二つ頭とか巨人とかが、映画ではひとつの連続的な縦糸として、サーカスをからめて有機的にラストへとひとつながりになっている。これが活きて、あの映画の素晴らしい川と葬儀のシーン、夢と現実が混沌として、父親の生きてきた心的風景もまるごとに包括した本当の現実といったものが息子とわれわれ観客に観えてくる感動的なラストシーンとなっていた。
 残念ながら原作にはそのシーンはない。実はそこを読みたくて本を手に取った僕は肩透かし。ティム・バートン(もしくはシナリオライター)のみごとな手腕に関心することとなった。監督のフリークス/幻想趣味が原作に掛け算されて、それを縦糸にしたことで、映画は小説よりも素晴らしいイメージを獲得されたのだということがよくわかった。
 本のレビュウのはずが、映画のことばっかり書いてしまった。小説らしい良さは、父親が息子に伝えたいことといった想いを、映像でなかなか表しにくい描写で描き出している。例えばP142の紙袋の裏に父が「自分で独力で身につけてきた」長所を列記して、息子にいつか伝えたいと考える描写。これは親が子に持つ普遍的な想いをごく日常的な「スーパーの紙袋」というものに書き出すことで、グッとくるシーンになっている。
 幻想小説として期待して読むと肩透かしであるが、父と子の物語としては、べったりと甘くならないでクールにエピソードの集積でラストにじわっと迫ってくる佳作になっていた。
◆関連リンク
・究極映像研『ビッグフィッシュ』映画評
・Daniel WallaceのDaniel Wallace">原著(Amazon)
・元々イラストレーターのダニエル・ウォレスの自画像とインタビュー記事 上記映画の縦糸の描き方について下記コメント。
 

"The circus in the movie works well to pull the characters together and hold the movie together," the author said. " What's impressive is that it is not just a pastiche it really holds together well."

・ダニエル・ウォレス『西瓜王』(Amazon)

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■黒沢清監督『ドッペルゲンガー』(2003)

 ドッペルゲンガー公式ページ http://www.doppel.jp/(「doppel.jp」というのも凄い)
 役所広司主演の、、、、ホラー?ブラックコメディ?ロードムービー?サイコムービー?。 と紹介に困るようなジャンル不問の映画になっている。
 前半はシリアスなホラーのタッチで、『CURE』から黒沢清にはまった僕は傑作の予感を持ったのだけれど、、、。後半の黒沢の暴走についていけなかったというのが正直な感想。『ニンゲン合格』『カリスマ』といった不条理全開映画もあの独特の雰囲気で好きなのだけれど、これはそうした映画ともちょっと違う。エッセンスはあるのだけれど、、、。ユースケサンタマリアの中味のない無軌道な不気味さに象徴されるように、いままでの自作のどれにも似ていない映画を黒沢監督は目指してのかもしれないが、今回は新境地と誉められる清新さは感じられなかった。

★★以下ネタバレ★★
 前半、ドッペルゲンガーの描き方は面白かった。『回路』や『CURE』みたいに、境界線上に現れるモノではなく、堂々と存在し、しかも当人の死後もいついてしまうずうずうしいドッペルゲンガー。本人死後にも存在してしまうというのは新機軸。びっくりしたし先の展開が期待された、、、、。
 あとこの映画、「人工人体」というウェアラブルマシン開発のエンジニアが主人公で、SF的タッチもあるので、おっ、黒沢のロボットSFと期待したのだけど、そこはサラリーマンエンジニアの苦悩とかへ収斂していって盛り上がりに欠けた。ウェアラブルマシンもちゃっちいし、、、、残念無念。
ドッペルゲンガーDVD(Amazon)
・究極映像研記事 『アカルイミライ』

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2004.06.16

■映画『LORELEI ローレライ』製作記者会見レポート

映画『LORELEI ローレライ』製作記者会見レポート公開!!

 樋口真嗣「今、半分を撮り終えたところだが面白くて面白くて仕方がない。早くこの続きを見たいなあと言ったら、みんなに『おまえが撮るんだよ、バカっ』と怒られました(笑)。とにかくこの映画ではウソをつかない。ウソをつくことなく描きたいと考えています。福井さんの原作もそのように描かれていますが、限りなく誠実にケレンを描いていきたいと考えています」

 潜水艦セット内の狭い撮影に対応するため20kgfやせた樋口監督と、ヒロイン パウラ役の香椎由宇(かしい・ゆう)の写真が載ってます。僕の読んだパウルのイメージは、もう少し若いイメージかな。

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■SF殿堂博物館 Science Fiction Museum and Hall of Fame

 MSN-Mainichi INTERACTIVE コンピューティングより。

 SF関連の資料を専門に展示する「SF殿堂博物館」(Science Fiction Museum and Hall of Fame)が18日(米国時間)、ワシントン州シアトルにオープンする。米マイクロソフトの共同創設者で億万長者、またSFマニアとしても知られるポール・アレン氏が約2000万ドルの私財を投じて建設した。

20億円でSF博物館というのは、今の日本のSF状況からいうと、ビジネスとしてはありえない話で道楽そのものでしょうが、アメリカではどんなもんなんだろうか(きっとアメリカでも道楽でしょう)。行ってみたい!!
 ここがその公式サイト。なかなかいいデザインのページです。
 Science Fiction Museum and Hall of Fame
 ここも公式のようですが、どっちなんだろう?
CNN.co.jp - サイエンスに展示品紹介。うーん、これじゃあね、、、。
館内では、「スター・トレック」でカーク艦長が座ったいすをはじめ、名作に登場する光線銃や多数のポスターなどを見ることができる。宇宙ステーションを模したコーナーでは、スター・トレックのエンタープライズ号や「スター・ウォーズ」の宇宙船ミレニアム・ファルコンが窓の外を通り過ぎて行く。ボタンの操作で、これらの宇宙船をさまざまな角度から見てみることもできる。米海洋大気局(NOAA)が開発した球形のスクリーンには、実在する星のほか、スター・ウォーズに出てくる雪の惑星「ホス」なども映し出される。フランケンシュタインと遺伝子工学など、過去の名作と現代科学を比較する展示も見ものだ。

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2004.06.15

■[速報]ミニクーパーロボットついにMINI USAで公開!

 BMWおたっきーず!Blog !より
 ついにBMWが正式に動いた!BMWおたっきーず!さんの特ダネです。
 MINIusa.comのサイトにてあのDr.コーリンのものと瓜二つの写真を公開!この画像、今のところ、MINIusaだけのようです。他国のMINIのサイトには(全部観たわけでないけれど)掲載されてなさそう。Dr.コーリンの住むというイギリスのサイトにも掲載されてません。
 今回、下のような鮮明な画像が出ています。注目は初めて細部まで見えるようになったことです。じっと見ていくと、どうやらCGだという具合に見えます。MINIusaでは画像が公開されただけで、特にどういう出自のものかには触れていません。blog界?を騒がせたこのロボットの数多くの謎に、これでやっと終止符が打たれるのでしょうか!?皆さんは下の画像、どう思いますか?
mini_robot.jpg
 画像 1.MINIusaロボット 2.Dr.コーリンロボット 3.Dr.コーリンロボット(動画から)  
 Dr.コーリンのロボット、一瞬、本物との期待も持ったのですが、夢だったのか? 別にこのMINIusaのサイトの画像がCGだからと言って、MINIusaがDr.コーリンのロボットを真似たCGをCMに使っただけで、実はイギリスには本物が存在する、という可能性もゼロではないわけです。でもこの詳細画像のメカニズムを見ていると、これで車両をガッシと受け止めるだけの剛性はないように思えます。Dr.コーリンのサイトにある腕だけが動くムービーは、実物の質感を持っていると思うのだけどなーー。
mini_robot_arm.jpg
 BMWも、しかし中途半端なことをします。もしCMなら、ここまで車両の部品をロボットへそのまま流用という構造にするなら、トランスフォーマーにして、MINIからの変形を見せればいいのに。あー結局BMWがプレスリリースしない限り、今だ悩ましい(^^;)。
 Dr.コーリンのHPは動きなしです。
◆関連リンク
 究極映像研内既報
 ・イギリス発のすごいロボット
 ・夫婦の愛が作った!ガソリンエンジン駆動ロボット
 ・あのイギリスのロボットはCG合成なのか?
 ・Dr. Colin Mayhew のメール
 ・Dr.Colin Mayhewのロボット続報

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■ルディー・ラッカーの初映画化!! 『時空の支配者』

 少し古いニュースですが、あのルディ・ラッカーのSFが映画化! との情報、ラッカーファンの私としては、何をおいてもこれを載せないわけにはいきません。
 原作は、天才科学者(マッドサイエンティスト)ガーバーとフレッチャーのシリーズもの長編。あの「ポップでキュートな超ナンセンス・ハードSF」(新潮文庫版裏表紙より)が、どんなマッドな作品になるか、今から楽しみ! 大ヒットして、是非『ウェット・ウェア』等のパンクな傑作も映画化してもらいたいものです。
 eiga.com [ニュース&噂]より

ルーディ・ラッカーのSF小説「時空の支配者」(ハヤカワ文庫・刊)の映画化で、時空支配装置という機械を手に入れた主人公が、時間と空間をもてあそぶうちに大混乱に陥るというSFコメディ。メガホンを握るのは奇想天外映画ならおまかせの奇才ミシェル・ゴンドリー監督(「ヒューマンネイチュア」「エターナル・サンシャイン」)。

◆関連リンク
・情報元は下記によれば、米Variety誌らしい。
  http://www.moviehole.net/news/3709.html
  http://movieweb.com/news/news.php?id=3965
Rudy Rucker's Home Page. 作家本人のHPには、今のところ映画化情報はありません。
『時空の支配者』ハヤカワ文庫 SF(Amazon)
ルディ・ラッカー翻訳書(Amazon)
rudy rucker原書(Amazon)

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2004.06.13

■今敏監督『妄想代理人』(2004)

妄想代理人公式サイト

 眞紗さんがコメントでお奨めの『妄想代理人』の1-4話をDVDでレンタルして観ました。
 まずはオープニング曲「夢の島思念公園」が素晴らしい。P-MODEL平沢進の音楽と、正面に一人づつ立って何故か笑う登場人物たち。「ラーライーヤーライオア 空に見事な きのこの雲」というフレーズと明らか(?)に核兵器と思われる毒々しいきのこ雲を背景に、笑う男。都市を背景に通り過ぎる車と人々の影。とにかくこのオープニングだけでも必見。
 ストーリーは各話、少年バットに襲われる登場人物ひとりひとりの物語になっている。それぞれいろいろな精神的な問題を抱えるキャラ。そして登場する少年バットの正体とは??って感じ。まだここまではキャラの説明という感じで、今後のストーリーの大きな流れに期待というところでしょうか。うーん、きのこ雲がどうかかわってくるのか?
 映像としてはTV(WOWOWだっけ?)シリーズとしては完成度高い。きっちりした作画ですね。あと中間のアイキャッチの映像がかなり気に入りました。
◆関連リンク
・サントラの無料配信
妄想代理人サントラCD(Amazon)
DVD 妄想代理人(Amazon)
妄想代理人角川ホラー文庫(Amazon)

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■アヌシー国際アニメーションフェスティバル受賞作一覧
    Annecy 2004 - Award Winning Films

 受賞作が発表されたようです。
 Annecy 2004 - Award Winning Films SUNDAY 13 JUNE 2004, 1:50 AM
 残念ながら、わが日本の作品は、今年入っていないみたい。こうした作品から言うとアニメ後進国なんですね。特にインターネット部門あたり候補が出ても不思議はないと思うけど、残念。

◆グランプリ Cristal d'Annecy 2004: Lorenzo by Mike Gabriel, USA

◆Short films (候補作52本より) (日本から2本 Kunio Kato,Takashi Kimura)
>> Birthday Boy    Jean-Luc Xiberas award for a first film    Australia
>> Gjennom mine tykke briller        Special distinction    Norway
>> Hello                       FIPRESCI award    Australia
>> L'inventaire fantome
   Annecy 2004/ Canal J Jury junior aword for a short film    France
>> La revolution des crabes           Audience award    France
>> Lorenzo                   The Annecy Cristal    USA
>> Ryan                     Jury's special award    Canada

◆Feature films (候補作5本より)
>> Oseam              The Cristal for best feature    South Korea

◆TV series (候補作29本より) (日本から1本 Naomi Iwata)
>> Creature Comforts "Cats or Dogs?"
                The Cristal for best TV production    United-Kingdom
>> The Delta State (episode 1) Special award for a TV series    France

◆TV specials (候補作11本より) (日本から1本 Mai Tominaga)
>> Bosom Pals "Joan's Birthday"      TV special award     United-Kingdom

◆Educational, scientific or industrial films (候補作2本より)
>> Daughter, a Story of Incest
        Educationnal, scientific or industrial film award     Denmark
>> Daughter, a Story of Incest          Unicef award     Denmark

◆Advertising films (候補作23本より)
>> Caisse d'Epargne "Les triples"
              Advertising or promotional film award      France

◆Music video (候補作11本より)
>> Deewana             Award for best music video     India

◆School or graduation films (候補作69本より)
>> Allerleirauh   Award for best school or graduation film     Germany
>> Dahucapra Rupidahu          Jury's special award     France
>> No Limits The International Labour Organization award      Germany
>> Poor God                 Special distinction      United-Kingdom
>> Quarks      
  Annecy 2004 / Canal J Junior jury award for a school or graduation film France

◆Short films for Internet (候補作14本より)
☆各作品がリンク先で観えます。
>> Il Branco                  Short film award      Italy
>> The Meatrix               Netsurfers award      USA

◆Series for Internet (候補作7本より)
☆各作品がリンク先で観えます。
>> Olaf et Korpatas "Cansone"  Award for best series       France

◆関連リンク
・三十路でアニメさんが、短編アニメ部門と長編アニメ部門のグランプリをピックアップして詳細紹介されています。

以下、猫丸さんのコメントよりググりました、情報ありがと です。
・オフィスH 伊藤裕美さんのAnnecy 2004レポート
FUTURE GRAPHICS での伊藤裕美さんのレポートはここ(要登録)。各作品レポートから会場の雰囲気まで楽しめます。

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