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2009.05.11

■神山健治監督『東のエデン』 「第4話★リアルな現実 虚構の現実」
 絵コンテ:柿本広大 演出:前島健一 作画監督:山本径子

Eden_of_the_east_4第4話★リアルな現実 虚構の現実

脚本:神山健治/岡田俊平 絵コンテ:柿本広大 演出:前島健一 作画監督:山本径子  美術監督:竹田悠介

(略)滝沢は、携帯履歴を追って医者のセレソンに会いに行く。面会を渋った挙句、医者は「飲めば携帯入手経緯を思い出せる」という薬を差し出す。薬を飲むと滝沢の携帯が鳴った――。
「ごきげんよう、Mr.OUTSIDEだ」

 セレソンNo.5 火浦院長は「確信犯」であるが、これをあっさり退場させる冷徹さがすごい。
 これには、今回の神山監督のある種の覚悟を感じざるを得ない。SACでのひとつのテーマだったこの国の老人問題について、ひとつの解を示したセレソンの断罪。ここは100億ぽっちじゃ、せいぜいひとつの街の高齢化問題しか解くことはできないと視聴者に痛感させる結果になっている。まさに「リアルな現実」。

 本当の救世主はそのわずか100億円で、(この老人問題を含め)この国を救わなければいけない訳で、生き残るためのハードルの高さは凄まじい。(このアニメが終わった時に解をみごとに描けているとしたら、政治家として打って出るべきでは>>監督(^^)。かもしくはこの国を救えない首相は○兆円予算を使用したところで死刑という法律を作るとか(^^;)その時、首相に出る人がきっといなくなることがこの国のひとつの問題なんだろうけれど、、、)

 今後、記憶喪失前の滝沢(仮名)の練った策がキーだろう。
 現在の滝沢の行動が、その滝沢(仮名)という釈迦の手の中の行動なのか、どうか。
 たぶん釈迦の手の中の行動だとしたら、自ら記憶喪失という奇想天外な策をとるはずはないので、そこから踏み出していくための記憶喪失という奇策と見るべきだろう。これくらいのイレギュラーな因子を入れないと、とてもこのハードルは越えられないという滝沢(仮名)の判断の結果なのだろう。

 こんな冷酷に描いて、どうエンターテインメントを大団円に導くのだろう。わずか11(+1?)日間で、この国を救いつつ、滝沢と咲の恋愛も成就させるっていう大団円を用意しているとしたら、まさにネ申山監督でしょう。

 そしてその時、ジョニーはどう働くか??
 今回の「虚構の現実」はジョニーのシーンしかないのだけれど、どう虚構なのかがまだ見えない。ジャンクの塔のジョニーたちは、電脳空間 or 滝沢の記憶の映像?

 あきらかでないのが、この世界の電脳空間のレベル。
 9000円で記憶喪失状態を作れる洗脳プログラムがひっかかる。なんでこれがプログラムなんだ?人間の脳にソフトがインストールできる設定があるのか?、それともまさかこのアニメの世界が電脳空間上のシミュレーションだ、なんていう安直な設定じゃないだろう?
 とにかく「リアルな現実」に続く、「虚構の現実」の提示がどう今後描かれるか、物語的な興味もだけれど、今ひとつこの番組で弱いアニメーションの動画としての見せ場をどう見せてくれるかも、ここがキーになるはずなので、今後の展開を待ちたい。

◆関連リンク
・当Blog記事
 第3話「レイトショーの夜に」 絵コンテ:吉原正行 演出:柿本広大  作監:豆塚隆/伊藤秀樹
 第2話「憂鬱な月曜日」 演出:河野利幸 作監:永島明子
 第1話「王子様を拾ったよ」感想
 竹田悠介美術 HDR(High Dynamic Range)写真タッチの映像

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OPの文字

I saw you in Heaven and heard of your glory You saved our world from the fallen angels I saw Messiah standing Standing before me with no words Nothing but "Hope" When we lost dread, a Demon was laughing But now you are showing us wonder Giving your love With awe, down on my knees again I've got to know you're the one The only one reveals the world

『東のエデン 第1巻』Blu-ray DVD

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コメント

 shamonさん,青の零号さん、こんばんは。

>>お宝騒動で出遅れました、shamonです。

 たいへんでしたね。ワインセラーの故障の怖さ、意識したことなかったですが、想像するだに、、、。

>>東京ではいよいよ明日折り返しの第六話です。

 わぁー、もう半分か、、。
 あと6話で神山初映画 ! ということですねー。

>>一地域だけ良くしても国を救えなきゃ意味なし、ってのは旧態依然の
>>やり方を繰り返す今の政治へのメッセージなのでしょうが・・・。

 しかし100億ってこう考えると少な過ぎ。
 あの病院群作るだけでも普通100億なんてすぐなくなっちゃうんじゃあ、、、。

>>これは単なる自己暗示(催眠術の一種?)かなぁ?と思いますね。

 でも、ピピーガガーとダウンロードする音がしていたような、、、。
 これもキーなんでしょうね。


>>それじゃまるで、ラファティの書いたカミロイ人ではないかと(笑)。

 おー、『九百人のお祖母さん』所収。あれって、そういう話でしたっけ?(既に忘却の彼方(^^;;))
 にしても100億で殺されるセレソン、国家予算85兆円を使ってこの国を逆に低俗にしている閣僚たち、、、、どっちが責任が重いのか、、、。

 おっしゃるとおり、リアルとフィクションの差は大きいですが、それでも桁が4つも違うと、言いたくもなります(^^;)

>>個人の範囲で関わるならともかく、体制側に回って社会を変えようとするのは
>>フィクションがリアルにヒザを屈するようで、なんとなく無念なものですから(^^;。

 この感覚は僕もわかります。フィクションによる心への処方箋は、もしかするとリアルでの影響力よりも数段パワーがあるかも、ってことですよね。

>>(だからこそ伊藤計劃氏には今後に大きな期待をしていたのですが。)

 本当に惜しい方を亡くしました。
 神山監督とのカップリングもいつかあったかもしれないのに、、、。

>>映像表現は『ビデオドローム』と『デッド・ゾーン』のあいのこっぽいと感じましたが

 おっ、そこへ来ましたか。クローネンバーグとは。

>>それもどこまで狙ってるのか狙ってないのか、いまいち判然としないところです。

 それがオリジナリティかも、ですね。

>>そういえばジョニーって『デッド・ゾーン』の主人公の名前と同じなんですね。(たぶん全然関係ないとは思いますけど。)

 神山氏は『デッド・ゾーン』は好きそうですよね。ジョニーの出自は知りたいなー。

投稿: BP(shamonさん,青の零号さんへ) | 2009.05.15 00:40

こんばんわ、青の零号です。
shamonさん、ワインの委託先が見つかってよかったですね。

>SACでのひとつのテーマだったこの国の老人問題について、ひとつの解を示したセレソンの断罪。
これって見方を変えれば、神山さんが攻殻SACで示した解答だけでは
「この国を救えない」と自白しているようにもとれますよね。
よりによって自分の勝負作である『東のエデン』でそれを言っちゃうのも
神山さんの覚悟であり、クリエイターとしての進化/深化を示していると思います。

>もしくはこの国を救えない首相は○兆円予算を使用したところで死刑という法律を作るとか(^^;)
それじゃまるで、ラファティの書いたカミロイ人ではないかと(笑)。

私としては、フィクションとリアルが適当なバランスで綱引きをしている状態というのが
文化として一番マトモな状態なのかなーと思うので、物書きや映像作家さんたちには
あくまでフィクションの側からリアルを狙い撃つスタンスに徹して欲しいと思ってます。
個人の範囲で関わるならともかく、体制側に回って社会を変えようとするのは
フィクションがリアルにヒザを屈するようで、なんとなく無念なものですから(^^;。

9.11のような「どうしようもない現実」を突きつけられてしまった今の時代にこそ、
改めてフィクションの力が問われているのかなーとも思います。
(だからこそ伊藤計劃氏には今後に大きな期待をしていたのですが。)
神山監督には、これからも気骨と理屈が共存した作品を創り続けて欲しいもの。
そのためにも、『東のエデン』が商業面でヘンなスベり方をしませんように(笑)。

>今回の「虚構の現実」はジョニーのシーンしかないのだけれど、どう虚構なのかがまだ見えない。
>ジャンクの塔のジョニーたちは、電脳空間 or 滝沢の記憶の映像?
ジョニーについては5話でもちらりと言及されてますので
やはり重要な存在と見てよさそうです。
映像表現は『ビデオドローム』と『デッド・ゾーン』のあいのこっぽいと感じましたが
それもどこまで狙ってるのか狙ってないのか、いまいち判然としないところです。

そういえばジョニーって『デッド・ゾーン』の主人公の名前と同じなんですね。
(たぶん全然関係ないとは思いますけど。)

投稿: 青の零号 | 2009.05.13 23:44

お宝騒動で出遅れました、shamonです。
東京ではいよいよ明日折り返しの第六話です。

>生き残るためのハードルの高さは凄まじい
しかもそれを判断するのが
一人の人間ってのがえげつなさすぎます。
火浦の行動はそりゃ清濁併せ持ったものですが、
十分評価されてもいいでしょう。
これが駄目ならクラレ創業者も渋沢栄一も駄目ってことになる。
一地域だけ良くしても国を救えなきゃ意味なし、ってのは旧態依然のやり方を繰り返す今の政治へのメッセージなのでしょうが・・・。

>記憶喪失前の滝沢(仮名)の練った策がキーだろう。
第五話をお楽しみに^^。

>なんでこれがプログラムなんだ
これは単なる自己暗示(催眠術の一種?)かなぁ?と思いますね。

投稿: shamon | 2009.05.13 18:22

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