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2008年5月25日 - 2008年5月31日

2008.05.30

■Massive搭載ロボット Zeno:ジーノ

Zeno_by_massiveMassive搭載ロボット Zeno:ジーノ 
 MASSIVE(公式HP)  Massive Robotics
 Robot Driven by Massive Software Brain
   Debuts at Wired Nextfest

The vision and decision making components in Massive Software give Zeno the ability to navigate, make facial expressions, and move his body based on what he sees in his physical environment. The video coming in from Zeno's eye camera is fed into the Massive part of his brain so that he can move appropriately and respond emotionally to what is going on around him.

 MASSIVEの本国サイトを見ていたら、びっくり。
 なんとこのAIソフトを搭載したロボットがあるらしい。

 調べて行くと、例のアインシュタインやPKディックロボットを作ったHanson Robotics :: Conversational Character Robots ::製の二足歩行ロボット・ジーノ。

 このロボット、体のデザインと歩行は、ロボ・ガレージの高橋智隆氏氏が担当しているらしい(Robot Watch)。しかし顔はHanson Roboticsらしいデザインで、表情が生々しい。
 日本のロボットよりも人間っぽいヒューマノイド。これに人らしい動きをまわりの状況を判断しながら生成するMASSIVEを入れたらかなりのものでしょう。

 今後、これがMASSIVEで群衆として数十体同時に動きだしたら、かなり気持ち悪いだろう。確実に人間とロボットとの間の不気味の谷おち。(でもどうせそんなソフトを実装してるなら、早くそんなビデオが観たい)。CGの仮想空間ではぐくまれたAIが、リアルな世界にロボットの体をまとって出現する。まさに飛 浩隆『ラギッド・ガール』の現実化である。

◆関連リンク
ZENO Blogもある。もちろんBlogはAIが書いている(わけはない(^^;))

フィリップ・K・ディック アンドロイド・プロジェクト

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2008.05.29

■Massive:マッシブ 自律型群衆シミュレーション

Massive マッシブ 自律型群衆シミュレーション 群衆生成
 Massive > デモムービー MASSIVE - Wikipedia

Stephen Regelous がVFX業界のために開発した。数千から数万の個別に動くエージェントを容易かつ迅速に生成できる。ファジィ論理を使って、各エージェントが周囲の状況にそれぞれ独立した反応を見せるようにできる。

 『父親たちの星条旗』をBlu-Rayで観た。戦闘シーンのCG作りこみがリアル。実際の硫黄島の戦場写真が最後に映されるが、かなり忠実に映像化されていたようだ。

 で、ディスクに入っていた特撮メイキング映像でMassiveのことを知った。MassiveとはMultiple Agent Simulation System in Virtual Environmentの略。
 『ロード・オブ・ザ・リング』の特典映像のどこかで、ピーター・ジャクスンが人工知能を持ったCGソフトで群集を生成した、というコメントをしていたが、その時はどんなソフトかわからなかったが、やっと『父親たちの星条旗』で判明。

 たぶんCGに少し詳しい人達には、周知の事実なんでしょうね、このソフト。(遅くてすみません)
 『キングコング』『ナルニア』『300』『I, ROBOT』『ハッピーフィート』『アント』と名だたる群集映画がこのソフトの恩恵を受けているとのこと。

Massive > 製品概要

自 然な知覚
人口生命技術ベース。Massive のキャラクタは、聴覚や触覚を持ち、環境に対して自然自律的に振舞います。

微妙な動きに対するファジー理論
ファジー理論を用いてキャラクタのリアクションをデザイン。
キャラクタはより自然に、ロボットのバイナリ原理的なぎこち無さ無くリアクションします。

 リンク先のベンダーのページで見るとソフトが350万円。
 エキストラを一日1万円で雇ったとしたら、約100人を3日間拘束したのと同じ金額で(^^;)、いつでも数千人の人間を動かせるわけだ。

 リンク先のデモムービーにピーター・ジャクソン他、各SFXスーパーバイザー他のコメントが入っている。このソフト、いろんな状況を再現するエージェントがあるらしい。

 音にも反応できるAIとか、剣同士の戦い等々。当然、衝突などの物理的なシミュレーションも実現している。

 モブシーンと言えばアニメでは宮崎駿だが、彼の描くモブシーンは個々の人間がかなりひょうきんな動きをして観ていて飽きない。MASSIVEもオプションで「宮崎」というそんな動きを作りだすAIを作ったらいいのに。

 日本のアニメータは、これらソフトが目標とするリアリティとは異なる方向へ舵をとっていくことが必要なのかも。

 明日は引き続き、Massiveネタ。このソフトを搭載したロボット、Zeno:ジーノについて。 

◆関連リンク
Massive > 動作推奨環境.

オペレーティングシステム: Red Hat 7.3, 9.0, Fedora Core 2
PC推奨環境: 2 - 3 Ghz Pentiumプロセッサ
1 - 2 GB のRAM
Nvidia Quadro グラフィックカード(FX3000以上推奨)

最低機能環境: 1 GHz Pentiumプロセッサ
512 MB のRAM
Nvidia GeForce グラフィックカード

 OSはLINUXらしいけど、これならうちのノートPCでも動く。



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2008.05.28

■ラース・フォン・トリアーの新作2本
  『The Boss of It All』『Antichrist:アンチキリスト』

The_boss_of_it_allThe Boss of It All(英国) 米サイト

 これはIT企業の社長に俳優がなるというコメディ。06年の作品だけれど、日本ではまだ未公開。もしかして『ドッグヴィル』『マンダレイ』があんなだったので(いや、僕は傑作だと思うけど)、配給会社が二の足を踏んでいるのか?

 ラース・フォン・トリアー監督でコメディというのは僕は観たことがないのだけれど、どんな作品になっているんだろ。

Apple - Trailers - The Boss of It All - Trailer
Direktøren for det hele(原題)

Antichrist (2008) (IMDb)

ホラー映画の主張: フォン・トリアー監督、次回作はホラー作品か

この世界は“神”ではなく“サタン”によって創られたという設定の作品

ラース・フォン・トリアー、新作『アンチキリスト』撮影を鳥に邪魔される!?(eiga.com)

ドイツで始まった新作「アンチキリスト(Antichrist)」のプリプロダクションが一時中断の憂き目にあったことをドイツ側の出資者が明らかにしたが、その理由というのが、メインのロケ地として考えていた場所にコウノトリが巣を作ってしまったことにあるらしい。

 トリアーでこのコンセプトの映画は相当期待してしまう。鳥の邪魔が入らないのを願うばかりである。

 三部作の最後になるはずの『ワシントン』はまだ先のようだけれど、これらの作品が(たぶん)ハードな『ワシントン』への助走になっていることを祈りたい。

◆関連リンク
<2006年コペンハーゲン国際映画祭>オープニングにラース・フォン・トリアー監督の新作上映 - デンマーク 写真2枚 国際ニュース : AFPBB News

当Blog記事
『ドッグヴィル』   LARS VON TRIER "DOGVILLE"  
『マンダレイ』   LARS VON TRIER's "MANDERLAY"

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2008.05.27

■チェコ ラテルナ・マギカ:Laterna magika
   『ワンダフル・サーカス:Kouzelny Cirkus』映像

air artlog: #4 映像舞台芸術の粋、ラテルナ・マギカ。

知る人ぞ知る映像を使った舞台パフォーマンス、ラテルナ・マギカ。これはメディア・アートのルーツとも言われているそうです。今も、プラハの町にはラテルナ・マギカ専用のシアターがあるのです。

 昨日の『ラギッドガール』に関係して、ラテルナ・マギカの映像がネットにあったのでご紹介。
 ここに動画と解説があり、シュヴァンクマイエル制作の映像も後半に入っている。これはたぶん日本で初めて観られる映像。

◆関連リンク
当Blog記事
チェコプラハ ラテルナマギカ
ヤン・シュヴァンクマイエル他『ワンダフル・サーカス』予告編@ラテルナマギカ  Kouzelny Cirkus (Wonderful Circus) @ Laterna magika

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2008.05.26

■飛 浩隆『ラギッド・ガール―廃園の天使Ⅱ』

飛 浩隆『ラギッド・ガール―廃園の天使Ⅱ』

人間の情報的似姿を官能素空間に送りこむという画期的な技術によって開設された仮想リゾート“数値海岸”。その技術的/精神的基盤には、直感像的全身感覚をもつ一人の醜い女の存在があった―“数値海岸”の開発秘話たる表題作、人間の訪問が途絶えた“大途絶”の真相を描く書き下ろし「魔述師」、“夏の区界”を蹂躙したランゴーニの誕生篇「蜘蛛の王」など全5篇を収録。

 硬質な文体で綴られる幻想的でシュールで、そして痛い傑作。
 飛 浩隆氏、きっとジェームス・ティプトリーJr.「接続された女」とかジョン・ヴァーリー「ブルーシャンペン」とか好きなんだろうなー。阿形渓というキャラクターの造形とかサイバーな感覚とか、直接的ではないにしても同様のイメージを感じた。

 ということで調べてみたら、下記のような記事が。

2006年度第6回Sense of Gender賞 大賞
飛浩隆『ラギッド・ガール―廃園の天使2』)

短編「ラギッド・ガール」は、露骨に「接続された女」の影を匂わせているにもかかわらず、実は執筆にあたり(その後も)一度も読み返さないままでした。
というのも「ラギッド・ガール」に専念した七ヶ月のあいだ、私の視野をおおっていたのは阿形渓嬢の圧倒的印象であり、それと格闘するだけでいっぱいいっぱいだったからです。
格闘の相手は印象であり質感であって、つまりは言語化以前の領域でした。そして、阿形渓の質感とこすれ合うことによって、さらなる怪物、安奈・カスキがしだいしだいに飛の中から研ぎ出され形を得ていった、という記憶があります。(略)

 AIの描写とか意識について深く考察した記述が多く、「質感との格闘」というのが的確に物語の雰囲気を表現している。作家の頭の中の「質感」として立ち現れた登場人物や物語を文章として紡いでいく「格闘」。このような意識的な「質感」の表現が丁寧にひとつひとつ硬質な言葉づかいをされた物語に結実している。

 官能素空間について、「感覚器官のふるまいを律儀に計算し、その延長上に人間の意識を描きだそうとすれば、少なくとも体内で生起するあらゆる電気的、化学的反応を逐一計算しなければならない。とうてい実現不能なその難事を正面から解決せず、間に合わせの便法で済まそうとするのが、情報的似姿の本質だった」(P166)と記述されている。

 感覚器官と意識の間に横たわる人間の世界認識のメカニズムが、人それぞれ固有の世界像を形作っていて、それが個性の大部分を占めるような気もしている。少し違和感を持ったのは、そこを官能素として統一してしまうと、各個人がそれぞれに把握する世界像の差がなくなってしまうのではないか、ってこと。そこのところの違和感について、次作『空の園丁』で描きこまれていたら面白い、と個人的に思った。

◆「夏の硝視体(グラスアイ)」
 漁師ジョゼと少女ジュリー、グラスアイの発見『グラン・ヴァカンス』の前日譚的物語。
 『グラン・ヴァカンス』と同じ<夏の区画>が舞台。

◆「ラギッド・ガール」
  官能と残虐の描写が冴えている。ヴラスタ・ドラホーシュ教授のキャラクターが秀逸。「人間の意識と感覚は、秒40回の差分の上に起こる」。小説の読者と登場人物の関係の本質と、そこを伏線としたラスト。特に終盤の6ページの変転は素晴らしい。

◆「クローゼット」 
 死んだ恋人の残された似姿の再生。多重現実と“数値海岸”の組合せで現れる新たなイメージ、ここからまだまだ多くのワンダーを生みだせそうだ。

◆「魔述師」 
 〈数値海岸〉の〈大途絶〉の真相を東欧(チェコ?)を舞台にして描いた一編。
 このタイトルの原題はLATERNA MAGIKA:ラテルナ・マギカ。本書では〈数値海岸〉を運営する会社がラテルナ・マギカ社。そして飛氏のHPのタイトルがラテルナ・マギカ。あれ、HPは確認したら題材不新鮮というタイトルに急に変わってる。
 僕の知っているラテルナ・マギカはチェコの劇場とそこで上演される映像と演劇を融合したパフォーマンスの名前(日本の大阪万博にも来てたらしい)。(当Blog記事 チェコプラハ ラテルナマギカ)。
 映像とリアルが混在するチェコの舞台に刺激されてこのネーミングを付けたのだろうか。
 似姿が体験してきた仮想世界を再生して体感する<数値海岸>とチェコの映像を再生して演じられる舞台。どこか近いものがある??

 この短編、鯨の映像的なイメージとAIの人権問題というネタが効いている。

◆「蜘蛛の王」 
 『グラン・ヴァカンス』の〈夏の区界〉に登場したランゴーニのエピソード。〈汎用樹〉区界という世界設定も素晴らしい。

 『空の園丁』の刊行が待ち遠しい。

◆関連リンク
ラテルナ・マギカ Laterna magika Národní 4, Prague 1(CSA-jp.com)

ラテルナ・マギカの歴史は、1958年ベルギーはブリュッセルで開催された万国博覧会までさかのぼります。当時のチェコ・パヴィリオンにおいてのプログラムがラテルナ・マギカと呼ばれ、後にこの劇場の名前として与えられました。プログラムは言葉を使わず、フィルム・プロジェクターに、ライヴの動きであるダンス、音と光、パントマイム、ブラックライトシアターの要素をからめたパフォーマンスで、劇場は世界中を巡りました。

 「ラテルナマギカ」は、言葉の意味としては、元々「幻灯機」のことのようですね。

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