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2007年9月2日 - 2007年9月8日

2007.09.08

■デヴィッド・リンチ監督 『インランド・エンパイア』
  David Lynch's Inland Empire

Inlandempire_trailer_1 INLAND EMPIRE 予告篇 (公式HP) 

 ようやく東海地区でも公開された『インランド・エンパイア』、待ちに待って初日の第一回で観て来た。

 劇場は伏見ミリオン座。実はここの映画館、今まで行ったことなかった(^^;)。とても雰囲気がよくて気に入りました。(今頃、名古屋の映画ファンとしてモグリと言われそうだけど、、、。) 他の映画館が一館として上映しない中、東海地区で初上映してくれたことに本当に感謝。

 さて、傑作『マルホランド・ドライブ』から6年間。自分にとって今のところオール・タイム・ベストな映画の後、リンチがどんなものを撮ってくれるのか、本当に楽しみにして観た。

■この生っぽい感覚

 『マルホランド・ドライブ』で映画芸術を究極まで完成させた(ように僕には感じられた)デヴィッド・リンチ、今度はこう来たかってのが率直な感想。とにかく映像と音を作りこんで、あのマジカルな空間をスクリーンに構築してしまった後、この映画監督がめざしたのは、こうしたリアリティというか、生の感覚だったのか、と。

 シンメトリカルスタジオで作られたサウンドはあいかわらず素晴らしいの一言。『マルホランド・ドライブ』のクラブ・シレンシオのシーンは、リンチの素晴らしい音響設計がなくてはあそこまでの空間は構築できなかっただろう。今回も、選曲と効果音設計がとにかく素晴らしい。

 で、生の感覚はどこから来ているか、これはもちろん、映画フィルムからDVへカメラを変えたことによる。とにかく映像がラフで荒い。カメラはSONYのDVCAMカムコーダー DSR-PD150。当時は最高クラスの小型ビデオカメラだったのかもしれないけれど、いかんせんハイビジョンではない。

 大画面では耐えられないような画の荒さ(うちのハイビジョンハンディカムの方が当たり前だけど、ずっと映像が鮮明で美しい)。そして、オートフォーカスを使っているのだろうけれど、ところどころピントもブレブレ。おまけに手持ちで映像はグラグラ、アップの多用で顔が歪みまくり。

 さらに荒いのは画像だけでなく、演技もラフ。そしてやたら長まわしでとりとめなく映像がダラダラと進む。展開もライブ感覚。たぶんリハーサルとかでカメラワークや俳優の演技を作りこんで撮るのでなく、わざと即興的に撮っている。カメラワークもその時の気分だろう。

 特に思ったのは、怖い顔のおばちゃん(グレイス・ザブリスキー)とローラ・ダーンがコーヒーを飲むシーンで、執事がコーヒーをカップに注ぐシーン。あのカメラワークは今までの映画ではありえない。ほとんど家庭用ムービーでパパがコーヒーポットを追いかけてカメラブレブレで撮った映像。

 とまるで否定的に書いているのだけれど、実はそれによって生まれたのが、独特の生っぽい雰囲気。まるでプライベートな空間を覗き見しているような隠微で陰惨な感覚が立ち上がってくる。それが三時間続く(全部がDVでなく、きっちり作りこまれた映像もかなりあるけれど、、、)。

 僕にはストーリーの謎解き(さんざんネットでも語られているみたいだけれど)よりも、その映画の中枢をしめるこの映像のタッチが印象的だった。

■何故、今、生っぽさ?

『インランド・エンパイア』デヴィッド・リンチインタビュー - シネマトゥデイ

Q:なぜ今回はデジタルで撮影したのですか?
 デジタルの場合は時間が短く、コストも削減でき、どんなアイデアでも実現可能なんだ。映像や特殊効果など、すべてを可能にしてくれるたくさんの機能やツールがあるので、デジタルはとても良いと思っているよ。また、フィルムでの撮影では多くのクルーが必要だし、セッティングに時間がかかるけど、デジタルの場合は時間がかからないので、現場のムードが変わらないうちにどんどん撮影を進めていけるんだ

Q:デジタルを使うことで新しい発見はありましたか?
 フィルムに比べて操作性が抜群だね。今後はデジタルでしか撮らない。高い精度が得られるので、もうフィルムに戻る気はないよ。

雑誌 Movie Maker誌インタビュー
 For his latest experiment, the legendary moviemaker embraces a DIY approach.

With film, you wait for two or three hours to move the camera and light the damn thing. This is what kills a scene; it kill it. So this thing (DV's quickness) gives life to the whole process.

 現場のムードのことをここでは"life"と言っています。どうやらリンチは、今までの映画で死んでいた部分に命を吹き込みたいと考えているように読める。

 そして先ほど「生っぽい」と書いた部分だけれど、今回の映画は、完成度としては恐ろしく『マルホランド・ドライブ』と比べると劣るのだけれど、そこにはない生々しさを獲得していることだけは確か。

 『マルホランド・ドライブ』で今までのフォーマットの線上にある映画を極北まで進めてしまった後、リンチが自分の映画に足りないと思ったのがこの"life"なのだろう。これを獲得することで『マルホランド・ドライブ』の先を目指したのがこの映画の本質のような気がする。

 リンチが描きたかった"life"というのが何なのかは、Movie Maker誌にも触れられてない。今までの映画が持ち得なかったような何らかの生命感かもしれない。確かにDVで撮ったりしたドキュメンタリタッチの映画は何本もあるけれど、どっかこの映画とは肌触りが違うと思う。

 ザラザラとしたわけのわからない肌触り。これが僕の観た『インランド・エンパイア』の印象だ。この解析をすることがリンチの今後の映画でめざす方向を炙り出すことになるのだろうけれど、僕にはまだザラザラ感を体感できたのみ。DVDで観ると、また違ったイメージが観られるのかもしれないが、まずはここまで。

◆関連リンク
オリジナルサウンドトラック『Inland Empire』(amazon) 9/11発売!

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  David Lynch's Inland Empire"

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2007.09.07

■円谷プロ ツイン・ピークスな『ウルトラセブンX』
   ULTRASEVEN X

Ultrasevenvert 新ウルトラセブン、CBC、来月5日から放送(CHUNICHI Web)

 八木監督は「重厚なストーリー性を大切に、12話すべてにミステリーが存在します。参考にしたのは、過去のウルトラシリーズではなく『ツインピークス』『24』など、米国のテレビシリーズ。新しい世界観をお届けできると思う」と力を込めた。

ウルトラセブンX:40年目に“小顔”で復活 ストーリーは「ダークに」 (まんたんウェブ)

 「ウルトラセブンX」は、町中に張り巡らされたモニターによって人々が管理された世界で、日常生活に潜むエイリアンを秘密裏に抹殺する特殊捜査チーム「DEUS(デウス)」のエージェント・ジン(与座さん)が、謎の美女エレア(加賀美早紀さん)から手渡されたウルトラアイで、ウルトラセブンXに変身、エイリアンたちと戦うというストーリー。

ULTRA SEVEN X (公式HP)

 我々が暮らす日常とは、似て非なる世界、しかし、どこか異質で不気味な雰囲気を漂わせる大都会の喧騒。そこは、われわれの住む世界とは異なる世界である。この世界では街中に張り巡らされた無数のモニタが政府の意図を伝え、様々な情報を与える。市民はその情報によって支配されている高度な管理社会である。

監督・シリーズ構成:八木毅 
監督:鈴木健二、梶研吾、小中和哉 
脚本:小林雄次、太田愛、福田卓郎、金子二郎、林壮太郎、長谷川圭一

地区放送局名放送スタート日時
東海 中部日本放送(CBC) 10月5日(金)深夜2時15分~2時45分
関東 東京放送(TBS) 10月5日(金)深夜2時25分~2時55分
関西 毎日放送(MBS) 10月6日(土)深夜3時25分~3時55分

 ダークで『ツイン・ピークス』なウルトラセブンって、凄い。

 「日常生活に潜むエイリアンを秘密裏に抹殺する」、秘密裏に抹殺というところがなかなか危ないストーリーを想像させる。実は邪悪な宇宙人として抹殺したはずなのに、それが普通の地球人でウルトラセブンが人類に追われる、とか。

 そして登場する小人とログ・レディとドーナツの好きな捜査官、音楽がアンジェロ・バダラメンティ、、、リンチファンの想像力を刺激するウルトラシリーズの誕生を楽しみに待ちたい。ってそんなわけないだろ。

◆関連リンク
ウルトラセブンX(ULTRASEVEN X)ブログ

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2007.09.06

■中子真治氏のオブジェモチャ専門店
  飛騨高山 留之助商店 本店

Tomenosuke02 飛騨高山 留之助商店 本店
             (公式HP)

玩具みたいな芸術みたいな
オブジェモチャ専門店
数千点の絶版トイをストック 海外アーティスト作のトイ&絵画 60年代の海外製玩具&家電 ハリウッド映画の小道具を展示・販売するオシャレな新感覚ショップ

 家族が偶然観た夕方のニュース番組で、中子真治氏の店を紹介していたとのこと!!

 調べてみたら、こんな公式HPがあり、お店は2006年9/29にオープンしていたそうです。近くに住んでいながら知らなかったとは不覚。

urban designers toy
  LOWBROW Art 
  Doll and ACTION FIGURE
  PROP REPLICA
  WEIRD and UNUSUAL STUFF
  店舗のご案内

 HPはこのようなコーナーで構成されていて、心躍るオブジェモチャや映画のプロップが満載。YAHOOでオークションの出展もされています。

 さらに、、、。

◆Blog 店主54才、玩具道(オモチャミチ)の光と影

 ここは凄い。あの中子真治氏のBlog。昨年の7月からスタート、店のオープンへ向けた準備の様子や、開店後の様子、新しい商品の入荷情報等満載で、ほぼ毎日更新されています。

 つまり中子氏の文章を我々ファンは毎日読めるわけです。なんというもったいない。今まで知らなかったことが悔やまれますが、雑誌と異なり遡って読むことが可能なのがネットの素晴らしさ。ワクワクしながら、今、読んでいます。

 映画の話題、特にロス在住当時の記事や交流のあった映画関係者の話題にも触れられています。ブレランをめぐる暴言とか、パリ、カルティエ、デイヴィッド・リンチ。とか、うちのBlogの来訪者の皆様にはきっと嬉しい、素晴らしい原稿が読めます。このリンチの記事には中子氏が若かりし日のリンチを撮った写真も掲載されています。

店主としては1983年以来、映画というフィルター越しでしかデイヴィッドを垣間見ることができなくなり、いまでは遠い存在の人となってしまったが、なぜかそこ、カルティエのガラス張りの美術館には20数年の空白を埋めてくれる“時間のようなもの”が展示されている気がしてならない。

 リンチについて書かれた文章の引用です。往年の中子節は健在で、この文体でエッジの効いた映画監督の情報を読むのが大好きだった僕は、ほんとうに嬉しいです。

 8ミリ映画上映会のお知らせ/前編 後編

「これを機会に倉庫から8ミリ・フィルム見つけ出し、懐かしいデザインのパッケージなどスキャンしようかと思います。で、それを紹介がてら、一度は店主の元を離れっていった膨大なフィルム・コレクションが、訳あって出戻って来るまでの四方山話でもさせてもらうつもりです。主演は小松左京先生、共演は手塚治虫先生、乞うご期待」

 この記事も最高。中子真治氏のSF映画コレクションにこんな顛末が、、、。中子ファン必読。(今までBlogがあるのを知らなかったファンはもしかして僕だけかもしれない、、と思いつつご紹介しました。)

◆関連リンク 当Blog記事
・92年 下呂のアプライド美術館と中子真治氏の倉庫
『ブレードランナーの未来世紀』町山智浩氏と中子真治氏
デヴィット・リンチ絵画展@パリ ジ・エアー・イズ・オン・ファイアー展
デヴィット・リンチの美術展 カタログ感想『The air is on fire, David Lynch』 

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2007.09.04

■韓国 大怪獣映画 『D-WAR』 予告編

Dwar01
D-WAR』(公式HP)

Trailer1 Trailer2 Making

 Imoogiという名の怪獣が『グエルム』の数倍の規模で、暴れているようです。

 上のリンクで、CGのメイキングが観られる。韓国で制作されているようだけれど、すでにCGでは日本を越えているように見える。レイアウトとかカット割とか迫力十分。

 にしても先日紹介した"01-18-08"にしてもこの映画にしても、あきらかに911の影響下にある作品。ちょっと複雑。

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