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2008年11月30日 - 2008年12月6日

2008.12.05

■矢作俊彦『傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを』

Photo 名作ドラマ「傷だらけの天使」を小説化 矢作俊彦さんに聞く

 「2年前の暮れに、『傷天』の続編を映画化したいからあらすじを含めた企画書を書いてくれという話がありました。で、書いているうちに熱が入ってセリフやらギャグやらがいろいろ浮かんで、結局100枚くらいに膨れあがってしまった。それからまもなく、探偵事務所のオーナーで悪女キャラの重要な登場人物だった岸田今日子さんが亡くなり、なんとなく映画の話も立ち消えに……。だったらそれを小説にしないかという話になったんです」(略)
 「70年代の放映時、僕は20代半ばで毎日飲み歩いてたからそう熱心にドラマを見てたわけじゃない。(略)今回の小説で再び映画化の話が盛り上がればと思っています」

 僕らの同世代にとって、『傷だらけの天使』はアニメにおける『ルパン三世』と同等の位置をTVドラマにおいて持っているような気がする。
 どちらも夕方の再放送で眼にした大人の世界として(^^;)。

 そして矢作俊彦がその続編を小説化。
 この懐かしいOPを表紙とした本を手にとらないわけにいきません。

 結果はオリジナルTVドラマの設定と精神をすくい取った見事な続編でした。
 エンタテインメントとしての完成度と読ませどころも秀作にまとまっています。

 そしてなんとこれはネットワークとヴァーチャルリアリティとクローンを描いたSFでもあった!
 CGによるヴァーチャルな日本。と、そこにいる亨。ある部分、去っていった昭和と自分の過去も重ねたりして、目頭が熱くなります(^^;)。昭和と現在の邂逅の物語。

 ネットと外国人に溢れる現代日本に鉄鎚が下ろうとするそのテロ描写は、なかなか手に汗握ります。

 クライマックス付近で綾部貴子が主人公小暮修に言うセリフ。

 「(略)あなたのようなチンピラには信じられないようなものをいくつも見てきた。オリオン座の近くで燃えつきた宇宙船。タンホイザーゲートのオーロラ。そんな思い出もじきに消える。時が来ればー雨降る中のー涙のように、ーほら、その時がきた」

 唐突感はいなめないけれど、これもちょっと渋い。

 映画化の企画としてはじまったということだけれど、岸田今日子の死で流れたとのこと。
 どちらかというと、ここに出る綾部貴子は吉行和子でもいいかも。岸田の怪しさより、むしろ吉行の品の良さの方がこの小説に合っているので、今でも映画化が復活してほしい。

◆関連リンク
矢作俊彦オフィシャルサイトは現在工事中。
・以前、この公式HPで連載されていた小説『気分はもう戦争』は現在こちら→Internet Archive Wayback Machine矢作俊彦オフィシャルサイト(過去のアーカイブ)
矢作俊彦『傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを』
・ファンサイト ●傷だらけの天使● 東京シンヂケート
 米フォード社 サンダーバード 1965年モデル 幻のBGM「マヅルカ」
  みんなが真似した!オサムの朝食 しっかりと小説中にも出てくるコンビーフやトマト。
Dailymotion - 傷だらけの天使, a video from retudou. ドラマ, 主題歌, OP, 井上堯之, 大野克夫 オープニングの動画
・当Blog記事
 矢作俊彦プロデュース『気分はもう戦争』映画化
 矢作俊彦『ららら科学の子』映画化
  この2本の映画化企画も最近うわさを聞きませんネ。

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2008.12.04

■映画予告編 『Star Trek』 『1408号室』 『2012』

Startrek2009 Star Trek - Trailer 2 -

 09.5/8全米公開。
 エンタープライズの建設中の映像がいい。まるで70年代のアメリカSF雑誌の表紙のような画。
 そしてスピーディーな展開。
 ワクワクする予告編に仕上がっている。

 すでにJ・J・エイブラムス監督の術中にはまっている(^^;)。でもやはりSF映画は画面にこんな華やかさがほしいものです。

「1408号室」オフィシャルサイト 予告編有。

 こちらはスティーブン・キング原作のホラー。
 既に公開がはじまっているけれど、記事にするのが遅くなり、すみません。

 キューブリックの『シャイニング』より怖そう。

2012 2012

ジャクソンは自分の 家族、自分自身の身を守るために必死で生き残る術を模索しはじめるが、大地震、火山の噴火、津波など次々と恐ろしい天災が地球を襲ってくる…。『インデペ ンデンス・デイ』や『デイ・アフター・トゥモロー』など、数々の大ヒットSF超大作を生み出してきたローランド・エメリッヒ監督の新作パニック映画。

 こちらは派手さで鳴らすエメリッヒ監督の新作映像。
 壮大な規模で、シンプルな(ある意味芸のない)巨大な話を撮るエメリッヒがハルマゲドン映像をどう撮るかが注目点かな。
 予告編はなかなか荘厳な雰囲気が出てます。

◆関連リンク
webDICE - 骰子の眼 - この恐ろしさをどう表現したらよいのか…スティーブン・キング原作『1408号室』

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2008.12.03

■リー・タマホリ監督 『NEXT -ネクスト-』
  原作 「ゴールデン・マン」フィリップ・K・ディック

Next 「NEXT -ネクスト-」公式サイト
公式ブログ

 ネットではかなり否定的な意見が多いようだけれど、この映画、僕はなかなか楽しめた。

 冴えないアメリカ人を演じさせたらアメリカ一(?)のニコラス・ケイジがフィリップ・K・ディックに妙に合う。

 この映画の見所は、ささやかな予知能力を持つ極めて善良な市井の主人公が、好意を寄せた女性のためにテロとの戦いを決意する姿である。ためらいながら、2分前の未来予知能力を最大限に活かして、行動する姿が良い。ニコラス・ケイジでないとこの味は出ないだろう。

 2分後をみることができるというルールが、彼女の存在により途中で変わっている。ここは賛否わかれるところだろう。
 そしてラストは「えっ」。ここから先はオープンエンディングとして観客の想像力にゆだねるということか。Amazonでの評価はこのエンディングで相当ひどいものになっている。
 でもある意味、上に書いた「決意する物語」という視点で観れば、これも佳作なラストかも。ディックらしさはこちらがいいかも。(それにしてもスタッフたち、ハリウッド映画でこの終わり方は非常に勇気がある。)

◆関連リンク
ゴールデン・マン:ハヤカワ・オンライン.

美 しい黄金像のような姿の青年、クリス・ジョンソンには驚くべき能力――未来を見る能力がそなわっていた。だが、現人類にはない超能力をもつクリスを執拗に 追う組織が迫っていた……映画『NEXT―ネクスト―』の原作「ゴールデン・マン」をはじめ、豪雨の夜に妖精たちに出会った男の不思議な冒険「妖精の 王」、名作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の原型となった「小さな黒い箱」など、7篇を収録する傑作集

 20年ぶりに「ゴールデン・マン」を再読。
 映画とは未来が予知できることを利用した脱出シーンが少し似ているぐらいで、ストーリーと設定は全く違う。この金色のしゃべらない新人類を描いた静かな映画も観てみたいものだ。
 でも映画は原作とは異なるけれど、ディックっぽさは結構良かったと思う。

フィリップ K.ディック『ゴールデン・マン』(amazon)
 08.3月に映画に合わせて新装版が出ていたのが、既に在庫なし。
 リー・タマホリ監督 『NEXT -ネクスト-』(amazon)

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2008.12.02

■押井守演出・脚本『鉄人28号』

28poster 天王洲 銀河劇場 '09.1/10-25
梅田芸術劇場 '09.2/5-8

鉄人、舞台で復活!
映画「イノセンス」「スカイクロラ」の押井守監督が初の舞台演出に挑む。
押井節が炸裂する架空の昭和史とレビューの融合。

あの日 空に飛び立ち再び還らなかった鋼鉄の巨人。
その跡を追ってついに戻らなかった少年。
正義も悪もともに消えていまひとり落魄の身を裏切りの風に窶す。

出演:南果歩・池田成志・ダイアモンドユカイ・サンプラザ中野くん他

 押井守、初の芝居演出。チケットがこの11月から発売開始されています。
 南果歩が金田正太郎君の役らしいけれど、どんな芝居になることか!
 サンプラザ中野は『ガメラ』の映画のように、もしかして主題歌を熱唱するのだろうか。あと第三舞台ファンとしては、『グレンラガン』でロージェノム役をやっていた池田成志が何の役か、気になります。

 押井で演劇と言うと、『御先祖様万々歳!』の舞台演出的手法と台詞まわしのアニメがある。今回、本来の役者を使った本物の舞台で彼の演出手法がどう活かされるか。
 あと架空の昭和史というのも何だかドキドキ(『立喰師列伝』を思い出す)。この芝居、チケットがほとんど1万円越え(プラス大阪までの交通費!)と凄く高いので躊躇ってしまうけれど、凄く観たい。鉄人、好きだし。

28◆関連リンク
押井版 アニメ『鉄人28号』(押井守 - Wikipediaより)

劇場アニメ化の企画が舞い込んだ際、「戦争の兵器として作られた28号が、平和の祭典である東京オリンピックの開会式で上空を飛ぶ」というエンディングを 予定していたという。また原作のメカ造形が気に入ったこともあり、白紙になっても企画再開の機会を窺っていた。後に舞台化として結実。

 昭和史として、今回演劇版で東京オリンピックを絡めてくるか、気になる。

超ごめん。 
 Blog「なんでも作るよ。」の実物大 鉄人の製作中止について。この方の作る鉄人が是非観たかった。ここに鉄人のうしろ姿が。

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2008.12.01

■新刊メモ 『直筆で読む「人間失格」』  『贋作王ダリ』
 諸星大二郎『巨人譚』

『直筆で読む「人間失格」』 (集英社新書)

 本書は、太宰治の代表作「人間失格」の直筆原稿を、写真版で完全収録したものである。
 この「人間失格」の直筆原稿は、太宰の死後、遺された家族の手で、太宰本人が愛用した着物の生地を使い表装された和綴じ本4冊から直接撮影したものである。

 これ、凄い企画ですね。書店で手にとってなんかカンドー。
 作家の肉筆には、書き手の気持ちがなんらかの形で表れていると考えると、理想的な形なのかも。しかし現代では肉筆の作家っていったい何人いるか、、、??

スタン・ラウリセンス『贋作王ダリ―シュールでスキャンダラスな天才画家の真実』 (アスペクト)

 20世紀美術界最大の奇才、サルバドール・ダリ。なんとその全作品の約75%は「贋作」だった!
  ダリ専門アートディーラー兼詐欺師で、晩年のダリの隣人であった著者が克明に綴る、知られざるサルバドール・ダリの波乱万丈の生涯。欲望と狂気とスキャンダル渦巻く美術界を描いた驚愕のノンフィクション! 22カ国語に翻訳された世界的ベストセラー、ついに日本上陸!アル・パチーノ主演で2009年映画化決定!

夢のもののふさん 超現実ライフスタイル — スタン・ラウリセンス『贋作王ダリ』
 Stan Lauryssens: Crime writer(公式HP)

 原題は"Dali & I: The Surreal Story"。まさに超現実的な事実があったようです。
 調べてみたら映画は、なんと!

Dali & I: The Surreal Story (2009).

Director: Andrew Niccol

 監督があのアンドリュー・ニコル!!これは期待できます。
 『ガタカ』『シモーヌ』『ロード・オブ・ウォー』と現実の幻想性について描いてきたニコル監督の手になるシュウルレアリストの幻想的物語に期待。

諸星大二郎『巨人譚』(amazon)

 諸星大二郎、幻の作品集、遂に刊行!!
 短剣に印された“巨人の絵”を巡る 四つの物語。古代メソポタミア、古代ギリシャ、古代アフリカ──それぞれ の時代を生きる人々が繰り広げる人間模様。新作「ギルガメシュの物語」49 頁(予定)・カバー・口絵・解題を描下ろし+単行本未収録作品。

 諸星大二郎の描く巨人というと「僕とフリオと校庭で」をすぐ思い出しますが、今度はどんなタッチの物語が展開されるか。

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