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2005年7月17日 - 2005年7月23日

2005.07.23

■村上龍 『半島を出よ』

hantou_o_deyo_seahoak

半島を出よ

◆異文化接触 !

 遅まきながら読了。これ、異文化コンタクト小説としてなかなかのレベルになっている。特に上巻。福岡へ侵入した北朝鮮の特殊部隊が触れる日本社会の驚くべき生活。我々の知らない北朝鮮の視点から日本を眺めた時、日本がどんな風に見えるかというシミュレーションが凄い。貧富の差と社会理念の違い。ここを読むだけでもこの小説は凄く面白い。
 僕はここの描写からアーサー・C・クラークの『銀河帝国の崩壊』『都市と星の主人公アルビンが異文化世界に出会うシーンを思い出した。

◆ポリティカル・フィクション

 加えて上巻のポリティカルな面白さ。日本の政治の無能ぶりと、それによる外敵に対する無防備さの露呈。北朝鮮はテポドンなどはいらない。強靭なわずかな数の兵士と複葉機と戦略さえあれば、日本の一部を占拠できるという現実が、我々日本人に突きつけられる。
 きっと政府内ではこの小説のことは禁句になっているのではないか。たぶん今の日本にこれと同様の事態が起きたとして対処の方法はない(よね、きっと)。だから政治と防衛の場ではきっとこれに対する議論は誰も触れられないのではないか。つい先日、ミサイル防衛(MD)システムの配備を前倒しにするニュースが報道されていたが、ちょうどこれを読んだ後だったので、妙にしらけた感じに聞こえた。

◆魅力的な北朝鮮の特殊部隊と情けない日本人

 特に上巻は、高麗遠征軍の側の視点が圧倒的に日本の政治/民衆側よりも魅力的に描かれている。日本人の情けなさの描写はちょっと書きすぎなんじゃないかと思えるくらい。村上龍、よほど日本人が嫌いなのだろう。僕は特に日本政府というより福岡の民衆側はもっと賢い立ち回りができるとちょっと思うけど、、、。あとなんでこんな軍隊が攻めているのに逃げる人がいないのか、不思議。自分の生活は維持しなきゃいけないから、と村上龍は書いているが、ちょっと違うのでは。僕だったら、まず逃げるけど。

◆そして戦いの終章へ

 で、その情けない日本人の中で唯一戦うのが、詩人イシハラが緩やかな連帯で率いる精神的フリークスたち。なんらかの深いトラウマを持ち、世間と隔絶して生きるオタクたちがのそりと立ち上がる。まるで京極夏彦の史上最強の探偵・榎木津礼二郎のような絶妙の言語感覚の持ち主のイシハラをはじめ、このグループの面妖さは相当なもの。
 記事の冒頭の写真、福岡のシーホークホテルを舞台に繰り広げられるテロ。なんで日本はこんな対抗策しかできないのか、と情けなくなるが、このグループの視点で描写される「美しい時間」へと結晶化していく瞬間が本書の中でおぞましくも光っている。グループの一員のカネシロのセリフ。
 「これがおれがずっと夢見てきた世界なんだ。他にはもうどこに行ってもこんな世界はない。やっと見つけたんだ。だからおれはここに残る。」
 若干中だるみする下巻だけれど、ここと最終章の女兵士キム・ヒャンモクの部分は素晴らしい。

◆村上龍作品 お気に入り順
 『愛と幻想のファシズム』 『コインロッカー・ベイビーズ』 EV.Caf´e(イーヴィー・カフェ)―超進化論』 『超電導ナイトクラブ』 希望の国のエクソダス』 『イン ザ・ミソスープ 』 『ラブ&ポップ―トパーズ〈2〉』 『悲しき熱帯』 『共生虫

◆関連リンク
備忘録さんの『半島を出よ』関連地図
Japan Mail Media.
村上龍と坂本龍一の非公認のファンサイト
村上 - Wikipedia
「ベストセラー本ゲーム化会議」(BGK)『半島を出よ』
村上龍作品リスト(Amazon)

◆以下、悪用厳禁の侵略者撃退テクノロジー
ヤドクガエルとは。 『爬虫・両生類ビジュアルガイド ヤドクガエル』(Amazon)。ヤドクガエルを買える(!!)ショップ
V型成形爆破線について 爆破施工のトップランナー 株式会社カコーダイナミックニュース 鉄塔解体発破の知識
H-ⅡAロケットの打上げ前段階における 技術評価について(P35) 「HⅡロケットにおいても1/2段分離機構も構造を切断しているV型成形爆破線自体はシングル・ポイント・フェイリアであり、1段/SRBの結合部(前方側1点、後方側3点)も各々の分離機構部自体はシングル・ポイント・フェイリアである」

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■エキストラ募集 『小さき勇者たち~GAMERA~』

ガメラ公式ホームページ 小さき勇者たち~GAMERA~ 名古屋ロケエキストラ大募集!
 出演料は食事とTシャツだけらしいです。8/8-18、酷暑の名古屋で夏休みをガメラと過ごしてみませんか、って。暑そうなので、私はやめます。

名古屋に上陸した殺人怪獣とそれに立ち向かうガメラ、そしてガメラを助けようとする主人公の少年たち。名古屋の街を舞台に壮絶なクライマックスが展開されます。
これに伴い、この映画にエキストラとして出演していただける方を広く募集しております。

 それにしてもお子ちゃま路線へ行ってしまうのでしょうか。『ガメラ3』の続きが観たいぞっと。

◆関連リンク
COMING SOON !!さんのところの記事 新『ガメラ』メイキング画像
・そこからたどった海外サイトMonster Zero。中日新聞の写真が既にウェブから消えているので、写真はここだけ。にしてもこのサイトの人、アメリカから遠征してきたのかな?凄いガッツ。

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■新刊メモ 『株式会社日広エージェンシー企画課長中島裕之』
   『ロズウェルなんか知らない』 『ハイドゥナン』

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中島 らも 『株式会社日広エージェンシー企画課長中島裕之』
 サラリーマン時代のらもさんの仕事集成。絵コンテとかいろいろと載ってます。若い頃の写真が没後に見ると哀愁を誘います。

篠田 節子 『ロズウェルなんか知らない』

藤崎 慎吾『ハイドゥナン』
 SF界は時ならぬ『日本沈没』ブーム(!??)。この大作、見逃せないかも。

未曾有の地殻変動により琉球諸島は沈没の危機にあった。頻発する海底地震、中国の干渉が迫るなか、科学者たちは壮大なプロジェクトを開始する--『日本沈没』を凌ぐ最高の科学小説ついに刊行!

◆関連リンク
塩澤快浩氏のアンシブル/塩澤日記 『ハイドゥナン』の原稿チェック 

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■テリー・ギリアム監督 The Brothers Grimm予告編
      & Tideland

Brothers_Grimm_trailer
Apple - QuickTime - HD Gallery - The Brothers Grimm 公式サイト

tideland  テリー・ギリアム久々の新作『ブラザーズ・グリム』の予告編がAppleで公開されています。Video codec: H.264のハイビジョン映像が楽しめます。幻想的雰囲気は出ていますが、昔の才気走った冴えはないように感じるのは私だけでしょうか。ギリアム作品は、『ラスベガスをやっつけろ』(1998)以来なので7年ぶりの新作。期待したいのだけどなーー。
 アメリカでは8/26公開。Yahoo!ムービーによると、この映画ってアメリカ/チェコ制作なんですね。
 公式サイトのポスターはドキドキする出来。

 んで、今年はもう一本『タイドランド(原題)』Tideland も公開予定とか。海外サイトによると公開は2006.1月?? 過激なポスターもいいけど、ここのスチルがなかかな傑作。

◆関連リンク
ギリアム 『タイドランド』インタビュー
・ミッチ・カリンの原作『タイドランド』。Amazonカスタマーレビューからあらすじ抜粋。なんか凄そう。ギリアムにぴったりか。以下ネタばれ注意!!

主人公が11歳の少女なんです。だから、彼女の眼を通して語られる世界は空想に侵蝕されて、暗くて厳しい現実がボカされてしまうんです。両親は薬中で、若い母親はそれが元で死んでしまう。父と娘は母を置き去りにして、テキサスの田舎の今は誰も住んでいない実家に逃げるようにして帰ってくる。でも、父親の方もその日のうちに椅子に座ったまま死んでしまう。少女は、父の死を受け入れず眠っているのだと思って日々を過ごす。話相手は、ガレッジセールで手に入れた幾つかのバービー人形の首。彼女とバービーちゃんとの冒険に満ちた日々。静かに腐っていく父親。やがて、少し離れたところに住む少し変わった住人が現れて・・・・。

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2005.07.21

■ムーン・サーフィン Google Moon

Google Moon

Welcome to Google Moon
In honor of the first manned Moon landing, which took place on July 20, 1969, we’ve added some NASA imagery to the
Google Maps interface to help you pay your own visit to our celestial neighbor. Happy lunar surfing. More about Google Moon.

 こんばんは。今週は記事が少なくて、ごめんなさい。これもみんなGoogle Earthが悪いのです(^^;)。PCの前に座ると、ついGoogle Earthを立ち上げて、俯瞰な世界に旅立ってしまうのです。一時間はあっという間。(バカだ)

 Google Earthでいっぱいにズームアウトすると、宇宙にぽっんと浮かぶ小さい地球の映像になります。ここで画面端に月が映し出されて、クリックすると地球の重力圏を抜けて、月へダイブできたら凄いだろうな、と思った人は多いでしょう。そしていずれは火星、木星、、、、、。

 そんな貴方の/私のためにGoogleが準備しているのが、Google Moon。まだまだカバーするエリアは極小なのだけれど、きっといつか月全体をカバーしてくれるでしょう。残念ながらまだGoogle Earthからのアクセスはできませんが。

 では今夜は月へ行ってきます!!

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2005.07.20

■HAMACON2レポートリンク

第44回日本SF大会 HAMACON2
 先週末に行われたSF大会のレポートリンク。SF大会は20年位前に2-3回行っただけですが(ゲゲ、もう20年か!!)、毎年ウェブのレポートは楽しみにしています。

・SF作家 上田早夕里さんのNomadic Note
 海洋SF対談(HAMACON2) 小松左京が語る映画『日本沈没』

・野良犬の塒さんの
 「押井守、『立喰師列伝』を語る!!」について各所のSF大会リポート

第36回星雲賞が決定 (Excite エキサイト ブックス)  ← リンク集にもなってます

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2005.07.18

■Google Earth 地球を手玉に、ミニ宇宙旅行

Google Earth - Home
 Google Mapが地球の球を模したインターフェースで使用できるソフト。しかもGoogle Mapと比べて以下で述べる付加機能があり、素晴らしいソフトなのでご紹介。無料版と有料版があるが、まずは無料版を試してみた。Google Mapファン、地球儀ファン(?)は必見です。
 自分のPCにインストールするのはファイル容量21MB。地図データ自体はネットワーク経由でGoogle Mapから持ってくる構造。 衛星写真の分解能はGoogle Mapと変わらないように見える。日本の写真も詳細はまだ東京地方と三重県の一部のみしか入っていない。

◆地球手玉インターフェース
 まずはインターフェースの素晴らしさ! マウスで地球儀状の画像をいじると、マウスの移動速度にあわせて、あたかも手で地球儀をいじっているように3D画像が回転する。まるで地球を手玉に取っている感覚がまず面白い。
 しかもあるポイントをクリックすると、画面が拡大。これがまさに宇宙からゆっくりとその地点へ降下していく感覚で、まるで感覚としてはミニ宇宙旅行(地球帰還篇)って感じ。

◆どこでもドア/デスクトップ擬似ツアー
 自分が一度観た場所を登録できる。登録点は画面の左"Place"というエリアにテキストで表示され、地球上のどこを観ていても、この"Place"で行きたい場所をクリックすると、約10秒で登録点を表示する。この機能がとても楽しい。どこでもドアじゃないけれど、居のままに移動できる感覚、しかも地球上空へ一度飛んで、宇宙からその登録点へ降下していく感覚が素晴らしい。
 自分が行く海外/国内旅行の行き先順に登録しておき、デスクトップ上で衛星写真による擬似ツアーが体感できる。これなんかツアー会社が店頭で客と対話しながら見せたらかなりうけるかもしれない。で、その周辺のレストランやホテルの紹介も、グーグルアース上でワンクリックすると名前が表示される機能を使えばバッチリ。
 実際にこんな機能があるか、まだ確認できていないけれど、自分なりに登録した地点を人とネットで共有できたら楽しいと思う。いろんな人が設定した世界一周ツアーをグーグルアース上で体験できたら、面白い。

◆3Dグリグリ体験
 Google Mapと異なるのは、真上からでなく俯瞰で画像を見えること。角度はいかようにも調整できる。しかも山の高さ等のデータが入っており、そこは3Dデータとして3次元的に表現される。次の富士山の例を観てもらうとわかるが、マウス操作で富士山の周りを飛んでいる感覚が体験できる。これもお薦め。
GoogleEarth_Mt_Fuji

◆子供に地理を体験させる究極の地球儀
 これをいじって育った子供たちは、あきらかに地球をとらえる感覚が従来の地図や地球儀しか使ったことのない世代と異なるはずだ。学習教材としても凄いと思うけれど、立花隆『宇宙からの帰還』ではないが、このミニ宇宙飛行感覚/宇宙から世界を眺める視点の獲得は、どういう形かわからないが、子供たちの世界認識の感覚を一段飛躍させることになるのは間違いない。(ミニ・ニュータイプの誕生?? (誇大妄想的に)地球を手玉に取る世界征服の野望を持つ!!?)
 とりあえず我が子にいじらせて、感想を確認してみようと思う。(おぃおぃ、以下続く)

◆関連リンク
IT mediaの記事 「Google Earth」で地球を僕の手の上に

Google Maps」とは異なり、Windows PCにインストールする単体ソフトとしてダウンロード提供し、さらに地図データをネットを介してストリーミング取得しながら表示する仕組みだ。

上からモノを見る -- for 俯瞰マニア 衛星写真、航空写真リンク集。ここ、お薦めです。

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