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2009.01.15

■山田太一脚本 田島大輔監督 『ありふれた奇跡』 第1回

Arifureta_kiseki
山田太一の言葉 (フジテレビ 公式HP)

 もう連続ドラマは描かないと決めたのは、時代の変化を感じたからです。やはり連続ドラマにも時代の流れがあり、ある時ふと「自分は違うかな」と思った。1人 の作家が、どの時代にも適応していくのは、むしろみっともないことのようにも思えたんです。流れから外れるからこそ作家であるという気持ちもありました。 そうしているうちに12年が経ち、現在に至ります。

 山田太一の脚本家としての矜持を示す言葉。
 作家としての個性を保つことの大切さを謳った部分に感心するとともに、そんな決意を越えてTVドラマを12年ぶりに書くに至った作家の変化に心を馳せてしまう。
 第一話を観て、時代の流れの何が山田太一に新作を書かせたのかが、ぼんやりと浮かび上がってくる。もちろんまだ始まったばかりで、的外れになる可能性大ではあるけれど、ひさびさの山田太一の長編に、心を動かされたので書いてみる。

「ありふれた奇跡」とは (フジテレビ 公式HP)

 ドラマのタイトルは、『ありふれた奇跡』。自分たちが普段生活している中には、実は気付いていないだけで小さな奇跡がいくつもある(略)。

 冒頭から、まさにここに書かれた「ありふれた奇跡」が鮮明に描かれる。
 駅のホームに漂う雰囲気。そこから何かを感応する二人の描写が、静かに「ありふれた奇跡」を見せる。

 そして同時に描かれるボーイミーツガール。
 『沿線地図』をその頂点として(と僕は思っている)、山田太一の男女の出会いの描写の素晴らしさは、本作でも健在。

堂々現役<山田太一> 08.12/21 (BSフジ 公式HP)

座右の銘は「成長することは、言葉への不信感を身に付けること」。

 ドラマに先だって放映された、山田のインタビュー番組で流された言葉。

 これ、染みてくるいい表現だと思う。 この視点で今までの作品を思い返すと、まさに山田作品の真髄を述べた言葉かもしれない。

 そして今度の『ありふれた奇跡』第一話にもぴったり。
 冒頭シーン、言葉でなく雰囲気から何かを感知する二人の主人公 中城加奈(仲間由紀恵)、田崎翔太(加瀬亮)。続くシーンでも加奈が田崎のちょっとした言葉にならないしぐさに気づくシーンが繊細に描かれる。

 言葉で表現できない心の動きに、耳をどれだけ傾けることができるか、それをどう映像として定着させるか。 そうしたところにシナリオの配慮が細心に組み立てられているのがわかる。

 言葉で表現されたものをどこかで疑って、言葉にならないものへ示す配慮。
 ひさしぶりに感じたこの感覚が、まさに山田太一氏の書くドラマの魅力の源泉なのでしょう。観ていて、登場人物たちの活き活きとした繊細な精神がじわっと映像からにじみ出てくる感覚にひさびさにTVで再会。

※この座右の銘の出典は番組でも語られていません。ネット検索でも出てきませんでした。
 僕は実は山田氏自身の言葉と思うのですが、いかがでしょうか。

◆そして、ラストのセリフ

どうして、お二人は私が死のうとしているか、わかりましたか?
もしかしてお二人とも死のうとした経験があるんじゃないかと。

 この台詞が主人公二人に向けられた後、画面はホームに立つ二人に静かに切り替わる。そしてエンヤの歌がかぶり、無言の二人の前を電車が通り過ぎようとして、ストップモーション。

 電車が不通になることが最近なんだか多いのだけれどそうしたことの続発と、言葉への不信感という人の本来の成熟をうっちゃって、さらに露骨なつるしあげを続けるマスコミの昨今をみて、12年ぶりに長編の筆をとったのかもしれない、と思わせる見事なラストシーン。言葉に対する「今」の山田のスタンスがどう描かれるか、今後の展開が楽しみ。

◆関連リンク
: エンヤ『雪と氷の旋律』 Enya - And Winter Came - Dreams Are More Precious
 主題歌Dreams are more preciousは、このドラマのための書き下ろしの曲とか。リンク先で冒頭が聴けます。
『ありふれた奇跡』サウンドトラック

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