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2007.06.03

■『電脳コイル』探索<3> 脳-電脳インタフェース
 ブレイン - コンピュータ/マシン インタフェースBCI, BMI

◆脳-電脳インタフェース BCI,BMI

 今回はミックスドリアリティとオーグメンテッド・リアリティ(MR,AR)に続き『電脳コイル』ワールドのキーテクノロジーとなっているブレイン-コンピュータインタフェース(BCI:Brain Computer Interface)、もしくはブレイン-マシンインタフェース(BMI:Brain Machine Interface)と呼ばれる技術について。

 「メガネ」がMR,ARを象徴してるとすれば、「コイル」がBCI,BMIを象徴する言葉であり(と思う)、ダイレクトにタイトルの『電脳コイル』に関係する。そんな重要キーワード。

 現在、研究されているBCI,BMI技術については、詳細は下の関連リンクを見てもらうとして、簡単に表1にまとめてみる(wikipediaが充実してないのでしかたなく整理してみます。素人の整理ですので、間違ってたら教えてください)。 

表1. BCI,BMI 脳とコンピュータの情報インタフェース
 脳 / 体内情報   センシング方法     体外への取り出し
  脳波(EEG)    侵襲的手法  電極他  プラグ(サイバーパンク作品),電波,
 電磁誘導 (
コイル?),
 光 (
イマーゴ?)
  脳内血流変化  

  筋電位

   非侵襲的手法  fMRI, EEG, MEG, NIRS,    不  要
  視 線    キーボード, カメラ他   (元々体外でセンシング)

 まず何から脳のコンピュータへの指示情報を読み取るか。脳神経の活動情報としては、EEG(脳波)と脳内血流変化の2種類が挙げられている。BCI,BMIは、このどちらかから脳内の指示を読み取ろうとする技術。加えて筋電位や視線といった脳の活動の結果をとらえる場合も表1に加える。
 次にそれをセンシングする方法は、大きく分けると侵襲的手法と非侵襲的手法に分けられる。これは文字通り、脳に機器(センサ)を直接潜入させるか/させないか、という分類。

 侵襲的手法は、電極を脳に埋め込む『ニューロマンサー』、『攻殻機動隊』、『マトリックス』等サイバーパンクSFが描いてきた方式が最も有名。この場合、体外へ情報をどう取り出すか、というところで、プラグを使ったり電波を使ったりという手段が別に必要。

 電極を埋め込む技術もかなり最近進んでいて、既に聴覚障害者への適用は医療として実現しているらしい(これはマシンから脳への情報伝達ですが)。

 非侵襲的手法は、頭の外側にセンサを置き、脳神経情報を読み取る方法。
 これには、EEG(脳波)を読み取る方法として、fMRI(functional Magenetic Resonance Imaging 機能的磁気共鳴画像)、EEG(Electoroencephalogram 脳波計)、MEG(Magnetoencephalograph 脳磁計)といったものがある。脳内血流変化をセンシングするのは、近赤外分光法(NIRS: Near Infra-Red Spectroscopy)というものが代表的。

 あと脳内情報をダイレクトに読むのではなく、その結果の体の動きから判断する方法。
 キーボードは指の動きで意識情報をとらえるインタフェースと言える。
 その他、視線の動きをカメラ等でセンシングして、マウスやキーボードの動きの代わりにする技術も有名で、こちらも障害者のコンピュータ操作デバイスとして、既に実用化されている。

Coil04_bci ◆『電脳コイル』におけるBCI,BMI

 第四話でかなり技術のヒントが示された。
 教室でのダイチによる黒客(ヘイクー:ハッキング)シーン。ダイチは手の入力でないと処置できないはずのメール爆弾攻撃をイサコに仕掛ける。しかしイサコの手と指(どころか体全体)が動かないのにダイチの攻撃は防御/反撃される。

 そこで語られるメガネの「イマーゴ」と呼ばれる隠し機能。
 どうやら脳からダイレクトに非接触でコンピュータへアクセスする方法があるらしい。

 イサコの眼が赤と青に点滅する後半の映像から考えると、この「イマーゴ」、光によるメガネへの非接触情報入力の可能性大。
 たぶん侵襲的手法で脳内から情報を読み取り、そして電気/光変換デバイスで眼を光らせてメガネに情報入力しているのだろう。

 ではイサコ以外は、どのように情報入力しているのか。
 こっからは完全な邪推だけど、たぶん仮想のキーボードを叩く指の動きを、体にながれる筋電位をとらえて伝えているのではないか。そしてキーになるのがたぶん「コイル」。(以前も少し書いたけれど、追記とちょっと修正。)
 
 「コイル」は、イサコの眼光の代わりに人の体からメガネへ情報入力する手段ではないか。
 イサコが脳の何らかの信号を眼の光に変えるデバイスを埋め込まれているのに対して、他の子供たちは、筋電位をとらえ、それをメガネのツルへ非接触で伝えるデバイスを埋め込んでいるのではないか。それが「コイル」。
 コイルというのは、技術用語では通常銅線を巻いたもののことである。銅線を巻いて磁界を発生させて、それをメガネのツル(ここにも銅線が巻いてある)がその磁界を電磁誘導でとらえているのではないか。

 おそらく、この筋電位とコイルによる情報量は、イサコの埋め込んでいる侵襲デバイスより、ビットレートと精度で劣る。しかもイサコが、第三話で電脳空間が破壊される時に衝撃を受けたことから、メガネから逆に感覚情報に近いものも脳内へ伝達されていることがうかがい知れる。

 ここの真相は、今後の展開が待たれる。何にしてもタイトルの「コイル」の意味がわからないのは気持ち悪い。「コイル電脳探偵局」は何故コイルという文字を使っているのか?「coil a circle of children」という英語タイトルの意味は?(燃える電脳戦の第四話の感想を書くはずが、長くなってしまったので、トピックを分けます。楽しい電脳戦の話は次回!)

 2chでも、「コイル」の謎についてはほとんど語られていない。
 どなたでも謎の推測があれば、コメント欄に書き込んでいただけると嬉しい。

◆関連リンク

【BCI, BMI】
Japan.internet.com テクノロジー - ブレインコンピューターインターフェイス

 侵襲的な方法は主に大脳に直接電極を埋めこむか、表面にセンサーを張りつける。そのため神経信号の混信や頭蓋の影響を受けにくく高精度なデータを得ることができる。(略)
 一方、非侵襲的な手法は、頭蓋の外から脳の信号を取りだすため、被験者にかける負担が圧倒的に小さく、医療目的以外の応用へも広げていくことができる。主な非侵襲的計測機としては、fMRI(functional Magenetic Resonance Imaging 機能的磁気共鳴画像)、EEG(Electoroencephalogram 脳波計)、MEG(Magnetoencephalograph 脳磁計)がある。これら3つの測定装置は、時間分解能、空間分解能、価格の面でトレードオフがあり、現在それぞれの長所をうまく合わせる方向で技術が進んでいる。

ブレイン・マシン・インタフェース - Wikipedia
進化する「脳-コンピューター直結インターフェース」(HOTWIRED) 
NHK BS-hi 『サイボーグ革命 人間とロボットの融合』(当Blog記事) 
脳波インタフェース視線入力インタフェース
日立が“脳インタフェース”の実用化へ向け、「世界最小」の脳活動計測器を開発:ITpro

 今回開発した計測器は、被験者に肉体的損傷を与えない「非侵襲型」と呼ばれる分類に属するもの。近赤外光を頭皮上から照射し、脳内を通って再び頭皮上に戻ってくる光の量を検出することで、前頭前野の血液量を測定。その血液量から脳の活動状態を測る。

脳と機械を直結させるインターフェイスの未来 (森山和道の「ヒトと機械の境界面」)
 「脳を読み、つなぐための神経デコーディング」神谷之康氏(ATR 脳情報研究所)

 神谷氏は「究極のマインドリーディングは自分にも分からない自分の心の状態を知ること」であり、BMIは「意志決定支援」装置としても使えるのではないかと将来の可能性を述べた。脳のなかには複数の意志決定回路がある。その間でなんらかの折り合いをつけて我々は時々刻々の決断を行なっているものと思われる。それぞれの意志決定回路が何をしているのか、当人である我々も知らない。我々が知っているのは、単に我々自身が「決断した」と考えている結果のみである。だがそれは、意識に上らないところで活動している多くの意志決定モジュールの働きによるのかもしれない。

・神谷之康氏 「脳を読み,つなぐための神経デコーディング」
 「ヒトの脳における視覚的・主観的内容のデコーディング」ATRプレスリリース論文

 このATR神谷氏のコンセプトが凄く面白い。脳科学の最新の成果をBCI,BMIに活かそうとすると、意識していないうちに手を動かす等、そうした潜在的な脳神経活動情報のインタフェースをどうとるか、というのが大きな課題になるわけだ。
 ある意味、キーボードは既にその対応ができている素晴らしいI/Fだ。無意識の脳の処理により動かされた指の動きを、意識するよりもむしろ早くPCへ指示しているわけだから。
 参照→池谷裕二『進化しすぎた脳』感想 2 無意識の脳活動と芸術家の「半眼」。

【イマーゴ】
・磯光雄氏HP IMAGO-IMAGE
IMAGOというメガネのブランド
(「ラテン語で「象徴・アイディア・シルエット・視点」などを意味します」)
と書いてます。
エキサイト 辞書 : 英和辞書 : imago.

1 【昆】 (チョウ・ガなどの)成虫 (cf. →larva 1,→pupa).
2 【精神分析】 (両親などの)面影,成像,イマーゴ. ラテン語から; IMAGE と同語源

エキサイト 辞書 : 英和辞書 : IMAGE

像,彫像,画像.  聖像,偶像.  形,姿
〔…の〕よく似た人[もの]
〔…の〕象徴,典型,化身,具現
(鏡・レンズによって作られる)像,映像,影像
(心に浮かんだ)映像,心像; 面影
(個人の抱く)イメージ,印象
(大衆の抱く)イメージ,観念
(写実的)描写,表現

【電脳コイル】 当Blog記事
第2話「コイル電脳探偵局」 ポストンくんと『グラン・ヴァカンス』グラスアイ
『電脳コイル』探索<1> 複合現実と強化/拡張現実
  ミックスドリアリティとオーグメンテッド・リアリティ 
  MR(Mixed Reality) & AR(Augmented Reality)

第1話「メガネの子供たち」 と ミックスドリアリティ
アニメータ磯光雄 と 監督作『電脳コイル』
アニメーター磯光雄と金田伊功と脳の構造の関係
『電脳コイル』 スタッフ公開!  
NHK試写会記者会見リンク
NHK教育『電脳コイル』 はハイビジョンか?
『電脳コイル』TAF2007プロモーション映像 
『電脳コイル』その他

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コメント

 遊び人の玲さん、はじめまして。
 貴重な情報のコメント、ありがとうございます。

>>筋電位入力ワープロは、すでに90年代に私達の発明家工房で作られて
>>いるのですが、非公開ながら実現している私達のものは、

 秘密の研究なのでしょうか。ワクワクしますね。

>>人が頭の中で言葉をイメージする思考=内言を行うと、発話に関連し
>>た筋肉群、具体的には、口や舌や声帯などの筋肉群に対してですね
>>無意識のうちに微弱ながら筋電位の出力を行っています。
>>これを抽出することは、何億もある脳細胞が発している電気信号=脳
>>波の抽出と解析を行うことに比べると凄く簡単ってところがミソです。

 これがあれば、コイルの子供たちも、より高速に入力できるわけですね。
 携帯電話でのテキストインプットがこういうもので実現したら、電車の中でBlogの記事が書き放題で嬉しいのですが(^^;)、、、ただブツブツ口だけ動いてたら怪しい。

>>2千年頃からは、生体磁気を感知するセンサーを持つインテリジェン
>>トスーツを装着する方式へと移行して正確で安定したものになりまし
>>た。

 研究の成果が世に出て、多くの人が恩恵を受けれる時代がくるのを、こころまちにさせていただきます。特に障害者の方やお年寄りでPCのキーボードが億劫な方には、福音ですね。

 今後も公開できる情報があれば、コメントで教えていただければ、嬉しいです。検索すると下記のような研究も最近のものですが、あるようですね。

筋電信号による無発声音声認識

投稿: BP | 2007.06.06 00:11

筋電位入力ワープロは、すでに90年代に私達の発明家工房で作られているのですが、
非公開ながら実現している私達のものは、
仮想キーボードを叩く手の筋肉への信号を抽出するといった、
SF的な要素をたぶんに持つ、不可思議な難易度が高い筋電位抽出方式ではありません。

人が頭の中で言葉をイメージする思考=内言を行うと、
発話に関連した筋肉群、具体的には、口や舌や声帯などの筋肉群に対してですね
無意識のうちに微弱ながら筋電位の出力を行っています。
これを抽出することは、
何億もある脳細胞が発している電気信号=脳波の抽出と解析を行うことに比べると
凄く簡単ってところがミソです。

80年代の日本語高速ワープロと言えば
ステノワードやソクタイプや親指シフトなどが有名ですが
一分間に350文字、
つまりNHKのアナウンサーが文字を入力する速度程度までが限界でした。
これをつぎつぎと打ち破って記録を塗り替えたのが筋電位入力ワープロのシステム達で
言葉を用いた思考をする速度で言語をコンピュータに入力できるようになって
すでに15年ぐらい経ちます。

筋電位の抽出方法は、
90年代は以前は筋電位義手などと基本的に変わりないもので、不安定でしたが、
2千年頃からは、
生体磁気を感知するセンサーを持つインテリジェントスーツを装着する方式へと移行して
正確で安定したものになりました。

投稿: 遊び人の玲さん | 2007.06.05 17:47

 no nameさん、はじめまして。
 コイルの謎について、コメント、ありがとうございます。

>>コイルの由来はいろんなところで話題になっていますねー。
>>単なるCIRCLE OF CHILDRENの略なんじゃないかと言っている人もいました。
>>中でも面白いな、と思ったのが、ヤサコの夢の中の鳥居に貼られていた「子入神社」の文字より、というもの。
(読みは「こいり」か「こいる」かは不明ですが。)

 この二つは僕も読みました。2ch、ざっくりは覗いてるので(^^;)。最近スレの伸びに着いていけませんが、、、。「子入神社」はmixiでしたっけ?たしか画像では「こいる」とルビがあったような、、、。

 でもなんかスタッフが隅に書いた落書きのようにも見えましたが、どうなんでしょ。OPの駐車場の階段鳥居(半身)が「子入神社」なのか??

>>子供がいなくなるサチコさんの伝説も出ているので、由来はともかくもしかしたら重要な伏線な気がしています。

 そういう伏線ということもありえますね。
 なんにしても、ここまで「コイル」を謎にしているのだから、あっという仕掛けを期待したいものです>>プレッシャーtoスタッフ(^^;;)。

投稿: BP | 2007.06.04 23:34

はじめまして。技術的な方面は疎いので、いつも興味深く記事を拝見しております。

コイルの由来はいろんなところで話題になっていますねー。
単なるCIRCLE OF CHILDRENの略なんじゃないかと言っている人もいました。
中でも面白いな、と思ったのが、ヤサコの夢の中の鳥居に貼られていた「子入神社」の文字より、というもの。
(読みは「こいり」か「こいる」かは不明ですが。)
子供がいなくなるサチコさんの伝説も出ているので、由来はともかくもしかしたら重要な伏線な気がしています。

投稿: no name | 2007.06.04 08:00

 とおりすがりさん、こんにちは。
 情報、ありがとうございました。

>>「コイルじゃ無理」ではなくて「古流じゃ無理」と
>>言ってたのだと、某匿名掲示板で語られてました。
>>字幕放送対応機器?で見ると
>>「古流」と表示されてたらしいです。

 うちのRec-potで正式な字幕を確認しました。「古流じゃ、しょせん無理、無理!」となってました!  僕の間違いです。やっちゃいました(^^;)。

 うーん、邪推のための有力なセリフを削除して、文章の結構を通すのは至難の業。でも間違ったセリフで他のファンの方に誤解を与えてもいけないので、このコメント欄に間違えた記録は残し、本文はちょっくら修正させていただきます。
(「コイルじゃ、所詮、無理無理」というセリフから、イマーゴとコイルを対比する技術として書いていた文章を修正しました>>ALL)

 今後とも、こうした指摘、お待ちします。すみませんでした。
 (次回から聞き取りにくいセリフは字幕確認しなきゃ(^^;))

投稿: BP | 2007.06.03 17:56

「コイルじゃ無理」ではなくて「古流じゃ無理」と
言ってたのだと、某匿名掲示板で語られてました。
字幕放送対応機器?で見ると
「古流」と表示されてたらしいです。
御札を使って操作するのが、
古いタイプの操作なんでしょうかね。
(キーボードを叩く操作よりは
高次な操作のような気もするけど…>御札)

投稿: とおりすがり | 2007.06.03 15:14

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受信: 2007.06.04 01:10

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