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2007年9月9日 - 2007年9月15日

2007.09.15

■幻のホラー ジョセフ・ステファノ監督
  『シエラ・デ・コブレの幽霊』 覆面上映会
  THE GHOST OF SIERRA DE COBRE カナザワ映画祭2007

ホラー番長-ソドムの市-BBS(高橋洋氏のHP)

 樫原辰郎監督プレゼンツで『シエラデコブレの幽霊』が9月の映画祭 で上映できることになりました。会場は金沢の魔窟として有名な駅前シネマというところです。(かなざわ映画の会blog)

カナザワ映画祭2007|かなざわ映画の会

駅前シネマ オールナイト  9/16(日) 22:30より
 『嗚呼! おんなたち猥歌』 1h13m
 『狂い咲きサンダーロード』 1h26m
 『水のないプール』 1h33m 他
 覆面上映1本

 本日から開催されるカナザワ映画祭2007で、かつて三十数年前、一度だけTV放映された伝説の恐怖映画が覆面上映されるそうです。もともとTV作品なのでどうやら劇場での一般公開は世界初らしい。

 上の高橋洋氏のBBSによると、某所で開催された地下上映を見逃した黒沢清監督が悔しがったといういわくつき(?)の作品とか。ご近所の方でホラー映画ファンの方は、ぜひ。(この記事、ここを見てくれている旧友のホラー好きO君向けです。でも急に金沢は行けないね。も少し早く察知できなかったのは陳謝(^^;))

 というわけでどんな映画かちょっとだけ調べてみました。残念ながら画像も映像(Youtube)もウェブには存在しませんでした。

シェラ・デ・コブレの幽霊<未> (1959) THE GHOST OF SIERRA DE COBRE IMDb

監督: ジョセフ・ステファノ : Joseph Stefano
脚本: ジョセフ・ステファノ
撮影: ウィリアム・A・フレイカー  コンラッド・L・ホール
音楽: ドミニク・フロンティア

出演: マーティン・ランドー ダイアン・ベイカー
    ジュディス・アンダーソン  レナード・ストーン

Blog シーフォースブログ: 一足お先に怖い映画でも。さん

 実はこの映画、当時のNETテレビ(日本教育テレビで現在のテレビ朝日)の「日曜洋画劇場」で放映されたのみで、劇場公開どころかビデオもDVDにもなっていない、というレアな映画だ。調べてみると1959年の作品らしい。私は幾つくらいでこの映画を見たのか、はっきり思い出せないが、小さい頃だということだけは憶えていて、とにかく今までに見た幽霊映画で一番怖いというものだ。怖さが先行して、ストーリーは忘れてしまった。

http://www.eigaseikatu.com/com/3847/92295/

そう。確かに日曜洋画劇場でした。何かの薬で、幽霊の幻覚を見せる商売をしていた人が、どうしても見えないと言い張る客に大量の薬を飲ませて、結果的に死なせてしまう。その客が亡霊になって・・・。

 この映画、海外でもあまりウェブの情報がない。特に日本での評価が高いようだ。で、DVDもビデオも出ていない。今回の金沢の公開で評判になって、DVDが発売されるといいですね(調べてたらどんどん見たくなってきた。時間的には、明日なので金沢なら行けないことはないですが、、、、月曜、うちの会社休日じゃないので駄目っ)。

 9/16追記 監督・脚本のジョセフ・ステファノは、あのヒッチコック『サイコ』のシナリオライターだった!とにかく吃驚。
 『サイコ』の脚本って、最初は女が主人公の犯罪映画かと思わせておいて、いきなりあの展開へ観客を叩き込むという、素晴らしい骨格を持っていて、あれを考えたのがもしかしてジョセフ・ステファノということなのだろうか。これは凄い。(ロバート・ブロックの原作と比較すればわかるはずなのだが、残念ながら手元にない)
 しかも『シエラ・デ・コブレの幽霊』(1959)は、その『サイコ』(1960)の前年の作品で、1922年生まれのこの監督は37歳とまさに油が乗っている頃の作品と考えられる。

 何故かフィルモグラフィ(IMDb)を見ると、監督作はこの一本のみ。あとは『アウターリミッツ』等のシナリオやプロデュースという経歴。こういうところも想像力をいたく刺激する。

 是非DVD化を実現してほしいものです。(ジョセフ・ステファノは2006年に84歳で鬼籍に入られたようです)

 09.9/4追記 探偵!ナイトスクープ 『シェラデコブレの幽霊』
 この幻の映画がTV「探偵ナイトスクープ」で取り上げられた!!
 番組では、16mmフィルムの持主、映画評論家・添野知生氏を探し出し、版権を調査しTVで紹介する予定だったが、、、、惜しくも版権者が見つからず出演者だけが試写会という展開に!! 視聴者に多大な期待のみを残し、フィルムはまたアンダーグラウンドへ。

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2007.09.13

■デヴィッド・クローネンバーグ監督
   新作『イースタン・プロミスズ:Eastern Promises』
   『At the Suicide of the Last Jew in the World in the Last Cinema in the World』

Eastern_promisshorz
Eastern Promises Video Clips, Previews, Teasers & Trailers - MovieWeb
                             (Blog 落穂ひろいさん経由)

クローネンバーグ監督、ロシア・マフィアを描いた新作犯罪スリラーを語る
  AFPBB News

 クローネンバーグ監督の最新作となる同作は、ロシアのマフィアを描いた犯罪スリラー。「できるだけ見た人の気分がめいるような作品にしたかった。希望に満ち過ぎていると思えるような部分もあるがね」と監督は語った。

 ヴィゴ・モーテンセンが『ヒストリー・オブ・バイオレンス』に続き、クローネンバーグの新作に主演。共演はナオミ・ワッツという豪華なペア、このふたり好きなので凄く楽しみ。前作でも素晴らしい演技を見せていたヴィゴ・モーテンセンと、これも名優ナオミ・ワッツがどう演技で対峙するか見もの。(実はクローネンバーグ作というところよりも、このお気に入りの俳優に今回は魅力を感じている。でもクローネンバーグの素晴らしい配役)

 予告編や写真を観ると、ヴィゴ・モーテンセン、凄みが増している。こりゃ、怖そう。

世界25か国から集った監督35人による短編映画集
  『Chacun Son Cinema(英題:To Each His Own Cinema)』
監督陣

テオ・アンゲロプロス、オリヴィエ・アサイヤス、ビレ・アウグスト、ジェーン・カンピオン、ユーセフ・シャヒーン、チェン・カイコー、マイケル・チミノ、イーサン&ジョエル・コーエンデヴィッド・クローネンバーグ、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ、マノエル・デ・オリヴェイラ、レイモン・ドゥパルドン、アトム・エゴヤン、アモス・ギタイ、ホウ・シャオシェン、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、アキ・カウリスマキ、アッバス・キアロスタミ、北野武、アンドレイ・コンチャロフスキー、クロード・ルルーシュ、ケン・ローチ、ナンニ・モレッティ、ロマン・ポランスキー、ラウール・ルイス、ウォルター・サレス、エリア・スレイマン、ツァイ・ミンリャン、ガス・ヴァン・サント、ラース・フォン・トリアー、ヴィム・ヴェンダース、ウォン・カーウァイ、チャン・イーモウ

 カンヌの開催60周年を記念した短編映画集。クローネンバーグ作品はAt the Suicide of the Last Jew in the World in the Last Cinema in the Worldというながーいタイトル。作品内容はちょっと調べがつきませんでした。ここに少し情報があります。

◆関連リンク
NYで映画『Eastern Promises』の上映会開催
『Eastern Promises』ワールドプレミア上映会にナオミ・ワッツが登場
Eastern Promises (2007) (IMDb)
Chacun son cine ou Ce petit coup au coeur quand la lumiere s'eteint et que le film commence (2007)(IMDb)
・当Blog記事 デヴィッド・クローネンバーグ監督『ヒストリー・オブ・バイオレンス』

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2007.09.11

■Production I.G 創立20周年記念
  押井 守監督 講演

Production I.G 創立20周年記念講演
『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』押井 守監督
        ( shamonさんのひねもすのたりの日々経由 )

Production_ig

◆I.Gの拡大要因

 (略)その意味において、I.G はいってみれば健全に機能している、ぼくに言わせれば非常にめずらしい会社です。傍で見ているほど、大胆に、ドラスティックに経営規模を拡大しているわけではないですし、コンスタントに右肩上がりに大きくなっている。(略)
 今後もおそらく、株主さんたちの期待を裏切るかもしれません。大ヒット作と呼ばれるものはI.G からは出てこないような気がします。

 一作、大ヒットしてしまうと、それに縛られてスタジオとしての作品の幅が狭まり、安定的拡大は難しくなる、という論説。

 一見、ものすごくもっともに聞こえるけれども、でもどっか詭弁っぽい。何故なら、普通の企業なら、そうした大ヒットを当てた上で、そのヒットを支えたコアコンピタンスを有効利用して、その他事業で安定的な拡大を図るのが常道だから。

 本当にアニメスタジオを優良な企業として成立させていくには、客商売ゆえ、大ヒットは必要事項と思う。その後の戦略を持った上で、ということだけれど、、。それを大ヒットがないのはこの会社が優秀だから、という論へ持っていくのはいかにも詭弁に聞こえる。

 結局、こういう論説が通りよく聞こえるのも、アニメビジネス自体が未成熟ということなんでしょうね。

◆そして『スカイ・クロラ』

 若いキャラクターの感情の動きを軸にして、非常にドラマチックな物語を考えております。甘酸っぱい恋愛感情に浸りながら、最後は衝撃的な結末に向かっていきます。ぼくにしては珍しく、ドラマチックな方法論を取っています。具体的にいうと、作品内の台詞の分量を大幅に減らしています。いままでの1/4以下です。
 これで当たらなかった場合、もちろん1000万人の観客動員を目指すといったバカなことは言いませんが、ぼくの場合は100万人が一つの壁ですので、本作で100万人の壁を超えられなかった場合は、元に戻ります。

 こうは言われているけれど、実は100万人より上を狙えるというしたたかな勝算を持っていそう。ただ大ヒットしなくても、I.Gとしては逆にいいんだ、と論陣は既に上のように張っているので、既に鉄壁の守りが作られている。なんとしたたか。大ヒットしてもヒットしなくても既にI.Gの株価をこうして守っているわけだ(笑)。

 そして神山健治を次を支える監督として育てる布陣もしかれていて、実は大ヒット後の戦略も持っていそう。きっと押井守と石川光久でこうした戦略は日ごろから討議されていて、この堅実さがI.Gを支えているのですね。

 ジブリが宮崎駿の子息という同属経営戦略をとるしかなかったのに対して、やはりI.Gは本当に成熟した企業へアニメ・スタジオを持っていこうというしたたかな戦略が(押井の詭弁戦術含め)ありそう。株、買っとこうかな(^^;)。(資金ないけど)

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2007.09.09

■ジェイムズ・ティプトリー・Jr. /浅倉久志訳
  『輝くもの天より堕ち』
  Brightness Falls from the Air, James Tiptree Jr.

Brightness_falls_from_the_air
 カバー絵のイメージ 僕は左から3番目が近い感じ

輝くもの天より堕ち(ハヤカワ・オンライン)

 翼をもつ美しい妖精のような種族が住む銀河辺境の惑星ダミエム。連邦行政官のコーリーとその夫で副行政官のキップ、医師バラムの三人は、ダミエム人を保護するため、その星に駐在していた。そこへ〈殺された星〉のもたらす壮麗な光を見物しようと観光客がやってくるが……オーロラのような光の到来とともに起こる思いもよらぬ事件とは? 

 ティプトリーの長編初翻訳出版、ワクワクして読み始めた。

 結果はまさしくティプトリーの作品。578ページの隅々にティプトリーが存在し、ファンには素晴らしい作品になっている。僕は今のところ、本年のSFベスト。(たいして読んでないけど(^^;))

 たしかに透徹した思考で徹底的にクールに人類を描き出している往年の短編群に比べると、スパイスが弱い部分もあるかもしれない。しかしその舞台設定であるとか、登場人物一人ひとりへの気づかいとか、SF小ねたアイディアとか、紛れもなく全編にティプトリーらしさが横溢している。作家の衝撃的な死の後、20年を経て、長篇小説を新刊として読むことができる日本のファンは幸せである。

◆全体

 ミステリタッチではあるけれど、謎解きストーリーになっているわけでない。ノヴァとなったヴリラコーチャと、その光景を二十光年離れた惑星ダミエムで観光するツアーの面々。

 それぞれの登場人物とヒューマンが背負った過去。特にヒューマンがヴリラコーチャとダミエムで背負った二つの大きな罪の設定が深い。その残虐性は数々人類が21世紀まで延々続けている愚行の高純度のもの。それに絡んで事件が発生し、各登場人物の人生が浮き彫りにされてくる。SFならではの設定で描かれるこの縦糸と横糸が読み応え充分。

 若干類型的な人物も出てくるが、SF設定と密接に関係し、ほかではちょっと読めないスケールの世界が提示されている。

 ノヴァ前線で観られる光景と、翼を持ったダミエム人の美しい姿のイメージが素晴らしい。

◆関連リンク
Brightness Falls from the Air, James Tiptree Jr..
 冬樹 蛉氏のレビュウ
大野万紀氏のレビュウ 津田文夫氏のレビュウ 岡本俊弥氏のレビュウ

原書27ページ分がここで読めます

『輝くもの天より墜ち』(amazon)

ジェイムズ・ティプトリー・Jr.(wikipedia)
【作家紹介】ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア

・当Blog記事
 ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア/浅倉久志訳
  『すべてのまぼろしはキンタナ・ローの海に消えた』

ネタばれ(以下、未読の方はご注意を)

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  『輝くもの天より堕ち』
  Brightness Falls from the Air, James Tiptree Jr. "

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