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2005年11月20日 - 2005年11月26日

2005.11.26

■実相寺昭雄監督 「胡蝶の夢」

ウルトラマンマックス公式HP 「胡蝶の夢」夢幻神獣 魔デウス登場

 TV番組「ウルトラマンマックス」の脚本家である蓮沼は、もう何日も不可解な夢を見ていた。自分とカイトが一体化している夢だ。夢の中で蓮沼はカイトとして考え、行動する。そしてその夢には決まって不気味な女が現れるのだ。
 蓮沼はその夢を脚本に書き始める。
 昨夜の夢の続きを見た。例の女が粘土をこねている。形作られているのは不気味な怪獣。女はカイトである蓮沼に、素晴らしい怪獣を生み出すため相談にのって欲しいと頼む。女の作った怪獣の名は「魔デウス」。夢から醒めた蓮沼は、この夢をそのまま脚本として完成させていく。

監督:実相寺 昭雄 / 特技監督:菊地 雄一 / 脚本:小林 雄次

 先週予告編を観た時から、とんでもない話になるのではないかと心配してましたが(^^;)、やってくれました実相寺。子供たち全ての期待をぶっちぎる不条理劇全開。
 何しろ怪獣の名前は、「デウス・エキス・マキナ」から「魔デウス」。脚本家の夢とカイトの夢の錯綜。ウルトラマンマックスを作るスタッフの会議シーンと、外からパチンコ屋のネオンの光と喧騒が飛び込んでくる汚い下宿で脚本家がうなりながらマックスの脚本を書いているシーン。そして極めつけは、粘土で怪獣を作る女/カウンターバーで胡蝶の夢を語る女/会議に現われるスタッフの女の不気味な笑い。この女の微笑みで悪夢にうなされる子供達が日本中で1万人は発生するでしょう。

 粘土で怪獣をこしらえる女と怪獣のアイディアを出すカイトという秀逸なネタも、全て不条理劇とともに勢いでクライマックスでうやむやになってしまう後半は残念な出来だったけれど、なかなか楽しめました。小ネタでは「怪獣の名前からイメージするのは、金城哲夫っぽいですね」というセリフが良かった。それにしても、「胡蝶」に「デウス・エキス・マキナ」とは、ベタでしたねー。

 公式ページの「メッセージボード」にこんな書き込みがありました。やっぱ子供は泣きますよ、あの怖さ。

毎週3歳の子供と楽しくみています。話も分かりやすくていいと思います。
でも26日放送の分は、子供も話が理解できず、
出演している女の人が怖かったみたいで泣き出しました。
見ていて不快でした。こどもが見る内容じゃないと思いました。

 僕らは子供の頃、ウルトラQの「悪魔っ子」とかで強烈なインパクトを受けたのだけれど、この作品を観た子供達もきっと後年その不可思議な印象について語るのでしょうね。10年後の実相寺マニアをまた大量に産みだしたのかも。

◆12/3追記
 12/10の第24話も実相寺監督らしい。予告ではメトロン星人が茶の間でカイトと向かい合ってしゃべって、その後、夕日をバックにマックスと対峙。『ウルトラセブン』のセルフパロディですか?また子供を置いてきぼりにするのか、実相寺!

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■新刊メモ『意味がなければスイングはない』『黒沢明と『用心棒』』他

◆村上春樹 『意味がなければスイングはない
「シューベルトからスタン・ゲッツ、ブルース・スプリングスティーン、スガシカオまで、音楽と作家のファンキーだけど奥の深い十篇。」

 村上春樹の音楽ものエッセイって、いいですよね。小説中に出てくる曲もつい聴きたくなる。今はi-tuneのストアで直ぐ探して聴けるので、いい環境です。

◆都築 政昭 『黒沢明と『用心棒』―ドキュメント・風と椿と三十郎
「空っ風吹き荒れる馬目の宿にフラッと立ち寄った狼人・三十郎。ヤクザ同士を巧みに戦わせ、破滅させる、その息詰まるサスペンスと殺陣!」

 黒澤明の中でも、好きな作品のトップレベルにくる『用心棒』。あんなにクールで知的なヒーローの出てくる映画は、世界中探してもそう何本もないですよね。その桑畑三十郎のドキュメント(ヒーローの名前のコミカルさでも世界一?)。思わず衝動買いしそうでしたが、目次をパラパラ見てると、なんとなくどこかで読んだエピソードっぽく見えたので、しばし躊躇してます。、、、でも買ってしまうでしょう、きっと。(新刊メモは自分のための備忘録なので、かるーく読み飛ばしちゃってください。)

◆三沢哲也 『戸川純―Jun Togawa as only a lump of meat
 あーびっくりした。今頃、戸川純の写真集とは!? 今日本屋で眼を疑いました。復刊.comからの刊行なのですね。

◆『ポール・オースターが朗読する ナショナル・ストーリー・プロジェクト
「「アメリカが物語るのが聞こえた」-ポール・オースター
ポール・オースターの英語で聴く、ラジオ番組に投稿された本当のアメリカの物語。」


 ポール・オースターの朗読したCD付き。英語のヒアリングにいいかも。
 『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』、図書館で借りたけれど、1~2編しか読んでません。

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2005.11.25

■富野由悠季新作『リーンの翼』★裏トミノブログ

LEAN01  バイストン・ウェルの物語が再開。小説の『リーンの翼』とは別物のようです。
 バイストン・ウェルといえば、『ダンバイン』のMIOの歌がよかったですね(「みえるだろうバイストン・ウェル」)。今回のスタッフリストには主題歌のことが書かれていませんが、MIOってことはないですよね? Amazonで検索すると、 MIO『REBIRTHDAY』というアルバムが出てくるけれど、これは別の同名歌手なんだろうか?

 「あの人は今」で検索したら、ありました。バンド・ミュージシャン部門 恐怖の追跡 ~あの人たちは今?~ MIO 「MIOさんは2002年、芸名をMIQに改名」とのこと。

 下に引用した裏トミノブログのへなちょこな雰囲気には笑いました(失礼)。富野監督って、よほど怖い人なんですね。このブログのビクビクした緊張感ある文体が泣かせます。(失礼!) 

「リーンの翼」公式ホームページ 監督コメント

 これから始める作品であるのに『リーンの翼』の映像化は、ぼくにとって、記念碑的印象を感じさせる事件になっている。このタイトルは、ぼくが初めてオリジナル・ノベルスとして書いたものなのだが、映像化される作品はそれではなく、オリジナル作品だからである。

企画を立ち上げてくれた若いスタッフたちの意見というものを聞いてみようと思ったのは、自分がそのような年齢になったからだろう。若い世代の意見を咀嚼して、そのうえに自分が提供できるアイデア、演出があるのかもしれないというチャレンジ精神も喚起させた。

バンダイチャンネル ファーストプレビュー(無料配信)

 「リーンの翼 ファーストプレビュー」と名付けられたこの企画は、12月10日(土)の21時から、12月11日(日)9時までの12時間限定で、第1話を無料で配信するというもの。

裏トミノブログ/ウェブリブログ

 この裏トミノブログは、上記のようなやり取りの結果、我々「リーンの翼」スタッフがカントク周辺で起こる日々のできごとを、カントクに代わって(見つからないように)書くという、観察日記…ではなく制作日記であります。 ただし、カントクに見つかって怒られたら、このブログは消滅します…。

 その昔、テレビのZとかZZを作っている頃。
 当然ながら、とってもキツい仕事の愚痴を話している時が一番盛り上がってしまうのは、無理もないことです。(略)その日も彼らの宴が最高潮に達して、常人とはちょっと違うカントクの言動に話題が及び、数々の「恐怖!?トミノ伝説」を面白おかしく語らっていると、
「今、僕の悪口を言っていたでしょう!!」
バーンと…ドアが開いて、カントクが現れたのです(超怖ぇー)。
スタッフは凍りつきました。しかし、カントクも…?
 カントクは冗談を言って入ってきたつもりだったのです。しかし、それが図星を突いてしまって…。その場の重い空気は、簡単には去らなかったそうです。

◆関連リンク
ガンダム展ホームページ

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2005.11.20

■1/24秒に命を吹き込む・人形アニメーション作家川本喜八郎の世界

 NHK・BShi ハイビジョン特集
 「1/24秒に命を吹き込む・人形アニメーション作家川本喜八郎の世界

 番組は、川本監督の最新作となる映画『死者の書』の製作を、一年に渡り追ったドキュメンタリーです。カメラは撮影スタジオや監督の工房を取材、人形の製作から、美術セットや大道具の搬入、カメラや照明のセッティング、そして人形のアニメートまで、映画製作の裏舞台に迫ります。
 さらに、川本監督がその芸術において一貫して追い続けてきたテーマである「執心と解脱」、それを表現し得る人形アニメーションの奥深さを掘り下げ、その集大成となる映画『死者の書』にかける監督の想いに迫ります。川本監督の情熱と映画『死者の書』が描き出す世界が、きっと垣間見えるでしょう!

■人形アニメのドキュメンタリーとしての素晴らしさ
 かなり前の番組なのだけれど、録画してあったのをようやく観ました。
 番組は、丹念に『死者の書』の制作風景をドキュメントしていて、川本アニメの記録としては素晴らしいものとなっています。制作風景も当然ハイビジョンで撮られており、人形制作のディテールからアニメートの詳細まで、細部がまるで目の前にあるかのように視聴者に迫ってきます。(シュヴァンクマイエルファンとしては、これと同様のアプローチでチェコで映画制作の記録を残してもらいたいと切望。)
 若いアニメータを指導しながら、モブシーンの共同作業を進めるところなどは、今後のクリエータにとても参考になるのではないか、と思いました。集大成として作られた『死者の書』の場面もいろいろと観られて、ファンにはたまらない番組に仕上がっています。

■人形のアニメート
 しかし実は川本アニメをそれほど好きでない僕には、何故好きでないかの理由が、ひとつ、わかったような気がする内容がありました。(ファンの人には、以下申し訳ない表現かも。)EMI_OSHIKATSU_by_MASAAKI_MORI
 というのは、恵美押勝の人形の森まさあきによるアニメートの場面(右写真)。このシーンが素晴らしい。声の江守徹もいいのだけれど、人形の表情のアニメートが素晴らしい。
 川本アニメートと比較すると、何が違うかというと、目の動き。通常の川本アニメートは目玉が動くことがなく、顔の表情は向きとか首ごとすげ替えることで表現されている。しかし森まさあきアニメートは、この目玉が表情に合わせて動くのだ。そのひとコマづつの動かし方も番組でやっていたが、爪楊枝のようなものを目玉に入れてグルリとやると、動く仕組みになっている。これにより人形が獲得する存在感がなかなか凄い。
 ここで川本アニメを想いだしてみると、人形の表情がどうしても平板な印象を残してるような気がしてくる。もしかすると僕が、NHKの三国誌とかで川本氏の人形のイメージがどうしても固定されてしまった世代なのが、原因なのかもしれない。
 その先入観でちゃんと川本作品を観ていないので反省。一度、しっかり観てから本来こういうことは書くべきですね。『死者の書』を通して観てみる必要がありそうです。

◆関連リンク
川本喜八郎と人形アニメーション ―立ち止まってアニメーションを考える…―
多摩美術大学 「死者の書」の制作風景を公開
川本喜八郎 Official Web Site 死者の書制作日記
森まさあき Works (フィルモグラフィー)

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