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2004年8月8日 - 2004年8月14日

2004.08.14

■<未来の文学>第一回配本 『ケルベロス第五の首』
   ジーン・ウルフ著 柳下毅一郎訳(国書刊行会刊)

 ジーン・ウルフの最高傑作といわれる作品。
 つらつらーーとウェブのいろいろな感想とか分析を眺めて、この本、SFよりもミステリーの読者の方が受けるのかも、と思った。SF的な認識の拡大とかセンスオブワンダーのあるイメージよりか、本格ミステリーの謎解き部分の方に比重があるように思った(と非常に乱暴に言ってしまおう)。ネタばれになりそうなので、迂闊に書けないけれど、晦渋かと思っていたけれど案外読みやすかった文の裏に、高度なミステリーの技がある、ということのようである。僕は実は表面的にしか読めてなくて、(たぶん)メインネタに関しては、P311の第二パラグラフで妙だな、と思って、なんとなく気付いたかなーー、というヌルイ読みしか出来なかった。
 本格ミステリー好きの方に、お薦めです。SFの異世界描写も楽しみつつ、謎解きにチャレンジする読み方をお薦めします。
 三つの作品のうち一作目の「ケルベロス第五の首」が、僕は一番面白かった。三作品とも文体がかなり違うけれど、この一作目は、中世的(?)な西欧世界の濃密な文体の中に、高度に科学的なガジェットが出てきて、マッドサイエンス的でなかなか傑作。
 というお茶を濁した感想で終わりにします。後は、ウェブ上のいろいろな情報をおまけに。
◆関連リンク
『ケルベロス第五の首』(Amazon)
・若島正氏の毎日新聞での書評
・殊能将之氏のケルベロス第五の首:勝手に広報部 書評とか、各種リンク充実。
・殊能将之氏の謎解き(読後に読みましょう) これはネタバレではない。なぜならこんなネタなどないからだ。
・さらに同氏の作品との関係

 「『ケルベロス第五の首』は拙著『鏡の中は日曜日』の元ネタ(もっと正確に言うと、発想源のひとつ)である。なぜ、遠未来の異星を舞台にしたSFが本格ミステリの元ネタになり得るのかというと、理由は簡単で、『ケルベロス第五の首』は本格ミステリだからだ。」

・分析としてはここに詳細があります。ultan.net別館さんのメモ
・はてなダイアリー - (゜(○○)゜) プヒプヒ日記 柳下毅一郎氏・若島正氏『ケルベロス第五の首』トークショー
・堺三保氏のblog FIAWOL-blog「人生は四十一から」。同トークショー 会場の写真とかあります。
国書刊行会のニュース 8/12より。トークショー内容が雑誌に掲載される予定とのこと。
柳下・若島両氏が「あんなにつっこんだ話をするつもりはなかった」とつぶやくほど、密度の濃い内容でした。本トークショーの内容は「eとらんす」10月号(9月3日発売)にあますところなく収録される予定

・イメージをググって拾ってきました。
gene_wolf_98.jpg cerberus01.jpg cerberus02.jpg
cerberus03.jpg cerberus04.jpg cerberus05.jpg
  ①98年ワールドコンでのウルフ ⑤ポーランド版? 
  海外のはどれも本書のイメージにあいません。日本版の無味乾燥な表紙の方がまし。訳者あとがきで紹介されている CAVE CANEMのサイトの絵が一番いいかと(ロボットがフライデーだけど、、、)。

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2004.08.11

■京極夏彦原作『姑獲鳥の夏』
    京極堂シリーズ映画化 記者会見

 8/10に記者会見があったようで、いくつか記事が出てます。
 役作りした各俳優の写真が下記リンクで見れますが、、、、なんか冴えない。

eiga.com [ニュース&噂]

 堤は「ファンからバッシングされる覚悟もできている。現場で作り上げていく中で、原作とは違う京極堂になるかもしれないが、それはそれで楽しんでほしい」とコメント。

“京極堂シリーズ”「ウルトラマン」の実相寺監督映像化 - FLiXムービーサイト

 物語の導き手である京極堂こと中禅寺秋彦を演じる堤真一は「長いせりふが多く、説明づくしなので、意味がわからずに、言っていることもあります」と述べる。

 おぃおぃ!!

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■BS アニメ夜話 ラインアップ

BS マンガ夜話 homepageより。

「BSアニメ夜話」第1弾をお送りします!!
●司会 岡田斗司夫(作家)
●出演 池田憲章(評論家)、井上伸一郎(アニメ雑誌発行人)、唐沢俊一(評論家)、北久保弘之(アニメ監督)、大地丙太郎(アニメ監督)、氷川竜介(アニメ評論家)ほか(予定)
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第1夜 9月6日(月)
23:00~ 「 銀河鉄道999(劇場版)」 監督:りんたろう 原作:松本零士
第2夜 9月7日(火)
23:00~ 「 ルパン3世 カリオストロの城」 監督:宮崎駿 原作:モンキー・パンチ
第3夜 9月8日(水)
23:00~ 「 あしたのジョー」 監督:出崎統 原作:高森朝雄、ちばてつや
第4夜 9月9日(木)
23:00~ 「 カードキャプターさくら」 監督:浅香守生 原作:CLAMP

制作会社 アマゾンの公式ページ
アニメ通の論客陣とこだわりの職人技解説コーナーに乞うご期待!

 司会は「BSマンガ夜話」でもおなじみの岡田斗司夫。各回日替わりでゲスト論客が登場します。またアニメ評論家・氷川竜介の解説で、アニメにおける職人技を紹介するコーナー「アニメマエストロ」をお送りします。どうぞご期待下さい!

 氷川竜介版「夏目の目」ですか、、、。しかしTVで氷川竜介がアニメータの技紹介をする日がくるとは!! まずは『999』で金田伊功(金田原画はここ)と友永和秀の技を語ってくれるのでしょうか!
 池田憲章と技を熱く語ってほしいものです!! (しかしこんな企画、全国で何人くらいが喜ぶのか、、、、、。第一弾だけで終わらないことを祈りましょう。いっそのことアニメータを呼んで、内幕座談会もやればいいのに(しかしそのうちCSとかで実際にそんな番組が放映されても不思議でない))

◆関連リンク (放送後の感想を下記に載せました。)
・当Blog ■BS アニメ夜話 第一回 『銀河鉄道999』 感想
・当Blog ■BS アニメ夜話 第二回 『カリオストロの城』 感想

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■殊能将之『キマイラの新しい城』(講談社ノベルス)

 殊能将之の新作。
 ヒロイックファンタジーな描写と、中世からの視点で現代の東京を描いた異世界描写が面白い。ただミステリーとしてみると、、、、。
 異世界描写はセンスオブワンダーが、切れ味良く決まっている。こういう設定のミステリーで、SF視点を読めたのは収穫。元々SF読みだった殊能将之氏のSFを一度読んでみたいと思っていた向きには、嬉しい一冊。

◆関連リンク
『キマイラの新しい城』講談社ノベルス(Amazon)
講談社のサイトで冒頭を試読できます。

★以下ネタばれ注意!!!!

 ミステリーネタとしては、ラストの2段構えのオチはちょっとないなぁーと…。たぶんミステリーとして読んじゃいけないんじゃないかと、、、。『黒い仏』の時は、まだミステリーの結構をわざと壊している人のわるーい小説ということで、ある意味、インパクトがあったのだけれど、、、。今回のは「○常口」も着想はまあ面白いけどーー、だし。ラストの○殺/○○死のちゅうぶらりんさも、トリックとしては・・・・だし。まあミステリーは時々しか読まない、カーの密室モノも読んだことのないドシロウトの感想ですが、、、。

 んが、ある意味、味もあるかなーーと一晩寝てラスト付近のみ今、読み直していたところ。
 『ハサミ男』でスリリングだったのは、切れ味の良いメインネタもだけれど、「医師」の乾いたペシミスティックな描写が作品の切れを良くしていた。本作も主人公エドガーのラストで明かされる心情をミステリーのネタとしてでなく、感情移入して読むと苦い読後感があり、なかなかいいのかな、と。
 殊能将之の小説は、舞城王太郎と比べると(単に福井在住のメフィスト賞出身作家って共通点だけで比較してしまうのだけれど)、乾いていて衒学趣味で情動が届きにくい小説なのだけど(舞城がその対極だからか、、、)、時々こぼれてくるこうした部分が小説読みとしては楽しめる(『子どもの王様』はそちらに振っていたけど)。テクニシャンな部分と時々でてくるそうした乾いた情感的シーンが融合してクライマックスが描かれたら、もっと好きな作家になるんだろーなーーと思った。まあ、殊能本人やこの人のファンにとっては知ったこっちゃないって希望のような気もしないでもないけど。

 しかしキマイラって、何を意味しているのか??
 僕は六本木描写で克明に描かれた西洋のキマイラ的表象としての東京の異世界ぶりが本作のテーマ※1で、「キマイラの新しい城」とはそのものずばり「ロポンギルズ」と思った。うーん、この作家の衒学趣味から言ったら、とんでもなくストレートな解釈。2chとかウェブみてても、まだこの「キマイラ」の解釈って、ちゃんと分析された文章は見当たらないのだけれど、誰か新解釈、コメントください。、、、ということで、次は舞城の『好き好き大好き超愛してる。』(なんてタイトルなんだ!!)(Amazon)でも読もうかな。『ケルベロス第五の首』も積んであるけど、、、。

 ※1という解釈からいくと、本作はSFかファンタジーとして読むべきで、ミステリー部分はおまけ??かも。

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