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2008.05.10

■SFセミナー2008
  磯光雄インタビュー・電脳コイルの世界

Coil_battle SF SEMINAR Top Page 2008.5/3(土)

15:00-16:00
磯光雄インタビュー・電脳コイルの世界
出演:磯光雄 聞き手:向井淳

20:00-20:45
磯光雄インタビュー番外編

 あのSFセミナーで磯光雄監督を招聘した『電脳コイル』の企画が催されたとのこと。全く知りませんでした。不覚じゃー。
 というわけでネットでレポートを探してみました。興味深いポイントを少し長文ですが、引用させていただきます。レポータの方に大感謝。

磯光雄インタビュー レポート
  (ヒゲ抜き隊ブログ)
(Blog きなこ餅コミック経由)

アニメの表現力
 私にとっては現実の人間を描くのも仮想のロボットを描くのも同じ。
 どちらも「脳内映像を表現する」という意味で同じ。アニメはある意味で実写を超える、とか言うと危ない人扱いされそうだがw。
 現実の女の子より脳内の理想の女の子のほうが可愛いように脳内映像は現実の映像を超えるものだ。

 アニメは一時、現実を完全再現しようという方向に流れたが 実写より優れた脳内映像の再現を目指すべき 。
 あるとき作画していて監督に「それはどんなレンズで撮ってるの?広角?望遠?」 みたいなことを聞かれたが、あえて言うなら「水晶体」。
 実際はそれに脳内補正がかかった脳内映像だが。

 さらに、脚本を書く行為も脳内映像をどう表現するか という意味で私にとっては同じこと、脳の同じところを使ってると思う。
 コイルで押山くんに 「アニメーターに戻って新しいエフェクト描いてくださいよ」 と言われたが、
 「これ(脚本)が僕の新しいエフェクトです」 と答えたw

SFについて
 SFは「サイエンスフィクション」とか「すこしふしぎ」とか「サイエンスファンタジー」とか いろいろ解釈があるが、一番本質に近いのは「サイエンスフェチ」じゃないかと思うw。

これからのSF
 最近、SFは全盛期を過ぎたのでは?みたいな感じもあるが 前の話のSF=サイエンスフェチ理論で言えば、SFが盛り上がったころは 「全盛期」ではなく「発情期」w。
 今は倦怠期だけど、また発情期が来ると思う。

そろそろ時間なので、最後に次回作についてなど…
 それは時間がないのでやめときましょうw。

SFセミナー2008本会レポート (lainの極私的独白inはてな) (5/11追加)

アニメーターとしての磯の 感覚には、人間とロボットの動きに境界はなく、人間の動きでもすごい瞬間があるとのこと。アニメは現実よりスペックが高く、脳内映像を現実よりも引き上げ た位相で映像化する。アニメを実写に近づける人もいるが、磯のアプローチは異なるようだ。脳内に面白い動き・形・色などと感じた部分があり、それは人間も メカも同じ。面白いものを集めて動きを攻勢するのに人もメカもない。これは磯いわくクオリアだそうで、脚本を書いているときも同じ感覚とのこと。

yama-gat site:2008年5月前半 (5/11追加)

あとは元々、カリスマアニメーターである磯さんのアニメへの意識の話などもあり、「アニメは現実よりスペックが高い」、「木の枝が伸びているのを描くのと、ミサイルの軌道を描くのは同じ脳内部位を使ってる」などの発言が印象に残る。

 映像とドラマを「脳内映像」として定義している。そして「これ(脚本)が僕の新しいエフェクトです」!この言葉はかっこいい。アニメーターから脚本家/演出家への仕事の拡張は「脳内映像」として自分の世界をより表現したいため、ということを的確に語っている。磯アニメートについても「脳内映像」の観点で本人がどう考えているのか、インタビュアーには突っ込んで欲しかったところ。(関連記事 アニメーター磯光雄と金田伊功と脳の構造の関係。)

 5/11追記 脳内の動き・形・色などについてクオリアを持ち出して表現されていたようだ。『新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 Air』で描かれた弐号機VS量産型EVAのアスカのアニメートを思い出す。まさに現実よりも引き上げた位相の映像化。

 激闘の振動とアスカの心情がミックスして(磯の)脳内に作りだされた観たことのないアクション(クオリア)が、磯の手と作画用紙を介して、我々観客の脳内に展開される。
 そしてこれはミームとなって次世代の究極映像として、また別の映像クリエータによって拡大再生産されていくのだろう。(関連記事 アニメータ磯光雄 と 監督作『電脳コイル』)

 2026年にSFが子供たちの間で再びブームになっている設定で、「ダイチ、発毛ス」という素晴らしいバカ&奇想SF世界を描いた磯監督の述べるSFの定義「サイエンスフェチ」(笑)。
 定義論争の不毛を語った上での言葉。
 SFファンダムでも数々のSFの定義が語られてきたけれど、ある意味でこれほど的確な言葉は聞いたことがなかったかも(^^;)。
 特にアニメサイドから定義された言葉として、SFファンダムのある部分の不毛性をこれほど鋭く突いたのは凄い。しかも語られた場がコアなSFファンの集まるSFセミナーだというところも一粒で二度美味しいところ。そして「発情期」はいつ来るんでしょうか?(^^;)

電脳コイル磯光雄@SFセミナー (Blog 黒い森の祠)

 あの世界では、マイクロマシンが多用されており、塗料の中にも入って市販され、塗布すると、電子タグのような働きをし、電脳空間と現実空間の位相を結ぶ。その結果、壁を叩くと、「電脳空間がブレる」という。(略)

 実は、リスト・バンドやアンクル・バンドもあって、体の位置とかから電脳空間での活動を支援している。いわゆるスマート・グローブの簡易版である。(略)

 電脳空間化は、車の自動操縦化とともに拡大し、GPSの支援信号群として、道路沿いに発展した。ロード・ドメインという。

 やはり自動車産業とのリンクで、電脳空間が発達したという設定があったんだ(あのストーリーから考えれば当たり前だけど、、、)。現在のカーナビは、もっとも街を仮想空間として表現している媒体になっているわけで、やはり複合現実の利用はITS絡みで進化するんでしょうね。(関連記事 電脳コイル世界の電脳ナビによる自動走行)

 マイクロマシンについては、もっと番組内でも語られてもよかったかも。ますます子供にはわかりづらくなるけど。

SFセミナー2008 (Blog 異色な物語その他の物語)

(略)
③それほどSF作品を読んでいないが、自分の作品がSFに近いとするならカレル・チャペックだとか真の黎明期であるような時代のものではないかと思っている。
④表には見えないような設定を詳細に考えるのは大好き。設定を考えるとき、実現不可能となった技術や失敗した技術を使うのがやりやすい。実際には終わってるから好きなようにいじれる。だから雑誌で実現可能な未来予測をしてくれという企画は本当に困る。
(略)
⑥1996年に火星の隕石に生命がいる証拠がみつかった、という大ニュースが報道された。しかしトップニュースどころかかなり低い扱いだった。トップで報道されるに違いないと思った自分は、子供の頃科学が話題の中心にあった特殊な時代に成長したことに気づいた。

 SFセミナー全般を丁寧にレポートされている。
 磯氏の発言を6つのポイントで簡潔にまとめてあってわかりやすい。その中から三点を引用させていただきました。全文はリンクを辿ってください。
 「子供の頃科学が話題の中心にあった特殊な時代に成長」、ここで言う科学というのは、「宇宙科学技術」のことでしょう。我々の世代と現在では宇宙への関心の度合いが圧倒的に温度差がある。昔の「宇宙」への関心がマスコミによって「環境」への関心へ大きくシフトしているのもSFが「倦怠期」な理由の一つなんでしょうね。

◆関連リンク
物理空間の統治者は電脳空間の統治者であるべきか ~Nagaya1730プロジェクト管理人に聞く!~:鈴木健の天命反転生活日記 - CNET Japan

去年の冬コミケ用にインタビュー・フィクションを作った。

電脳コイルテンプレまとめ@wiki - トップページ
 まだ残念ながら関連スレッドはまとめられていません。
SFセミナー2008 - val it : α → α = fun

磯光雄インタビューで聞き手をつとめました。私は何にもできなかったが磯さんがたいへん愉快な人だったので結果的にはとても面白い話になったのではないかと思います。

 これはインタビュアーの向井淳氏のBlogのコメント(のようです)。
『季刊S (エス) 2008年 04月号』 (amazon)
 磯監督への別のインタビュー掲載
電脳コイル(Bandai Channel) ネットで第一話、無料配信中。

当Blog関連記事
アニメーター磯光雄と金田伊功と脳の構造の関係
脳のトップダウン構造と視覚
電脳コイル世界の電脳ナビによる自動走行
「ダイチ、発毛ス」ギャグ & 奇想 & バカSF & 感動作 すげぇ

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コメント

 とおりすがりさん、こんばんは。

>>6/14ロフトプラスワン「『電脳コイル』ナイト」のレビューも期待しております。

 私、田舎暮らしでとてもロフトまでは行けません。またネットでレポートリンク集を作って、疑似体験することになるでしょう。でも行かなくても行った気になれる(随分違うはず(^^;))ネットに感謝。

>>ところでまたニコニコ技術部がやってくれました。
>>ARToolKitでARDeskTopもどき

 これは知りませんでした。
 じっくり観てみますね。情報、ありがとうございました。

投稿: BP | 2008.05.30 23:15

いつも、電脳コイル情報をありがとうございます。
6/14ロフトプラスワン「『電脳コイル』ナイト」のレビューも期待しております。
(チケットがあっというまに完売で買えず、見に行けないのです orz、、、)

ところでまたニコニコ技術部がやってくれました。

ARToolKitでARDeskTopもどき
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3185401
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3238847
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3342507
http://www.nicovideo.jp/watch/sm3457060

もうほとんど電脳メガネ状態!とくにマーカー2つを指先につけて掴めるようにしているところには感動しました。
Georg Klein 氏の Parallel Tracking 合わせて、マーカーなしで実現できないものでしょうかねぇ。

投稿: とうりすがり | 2008.05.29 17:18

 さあのうずさん、こんにちは。

 SFセミナーのレポートと、lainさんのBlogの情報、ありがとうございます。

>>私が記載し忘れた重要発言「アニメは現実よりスペックが高い」発言についても載ってますね。

 まさに知りたかったところのレポートなので、ご教示いただき、とてもうれしいです。

 本文も追記させていただきました。

 アニメーション他の脳内映像としての分析、というのがうちのBlogのテーマだったり(^^;)するので、トップアニメータのこういう発言はとても参考になります。

 ありがとうございました。

投稿: BP | 2008.05.11 14:59

トラックバックありがとうございます。‘異色な物語その他の物語’のさあのうずです。詳細なレポートはlainさんの‘lainの極私的独白’にもあります。私が記載し忘れた重要発言「アニメは現実よりスペックが高い」発言についても載ってますね。

投稿: さあのうず | 2008.05.11 12:02

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