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2006年11月5日 - 2006年11月11日

2006.11.11

■宇宙から初めてのハイビジョン生中継 06.11/15決定
スペース・ビデオ・ゲートウェイ(Space Video Gateway:SVG)

Iss_17sept2006

史上初!ハイビジョン生中継 
 LIVE宇宙ステーションNHK総合 BS-Hi

放送日 :2006年11月15日(水)
NHK総合 PM11:50~翌日0:40(50分) 
BS-Hi   PM11:59~翌日0:40(41分)
出演者:マイケル・ロペズ=アレグリア,山崎直子,米村でんじろう,野口健,江川達也,安めぐみ
司会:住吉美紀,水野倫之
 ~国際宇宙ステーション ISS:International Space Stationから中継~

 以前お知らせしたハイビジョン生中継、年末という情報もありましたが、順調に準備が進んだようでいよいよ今週実施されます! ハイビジョンの臨場感は今までもいろいろと書いてきましたが(当Blogハイビジョン関連記事)、僕は視覚情報としては相当、現実の体験に近づいたものと思ってます。なので今回の宇宙中継は、今までの中継と単に量的に変化するだけでなく、臨場感の質的な変化に近いものがあるのではと期待しています。IMAX等での今までの宇宙映像に近いものが、大画面デバイスによって家庭で体感できるわけですから、、、、。

 NASAでは、このプロジェクトをスペース・ビデオ・ゲートウェイ(Space Video Gateway: SVG)という名称で呼んでいます。こういうネーミングセンスもかっこいい。リアルタイム伝送が目玉技術なので、ゲートウェイと言っているのでしょう。(フレデリック・ポールのSF『ゲート・ウェイ』とはなんら関係ないと思います(^^;))

 上記「出演者」とありますが、でんじろう先生が宇宙から理科実験をするわけでなく、宇宙飛行士と地上を繋いでの放映になるのでしょう(当たり前)。
 NASAステータスレポートによれば、国際宇宙ステーションISSからは宇宙飛行士マイケル・ロペズ=アレグリアが出演ということです。この方、10/10打ち上げのソユーズでISSに飛んだ第14次長期滞在クルーのNASAサイエンス・オフィサー(JAXAサイト参照 この人)ということです。

NHK INFORMATION「NHKトップトーク(会長 2006/11/2)」

宇宙からのハイビジョン生中継は史上初となる。放送日が確定次第、すみやかにお知らせする。宇宙からの生中継は、(1)高度400kmを時速2万8千kmという猛スピードで地球のまわりを飛行している宇宙ステーションからの中継であること、(2)機材が宇宙に持っていくため特別な仕様であること、(3)広帯域なハイビジョン伝送であることなどから画期的な試みである。2回目以降の生中継も可能だが、船外からの中継の予定はない。

 「機材が宇宙に持っていくため特別な仕様であること」というのは、基本設計は地上のハイビジョンカメラと同じで良くても、使用できる材料がNASAハンドブックに載っている可燃性等のレーティングを満足していないといけないということで、設計変更はきっとたいへんだったように思います(ISS内での発煙時ガス等に厳しい規定がある)。
 船外中継がないのは少しさびしいですが、真空中対応のカメラがいずれ開発されて、将来的には実現することを期待しましょう。

◆関連リンク
国際宇宙ステーションNASAステータスレポート #06-44 原文

今週、スペース・ビデオ・ゲートウェイ(Space Video Gateway: SVG)の点検のために機材の設置が開始されました。この点検では、ISSから高精細度テレビ(HDTV)映像を送信する能力を実証することになっています。

NHK、史上初となる宇宙からのハイビジョン生中継

 現在、地上400kmの軌道上に3人の宇宙飛行士が滞在し、宇宙ステーションを建設中。ステーションのアメリカ実験棟「デスティニー」とNHKのスタジオを中継で結び、宇宙から見える地球の姿などをハイビジョンで中継する予定。

 「宇宙ステーションは、高度400kmを時速2万8,000kmで地球の周りを飛行しており、その中で宇宙向けの特別仕様の機材を用いて、ハイビジョン伝送を行なうことは画期的な試み」としている。

NHK INFORMATION「技術情報」
高精細度ハイビジョンカメラシステム(HDTV)(JAXA)

<アメリカのメディアでの記事>日本より注目されている。 
Streamingmedia.com: NASA Takes Streaming Into Space
Expedition 14 crew tests the HDTV Space Video Gateway.

・女性宇宙飛行士Nina PatelさんのSpace Video Gateway操作風景(?)

・当Blog記事 宇宙から初めてのハイビジョン生中継
       HDTV in ISS:International Space Station

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■IVRC2006 国際学生バーチャルリアリティコンテスト
   & 体験教室「バーチャルロボットを作ろう!」

IVRC 2006 Official Website 第14回国際学生バーチャルリアリティコンテスト

岐阜本選ご案内
 11月10日(金) 一般公開10:30-16:00
 11月11日(土) 一般公開10:00-16:00
 会場: 岐阜県各務原市テクノプラザ 入場料: 無料

 記事にしようと思っていて遅くなったけど、昨日からこういうイベントが開催されています。中継掲示板というのもオープン。
 面白そうなので、ハイビジョンハンディカム持って行ってきます。レポートはまた後日!

体験教室「バーチャルロボットを作ろう!」 が同時開催。

日時 2006年11月11日13:00-16:00
会場 岐阜県各務原市テクノプラザ 1階 研究室
内容 産総研の開発したModulobeを使用したバーチャルロボット制作
対象 小学生高学年~中学生 20名 事前申し込み必須

 このイベントで使われているフリーウェアのModulobe、簡易的な機構解析ソフトで自分の設計したロボットがヴァーチャルにデスクトップで動きます。なかなか楽しいので、ご紹介。

・当Blog記事
 IVRC2004 第12回国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト

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   & 体験教室「バーチャルロボットを作ろう!」"

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2006.11.09

■アニメータ磯光雄 と 監督作『電脳コイル』

アニメータ磯光雄

MADビデオ(磯光雄作画集)「CIKY NO KIKI(地球の危機)」
その他磯光雄作品検索 (YouTube) 

 なんといっても強烈だったのは、『新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 Air』の作画。
 エヴァ弐号機とアスカの鬼気迫る原画は、ここ10年のアニメで特筆ものでしょう。あの素晴らしい動きのタイミングが生成するダイナミックな映像。

 フィルモグラフィによると、『エヴァンゲリオン』TV版19話「男の戦い」も磯作画。
 19話の使徒喰いのシーンの凄さにも仰天しました。ロボットものが巨大生物ものに化けるあのセンス・オブ・ワンダー。もともと庵野秀明が諸星大二郎の「影の街」(『ぼくとフリオと校庭で』所収)のイメージにインスパイアされて、あのシーンが『エヴァ』企画のコアにあったらしいけれど、磯光雄によって、原典を超える奔放なイマジネーションを獲得したといっても過言ではない。

 特にあの幽玄な雰囲気の獲得は、素晴らしいと思う。動きで幽玄を表現できるアニメータって、世界でも何人もいないはず、、、というか僕はあのシーン以外にアニメで幽玄って味わったことのない感覚だったりする。他に何かありましたっけ?(『風の谷のナウシカ』で腐海の蟲たちが幽玄な動きをしていたら、どんな傑作になったかと思うと、、、。)

(と書きつつ、僕はこの原画のアニメータが誰かYouTubeの上記MAD VIDEOを観るまで、知らなかったという体たらくなのですが、、、、(^^;)。作画監督の本田雄の名前しか頭になく、てっきりこの方の原画シーンなのかと適当に思っていたという次第。なんともいいかげんです。)

◆脱線して『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』四部作について

 新劇場版四部作というなんだかものものしい企画があるようだけど、「企画段階の構想に近い、大団円となるエンターテイメント志向の作品」になるとのこと。
 僕はうじゃうじゃしたシンジの世界系描写なんて馬鹿馬鹿しくてどうでもよく、19話「男の戦い」から先、なんで初号機他の暴走がエスカレートしていった大センス・オブ・ワンダーなSF新生物ストーリーが観れないのかと不満に思っていた。なので、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』四部作は、そんなワクワクする映画になるのなら、観てみてもいいかな、と思っている。

 でも磯光雄は下の監督作があるので、新劇場版にはきっと参加しないでしょう(物理的にきっと無理)。(『エヴァンゲリオン新劇場版』前編は鶴巻和哉と摩砂雪の共同監督。中篇の絵コンテ佐藤順一という情報がありました。)

◆磯光雄 初監督作 『電脳コイル』

Dennou_coil02_1
原作・脚本・監督 『電脳コイル』 TVアニメ化決定(徳間HP)

 というわけで、こんな新作が用意されているという。
 この絵のイメージは、『エヴァ』でみせた凄さの片鱗があまり感じられないけれど、ラーゼフォン15話の磯演出作の渋い絵コンテで、実力は実証済なので、この監督作、とても楽しみ。できれば自身の原画もたくさん描かれるといいけれど、そんなことしてたら死んじゃいますね。(NHKで初監督作というのが、おなじく天才アニメータ宮崎駿と同経歴になるわけで、しかも上の絵の海底に沈む都市が『未来少年コナン』と符合して、なんだかワクワク。)

・宮村優子著 小説『電脳コイル』(Amazon)
池田綾子 , 斉藤恒芳『電脳コイル サントラ音楽集』(Amazon)
DVD『電脳コイル (1) 限定版』 『通常版』 (Amazon)

関連リンク 当Blogその他記事
『電脳コイル』探索<5> 電脳メガネの直系(?)の先祖
 テレグラス[Teleglass]T4-N

『電脳コイル』探索<4> 第6話「赤いオートマトン」
  電脳コイル世界の電脳ナビによる自動走行

『電脳コイル』探索<3> 脳-電脳インタフェース
 ブレイン-コンピュータインタフェースBCI/マシンインタフェースBMI

第2話「コイル電脳探偵局」 ポストンくんと『グラン・ヴァカンス』グラスアイ
『電脳コイル』探索<2> 第2話「コイル電脳探偵局」
  ポストンくんと『グラン・ヴァカンス』グラスアイ

『電脳コイル』探索<1>  複合現実と強化/拡張現実
  ミックスドリアリティとオーグメンテッド・リアリティ

 (現実に研究されている『電脳コイル』の技術の映像)
NHK 磯光雄監督 『電脳コイル』スタート  
 第1話 「メガネの子供たち」 と ミックスドリアリティ

アニメーター磯光雄と金田伊功と脳の構造の関係
NHK試写会記者会見リンク
『電脳コイル』TAF2007プロモーション映像 
『電脳コイル』 スタッフ公開! 
NHK教育『電脳コイル』 はハイビジョンか?
・その他 Google検索 
『電脳コイル』 第4話「大黒市黒客クラブ」
  電脳戦闘スタート 作画、本領発揮!

ネットで拾った磯光雄アニメートの評価等リンク

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2006.11.08

■岩井俊二監督の新作 ドキュメンタリー『市川崑の世界(仮)』

Iwai_ichikawa

市川崑監督を岩井俊二監督が撮る - シネマニュース : nikkansports.com
「市川崑の世界(仮)」(eiga.com)
岩井俊二が巨匠の人生を衝撃のドキュメンタリーに? 岩井監督コメント

「そう、衝撃のドキュメンタリーですよ。ふふふ」と含みを持たせる。「映画って罪深いですよね。90年もの人生を1時間とちょっとにしなければいけないんだから。それで、その人の人生を見せたことにするんですから。『24』みたいに、リアルタイムで描ければいいんですけどね(笑)。でも、90年ですから」と冗談めいた口調で語っていた。

 ひさびさの新作はドキュメンタリーということです。
 『犬神家の一族』のリメイクに合わせて、岩井俊二が市川崑をどう撮ったのか、ただのメイキングではないはずで、気になる映画です。

 にしてもこの引用コメントにある『24』のようなリアルタイムの90年を描く映画があったら、トンでもない、、、、。ほとんど『トゥルーマンショー』の世界(^^;)

※上の文字、このネタの時は、お約束の明朝体。本当は極太明朝体というのが適切らしいですが持っていないので、DHP平成明朝体というので作成しました。(はてな参照。「極太明朝体 フォントワークスが販売する『マティスPlus-EB』という書体・劇場版ではもう少し太いUBを使用」とのこと)

◆関連リンク
『虹の女神 Rainbow Song』 プロデューサーと脚本 岩井俊二(桜井亜美と共同脚本)
『虹の女神』(公式HP)
・新装したラジオ 円都通信 最終映像 -Final Cut-
フォントワークス マティス(amazon) フォントワークス(公式HP)

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2006.11.07

■宮崎駿 初期原画<1> 『侍ジャイアンツ』第一話

Miyazaki_samurai_g_01
侍ジャイアンツ』第一話「ほえろ!バンババーン 」より番場蛮の作画
 作監/大塚康生 原画/宮崎駿・小田部羊一(Aプロダクション)

 CATVのキッズステーションで『侍ジャイアンツ』の放映が始まった。あわせて『ルパン三世』の第一作も放映されている。これを機に、宮崎駿の初期TV作品での原画担当シーンをちょっとだけ分析してみたい。(宮崎が「フィルム1/24」やアニメ誌でとりあげられはじめた1980年ごろに、再放送をVTRに撮って繰り返しみたこれら作品がデジタルのおかげで詳細分析できるようになったので、懐かしいやら、嬉しいやら。深井克美と並べて『侍ジャイアンツ』を述べる醍醐味が究極映像研の持ち味です(^^;))

 この第一話は、前半が小田部羊一、後半が宮崎駿という凄いラインナップ。

 まず上の写真。番場蛮のシャープでダイナミックなフォルムと、全部原画のような作画にまずはご注目。これ、間を一、二枚抜いて引用していますが、中割りするには大胆な原画で、動画マンでなく、かなり宮崎自身の絵ではないかと思われます。(終わりから2枚目のしまりのない顔は少しいただけませんが、、、。中割りの動画なのかな??)

 最初の3枚のみごとに決まったレイアウトと、かっちりしたデッサンは、紛れもない宮崎駿の特徴のある絵となっています。そしてその後のスパイクと手のアップのダイナミックなコマ運び。5~7枚目の大胆なデフォルメも良い味出ています。まるで薄い箔のように撓む腕が伸びやかな動きを作り出しています。投球のシーンが何回か描かれていますが、それぞれにアニメのダイナミックさが心地よい出来。

Miyazaki_samurai_g_02
 さて次は他の場面から宮崎原画の特徴的なカット。

 1枚目は、自動車のフロント部の立体感とバイクのリアリティがかっちりとしたレイアウトでまとまっています。4枚目の長島選手、川上監督、八幡先輩、番場の構図、そして背広の肩の立体感が宮崎らしいと僕の感じる絵です。というのは、『空飛ぶ幽霊船』の戦車シーン周辺の有名な宮崎原画のイメージとかなり近しいものに観えるから。自動車のフロントと背広の肩の描き方は、『空飛ぶゆうれい船』と同じく、物の立体感の把握とその回り込み方が独特の空間感覚を形成しています(、、、ちょっと大げさ)。

 2枚目はいわずと知れたヘラクレスポーズ。もちろん『未来少年コナン』を思い出します。あと3枚目の喧嘩シーンの動きのシャープさと、凝りに凝ったレイアウトは特筆もの。引用したシーン以外もアニメートの快感に満ちています。

 ということで、褒めちぎって書いてきましたが、実はひさしぶりに再見して、昔、感じたより作画の凄さは縮小しているように思ったのも事実。かなり手間かけないで描いていることが明白で、たぶん宮崎にとってはのびのびと肩の力を抜いた作画だった気配が濃厚。結構、あまい構図や動きもいくつかあります。
 最近のTVアニメータのトップレベルのシーンと比べると、そのアニメセンスが勝っているか、かなり微妙。宮崎駿のTV作画のレベルを判断するのは、次にファースト『ルパン三世』を観てからとなりそうです。(気楽に描いた(失礼)TVのシーンでここまでまさか30年後に云々されるアニメ作画オタクな時代がこようとは、想像されてなかったでしょうね(^^;)。これもネットというメディアの特徴かも。)

◆関連リンク
高畑勲・宮崎駿作品研究所 宮崎駿フィルモグラフィー[1971~1973]
・当Blog記事「叶精二『宮崎駿全書』 と 宮崎駿『もののけ姫』について」 「池田宏監督『空飛ぶゆうれい船』

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2006.11.06

■柴 勤 著 『深井克美―未完のランナー』 : Katsumi Fukai

Fukai_01 Eva_svank_01_1
深井克美 友達1 (1978)  エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー Mediumni kresba (2004)

柴 勤 著『深井克美―未完のランナー』(amazon)
 (北海道新聞社刊 ミュージアム新書〔14〕)

函館生まれの深井克美は病魔に苦しみながら、人間の肉体と魂の在り方を問い、独特の幻想的な世界を描き続けた。30歳で衝撃的な死を遂げた深井の作品と生涯を紹介する。

 以前の記事「澁澤龍彦コレクション『幻想の画廊から』 」を書いた時に、ネット検索で見つけて紹介した、30歳で夭折した北海道の幻想画家 深井克美。彼の画業を紹介した本を購入。カラー25点。モノクロ22点。著述文(詩とエッセイ)7点が収録されている。凄くインパクトのある本になっている。特に絵が素晴らしい。

 内省的で幻想的。自己の内側へ限りなく沈潜していったその先に観えた研ぎ澄まされた幻覚ような絵画が素晴らしい。著述文で自らの脊椎カリエスから生じた肉体的なハンディキャップを苦にし、外出の際の対人恐怖について述べたくだりがある。上の絵で特徴的なのは複数の眼である。この眼の描写と「友達」というタイトル。彼にとっては友人ですら自分を観る視線が気になり、そしてその存在をひとつに固定できない不安の対象でしかなかったのかもしれない。この絶望的な絵画の圧倒的な存在感は凄いと思う。

 上で紹介した作品を観て、僕が真っ先に思いだしたのは、チェコのシュールレアリスムのアーティスト エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーのメディウム・ドローイングと名づけられた作品群。ふたつの絵を見比べた時に、その「内省的で幻想的」なイメージの共通性を強く意識せざるを得ない。残念ながらエヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーの絶望が何に由来していたのか、チェコ語の読めない僕はまだ理解の端緒にもついていないが、この二人の画家が精神的な面で、どこかで通底していることは間違いないと思う。

 <幻想の画廊から>と題したHPに、この「深井克美」の作品が数点紹介されている。この絵を見てもらうと、さらに深井克美の凄さがわかると思う。僕がインパクトを受けたのは、特に次の二点。(リンク先の絵はスキャニングの品質が今ひとつで、本の色合いとかなり違うため、気になった方は是非本を購入されることをお薦めします。)

◆『2時37分』(1976)

 この怪物三体にみえるものはいったいなんなのだろう。本の著者  柴 勤氏も三体の生物と観ているが、実は一体である可能性も否定できない。一つの体から増殖した臓器のようにも観える。もてあましたそれら臓器に針と糸が天空から降りてきている。いろんな幻想の物語を想像させる画である。が、これも画家の苦悩の表象なのだろう。

◆『オリオン』(1977)

 美術評論家の坂崎乙郎氏が「絵画が達しうる一つの極みである」と述べている言葉が、本書に紹介されている。とにかくどこまでも深みのある絵画。異形のふたりの人間(サイボーグ?)の姿を描いたこの画は、個々をとりだすとH・R・ギーガーとかのイメージと似通っているように観えるのだが、二体の抱擁のようにみえるその形態が凄い。お互いを抱いている異世界の手。この描写が単なる幻想画ではない切実なものを観客に投射してくる。ここから広がるイメージの奥深さは、僕の筆ではとても描写できるものではない。

 この絵は、個人コレクター植木正心氏が、群馬県の自宅を改築した「植木美術館」というところで公開されているらしい。

 その他、多くの深井克美作品は、北海道立近代美術館に収蔵されている。先日、北海道へ行く前に調べたが、残念ながら今は展示はされていないようなので、観には行かなかった。いつか機会を見つけて、なんとか一度は実物を観てみたいものである。

◆関連リンク
・Blog 分け入つても分け入つても本の山さんの「深井克美」に関する文
坂崎乙郎氏の著作(amazon) 著作リスト
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー関連図録 Eva Svankmajerova

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2006.11.05

■カールステン・フラー作品 巨大すべり台
  Carsten Höller Test Site 2006

Tate_modern_test_site_2006

Tate Modern | Current Exhibitions |
       Carsten Höller Test Site 2006
 写真
([フォグレス:ロンドンアート日誌]さん経由)

 これ、何だかわかりますか?

 イギリスの国立近現代美術館テート・モダンのThe Unilever Series : ユニレバー・シリーズ展において、展示された美術作品。体感するアート、巨大すべり台です。

 元発電所だった場所の発電タービンが設置されていた広大な展示空間を利用した55mの急降下滑り台。凄いですね。ジェット・コースターが駄目な僕には、決して滑り落ちることはできないと思います。写真見てるだけで、高所恐怖!

artholic daysさんに建造風景が掲載されています。
・グーグルイメージ検索 Carsten Tate Modern
 Giant Slides こっちは巨大すべり台の検索。

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