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2007年3月4日 - 2007年3月10日

2007.03.09

■予習   対談会 押井守צ松岡正剛
  「21世紀のISIS:イシス ~想像力と映像~」

「21世紀のISIS:イシス ~想像力と映像~」(公式HP) (Production I.G告知)

2007年3月10日(土)に『織部賞が生んだ「縁」と「演」~ 水木しげる・押井守 ~』と題して、押井守氏と松岡正剛氏の対談会や『イノセンス』の上映会、展示会が行われます。

 というわけで、開催が明日に迫りました。
 対談をより楽しむために、一夜漬け(^^;)の予習です。松岡正剛氏と押井守氏のつながりということで若干ネットで調べたことを以下引用。

松岡正剛氏の『イノセンス』評
千夜千冊『未来のイヴ』ヴィリエ・ド・リラダン

Villiers_de_llsleadam 第九百五十三夜 04年3月23日
 Seigow's Book OS / PIER
 Villiers de l'lsle-Adam : L'Eve Future
 斎藤磯雄 訳

 リラダンがここからエジソンとエワルドに交わさせた会話は、おそらく人間人形思想をめぐる「義体文明の可能性」に関する最も高邁精緻なプレゼンテーションである。(略)

 リラダンが言いたかったことは、「或る超人間的な存在が、この新しい芸術作品の中に呼び醒まされてゐて、これまで想像もつかなかったやうな神秘が決定的にその中心を占めるといふこと」である。
 これは、義体文明にこそ新たな宇宙思想や地球精神が胚胎するであろう可能性についての、それこそ全き確信ともいうべきものだった。(略)

 さて、以上の、この一文のすべてを、完成したばかりのフルCGアニメーション・フィルム『イノセンス』を世に贈った押井守監督に捧げたい。(略) 

 もっとも、『イノセンス』のみならず、押井守はもともと青年期からのただならない人間人形感覚の持ち主で、とくにハンス・ベルメールの人形描写にはずっとぞっこんだった。(略) 

 『イノセンス』の映像はほとんど完璧ともいうべき場面を連続させていた。傑作などという言葉は使いたくない。こうあってほしいと思う映像場面を徹底して超構造化し、細部にいたるまで超トポグラフィックに仕立てていた。。(略) 

 『イノセンス』――。これは21世紀の押井リラダンが掲げた映像音響版『未来のイヴ』なのである。ともかく、ともかくも、脱帽。

 これは見逃してた。松岡正剛氏がここまで『イノセンス』を絶賛していたとは知らなかった。しかも今までみた『イノセンス』評の中でも最大級の賛辞。工作舎のというか、編集工学研究所のあの松岡正剛氏がここまで誉めるというのは凄い。
 なにしろこの一文は、リラダンの諸作と『未来のイヴ』について論じた長文だが、実は「押井守に捧げ」るための文章なのだ。寡聞にして松岡正剛が押井守を評価しているというのを知らなかったので吃驚。

 もっとも織部賞の選考委員に松岡正剛氏が入っていたことで、きっと押井守が選ばれたと想像できるので、驚くことではないけど。ちなみに押井守は第一回の織部賞受賞者で1996年のこと。だから『イノセンス』で選ばれたのではなく、その前作の『攻殻機動隊/GHOST IN THE SHELL』(1995)が評価されたのだろう。

対談タイトルの「21世紀のISIS:イシス」とは?
千夜千冊『未来のイヴ』ヴィリエ・ド・リラダン

 ポーを夢中で読んだリラダンは、22歳か23歳のときにほぼ1年を費やして一つの物語を書きこんだ。
 これが未完の傑作『イシス』(ISIS)である。どのようにであれリラダンを語るには、まずもってこの『イシス』を知らなければならない。チュリヤ・ファブリヤナ伯爵夫人の、物語ともプロフィールともつかない肖像画作品である。(略)

 千夜千冊のサイトが、http://www.isis.ne.jp/「イシス」というアドレス。そして自ら開催する編集学校がISIS。

ISISは"Interactive System of Inter Scores"の略である。「相互記譜システム」とか「相互的情報編集記譜システム」などと訳す。インターネット上に「編集の国」というヴァーチャル・カントリーを想定したときに命名した。この「編集の国」の一隅に、2000年6月、編集学校が産声をあげたのである。だから相互記譜ということを重視してISISとした。(略)命名にあたっては、やはり女神イシスを連想してもらえることを念頭においた。イシスは再生の女神であって、月の舟に乗るものなのである。

 対談のタイトルの「イシス」の意味が気になっていたのだけれど、松岡正剛にとってどうやら重要なキーワードになっているようだ。「21世紀のISIS:再生の女神」としてどんな話が語られるのか?『イノセンス』の上映会も同時に行われるので、必然的に話題は『イノセンス』へ。ということは「再生の女神」は草薙素子なのか??

『GARUM』の話題? 
松岡正剛の千夜千冊『AKIRA』大友克洋

押井守の『GARUM』も同じこと、ぼくはそのプロトタイプ版を六本木のライブハウス「ヴェルファーレ」で発表してもらったのだが、やはり商業状況から突き落とされて、以来8年近くの中断になっている。まあ、このことはここではこの程度にしておくが、押井や大友の表現世界をどのように評価し、これを享受できるかということは、実際には社会と産業の仕組みの対決とともにあるわけなのだ。

 対談の中で、『GARUM』パイロットフィルムが映写されたら最高なのに。いまだ未見なので期待したい。
 ではこの続きは、対談レポートをお楽しみに。(いつ書けるかなあーー。)

◆関連リンク
ヴィリエ・ド・リラダン, 斎藤磯雄訳『未来のイヴ』
・ヴィリエ・ド・リラダン, 斎藤磯雄訳『ヴィリエ・ド・リラダン全集 第5巻』「イシス」 Isis 収録
ヴィリエ・ド・リラダン (amazon)

<当Blog記事>
水木&押井ワールド~それぞれの世界~
会場状況と整理券 対談会 押井守צ松岡正剛
 「21世紀のISIS:イシス ~想像力と映像~」
  織部賞が生んだ「縁」と「演」~水木しげる・押井守~

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2007.03.08

■写真家 橋村奉臣:Yasuomi Hashimura

HASHI[Yasuomi Hashimura] hashi-ten.com 『一瞬の永遠』&『未来の原風景』

本展は2部構成になっており、『一瞬の永遠』では、最速10万分の1秒という肉眼では捉える事の出来ない一瞬をレンズに捉え、ニューヨークを拠点に世界中のクライアントから依頼を受ける写真家として不動の地位を築くもととなった、「アクション・スティル・ライフ」をはじめとする作品約40点を、『未来の原風景』では、今から千年後、西暦三千年の未来社会で生活する人々の目に、現代にクリエイトされた作品がどのように見えるかを想像し、表現している橋村のオリジナル技法「HASHIGRAPHY」 (ハシグラフィー)の作品約50点を紹介します。

 shamonさんに教えてもらった面白そうな写真展の記事です。ただ昨年既に終了した展示会。
 で、この方の写真を観てみたいと、ネットで探したのですが、残念ながら、ほとんど見つからない。下記の写真集を紐解く他ないようです。

橋村 奉臣『HASHIGRAPHY―Future Deja Vu《未来の原風景》』

橋村 奉臣『STILL LIFE―a moment’s eternity《一瞬の永遠》』

 ということだけでは寂しいので、瞬間を切り取った写真のリンクです。またflickrのお世話になりました。
 キーワード splashキーワード hispeedキーワード Frozen Momentが比較的ヒットしました。

猫が水を飲む瞬間 ・水滴の爆発 ・水滴のスライドショー

割れる水風船 ・この王冠は最高

◆関連リンク 
高速度カメラ入門 Q&A

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2007.03.07

■森田芳光監督 『椿三十郎』リメイク

Tsubaki_sanjyurou_2 映画「椿三十郎」(公式HP) 森田芳光監督の言葉

黒澤明監督の作品を、自分がリメイクすることになるとは思いもしませんでした。しかも45年前と同じ台本を使用しますので、「とんでもないことだ」、「プレッシャーが相当あるだろう」と言われています。

脚 本・・・・・菊島隆三 小国英雄 黒澤明
監 督・・・・・森田芳光

 黒沢監督の三十郎シリーズは、日本映画史上、特筆すべき痛快娯楽映画だと思う。特に『用心棒』の鋭利な凄みのある桑畑三十郎が大好きなのだけれど、まずリメイクは『椿三十郎』からということのようだ。

 シナリオは黒澤組のものをそのまま使用するということで、まさに森田監督の演出の手腕と、俳優人の実力が試されることとなる。

Tsubaki_sanjyurou_face  もちろん三十郎は、若かりし日の三船敏郎以外には考えられない野性味と知性を両立させたキャラクタなのだけれど、織田裕二がどこまで迫れるか、見もの。僕は三船を継げるとしたら、本木雅弘くらいかなーと思っていたので残念。

 まずは07年12月公開を待ちましょう。

◆関連リンク
・映画をめぐる怠惰な日常さんの - 森田芳光の「椿三十郎」と崔洋一の「用心棒」

「椿三十郎」 2008年正月東宝系公開 監督/森田芳光
「用心棒」 2009年正月東宝系公開 監督/崔洋一

 こちらのブログによると、昨年夏に角川春樹がインタビューに答えて、このようなラインナップを話していたらしい。なぜか順番が逆なのは、やはり傑作『用心棒』へ向けて、一作目で助走をとるということなのでしょうか。
『時代劇マガジン Vol.15』 (辰巳出版公式HP)

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2007.03.06

■ヤン・シュヴァンクマイエル監督『ルナシー:Lunacy』
  Svankmajer's "Sileni"

Sileni_lunacy『ルナシー』ROAD SHOW @ 名古屋シネマテーク
『ルナシー』(レン・コーポレーション公式HP)

 待望のヤン・シュヴァンクマイエルとエヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーの新作を観てきた。

 主人公のまわりに現われるのは狂人ばかり。狂気から唯一逃れられる場が睡眠なのに、そこには自身の狂気が眠っているという救いのないストーリー。侯爵の笑いの薄気味悪さにまず象徴されている。この役を演じた俳優ヤン・トシースカの演技は、シュヴァンクマイエル作品の実写中、最高の出来ではないだろうか。名演であり怪演。

 ところどころユーモラスな場面はあるにしても、いつものシュヴァンクマイエル作品と比べて、描写がストレート。というか真剣で鬼気迫るものがある。
 僕はシュヴァンクマイエル作品の大きな魅力の一つが、シリアスな状況であるのに何故か素朴なこっけいさが溢れているところだと思っているのだけれど、本作ではなかなか肩の力を抜くところがない。話は非常にリアルで、重い。そしてエロティックな場面もいつになく描写が直接的。
 ポーとマル・キ・ド・サドの作品から引用していると冒頭で監督自らが登場し語っているが、後者の作品からの影響が強いのだろうか。作品を読んだことがないのでよくわからない。

 それにしてもこのシリアスさは何から来るのか。

これは芸術ではありません。芸術はとっくに死にました。(略)
一番悪いところを組み合わせ、そして膨張させた原理。
それが使われる場所こそ--我々が生きるこの狂った世なのです。

Sileni_tar 冒頭で述べられるこれらの監督の言葉に全てがこめられているのかもしれない。加えて戯画的に狂った人々によって模倣されるドラクロアの『民衆を導く自由の女神』。狂った論理による自由の暴力、これが何を意味するかは言わずもがなであろう。シュヴァンクマイエルの絶望がうかがいしれる。 

 素朴なこっけいさという意味では、にわとりの毛を付けたタール人間たちとかいろいろといじれるアイテムは出てきている。今回は、そうしたシーンがあるにもかかわらず、あえてシリアスなトーンで通している。

 後半の舞台は精神病棟。
 医師と患者が入れ替わってしまうという設定は、まさに本編の狂気と現実の境界のあいまいさの表現としてストレートなのだけれど、僕はこの設定で鴻上尚史の芝居を想い出す。(でも本当はこの設定で真っ先に『天才バカボン』のある話を想い出したのだけど、、、(^^;)。たぶん僕がこの設定に初めて出会った作品は『バカボン』)

Sileni_earl  神は幻想(キメラ)であるという侯爵の涜神の長いモノローグ。ここの狂気の度合いと、上で述べたにわとりの毛のタール人。これらをもっと有機的に、そしてユーモラスにさらにクローズアップして描いていたら、僕の好きなシュヴァンクマイエル作品にはなったと思う。
 だけれど、たぶんあえて選んだ今回のトーンを真っ直ぐ受け止めるのが、チェコのシュルレアリストの頭の中を擬似体感する一つの手だてなのだろう。DVDが出たら再見したい。

◆関連リンク

『オールアバウト シュヴァンクマイエル』(エスクァイアマガジンジャパン)
 この本には『ルナシー』シナリオ完全版や各界評者の評論があり読み応え充分。
@nifty:デイリーポータルZ:シュヴァンクマイエルさんに会った
YouTube - Svankmajer's "Sileni"(予告篇)

続きを読む "■ヤン・シュヴァンクマイエル監督『ルナシー:Lunacy』
  Svankmajer's "Sileni""

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2007.03.05

■新刊メモ 新美直写真集
  『アリゾナの青い風になって』~Spiritual Journey~

Niimi_nao アリゾナの青い風になって(公式HP)

帰ってこない人もいるとは聞いたが、それはそれでいい。
荒々しい大地を、誰もいない道を、ひとりとばしてみよう。

著者、撮影 : 新美 直
発行 : アップフロントブックス

 本屋で偶然見かけた写真集。極彩色のアメリカの生々しい映像が凄い。たぶんディジタル処理してあるのではないかと思うのだけれど、この写真集の色は素晴らしい。上の公式HPにいくつか写真が紹介されているが、どれも本の発色を再現できていない。是非、まずは本屋で手にとって、その鮮烈な映像をその眼で確認してみてください。

 特に素晴らしかったのが「フィンキャニオン」と名づけられた写真。砂漠の峡谷のパースペクティブ。真っ青な空の奥に浮かぶ雲の映像の立体感が美しい。Flickrでfin Canyonを検索してみたが、この人の写真ほど凄い絵は見つかりませんでした。

 それにしても、今、ウェブで探してみたけれど、この写真家の情報がほとんど見つからない。いったいどんな方なのだろう。どなたかご存知でしたら、コメントをお寄せください。

◆関連リンク 
・peko_1980さんの脱OL日記! 南風浪漫。
 新美直氏の写真集の感想があります。
新美 直『アリゾナの青い風になって』 
その他 作品集(amazon)  

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2007.03.04

■「怪獣と20世紀の夢 開田裕治展
  ~21世紀につなぐ幻想とロマンの系譜~」@金沢21世紀美術館

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「怪獣と20世紀の夢 開田裕治展2007年2月24日(土)~4月8日(日)
 ~21世紀につなぐ幻想とロマンの系譜~」
(特設ページ)
展示作品43点リストオリジナル怪獣絵コンテスト
「幻想とユートピア-怪獣映画の魅力を探る」 唐沢俊一講演

●3月24日(土) 16:00~
 『都市と怪獣の人間学~なぜゴジラはビルを壊すのか』
●4月7日(土) 16:00~
 『三丁目の怪獣~高度経済成長と怪獣ブーム』

 今日、街でポスターをみかけて知りました。ポスターが素晴らしくかっこいいです。全体像は、上の特設ページのリンクで観てください。金沢21世紀美術館のモダンな建築とドラゴン風の怪獣が見事にマッチしています。

 唐沢俊一氏の講演もあるということで、ずっーと行きたかった金沢21世紀美術館なので、足を伸ばしてみようかな。ちょっと遠いんですが、、、。

◆関連リンク
開田裕治氏ウェブミニ展(Googleイメージ検索)
開田無法地帯 開田裕治HP 
唐沢俊一ホームページ
「SFアニメ特撮に於けるエロスとジェンダー」
 日時 2月24日(土)14:00~17:00
 出演 小谷真理 (聞き手 開田あや)

『ウルトラQ―開田裕治画集 』 他の作品(amazon)

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