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2006年3月5日 - 2006年3月11日

2006.03.10

■高城剛監督『バナナチップスラブ』BANANACHIPS LOVE

bananachips_love
バナナチップスラブ - Wikipedia

『バナナチップスラブ』は、1991年10-12月フジテレビにて木曜深夜24:40-25:10に放映されていたテレビドラマ。当時としては異例の全編ニューヨークロケを行った。全12話。
主題歌:「月の裏で会いましょう」オリジナル・ラブ
エンディング曲:「Give us a chance」
 メロディセクストンwithパチニサウンドファクトリー
劇中歌: 藤原ヒロシ「DAWN」、DUB MASTER X

 ひさしぶりにこのドラマを思い出して、VTRを引っ張り出してキャプチャーしてみました。
 高城剛の作品でたぷん最高のものかもしれません。(というかバブルな時期にメディアの世界でハイパーメディアクリエータともてはやされて名前は売れたけれど、監督としてはPVの他はTVドラマシリーズがたしかこれを含め3本(『アルファベット2/3』『彼の太陽、彼女の月』))あるきり。STUDIO VOICEのエッセイ『大穴イッパツ』とこのドラマが高城の生みだした作品で一番好きです。アメリカのバイオスフィアを題材にした映画を一時撮ると書いていて随分期待したのですが、結局いまだに実現していません。

 この『BANANACHIPS LOVE』も既に15年も前の作品なのだけれど、今観ても大丈夫。VTRにいっしょに録られている当時のTV CMの映像が古い感じに見えるのに比べて、このドラマ本編はむしろ現代的。十年くらいは進んだ映像だった(?)。いろんなシークエンスを短く並べてドラマとシャフルしているのが新鮮でした。

 掲載した写真で見てもらうとわかるけれど、顔の斜めアップが画面の端にレイアウトされているのが特徴的。これって金田伊功とかのアニメの影響かもね。高城自身、文庫を読みながらブツブツちょっと哲学的な独り言を言うニューヨークの日本人として怪演を見せてます。

 ふたごの外人とサンキ・リーと、アレン・キンズバーグやティモシー・リアリーが出たり、サブカルな味付けも当時のマニアをひきつけるアイテムでした。だけれども一番人気はやはりこの写真にもある双子の変な外人。「さぁーて、次回(じぃかい)は」と「んがぁぐぐっ」(サザエさんの予告のパロ)が忘れられません。DVDの発売を望みたい。
 というより、あれだけ吹いていた高城は映画なりちゃんとした作品を生み出すノルマがファンに対してまだいっぱい残っていると思う。いまだに懲りずに僕は新作を待ってます、がんばれ。(フランキーオンラインまで追っかけてた私にはこれくらい言う権利があると思うぞ(^^;))

◆関連リンク
・高城剛が書いているBlog Doblog - Advisory Staff blog -(sony style)
 2004.6~書かれていない。
バナナチップスラブについて語ろう!!(2ch)
高城.com ここのプロフィールだと、高城って、東映アニメーション取締役なんだ。、、、でも当の東映アニメーション公式HPには名前がないので、既に退任??
ORIGINAL LOVE『月の裏で会いましょう』 (Amazon)
 すぐ聴いて見たい人は、i-tuneで検索して視聴してみてください。
 3バージョン出てきますが、『singles』に入ってるのがドラマで使われたオリジナル版です。
・現在廃盤のVTR
Bananachips_love_vtr
高城剛監督『BANANACHIPS LOVE 2』 『BANANACHIPS LOVE 1』 (Amazon)
・スタジオボイス編集長→フランキーオンラインへ転じた江坂健氏のBlog esaka takeru's memo 江 坂 健 の 備 忘 録
東京(仮)さんの: 高城剛アーリーワークス(初期作品リスト)

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2006.03.07

■インタビュー:『どんがらがん』編者 殊能将之先生

Online Web Magazine Anima solaris アニマ・ソラリス
『どんがらがん』編者インタビュー:殊能将之先生

松崎健司氏(インタビュアー)
 ところで、先生は本家サイトのReading diaryコーナーでデイヴィッドスン以外にもいろんな未訳作品の紹介をされていますが、アヴラム・デイヴィッドスンに続いて、もしまた短編集の企画が通るとしたら、どなたの作品集がお勧めでしょうか?

殊能将之氏
 フィリップ・ホセ・ファーマー。
 ポリトロピカル・パラミス(「ダイヤモンドは洗うべからず」「わが虫垂の内なる声」「真鍮と黄金」「だれに樹が作れよう」「シュメールの誓い」)を全編収録して、あとは「キング・コング墜ちてのち」と「わが内なる廃虚の断章」かな。英語で読んだことがないので、未訳短編は知りません。

 このほかにも、アヴラム・デイヴィッドスンについてはもちろんR・A・ラファティやジーン・ウルフについて、むちゃくちゃ濃いインタビューが読めます。オススメ。

◆関連リンク
・もっと濃い話を読みたい方 → 殊能氏自身による編者インタビュー
松崎健司氏のHP  とりあえず、ラファティ

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■渡辺歩監督 映画ドラえもん『のび太の恐竜2006』

Doraemon_2006
アニオタフォースさん: ドラえもん のび太の恐竜2006
 「超法規的措置で入手した」という作画スタッフリストが載っています。これは必見、、、と言ってもアニメータのことは古いところしかわからない私は恥ずかしながら才田俊二くらいしか知らない。誰か詳しい方、この人はこんな作画をしてたという情報をPlease !

 声とアニメーションの絵の違いで随分今までのドラえもんと違って感じられた(私は娘を連れて毎年観に行ってるのです。本作でついに初めて一睡もしなかった(^^;))。特に絵の違いは、今までのドラえもんがどっか平板な2次元的な絵だったのが(今回も当然2次元ではあるが)生き生きと感情を持って体とアニメのメタモルフォーゼやデフォルメや線で感情を目いっぱい表現していて良かった。のび太の感情描写が特に。
 それから、ドラえもんも藤子F不二雄の絵のタッチを今回、再現しようとしたもので、原作の雰囲気をうまく拾い上げていたと思う。これも○。あと物語的にも、道具の使用に制限を持たせることでドラマにもちゃんとした緊迫感があって、なかなかGOOD。

 一番期待した作画だけれど、だれ場はあるけれどかなり緊張感ある作画で、楽しめます。上の画像のプロモにあった部分が白眉。もっと過激にやってほしかったりもするけど、、、。いい絵作りされてます。

 うちの娘は今までのドラえもんだけでなく、観た映画全ての中でベストワンと言っております。ただ絵はいつもの絵のほうが良いようで「これで絵が普通のドラえもんならもっと最高なのに」と言ってましたが、、、。良かった、作画オタクの血はついでない(^^;)。

 近くの席では恐竜が出てくるたびに、その名前を叫んでいたうるさい小学生(高学年男子)2人がクライマックスで涙でグチャグチャになっていました。子供にはオススメ。

◆関連リンク
・当Blog記事 ドラえもんプロモーション映像について

うちの子供が原作を買いました。読んでみると今回の映画はストーリーからセリフまでほとんど原作に忠実。その中で前半ののび太の丁寧な描き方がこの監督のこだわりと読めます。

P.S. しかし今年初の映画館での映画がドラえもん、、、、寂しくなります。もっと映画館へ行こうっと。

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2006.03.06

■ジーン・ウルフ 『デス博士の島その他の物語』
  The Island of Doctor Death and Other Stories and Other Stories

TheIslandofDoctorDeathandOtherStories  SFマガジンで「デス博士の島その他の物語」と「アイランド博士の死」は学生時代に読んでいたのだけれど、面白かったという以外、実にきれいさっぱり忘れていました(^^;)。というわけでほとんど初読の楽しみを今回味わいました。
 面白かった順に書くと「アイランド博士の死」「デス博士の島その他の物語」「アメリカの七夜」「眼閃の奇跡」「死の島の博士」。僕は「アイランド博士の死」が圧倒的。本当にすごい作家だと感じました。
 技巧派とか叙述の人だとかの評判は確かにそうなのだけれど、この一冊を通して読んでみて、書くことによるユニークなイメージの構築と書かないことによる想像力の刺激とが、渾然一体となって素晴らしい小説世界を作り出している。本当に凄いので、小説読みの皆さんには是非ともお薦め。

では、一編づつの感想です。ネタばれ全開ですので、ご注意を!!

◆「デス博士の島その他の物語」 The Island of Doctor Death and Other Stories
 ある陸つづきの島に住むタックマン・バブコック(タッキー)という主人公の少年を二人称で描いた短編。少年の読む本『デス博士の島』の現実への侵入と、離婚後再婚を考えている母親とタッキーの物語。
 スティーブン・キング『シャイニング』を思い出した。どちらかというとその映画化作品キューブリックの『シャイニング』のホテルのバーに現れるゴースト達のイメージかもしれない。
 健全な魂の持ち主として描かれる少年の心に家族環境の影響が出ていることは明らかであるが、そこは直接描写されることはない。その影響の描写としての本の世界の現実への侵入。そして少年が短編の最後で見る母親の実態と本の結末。ラストの一文が物語の重層的な構造から様々なイメージを想起させ、深い味わいを作り出している。

「きみだってそうなんだ、タッキー。まだ小さいから理解できないかもしれないが、きみだって同じなんだよ」

◆「アイランド博士の死」  The Death of Dr. Island
TheDeathofDrIsland_jupiter  木星の白斑上空に浮かぶ強化ガラスで作られた人工の衛星。その中に作られた海と人工知能(らしき)島であるアイランド博士。そしてそこで精神病の治療を受ける三人の登場人物。、、、このイメージだけで僕は既にイチコロです。こういうのを読むと、つくづく「SFは絵だ」という名言を思い出します。
 精神病の治療を受ける三人のうちの一人、脳梁をメスで切られ二つの分離した脳を持つニコラス少年が主人公の三人称小説。しかしその治療の真の対象は○○○らしい。
 ここでは主人公が実はその世界の主役ではないことがほのめかされ、そのことによる不気味な不安感が物語りのトーンを支配している。ここがこの短編のひとつの大きな魅力になっている。「デス博士の島その他の物語」が二人称で語られていることで真の主人公が物語りの外部に存在する気配を感じさせていたのを想起させる。
 僕が凄いと思ったのは、主人公ニコラスがアイランド博士との会話で過去の母親との記憶を話すシーン。アイランド博士に話したニコラスの言葉「あんたは復活祭の飾り卵だ」。それからアイランド博士の推定「復活祭の卵はきれいな色に染まっているし、私の色彩は美しい-そういう意味だね、ニコラス?」。
 その後に記述されるニコラスの記憶。

 その卵は母が面会日に持ってきてくれたものだが、母にそんなものが作れたはずはなかった。(略)その金色は、精密機器をシールドするのに使われる純金のそれだった。卵の表面に小さな星をちりばめた結晶炭素の透明な薄片は、実験室の高圧炉の産物としか考えられない。(略)卵は二人のあいだの無重力の中にうかび、香水の匂う母の手袋の記憶とともに、ゆっくり回転していた。(P103)

 これはアイランド博士に語られることはない。人工知能の持ったものと少年のイメージのあまりの落差。とりわけ少年のイメージの質感を想像すると胸にぐっとくる。そしてここが「デス博士の島その他の物語」へ繋がっていく。こうした部分をSFが持ちうる情感の最先端と呼んだら、誉めすぎだろうか。

◆「死の島の博士」 The Doctor of Death Island
 殺人を犯して刑務所で暮らす主人公アルヴァードが癌にかかり延命のため冷凍睡眠に。
 そして数十年後、癌治療どころか永遠に生きられる生命技術を得た人類を目の当たりにするアルヴァード。その世界では彼が発明した読者と(人工知能で)対話する本が普及しもはや人は識字能力を失いかけている。
 ウィルスのように本を侵食していくディケンズのキャラクター。死と病から逃れた世界を描いているのに、何故か読後は相当に病んだイメージ。悪夢のような対話する本と刑務所の息苦しい描写が作り上げたイメージだろう。

◆「アメリカの七夜Seven American Nights
 ミュータントだらけの未来のアメリカへやってきたイランの青年ナダンが経験する幻惑に満ちた世界。これをナダンの日記という体裁で描いた小説。
 劇場で買った六個の卵菓子のうちのひとつに自分が仕込んだドラッグ。これをロシアンルーレットのように一晩にひとつづつ食べるナダン。どこからが幻覚でどこからが現実なのか、それが未来世界の幻惑とまじりあって、アメリカなのにとても中東風な幻想的世界に感じられた。
 朝食をとるホテル近くのレストランを描写するところがわざと矛盾させてある。叙述によるトリックのウルフによる読者への信号。丹念に追っていったらきっとどれがドラッグの幻覚かわかる仕掛けがあるのだろうけど、僕はあきらめた。
 そしてラスト。ナダンが出会って恋した女アーディスとのデート。「これまでの一生で、あの小さなボートに乗っていたときほど幸福だったことはない。」そうした甘ったるい砂糖菓子のようなどこにでもある恋愛風景の後に仕掛けられたウルフの罠。ここでは暗闇の中でナダンが酒に灯された明かりで見たアーディスの真の姿に関する描写は少ししかない。恋愛シーンに感情移入した読者は自らの想像力で幻想のトラウマを味わうことになる。

◆「眼閃の奇跡」 The Eyeflash Miracles
 網膜が破壊された少年リトル・ティブの物語。少年の一人称で一見ジュヴィナイル的な描写。そして明らかになる医学実験と少年の秘密の能力。
 頭のねじが外れた教育長パーカーさんとその召使いニッティ。見えない巨大女とキリストを意味するライオンと神学のプリティーヴィー博士と足の悪い女の子ドロシーと、「わしの話しのネジを巻いてくれ」と言う銅男。
 少年の空想と幻想がないまぜになり、これまた幻惑的な小説世界となっている。こう書くとファンタジーのようですが、それでも硬質なSFフィーリングに満ちている。

◆関連リンク
未来の文学『デス博士の島その他の物語 (amazon)
ジーン・ウルフ 岡部 宏之訳『新しい太陽の書① 拷問者の影』 (amazon)
 しばらく前に復刊されたが、現在amazonは品切れ。私は『独裁者の城塞』『警士の剣』を先週買いました。来週から読む予定。
国書刊行会告知SFに何ができるか――ジーン・ウルフを語る

★三省堂SFフォーラム★ 『デス博士の島その他の物語』刊行記念
柳下毅一郎さん・山形浩生さんトークショー
日時:3月4日(土) 開場17:30 開演18:00
場所:三省堂書店 神田本店8階特設会場

・若島正氏のただし書き 「デス博士の島その他の物語」ノート

SFM7211_TheIslandofDoctorDeathandOtherStoriesSFM721102_TheIslandofDoctorDeathandOtherStories  SFM7509_TheDeathofDrIsland
 SFマガジン掲載時「デス博士の島その他の物語」(左)は、A・デイビットスン「どんがらがん」と同じ号('72.11)。なんか凄いですね、SFって過去の資産でまだまだ食えるということでしょうか。にしてもイラストが楢喜八とは選んだ編集者はどういう感覚?(楢氏のイラストは大好きなのだけどさすがにウルフには合わん)
 「アイランド博士の死」(右)は、ティプトリーの「愛はさだめ、さだめは死」と同じ号('75.9)。こちらは中村銀子氏のイラスト。翻訳は伊藤典夫氏と浅倉久志氏の共訳ですね。
・殊能将之氏のケルベロス第五の首:勝手に広報部
 『デス博士の島その他の物語』のリンクもあります。
 殊能氏の「アメリカの七夜」の“真相” インターネットの諸説をチェックして一押しの解釈も紹介されています。
2ch 【新しい太陽の書・ケルベロス】ジーン・ウルフ第2の首
 06.3/5付けNo.418の書き込みに、柳下毅一郎・山形浩生トークショーのレポート。

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2006.03.05

■今夜のNHKは凄い!
   『ダーウィンの悪夢 Darwin's Nightmare』 『ながらえば』

BS1世界のドキュメンタリー『ダーウィンの悪夢』前・後編
 BS1 3月5日(日) 22:10~24:00

darwins_nightmare  柳下毅一郎氏映画評論家緊張日記の下記の記載を読んで、是非観たいと思っていた映画。柳下氏をして「この世の地獄」と呼ばれる現実とは?

アフリカ最大の湖、タンザニアのヴィクトリア湖周辺で生きる人々について描いたドキュメンタリー。これはもはや映画としてどうこうというレベルではなく、写っている現実が凄すぎる。「地獄」としか呼びようがないのです。 この世には地獄が存在します。この映画こそその証拠です。

 ・はてなダイアリー - ダーウィンの悪夢とは
 ・公式HP

「NHKアーカイブス」06.3/5 24:00-ながらえば』(65分)
1982年(昭和57年)11月3日 放送 作: 山田 太一 演出: 伊豫田 静弘

nagaraeba  隆吉(笠 智衆)は、息子の転勤にともなって、名古屋から富山へと移り住むことになった。しかし、隆吉の妻もと(堀越 節子)は入院中のため名古屋に残ることになった。
 富山に引っ越した翌日、隆吉は名古屋に行きたいと言い出す。息子夫婦の説得に一度は諦めるが、翌日、隆吉はほとんど金も持たず家を飛び出す。その頃、名古屋のもとの容態が急変していた……。

 笠智衆ファン、山田太一ファンは必見。23年前の山田太一の傑作です。

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