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2009.12.15

■感想 大森望編『NOVA 1 書き下ろし日本SFコレクション』

大森 望 編『NOVA 1 - 書き下ろし日本SFコレクション』
河出書房新社

●北野勇作「社員たち」   
得意先から帰ってきたら、会社が地中深くに沈んでいた
●小林泰三「忘却の侵略」   
「冷静に観察すればわかることだ。姿なき侵略者の攻撃は始まっている」
●田中啓文「ガラスの地球を救え!」   
……なにもかも、みな懐かしい……SFを愛する者たちすべての魂に捧ぐ ●円城塔「Beaver Weaver」   
海狸(ビーバー)の紡ぎ出す無限の宇宙のあの過去と、いつかまた必ず出会う
●飛浩隆「自生の夢」   
七十三人を死に追いやった稀代の殺人者が、かの怪物を滅ぼすために、いま、召還される。
●伊藤計劃「屍者の帝国」   
わたしの名はジョン・H・ワトソン。軍医兼フランケンシュタイン技術者の卵だ。——圧巻の絶筆、特別収録

12/20『NOVA 1』刊行記念
大森望氏×新城カズマ氏×円城塔氏トークイベント
出演:大森望×新城カズマ×円城塔
日時:12月20日(日) 午後5時〜(開場4時半)
会場:オリオン書房 ノルテ店ラウンジ
参加料:500円

 書き下ろしでSFの新しいアンソロジーシリーズがスタート。
 一本づつ読んで、twitterで感想と考課点を付けていったので、ここで全編まとめてみます。twitterというメディア、短編SFの感想を書くのにはなんだか適したメディアですね。140文字がなんだかいい長さで、しかも誰かに読んでもらっているということで、一篇づつ書いていく根気が続く(^^;)。

 点数は、たまにしか更新しない日記『NOVA 1』考課表に合わせて、+ 3 〜 - 3としました。言わずもがなですが、点数は個人の趣味に合うか合わないか、という側面が強いと思うので、そんな風に見ていただけると幸い。

●北野勇作「社員たち」+1
この倦怠感に溢れた奇想の象徴するのは僕たちサラリーマンの日常?月曜をひかえた日曜日の夜のようだ。

●小林泰三「忘却の侵略」+1
ハードSFなウルトラQか。何が起こっているのか分からない前半の展開がいい。謎解きはもうひとひねりあったら傑作だったかも。

●藤田雅矢「エンゼルフレンチ」 0 (コンセプト+2) 
無人探査機ネタに弱い私にど真中w ドーナツネタもいいのだけど、小説の魅力が何故か弱い。新海誠の背景画があれば+1

●山本弘「七歩跳んだ男」0 
月面本格ミステリー。タイトルもいい。この話はSFでなくてまさにミステリー、SFアンソロジーとしてはどうかと。でも科学ハードSF的なトリックによるミステリーてもっとあってもいいですね。

●田中啓文「ガラスの地球を救え!」+2 www
田中啓文を初読書。これ最高じゃないですか!和製ワイドスクリーンバカSF(^^) 手塚登場も感動したけどラストは涙なしに読めませんww. アニメファンもこの一作のために #NOVA1 買いましょう。
これぞまさにヤマト復活編!波動砲が唸る!

●田中哲弥「隣人」+1
これは強烈。隣人 笠玉利氏の言葉とか言語コミュニケーションの壊れっぷりがいい。世界の奇妙なずれ方がたまらない珍味。臭いさえなければなー。

●斉藤直子「ゴルコンダ」-2 
世にも奇妙な物語でドラマ化されそうな話。タイトルの意味が分からないのは僕だけ?

●牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」-1
言語による現実改変は何でもありになるが故に、スプラッタでは迫力を削ぎまくり。

●円城塔「Beaver Weaver」+1 
論理を外側から描写した詩のような作品。硬質でリリカルなタッチのいつもの円城節がここちいい。「SFは絵だ」説から言えば、これはまぎれもないSF。そして今回はバカSF度は限りなく薄い。

●飛浩隆「自生の夢」+3 
傑作。P416「そのとき人類の言葉は....脳油を浴びて。」の一文に痺れる。全人類が描き出して来た意識の表出物としての過去の書物の堆積がある形で変容し進化する。この後の物語の広大な空間を夢想させるところも凄い。

●伊藤計劃「屍者の帝国」+2
霊素とか、脳や意識に切り込んでいく題材と、大英帝国の雰囲気が素晴らしい。これが遺作でこの先が読めないというのは、本当に残念です。

◆総論
 実は恥ずかしながら、このアンソロジーに登場する作家11人中で初読が6人。いかに僕が最近の(?)日本作家を読んでいなかったか、、、。
 題材自由で、各作家の特徴が出ている短編なようで、自分に合う作家を見つけるのにもいいかも。僕は、田中啓文がポイント高かったので、これからちゃんと長編他、読んでみようかと(^^)。ちまたの評判はこの短編不評なようだけれど、このめちゃくちゃ開き直った作風、僕は好きかも。題材がこのBlog向きというところも高得点の理由なのだけれど、、、。

 なんにしてもSFの幅の広さがよくわかるいい一冊になっています。後半3作ほどが言語による現実改変テーマだったりするけれど、これも仮想空間と現実空間のどちらを舞台にするかで、当然だけれど、受け取り方が全然違うというのが、僕としては連続で読んで比較することでわかったポイントで、なかなか満足だったり。

◆関連リンク
『NOVA 1』 考課表結果 - たまにしか更新しない日記
 今のところ、5人の方の投票が掲載されている。僕の点と特に異なるのは田中啓文「ガラスの地球を救え!」。傑作なのに(^^;)。

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コメント

ギャグとブラックユーモアを交えた短篇集!

北野勇作さんの新作短編集『社員たち』を読みました。
奇妙な北野ワールド炸裂!?

http://birthday-energy.co.jp/ってサイトは北野勇作さんのこと、風の吹くまま好き勝手に生きる御仁、なんて書いてましたよ。コラムをぜひ読んでね♪
「ハレる運命2014」も配信中!!

投稿: 山折り | 2014.01.03 02:33

 青の零号さん、こんにちは。

>>NOVA1、今日買ってきました。
>>日曜までにはひととおり読んでおくつもりです。

 考課表への参戦、期待します(^^)。

>>あとゴルコンダって、マグリットの描いた人がいっぱい降ってくる絵のことでしょうね。

 あ、そうでしたか。実は調べてませんでした。

>>ところで日曜の午後2時ごろに渋谷の「Sync Future」展を見てきましたが
>>なんかサイン会やってるせいで、あんまり展示とか見れない状態でした・・・。

 それはなんとも残念な状況ですね。
 実は会期ギリギリで東京出張が入ったので、なんとか観に行ける予定(^^)。

>>そういえば、会場で山岸真さんらしき人を見かけたような・・・?

 山岸さんのtwitterでは、先週末だかに、東京へ行かれたような記述がたしかありましたね。ご本人かも。

投稿: BP(青の零号さんへ) | 2009.12.20 10:18

NOVA1、今日買ってきました。
日曜までにはひととおり読んでおくつもりです。

あとゴルコンダって、マグリットの描いた人がいっぱい降ってくる絵のことでしょうね。
(まああちらで出てくるのは、山高帽のおっさん集団なのですが。)
もう調べ済みかとは思いますが、マグリット好きとして一応補足しておきます。

ところで日曜の午後2時ごろに渋谷の「Sync Future」展を見てきましたが
なんかサイン会やってるせいで、あんまり展示とか見れない状態でした・・・。
まあ展示スペース自体、もともと小さいんですけどね(^^;。

そういえば、会場で山岸真さんらしき人を見かけたような・・・?
ちょっと目を離したら既にいなかったので、真偽のほどは確認できませんが。

投稿: 青の零号 | 2009.12.15 00:23

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奇想コレクションと『ハローサマー・グッドバイ』が好調らしい河出書房新社から、 文庫SFの超新星が突如出現しました。 日本作家の描きおろし作品を集めたSFアンソロジー『NOVA1』(ノヴァいち)です。 ここに収録された全てがいま一番イキのいいラインナップか、と問われれば、やや疑問符も つきますが、現在のニッポンSFを支える書き手が揃ってるのは間違いないところ。 逆にこのメンツで水準以下の内容になると、純国産SFの明日は暗いと言うことになります。 それでどうなの、そこんところは?と思いつつ、収録作... [続きを読む]

受信: 2009.12.21 02:05

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