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2005年8月7日 - 2005年8月13日

2005.08.12

■ハイビジョンレポート
   こども陶器博物館 アニメ創世記展 東映アニメーション

KiDS★LAND こども陶器博物館@岐阜県多治見市 2005年7月16日~9月25日
 東映アニメ創世記展公式ページ(と言ってもポスターだけ)

 一昨年は森康二展(もりやすじ展)をやっていたこども陶器博物館ですが、今年は東映動画の初期を特集した展示を開催中。
 まず東映動画のトレードマークの長猫人形が出迎えてくれる。東映長編漫画映画のファンには、嬉しい展示がいろいろだが、原画ではなくセル画中心。セル画見て喜ぶ趣味はないので、原画の方が見たかったりします。だけど『ホルス』のセルはありがたいものを見てるような気になるし、『ハッスルパンチ』や『狼少年ケン』の白黒のは、なんだか自分の原点を現物セルで見せられるてのが懐かしくも嬉しかったりするけれど(^^;)。

◆展示物紹介koneko_no_stadio
東映アニメーション創世記の写真
  若かりし日の厨子王に扮するりんたろうとか中村和子さん(美人)とか。
・初期TVシリーズのセル
  『ハッスルパンチ』『狼少年ケン』『風のフジ丸』『ピュンピュン丸』他
『こねこのスタジオ』の絵コンテ
  たぶん森康二氏。カーボンコピーのように見えた。
『ホルスの大冒険』のセル画
 特集記事でよく目にする有名なシーンは、このセルが元?
 モブシーンの絵は思ったより荒かった。
『長靴をはいた猫』のセル画と色指定図
『わんぱく王子の大蛇退治』の初期シナリオと設定図
 王子他の作画参考用人形多数。
大川会長の東映動画設立の挨拶ビデオ。どっかでみたやつ。

◆関連リンク
東映アニメーションの告知
・東映アニメ ギャラリー
・『もりやすじ画集』(Amazon) 森 康二著, なみき たかし編集

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■『ぼくらの小松崎茂展』   『片山健絵本原画展』  

 たまたま今日行った多治見市の子供陶器博物館『アニメ創世記展』(のちほどレポート)で見かけたチラシから、これからはじまる展覧会と現在開催されているものの紹介です。刈谷は昨年の『トゥルンカ展』に続き、マニアック。

shigeru_komatsuzaki_poster

ぼくらの小松崎茂展 子どもたちの夢やあこがれを描き続けた画家
 @刈谷市美術館 05.9/17-10/30

 もちろんプラモデルアートで僕たちの心をくすぐったあの小松崎茂氏の展示会です。僕は、近所のお祭りの露店で憧れの気持ちでこれらのボックスアートを眺めていた小学生時代を思い出します。展示会でこの絵のプラモが売っていたら、大人買いしてしまいそう。

 「地球SOS」や「大平原児」などの絵物語、少年誌の口絵や表紙でみた未来世界や軍艦、特撮映画のメカ・デザイン案、プラモデルのボックスアート...
 ぼくらの心の中に大きな足跡を残しているSFイラストレーターの元祖、
小松崎茂の魅力の全貌に迫ります。
 本展では、初公開の初期日本画やスケッチをはじめ、絵物語や口絵の原画、プラモデルのボックス、メカデザインを提案した特撮映画関連資料など300余点を一堂に展示します。

komatsuzaki_waribiki

Katayamaken_genga0508片山健絵本原画展@八ヶ岳小さな絵本美術館 05.7/16-9/12
 片山健の絵には、スズキコージとコンビを組んだ『やまのかいしゃ』で衝撃的なインパクトを受けました。あのなんとも言えない色の混ざり具合がここちいい。この絵を子供たちだけのものにしておくのは、もったいないと思います。(以前、大友克洋の画集で、大友が片山健の絵について触れていました。大友のカラーイラストのあの色使いは少し片山健が入っていると思うのです。)
 誰かこの絵のまま、アニメーションにしてくれるアニメータはいないものでしょうか。いいと思うのだけれどなーー。
 すでに終了していますが、片山健のフリートークというのもあったらしいです。「どんどんどん」と「タンゲくん」の原画、とてもみたいぞぉーー。

どんどんどん」、「タンゲくん」、「ゆうちゃんのみきさーしゃ」等多数の原画を展示

◆関連リンク
・小松崎茂オフィシャルサイト komatsuzaki.net
昭和ロマン館 小松崎茂
・Googleイメージ検索「小松崎茂
小松崎茂(Amazon)

・北村正裕氏のナンセンスダイアリー
  絵本『やまのかいしゃ』(スズキコージ/作、片山健/絵、架空社刊)について
・僕のレビュウ『やまのかいしゃ
  この本を持って会社へ行かずに電車に乗り続けたいです(^^;)。
・『やまのかいしゃ』(Amazon)
・Googleイメージ検索「片山健」(ノイズ多し。絵の部分のみ見てください。)
片山健(Amazon) (何故かこの検索でサザンの『彩 ~Aja~』が??)

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■『マシュー・バーニー:拘束のドローイング展』   『成田亨の世界展』

 行きたいけれど行けない展覧会のレポートリンク集を作ってみました。ヴァーチャル鑑賞。

金沢21世紀美術館
 『マシュー・バーニー:拘束のドローイング展』matthew_barneys_drawing_restraint  05.7月2日~8月25日

 マシュー・バーニーは『拘束のドローイング』というタイトルのとおり、身体に拘束、制限を与えてドローイングを行っています。(略)彼の作品には、身体や形の変容といった、彼が一貫して取り組んでいるテーマがあります。バーニーはそれらを、写 真、映像、彫刻といったメディアを重層的、多角的に用い、身体、風景や物語といった伝統的な要素を通じて語っていくのです。

◆展示会レポートリンク(敬称略)
Art Yuran ・あさぴーのおいしい独り言
Color of Words ・ゆるりずむ
ナオのアート道 ・A.

◆関連リンク
The Body as Matirx Matthew Barney's Cremaster Cycle(DVD。予告編が観れます)
BT美術手帖05.8月号 マシュー・バーニー 「拘束のドローイング」 新しい伝説の聳立(Amazon)
STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 08月号
~Matthew Barney's Crazy Fantasy~(Amazon)
・マシュー・バーニー 『THE CREMASTER CYCLE』 『Cremaster 3
 その他Matthew Barney(Amazon)

田川市美術館 『成田亨の世界』 05.7月9日(土)~8月14日(日)
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 ウルトラシリーズの基礎となった特撮3部作のヒーローや怪獣、メカのデザインを手掛け、特撮の神様とまでいわれた成田亨(なりた・とおる1929-2002彫刻家/特撮美術監督)。彼が生み出したカネゴンやバルタン星人、レッドキングなどのキャラクターは、40年たった今もなお、絶大な人気を集めている。展覧会「成田亨の世界」は、ウルトラヒーローや怪獣のデザイン原画はもちろん、イラスト、油彩画や彫刻作品を一堂に紹介し、彼の芸術家としてのルーツに迫る試みだ。

◆展示会レポートリンク(敬称略)
怪獣日誌 ・若旦那の独り言2005 Ver.3
「最新」暫定日記 ・喜井監督雑記帳2005
nectaful(図録について記述されています)

◆関連リンク
成田亨 - Wikipedia
・Yamakenさんの「成田亨さんのアートワークス
・『ウルトラQ コレクターズBOX』 これ、ほしいよー。
・その他 成田亨(Amazon)

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■鴻上尚史『リンダ リンダ』

lindalinda_book  2004年のKOKAMI@network vol.6リンダ リンダ』の戯曲が出た。芝居は観たかったけど行けなかったので、とりあえず戯曲購入。(本当はDVDを買えば芝居観えるんですけど。)鴻上尚史の戯曲はほとんど買っているので、ちょこっと惰性だったりしますが、表紙もいいので(これ、「立体イラストレーション」とあるけど、3D-CGということなのかな?)(この表紙のアーティスト・ワクイアキラ氏のHP)

 本書は、山本耕史、松岡充、SILVAらを主演に迎えて東京・大阪・福岡の各地で大成功を収めた音楽劇の完全戯曲化である。
 大手レコード会社にヴォーカルを引き抜かれ、空中分解寸前のロックバンド「ハラハラ時計」。残されたメンバーたちは、元活動家や警官などを新たに迎え入れ、なんとか夢を追いつづけようと苦戦する。そして「本物のロックバンド」になるために、彼らが企てた無謀な計画とは……。
 『終わらない歌』『キスしてほしい』『TRAIN-TRAIN』など、80年代に爆発的な人気を誇った伝説のバンド、ザ・ブルーハーツの名曲全19でつづる青春音楽劇。

 で、戯曲のみ読んだ感想ですが、鴻上尚史、シンプルな話になっているなー、という感想。どっかで今はわかりやすい物語を書くと言っていたけれど、昔と比べると拍子抜けするほどシンプル。
 畳み掛けるようなギャグと複雑に入り組んだ話、そしてしんどい脱出の物語、というのが滅茶苦茶大雑把にまとめた鴻上尚史の戯曲のイメージなのだけれど、確かにその要素は持っているけれど、これは別種の戯曲ってほどシンプル。

◆諫早湾??!
 なんせ脱出の物語は諫早湾干拓事業(戯曲では「アザハヤ湾」)。これほど具体的な対象物をストレートに描いているのは、第三舞台の芝居とあきらかに異なる(KOKAMI@networkだし)。そりゃ「あとがき」にあるように、諫早湾問題に批判したい気持ちはわかる。だけど、それなら実際行動すりゃいいじゃん、っていうのが感想。芝居で(しかもわけわかんない「アザハヤ湾」への単語の変更まである。ここまでわかる固有名詞なら、せめてまんま「諫早湾」でいいと思うけど。)
 あとがきにはこんなことまで書いている。「もし僕に、荒川さんのような知り合いがいたら、間違いなく僕はあの堤防に戦いを挑んでいただろうと思うのです。計画に向かって、揺れ、怯え、迷う自分は、ウォークマンから流れるザ・ブルーハーツの音楽が助けてくれたはずです。」(「荒川さん」というのは大高洋夫演ずる過激派の爆弾製造中年のこと。) 嘘!!??、そこまでナルシスティックに言うなら芝居でなく本当にやればいいじゃんって言うのが酷だけれど正直な感想。これって、ポーズで書いていい文句とは思えない。やはりここからは単なる商売の道具にしたんでしょって、言いたい気持ちしかわいてこない。ここで「荒川」の名を出しているのが、決定的にずるい感じ。どうしちゃったの?鴻上さん?(本当に「やる気」だったとしても、ファンが鴻上尚史にやってほしいことはそういうことでないと思う。)
 具体的対象物を描いたとたん現われる馬脚??抽象的な脱出を芸術として描くことが、今までインパクトを持っていたのに、、、、。実際行動ではなく鴻上尚史がやることは、もっと違うことと思うけれど、煎じ詰めると「諫早湾」へ行っちゃうわけですか??
 どうせならこの芝居、荒川さん登場シーンでボケかますように同じムツゴロウ救うのでも、動物王国の畑正憲救いに行く話しの方が、よほどか演劇としての魅力が出てたような気もするけれど、、、、。
(見苦しい文章ですみません。なんか読後はそれほど思わなかったのに、これ書いててだんだん腹立ってきた。)

◆ザ・ブルーハーツ
lindalinda  でもブルーハーツの曲がガンガンかかるだけで、まさに「ザ・ブルーハーツの音楽が助けてくれたはずです」な芝居だったんだと思う。戯曲だけれども挿入される甲本ヒロトや真島昌利の詩がいいもの。
 僕は好きな「青空」と「キスしてほしい(トゥー・トゥー・トゥー)」が詩として挿入されているだけで、目頭が熱くなりました。そういう世代です。^ ^ ;。



◆関連リンク

・鴻上尚史戯曲『リンダ リンダ』(Amazon)
鴻上尚史が朝日新聞劇評に抗議! こんなこともしてたんだ。
 朝日の記事も鴻上の反論も既にネットから消えていますが、ここに痕跡
thirdstage.com 『リンダ リンダ』(公演の記録)
チケットぴあ/「リンダ リンダ」/山本耕史インタビュー
山本リンダHP (ググってたら必ずここがヒットしたので、おやじギャグ)
・舞台のDVDはこちら(Amazon)。
演劇ぶっく113号 『リンダ リンダ』の記事あり
・当Blog記事 ■鴻上尚史作・演出 『リンダ リンダ』 (芝居は観てないので、感想ではありません)

・最近、評判の映画『リンダリンダリンダ

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2005.08.11

■え、これっていまどきテープなの??

ソニーのハイビジョンカメラ「HDR-HC1」が1カ月で3万台出荷(AV Watch)
 予想通り、このカメラ、売れているようです。ただ「7月最終週のBCNランキングではシェア12.9%で3位」ということで、1位ではありません。やはり単価が高いからですね。あとハイビジョン自体の認知度がまだ低い。

 生産を担当するソニーイーエムシーエス株式会社 美濃加茂テックでは、生産ラインをフル稼働させて対応する。

 生産がうちの近所の美濃加茂だったのが正式に記事で確認できました。馬鹿なので、工場見学がしたいです(^^;)。
 というくらいHDR-HC1には思い入れと愛着が出てきてます。いろいろと撮っていますが、やっぱり綺麗。ちまたにハイビジョンが溢れる日は遠くない。でもうちの小学生の子供ですら、「え、これっていまどきテープなの?」と言っている始末。小学生も馬鹿にするメーカ本位の次世代光ディスク標準化の混迷、というわけですか。責任者出て来い!(笑)

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2005.08.10

■Weta Workshop Current Projects
   『実写版エヴァンゲリオン』 『Black Sheep』

EVA_Weta_Digital_Imagebord
Weta Workshop // Projects - Current Projects
 (アニメ !アニメ !さんの「実写版エヴァンゲリオンの昨今」経由)

 『ロード・オブ・ザ・リング』のSFXスタジオ、ニュージーランドのWeta Digitalの現在製作中のプロジェクトの情報ページ。『キンク゜・コング』『ナルニア国物語』と並んで、『Neon Genesis Evangelion』。実写化の企画は最近噂がなかったけれど、進行中のようですね。
 プロダクションデザインが25枚、紹介されている。上のイメージはそのうちの2枚。この巨大ロボットものにして生物的なまがまがしさはEVAですね。この線でセンス・オブ・ワンダーを炸裂させてほしいものです。特に右のスケッチはどのシーンかわからないけれども、まるで貧乏神のようで気色悪い。貧乏神な巨大ロボットって、画期?!

 あと『Black Sheep』というホラー&コメディ(?)映画のデザインもなかなかです。ニューーランドで羊のホラーって、きっと真に迫るものがあるんでしょうね。観たいな。

8/11追記
 他に情報がないかとアチコチ覗いていたら、上記イメージボード+αを使った予告編っぽいムービーを発見(Keep It Simple Stupid.さん経由)。ロシア語サイトなので、きっとファン制作によるものでしょう。音楽は『イノセンス』からのパクリなので。でもバッチリ雰囲気があっています。
 ここでもまさに生物が拘束具を嵌めているというイメージです。

続きを読む "■Weta Workshop Current Projects
   『実写版エヴァンゲリオン』 『Black Sheep』"

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2005.08.09

■Infinite Traiant & FX-45

 長野へ行った帰りの高速で見かけないちょっとカッコいいSUVを発見。追いかけたけれど、私の非力なエンジンでは追いつけず、気になってしょうがないので、ネットで調べました。あまりたいした内容ではないので、スルーしてください(^^;)。

Infinite Traiant
Infinity_triant
 日産インフィニティらしきマークがあったため検索してみたら、お尻の雰囲気が似ているのを見つけました。ジープマニア.comによれば、North America International Auto Show 2003で展示された日産の北米高級ブランド インフィニティのコンセプトカーらしい。でもコンセプトカーが走ってるのも変だ。

Infinite FX-45
 というわけで、どうやらInfinite FX-45のアメリカからの輸入品というのが正解みたい。
Infinity_FX-45
 最近のSUVはハリアー以降、デザインがなかなか凄いですね。あと左の写真はExchange3D Online Store | 3D Models というところにあったCG。ここのサイトではこういうCGデータが50-100ドルくらいで購入できるみたいです。個人でもこうした3Dモデルデータを手に入れれば、金はかかるけれど、短期にCGムービーが作れるわけですね。あとオリジナルのカーデザインもこれをベースにいじると面白そう。

◆関連リンク
・究極のカーデザイン小説(デスクトップでシミュレーションをゴリゴリ回して、リタイアした技術屋がオリジナルの車を開発してしまう) 神林長平『魂の駆動体』 (Amazon)

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2005.08.08

■Animation Director HARA
     浜野 保樹編『アニメーション監督 原恵一』

anime_kantoku_hara  先日、新刊メモで紹介した浜野 保樹編『アニメーション監督 原恵一』 (晶文社公式頁)を購入、一気読みしました。もともと映像作家関係の本とか、映画メイキング本に目がないのだけれど、この本は面白い!!
 子供を連れて行ったはずの『クレヨンしんちゃん』で、「思わず涙した理由のしりたい大人は必見だぞぉーー。読めば。

 この本から受ける興奮は、アニドウFILM1/24別冊『未来少年コナン』 (黒い豪華本)で宮崎駿のインタビューを読んだ時に近いものがある、と言ったら言いすぎでしょうか。でもここで示される監督原恵一の胎動は確かなものだと思う。

◆原恵一とは何者か??
 浜野保樹東大教授が原恵一に嵌まったのは、樋口真嗣経由で『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ! オトナ帝国の逆襲』を知ったことによるものらしい。
 本書は、そこからスタートした浜野教授の原恵一探索の成果。ふだんの交友と2日間におよぶロングインタビューから、原恵一の人となり、演出家/映画作家としての全体像が浮かび上がる。(浜野教授、東大の研究室で原恵一監督デビュー作『エスパー魔美 星空のダンシングドール』や『チンプイ』を真剣に観たのだろうか。なんていい仕事なんだ!)
 その全体像は次のような言葉でくくれる一人の日本映画監督の姿である。アニメファンだけでなく日本映画ファンにもお薦めです、この監督。

 東南アジアが好きな素朴な演出家。木下恵介とデビット・リーンを愛する静かな映画ファン。理論化していないが感覚で判断していく骨太の映画監督。

◆絵コンテとスケッチanime_kantoku_hara_e_konte
 『オトナ帝国の逆襲』と『アッパレ! 戦国大合戦』(ふだんタイトルにこだわらない原監督が最後まで『青空侍』というタイトルにしたかったらしい)を中心に、原恵一のアイディアスケッチや絵コンテが掲載されている。
 これがめっぽううまい。紙面の小さな絵コンテに既に息づく「イエスタディワンスモアのケンとチャコ」「夕日町銀座商店街」「ひろしの過去」、そして青空侍「又兵衛」。映画の画面の絵柄や雰囲気を決定しているのが、作画監督やキャラクタデザイナーや美術監督ではなく、原恵一監督本人であることがこの絵コンテからよく伝わってくる。
 東京デザイナー学院アニメ科卒、進行から演出になった原監督がどこで絵の腕を磨いたのか、よくわからないが、絵コンテのうまさは抜群。東南アジアへの7ヶ月の旅で描かれたスケッチも掲載されているが、朴訥とした筆致が素晴らしい。『オトナ帝国の逆襲』と『戦国大合戦』を観た人ならわかると思うけれど、画面から受ける実直なキャラクタの印象は、原恵一の人となりを伝えるこの東南アジアの人々のスケッチと同じ筆致である。

◆引用
 読みながら僕が気になったのはこんな部分です。

 当時10歳だった僕らにとって、万博会場はコミューンみたいな、儚い夢のような場所だった。あまりにも現実離れした虚構の未来っぷりがまた切ない。(P84)

(宮沢賢治への興味を語った後) 今、茂木プロデューサーと長年あたためてきたアニメの映画の企画を進めているところです。パイロットのアニメーションは、作りました。ようやく本編の制作もスタートしました。(P111)

 木下(恵介)監督のものを受け継いだ山田太一さんのドラマも大好きです。(略)『沿線地図』というドラマが衝撃的だった。(略)山田太一さんは極限状況でギャグを作るのがうまい。本人たちは全然笑えないけれど、観ている方が笑ってしまうような。シナリオ本も結構読んで、セリフとか、山田さんがよく使う「薄く笑う」というト書きを絵コンテで真似して使っていました。(P113)

 これからもガツガツしないで、たまには外国へも行ったりして、自分なりの美しさとか、切なさのあるものを作っていきたい。虚勢を張らずに、ちっぽけな自分のままで。(P115)

 1959年生まれの原監督、万博とか山田太一という世代的な共通基盤に立脚している部分が、しんちゃんのお父さん世代を直撃したようです。あとこのすぐ上のコメントは「青空侍」そのものでいいですね。バリ島のウブドというところに過去の日本への郷愁を覚えるという原監督のコアに「又兵衛」が住んでいる。

 そして友人たちの言葉。

 監督本人と会ってみて酒を酌み交わし、初めて知ったその力の抜けた生き様に正直面食らった。しかし、その抜けたチカラの奥底に潜むエネルギーを私は決して見逃さない。(略)今後は"固定されたキャラクター"から離れ、比較対象物のない物語世界を一から構築していくことになる。あのパワーがついに世に放たれるのだ。(略)そんな恐ろしい男がいる限り、私はアニメーションに関して、"手伝い"以上の仕事にかかわりたくないのである。(P129樋口真嗣の言葉)

弟子入りというのは、「心を開いて他の人と触れ合うというのは、一体どういうことなのか、もっと知りたい」。それで僕みたいにわけのわからない人になってみたいという欲望が出てきた。今まで体験したことのない生命体と触れて、自分の中にもそれが眠っていたことを悟ったのだと思うのです。(P219CMディレクター中島信也の言葉)

◆こんなのも入れてほしかった
・次回作の情報は、茂木仁史プロデューサーと進めているということはわかるが、どんな題材かは隠されている。浜野教授は知っているのでしょうが、緘口令。上の引用とかで、オリジナルか宮沢賢治もののような気もするが、果たして、、、。とにかく少しでも早く新作が観たい。
・アニメータとかスタッフのインタビューがもっとあってもよかったかなと。末吉裕一郎とか、あとアニメ評論家/映画評論家の評論。まとめてそういうのも読みたかった。

◆関連リンク
・この本の目次
・品川四郎編 『クレヨンしんちゃん映画大全―野原しんのすけザ・ムービー全仕事
 「唐沢俊一、切通理作、夏目房之助ら豪華執筆陣による作品論、スタッフインタビュー、初公開の設定集など、劇場版「クレしん」を徹底分析!」
藤本賞・奨励賞受賞の言葉
Director's MAGAZINE | ディレクターズマガジン OUT OF FRAME 原恵一
宮崎映画祭 ゲスト挨拶 『アッパレ戦国大合戦』で私は、格好いい日本人を描きたいと思いました。それも見た目の格好良さではなく、心の格好良さを目指したつもりです。どうも最近の日本人は自分も含め、何だか格好悪い。でも、昔の日本人はもっと格好良かったのではないか?もっと覚悟が出来ていて、さわやかで・・・・・・などと考えながら作った映画です。
eAT'04 KANAZAWA SeminarA原恵一監督参加のイベント。中島信也弟子入りの成果(?) 「皆さん乳首立ててますか?」事件の生コメントも読めます(^^;)。
・当Blog記事 ■新刊メモ 『アニメーション監督 原恵一』
 ■BS アニメ夜話 第三弾『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモー レツ!オトナ帝国の逆襲』

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2005.08.07

■新刊メモ 『HOW TO BUILD 福井晴敏』 『2005年のロケットボーイズ』
       『中島らも烈伝』  『ROBO-ONE公式ガイド』

howtobuild_fukui_ramo_retsudenn

◆福井 晴敏『HOW TO BUILD 福井晴敏

壮大なスケールの映画原作で、日本エンターテインメント界を席巻する福井晴敏。超ロングインタビューや仕事場案内により、その魅力の全てを徹底解剖! 幻の未発表小説のダイジェストも収録

 矢継ぎ早に映画が公開されていますが、こんな特集本が出てます。『ローレライ』しか行ってない私(^^;)
 福井晴敏情報はこちらとか参照→jidoriblogさん

◆五十嵐 貴久『2005年のロケットボーイズ
 『夏のロケット』とか『ロケットボーイズ』ファンへお薦め(??)
 でも軽い感じらしいので注・・・参照→酒乱!netさん

鈴木 創士 『中島らも烈伝
 中島らもの親友で作品中の「S」こと、フランス文学者鈴木創士氏の描く中島らも。
 若い日の写真とか、ぐっときます。

“十代から、最後まで親友だった
 S=エスから三田、その奇烈な生のすべて
 らもは言った。「生き残ったのは俺とお前だけだ」”
君と知り合って三十四年になる。最初に出会ったとき、
君は高三で僕は高一だった。どんな風に出会ったのかはよく覚えていない。
場所はたしか神戸・三ノ宮のジャズ喫茶「バンビ」だったと思う。(本書より)

◆POPULAR SCIENCE (ポピュラーサイエンス日本版) 9月号 特集「ガンダムは作れるか」
 科学的なアプローチで特集。アート面からとか(ミナミトシミツ, 勢村譲太『現代美術ガンダム』)、ガンダムって"噛みで"のあるテーマなのですね。

◆Ohm MOOK ロボコンマガジン別冊『ROBO-ONE公式ガイド―二足歩行ロボット格闘技大会

続きを読む "■新刊メモ 『HOW TO BUILD 福井晴敏』 『2005年のロケットボーイズ』
       『中島らも烈伝』  『ROBO-ONE公式ガイド』"

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