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2005年12月4日 - 2005年12月10日

2005.12.10

■ファイナル・カット THE FINAL CUT

Final_Cut ファイナル・カット THE FINAL CUT(公式ページ)
 オマー・ナイムという新鋭が脚本・監督。この人はまだ20代の若い監督で、これがデビュー作。2004年の作品だけれど、日本では2005.12/23~から公開。

 人生全てを、その個人の視点で映像記録できるゾーイ・チップというのが使われている時代の物語。ロビン・ウィリアムスがその個人の死後、葬式での上映用に映像を編集する仕事に就いている。それをめぐるサスペンス。

 一時、Life Logとかそういった人生記録のテクノロジーが紹介されていたけれど、まさにそれが実現した未来の物語。下記リンクで紹介しましたが、人生全て記録すると736TBになるらしい。携帯にデジカメが付いて、なんでもディジタルでデータに残すようになった現在。これに人々が慣れその先を欲望するようになると、いずれこのテクノロジーは実現するんでしょうね。
 でも自分の視点の映像が死後残っていて、それを全部誰かにみられたらかなりイヤだろう。少なくとも自分でその都度カットしたり編集できる技術は必須なんでしょうね。ただ記憶ってぼんやりとセピア色にくすむからいいのであって鮮明に残っていたら却って興ざめかも。

◆関連リンク
予告編(アメリカ版)
 日本サイトの予告より、編集とか凝っていて格段に良いです。タイトルがFinal Cutなのに、編集に凝ってない映像をみせられてもね。
ファイナル・カット@映画の森てんこ森
・「人生を記録するVR-VRラボシンポジウム」記事
 (PC Watch 森山和道氏の「ヒトと機械の境界面」)

現在進みつつある、人生を記録するテクノロジーの現状や問題点、今後の可能性や方向性について、東京大学の相澤清晴教授、同・廣瀬通孝教授、作家の美崎薫氏、情報通信研究機構の上田博唯氏、名古屋大学の間瀬健二教授が講演を行なった。
人間の生活を1日16時間、70年間、ブロードバンド品質で録画しても736TBですむという。

Life Log(DARPA), MyLifeBits Project
デジタルドリーム社「人生の全てを記録したいと思いました」 
 既に日本で始まっているこの手の事業。実は、ナビゲータ対話型の日記をベースとした唯の健康管理サービス。

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2005.12.09

■PARCO MUSEUM - Production I.G展

production_IG_in_PARCO parco-art.com - PARCO MUSEUM - Production I.G展
プロダクションI.G展 オフィシャルサイト Blog

名古屋パルコ開催決定!
名古屋パルコ 西館7F・パルコギャラリー
〒460-0008 名古屋市中区栄3-29-1
期 間 : 2005.12.08(thu)- 2005.12.25(sun)
営業時間 :10:00am - 9:00pm(入場は8:30pmまで)

 名古屋でも今日から開催。<SAC>と『立喰師列伝』目的で行ってみようかと思います。近いし。
 特に名古屋ではイベントは予定されていないようです。押井守の実物、一度見てみたいのだけれど、、、。

◆関連リンク
「立喰師列伝」公式サイト
プロダクションIGの株公募情報(PDF)
 12/9に発行価格決定らしいですが、仮条件で47~51万円/株。47~51×1100株=5.1~7.1億円。(あれ、でも大作映画を撮れる金額じゃない)
 石井Pはこれで一攫千金? 押井守も株を持っているのでしょうか。押井が金持ちになると、二度と仕事しなくなりそうで、心配。是非稼いだら、映画に出資してください。

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2005.12.08

■報道ステーション モーターパラグライダー空撮

飛行撮影家 矢野健夫オフィシャルサイト

テレビ朝日報道ステーション
矢野健夫のモーターパラグライダー空撮の第2回は、錦秋の「京都」。
嵐山と嵯峨野の名刹と紅葉を、流麗な映像美でお見せします。
12月8日木曜日 夜9:54からの番組で放送されます。

 小型エンジン付きのモーターパラグライダー(パワードパラグライダー)から吊られたハーネスに腰掛けて、飛行撮影されるカメラマン矢野健夫氏の報道ステーション空撮第二回。前回の知床空撮が良かったので、今日は朝から楽しみにしてました。今回はしっかり観ようと、プロジェクタを立ち上げて、スクリーンの前で待ちかねました。
 、、、、ああ、しかし、報道ステーションは1125iのフルハイビジョン放送ですが、この空撮はフルハイビジョンではない(たぶん720pですらないのでは??)。 大画面で観ると、全然鮮明ではありません。嵐山空中散歩を仮想体験したかったのですが、、、。
 せっかく貴重な世界遺産をこうした素晴らしい空撮で撮れる機会を得られているなら、テレビ朝日にはハイビジョンカメラを用意してもらいたいものです。もしかしたら、今日のカメラより、ソニーのHD-HC1で撮った方が綺麗に放映できたのではないかとすら思ってしまう映像。素晴らしいアイディアの撮影方法なのに、残念でしょうがありません。

>>テレビ朝日関係者殿
 もしこの記事を眼にされたとしたら、この空撮の企画は大好きなので、是非とも次からはフルハイビジョンでの撮影をお願いします。(伏してお願いです)

◆関連リンク
・矢野健夫氏作品
『virtual trip モーターパラグライダー空撮 沖縄八重山諸島 西表島・竹富島』

『virtual trip 西表島+竹富島』

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■映画『東京ゾンビ』公式サイト tokyo-zombie

tokyo_zombi
映画「東京ゾンビ」公式サイト

 浅野忠信、哀川翔主演のすごいタイトルの映画。なんですか、これ??
 12月10日、シネセゾン渋谷公開、監督:佐藤佐吉、原作:花くまゆうさくということです。
 CGは『アップルシード』『ピンポン』のデジタルフロンティア

◆関連リンク
「東京ゾンビ」のハゲ役で、大いに悩んだ哀川翔(eiga.com)

 そのリアルさは、哀川の子供にもショックを与えてしまったようだ。「『こんなお父さんは見たくない』とお子さん言わせてしまったのも、翔さんが悩む原因になった。奥さんが気を使ってくれて、家の中のよく目につくところにイメージ画像を飾ってくれたら、お子さんも慣れてきて『こういうお父さんもいいかも』となったので無事に実現しました。

 なんて素敵な家族なんだ!

花くまゆうさく公式HP
・花くま ゆうさく『東京ゾンビ』 (Amazon)

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2005.12.07

■ハイビジョン予告編 スピルバーグ『ミュンヘン』
   Trailers - Munich - HD

munich
Apple - Trailers - Munich - HD (予告編)
ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記 スピルバーグの「ミュンヘン」は凄かった!

2005年に観た映画ではベストワンだ。
とにかく強烈で、壮絶な映画だった。
この映画は内容が政治的に危険なので今まで極秘に製作されていた。
ミュンヘン五輪で選手11人をパレスチナ・ゲリラに殺されたイスラエルが報復のため、諜報機関モサドの精鋭5人にパレスチナ人11人暗殺を命じた実話の映画化だ。

 町山智浩氏の日記からのネタが続きますが、12/23公開のスピルバーグの新作の熱いレビュウが掲載されています。ミュンヘンオリンピックの銃撃をテーマにスピルバーグがまたそのスーパーリアルな映像で、衝撃的な映画を撮ったようです。
 ミュンヘンへは仕事で行ったことがあるのですが、今は治安も良く、たいへん落ち着いた静かな美しい都市です。BMW本社に近いオリンピック跡地も綺麗な公園になっており、あの場所で惨劇が起きたことをイメージするのは難しかった記憶。あの閑静な都市 ミュンヘンを舞台に(あ、舞台じゃないのか??)どんな凄惨な映画が撮られたのか、、、、。予告編を観る限りでは、町山氏の書いているような映像は観受けられず、かなり抑えた映像になっています。

◆関連リンク
公式ページ 非常に地味なつくり。内容で勝負って感じです。
eiga.comスポニチasahi.comのニュース。日本は06.2月公開予定。

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■鳥肌実初主演映画『タナカヒロシのすべて』

鳥肌実初主演映画 『タナカヒロシのすべて』(AV Watch<帰ってきた買っとけ! DVD>)

一部に熱狂的なファンを持つ軍装妄想芸人にして、自称廃人演説家(早朝演説家と名乗る場合もある)の鳥肌実をご存知だろうか?。 (略) 「演説会」と銘打った全国公演では、 (略) 放送禁止用語やタブーとされていることを連発、笑いへと転化し、ブラックユーモアの演説芸で聴衆を翻弄。

 ネットではきっとかなり有名なのでしょうが、私、このAV Watchの記事を見るまで、鳥肌実って知りませんでした。しかし、オフィシャルサイト見ると、凄いですね。身を挺したお笑いって感じ。すんごくマッドな香りがします。
 マイナーかと思ったら、AmazonでかなりDVDや著作も買えるみたいですね。自ら買ってみる気はしないですが、一度観てみたいものです。

◆関連リンク
鳥肌事典
DVD『タナカヒロシのすべて』

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■テリー・ギリアム監督『ブラザーズ・グリム』
   The Brothers Grimm

..:: ブラザーズ・グリム ::..公式ページ

 テリー・ギリアム監督、ひさびさの新作『ブラザーズ・グリム』を観た。この映画、今、結構ヒットしているのですね。ギリアムの映画がベストテンのランクに入るのって、あまり記憶にない。これで作りやすい環境になると良いですね。
 行った映画館は地元のいなかのシネコンなのだけれど、ティム・バートン『チャーリーとチョコレート工場』と『コープス・ブライド』もいっしょに上映されている。ギリアム1本とバートン2本のラインアップは、とにかく凄い。いい時代になりました。

 で、『ブラザーズ・グリム』。なかなか前半好きです。グリム兄弟の設定も妖しくて良いし、村の雰囲気とか中世っぽい幻想的な雰囲気が○。このロケってプラハで行われたらしいですね。まだこういう風景が東欧にはいっぱいあるのでしょう。
 ジョナサン・プライスの将軍もよかったけど、なんといっても気を吐くピーター・ストーメアのカヴァルディという役。この人の怪演が見ものです。

 後半は失速。あまりにハリウッド的なストーリーに幻滅でした。プロデューサの圧力が強かった(「バトル・オブ・グリム」?)のか、最近映画がこけているギリアムが次回作のために日よったのか?ちょっと残念なラストでした。もっと幻想的に幻惑するクライマックスをみせてほしかった。

◆関連リンク
・公式ページのギリアムインタビュー

グリム童話は、私が初めて読んだ本の中の一冊であるのは間違いないです。また自分の世界の見方を形作ってくれたものでもあります。非常にパワフルな力を持っていますし、未だにグリムの世界観から抜け出せていないようなところもあります。

「ドン・キホーテ」という作品が頓挫してしまった後、自分がずっと温めていた企画が3、4本あり、これを映画化しようと頑張っていたのですが、残念ながら製作費が集まりませんでした。ちょうどその時に『ブラザーズ・グリム』に巡り会えたのです。これで、また仕事ができると思い、とてもホッとしました。自分が題材を集めて、映画化しようと思って企画を作っていくよりも、元々スタジオ側、製作会社が作りたいと思っている企画の方が、もちろん製作は容易なわけで、今回はそのようなパターンでした。

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■〈映画の見方〉がわかる本
   『80年代アメリカ映画カルトムービー篇 ブレードランナーの未来世紀』

Bladerunner_no_mirai〈映画の見方〉がわかる本 
80年代アメリカ映画カルトムービー篇 
ブレードランナーの未来世紀 (Amazon)
 町山智浩氏の本。表紙がとてもかっこいい。 『ブルー・ベルベット』『ビデオドローム』『未来少年ブラジル』、そして『ブレードランナー』と並べられると、自動的に我々の世代は買ってしまいそう。まさにこの時期、「狂い咲き」ですね。

第1章 デヴィッド・クローネンバーグ『ビデオドローム』―メディア・セックス革命
第2章 ジョー・ダンテ『グレムリン』―テレビの国からきたアナーキスト
第3章 ジェームズ・キャメロン『ターミネーター』―猛き聖母に捧ぐ
第4章 テリー・ギリアム『未来世紀ブラジル』―1984年のドン・キホーテ
第5章 オリヴァー・ストーン『プラトーン』―Lovely Fuckin’War!
第6章 デヴィッド・リンチ『ブルーベルベット』―スモール・タウンの乱歩
第7章 ポール・ヴァーホーヴェン『ロボコップ』―パッション・オブ・アンチ・クライスト
第8章 リドリー・スコット『ブレードランナー』―ポストモダンの荒野の決闘者

◆関連リンク
ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記によれば、年内には刊行予定とのこと。

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2005.12.06

■『イーオン・フラックス』 (AEON FLUX)予告編

AEON_FLUX_Trailar
公式ページ
 『アニマトリックス』などで有名なピーター・チョンのアニメを実写映像化した公開予定の映画。
 まずは上記公式ページを観て、どんなアニメが実写かされようとしているか+下記を読んでください。

WEBアニメスタイル_もっとアニメを観よう
小黒祐一郎、今石洋之、井上俊之3氏の対談より

―『Aeon Flux』って何ですか?
井上 これはマニアックだよね。解説がいるんじゃないの。
今石 MTVの番組の中で流れていた、ピーター・チョンの短編アニメです。それが1本にまとまってビデオやDVDになってるんですよ。
井上 俺が見たのは、エレベーターの前で男が手錠をかけられて、やりとりしているっていうやつなんだけど、濃いよね。日本のアニメのおたくなんだよね。ピーター・チョンってのは。
今石 どういう育ち方をしたんだろうかと思いましたけどね。
井上 韓国系のアメリカ人なんでしょ? ナイキのCMみたいな、凄くメジャーな仕事もやってるね。
井上 筋金入りの作画おたくだよね。見た感じタイミングの取り方は、金田さんと言うより、山下さんみたい
今石 自分の世界観があって、その中に山下将仁が混じってる。「山下将仁を混ぜてる外人なんてどんな人だ」っていう驚きがありました。僕としては、90年代にいちばんショックを受けたアニメだった。

 というわけで、山下将人のアニメートみたいな動き!!のアニメ作品が原作。
 で、上の写真を見てください。あの異様なポーズをなんとなくコピーしてるように見えませんか?
 カリン・クサマ監督というのは女流日系(?)監督のようです。この人も作画おたくだったら、きっと面白い映画になっているでしょう(どんなんや!?)。

◆関連リンク
イーオン・フラックス (AEON FLUX)@映画の森てんこ森
ピーター チョン

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2005.12.05

■村上春樹『東京奇譚集』

村上春樹『東京奇譚集』(公式サイト) (<みなさんの「奇譚」>コーナーが楽しめます)
 村上春樹の新作。5編のちょっと奇想な小説集。
 いつもの村上春樹の端正な文体に心地よく身を任せて読んでいくと、いつしか一歩隣の奇妙な世界に紛れ込んでしまう。それほど傑作という感じでもなく、まさしく小品といった小説達。

◆「偶然の旅人」 Chance Traveler
 これはこの短編集の冒頭にふさわしい一編。作者本人のジャズにまつわる偶然が織り成す奇譚から入るという体裁になっており、不思議な世界への導入に適した構成。でも、村上の読者は既に彼の小説が不可思議な現象を効果的に使っている例を知っているわけで、ちょっと蛇足っぽく感じたのも事実。
 この話に出てくるような偶然は、確率的にはありえることじゃないかと思える。登場人物のセリフにある「偶然の一致というのは、ひょっとして実はとてもありふれた現象なんじゃないだろうか」というのは、まさに人の数と人の関わる数え切れない事象に対して、確率的に今日も何かが起こっているはずでうなずいてしまう。が、しかしその先をみせるような小説にも期待したいのでだけど、、、。

◆「ハナレイ・ベイ」  Hanalei Bay
 これが一番、気に入りました。主人公の女性の淡々とした行動の中の深い悲しみが光る一編。村上春樹はこういう描写、素晴らしいです。ラストの「ハナレイ・ベイ」という言葉の置き方がなんともかっこいい。

◆「どこであれそれが見つかりそうな場所で
  Where I'm Likely To Find It
 これが僕には一番奇妙な小説でした。ただ一人の男が失踪し、遠く離れた場所で見つかるだけ。何かが起こっているのだけれど、何も具体的には奇想な現象が表出しない。でもその裏に広大な広がりのある悪、みたいなものが感じられる、という奴。これも村上春樹定番。
 きっとあの幽気が漂うような文体がこうした想像を誘発するのでしょう。端正だけれど、悪意や暴力を湛えた水脈を人に想起させるこの人の文体の不安感って、なんなのでしょうね。もしかしたら、模写してみるとわかるのかも。
 この小説の冒頭。「夫の父は三年前に、都電に轢かれて亡くなりました」。あとに全く関係のないこの一文。こうしたものが、何かを誘い出しているのだろうか。

◆「日々移動する腎臓のかたちをした石
  The Kidney-Shaped Stone That Moves Every Day
 ここにも謎を湛えた魅力的な女性が登場。そしてその正体は、、、。
 うまいなー、このストーリーで正体が○○ですか。直接関係しないようでどっか無意識レベルで繋がっているような、この絶妙のイメージのバランスがいい。でもフィーリング会わない人には、ちっとも面白くないでしょうね。

◆「品川猿」(書下ろし)Shinagawa Monkey
 これが二番目に好き。なんといっても「猿」が良い。
 この小説も、カウンセラーとか区役所の土木課とか高校生の名前とかアルツハイマーとか、無意識レベルで何やら響いてくる組み合わせの妙がある。
 「羊男」につながるような「品川猿」。こいつもユーモラスな語り口も楽しめます。

◆関連リンク
『東京奇譚集』

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2005.12.04

■石橋冠演出『終りに見た街』 山田太一作

終りに見た街(公式ページ)
 さきほど観終わりました。(感想が遅れましたが、VTRに撮った『野ブタ。』観てたもんで(^^;))

 今回も1982年制作版と同様に、とても重厚なドラマに仕上がっていました。CGの発達とディジタル技術のおかげでリアルさは増していたと思います。(どっかに1982年版のVTRが残っているはずで、比較して観てみるのも面白いでしょうが、、、今は時間がない。)

 映像的に好感が持てたのが、昭和の街並みが古めかしくなかったところ。
 本来、昭和の映像がくすんでいるのは写真がモノクロだったり退色しているからであって、その当時は新しかった街並みがハイビジョンのドラマの中で、ちゃんとくすんでいずに新しい雰囲気があったのは、(たんなる予算の問題ではなく)スタッフがそのように作り上げたからではないかと思う。
 ラスト前で子供たちが、お父さんたちとは違って私たちは過去を生きているのではなく、これが自分たちの現在なのだ、と痛切に訴えるシーンがあるけれど、そんな街並みの描写がそうしたセリフにもリアリティをもたらしていたのではないかと思う。

 当時の生活の中で一億火の玉な現実が体に染み込んでいった子供たちの痛切なセリフ。
 これは、洗脳の怖さをうたっているという風にも受けとれるのだけれど、子供たちの真剣さがある種の輝きを持っているのに対して、中井貴一と柳沢慎吾の顔がいかにも現代的に弛んでいるように見えてしまうと捉えると、もっと怖い映像に見えてくる。

 つまり、「洗脳」と一言では言い切れない戦争状況でのリアリティ--当時の人たちにとってはあの世界認識が、それだけが紛れもなく現実だったわけである。「洗脳」といったテクニカルな矮小化されたわかりやすいメカニズムでなく、まさに生活感覚として「戦う」ことの重要度が人々の心に根付いていた、そういったところを描き出しているところが、このドラマの凄みになっているのだと思う。

 そして、そこから一転する世界。前述の凄みを(たぶん観客の無意識へ)一瞬感じさせて、そのままズトンとあのラストを持ってくる。『想い出づくり』('81)と『早春スケッチブック』('83)の間に挟まれた'82年、山田太一が最も脂がのっていた瞬間に生まれたこのドラマのシナリオの力が、充分現代にも通用することをラストシーンの(二度目の23年ぶりの)戦慄とともに感じで観終えた。

 エンドタイトルで小泉首相の映像が出ていた。ここはブッシュとのツーショットでないといかんでしょう。

◆関連リンク
THE BELLさんの 終りに見た街 '82版の情報に詳しいBLOG
公式サイトの掲示板(OWARI)
 今回はじめて観た方たちのショックの様子が伝わってきます。
 (しかし公式サイトなのに、「終わりに見た街」になってるのはいかがなものか?)
公式サイトのAP日記

 群馬県桐生市に、昭和な町並みが残っているのをご存知ですか?嘉衛門町というレトロな町並みがあり、古い建物がそのまま残っている通りがあります。今日は、そこでの撮影でした。平成の現代から、昭和19年にタイムスリップした6人が、途方に暮れながら昭和の町を行く・・・というシーン。

テレビドラマデータベース 山田太一

山田太一は小説ではこの種の非日常をベースにした作品が多く、のちの「飛ぶ夢をしばらく見ない」や「異人たちとの夏」に先立つ作品として注目される。

 『飛ぶ夢をしばらく見ない』や『異人たちとの夏』よりもこの作品の方が早かったわけで、『終りに見た街』により幻想的な手法が持つ力を山田太一が認識していったのでしょうか。
「ふぞろい」トリオがそろい踏み
・こんな番組もあったようですが、東海地方では未放映。
 「終りに見た街」放送直前SP第2弾(12/3(土)PM 3:30 ~ 4:25)
・旧作 1982/8/16 ゴールデンワイド劇場 『終わりに見た街』
・芝居 前進座公演 前進座劇場
・山田太一『終りに見た街』 ・その他作品(Amazon)
・当BLOG記事 『終りに見た街』リメイク 

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