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 「第11話★さらにつづく東」
 演出:河野利幸 作画監督:近藤圭一/永島明子 »

2009.06.22

■神山健治監督『東のエデン』
 「第10話★誰が滝沢朗を殺したか」
 演出:岩崎太郎 作画監督:佐々木敦子/上石恵美

Eden_10 第10話★誰が滝沢朗を殺したか

脚本:神山健治/菅正太郎
絵コンテ:吉原正行/河野利幸/柿本広大/京極義昭/神山健治
演出:岩崎太郎 美術監督:竹田悠介
作画監督:佐々木敦子/上石恵美

 先週の展開を受け、舞台を播磨脳科学研究所に移し、セレソンNo.1の物部と対峙する滝沢。ラストでの滝沢の孤独な映像がテーマの重苦しさを語る。

 「戦後からやりなおす」って、結城はいったい何歳なんだ、と突っ込みたくなったわけだけれど、年長の物部にしても明らかにS30年代生まれなので戦後を直接知るわけではない。
 このふたり、某犬監督と同じく、架空の戦後に踊らされている、という描写なわけか。

 何故60発のミサイルを落とすと「既得権益の再分配」になるのか。まさに狂った論理である。ここまでその師匠の思想を矮小化してしまっていいのだろうか。押井のそれは、戦争というものの認識論を語った上での行為。そこを矮小化した結城の描写をこのように入れると、師匠批判としては弱くなる。
 もっとも現代の空気を表象するには、この架空の戦後に踊らされる二人を描いた方が、その滑稽さゆえに現代的様相を帯びるのかも。

 ただ今まで黒羽にみるように、一見道を外したような描写でも、根底には世界を救うひとつのアプローチであるという切り口を見せていただけに、このはすっぱさは少々いただけない。セレソンはひとりひとりが真摯であったはずなのに、社会メカニズムの存在ゆえに、道を踏み外さざる得なかった、と描く方がテーマには肉薄することになるのに、、、。

 
 あとふたつメモです。
 今回ラストで鮮やかに反転して、謎を積み残したジョイス人工知能説。
 ATO Harima Neuro Science Lab.の産み出した人工的産物なのかどうか。(ATOって、計算脳プロジェクトで有名なATRのもじりじゃないよね?) 2010年の設定でここまでの人工知能は不可能な気がするが、中の人がタチコマなので阿藤財団の力をもってすれば、あり得るかも。

 まるで宮藤 官九郎なセレソンNo.2辻が面白い人物になりそう。既に巨万の富を持っているセレソン。これらのネタの映画での活躍を期待したい。

Eden_10_2  それにしても東海テレビ!
 ここまで視聴者を盛り上げておいてラストで「来週の放送はお休みさせていただきます」って!! しかも御丁寧に「来週もお楽しみに」の文字が消してない(^^)。
 もー我慢できません、今まで本放送だけを待ってましたが、今回だけは続けて最終回をネットで観てしまいます!

◆関連リンク
・当Blog記事
 第9話「ハカナ過ギタ男」
 第8話「あらかじめ失われた道程をさがして」
 第7話「ブラックスワン舞う」
 第6話「東のエデン」
 第5話「今そんなこと考えてる場合じゃないのに」
 第4話「リアルな現実 虚構の現実」  第3話「レイトショーの夜に」
 第2話「憂鬱な月曜日」 第1話「王子様を拾ったよ」感想
 竹田悠介美術 HDR(High Dynamic Range)写真タッチの映像
 神山健治 『映画は撮ったことがない』刊行予定 小説版『東のエデン』

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コメント

 青の零号さん、コメント、ありがとうございます。

>>ジュイスの獲得には失敗したものの、ATOの財力とテクノロジーは
>>かなりの部分を手中にしてますからね。
>>今度こそまっとうな方向で(?)がんばって欲しいものですが・・・。
>>でもムリかな、この人の立ち位置って結局はゴーダっぽいし。

 確かにゴーダのイメージありますね。
 しかしATOのテクノロジーを手中に入れたなら、洗脳○○プログラムをマスメディアで流すテロにより、日本の空気は変わるのかも。

 記憶を消すプログラムで、いっそ日本中の人々の記憶を消しますか。
 国民全部が自分の記憶を亡くし、映画のこと(仮想の記憶)だけを覚えている世界。こんなのも観てみたかったり。

投稿: BP(青の零号さんへ) | 2009.07.04 13:04

>その間をつなぐロジックがあまりに脆弱じゃないですか。
そこはロジックよりも、まさに「空気」の問題なのかも。
緊密に組まれた政策よりも、ムードとしての国策を歓迎する風潮を
ぐさりと突きながら、その裏の冷酷な打算を体現して見せるのが
今回の物部の役回りだったのかなぁ、という気もしますが。

>映画までの半年で彼がどうがんばれるか(??)
ジュイスの獲得には失敗したものの、ATOの財力とテクノロジーは
かなりの部分を手中にしてますからね。
今度こそまっとうな方向で(?)がんばって欲しいものですが・・・。

でもムリかな、この人の立ち位置って結局はゴーダっぽいし。

投稿: 青の零号 | 2009.06.28 21:06

 青の零号さん、こんにちは。
 あいかわらずの亀レスですみません(^^;)

>>もちろんこの区別自体が短絡的なのですが、その短絡さは逆に「ミサイルで国民を
リストラしよう」という、シンプルな合理主義の原動力にもなりそうですし。

 国民のリストラと「既得権益の再分配」のあまりに遠くはなれた距離感が気になります。その間をつなぐロジックがあまりに脆弱じゃないですか。

>>結城は確かにはすっぱとして、物部は彼なりに>>「この国の未来」について真摯に考えているのでしょう。
>>ただし彼の目に「国家」は映っていても、国民の姿は見えていないようですが。

 物部の真摯なアプローチがどんなものかは僕も興味あります。というか播磨脳科学研へ食い込むことに集中していたみたいなので、今のところアプローチはできていないと考えるのが普通かも??
映画までの半年で彼がどうがんばれるか(??)

>>むしろ神山監督自身はあんまり気にしてないかもしれませんね。
 
 にしてもこのあからさまなテーマの否定は、ただならぬ師弟関係を私に想像させるのですが、、、。ことが社会を救うという神山監督のメインテーマなので、、、。
 本質的にこの子弟って、思想的にはかなり相容れない部分がありますね。

>>もはや「押井監督の愛弟子」という枕詞は過去のものかなー、とも思っています。

 神山監督は、映画のためにこの枕詞を利用している節はありますよねー。

 映画、ヒットすればいいのですが、、、。

投稿: BP(青の零号さんへ) | 2009.06.28 14:30

こんばんわ、青の零号です。
もう最終話を見てらっしゃるようなので、記事の中でいくつか気になった点だけ
コメントさせていただきます。

>何故60発のミサイルを落とすと「既得権益の再分配」になるのか。

ミサイル自体は結城の発案ですが、「既得権益の再分配」は物部のアイデアですよね。
物部の言う「既得権益」とは、戦後経済成長の恩恵を受けた高齢者富裕層ばかりでなく、
社会資本を生み出さずに公的扶助に頼るニートをも視野に入れているのではないかと。

物部の目から見れば「貰うだけ貰って社会からのアガリを決め込んだ年寄り」も、
「社会にハナから参画せず不満ばかり言っているニート」も、同列に整理すべき
不要分子に見えるのだと思います。
もちろんこの区別自体が短絡的なのですが、その短絡さは逆に「ミサイルで国民を
リストラしよう」という、シンプルな合理主義の原動力にもなりそうですし。
犯人のほうはジュイスを使ってよそに目を向ければ、何とでもなりますからね。

でもこういう発想ってわかりやすいぶんだけ、意外と人気を集めたりしちゃいそうなのが
かえって怖いところだと思います。その点はBPさんが指摘していた

>もっとも現代の空気を表象するには、この架空の戦後に踊らされる二人を描いた方が
>その滑稽さゆえに現代的様相を帯びるのかも。

という点にもつながるような気がします。

>このはすっぱさは少々いただけない。
結城は確かにはすっぱとして、物部は彼なりに「この国の未来」について
真摯に考えているのでしょう。
ただし彼の目に「国家」は映っていても、国民の姿は見えていないようですが。

>師匠批判としては弱くなる。
扱う題材が近いと、こちらとしてはどうしても師弟関係を気にかけてしまいますが
むしろ神山監督自身はあんまり気にしてないかもしれませんね。

個人的にはこの『東のエデン』によって、神山監督と押井監督の立ち位置の違いが
より鮮明になったことや、初のオリジナル作品でも見事な仕事ぶりを見せたことから
もはや「押井監督の愛弟子」という枕詞は過去のものかなー、とも思っています。

投稿: 青の零号 | 2009.06.25 00:18

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