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2009.07.27

■THE ANIMATOR 1/YOSHINORI KANADA*金田伊功特集号
 と その後の金田伊功作品についてのメモ

The_animator_1_yoshinori_kanadamini
THE ANIMATOR 1/YOSHINORI KANADA*金田伊功特集号《1970-1981》

発行 idly(アイドリー) 1982.10/17
企画・編集 A.H.S.(アッシュ♡アニメーション資料保存会) 岡崎信治郎
構成執筆 池田憲章・徳木吉春・中村学・草刈健一・岡崎信治郎
P142 + 小冊子acrobanchi op & ed 金田伊功 絵コンテ

 本棚の金田伊功さん関連資料を眺めていて、この同人誌のことをひさしぶりに思い出して、思わず読み返していました。

 1982年発行のこのファンジン、僕は単なる通販での購入者にすぎないのだけど、執筆者の方々の熱い想いのこもった一冊。あまりこの手の同人誌を持っていないのだけれど、金田関連の中でもかなり充実している一冊ではないかと思う。
 ネットで検索しても、あまり情報がない(以下、関連リンクにまんだらけの情報を掲載)。
 ということで簡単ですが、このファンジンの編集執筆者の方々に敬意を表す意味で御紹介。

Kanada_tokushyuu_contents_2作品研究

 左が全体の目次。
 作品研究がACT 1 ~ 3、TVアニメ編(57頁分), 映画編(11頁分), オープニング編(21頁分)に別れている。特にこの時代、金田さんの仕事はTV本編の分量が多く、それに多くのページを割いている。

 内容的には執筆陣による作品ごとの金田作画解説と原画/動画/TV画面(たぶん当時は写真撮影されたもの)の掲載。かなりの枚数の原動画が掲載されていて、金田氏の作画がダイレクトに確認できる。中にはシーンの原画が連続で掲載されていたり、タイミングシートが載っていて資料的にもかなり充実している。

 続くパートでは、作品リストと関連出版物リスト。作品リストはかなり詳細に原画を書かれた話数も記載。当時としては画期的な情報であった。(現在ネットでは関連リンクに掲載した2つのリストが存在する)

F14ムーの白鯨 第一話

 作品研究の一部として掲載されていたのが、『ムーの白鯨』第一話に登場するF14戦闘機 トムキャットの設定画。
 この作品、第一話のみだが、金田氏の原画とメカ作監としての仕事である。

 これ、実は僕が今一番見返したい金田アニメート。ネットにも掲載がない、DVDも出ていない。

 F14の空中戦が描かれているのだけれど、そのスタイルと動きがとにかくとても気持ち良かった記憶。飛行機の空中での浮遊感をリアルに表現していて、この後もここまでの戦闘機の作画は、他で観られないのではという出来だった。

 この同人誌の情報だが金田氏の父親は航空自衛隊のパイロットだったという。戦闘機乗りのDNAと、そしてたぶん幼少時に見た父の操る飛行機の映像の記憶が、金田アニメートのルーツのひとつなのかもしれない。

 (先日の『東のエデン』最終話の戦闘機描写もなかなか凄かったですが、記憶の『ムーの白鯨』 トムキャットには勝てませんでした(^^;))

「金田伊功 総論!? アクションに魂を入れるアニメーター」

 そしてトリに掲載されているのは「金田伊功 総論!? アクションに魂を入れるアニメーター」と題された池田憲章氏による評論。
 「まず『ゲッターロボG』ありき」「スタジオZとその仲間達 ①ほとばしる情感 ②独特の構図とアングル ③空間を切りさく光 ④そのしゃれっ気と冗談性 ⑤未完の大器なのかどうか!?」という構成で書かれた文章は、円谷を語る池田氏の筆致と同様にここでも熱く、とても嬉しくなる。
 また特にメカアクションやパースやポーズに話題が行きがちな金田作画であるが、かなり人物の感情描写に素晴らしさを見出しているところが、池田氏の視点。当時映画のメカや特殊効果的な作画が中心になっていた金田氏の起用について、一石を投じている。

 『ダイターン』での担当作品を見れば判るのだが、日本でシャレたハードボイルドを描ける数少ないアニメーターであると思う。

 僕も金田氏のそんな側面が大好きだっただけに、本当にそんな作品がこの後、登場していたらと思うと、本当に残念でならない。
 そして最後に書かれた「未完の大器なのかどうか!?」。

 まるで暴れ馬みたいなアニメーションで、集団作業の中で、どういう場所を得ていくのか―などと考えてしまうのだ。

 金田氏が亡くなった今、この言葉はずしりと胸に響く。
 私見だけれど、この後の大作映画での主にSFX的シーンでの活躍、宮崎駿作品での原画頭としての個性を活かしつつ抑えた作画等、素晴らしい仕事であることは確かなのだけれど、この特集本で書かれている奔放な時代に、金田氏の将来作り上げるだろう作品へ僕らが抱いた期待に、それらが沿ったものであったかどうかは疑問である。

 金田さんの「暴れ馬みたいなアニメーション」を中心に据えて、それを作品の情動とダイレクトに結びつけた傑作を我々は期待していたのだと思う。そうした作品と演出家(もしくはプロデューサー)との出会いが、残念ながら金田伊功という天才アーティストに見合うバランスでなされなかったのだと思う。
 歴史にifはないのだけれど、メインスタッフとしてクレジットされた押井守版ルパン三世での金田さんの画面構成の仕事が実現していたらと思うと、残念でならない。(WEBアニメスタイル COLUMN 歴史の分岐点・押井守版『ルパン』参照)

◆関連リンク
DMM.com [ムーの白鯨視聴ページ 第1話~第10話] アニメチャンネル動画
 現在2184円で全話、観られます。
ムーの白鯨 第1話 白鯨めざめる! | アニメ | 動画はShowTime (ショウタイム)
金田伊功 作品DATA(金田式:kanada style)
作画@wiki - 金田伊功
THE ANIMATOR 1/ YOSHINORI KANEDA*金田伊功特集号 - まんだらけトピックス

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