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2007.08.27

■レポート① 公開講座 シュヴァンクマイエル氏と語ろう(1)
   (朝日カルチャーセンター講座)

Svank_asahi_calture シュヴァンクマイエル氏と語ろう
 詳細
(朝日カルチャーセンター)

映像作家、シュルレアリスト:
     ヤン・シュヴァンクマイエル
チェコセンター所長:ペトル・ホリー

講座の内容:
 その作品の日本語訳も手がけるなど親交の深いホリー氏をまじえて、短編作品を見ながら受講生とディスカッションを行います。※短編作品のタイトルは当日のお楽しみとなります。

場所:新宿住友ビル7階
期間・曜日・時間:8/25 土 13:00~14:30

■上映作品 『闇・光・闇』

 この作品を特にディスカスするということでなく、結果的には参加者がシュヴァンクマイエル氏に聞きたい事を質問し、その回答の中で『闇・光・闇』に触れるという形になった。
 質問者は日本語、ペトル・ホリー氏が間に入られて訳し、シュヴァンクマイエル氏が答える。

 こうしたファン(今回約100名)とシュヴァンクマイエル氏の直接の対話はもちろん日本では機会が少ないので、ファンには大変貴重な1時間半。質問は次から次へと手が挙がり、終わってもまだまだ会場には質問したい空気が溢れていた。

 以下、9つの質問とその後のシュヴァンクマイエルの回答のポイントをできるだけニュアンスを表現できるように書いてみた。長文なので、2回に分けて掲載。

(下記の表現はダイジェストなため少し硬いが、会場は終始、彼と今回通訳を務められたペトル・ホリー氏が質問者聴講者に気づかいし、ほほえみながら和やかに進行したことを最初に付記。)

◆①五感のうちどれを大切にしているか。
  もしどれかひとつだけ失うとしたら、どの感覚を選択するか。

 重要視しているのは触覚。失っていいとしたら嗅覚。

 この世を我々は五感で感知している。世界に興味があるので、五感にも興味を持ってきた。現代文明は機材を使うことで手を直接使わなくなったり、触覚を忘れがち。そこで触覚実験をチェコシュルレアリスム協会で皆の協力を得て実施した。
 その結果は1974年に地下出版で5冊だけ『触覚と想像力』を出した。このうちの一冊を展覧会で展示している。
 触覚はエロティシズムと関係している。
 皆さんも触覚芸術作品を作ってほしい。『闇・光・闇』も触覚そのもの。

 嗅覚は動物には重要だが、人間にはそれほど重要でないと思う。 

◆②作品に食物が出てくるとまずそうに見える。何か嫌悪感があるか。

 (1)イデオロギー的な答えと(2)個人的な答えの二つがある。

 (1)文明は(資源を)食べつくしてしまう。大きな国の押し付けとか、消費性の恐ろしさを表現している。
 (2)子供の頃、体が弱く、食べることをいろいろと強制された。今は食べることが大好きだが、この子供時代の強迫観念が映画に出る。決してチェコ料理がまずいというわけではない(笑)。今でもゆでたタマネギは大嫌い。親子丼でも玉子丼でもタマネギをはずす。生のタマネギは大丈夫。

◆③エヴァさんというパートナーを失われた。共同制作についてお話を聴きたい。

 性格は180度違っていたが、よりよく連れ添えた。
 私は内気で、エヴァは対照的。また私は戌年で、エヴァは辰年。(注.チェコにも干支があるようです。これが性格とどう関係するか、説明はありませんでしたが、、、。)
 二人の関係はダイナミックな時もあったが、それが調味料のようでもあり、退屈しなかった。 
 彼女は画家で詩人だった。作風が独特でエヴァのものは彼女のものだとすぐにわかる。共同作業で作風のどこが混ざっているか、展示作品で確認してほしい。 
 私の長篇映画の脚本をエヴァが手がけていたが、05年に急逝し完成できなかった

◆④作品を作る時は、アイディアとテーマ性とメッセージ性のどこから入るか。また原作がある場合、それをどのように選択しているか。

 作品を作る時の想像力についての質問として答える。
 想像力の扉の鍵を持っているかどうかが問題。鍵は夢、心理オートマティシズム、エロティシズム、幼少期の経験、快楽原理といったもの。

 想像力は文明が押しつぶそうとしているものからの解放。学校、会社、警察、宗教といった現実の諸原理が文明の持つ圧力。これに対して、例えば快楽原理の道とか、想像力の自由を守ることが必要。自分の解放、心の解放が想像力への道。これは現実の原理に対する反乱である。

 国の体制や社会は今の世界が素晴らしいと人々に思い込ませようとする。それに対する反乱=想像力。

◆⑤『闇・光・闇』もそうだが、映像に舌や唇や口が良く出てくる。これらについて触覚の面、トラウマの面で何か想いがあるか。

 口は体の器官のうちで最もアグレッシブ。何もかも食べてしまう。チェコでも「目は心の窓」と言うが、私は口もまさにそうだと思う。

 俳優の配役でも目と口で判断している。
 下手な役者でも映像の編集等の持つ奇跡で救えるが、からっぽな目と口では救いようがない。

 『アリス』の主役の少女を選んだときは、目が素晴らしかった。両親の離婚とかを経験した後だった。(そうしたものが現れていたのかもしれない、というニュアンス。) ただ口が気に食わなかった。そこで口のクローズアップだけは、別の俳優のものを使った。

☆あと4つの質問は、次回掲載。

◆関連リンクNinngennisu_3
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渡邉裕之編集『ヤン&エヴァシュヴァンクマイエル展 アリス、あるいは快楽原則』(amazon)

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