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2006.04.26

■NHKプレミアム・テン 『立花隆が探るサイボーグの衝撃』
     河合隼雄 押井守 川人光男

 06.4/24放映の脳科学とサイボーグ技術の番組を観ました。で、思ったことをつれづれに書いてみます。

都市は巨大な義体
Cyborg_oshii  というのは、押井守の発言で一番興味を引いた部分。でもそれについては、あまり突っ込んでは語られなかったのが物足りない。
 僕なりの解釈をすると、人間の体をテクノロジーで拡張したものを義体として呼ぶとすると、都市も義体と呼べると言う意味で使っている言葉と思われる。

 でもこの定義でいけば、人が作った人工物が感覚や運動を拡張させるとすれば、草原の中でヤリを使うのも義体の一種と言えるわけで、今更サイボーグ時代が来た、さあ大変だ、というこの番組の(立花隆の)スタンスは、いささかセンセーショナルすぎると言わざるを得ない。下で意識の変容に関して少し書くが、そこが本来面白いはずなのに、、、。

 軍事利用が問題、と言われても神経直結でレスポンスが上がったって結局兵器の応答速度性能を単に上げたのと代わらないわけで、今更な感じ。このレンポンスの向上って、自動車が人間と共存して生み出された感覚の変更や、それによる交通事故という新たな人類へのインパクトの方がよほどサイボーグ問題として大きいものだったと思うのだけど、、。

 あとたぶんカットされたのだと思うけれど、「義体」の造語を立花に褒められた押井があたかも自分の生みだした言葉のように語っていたけど、士郎正宗の発案であることを言わないのはアンフェア。立花はおそらく漫画版『攻殻機動隊』は読んでいないのでは?(でも普通はまわりの学生が進めていそうだけど、、、)

言語化できない新たな感覚の誕生 
Cyborg_tachibana  立花隆が東大満渕研で神経インターフェースを試した時の映像が紹介された。映像自体は、おっさんが(失礼)、腕に針を刺されてなにやら外部から遠隔で刺激を受けて軽くもだえる、というなんとも映像映えしないシーンなのだけれど、そこで立花が語っている言葉が印象的。

 「言葉にならない世界が向こうにある。表現できないもの凄い感覚」。ジャーナリストが言葉にならないということを口にするというのは、よほどのことだと思う。どの程度凄いのかは、このジャーナリストの使命を放棄したような言葉から推測するしかないわけだけれど、本当に凄まじいのかも。どんな感覚かヒントだけでも何か話してほしかった。この感覚の延長上にあるだろうはずのものがサイボーグ技術による本当の人間の変容に繋がるものだと思うのだけど、、、。

 で、探したらここにありました(以前読んだことを今、思い出した)。

 こういうとき、人間の言葉はすべて日常感覚の世界のために作られているのだということがよくわかる。いままでの日常生活で体験したことがない感覚におそわれたとき、人間は言葉を失うのである。

(略)針電極の位置や、信号のパターンを変えたり、いろいろやってどういう感覚が生じるか試しているうちに、突然、手先から腕の肘あたりまでの裏側を人の手で大きくなであげられたような、驚くほどリアルな速い動きをともなった肉体感覚(皮膚感覚)がして、思わず「エーッ」と声をあげてしまった。

(略)神経学上そんなはずはないのかもしれないが、それは実に奇妙で実にリアルな感覚だった。被験者としては、確かにそう感じたとしかいいようがない。

 「手先から腕の肘あたりまでの裏側を人の手で大きくなであげられたような」というところが何やら新しい感触。是非体感したいものです。

人体の拡張 神経接続されたテレイグジスタンス
Cyborg_kevin  神経接続して遠隔地のロボットを動かすケビン・ワーウィックの実験を紹介していた。またミグエル・ニコレリス教授は自分が生きている間に、火星にロボットを送り込んで、そこから火星表面の触覚情報を地球にいる自分に送ることで、火星体感をしてみたい、と語っている。

 この後、川人光男氏がこうした実験を通して、脳が可塑的な変更を起こす、と語っている。変調や変容ではなく変更と言っているのが印象的。質的に大きく変わるのでなく、現代の体外に置いた道具やテクノロジーによる脳への影響と、体内に持ち込むサイボーグテクノロジーの差異があまり大きくないということを強調していたように邪推。

Cyborg_bmi  そうかもなー、と思う反面、たとえばこの遠隔地でのロボットハンドを巨大にしたり、視覚や聴覚を桁違いに感度を上げたり、広範囲を体感する巨人の感覚を作ってみたりしたら、かなりの変容を脳に強いるのではないかとも思ってしまった。
 要は河合隼雄氏の語る「人間存在のインテグレーションを壊す」ほどの感覚を人間の脳に与えた時の影響度合いを空想すると、なんかとんでもないイメージの世界が拓けるのではないかと、、、。これは今は文学(SF?)の仕事ですね。

 以前紹介した東大舘暲研究室のR3:アールキューブ構想とTELESAR。これとBMI:ブレインマシンインターフェースの接続というのは、相当刺激的な実験になると思うのだけれど、どうだろう。川人氏が5年後くらいに非侵襲のBMIで脳からの指示でヒューマノイドロボットを動かせる、と言っていたので、それに近いものの構想があるようで、今後にワクワク。

◆関連リンク
当Blog記事 予習 NHK 『立花隆が探るサイボーグの衝撃』
   河合隼雄 押井守 川人光男

舘 暲『NHK人間講座 
 ロボットから人間を読み解く―バーチャルリアリティの現在』
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 これは名著と思います。おススメ。
通産省アールキューブ研究会編
 『アールキューブ―立花隆VS吉川弘之 ロボティクスの未来を語る』
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サイ 満渕研究室レポート
科学サプリ 満渕研究室取材同行記

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コメント

 adorewbさん、はじめまして。亀レスですみません。

>>私が一番関心してるのはやはり番組最後の哲学思考なんです。

 ご安心ください、それほど凄い哲学思想は語られていません(少なくとも私の感覚としては、、、)。というわけで、youtubeへのアップロードは致しませんので、あしからずご了承下さい。

 中国から、またアクセスいただければ、嬉しいです。

投稿: BP | 2006.04.30 22:57

to BPさん
勉強になりました。
私が一番関心してるのはやはり番組最後の哲学思考なんです。人でいったい何?人の幸福はその時なんだろう。

ネットでhttp://www.jscf.org/jscf/SIRYOU/igaku-1/2005-11-5NHK.html
みつけました。できれば 4月24日のテキスト版を読みたいな~
そうだ、BPさん録画しましたが、よかったら、youtubeへ アップロードしてお願いできますが、きっと見てない人に助かると思います。

よろしく お願いします
adorewb FROM CHINA

投稿: adorewb | 2006.04.26 12:55

おはよーございます。BPさん。

期待しすぎたのかちょーっと物足らなかったですねぇ^^;。観終わったあとは隔靴掻痒でした。
既に一部義体化されてる方にしても前の特集とTBSの番組(バイオニックハンド)に出てらした方で新鮮味に欠けました。
こういった取材は被験者のプライバシーの点で難しいのはわかるんですが、違う実例を見てみたかったです。

>士郎正宗の発案であることを言わないのはアンフェア。
これは私も突っ込んじゃいました(^^;。
まあカットされたのかもしれないけど。

とはいえ、

>都市は巨大な義体
「僕達は既にサイボーグ化している。」ってのも印象に残りましたね。私にしても常にネットを意識して行動している自分に時々はっとしますから。
以前「ゲーム脳」の弊害を訴えるある学者さんが
「そういった子は前頭葉に携帯が刺さってるみたいなもんだ。」
てなことを以前おっしゃってたの思い出しましたよ。

投稿: shamon | 2006.04.26 09:01

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