« 2004年8月22日 - 2004年8月28日 | トップページ | 2004年9月5日 - 2004年9月11日 »

2004年8月29日 - 2004年9月4日

2004.09.04

■新刊メモ『アフターダーク』
   『スチームボーイ絵コンテ集』『笑撃・ポトラッチ大戦』

  afterdark.jpg  steamboy.jpg  potratsuchi.jpg
村上春樹『アフターダーク講談社(Amazon)
 あちこちで書かれてますが9/7発売ですね。何故か今年は『ダンスダンスダンス』を読んで村上春樹にはまって、いろいろ再読したり初読したり、結構読んでいるので楽しみです。これ、装丁が和田誠らしいけど、いつもの絵と雰囲気違いません?
大友克洋『スチームボーイ絵コンテ集講談社(Amazon)
 これは本屋で見たのですが、ハードカバーで立派な本。こんな風に絵コンテが出ると、なんかアニメも文化の仲間入りってな感じ。ちょっと似合いませんが、本棚には飾りたくなってしまった。ひさびさに大友の絵が楽しめます。
かんべむさし『笑撃・ポトラッチ大戦講談社青い鳥文庫fシリーズ(Amazon)
 これは30年前のかんべむさしの短編ポトラッチ戦史(Amazon)の長編ジュブナイル化(新刊ではなく昨年の刊行)。なんかむちゃくちゃ懐かしくなってしまいました。この短編とか『サイコロ特攻隊』とか、大好きだったので。青い鳥文庫ファンの娘といっしょに読めるのも利点。これだけは絶対買います(^^;)。ちょっと表紙にひるみつつ、、、。

◆関連リンク
・Mac&iPod:Lifeさんの村上春樹:『アフターダーク』情報
スチームボーイ絵コンテ集』講談社公式ページ

 本書は、2004年7月に公開された劇場用アニメーション『スチームボーイ』の絵コンテを収録したものです。
絵コンテはすべて大友克広監督自身によって描かれ、天地310mm×左右237mmのコンテ用紙七百余枚、A、B、C、D、E1、E2の6パートに分かれています。

・かんべむさしの電子本が買えるサイト デジパ著作リスト
かんべむさしの本って、Amazonではほとんど在庫切れか、ユーズドですね。さみしいです。で、復刊.comのかんべむさし復刊特集ページ
・大矢 正和氏のHPに笑撃・ポトラッチ大戦』のイラスト

| | コメント (0) | トラックバック (0)

■電子立体像撮影機改造本舗

 究極映像研究所のミッション(^^;)の一つに立体映像の鑑賞があります。
 最近、サボっていたので、ひさびさにググって観ました。

 電子立体像撮影機改造本舗さん。

 各種デジカメを2台並べてシャッターを同期するようにした自作3Dデジカメが紹介されています。改造法とそれによる画像サンプルが楽しめます。
 あとデジタルビデオカメラDCR-PC100に自作のCMOSカメラを接続した自作3DビデオカメラDVC-S1(Digital Video Camera-Stereo) の紹介があります。改造法の詳細はいまいちわからないのですが、最近のデジタル画像機器の発展から、こうした自作の可能性が随分広がっているのが改めてわかりました。、、、、僕もデジタルビデオカメラを2台繋げて3D動画カメラを作りたくなってきました。PCで2台の動画を合体編集してやれば、立体映画が作れます!

 このサイトでは自作3Dビデオカメラを使った立体動画のサンプルも紹介されています。電子立体像撮影機改造本舗さんの「画像サンプル」-「DVC-S1」で、クラゲとかモーターショーとかの立体動画が観えます。平行法立体視に自信のある方は、観てみましょう。残念ながらウェブに載せるためファイルを小さくしてあるのか、解像度が低く、立体度が今ひとつのよーにも思いますが、、、。
 あ、静止画のサンプルはかなり綺麗で凄く楽しめます!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.09.02

■古川日出男著『ボディ・アンド・ソウル』(双葉社刊)

 昨年の『サウンドトラック』に続く古川日出男の最新作は、作家フルカワヒデオの一人称で語られる物語の創造を描いた小説。
 フルカワが新しい小説の構想を得て、イメージを膨らませるシーンが、主に編集者との関係のうちに多種書かれている。これが本当に古川日出男の創作の現場であるかどうかというのは、かなり疑問であるが、なかなか興味深い。(登場する架空の新作の中では、僕はディストピア小説『ドストエフスキー・リローデッド』が是非読んでみたい。なんか凄そうでしょ。『アラビアの夜の種族』の文体で描かれる再装填されるドストエフスキー、、このイメージ喚起力!!)

 小説全体は、現在の軽薄な日本の生態が、フルカワの日常として現代的な躁状態の文体で描かれている※1。しかし読み続けていくと、現れる別の断面。少しでも書くとネタばれになるので止めておくが、この側面が現れるところがゾクゾクした。軽薄な日常/ギャグの中に深刻な話がチラチラ顔を出す部分は、鴻上尚史の第三舞台の芝居を思い出させる。鴻上尚史が随分前に書くはずだった小説版『朝日のような夕日をつれて』は、この古川の本に近いものになっていたのかもしれない。演劇をやっていた古川日出男が『朝日のような夕日をつれて』を知らないはずはないので、本作に絡めてどっかでインタビューで触れる人がいないか、期待したい。

※1 古川日出男の小説は、文体の幅がかなり広い。わざと広げているように感じられるのだけれど、今回の躁文体は初読の人にはかなり誤解を招きそう。実は『アラビアの夜の種族』みたいに重厚な文章や、『アビシニアン』のようにリリカルな文体も書ける作家なのです。ファンの人には言わずもがな。
※2 いろいろな小説や音楽や舞踏についても文中で語られていて楽しめるが、P234の藤子・F・不二雄「劇画・オバQ」の解釈は切ない。「藤本氏から安孫子氏にむけた決別のメッセージ」という解釈は、藤子不二雄ファンの間で一般的なのかな?ウェブで検索してみたところ、この解釈は見当たらないけれど、、、。古川が本書のイメージに合わせて解釈した新説なのかも。詳しい方、コメントください。

◆関連リンク
『ボディ・アンド・ソウル』(Amazon)
・作家・古川日出男氏非公認の情報サイト 古川日出男センター ―仮営業所―
古川日出男の著作(Amazon)
・第三舞台『朝日のような夕日をつれて』 第1回公演 '85 '87 '91 '97
・鴻上尚史 戯曲集『朝日のような夕日をつれて』(Amazon)
・評論家、アンソロジストの東雅夫氏の「◆◆◆幻妖通信◆◆◆」第12号に記事。

古川日出男の『ボディ・アンド・ソウル』は……あの『ケルベロス第五の首』や『生ける屍』に勝るとも劣らない(!?)大変な野心作にして問題作である。

cakeさんのページに『小説推理』連載時の本書の感想があります。





★★ネタばれ!!! 注意★★ 以下は必ず読後に!!
 (やっぱり我慢しきれずに書いてしまおう!!) 



 ラストは、とにかく切なくていい小説になっている。文中で触れられる「生涯---読んだなかで一等賞の"すばらしい一行目"を所有している」ナイジェリアの作家エイモス・チュツオーラ『文無し男と絶叫 女と罵り男の物語』は、僕は読んだことがないのだけれど、本書は僕が読んだ一等賞に近い"すばらしい最終行"を所有する一冊になりました。最終前の1ページとこの最終行の喚起するイメージが、とても広大に思えたのは僕だけではないと思う。こういう叙述によるトリッキーさだけでなく、心情的な拡張のある小説が好きなのです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2004.08.29

■沖浦啓之氏『イノセンス』の作画を語る

WEBアニメスタイル アニメの作画を語ろうより。

沖浦 大平君が(バトーが船の)中に突入したところ。レジャーボートの中が井上(鋭)さんと安藤(雅司)さん。ガイノイドが工場から生まれてくるのが井上(俊之)さん。その後、廊下で警備員たちが走ってきてガイノイドにやられちゃうところは、本田(雄)師匠。(略) 次が伊東伸高さん。その後、空からガイノイドが降ってくるところが橋本晋治君。……で、その後が新井(浩一)さん。さらにその後が、うつのみや(理)さん。 (略) ええ、キャットウォークにわらわらと。その後が西尾君で、浅野(恭司)君があって、最後は俺。

 これを参考に9月に出るDVDを楽しみましょう。
 この他、3D-CGと手書きアニメとの関係等、突っ込んだ話が語られています。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

■『攻殻機動隊/S.A.C. 2nd GIG』 第1話-第10話

 DVDで、第1話-第10話を観た。今回は「個別の11人」(こんなマーク「仇∞士」を使用している)というテロ集団/個人との闘いが全体のストーリーの縦糸になるようだ。そして、内閣情報庁戦略影響調査会議代表補佐官(という長ったらしいタイトル)のゴーダという人物がもうひとつのキー。「個別の11人」はまだボンヤリとした実態しか見えていないけれど、ゴーダが不気味でいい味出している。『パト2』の陸幕調査部別室 荒川茂樹に匹敵する敵役になる予感。

神山健治監督の物語構築
 DVD『SAC 2nd Gig 1』に神山健治監督のインタビューが入っていて、この「個別の11人」と「ゴーダ」を中心にした今回のシリーズの骨格の説明が語られている。

 ネタばれになるので具体的には書けないが、自分でも困るようなストーリーにまずは持ち込む、それに対して今は答えを持っていないが、今後の展開の中で突破口を自分も苦しみながら作り上げていく、それくらいでないと物語に迫力が出ない、と言っている。この心意気にワクワクしてしまった。
 黒澤明が2人の脚本家の共同作業で、絶体絶命の状況をひとりが作って、次にバトンタッチして困難を知恵でのりきる物語を作っていったのは有名な話だが、今のアニメの監督で、ここまで言い切れる人ってそんなにいないよね。
 もしかしてSACの時も思ったけれど、ドラマツルギーに関しては、師匠押井守より凄いのではないでしょうか、この監督(というか『イノセンス』観てもわかるけど、押井守ってもはやストーリーの人ではないし、、、)。
 あとインタビューで、日本の政治状況を語る部分があるが、ここらの分析と物語設定への取り込み方も切れる感じ。謀略的描写とか、サリンジャーとか文学ネタ盛り込んだりしてるのは、この監督の興味でないか、と思えるようなインタビュー、いや、直接そう言ってるわけではないけど、きっと。
 いずれ師匠の映像ノウハウとスタッフをそっくりひきとった上で、映画も作ってもらいたい。(この神山健治って、元々は背景スタッフで、『人狼』演出と『ミニパト』監督で後は『SAC』のはず。早く映画の監督もやってほしい。)
※今回、押井守がストーリーコンセプトでクレジットされているが、それは大戦後の「招慰難民居住区」の難民問題にスポットをあててみたら、ということのよーである。

「個別の11人」についてのメモ ※第5話以降のネタばれ含む、注意!!
 「個別の十一人」という名前は、第5話「動機ある者たち INDUCTANCE」の中で語られるパトリック・シルベストル著『国家と革命への省察 初期革命評論集』から引用されたものだとのこと。このシルベストルなる人物と著書は架空のもののようである。(インターネットでこの名前を探すと、スイスだかのサッカー選手の名前がヒットするのみ。この選手名Patrick Sylvestreを引用か??きっとスタッフの中のサッカーファンが名づけたのでしょう。)
 この著書の中味が振るっている。下記の10篇からなる評論集という設定。そしてその事件が、「革命と見出せずお蔵入りにした幻の一編」が「個別の11人」。

第三身分の台頭  支配からの脱却  王朝の終焉
社会主義の希求  狂喜前夜      神との別離
カストロとゲバラ   虚無の12年    原理への回帰
5月革命

 当然、その幻の11篇目についても語られるのだけれど、こんな具合。論文「個別の11人」で触れられているのは、日本の五・一五事件なのである。(長文ごめん)
 あれが何故素晴らしいか。それは彼が五・一五事件を日本の能と照らし合わせ、その本質を論じたところにある。能とは、戦国の武士達があらゆる芸能をさげすむ中、唯一認めてきた芸事だ。それは幾多の芸能の本質が既に、決定された物事を繰り返しうるという虚像に過ぎないのに対し、能楽だけはその公演をただ一度きりのものと限定し、そこに込められる精神は現実の行動に限りなく近しいとされているからだ。一度きりの人生を革命の指導者として終えるなら、その人生は至高のものとして昇華する。英雄の最後は死によって締めくくられ、永遠を得る。それが、シルベストルによって記された『個別の十一人』の内容だ

 二十歳になったばかりの青年士官11人の参加したこの事件は、事件後民衆運動として減刑運動により35万の嘆願書を集めた。そして彼らを英雄視することでナショナリズムが広がりを見せた、、、、。こんなことも語られている。このセンスがなんかワクワクさせるのである。監督がインタビューで語っていた現在の政治状況と、このナショナリズムが根底で繋がっているように読めるのだけれど、さて物語はどこへむかうのか?? 乞ご期待!!

◆関連リンク
・Production I.G  S.A.C. 2nd GIG公式ページ
攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG 01 DVD(Amazon)
攻殻機動隊PKI - B-Wiki - S.A.C. 2nd GIG 各話のセリフを書き起こしてあるページ。自分でも引用を起こしてたのですが、後で知って一部使用させていただきました(多謝)。
・gotanda6さんの犬にかぶらせろ!の記事 [攻殻][昭和史]阿部和重と攻殻SACを比較してみる 大変興味深いです。阿部和重、読んでみよっかな。
・カオスモーズ(Chaosmose)さんに「個別の十一人」と5.15事件についての記事
・当BlogのSAC記事
 ■STAND ALONE COMPLEX 1-26
 ■J・D・サリンジャー「笑い男」と神山健治『攻殻機動隊 S.A.C.』
・テロ関連で、笠井潔『テロルの現象学』ちくま学芸文庫(Amazon)

| | コメント (5) | トラックバック (0)

■スパイク・ジョーンズ監督 『アダプテーション』

 『マルコヴィッチの穴』"BEING JOHN MALKOVICH"スパイク・ジョーンズ監督 & チャーリー・カウフマン脚本のコンビによる長編映画第二作。
 『マルコヴィッチの穴』が着想とか話の運びとかが独特で凄く良かったのだけれど、今回は映画シナリオライターのチャーリー・カウフマン(ニコラス・ケイジ)が主人公で、『蘭に魅せられた男』というルポを原作に映画シナリオを書く苦労を描いたどこかにあるような物語。前半はシナリオが思うように書けないカウフマンの描写がウジウジと続く。コメディとして、それなりに面白いけれど、なんだかな展開である。
 そして後半、少し急展開はするが、あまり着想が独特なわけでもない。まあ、前半との落差は大きいのだけれど、、、、。個々の描写は面白かったので、物語の面白さをもっと見せてほしかったなーー。
 メリル・ストリープもニコラス・ケイジもよかったけれど、監督と脚本の切れを次回はさらに期待したいものです。

◆関連リンク
『アダプテーション』 "Adaptation" DVD (Amazon)
『アダプテーション』公式サイト
『マルコヴィッチの穴』の公式サイト

| | コメント (0) | トラックバック (2)

« 2004年8月22日 - 2004年8月28日 | トップページ | 2004年9月5日 - 2004年9月11日 »