« 2008年3月2日 - 2008年3月8日 | トップページ | 2008年3月16日 - 2008年3月22日 »

2008年3月9日 - 2008年3月15日

2008.03.14

■NHK BS2 今夜初放送!! 昭和演劇大全集
  第三舞台 『朝日のような夕日をつれて'87』

Asahi_chirashi 昭和演劇大全集 第三舞台の
「朝日のような夕日をつれて’87」

(NHK公式HP) 番組ホームページ

BS2 NHK衛星第二
放送日:2008年 3月14日(金)
翌日午前0:15~翌日午前2:40(145分)
80年代に旋風を巻き起こした、劇団第三舞台の旗揚げ作品にして代表作。今回放送されるのは87年の再演ヴァージョンで、今回が初放送。
【解説】渡辺保,【きき手】高泉淳子,
~東京・紀伊國屋ホールで録画~

朝日のような夕日をつれて'87 第18回公演
  (第三舞台 公式HP)

公演情報
1987年 7月22日~ 8月17日:東京/紀伊國屋ホール  
1987年 8月21日~23日:名古屋/フレックスホール  
1987年 8月26日~31日:大阪/近鉄小劇場  
1987年 9月 5日~10日:札幌/本多劇場
作・演出: 鴻上尚史  
登場人物:出演  
部長・ウラヤマ: 大高洋夫 社長・エスカワ: 小須田康人
研究員・ゴドー1: 勝村政信 モニター・ゴドー2: 筧利夫  
少年・医者: 伊藤正宏  

 今朝、新聞の番組表で観て、びっくり。
 TV初放映!! 以前にDVDは出ていたけれど、この芝居がTVで全編放映されるというのは画期的。

 僕はまさにこの87年版をフレックスホールで観たのが第三舞台の初見。この舞台で、はまったので思い出深い一篇。
 名古屋で第三舞台が公演したのは確かこの一回こっきり。これをもし見逃していたら、きっと第三舞台と接点を持つことはなかったので、今、思うと自分にとって凄く貴重な公演。
 とにかく僕の(数少ないけれど)観劇ベスト1作品。
 コミカルでクールでハードでラジカルな舞台が、あと一時間で開演です。
 Roxy MusicのMore than thisを聴きながら待ちましょう。

◆関連リンク
DVD『朝日のような夕日をつれて’87』

 新商品開発と幻の女性をめぐって、七転八倒、遊戯の果てに立ちつくす「立花トーイ」の男たちと、「ゴドーを待ちながら」の世界が交錯する。第三舞台代表作の'87年版。
 単品では朝日'91と本作のみですが、朝日'97が『第三舞台Vintage Box』の1の方に収録されていますよ。

『朝日のような夕日をつれて―第一戯曲集 (1983年) 』(amazon)


| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.03.13

■山本 弘 『アイの物語』

山本 弘『アイの物語』(amazon)
作者解題 (山本弘のSF秘密基地)

 現実はフィクションほど筋が通ってはいない。物語のように理想的なハッピーエンドを迎えることはほとんどない。ハッピーエンドを書けば「甘い」「そんなことあるわけない」「現実離れしている」と批判する人もいる。だが「そんなことあるわけない」のは、作者だって百も承知である。
 これはフィクションにすぎない。ひとかけらの事実も含まれてはいない。だが、フィクションだからこそ素晴らしいものもあるはずだ。

 いろいろな切り口で読める、噂に違わぬ傑作だった。
 まず主題として、フィクションが持つ価値についての物語。「機械とヒトの千夜一夜物語」とあるように、ロボットが語る複数の物語から焙り出されるフィクションの意味、これがまず素晴らしい。SF読み、かつ現実というよりは頭はいつもフィクションに浸っているような我々(僕だけ?)にとって、凄く共感できる。

◆未来の地球知性の進化ヴィジョン

 次に機械知性による地球の未来の描写。
 宇宙探査について描かれたこうしたヴィジョンはどこかのSFでたぶん読んだことがあると思うけれど、 最終話で語られるのはかなり迫真のヴィジョンである。未来にこんな光景が本当に現れるかもしれないという幻視力。ここは素晴らしいなー。

 このクライマックスの描写から、今現在、地球へ別の星から人工知能体が来ていないとすると、もしかして知的生命は地球にしか登場しなかったのではないかと思える。こんな想像をさせてしまうのもこのストーリーのプロットがコンセプトとして非常に優れているからだと思う。

◆何故人を殺してはいけないのか

 世の中で最近よくなされるこの問い。
 シンプルに答えられるはずなのに、何で迷ったり複雑怪奇な言説が出てきてしまうのか、不思議に思っていたのだけれど、山本弘はズバリと回答を書いている。そしてその答えをシンプルにロボットの知性の骨格に据えて、人間にはなしえない世界を描いている。

 本書冒頭で山本氏の娘さんへの言葉が掲げられている。
 この部分は、自身の子供と現代の子供たちへ向けた氏のメッセージだと思う。

 ゲド・シールドという言葉で人の持つ業を説明している。それによる人の限界と機械知性の可能性。SFらしいアプローチで丁寧に倫理を描いている。今の時代、なかなか貴重なことだと思う。(うちの子供たちにも読ませたいけど、読まないんだよなー、これが(^^;)。)

◆機械知性の意識への疑問

 と書きつつ、実はここで描かれた、人の限界と機械知性の対比には、実は僕はかなりリアリティとして疑問を持った。(冒頭で書いたようにフィクションとしては全然OKなのだけれど、、、)。

 というのは、ロボットが意識を持つ過程を書いていないことに起因する。僕にとってはこの本のひとつ残念な点である。

 乱暴にまとめると、本書の機械知性は鉄腕アトムと同じ。つまり意識の生まれる過程ではなく、本書の人工知能はすでに意識らしきものをはじめから持っていて、描かれているのはそこに自我が生成していく過程のみ。

 実は意識とゲド・シールドというのは原理的に非常に密接な関係があるんじゃないかと思う。極論すると、ゲド・シールドこそが意識そのものって感じがするので、果たして本書で描かれた意識を持った機械知性が本当にゲド・シールドからこれほどフリーでいられるのか、甚だ疑問だなー、と思いつつ読んでいた。

 と、最後暴走して全く自分のあやふやな観点で批評してしまったけれど、連作短編としてこれだけ力のある作品はなかなかないと思う。非常に丹念に人工知能のありようを地に足のついた描写で書いていて、フィクションの魅力にあふれた一冊。お薦めです。

◆当Blog記事 人工知能の意識関連リンク
意識を持ったロボット
無意識の脳活動と芸術家の「半眼」 
神林長平が描くロボットの意識『膚の下』 
茂木健一郎 『プロセス・アイ』Process A.I.

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.03.12

■新海誠監督『秒速5センチメートル』

5secvert 秒速5センチメートル(公式HP)

 この監督の作品はどうも好きになれない。

 今回も素晴らしい背景映像には、とにかくため息。
 桜の季節感とか夏の黄昏時の光の再現。映像だけで懐かしさを感じさせるこの空気感の表現力が素晴らしいと思う。

 映像だけでこれだけ力があるのだから、あえて登場人物の日記とかメールを用いて心象描写をナレーションにする必要はないのではないか。

 その甘ったるい言葉の数々がかぶさることで、まるで洗練された美味しそうなケーキに、ドパドバと砂糖をかけて食べるような残念な映画になっている。と感じるのは僕が単に草臥れた中年だからだろうか、、、(^^;;)。(でもいっしょにDVDを観ていたうちの娘たちもそのナレーションにはひいていた)

 映像でこれだけ力があるのだから、クールな作家にダイアローグを書かせたら素晴らしい傑作になるかも。

 今回特に桜のシーンと、第二話冒頭の別の惑星のような凄い情景に息を飲んだので、あえてこんな感想を書いてみました。

◆関連リンク
Other voices -遠い声-.(新海誠HP)

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2008.03.11

■『電脳コイル』が切り拓くSecond Life以後の近未来サイバーワールド

Coil04_battle近未来社会の枠組みとインフラを構想する対談
「『スノウ・クラッシュ』から『電脳コイル』へ」

   とうりすがりさんのコメントより

鈴木 健氏:  もともとは,(略)「Second Life」のような仮想世界における社会制度の可能性を議論すべく始めたんですけど,微妙に行き詰まりを感じたときに「電脳コイル」がやってきて,「これだ!!」みたいな感じになったのです。オーギュメンテッド・リアリティ(拡張現実,強調現実)には可能性があるので,盛り上げていこうかと。今年の3月から5月の間に,何度か研究会を行う予定です。

山口 浩氏:  (略)「電脳コイル」を生み出した国としては,ほかの国の規格を使いたくないじゃないですか(笑)。

4Gamer:  なるほど(笑)。つまり現実的な構想をある程度固めて,コンセプト提案すべきだと。

OGC 2008:Online Game & Community service conference
【講演・仮想世界研究】 3/14(金) 12:15-13:00

講演:ここにある仮想世界~「スノウ・クラッシュ」から「電脳コイル」へ
講演者:GLOCOM仮想世界研究会 山口浩氏  鈴木健氏

内 容:(略)GLOCOM仮想世界研究会から、山口浩氏、鈴木健氏にご登壇いただき、仮想世界のとらえ方、認識について「電脳コイル」を切り口にお話いただく予定で す。

 長い抜粋ですみませんが、これはなかなか刺激的なアプローチ。ITビジネスのコンセプトとして、セカンドライフ以降を考える切り口としての『電脳コイル』。

 これ、本来なら電脳コイル世界の発明者である磯光雄監督を交えて議論してほしい。
 そして産官学で実際に、電脳コイルプロジェクトを立ち上げたらいいのに(^^;)。

 磯監督はコンピュータにも強いみたいなので、このアイディアを核に、アメリカのベンチャーキャピタルに金を出させてIT起業すれば面白い。(でも我々としては彼のアニメ作品が観られなくなるのは辛い(^^;;) ITのコンセプトとしては、はっきりいってセカンドライフより産業規模を期待させる。やり方によっては、GoogleやYahooよりも実世界への影響力があるIT技術になるのかもしれない。

 でも今から電脳コイル的ITの特 許を書こうとする技術者がいるとして、既にアニメであれだけのアイディアが提示され公知となっているので、今から新しいクレームを権利化するのは結構、難しいだろ う。もともとヴァーチャルリアリティやARという技術のネタがあった上での「電脳コイル」コンセプトではあるが、アニメの企画が現実を推進するとしたら、なかなか痛快だ。

 そして現実化していくとしたら、NAVIとかに使う真面目な取り組みだけでなく、是非街に巨大ロボットもしくは怪獣を登場させて、パワードスーツ的なものをインタフェースとして戦うとか、そういうのも期待。もちろんこのサブプロジェクト名は「黒客クラブ」(^^;)

◆関連リンク
「スノウ・クラッシュ」解読:鈴木健の天命反転生活日記 - CNET Japan.

去年1年の仮想世界研究の話題といえば、セカンドライフではじまり、電脳コイルで終わったといっていいだろう。そこで、この流れを総括し、いくつかのエントリーをシリーズで書いていこうと思う。

アニメーター磯光雄と金田伊功と脳の構造の関係

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2008.03.10

■「絶対孤独の表現者たち アウトサイダーアートの世界」
新日曜美術館 KPO閉館現代アート発信の20年

Yanobe_kpo 絶対孤独の表現者たち
 アウトサイダーアートの世界|新日曜美術館

2008年3月9日放送
出演 ヤノベケンジさん(美術家)
    林 容子さん(アートプロデューサー)

画期的だったのは、ジャンルを問わず、エンターテインメント性を追求したこと。お客の足を止めるようなインパクトのある作品を、20年にわたって発信し続けた。さらに、まったく無名の新人を発掘、ヤノベケンジや大島早紀子などを世界的なアーチストに育てた。

KIRIN_KPOキリンプラザ大阪 閉館のお知らせ
過去の展示会

 僕も10年以上前に一度だけKPOへ行ったことがある。既に誰の展示だったか記憶のかなたなのだけれど、なかなか刺激的な場所だったことだけは覚えている。

 番組は第一回のアワードでグランプリをとったヤノベの話を冒頭において、KPOの開拓したことと後年企業のコンプライアンスとアートの先進性の乖離によって運営にひずみが出たという内容で興味深かった。(食品会社のメセナで豚の血が溶けるところの映像を展示していいのか等々)

 ヤノベファンとしては、受賞によってヤノベがアーティストとなったことに感謝。番組で初めて見た1991年のKPOでの初個展の映像とその企画書が貴重だった。

 

 あと番組の最後で映し出された京都造形芸術大でのヤノベケンジ教授によるウルトラファクトリーというプロジェクトがまた楽しみ。
 招聘したアーティストの製作現場に学生を触れさせることによって、ものづくりの刺激を与えていく、というこころみ。建造中の巨大な工房「ウルトラファクトリー」でどんな作品が誕生するのか、今後に注目したい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年3月2日 - 2008年3月8日 | トップページ | 2008年3月16日 - 2008年3月22日 »