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2006.06.13

■レイモンド・カーヴァー『頼むから静かにしてくれ Ⅱ』

Raymondcarverrose01
 デビッド・リンチ監督の『ブルー・ベルベット』の世界を想いだしてみてほしい。アメリカのサバービアに噴き出てくる人間の業。美しい芝生の庭を映すカメラ。郊外の美しい光景が、知らないうちにカメラのクローズアップで切断された耳の映像に変わっていく。
 クローズアップであの耳が映らないで、もしかして耳があるのか、、、というところからカメラが先へは行かないのがレイモンド・カーヴァーの作品だと思う。

 そして、そこから先が読者の想像にゆだねられるため、逆にかえって凄いイメージを予感させる。そこがある意味、リンチを超えているところかもしれない。一番怖いのは、人の想像力。瑣末な事実だけど、カーヴァーが製材所に勤めていたというところも当然のように『ツイン・ピークス』の世界を想起させる。

 村上春樹はカーヴァーのタイトルの付け方にこだわって、訳者あとがきを書いているのだけれど、どうやら「変てこなセンス」とひとくくりにまとめている感じ。「ジェリーとモリーとサム」とか「他人の身になってみること」等々。でも、小説の内容とほとんど関係のないこんなタイトルを付けることで、やっと作品と拮抗していたカーヴァーの感性を想像すると、闇が垣間みえる。

 例えば想像してほしい。
 ある昔の知人が精神的にまいって企業を退職。しばらく話もしていなかったのに夜、重い電話が突然自分にかかってくる。切実に語られ、そして飲むことを約束して電車に乗る。その電車の中で読んでいる本が『頼むから静かにしてくれ Ⅱ』というシチュエーション。そんな現実から遊離したような気分で読むレイモンド・カーヴァー。そうすると何だかこのタイトルの奇妙さが実にしっくりくる。このタイトルでなくてはいけなかったカーヴァーの精神を想う。
 人生のそこかしこに転がる闇。これをさりげなく、軽く当たり前の生活のすぐ近くのものとして描いているカーヴァーの筆致はやはり凄い。

◆関連リンク
サバービアの憂鬱 第13章 中流の生活を見つめるミニマリズムの作家たち
・当Blog記事 レイモンド・カーヴァー:Raymond Carver ファースト・インプレッション

☆写真は、近所のバラ園で撮ったイギリスの薔薇「レイモンド・カーヴァー」。育苗家がカーヴァーのファンだったと思うけれど、この赤はカーヴァーには似合わない。もっと薄い色の花がふさわしいように思う。

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コメント

 SACさん、ども。

 村上はデビュー当時から友達が読んでいたので(>>ここも読んでるはずのカッピン、たまにはコメント頂戴ね)、僕もつられて読んでましたが、実はデビュー当時、違和感あって好きではなかったのです。ひととおりその後も読んではいましたが、『ノルウェー』以外(^^;)はやはりピンときませんでした。

 で、何気なく一昨年、全部読み直してみたら、これがめっぽう面白く感じられて、、、今頃、はまっているわけです(^^;)。その中でも『ダンス・ダンス・ダンス』がベスト。ダントツです。理由は意識化できてませんが、、、。

 その勢いで翻訳書もポチポチ読み始めて、カーヴァーでビンゴ、ってな感じです。フィッツジェラルドはこれから読むのですが、、、。

 「キャッチャー・イン・ザ・ライ」は確かに村上訳、ピンときませんでした。初読の野崎訳の方がインパクト。(読んだ時期の違いも当然大きい。)

投稿: BP | 2006.06.15 22:28

ドーナッツ!!僕は+「ホットドック」もしてました(^_^;)

>村上は『ダンス・ダンス・ダンス』がいっちゃん好きです
珍しいですね。僕もあの本が出版された年に、「ダンス…」を大学の生協で購入したのですが、あの当時は「ノルウェイ」の強烈なインパクトがあり過ぎて、人に「村上」を語るのは恥ずかしかったです。
それにしてもBPさんは「ダンス…」が一番好きでしたか。あまり知っている人が少ない村上さんの「喪失」→「再生」に至る初めての小説だと思っています。青春3部作から強引に「青壮年4部作」に移行させたともいえますが。
本来は出版されるべきものではない作品だったのかもしれませんが、庵野風には「パンツを脱いだ」作品だったのかもと、個人的にはとても好きな作品です。明確に「オカルトin side」したのもこの作品からだと思いますし、しかもバブル期でしたしね(^_^;)

カーヴァーの作品は「村上翻訳本」の中では一番彼に合っている小説家かも(オブライエン、フィッツジェラルド、アーヴィングも良いですけど、あ、マイケル・ギルモアのは良かった)しれないですね。一番落ち着くというか、居心地が良いというか。でも、わかりますけど「キャッチャー・イン・ザ・ライ」の翻訳するのは、団塊の彼では「既に」なかったような気がしております。「未だ既に」という感じを「喪失した」彼には「無理」だったと思います。マーケティング的にはともかく…。

長いコメントで申し訳ありません。

投稿: SAC | 2006.06.14 02:26

 SACさん、こっちでもこんばんは。

>>因みに、「Welcome to TWIN PEAKS―ツイン・ピークスの歩き方」という既に廃刊となった
>>製作スタッフが作った(遊んだ)「聖地」完全ガイドブックはまだ持っております。

 あ、これ、僕もどっかに持ってます。当時ドーナツ食べてピーカーしてました(^^;)あの素朴でめいっぱいノワールなリンチワールドの心地よさは忘れられません。DVDほしいよー。

>>レイモンド・カーヴァー、デヴィッド・リンチ、ブルー・ベルベット、ツイン・ピークス、
>>村上春樹…良い響きばかりですねぇ♪

 SACさんもカーヴァーと村上の読者さん?
 カーヴァー、いいよね。村上は『ダンス・ダンス・ダンス』がいっちゃん好きです。
 『SAC SSS』で神山監督がサリンジャーに続いてカーヴァーを引用してくれたら、と夢想。

投稿: BP | 2006.06.13 23:09

BPさん、こんにちは!
今日はマジ暑いですね。暑過ぎて昨夜の「敗戦ショック」のことをさっぱりと忘れてしまいました(^_^;)

レイモンド・カーヴァー、デヴィッド・リンチ、ブルー・ベルベット、ツイン・ピークス、村上春樹…良い響きばかりですねぇ♪ますますBPさんのことが好きになりました♪(笑)
因みに、「Welcome to TWIN PEAKS―ツイン・ピークスの歩き方」という既に廃刊となった製作スタッフが作った(遊んだ)「聖地」完全ガイドブックはまだ持っております。
でも、(自分への)クリスマスプレゼントで買った「レーザーディスクBOX」は結局(LDプレイヤーを持っていなかったので)友達に貸したら15年位経つのにまだ戻ってきておりません(T_T)/~~~

投稿: SAC | 2006.06.13 13:16

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