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2006.04.22

■リチャード・リンクレイター監督
   『ウェーキングライフ』 Waking Life

Wakinglife01_1
dream is destiny ... : Waking Life :(国内公式HP)、米国サイト
予告篇:Trailer メイキング映像他クリップ

映像革命のポスト・モダニズム・アート・アニメ
 主人公が、ある街に戻ってくる。偶然なのか必然なのか、彼は様々な人々と出会い、彼らの溢れ出る言葉に耳を傾けて行く。出会った人々が何者で、何処から来て何処へ行くのかも分からぬまま、そして、彼自身も何処から来て何処へ行くのかも分からぬまま、その言葉の洪水を浴びつづける主人公。幾度となく夢の中で目覚める夢を見る。夢と現実の境界線もわからぬまま、運命に突き動かされるように、彼の迷宮の旅は続く……。

Wakinglife02メイキング手法
 「ウェイキング・ライフ」の撮影をスタートするにあたり、脚本兼監督のリチャード・リンクレイターにとっての最初の挑戦は、「すべて頭の中で起きたと思われることを、どうやって映画にするか」だった。
 一般用のソニーTRV900sとPCIカメラを使用して、生身の俳優で実写を撮り、撮影と同時進行していた編集を完成させたところで、アニメーションの魔法に取り掛かった。
 30人以上のアーチストから構成されたチームは、ひとりひとりのアニメーターがそれぞれひとりの登場人物を担当した。アーチストは、独自のスタイルに従い、自分でその場面を解釈し、MacG4というコンピューターを駆使してペイント(実写フィルムへの色塗り)をする。

 これは傑作。P・K・ディック原作の『スキャナー・ダークリー』を映画化するリチャード・リンクレイター監督の同一手法の作品ということで、観てみたのだけれど、こんな素晴らしいアートフィルムだとは思いませんでした。
 自分なりに「アートフィルム」というのは定義があるのだけれど、絵画や彫刻といった静止したメディアの芸術を映画として動的に描き出すもの、作家が自分の心象風景を映像としてフィルム(または電子メディア)に定着させるもの、といったところ。

 この作品は、見事にそのテーマと、その表象として表われる映像形態まで、アートフィルムになっています。ここまで自主映画っぽいテーマと形態を、みごとなエンターティンメントとして(いや、退屈する人は多いと思うけど)、昇華できた作品はそうそうありません。

 手法はディジタルを用いたロトスコーピングかと思っていたのだけれど、単純なそれとはずいぶん違います。上の公式ページにある実写フィルムへの色塗りということだけでもない。実写映像を用いてディジタルに人物と背景を別々のレイヤーに置いて、それらを絶えず浮遊させて描いている。クールでとにかくかっこいい。

 哲学的な言葉が語られ続ける前半。ここの言葉のいくつかは凡庸、いくつかはついていけないくらいにたぶん先鋭。で、全体に描き出そうとしたものはたぶん一回観たくらいじゃわからないのだろうけれど、、、、。作中で語られるように、死んで行く老女が夢を見ている。肉体の死の後の、6~12分の脳の活動が観る夢。それがウェーキングライフ。『マルホランドドライブ』に通じる人の一生の圧縮された形での映像記録(現実と夢とその感情、哲学)。

 この監督には、今までの作品も含めて注目したいと思います。この作品のクライマックス付近で、海外SFファンにとって嬉しいシーケンスがあります。P・K・ディックの『暗闇のスキャナー』の成功は決まったかも。早く観てみたい。

◆関連リンク
Richard Linklater Waking Life (2001) (IMDb)
・ボブ・サビストン(アニメ・美術監督)Bob Sabiston たぶん公式HP

 1967年生まれ。マサチューセッツ工科大学大学院を卒業後、アニメーション作家を志し、デジタル・アニメ・ソフトも独自で開発してきたサビストンは1988年“Beat Dedication”でアニメ界にデビュー、その後も多くの短編を発表。
 1997年、サビストンは仲間のトニー・パロッタとともにMTV用にアニメーション・シリーズを製作する。二人はニューヨークからオースティンへ活動の拠点を移し、実写インタビューにアニメーション加工した“Roadhead”(97)を完成、幾多の映画祭で上映され、アスペン短編映画祭で特別賞を、アトランタ映画ビデオ映画祭で最優秀アニメ作品賞を獲得。
 PBSのTVシリーズ“Figures of Speech”の監督も務める。 「ウェイキング・ライフ」の原点ともいえる“Snack and Drink”(99) はニューヨーク近代美術館の永久保存作品に選ばれるほど好評を博した。ある意味リンクレイター以上に重要な役割を果たしたといえる「ウェイキング・ライフ」は、サビストンか試みた初めての劇場用長編映画である。

滝本誠氏の評(公式HPのCOLUMN) 

 「ウェイキング・ライフ」は、会話/対話にレクチャーが加わり、ジャン=リュック・ゴダールでもここまでは、というぐらいの「言葉の映画」となっている。しかし、リンクレイターがこの映画で仕掛けた映画のフォルムの革新によってこれが時間を感じさせずまったくあたらしい映画体験となるのだ。

 ウエイク・アップ!(起きろ) がキー・ワードだが、この台詞は「ウェイキング・ライフ」と同時期に公開されたデイヴィッド・リンチ「マルホランド・ドライブ」のキー・ワードでもあった。
 ナッシング・イズ・リアル、すべては夢。あるいは今やわれわれのリアルとは存在がナッシングであること。リンクレイターはよくわかっている!!

越川芳明氏 出口ナシの夢の放浪をつづる斬新なアニメ映画『ウェイキング・ライフ』
・当Blog記事 フィリップ・K・ディック "Scanner Darkly"映画化

・作品 DVD    『ウェーキングライフ』
『ビフォア・サンセット / ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』
『スクール・オブ・ロック』 『がんばれ!ベアーズ ニュー・シーズン』
                      げげ、こんなリメイク物もやっている??
『ニュートン・ボーイズ』 『テープ』

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