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2009.03.27

■山田太一脚本 田島大輔監督 『ありふれた奇跡』 最終回

『ありふれた奇跡』

 第1回の時に記事にしてから、はや3ヵ月弱。
 山田太一「最後の連続TVドラマ」と言われている 『ありふれた奇跡』 が、先週はやくもついに最終回を迎えてしまった。(最近、3ヵ月はあっという間)

 山田作品のクライマックスでよく用いられる登場人物がひと処に集まって議論するシーンが、この最終回でやはりあった(^^;)。

 今回、そのクライマックスで素晴らしかったのが、井川比佐志演じる田崎四郎氏のセリフと表情。
 戦災孤児としてどん底の時代を語り、そして孫によってその人生観に軌道修正をかける姿。戦後を想い出す深い視線とこの心変わりのシーンが素晴らしかった。

 
 『男たちの旅路』で山田の名前を中学生の時に覚えて、『岸辺のアルバム』を朝刊小説として読み、『想い出づくり』と『早春スケッチブック』の深さにまいって以来、単行本もほとんど全て読んできたファンとしては、これで山田氏の長編ドラマが観られないかと思うと感慨深くならざるを得ない。ちょっとこの後、感傷的なトーンの文章になるけれど、御容赦を。

 最終回を休日の朝、録画したもので観て、エンヤのOP曲「ありふれた奇跡」をiTune Storeでダウンロードして街へいつもの犬の散歩に出た。

 今回のドラマはある意味、山田作品のひとつの到達点と言える。
 僕が思ったのは、市井の生活と哲学の乖離と融合が山田太一の大きなテーマの一つと考えると、今回の『ありふれた奇跡』はその到達点ではないか、というもの。

 『早春スケッチブック』でこのテーマは顕著だったのだけれど、どちらかというと今まで山田の視点は哲学寄りにあったというのが僕の感想。今回は、そこが随分と抑えられているが、タイトルにも明らかなように、まさに市井にあるひとつひとつの人の営みが、じっくりと丁寧に、そして大切に描かれていた。

 「自殺」という現代の大きな問題を第一話で問題提起した山田ドラマは、こうした視点で、街のどこにでもある家の小さな奇跡と不幸を描くことで、ひとつの解決策の糸口を提示している。

 普段はやらないiPodを聞きながらの散歩。エンヤの「ありふれた奇跡」をBGMに街を歩いていると、このドラマの各シーンやセリフ、それから最後の連ドラという感慨で、今までの山田作品の彼是が想起される。そして町の各家を通り過ぎるたびに思うのが、今回山田太一が描いた市井のいろんな生活。

 近所には、「振袖がほしてある家」「最近新しい犬が来た家」、、、、いつもの街のデティルのひとつひとつがグッと来るから不思議。
 

  『ありふれた奇跡』 はドラマの中の物語だけでなく、その直後に歩く街のひとつひとつの事物に、かけがえないような輝きを持たせるだけの静かだけれど力強いドラマだった。

◆関連リンク
: エンヤ『雪と氷の旋律』 Enya - And Winter Came - Dreams Are More Precious
『ありふれた奇跡』サウンドトラック

当Blog記事
山田太一脚本 田島大輔監督 『ありふれた奇跡』 第1回

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