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2008年6月

2008.06.30

■完全変形 電人ザボーガー

Zaborger

電人ザボーガー ギャラリー 変形パターン 製作工程 blog 製作記 (バジルの造形魂さん)

 ミのつく職人さんにmixiで教えてもらいました。これは凄い。特に製作工程のページは圧巻。

 フィギュア、全く詳しくないですが、最近はメーカー商品もこうした造形家の作品も凝りに凝ってますね。

 想えば我々子供時代にどれだけTVのイメージとオモチャのギャップにがっかりさせられたか、、、。

 我々ファンの積年のもっとリアルなおもちゃを観たいという想いとこれら造形家の熱意が結実して充実してきてるのでしょうね、フィギュア。我々の子供時代の魂の叫びの具現化(^^;;)

 で、どこにもないフィギュアを自分の手で作り出す、というチャレンジとこの完成度、想いの強さに圧倒(^^)されます。これは熱い。

 ぜひ変形をコマ撮リにしてムービーとして見せていただきたいものです。
 もしくはこれに触発された誰かに実物大を作ってもらいたい。

Zaborger_4legs  製作工程に掲載された右の写真、これって、バイクメーカが実際にロボットとバイクの融合技術として作ったら、モーターショーとかでメチャクチャ受けるのではないか。こんなものがモーターショー会場を人を乗せて走りまわり、二足歩行形態へ変形するのを是非観たい!

 あ、そうじゃないか、バイクメーカでもあるホンダならアシモの技術があるから即、作れるじゃん。最近ASIMOも人工知能関連の技術開発アピールがほとんどで少し地味なので、いっちょうこういう派手なのをよろしく >> ホンダのロボット技術者殿

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2008.06.27

■ドキュメント オン ヤン・シュヴァンクマイエル
  Documentary on Jan Svankmajer

The_animator_of_prague_jan  定点観測しているYoutubeでのヤン・シュヴァンクマイエル関連映像を4つ紹介します。
 詳細はよくわかっていないので、すみませんが皆さん、各ファイルを観て解説をコメントでお寄せいただければ幸いです(^^;;っていいかげん)。

YouTube - Documentary on Jan Svankmajer :
 PART 1/3
 PART2/3  PART 3/3

 TALES FROM PRAGUEというチェコのTV番組におけるシュヴァンクマイエル特集番組(らしい)。

 いくつかの作品の紹介と、FILM WRITERのMichael O'Pray氏が語るシュヴァンクマイエルの世界、という番組。制作風景とシュヴァンクマイエルの言葉が貴重か。

Jan Svankmajer at the 1997 SF International Film Festival

San Francisco International Film Festival's Golden Gate Persistence of Vision Award in 1997

 サンフランシスコのフィルムフェスティバルの授賞式でのシュヴァンクマイエルのコメント。
 通訳(or司会)の女性がやたらとしゃべって笑っているが、いったい何が可笑しいのか。シュヴァンクマイエルがギャグを連発しているとは思えないので、なんだか不思議な光景です。って、ちゃんとヒアリングしろよ>>自分。いや、わからないんです(^^;)。

Jan Svankmajer in conversation
 立ち話のようなシュヴァンクマイエルとの会話ビデオ。

Where is Jan Svankmajer?
 現在のプラハの街で、シュヴァンクマイエルのことを一般の人々に聞き込んでいるビデオ。なんだかこれもよくわからない映像。

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2008.06.26

■クレイジー・ヘリコプター/モノ・ティルトローター
    Crazy Copter / Mono Tiltrotor

Mono_tiltroter

Mono Tiltrotor (MTR) Rapid Vertical Deployment System

 ヘリコプターと翼を組み合わせた不思議な飛行機を開発している会社のHP。
 CGでカーゴを拾い上げて輸送する様子が観られます。

 まるでトンボのような機体の愛嬌はなかなかのもの。
 しかしこれだけダイナミックに翼が動いて信頼性とか、動的な飛行特性は大丈夫なのだろうか。とりあえず物理シミュレーションとして機構解析的なところは大丈夫だろうけれど(それにしてもあの長さの翼のモーメントはプロペラの揚力に相当影響しそう)、空力の流体解析がちゃんとなされているか素人目にも不安感いっぱい。

YouTube - Baldwin Technology Mono Tilt Rotor. 3D-CG

YouTube - Baldwin Mono Tiltrotor RC model tests.
 こちらはラジコンによるテストの実写映像。まだまだヨチヨチ。
 プロペラの駆動で前進飛行すると、羽が横に広がって揚力を生じているよう。

YouTube - Crazy Copter Wind Tunnel Test.
 翼の風洞テスト。前方からの風速の変化により翼が広がる様子。

◆関連リンク
Aerocopter :: Virtual Simulation.

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2008.06.25

■視覚/聴覚/触覚 19世紀と20世紀の夢 
    iPhoneに至るロードマップ (2/2)

Parc_alt_2■アラン・ケイの描いたマルチメディアの夢

スティーブ・ジョブスは、スミソニアンの「コンピュータの歴史」のインタビューで、 ALTOの重要な3つの機能を指摘している。
GUI(Windowsとメニュー、マウス)
オブジェクト指向(Simula言語とSmalltalk)
ネットワーク(LANで使われているEthernetという仕組み)

 アラン・ケイと言えばこのMACの源流となったALTOと、ダイナブックのコンセプトが有名である。iPhoneが出た時に僕がまず思ったのが、ついに理想のダイナブックが現れたっていうこと。

ダイナブック - Wikipedia

ケイの構想したダイナブックとは、GUIを搭載したA4サイズ程度の片手で持てるような小型のコンピュータで、(略)文字のほか映像、音声を持つ「本(book)」のような存在であり、それを扱った人間の思考能力を高める存在であるとした。

 「手」の中で視覚と聴覚を拡張し「人間の思考能力を高める存在」としてのiPhone。

Parc_alt_mause  アラン・ケイのALTOで画期的だったのが、GUIに加えてマウスによるマン・マシン・インタフェースの実現があった。ダイナブック構想のロードマップの第一ステップとして構築されただろうALTOにおいて、ここで僕はマウスオペレーションによる触覚の利用に着目したい。

 ダイナブックが「手」の中に入る究極のモバイル機器として構想されたのであれば、当然将来「手」の感覚として重要な「触覚」と密接な関係を持たせようと考えるのは自然である。そして1973年時点で、ハードウェアとして手の中に入る大きさを実現できないALTOと手の関係をどう構築するか、というのがアラン・ケイのひとつの課題だったと想像してみる。

 手で直接オペレーションできないものを手とコンピュータの間に介在するマシンで解決しようとするのはごく自然である。そして生まれたマン・マシン・インタフェースであるマウスなのではないか。

 ALTOは、GUIによる視覚とマウスによる触覚を用いたインタフェースを特徴として、ダイナブックの源流として生まれたわけである。この時点でいずれ手の中に収めることを想定し、触覚を利用していこうということの自覚がどれだけアラン・ケイにあったのか、是非聞いてみたいものである。 

◆iPhoneの特徴は触覚インタフェース

 前日の記事で最後に書いた日本のハイテクケータイになくてiPhoneに明確に存在するのが、この触覚インタフェースである。

 ALTOを源流にもつMACはマウスがキーデバイスであった。そしてそこからダイナブックへ至る道筋の中にあるPowerbookとNewtonにおいて触覚の利用がどれだけあったか。Powerbookではトラックボールとトラックパッド、Newtonではペンによる手書きの利用とページをめくるようなタッチオペレーションがあった。これは触角の利用としてはまだマシンの介在がかなりある。

 そしてさらに集積化されて手の中に入っていくことで、触覚を自覚的に直接利用する形態がとられたのが、ALTO、MAC、Powerbook、Newtonの直系の子孫にあたるiPodである。

Etsuraku_kyouhan_sha_ipod_touch  iPodが画期的だったのは、iTuneによるビジネスモデルは別にして、指による直感的なオペレーションである。聴覚デバイスであるiPodなのだけれど、実はユーザに快適な感覚を提供していたのは、あの指の操作による高速の曲選択のインターフェースだったのだと思う。おそらく操作性のシンプル化を狙ってボタンを減らすことが直接的な目的であったのだろうが、あの操作の気持ちよさはそれだけで生み出せるものでない。

 あきらかに手の中に入るマシンであるから、触覚を快適に刺激することが自覚的に設計された成果がiPodなのではないかと思う。指を高速で機体に滑らせる触覚と、視覚に入ってくる曲名の高速スクロールの同期する感覚。これがiPodの操作感を気持ちよくしていた心理的な仕組みではないかと思う。少なくとも僕がiPodを初めていじった時の面白さのコアはそこだった。あの気持ちよさは癖になる(^^;)。iPodって愛着が沸くのはこの効果がかなりあるのではないだろうか。

 そして進化したタッチオペレーションの現時点の到達点としてのiPhone。
 iPodに対して直接スクリーンの映像を指で操作する感覚は、視覚と聴覚と触覚をよりいっそう密着させる。もともと人が作り出したマシンはどんなものも人の五感を延長した器官という意味合いを持つ。その延長された器官である手の中のマシンからダイレクトに三つの感覚器官に情報が同期して送られることで、マシンと人の結びつきはいっそう強くなってくると考えられる。

 僕はまだiPhoneは手にしたことがなく、電気店の店頭でiPod Touch(このダイレクトに触覚を表現したネーミングのマシン)を少しいじっただけである。でも手の中の映像が指の触覚に同期して、画像をめくったり拡大したりできるのはとても快適だった。

 長時間自分のマシンとして持ち続けた時にこの感覚がどこへ行き着くか、とても楽しみである。おそらく器官の延長として自分につながる愛着はiPodより強くなるような気がする。この愛着がアラン・ケイの構想したダイナブックの真の姿のような気が少しする。人とつながって知覚を拡張するデバイス。

Shokukakku_isu_3  電車の中でケータイをいじる人々をついマン・ウォッチングしてしまうのだけれど、それぞれが手の中の機器をとても愛でているように僕には見える。ある意味、なんであんなにずっといじっていられるんだろうという不可思議な感覚を持つこともある。
 今後、ダイレクトに手の中で視覚と聴覚と触覚につながるiPhoneが電車の中でどう人々に触れられていくのか、街にiPhoneが広がっていった時にどんな光景が見られるか、今から楽しみである。とか言ってて、自分の手の中のiPhoneに夢中で他人を見る余裕がなくなってたりして(^^;;)。ここまで長文を読んでいただいた方、最後なんだかへんな中毒的な情景をイメージさせてしまってすみません。

 やはり触覚は、ヤン・シュヴァンクマイエルが『悦楽共犯者』で描いたように、どこか淫靡。今のケータイを熱心にいじる人々に覚えるちょっと奇妙な感覚は、ここへつながっていたんですね。

※昨日掲載したロードマップを眺めながら、iPhoneと日本のケータイを比較して考えたのがこの分析。「触覚」に拘りすぎて論理的な構築が今一歩。直感的に感じている先進性をなんとか文章にしてみたかったのだけれど、かなり最後ジタバタしてしまった。
 「触覚」とか言わず、GUI含め単にマン・マシン・インタフェースの先端をリードしてきたALTO-MAC-NEWTON-iPodといったAPPLE DNAの開花がiPhoneの革新である、とまとめた方がしっくりくるかも。
 そう書くとあまりに一般論になりそうなのと、どっか直感が「触覚」が今後の革新のキーワードになるんじゃないかと訴えてくるので、僕は僕のゴーストに従ってこんな表現をしてみました。

 皆さんがiPhoneにいだく先進性について率直な意見がいただけると嬉しいです(^^)。

◆関連リンク
iPhoneに触覚フィードバック技術を採用? - CNET Japan
 既に触覚/視覚フィードバックは採用済。触覚/触覚フィードバック技術について。
 本記事の趣旨から考えると、ズバリロードマップにのっかってます。
携帯電話依存症 触覚の影響については書かれていませんね。
・当Blog記事
 触覚インタフェース「iPod touch」
 触覚インターフェースの進化 Apple iPhoneとNEWTON動画
 レポート 公開講座 シュヴァンクマイエル氏と語ろう触感と想像力 遠隔ニワトリ愛撫システム

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2008.06.24

■視覚/聴覚/触覚 19世紀と20世紀の夢 
    iPhoneに至るロードマップ (1/2)

Iphone_road_map
 iPhoneは人間がテクノロジーに夢みたもののうち、視覚/聴覚/触覚にかかわる機器を高密度に集積化したものである、とまずは大げさに本稿の趣旨をまとめてみる。

 この視点を表現したくて、夕食後の3時間を費やしてまとめたのが上の画像である。横軸を時間として(かなりいいかげんだけど)iPhoneが持っている機能を各機器の歴史として表現すると、このようなテクノロジーのロードマップが出来上がる(まったく何やってんだか(^^;;))。そして頂点に位置するのが、これらの機能を統合集積化したiPhoneである。

 人間の五感のうち視覚と聴覚は19世紀にテクノロジーによって、時間と距離を自由に飛び越えることが可能になった。
 まずニセフォール・ニエプスによりヘリオグラフィが1824年に作られて、写真という形で視覚の拡張を実現した。
 そして1860年フランス人発明家エドワードレオン・スコットが紙に記録する蓄音機を発明し音の記録により聴覚を拡張(最近、エジソンは蓄音機の発明者としてその席を譲ったとか)。続く1876年にベルによって電話が創造され、遠隔地との聴覚の交感が実現。
 さらに視覚は、1893年エジソンのキネトスコープによって動画像を獲得することになる。 

 20世紀は映像の世紀と表されるように、19世紀末までに作られたこれらテクノロジーの種を育てて、視覚/聴覚の高細精化と機器の小型化を実現した世紀であると記述することができる。

 ここで活躍したのが、もちろんデジタルテクノロジーによる高集積化技術である。

 上の画像で表現されるのは、この高集積化によってiPhoneに取り入れられた各種の感覚拡張機器のロードマップである。本来はその大きさを画像の大小で表現し集積化度合いも示したかったのだけれど、恐ろしく時間のかかる作業になりそうだったので今回は割愛。
 それでもこれら多くの機器を集約したことによる小型化の度合いは充分に表現できているのではないかと思う。直感的には機器として数百分の1くらいの高集積化。データの分まで含めるとおそらく、さらにそれより3~5桁上の規模になるのではないだろうか。

 我々は恐ろしく集積化したテクノロジーの未来を今、入手できるわけである(まだ半月ほど先だけれど)。

 ここまでで書いたのは視覚と聴覚の拡張についてである。
 実はこれらの集積化だけだったら、我々は日本のお家芸である小型化技術の成果で、既に携帯電話としてテクノロジーの成果を得ている。

 iPhoneの日本登場のニュースが出て以来、ネットを中心としてiPhoneが日本で売れるか売れないかという多くの予測が書かれている。その中で多くの評者が挙げていたのが、既に日本のケータイユーザはiPhoneより高機能なハードウェアを手にし、独自に進化した絵文字とかオサイフケータイといった機能に慣れているから売れないだろうという分析だった。

 でも売れるか売れないかの議論は置いておくとしても、何かやはり先進的な感覚に溢れているのであるiPhoneは。そこで考えていたのが以下。ここでは触覚がキーとなる。

★長文になったので、続きは明日へ。

◆関連リンク (参考サイト)
 今回の記事は下記を参考にさせていただきました。
腕時計 - Wikipedia.First OMEGA wristwatch, 1900.
やっぱりニッポン製 じっくりニッポン製「ニッポンはじめて物語」 1アストロン
ゲーム機の歴史 携帯ゲーム機の系統樹 - Engadget Japanese
SANYO|ポータブルナビゲーションシステム|ゴリラ|Gorilla History
ラジオ・ラジカセ博物館
 これを見て思い出したパナソニックのラジカセの名前が「MAC」。
 僕の「MAC」初体験はこれでした。マイクが分離して使用できるのがかっこよかった。

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2008.06.23

■マイクル・コニイ『ハローサマー、グッドバイ』の続編
   Michael Greatrex Coney "I Remember Pallahaxi"

I_remember_pallahaxi I Remember Pallahaxi (PS Publishing Current Catalogue).

Synopsis / Contents: I Remember Pallahaxi is the previously unpublished sequel to Michael Coney's classic Hello Summer, Goodbye. Set hundreds of years after the events recounted in Hello, I Remember Pallahaxi is a mystery story: a murder mystery on one level, and on another level a mystery about the origins of the native aliens.

 山岸真さんのコメントで『ハローサマー、グッドバイ』の続編があるという情報をいただき、調べてみました。
 右の表紙のハードカバーが、コニイが亡くなった2005年のあと、2007年12月に500部、電子出版されたようです。

 下記に出版の経緯がコニイの家族とのメールという形で記されています。

Michael Coney'--I Remember Pallahaxi.

Dear Friends, Neighbours and Fans,
(略)
When Mike knew he was terminally ill and that his time was very limited he decided to put some unpublished novels on his website as a gift to his readers to download free. As you will see, since then Peter Crowther of PS Publishing and Dorothy Lumley, Mike's agent have decided it would be a much greater gift to publish two titles "I REMEMBER PALLAHAXI" and "HELLO SUMMER GOODBYE" in a deluxe slipcase containing both titles. 
(略)
  Sincerely, 
  Daphne Coney and Family

Michael G. Coney『I Remember Pallahaxi』(amazon)

 500部発行らしいけれど、日本のAmazonでも購入可能。

 山岸真さんのコメントによると、日本でも今回の『ハローサマー、グッドバイ』の売れ行き次第では続編の翻訳出版の可能性があるとのことですので、是非、コニイファンは新訳を購入しましょう。

 またコニイ未読の方も、瑞々しい筆致で書かれたコニイの物語世界はお奨めですので、お手にとられて至福の読書体験を。

Hello_summer_goodbye ◆関連リンク
Michael Coney 作品リスト (PS Publishing)
 右の書影は電子出版版『Hello Summer, Goodbye』。
 この表紙ならsay*3さんもOK?
・ネットでダウンロードできるコニイの作品
 コニイの5短編他
 長編 Flower of Goronwy

Author's Note: An impossibly perfect young woman appeared in my novels Charisma and Brontomek and generated a lot of fan mail. People asked if she was based on a real person; and if she was, what a lucky guy I was to know such a woman. Well, unfortunately she was not real, and I emphasized this point by having her disappear into nothingness at the end of each novel. She was an impossible male dream. Her physical appearance was based on the movie star Susanna York (a clue to that is her fictional name Susanna Lincoln) but her personality was all my own erotic imaginings.(略)

 非常に興味深いコニイの女性キャラクタについてのコメントです。
 『ブロントメク!』のキャラクタは特別本編の主題と密接に関係しているので、このコメントと照らし合わせてじっくり再読してみたいものです。
・そして上の文章の末尾でコニイがモデルにしたと語っている英国の女優
 スザンナ・ヨーク(Susannah York) のプロフィール - allcinema
・KINDLE版(13.3/10追記) 
Michael G Coney "I Remember Pallahaxi"

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2008.06.20

■マイクル・コニイ 『ハローサマー、グッドバイ』 山岸真新訳 !

Hello_summer_goodbye『ハローサマー、グッドバイ』(amazon)
             河出書房新社

マイクル・コーニイ 著  山岸 真 訳
定価893円・本体850円

内容紹介
戦争の影が次第に港町を覆うなか、少年と少女は出会う。惑星規模の機密計画が姿をあらわす日が近いことは、いまだ知らずに……少年の忘れえぬひと夏を描いた、SF史上屈指の青春恋愛小説、待望の完全新訳版。

 復刊.comのメールで知りました。
 なんか無性に懐かしいマイクル・コニイ 『ハローサマー、グッドバイ』が、山岸真の新訳で読めるとはたいへん嬉しい。

 にしてもこの表紙は、さすがに照れくさい。
 思わず書店で「娘へのプレゼントなんです。包んでください」といいわけしながら、自分の分を買ってしまうかも(^^;)。

 ネットで誰か何か書いていないかと思ったら、同世代の殊能将之氏が書いてました。
 殊能氏とコニイは、アンマッチな感じなんですが、、、(^^)。

a day in the life of mercy snow. 

オレもおっさんだからさ、「心の故郷」が復活するのはうれしいんだけど、若者たちはなにをやっとるのかね。オレが知らない新しくおもしろいSFやミステリってないのか?

マイクル・コニイ 復刊特集ページ

ブロントメク! マイクル・コニイ  復刊リクエスト投票.

 惑星アル カディアを回る六つの惑星が五二年に一度揃って空にかかる時、高潮に乗って何兆というプランクトンの群れが、海面にカタツムリの足跡のように輝いた。この マインドと呼ばれるプランクトンと巨頭鯨は共生関係にあった。マインドは密集することにより人間のテレパシー能力を増幅させる、リレー効果を持っていた。 人々は催眠術にかかったように次々に海に入り、やがて黒いヒレの群れとひとつになり血の海に呑み込まれてゆく。子供を守る見返りにマインドは餌を要求する のだ。こうして過去二年の間に全人口の3割は他の惑星へ移住、経済は崩壊に瀕していた。そんな折、巨大企業ザリントン機関が経済復興の援助を申し出、アル カディア議会はそれを承諾。やがて移民として無定形生物と巨大トラック・ブロントメクの群れが送り込まれて・・・。

 僕は『ハロー、サマー』より断然『ブロントメク ! 』派でした。
 これ、本当に素晴らしい傑作 ! 続けて河出から山岸氏訳で出版されることを望みます。

◆関連リンク
マイクル・コニイ, 千葉 薫『ハローサマー、グッドバイ』(サンリオ文庫版)
『ブロントメク ! 』(サンリオ文庫版)

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2008.06.19

■『ナンシー関の記憶スケッチアカデミー』

『ナンシー関の記憶スケッチアカデミー』(amazon)

「記憶スケッチ」とは、提示されたお題を記憶のみに頼って描くこと。「カエル」「パンダ」「鉄腕アトム」「ランドセル」など、お題は一見簡単に描けそうなものばかり。ところが全国から寄せられた大量のサンプルが、「人間の記憶」のあやふやさを暴き出してしまう。

NANCY SEKI's FACTORY『ボン研究所』:記憶スケッチアカデミー

 このナンシー関のHPで、本の一部を見ることができます。加えて、アントニオ猪木カッパパイナップルとか本に入っていないお題も楽しめる。

 この「記憶スケッチ」って、うちのBlogのテーマに直結。脳の記憶の映像をスケッチという形で取り出したサンプルがここに一堂に会している。
 抱腹絶倒な超画伯な絵から、哲学的深淵を覗きこむような震撼するようなイメージまで、ナンシー関のコメントを読みながら、いろいろと考えさせられる一冊。

 また最後に記された分析が面白い。
 たとえば年齢と連続直線の関係。これは年齢と一気に引ける直線の平均距離が反比例するというグラフを示した分析。凄い。脳の構造と何か関係があるに違いない。

 そして最後に置かれたいとうせいこうと押切伸一との対談も面白い。この中に人間は物を二次元の絵としてではなく概念(例えば「カエルは緑」とか「パンダは目の周りが黒い」とか)で記憶しているのではないか、と分析している。

 では皆さん、ちなみにカマキリの絵を、今、記憶だけで描いてみてください。

お題の「カマキリ」は記憶スケッチ界において「伝説のお題」と呼ばれているほどの大ネタです。ソツもスキもなく、人から「アイツはデキる」と言われる人に、カマキリを描かせてみましょう。その人がそれまでに積み上げてきたものが、一瞬にして崩れるかもしれません。カマキリを描くというのはそれほど危険なのです。

 そのうち脳-コンピュータインタフェースが発達して、3D-CGソフト(アニメーション可)とダイレクトに繋がったら、21世紀記憶スケッチアカデミーを開催してほしい。ダイレクトに脳内記憶が眼前に現れた時、我々はどんな驚愕を覚えるのか(^^;)。

◆関連リンク
テレビ朝日|『ぷっ』すま 記憶力絵心クイズ!
 実はこのTVの絵心クイズのネタはこの本からのパクリ。
 でも草彅画伯の傑作にはいつも笑かしてもらいました。
眞鍋かをりのココだけの話 画伯ゲーム: バカボソパパ
 これも同じですね。

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2008.06.17

■新刊メモ 岸川 靖『空想科学画報 Vol.1』
  アンナ・カヴァン『氷』  クリストファー・プリースト『限りなき夏』

岸川 靖『空想科学画報 Vol.1-SF DETAIL,The Pictorial Magazine』

カラーグラフ原子力潜水艦シービュー号
(シービュー号外観上の変遷前期型 劇場版およびTV第1シーズン改装型 TV第2シーズン~第4シーズンフライングサブ ほか)
海底軍艦・轟天号(伊号403潜マンダムウ潜航艇轟天号考察 ほか)

 表紙が僕らの世代のセンス・オブ・ワンダーを誘います。
 轟天号というより、シービュー号の世代なのだけれど、このフォルムがたまりません。中から出てくる潜水艇フライングサブとか。

 Amazonのレビュウで何故かこの本、批判されているので、購入はぜひ実物を観てから。

アンナ・カヴァン『氷』(amazon)

異常な寒波のなか、夜道に迷いながら私は少女の家へと車を走らせた。地球規模の気象変動により、氷が全世界を覆いつくそうとしていた。やがて少女は姿を消し、私はその行方を必死に探し求める。軍事独裁下の某国に彼女がいることを突きとめ、要塞のような〈高い館〉へ乗り込んだ私は、強大な力で少女を支配する長官と対峙するが……。

サンリオSF文庫版 (1985年刊) を全面改訳! (略)
その魔法の力によって、『氷』は唯物論的なサイエンスファンタジーの視界を超えた領域に到達している。――ブライアン・W・オールディス

 サンリオ文庫版持っていないので、是非こちらで読んでみます。オールディスの評に心躍りますね。

<未来の文学>クリストファー・プリースト『限りなき夏』 国書刊行会

連作「ドリーム・アーキペラゴ」シリーズを中心にデビュー作「ラン」、代表作「リアルタイム・ワールド」「限りなき夏」など、研ぎ澄まされた達意の文章で綴られた傑作群全8篇を集成。日本の読者に向けた書き下ろし序文を特別収録!

 プリーストの初短編集。
 『奇術師』『双生児』の評価が高かったのが、このハードカバーの出版に結びついたのかも。今後の訳出も楽しみにしたい。

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2008.06.16

■iPhone 3G 最新情報のまとめ
   価格の噂とApp Store、iPhone SDKの可能性 他

 iPhoneの予約をしようか考えていて、ネットでいろいろ情報を漁ってみた。
 そのとりあえず現時点のまとめ。何かの参考になればと思います。

 結果としては、僕は、近所のショップに予約を入れました。もともとほしかったので、実は下記の情報が決めてになったわけではないのですが、、、(^^;)。これで来月には、ひさびさMAC OS回帰組となります(十数年ぶり)。

◆価格

Prise_iphone_bench_mark02

iPhone 3G  8GBモデル 契約概要 (真偽不明 情報)

 上の表は、現在ネットに流布している情報をまとめたもの。非常に真偽のほどは怪しいので話半分、どことも知れないS○○B○○社の架空の数字として見て下さい。データの判断は自己責任でお願いします。
 ただ上表のとおり、リンク先の数値データをAT&Tの公表している値段と比較してみると、現状為替レートではピッタリと実質合計額があうので、この点からはリンク先画像はフェイクにしてもなかなか的確な値段設定であることがわかります。ソフトバンクさん、参考にしたら(^^;)。

 僕はデータ通信を無制限にやるつもりはなかったので、できれば今のSOFTBANKの価格体系でパケットに応じて、もう少し安く使えるようにしてほしかった。

◆価格 参考

iPhone 3Gは月いくらで利用できる? AT&Tがプランを発表.
iPhone 3G, Exclusively from AT&T and Apple AT&T- News Room

# With a two-year contract, the price of an 8GB iPhone 3G will be $199; the 16GB model will be priced at $299. # Unlimited iPhone 3G data plans for consumers will be available for $30 a month, in addition to voice plans starting at $39.99 a month.

◆アプリケーションの配布によるビジネスモデル

・世界観が素晴らしい――ソフトバンク孫社長がiPhoneの魅力を熱弁:ITpro.

 オブジェクト指向のSDKも注目に値する。マウス操作で何10分と短い時間でアプリケーションが作成できるのは驚きだ。(略)作成したアプリケーションはAPP STOREで売れる。流通段階まで提供されている点が魅力だ。

 こうしたOSや流通段階のシステムを一から作るとなれば,5年はかかるだろう。(略)

 「世界観」って何だか凄い感じですが、実質ビジネスモデルが凄いと言っているのですね。確かにiPodで構築された音楽の流通モデルと同様にソフトウェアの流通でビジネスを構築しようとしているこの形態はなかなか凄い。

 加えて、APPLEとソフト制作者の取り分は3:7ということで、APPLEだけでなく、ソフトウェアのクリエータにも美味しいモデルになっている。これによりiPhoneに世界の知恵が集まる形になり、ユーザーにもAPPLEにも嬉しい好循環な環境が期待できる。

◆iPhone SDK:Software Developer's Kit

・YouTube - iPhone SDKのデモ@WWDC 2008.
・モバイルコンピュータに生まれ変わる「iPhone」--SDK公開が与える自由度:スペシャルレポート - CNET Japan.

週末になると地下の一室でソフトウェア開発に励む独立系開発者は、タッチスクリーン・インターフェースの長所を生かしてあっと驚くような素晴らしいことができる全く新しいアプリケーションを考え出し、そのソフトウェアを使って事業を立ち上げるはずだ。

・Apple Developer Connection - iPhone Dev Center - iPhone Developer Program.

Download the Free iPhone SDK The seventh beta version of the iPhone SDK includes Xcode IDE, iPhone Simulator with Open GL ES support, Interface Builder, Instruments, frameworks and samples, compilers, and Shark analysis tool.

・Life is beautiful: iPhoneがなぜそれほどまでに「革命的」なのか iPhone SDK

 Windows95他にたずさわられた日本人プログラマーSatoshi Nakajima氏のBlog。非常に刺激的な言説がいろいろと書かれており、たいへん面白い。

・HMDT HAPPY Macintosh Developing TIME!

iPhone SDKについて。その登場を確実視していた、iPhone SDK正式版は発表なし。なにー!そのかわり、SDK beta 7が登場していた。どこまでひっぱるんじゃい。

 Objective-cどころか、プログラムはBASICしかやったことがないという化石のような私ですら、iPhone SDKをいじってみようかと思ったり(でもMACのPCがないと使えない)。参考図書はこんなのがありますね。

荻原 剛志『詳解 Objective-C 2.0』(amazon)

木下誠『たのしいCocoaプログラミング』(amazon)

◆iPhoneデモ映像
操作性は本家Google Earth よりも上!? 「iPhone Earth」 が開発中 - iPhone iPod touch ラボ 
 本体を傾けることによりGoogle Earthの画像が自由に画面の中を動いている。
 この感覚は素晴らしい。タッチオペレーションによる地図のオペレーションとしては普遍的なものになるかもしれない。日本のナビメーカもこういうアイディアが必要でしょうね。

・Youtube - iPhone game @WWDC 2008
・YouTube - iPhone ad music using Pianist and Guitarist
.

 PSPやDS対抗機としての可能性はどうでしょう。
 この楽器のソフトはインストールしてみたい。

◆デヴィッド・リンチ iPhoneを語る
・YouTube - David Lynch on iPhone.

David Lynch talks about watching film on a cell phone. Clip from special edition of Inland Empire, with music and graphics by the super awesome xmas.

 ということでラストを飾るのはうちのBlogの常連(^^;)であるデヴィッド・リンチの言葉。
 聴き取りやすいリンチの英語すらまともに理解できていない私の英語力ですが、「Fucking telephone. Get real!」とのたまっているのはわかります。
 映画芸術を21世紀初頭に『マルホランド・ドライブ』により究極レベルへと到達させたこのカルト監督は、携帯電話で映画を観るという行為に強烈なNo.を投げかけています。

 Fucking telephone iPhone。まずはこれでリンチの映画を観て、その真価を評価してみたいものです。はたして、、、?

◆関連リンク
・メディア・パブ: App Storeのアプリソフト売上,2009年までに10億ドルを超えるか.

アナリストGene Munster は,App Storeでのアプリ売上が2009年末までに10億ドルを上回ると予測している。

・TechCrunch Japanese アーカイブ » 「iPhone App Storeの2009年売上は$1.2B」とGene Munster予想(なにを吸ってるのだ?).

Appleデベロッパ・カンファレンス(WWDC)で氏がiPhoneデベロッパを対象に行った非公式な調査では、iPhoneアプリの70%は無料で公開され、有料のアプリにしても価格はすぐ3ドル以下まで下がる可能性が高いことが判明している。

林 信行『iPhoneショック ケータイビジネスまで変える驚異のアップル流ものづくり』(amazon)

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2008.06.12

■The World of ZAMAK

Zamak_vert

The World of ZAMAK

 昨日に引き続き、CGイラストつながりで、もうひとり面白いアーティストのHPを見つけたので紹介します。Googleイメージ検索で昨日の作家の絵を調べていて、別の作家に行き当たるという、この網の目のようなネット探索の楽しさ(^^)。

 このアーティストは、フランスのCG画家。プロかアマかも実はわかりません。

 観てお分かりいただけるように、球体の潜水服のようなCGが愛嬌。
 オブジェモチャとヤノベケンジの中間に位置するようなポップな作風がいいです。

 こういうのもフィギュア化したら面白いでしょうね。特に僕は真ん中のが好きです。

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2008.06.11

■Kazuhiko Nakamura - Mechanical Mirage -

Kazuhiko_nakamura

CGSociety - The Making of Metamorphosis

 昨日のEdoardo Belinciの絵を探している過程で、ネットで見つけたKazuhiko Nakamura氏のMetamorphosisと名付けられた絵とその制作プロセスの記事。

 アルチンボルトの絵をCGでやってみたらと着想し、カフカの『変身』をモチーフに作成されたのが右の絵。サイバーパンクなアルチンボルト。ガジェットな感覚とパンクな雰囲気が見事。この記事で、シュールレアリスムとサイバーパンクに影響を受けたと語っている。

調べてみると、Kazuhiko Nakamura氏は、1961年兵庫生まれの日本のアーティストでプロではなく、アマチュアとしてCGをHPで公開されている方らしい。

- Mechanical Mirage -(公式HP) Kazuhiko Nakamura (Google Image)

 CGによる数々のアルチンボルト(?)な作品が素晴らしい。CGのコンテストでの受賞、Galleryでの展示等についてもHPで触れられている。

Kazuhiko Nakamura (ALMACAN)

 作家についてはこちらが詳しい。しかし名前の日本語表記がわからないので、ご存知の方、ご一報ください。

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2008.06.10

■イタリアの幻想画アーティスト エドアルド・ベリンチ : Edoardo Belinci

Edoardo_belinci_00

Edoardo Belinci ARTWORK Gallery

 『独白するユニバーサル横メルカトル』の表紙画のアーティスト エドアルド・ベリンチ: Edoardo Belinci氏のギャラリー。それにしてもまだそれほど著名でない(ようにネット検索ではみえる)こういう若手のアーティストを表紙に起用しているのは、光文社の編集者の成果なのか作家の平山氏なのか、興味のあるところ。

 『ミサイルマン』のベクシンスキーも素晴らしかったが、このEdoardo Belinci氏も好きです。

 表紙のイメージで、ギーガー風の絵かと思ってGarallyを覗いてみると、ずいぶんイメージが違った。CGによる上のような幻想的な画。

 僕が気に入ったのは、下記の作品。端正なイメージがいい。
 "NUCLEAR" 2002 "an old power pump" 2003
 untitled "untitled" 2003 
 TBIRD LNURK255 TM

CGソフトのチュートリアル  Showreel2007

 上の右の絵を作成したCGソフト<3D JUICE>のチュートリアルとPRムービー。説明はイタリア語で書いてあるので全部がBelinci氏の手になるものかは不明。かなりポップ、画風が違う。

tropical lamborghini video clip

 2Dのポップなキャラクターが3D空間を動き回る

 

◆関連リンク
Edoardo Belinci Google Image検索
・Edoardo Belinciも参加した展覧会 Body Metamorphosis 
Edoardo Belinci Home Page なぜか何もコンテンツがない。

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2008.06.09

■平山 夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』

平山 夢明『独白するユニバーサル横メルカトル』(amazon)

 遅まきながら平山夢明氏の短編集を読んだ。この平山夢明氏って、自主映画番組えび天で、「ペキンパーの男」を作ったデルモンテ平山氏らしい。僕は「怖い話」シリーズを一冊読んだことがあるだけだったので、どんな小説世界が開陳されるか期待してページをめくった。

 噂に違わぬ傑作。暴力と人体改変等の強烈なインパクトのある7編の短編。
 良かった順に簡単な感想です。もともと映画を撮っていた人なので、このままヒットを続ければ、いずれ自作の映画化もあるのかも。

「Ω(オメガ)の聖餐」
 映像的に強烈なイメージ。Ωの異様さにゲぇッとなりながら、数学の探究とか、幼い頃の匂いの記憶と養蜂家のエピソードで清廉なイメージをパラレルに感覚させる話。この重層的な幻想、たしかに癖になりそうなトリップ感がある。

「C10H14N2(ニコチン)と少年 ― 乞食と老婆」
 いじめられるこどもの視点と大人の世界。乞食を通して語られる恐ろしい街の現実。しかし一皮剥けたこの世界が、どっか日本の典型のように見えてしまうところが凄く怖い。

「無垢の祈り」
 これも現代の子供の世界の闇を描いた作品。
 ラストに登場する者に象徴化するイメージがなんだか凄い。何が描かれたか、実は具体的に掴めないのだけれど、それでもこのラストの必然は無意識の何かを形象化している感覚で凄い。

「独白するユニバーサル横メルカトル」
 タクシードライバーと地図の物語。
 半村良の「箱」を思い出した。もう一歩ひねりあったら傑作かなーって感じ。

「卵男(エッグマン)」
 ラストへ向けた変転がうまい。幻の記憶のリアリティと、隣の独房の男の言語崩壊感が面白かった。この作品、CGアニメ化されるのですね→ここ(Egg Man)。

「すまじき熱帯」
 『地獄の黙示録』21世紀版。熱帯世界のガイキチな社会に頭がクラクラしてくる。これにも言語崩壊なシーンがいくつもある。

「オペラントの肖像」
 異様な社会体制と芸術の位置づけの変容と、そこでのラブストーリー。
 ラストのまとめかたが鮮やか。

「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」
 この拷問話は痛すぎる。痛さに著しく弱いので、いちばん後ろに来ました。

◆関連リンク
光文社エンタテインメント Blog:
 3刷できました。新オビです。パネルも作りました。
 
咄嗟の判断でオリーブオイルをよける:
 「平山夢明とデルモンテ平山のゴミ鍋~大毅サイボーグになれ編 」

Edoardo Belinci ARTWORK Gallery
 表紙のイラスト「WATERMETER」のアーティストのギャラリー。
 ここ、なかなか素晴らしいので、明日の記事へ続きます。

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2008.06.08

■日本初の有人宇宙施設 ISS JEM
  国際宇宙ステーション 日本実験モジュール きぼう

Iss_kibou_mission_space
宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター - 宇宙航空研究開発機構:JAXA
JAXAフライトデイハイライト「きぼう」組立ミッション
  飛行7日目ハイライト (NASA TVのアーカイブ)
ミッション概要 (JAXA)

NASA TV STS124きぼう他ビデオ イメージギャラリー (NASA)

 相次ぐ延期で間延びしてしまったISS計画であるが、日本にとって今回のSTS124フライトミッションはクライマックスである。船内実験室がスペースシャトルで宙へ上がり、先に打ち上げられていた保管庫と組み上げられる。これは日本が開発して運用する初の有人宇宙施設となる画期的なイベント。

 上記リンクをたどると、凄い映像がいっぱいある。
 しかし日本のマスコミは何故こんな凄いイベントを報じないのか。いつもならNHKが特集を組んでいたはずが、今回は通常ニュースでの放映のみ(NHKの番組表を検索してもこれから先も特番は予定されていない)。そしてニュースの大部分は、星出氏の同窓生によるあの自作の歌。既に日本人が宇宙へ行くのは、ニュースネタとしては新鮮味がないということなのだろう。それにしても、日本の宇宙開発にとってはこんな凄いイベントだと言うのに、この扱いはないだろう。

 宇宙という領域が人類の未来を切り開く可能性に満ちたものである時代に僕らは育ったのだけれど、昨日から今日のNHKの編成に象徴されるように、現在は環境問題の方が大きな関心事なのだろう。
 日本人が研究開発した「きぼう」が今まさに宇宙で日本人の手によって稼動し始めたというのに、報道のこの貧困は、現在のマスコミの科学技術に対するスタンスの象徴だろう。(野田大元帥が健在ならきっとどこかで日本テレワークによるドキュメント番組が今頃放映されていただろうに、本当に残念です)。NHKはISSにハイビジョンカメラを積んでいるはずなのに、なにしてんだろ。

 マスコミの視聴率の問題はどうでもいい。だけれども子供たちの科学や技術や未来への興味やモチベーションの減退は、今後ボディーブローのように技術立国日本の未来に効いてくるのではないか。
 JAXAは無理してでも今回のフライトで、日本人宇宙飛行士による船外活動を実現すべきだったかも。今後の自身の予算確保という生命線を考えると、もしかして必須だったかもしれない。日本の宇宙開発がここまで来たのに、あ、また日本人がスペースシャトルに便乗して何かしてる、くらいの印象しか残していないとしたら、本当に今後の宇宙開発予算の死活問題だと思う。

Iss_kibou_open
 で、きぼうの店開きの映像。のれんがなんともいい味を出している。
 でもどなたのアイディアか知らないけれど、この画像のリアリティはなかなか凄い。今どき、技術系の会社や研究施設で全く使われていないのれんの登場は、やはりどっか間違った外国に迎合したジャパネスク趣味そのものなのだろうけれど、でもなんか良い味出ている。

 SFが書いたり映像化してきた日本の宇宙ものの中で、この光景を予測した創作物はあっただろうか。寡聞にして僕は知らない。まさに現実は小説より奇なり。
 次に飛ぶ若田飛行士のコメントと記事。「「早くのれんをくぐって、きぼうに入りたい」と意欲を語った。」

◆関連リンク
このビデオにのれんの取り付けられる映像。
 この実験モジュールは、人類にとってのきぼうなのでこのまま暖簾は残す、とのこと。
NASA TV 最新スケジュール:1Jミッション - 「きぼう」組立ミッション(JAXA)
ISS KIBOU (Youtube)

 最期に蛇足。実は今の仕事の前に、このJEMに積まれた小さな部品の開発を僕もやってました(計画が長かったので既に10年以上前の話)。自分の設計した部品が宇宙で稼動し始める、というのが嬉しい!ちゃんと動き始めるかは、ドキドキものですが、、、(^^;;)。

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2008.06.07

■宇宙軍大元帥 野田昌宏氏 宙へ旅立つ

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訃報:野田昌宏さん74歳 (毎日新聞)

日本のSFファンの代表的存在として「宇宙大元帥」のニックネームで親しまれたほか、作家としても活躍した。ガチャピンのモデルといわれる。

 今朝の新聞で知りました。先日のクラーク今日泊亜蘭氏と、今年はSF作家たちの訃報が相次いでいますが、とても残念です。今夜は宇宙に向かって、野田さんに黙祷を捧げたいと思います。

 右の写真は、野田さんから送ってもらったソユーズ宇宙船の欠片。日本初の宇宙飛行士の秋山豊寛氏が持ち帰られたものをフロッピィのケースに入れ、色紙として綺麗にまとめられています。SFマガジンの大元帥の連載エッセイのプレゼントに応募していただいたもの。うちの家宝です(^^;)。破片はソユーズのもので、TBS鈴木順アナウンサーの好意によるものとのこと。

 数年、リビングに飾っておいたので、すっかり日焼けしてしまっていますが、野田さんのサイン代わりの「あの逆三角形眉毛の顔」と自分の名前が描かれているのが嬉しい(名前はモザイクにしました)。

Noda_daigensui  一部拡大版も掲載。
 Shambleau Pressとか、加藤直之氏のカットが入っていたり、こういうこだわりが楽しい。氏のエンターテインメント精神がこんなところにも活き活きと表れています。

 SFの翻訳では、学生の頃、『キャプテン・フューチャー』や『スター・ウルフ』でワクワクし、著作『銀河乞食軍団』のべらんめいなスペースオペラを楽しませてもらいました。あと<日本テレワーク>ものも大好き。

 でもやはり僕にとっての野田大元帥は、SFマガジンの連載でのSFイラストの熱い紹介記事の数々が忘れられません。「SFは絵だ」の言葉は有名ですが、氏の紹介で観るアメリカのSFイラストの光り輝いていたこと。
 僕らは絵そのものを観ていたのでなく、神田の古書街で米兵が残していったSF雑誌を見つけた時のセンス・オブ・ワンダーを加味した野田氏の脳内イメージをそこに観ていたのだと思う。数々のエピソードとともに、それらのイラストを眺めるのは、本当に楽しい時間でした。

 そしてもうひとつは、野田氏の手による宇宙開発のドキュメント。
 『NASA これがアメリカ航空宇宙局だ』他、フロリダの現地からの氏の宇宙開発の現場のルポルタージュは、これも宇宙への夢と希望にあふれていて、ワクワクしました。

 今頃、野田大元帥はクロパン大王に乗って、銀河のどのあたりを飛んでいるのだろうか。これから僕らは宇宙を見上げるたびに、そんな想いを想い描くことになるんだろうね。合掌。

◆関連リンク
野田昌宏 - Wikipedia
SPACE FORCE GENERAL STAFF OFFICE
ガチャピン日記にはまだ訃報の記載はありません。
・2ch 【訃報】大元帥、宇宙に還える 野田昌宏さん-74歳
野田大元帥やすらかに(Youtube)

・(6/8追記) 野尻ボードにて野田さん追悼の文を、TBSの鈴木順氏が書かれています。
上のソユーズの破片についても触れられています。破片の正体は「ソユーズの二段ロケットのアクリル保護カバー」とのこと。

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2008.06.06

■山崎貴監督『ALWAYS 続・三丁目の夕日』

『ALWAYS 続・三丁目の夕日』 公式HP

 DVDで観ました。
 『河童のクゥと夏休み』&『続・三丁目の夕日』を同時に借りて、いっきに観たので、僕の涙腺はメロメロ。このとり合わせはお奨めできません(^^;)。

 今回も茶川さんの物語が良い味だしてます。茶川さん本人よりやはり淳之介くんの演技が素晴らしい。あと鈴木オート社長の堤氏の演技も。あの直動的なスタンスが昭和を体現。

 涙腺に来たのは、居候に来た美加の別れのシーン。
 薬師丸とのやり取りが特筆。丁寧な脚本と演技の勝利。

 山崎監督の次回作は時代劇らしい。今回、VFXらしいシーンを撮りたくて仕方ないのがひしひしと伝わってきたので(冒頭と飛行機とこだまのシーン)、是非このまま西岸良平のSFの映画化へ向かってほしかった。

 実は20年位前の西岸良平のSF短編漫画『ヒッパルコスの海』『地球最期の日』『タイム・スクーター』『赤い雲』『魔術師』の大ファン。何度読み返したかわからないくらい。

 あの横につぶれた顔のキャラクターで何故ここまで感情を揺すぶられるのか、いまだに謎な気もするけれど、独特な人間観と結構残酷なストーリー、SFとしては決して新しい話ではなかったけれど、あの独特の世界ははまります。

 で、『三丁目の夕日』のさらなる続編は作らない、と明言している山崎監督には、是非西岸良平のSFを撮ってほしいなー、と。(だめなら本作冒頭の○○○の新作!(今回、ここの出来も出色だったのでこれを望む人は多いと思う))

◆関連リンク
・山崎貴 CM 新世紀エヴァンゲリオン 
白組 『アーマードコア・フォー・アンサー』にも参加とのこと。

★以下、冒頭部分のネタばれ有。要注意。
【インタビュー】昭和33年の東京に突如出現したアイツの真相を山崎貴監督に直撃!!.

制作する上で意識したのは、○○○本体より、○○○が起こしていること。例えば、家やビルが吹っ飛んだり、都電が飛んできたりとか、そういう部分です。最近のハリウッドの優れたホラーやパニック作品って、本体よりも、そいつが起こす周りのことを描いていますよね。その手法できっちりやろうかな、と思ったんです。

【インタビュー】昭和34年の日本をVFXで再現
 どのシーンをどんな手法で撮るか

 映画でVFXを使うことの意味(マイコミジャーナル) 

そういう意味では○○○のシーンを撮れるということが、続編を作ると決まったときのモチベーションのかなり大きな部分を占めていました。あれは楽しかったですね(笑)」

 ここに群集生成ソフトMASSIVEを使ったと思われる羽田空港のシーンがある。

・当Blog記事『三丁目の夕日』実写映画化
  『ALWAYS 三丁目の夕日』 山崎貴監督

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2008.06.05

■ iPhone 3G SoftBank写真
  ソフトバンク版のお手軽写真とニュースクリップ

Iphone_softbank

 写真、あまりに芸がなくてすみません。いっそ孫社長の高笑いの顔の方が面白かったかな??(^^;)。
 この写真くらいゆるい記事ですので、読み飛ばしてください。物欲に眼がくらんでこんな記事に一時間もかけてる元Newtonユーザな私です。

 有機ELになるという噂(下参照)なので、手の中のムービープレイヤーとして期待。

「iPhone」について | ソフトバンクモバイル株式会社

SOFTBANK MOBILE Corp. today announced it has signed an agreement with Apple® to bring the iPhone™ to Japan later this year.

 昨日のSoftBank夏モデル発表で、孫正義氏がノーコメントにした次の日、いきなりの発表。ということは、Appleとの契約がまさに今日、締結したということでしょうか。

 んで、6/9 WWDC08で、3G版が発表されるとしたら、なんともタイトな綱渡り的スケジュール。本来は昨日発表したかったでしょうから、ギリギリの交渉が続いていたということなのでしょう(担当者は随分胃が痛かったのでは?あ、社長自らがJOBSと交渉か??)。
 しかも本命視されていたdocomoでなかったわけで、AppleはSoftBankから相当良い条件を引き出したと邪推できます。

 auユーザーの僕はどうせauはありえないと諦めていたのでdocomoユーザーよりショックは少ないですが、あー、SoftBankへの乗り換え、なんか乗りきれない。でもメチャメチャほしかったりします(^^)。(ちなみに僕のauケータイメニューは既にiPhoneアイコン。馬鹿です)

 どこもBlogは大騒ぎで今さらなニュースでしょうが、ニュースクリップしてみました。
 海外のサイトも検索したけど、全く新情報はないみたい。孫社長に直撃するメディアはないのか?

【緊急取材リポート】「ソフトバンクがiPhoneを発売!」の舞台裏を探る - 日経トレンディネット.

 つまりソフトバンクとしては、アップルの3G iPhoneの発表時に、何が何でもソフトバンクの名前を出したいのではないだろうか。そのために契約を急いだことにより、突然の発表になったのだと思われる。

これがソフトバンク版iPhone仕様?米ガートナーが次世代iPhoneを予想:ITpro.

 米ガートナーのケン・デュレイニー コミュニケーション担当VP兼最上級アナリストは、日経コンピュータに対して、次世代iPhoneの仕様を以下のように予想した。

・UMTS(W-CDMA)/HSDPAへの対応
・有機ELディスプレイの搭載
・それによる薄型化とバッテリー寿命の長期化
・メモリーカードには非対応
・バッテリーの取り外しは不可
・企業向けアプリケーションの充実(ただしメインターゲットは一般消費者)
・価格は現行機種と同等
・米国で夏ころ発売(6月または9月)

日本の iPhone、なんとドコモからは“ナシ”:Sky's The Limit "CNET Japan EXTRA" - CNET Japan.

ソフトバンクモバイルの一ラインナップとしての発売なのか、それとも噂になったMVNO(Mobile Virtual Network Operator)としての参入もあるのか。

Cult of Mac » Blog Archive » Hot Tip: iPhone 2 Features Detailed — 3G, GPS, 2xRAM, Thinner, Better Battery and Only $200.

・3G
・GPS
・2 x memory (16GB and 32GB)
・22 percent thinner
・Better battery life

やはり林信行氏のコメントが気になります。さがすと、、、。

nobilog2: 3G版iPhone、今晩か来月か?そして日本では?.

ところで、3G版iPhoneが登場するとしたら、もう1つ気になるのが日本版iPhoneが出るか否か。そして、出るとしたら、どこのキャリアからでるか、という話題だ。  これについては、Prediction.jpというサイトで、仮想の通貨を使った賭場を用意したので、興味のある人は参加してみて欲しい

Prediction.jp | 6月、日本版iPhoneが発表される.

BETの方ですが、私は「ハズレ」ですが、「docomoとSBMの両方」にBETされている方も多いので、日本時間の来週火曜日までは、決着をのばそうと思っています(まるでヒラリー・クリントン)

 このコメントが「ゲスト」となっているけれど、林氏のコメントのようだ。
 火曜日までに貴方もdocomoの未来に賭けてみます?まずは明日の株価がどう動くか。

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2008.06.04

■アニメーションノート No.9 「特集:メカを描く」

アニメーションノートNo.9「メカを描く」 誠文堂新光社

メカデザイナーの精巧な描写、想像を絶するフォルムや表現の世界を今注目の作品から紹介します。
〈目次から〉特集:メカを描く/マクロスF/大久保淳二/アーマード・コア フォーアンサー/タチコマ/山根公利/森本晃司/墓場鬼太郎/湯浅政明/他

 4月に出た本だけれど、実はやっと書店で眼にしました。
 知りたかった『アーマード・コア フォーアンサー』のことや、表紙のとおりタチコマのデザイナー寺岡賢司氏のインタビュー等、充実した内容。もともと、メカデザインに興味大なので、即購入(^^;)。充実した内容に満足。(でもインタビューはこの2倍くらいのボリュウムが希望)

 以前取り上げた現在最高峰の3D-CGロボット映像『アーマード・コア フォーアンサー』のムービー部分、クリエーターはフロムソフトウェア鈴木利幸氏と前田繁氏。

 絵コンテとか、デザイン画のプロセスが描かれており、興味深く読めた。願わくばあのロボットのテクスチャーだとか、質感の表現について、テクニカルな内容にも切り込んでほしかった。この映像レベルで描かれた長編ロボットCG映画が観たいのは僕だけではないはず。期待してます。

◆関連リンク
出雲重機 本書で取り上げられているイラストレーター大久保淳二氏のHP。
大久保 淳二『出雲重機』 (amazon)

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2008.06.03

■辻 惟雄『奇想の江戸挿絵』

辻 惟雄『奇想の江戸挿絵』(amazon) 試し読み(集英社公式HP)

(略)北斎・馬琴の『新編水滸画伝』『椿説弓張月』から無名の作者、絵師の作品に至るまで、幽霊や妖怪、異界のものたちが跋扈し、生首が飛び、血がしたたる、残虐とグロテスクに満ちた「奇想」のエネルギーが横溢しており、斬新な技法、表現、意匠の実験が絶えずくりかえされている。

・はじめに 江戸後期挿絵の魅力
・第1章 「異界」を描く ・第2章 「生首」を描く
・第3章 「幽霊」を描く ・第4章 「妖怪」を描く
・第5章 「自然現象」を描く ・第6章 「爆発」と「光」を描く
・第7章 デザインとユーモア

 日本人は静的でなく、動的な絵を描くことを昔からしていた、という言説とその例示としてのダイナミックな奇想画のコレクション。随所に現在の漫画、アニメの文脈へとつながっていくイメージが散らばっている。

 特に「自然現象」、「爆発」と「光」とか人物のクローズアップとか。
 大友克洋『AKIRA』の絵との比較にも触れられている。当時の読者へのインパクトが、現代人が大友漫画を見たのと同じものだったのではないか、と書いているところがさもありなん。江戸の町で、和紙に印刷された浮世絵で、大友漫画と同じサイバーパンクな感覚を江戸人が楽しんでいたかと思うとリアル。

 よく日本人は平面(2D)、欧米人はかたまり(3D)で事物をとらえていて、工業デザインにその嗜好が表れている、という記述はみたことがあり、事実自動車デザインにそれが顕著なのも実感していたのだけれど、ここに動的/静的という対立項を持ち込むと、もっと面白い分析になるかもしれない。本書でもそれほどこの部分は記述されていないが、今後、折に触れ考えてみたいと思った。

 では、インパクトのあった絵の紹介(残念ながら図版はネットにはほとんどないので、興味がわいたら是非本書、ご一読を)。

P27 月霄鄙物語. [前],後談 / 四方歌垣主人 著 ; 柳々居辰斎 画

 この火車の映像の迫力が凄い。色を思わず想定して見てしまうダイナミックな絵。

P92 戯作者神屋蓬洲「天縁奇遇」の全身口だらけの妖怪野風。

 この描き込みは素晴らしい。水木しげるの緻密画にはかなわないけれど、この土俗的な感覚がとてもいい。この野風の絵が引用してある→Hugo Strikes Back!さん: 読んだ本「奇想の江戸挿絵」

P99 馬琴『十三鐘孝子勲績』の挿絵
 丸い目の妖怪のキャラクター性が際立っている。

P105 歌川広重『平清盛怪異を見るの図』

 多数の髑髏が庭に現われている図 夢幻なタッチがたまりません。

P121 蹄斎北馬『尼城錦』 

 陰影を利用したモダンなタッチの狐の絵。これ、結構怖い。

P152 北斎『新編水滸画伝』

 火山以外には当時見る機会のなかったはずの爆発を描いた迫力の一枚。 
 閃光の描写が素晴らしい。

P162北斎『霜夜星』 

 瓦の落ちるシーンにスローモーションの技巧が使ってある。当時の究極映像である。

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2008.06.02

■原恵一監督『河童のクゥと夏休み』&『クゥの映画缶』

『河童のクゥと夏休み』(amazon)

 DVDで『河童のクゥと夏休み』を観た。原恵一監督の演出の妙を堪能。

 やはり圧巻は東京タワーのシーン。
 マスメディアによる異常な報道、人間の醜かいな様を積み上げて描写。
 そして対比して示される河童と犬の自然な反応。

 ここで河童という異界によって、人間界の異様さが逆照射される。東京タワーでクゥを呼ぶコウイチと振り向かないクゥというところもある意味、主人公家族たちをも異様な人間たちの仲間である、と一瞬描写しているところが原演出の秀逸なところだと思う。

 特に気持ち悪いのが、一般人のカメラとケータイの写真の砲列。(自分もやりそうだから、なんとも言えないのだけれど)子供の学校の運動会で、写真を撮る親たちの異様な熱意に通じる気持ち悪さ。こんな名前のBlogをやって映像に執着を持つ人間が云々できる話じゃないけれど、どうしてこうも日本人は写真を撮るようになったのか、というところを考え込まざるを得ない。

 原監督は、ケータイも持たずネットもやらない、文明の利器への懐疑心を持っていると聞く。我々は今一度、記録する映像と、思い出のみの記憶の映像との価値を問い直さないといけないのかもしれない。

 演出の妙、というところでは、特に印象に残ったのは、クゥと二人で遠野へ旅に出る主人公康一の旅立ちのシーンと、康一と紗代子の別れのシーンの対比。

 旅立ちに際して振り返らない康一と母の涙。そして紗代子に対して、振り返る康一。その後の肩を落として歩いていたのが、次に頭を前へ向けて力強く歩き出す紗代子の動きの演出。登場人物たちに込めている監督の心づかいが伝わってくるようなこうした細かい芝居が丁寧に積み上げられて原恵一監督作品が我々のところへ想いを伝えてくる。

Eiga_kanクゥの映画缶(ボイジャージャパン公式HP)
「河童のクゥと夏休み」メイキングブック配信
  新しいデジタル出版の道

 『クゥの映画缶』で圧巻なのはその資料の分量である。2時間18分の本編約1500カットから抜き出された作中画面は4865ページ(コマ)、絵コンテは全てを収録した862ページ、原監督による絵コンテに対するコメントブックは434ページにのぼる。

 このメイキングのデジタルコンテンツは凄い。
 監督が原作の本と出合った書店 童話屋の写真まで掲載。微に入り細をうがつこの圧倒的な情報量が凄い。
 しかもこのコンテンツをわずか525円で楽しめる。即登録して観てみた。
 残念ながらコンテンツは90日間しか観えない。できればダウンロードかもしくはCD-ROM(DVD-ROM)として販売してほしいもの。なかなかこの手の作品は、ムックとか出にくいので、こうしてデジタルの恩恵で詳細を知れるのはとても嬉しい。(DVDの感想と裏腹にこうした文明の使い方は「是」でしょう(^^;)。) 原ファンの浜野保樹氏が関与されてできた企画なのかも。

 あとこれをやっているボイジャージャパンって、MACでEXPAND BOOKとかやっていたところですよね?こんな形で継続してデジタル出版をされていたのを知らなかったので、なんかとても懐かしい気持がしてしまった。今後とも映像メイキングのデジタル出版を活発にやってほしいものです。

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