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2008年9月28日 - 2008年10月4日

2008.10.04

■『ULTRA FACTORY ウルトラファクトリー展』探訪記・3
 パパ・タラフマラ「ガリバー&スウィフト」
 ヤノベケンジの舞台装置と劇団リハーサル

Vert パパ・タラフマラ
ガリバー&スウィフト
 作家ジョナサン・スウィフトの猫・料理法

公演日:08/10/9(木)~08/10/12(日)
会場:東京グローブ座 (東京都)

作・演出・振付:小池博史  
舞台美術・オブジェ:ヤノベケンジ
作曲・演奏:松本淳一(エレクトーン)/デワ・ライ(ガムラン)  
オブジェ:田中真聡

 ウルトラツアーの白眉は、ウルトラファクトリーでヤノベケンジ氏と学生によって作られた舞台装置を用いた劇団パパ・タラフマラの小池博史氏演出のリハーサル潜入だった。

 リハーサルであるのだけれど、ウルトラファクトリーが作りだした装置の数々とパパ・タラフマラのパフォーマンスは素晴らしくインパクトがあった。
 事情があって舞台を撮ってきた写真はすぐ公開できないけれど、まずはヤノベ氏のスケッチの写真と、私のつたない言葉によるレポートでその迫力を感じて下さい(本公演が終わったら写真を公開します→08.10/13掲載記事)。

 僕が見学できたリハーサルは、約20分ほどだったのだけれど、東洋的な音楽(生演奏)に彩られたダンスと、ヤノベ氏デザインのギミックにあふれたオブジェ群と役者の迫力のある動きのコラボレーションが幻想的で熱いシーンを生み出していた。

 特筆すべきは、2mになろうかという巨大な女の変幻していくシーンの異様さ。
 芝居全体でのこの女の位置づけは不明であるが、呪縛された人工的な肉体が、まわりの獣の面を付けた役者たちによって剥ぎ取られて行くシーンは普段着をまじえたリハーサル光景とはいえ凄みがあった。特に写真ラストのヤノベ氏独特の甲冑との絡みは、まさに異空間をそこに現出させていた。

 ツアーには家族連れの中に3才くらいの男の子がいたのだけれど、彼がこのシーンを見て受けたショックはどんなものだったのだろう。僕ならトラウマが残ったかもしれない。この幼児期のインパクトが忘れられず、将来、彼が幻想的な芸術を生み出すことを期待したりして(^^;)。

 ツアーに同行し解説されたヤノベ氏に尋ねると、この女の繊細に動く機械的な指もウルトラファクトリーの制作物。ネコや球体も全てファクトリーで作られ、すぐ隣にある「春秋座」と呼ばれる立派な劇場へ運ばれたものとのこと。(搬入の様子)

 ファクトリーと劇場が近いことで、舞台と装置制作のコラボレーションに相乗効果が生み出されているという。

 舞台装置で一部(ネコとか巨大な女の顔つきとか)は今までのヤノベ氏の作品と少し様子が違うようだったので、ヤノベ氏デザインで学生制作かと尋ねてみた。しかしヤノベ氏の手が相当入っているとのこと。いずれ学生たちに任せることもあるだろうとはヤノベ氏の弁。そして装置を見に来た女優さんがウルトラファクトリーチームの熱い作品の想いに触れて涙を流されたとか。

 パパ・タラフマラ ガリバー&スウィフト blog : 稽古場レポートBlogによると、これを演じる女優は橋本礼さんとのこと。この女優さんのBlog そこなし日記 | ウルトラによると、

わたしが身を包む巨大な「解体娼婦」も完成を迎えつつあります。 一昨日は歩くのもままならなかったこの巨大娼婦。昨日は歩行がスムーズにできるようになり、今日は装飾も美しくされ、通し稽古でも使えるまでに改良されていました。ウルトラクルーのみなさんの仕事に大感動。

 「解体娼婦」! まさにイメージそのもののネーミング。
 きっと10月の東京グローブ座の本公開では評判となるでしょう。僕もなんとかしてできあがった芝居を観たいものです。東京かー、ちょっと遠いなー。ヤノベ氏によると2010年1月には大阪公演も計画されているとのことなので、ずっと先だけれど、大阪で見ようかなー。

 制作過程を追ったレポートとかビデオとかも公式Blog等で紹介されることを楽しみにしたいと思う。

 ウルトラファクトリーのULTRA PROJECT第一弾は、パパ・タラフマラのパフォーマンスと立体造形のコラボレーションとして素晴らしいものになろうとしている。今後の飛躍も期待。(ULTRA PROJECT第二弾についても情報があったので、後日掲載予定。乞うご期待)

◆関連リンク
・解体娼婦の写真はパパ・タラフマラの関連Blogにあります。ここここ
 巨大幼児他写真はここ(ULTRA FACTORY公式HP)その他の舞台装置
デジスタ・ラボ:NHKブログ
 ウルトラファクトリー潜入リポート!!

東京のアート情報を発信 立川直樹責任編集"TOKYO ART PATROL"~東京アートパトロール~ : 世界中を魅了するパパ・タラフマラの舞台が現代美術作家ヤノベケンジとコラボレーション!.

(略)それに応えたヤノベケンジのコメントが観劇 気分をさらにそそってくれる。 「スーツマン、小人猫、高級娼婦、そして巨大幼児…。ドキドキするよなキャラクター満載の脚本を受け取った途端に作家魂に火がついた!あたかもそれは小池 さんが私につき出した恋文?いや挑戦状?ならば返す刀で刺し違える心意気で渾身の舞台装置を突き付けよう!料理されるのは猫か私かパパタラか?演劇も美術 も破壊するごった煮劇場。舞台のラストを飾るは驚きの再生ビックバンとなるに違いない」とのたまうヤノベケンジは今回が初めての舞台美術への挑戦。(略)

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2008.09.30

■『ULTRA FACTORY ウルトラファクトリー展』探訪記・2
  ジャイアント・トらやん と Big Flea

Bigflea02

Top_2
 ひさびさにジャイアント・トらやんと再会することができた。
 これはウルトラファクトリーで組み立てられ、京都造形芸術大に常設展示されているヤノベ氏現時点最大の作品。

 以前豊田市美術館で観て、既に3年が経過している。
 3年の間、各地を巡業したトらやんは、若干どこか疲れた風情(気のせい?(^^;))。

 そして今回の展示で素晴らしかったのが、京造大1年生が制作しオープンキャンパスで公開された京ねぶた祭の「BIG FLEA」との競演。
 全高7mの巨大ロボット ジャイアント・トらやんと全長約5~6mの巨大蚤のねぷた。この巨大感威圧感はかなりの見もの。写真で少しでもそれが感じてもらえれば幸い。

 特にホールの横に設けられた階段の上から、トらやんを俯瞰した眺めが新鮮だった。
 まるで巨大蚤に先導させたパレードのように観える。蚤とトらやんの関係??、これは想像力を働かせるしかない。
 そしてウルトラツアーでトらやんはヤノベ氏の指示で、その巨体を動かした。
 さすがに火炎放射は今回ない。ねぶたが炎で燃えるようなパフォーマンスもありだと思うけれど、さすがに消防法上、不可能(^^;)。

 ノミに続き、来年はどんなねぶたが並んで展示されるか、期待したい。
 ここのホール、広いので、いっそヤノベ氏の巨大作品を並べて展示するなんてのも嬉しいけど、、、。

◆関連リンク 当Blog記事
幻の万博 YANOBE KENJI  『KINDER GARTEN』
ヤノベケンジ作品集出版記念イベント 火を噴くトらやん @豊田市美術館
絵本『トらやんの大冒険』&ヤノベケンジ展『トらやんの世界』
「キンダガルテン」、卒園式
『トらやんの大冒険』
本格的作品集『ヤノベケンジ 1969 - 2005』ついに刊行
豊田市美術館 最後の「トらやん・ファイヤー」
「絶対孤独の表現者たち アウトサイダーアートの世界」
 新日曜美術館 KPO閉館現代アート発信の20年

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2008.09.29

■京都造形芸術大 ウルトラ・ワーク・イン・プログレス
 『ULTRA FACTORY ウルトラファクトリー展』探訪記・1

Photo_2
ULTRA  TODAY: 26日~28日ウルトラファクトリー展の様子

   (公式Blog ULTRA TODAY) (公式HP)

 ウルトラファクトリー展では普段は工房として使われている場所が展示空間となっていて、まったく違う雰囲気です。ちょっとだけ様子をお見せ致します。

Img_0080_2 開催される3日前にネットで知ってしまったのが運のつき。観たくてたまらなかったヤノベケンジがディレクターの京造大『ウルトラファクトリー』に、はるばる東海地区より行ってきました。
 もともと公式BlogであるULTRA TODAYで知って、どんなイベントかもよく知らないで行ったわけだけれど、受付で吃驚。大学祭かと思っていたが実は「オープンキャンパス」。
 「通信講座ですか?」と聞かれつつ、入学案内をまさかこの年でもらうとは思わなかった(^^;)。ついでに食券までいただいて学食でカレーを食べてきました。本当にいいのだろうか?、、、というわけで一飯の恩義のためにも(^^;)、しっかりウルトラファクトリーのご紹介。

Photo  ウルトラファクトリーは京都左京区の丘陵に建てられた隈研吾氏設計の京都造形大学至誠館の地下深くに存在する。エントランス(右)がまず素晴らしい。

 ULTRA WORK IN PROGRESSと書かれた案内表示を辿って地下へ進む通路から秘密基地感覚たっぷりでワクワクする。

 高橋匡太氏のインスタレーション作品が観客を道案内する。
 怪しい緑の光の中、天井のプロジェクターから映し出された女と男の影。最初は自分の影かと思ったのだけれど、どうやら撮影された幻影のようである。

 配管とコンクリートの冷たい空間と、影の映像がマッチして、工房へ入る前から期待は高まる。

 そして受付でウルトラツアーの登録を済ませ、チラシと素晴らしいヤノベデザインのネコエコバックをもらい工房の中へ。

 工房は今まで観た写真では、ヤノベ作品が所狭しと構築中で雑然としたイメージだったのだけれど、今回はウルトラファクトリー展と銘打たれており、工房を会場とした展示会としてすっきりとまとめられていた(トップの写真)。

 なかでも嬉しかったのは『THE POWER OF JAPANESE CONTEMPORARY ART』の表紙で知って一度観たいと思っていた名和晃平氏の作品が観られたこと。
 「PixCell」と名付けられた彫刻概念は下の写真のように透明のガラスビーズで物体(時には剥製)の表面を被覆したもの。 
Horz

「物体のテクスチャーや色は、無数の小部屋(Cell)の中に取り込まれて解体され、イメージの要素(Element)の集まり、つまり「映像の細胞」(PixCell)という新たなビジョンにおいて提示される」(ULTRA PROJECT catalogより)。

 今回の作品は豹。無数のガラス球の大きさのバランスとか、透明感を持って映し出される周りの光景であるとか、いつまでも観ていたくなる奥深い映像美である。まだ制作途中で裏面に回ると元の物体が生々しく見える。
 ガラス球からウルトラファクトリーを眺めるPixCellな豹の視点が、観る者の想像力をいたく刺激する。冷徹な視線はファクトリーの熱い現場をどのように観察していたのだろう(って豹はその現場にいなかったのかも)。この現場で制作されたパパ・タラフマラ『ガリバー&スウィフト』のヤノベの舞台装置については、この後のトピックで書きます。

 次回はジャイアント・トらやんと巨大なノミについて(^^;)。

◆関連リンク
山口 裕美『THE POWER OF JAPANESE CONTEMPORARY ART』(amazon)

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