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2007.06.17

■『電脳コイル』探索<4> 第6話「赤いオートマトン」
  電脳コイル世界の電脳ナビによる自動走行

◆第6話「赤いオートマトン

 今回はサッチーと、ハラケンとそのおばちゃんの謎をめぐるヤサコとフミエの子供らしさ溢れる探索のお話。目線を小学生に下げて、いっしょにワクワクしながら大黒市を探検するのが楽しい見方でしょう。(でもちょっと中だるみを感じたのも確か。作画もギリギリ踏ん張っていたけれど、いつもの躍動感はなかったと思うのは僕だけか?)

 ということで、今回のテクノロジー探索は、コイル世界の電脳ナビによる自動走行運転について。

コイル電脳ワールドと自動運転技術の関係

  ハラケンの幼馴染カンナとの関係を中心に語られる、大黒市中津交差点での自動走行車両による事故。あやうく京子も事故にあいそうになるのだが、この世界で自動走行が実現しているメカニズムを推定してみる。

 コイル世界は、現実の街の物体データが(管理外ドメインを除いて)全てデータ化され位置情報とともにリアルタイムにサーバが更新されている。そのサーバから電波を使って電脳メガネ他の端末に、現実の物の位置と3D形状データが送られ、そしてメガネでは仮想の電脳物質と合わせてそれが映像化される。

 自動走行にとって非常に有効なのが、この現実の物の位置と3D形状データがサーバでリアルタイムに更新されている、という技術。
 現在の車で進んでいる自動走行技術の開発は、基本的に車のセンサで外部情報をとらえて車のコンピュータがそれらの形状と位置を認識して走行に利用しようとするもの。電脳コイルのようなオーグメンテッド・リアリティが実現している世界では、車はサーバからのデータを超高速に受け取ることができれば、外部情報のセンシングはいらない。サーバのデータを電脳ナビ自動走行コンピュータが受け取って、リアルタイムに外界を認識して、走行制御すればいいわけだ。

自動車産業がコイル電脳ワールドの推進剤??

 もしかすると、この自動走行が電脳コイルの電脳世界を実現する重要なニーズになったのかもしれない。ただ子供たちにメガネ遊びさせるだけのためにこんな凄い電脳による世界掌握技術が実現しているとは考えがたい。

 むしろ自動車産業のような国の基幹産業の要請があって、街と事物の電脳化が進んだと考える方が理にかなっているのではないだろうか。現在、カーナビは街の3Dデータを取り込んで、よりリアルに市街地を描画しようとしている。この延長で車が街を正確にデータとして把握したい要求が強まることは不自然ではない。そして子供たちの安全のために電脳データ化が促進される社会。その実証実験が行われている街が大黒市なのかもしれない。

Coil06_news

事故の謎

 第六話の新聞記事によると、「自動走行車両による事故は大黒市内、 特に中津中央道付近で最近ひんぱんに 起こっており、電脳ナビと電脳空間との間でなんらかの問題があるのではないか」と推測されている。

 中津交差点で電波状態が特に悪いことから、現実の事物のデータが更新されず、電脳ナビが人を認識できていないか、もしかするとイーリーガル他のバグのようなもの(サッチーの取り締まり対象)が邪魔をしているか。

 いずれにしてもこの中津交差点とはざま交差点(だっけ?)が今後の謎のひとつの鍵になることは間違いないはずである。

 それにしてもコイルの電脳ワールドって、素晴らしく技術的な波状効果が大きくって、想像力を刺激します。ガンダムのスペースコロニーとモビルスーツ世界もいろいろ派生した世界を産み出しているけれど、電脳コイルワールドの奥行きの深さは、少なくとも技術的にはそれ以上の広がりがありそう。そして物語の可能性も。(オモチャの展開力で負けるのが残念(^^;))

補足

・上の自動走行システムは極論で、本来自動走行を実現しようとしたら、サーバ情報と自車センサの合わせ技で外部認識するのが正しいやり方だろう。安全を考えたら、そうした二重系は必要なはず。
・どうやら電脳データは郵政局が管理しているようなので、自動車産業が本当にこの電脳ワールドの推進剤になったのかは疑問もある。それだったら運輸局(?現在なら経済産業省)が所轄官庁になるような気がする。実現に向けて、国の権利争いでドロドロがあったのでしょう。
・サッチーが執拗に違法データを消去しようとするのも、自動車事故を想定すると理解しやすい。人の命が危険にさらされているという背景があれば、多少法的にグレーでもガンガン消去できる言い訳が立つ。
・現実にこの電脳自動走行世界を実現しようとすると、通信データ量とか速度とか、信頼性の面でめちゃめちゃハードルは高そう。別技術がきっと現実的には有力でしょう。

◆関連リンク
・2ch 電脳コイル 27に新聞記事の書き起こし
 上記で参考にしましたが、引用の文は、一部写真を参考に修整。
特許検索「ナビゲーション×自動走行×位置情報」
 上記で述べたような技術はきっと特許が出ているだろうと思って調べてみました。ヒットしたのは4件と意外に少ない。下記2.はかなり近い感じ。

1. 特開2004-338640 車両用自動走行システム
2. 特開2003-279357 簡易安全自動車操縦装置
3. 特開2003-141676 車両自動誘導システム、車両自動誘導システムにおける制御装置、車両自動誘導方法および自動誘導処理プログラム。
4. 特開平11-014388 特殊車両報知システム、このシステムに用いる一般車両用ナビゲーション装置、この装置の記録媒体、および上記システムに用いる特殊車両用ナビゲーション装置

2.の請求項より

 GSPによる位置確認システムとそれを利用した現在のカーナビ ゲーションによる道路上の平面情報に加え、現在位置情報 を更に精密にするため、道路に隣接した横にある建物、土地の高低ガードレールなどの情報を記録するシステムを構築し、記録装置に収録する。
 このシステムを利用し、同一地点の立体的な空間情報を把握するため、縱方向の映像、又は数値情報をCD、DVD、今後更に開発される光情報記録装置などの大容量データ記録システムを構築し、現在利用されている道路地図情報と、縦方向情報を組み合わせ、道路上の正確な三次元位置確認システムを製作し、位置測定システムの精度の向上を図る。(略)

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コメント

 ミのつく職人さん、こんばんは。

>>こんばんは。先日の集中再放送でようやく話題について行けるようになりました。

 電脳コイルの世界へようこそ!

>>あのメガネ、視覚以外の神経系にも入力を与えているようですが、小さな子供がそれを常用してるのはどうなんでしょう、と基本的な疑問。

 そりゃ貴方、たいがい子供が喜ぶものは、昔から体に害があるものと相場が決まってますぜ。
 しかし視覚以外の神経系への影響は、今のところ直接は語られていませんね。頭痛を訴えるシーンとかあったけれど、、、。電脳ペットに触れる触覚は明確にないと言ってるし、はてさて真相は?

 ところで「追跡君」は受けましたか(^^)?

投稿: BP | 2007.06.19 00:09

こんばんは。先日の集中再放送でようやく話題について行けるようになりました。
あのメガネ、視覚以外の神経系にも入力を与えているようですが、小さな子供がそれを常用してるのはどうなんでしょう、と基本的な疑問。

投稿: ミのつく職人 | 2007.06.18 22:45

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品質評価 11 / 萌え評価 14 / 燃え評価 12 / ギャグ評価 10 / シリアス評価 22 / お色気評価 4 / 総合評価 12レビュー数 105 件 ヤサコたちのピンチに、襲いかかるサッチーに命令をして停止させたのは、なんとハラケンだった。サッチーはハラケンのペットだったのだ!ハラケンの正体を探ろうとするフミエとヤサコは、まずは生物部らしくサッチーの生態を探ることから始めるのだった。しかしハラケンの行動を知るうち、二人はハラケンの意外な過去を知ることになるの... [続きを読む]

受信: 2007.09.20 16:56

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