« ■核融合科学研究所 大型ヘリカル装置一般公開(1)
    LHD そのテクノロジーとアート
| トップページ | ■フランク・ダラボン監督 スティーブン・キング原作 『霧 : The Mist』 »

2007.11.13

■核融合科学研究所 大型ヘリカル装置一般公開(2)
    夢の核融合発電実現まであと29年(目標) 

Lhd_presentation02vert_2 ◆核融合の現状と29年後の未来世界

特別講演:
夢の核融合エネルギーの実現へ
小森彰夫 総主幹 14:00-15:00

 まったく不勉強だった。
 地上のミニ太陽である核融合発電の実現は、ずいぶん遠い将来の話だと思っていたのだけれど、どうやらそうではないらしい。

 今回この未来の可能性にワクワクする講演で語られた数字は、写真下チャートのロードマップにあるように29年後の発電所の実現。

 講演の中で言われていたのは、今までも30年後の将来という数字はたびたび語られていたらしいが、昨年核融合科学研究所の所長が実験の現状を踏まえて、30年後の実現を目標として掲げられたとのこと。

 そして一年後、この講演で語られたのは、29年後の実現。確実に今年一年間で目標に向けて進化したという宣言のように聞こえた。

 小森総主幹の発表はユーモアを交えながら淡々としていたが、その発言の節々からかなりの自信を感じたのは、僕だけだろうか。

 その裏打ちされたデータがチャートの上のグラフ。
 トカマク式との比較で示されているLHDの実力で凄いのは、その放電保持時間だという。発電所実現にとって重要になるのが、この放電保持時間。継続的な発電ができなければ、発電所としては役に立たない。ヘリカルの磁場でプラズマを保持するLHDは、プラズマに電流を流して保持するトカマクに比べて、保持の点で有利なのだという。

 ではまだ目標の「自己点火」レベルに到達していない核融合三重積の性能の到達可能性は? 講演では重水素の利用(いままでの実験は水素でのデータ)と、LHDの大型化で実現の目処はある、とのこと。

 重水素実験は現在地元との協定の途中で近いうちに実現できそうとのこと。放射能のレベルは低いがちゃんと理解してもらったうえで進めていく考えだとのことらしい。

 そして大型化は、13.5m径の現在のLHDを30m径に変えると性能的には「自己点火」レベルに到達する可能性がある。

 これらと後に述べる安全性について実機の見学場所で専門家に聴いた話から考えて、門外漢ではなはだあてにはならないけれど、29年というのは可能性のある数字のように思った。(自分が生きている間に実現してほしいという希望的観測も大)

 この技術は日本でそのほとんどが構築された技術であるという。海洋国である日本は、核融合の原料となる重水素とリチウムを海から取り出すことが可能で、海辺の発電所で30mのLHD一機あたり150~200万kWの発電が可能だとか。海水1Lで石油25Lのエネルギを取り出すことが可能で、これが実現すれば日本は将来発電エネルギ輸出で国を支えていくことができるという。

 なんという素晴らしい未来ではないか。ひさびさにテクノロジーでワクワクさせてもらった。

Lhd_systemvert◆核融合発電の安全性

 こんなに素晴らしい技術が日本でその最先端を切り開いているとしたら、マスコミ等でもっと取り上げられてもいいのではないか(暗い世相で子供たちに未来の可能性を感じさせるには、「亀田なんとか」とか「朝青龍」とかバカバカしいNEWSより、こういうことの報道が重要なのだと思うのだけど、、、)。マスコミであまり取り上げられないのは、核アレルギーの影響なのかもしれない。

 土岐で核融合の実験をしてて近所だから危険じゃないかと思っていたいいかげんな僕がレポートするのも変だけど(実はプラズマの高温化の実験だけで核の融合は実施されていない)、見学中に研究者の方と少し突っ込んで話して僕なりに理解したので書いてみる。(詳しくはWiki-Pediaとか原子力委員会がまとめた資料とかみてください)

 安全上のポイントは二つとのこと。①臨界事故が起きない ②核融合発電でできる放射性物質は100年で消失。

 ①はプラズマを太陽のおよそ6倍の高温1億度で維持しないと反応が起きないことと、燃料である重水素をガスコンロのように供給しながら「燃やしている」ため供給装置が破壊されたら燃焼が止まることの二点から。
 右上の絵で観てもらうように高温の維持のための電気エネルギ投入と磁場維持、重水素の供給に非常に複雑なシステムが組まれている。たとえば地震等でそのひとつが破壊停止したら核融合は停止する。ここが核分裂と違うところで、壊れることがフェールセーフにつながるのが核分裂より安全上優位。

 ②は核融合では中性子をあびてブランケットと呼ばれる部分が放射性物質に変化するらしいが、核分裂により生成される高レベル放射性廃棄物が一万年以上の管理が必要なのに対して、核融合の放射性物質は100年で放射能を消失し、随分と管理の負荷が軽減されるとのこと。(それでも100年の徹底的な管理は重要)

 特に僕は装置を今回見て、事故の際には①のフェールセーフが確実に働くだろうと思って、放射性物質の知識も少ないのに納得してしまった。いずせれにしても安全性については今後も十分な実験と議論が実現のためには必須だろう。(以上ネットでも調べてはみたがほとんどが研究所の語っていることからの記述となっているので、客観的にみた時の異論があればご教示ください。ここんところ本当に知りたい)

 ということで、テクノロジーの一端に触れて久々に明るい未来の兆しを感じたので、かなり固めの話になってしまったけれど、書いてみた。

 「工場萌え」ならぬ「未来テクノロジー萌え」の究極映像研としては今後もウォッチしていきたい。(ウォッチはここ→核融合科学研究所 LHD実験情報・速報)

 最後に上の黄色の装置写真は、超伝導コイルの巻線機。こういう映像が未来テクノロジーこごろを刺激する。
 見学中に聞いたのは、このコイルを装置内部で作動させる際に、液体ヘリウムの269℃の極低温に保つのが最も技術的にはノウハウが必要なのだとか。少しでも液体ヘリウムの流れが乱れるとそこで温度が上昇し、超伝導状態が壊される。核融合科学研究所の世界最大のLHDは日立の技術がこれを実現。その心臓部は企業秘密(もしかしたら国家戦略上の秘密)で職員も所長クラスでないと見ることもできないとか。

◆関連リンク
東大立花隆ゼミSCI 第3回 自然科学研究機構シンポジウム
  宇宙の核融合・地上の核融合
 徹底討論・核融合「点火&アフター」
 書き終わって調べてたら、この分野でも立花隆の活動が活発。
立花隆の「メディア ソシオ-ポリティクス」
 アメリカの最新核融合拠点 国立点火施設「NIF」の全容

核融合科学研究所 本島修所長インタビュー LHDの歴史と日本のレベル
・Blog ☆星のかけら☆核融合☆さんの核融合発電の環境影響と安全性

|

« ■核融合科学研究所 大型ヘリカル装置一般公開(1)
    LHD そのテクノロジーとアート
| トップページ | ■フランク・ダラボン監督 スティーブン・キング原作 『霧 : The Mist』 »

コメント

 増田二三生さん、コメントありがとうございます。

>>核融合発電を早く実用化するために原子力発電の開発企業と契約して資金を提供してもらう代わりに技術を提供する
>>発電は文明が滅びるかどうかの重大問題かもしれない

 地球数十億年の歴史が作り出した高エネルギ密度でとても使いやすいエネルギ源である石油を人類は100年ほどでいっきに使い切ろうとしています。我々の今の便利な科学技術文明はある意味、数十億年の地球の歴史を食いつぶして達成しているようなもの。

 ガソリンが高くなったと言っても、この視点からいったら、まだまだ安すぎます。

 本来、もっと原油価格を高くして、そこの資金を安全な核融合開発に費やして、次世代のエネルギ問題に備えるのが、現代の石油を使いつくそうとしている人類全体の責任なのでしょうね。

投稿: BP | 2008.06.14 08:09

核融合発電を早く実用化するために原子力発電の開発企業と契約して資金を提供してもらう代わりに技術を提供する 発電は文明が滅びるかどうかの重大問題かもしれない

投稿: 増田二三生 | 2008.06.12 14:12

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/24373/17044142

この記事へのトラックバック一覧です: ■核融合科学研究所 大型ヘリカル装置一般公開(2)
    夢の核融合発電実現まであと29年(目標) 
:

« ■核融合科学研究所 大型ヘリカル装置一般公開(1)
    LHD そのテクノロジーとアート
| トップページ | ■フランク・ダラボン監督 スティーブン・キング原作 『霧 : The Mist』 »