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2009年3月8日 - 2009年3月14日

2009.03.13

■感想 デヴィッド・クローネンバーグ監督『イースタン・プロミス』

デヴィッド・クローネンバーグ監督『イースタン・プロミス』 
クローネンバーグ監督、ロシア・マフィアを描いた新作犯罪スリラーを語る
  AFPBB News

「できるだけ見た人の気分がめいるような作品にしたかった。希望に満ち過ぎていると思えるような部分もあるがね」と監督は語った。

 DVDで観た本作は、まさにクローネンバーグが語る通りの作品だった。
 オープニングから画面にみなぎる緊張感。映像のすみずみに恐怖が宿っていて、かなりの緊張感をしいる。

 ヴィゴ・モーテンセンの持つ刃物のような演技がこの緊張感の重要なキーとなっている。
 ナオミ・ワッツもホッとさせる表情もあるが、やはり緊張感をはらんだ表情が素晴らしい。こういった演技は、『マルホランド・ドライブ』を思い出させる。

 そしてラストで描かれる希望。
 クローネンバーグの人間ドラマの完成度は前作の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』に続き、完成度が高い。久しく超自然現象を描くSFものはとっていないが、この最強の人間描写で次はSFを撮ってほしい。

◆関連リンク
Lisa Parker (IMDb)
 本作は2007年に亡くなったUnit Production ManagerのLisa Parkerに捧げられている。
 クローネンバーグとは初めての仕事だったようである。

当Blog記事
デヴィッド・クローネンバーグ監督  新作『イースタン・プロミス:Eastern Promises』
デヴィッド・クローネンバーグ監督 『ヒストリー・オブ・バイオレンス』

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2009.03.12

■Walter Grauman監督 『Lady In A Cage : 不意打ち』

Lady_in_a_cagePodcast 町山智浩のアメリカ映画特電

 最近、Podcastのこの番組を電車で愛聴。
 その中で、印象に残ったウォルター・グローマン監督、ルーサー・デイヴィス脚本の『Lady In A Cage : 不意打ち』。
 日本ではソフトが出ていないのであるが、Youtubeに全編がアップされていたため、1964年の本作を観ることができた。

 なにしろあの鬼畜な小説の作者である平山夢明氏がショックを受けた映画なのである、電車の中でiPhoneの画面をドキドキして観ましたよ、私は。

YouTube - Lady In A Cage Part 1

ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記 『不意打ち』

三階建ての豪邸に住む未亡人(オリビア・デ・ハビランド)は腰を痛めたせいで、鳥かご型のエレベータに乗らないと二階に上がれない。 ところが、ある日、ふとしたことでその家が停電し、未亡人はエレベータの中に閉じ込められてしまう。 その家にまず浮浪者が侵入し、金目のものを漁り始めた。 しかし、それは恐怖の一日の始まりにすぎなかった……。

 まずヒッチコック『サイコ』のタイトルバックのようなオープニングが素晴らしい。ソウル・バスを真似たように見えるが、このシャープさはいい。そして同時に出てくる60年代の車が走る街並みがなんかカッコいい。

 そして、映画本編、当時としてはギリギリの表現。それにしても確かに怖い。
 この怖さは、狂った人間の怖さ。サイコな奴が4人ほど出てくるが、Podcastで触れられているようにヒッチコック『サイコ』にテーマも通底。ヒッチコック追悼特集で『サイコ』を初めて観た時のショックを想い出す出来。

 加えて、先に述べたタイトルバックに加えて、階段のシーンの突然くわえられる暴力のショック。これらは『サイコ』へのオマージュになっている。

 さらに話題になっているラストシーンについては、僕はアマチュア時代の平山夢明氏(デルモンテ平山監督)の自主映画作品を思い出した。子供時代に平山氏がこの映画を観た記憶が、自主映画作品のクライマックスに影響しているようだ。

YouTube - ペキンパーの男 (平山夢明) - Peckinpah Man
 デルモンテ平山監督の「えび天」登場作品。タイヤのスローモーションに注目。

◆関連リンク
【平山夢明 ブログ】ある日記
Walter Grauman監督 『Lady In A Cage : 不意打ち』

YouTube - 事故にあった仲間を気遣う犬の感動動画
 この映画でいやーな気分になった後は、この映像があなたを浄化してくれます。

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2009.03.11

■西尾康之 『健康優良児 [エロス編]』 『西尾家之墓[タナトス編]』

Photo_2 西尾康之『西尾家之墓[タナトス編]』
           (心斎橋アセンス)

死の香り漂うジャイアンティス作品集

生き物の外部(体表)と内部(内臓)を同時に見せる「リバーシブル」シリーズ、神殿を思わせる大型作品「オーガン」、女性の下着と花々を繊細に描いた「チェイサー」シリーズ、室内に浮かぶ巨大な美しい女性を描いた「幽霊」シリーズ、女性の腐乱した死体を思わせる「タナトティス」シリーズ、エラを持つ女性の溺死体「ドラウン(溺れる)」シリーズなど、今回も色濃い世界を展開しています。

西尾康之『健康優良児 [エロス編]』
           (心斎橋アセンス)

本書では、街を破壊する巨大な女性たちを油彩や水墨で描いたシリーズを収録。街を瓦礫の山に変えながら現れる肉体的な女性が次々と登場します。

また、2005年に開催された「GUNDAM」アート展の会場で一際目を引いた彫像「セイラ・マス」や、「トランスフォーム 変態」展で見せた昆虫、宇宙船のような「ミンスク」、1990年代に制作したジオラマも掲載されており、内側から盛り上がる独自のマチェールや、違和感を与えるサイズのギャップを活かして、「エロス」=「生きるエネルギー」を追求しています。

DROWNするリアル 東京・白金で西尾康之の個展
 - MSN産経ニュース

09.2月7日まで開かれている西尾康之展=東京・白金台の山本現代ギャラリー

 すでに終了しているが、この展示会の作品が凄いインパクト。
 これも『美術手帖』の今月号で観た作品。

 かなりグロいイメージなので、この手のが不得手な方はリンクを開かないことをお薦めします。

 2冊出ている作品集は、どこの本屋にでもあるというものではないのだけれど、どこかで一度観てみたいものです。

◆関連リンク
西尾康之 彫刻写真集  Skulptures by Nishio Yasuyuki(公式HP)
Artists 西尾康之 (YAMAMOTO GENDAI)
西尾康之 「健康優良児」 | TABlog | Tokyo Art Beat

ここでおもしろいのが、女たちに囲まれてただ一つ、ウルトラマンセブンを描いた作品が展示されているという点。ここで「あー、なるほど」と納得。ウルトラマンセブンが怪獣から人々を守るため巨大化された姿で地球に舞い降りるように、彼女らも巨大バージョンの”ジャイアンティス”として都会に出現した、という 比較が成り立つからだ。

YouTube - [GEISAI.TV] GEISAI ARTISTS 西尾康之 GEISAI#1で金賞 受賞他
西尾康之 - Google 画像検索

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2009.03.10

■新刊メモ 『奇想遺産〈2〉世界のとんでも建築物語』 『レッドムーン・ショック』
 『アッチェレランド』 『ハチはなぜ大量死したのか』

鈴木 博之, 隈 研吾, 松葉 一清, 木村 伊量, 藤森 照信
 『奇想遺産〈2〉世界のとんでも建築物語』
(新潮社)

やっ ぱり、この建物、ちょっとヘン! 古今東西を唸らせた奇観――怒濤の物語! ヘンテコで、奇妙な建物たちは一体、なぜ建てられたの? 権威に裏打ちされなくとも、見る者の意表をつき、惹き付けてやまぬ迫力で君臨してきた存在感。そ こに宿されていた建築家の情熱と深い哲学、時代の精神。専門家も思わず目を凝らしてしまう77の“迷作品集”、待望の第二弾。

 前作は書店でもかなり山積みになっていたので、ヒットしたのでしょう。続編の登場です。
 朝日新聞をとっていないし、本書をまだ手にしていないので、どんな建築が紹介されているか。
 前作で有名どころが登場していたので、今回は小粒な気もするが、世界は広い。どんな奇想が飛び出すか!?

マシュー ブレジンスキー
 『レッドムーン・ショック―スプートニクと宇宙時代のはじまり』
(NHK出版)

1957 年――アポロ11号による月面着陸成功の12年前、人類と宇宙の関係を変えた世界初の人工衛星スプートニク1号が打ち上げられた。2人の天才科学者、元ナチス党員でありながらアメリカに渡ったフォン・ブラウンと収容所がえりのコロリョフによる宇宙へのあくなき挑戦、冷戦下、全世界を巻きこむ二大国の競争がスリリングに描かれた、熱き人間ドラマ。写真も多数収載。

 この手の本は、日米宇宙競争の時代に少年時代を送った我々に、いまだにワクワク感を感じさせますね。たくさん出ているこうしたドキュメントのうち、この本はどんな位置づけとなるんでしょうか。

チャールズ・ストロス『アッチェレランド』(ハヤカワ・オンライン)

〈ロー カス賞受賞〉ギブスンの鮮烈×クラークの思弁!
 時は、21世紀の初頭。マンフレッド・マックスは、行く先々で見知らぬ誰かにオリジナルなアイデアを無償で提供し、富を授けていく恵与経済(アガルミク ス)の実践者。彼のヘッドアップ・ディスプレイの片隅では、複数の接続チャネルが常時、情報洪水を投げかけている。(略)
 〈特異点(シンギュラリティ)〉を迎えた有り得べき21世紀を舞台に、人類の加速していく進化を、マックス家三代にわたる一大年代記として描いた新世代の サイバーパンク。

 ギブスン+クラークの思弁! なんか最強な気がしますが、果たして。
 これ、連作集ということですね。

ローワン・ジェイコブセン『ハチはなぜ大量死したのか』 (文藝春秋)

2007 年、300億匹、北半球のハチの4分の1が消えた。ある朝養蜂家が巣箱をあけると、そこにいるはずの働きバチがいないのです。働きバチは二度 と帰ってくることなく、そのコロニーは全滅します。謎のその病気は蜂群崩壊症候群(CCD)と名付けられます。その原因追究から「生態系の平衡の歪み」というより大きな枠組みに読者をつれさる知的興奮の科学書です。

 シャマラン『ハプニング』でも話題に出てきた「ハチの大量死」を追ったノンフィクション。
 立ち読みでは真相は不明でしたが、スリリングな追及の話になっているようです。

◆関連リンク
当Blog記事
『奇想遺産 世界のふしぎ建築物語』リンク集

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2009.03.09

■ヤノベケンジ展:ウルトラ最新情報(推測)
  薬師寺美津秀 テスラコイルとのコラボレーションの可能性!?

ヤノベケンジ-絵本「トらやんの大冒険」原画展-|豊田市美術館 (Toyota Municipal Museum of Art)

2009年3月7日[土] ~ 3月29日[日]

 トらやんの大冒険」原画展がスタート。
 今週は行けなかったけれど、近々見に行く予定。

『美術手帖-2009年-03月号 日本のアーティスト ガイド&マップ』 (公式HP)

 この雑誌を立ち読みしたら、こんな記述があった。
 「ついに異端の科学者ニコラ・テスラまでを導入したヤノベケンジ」。そして掲載された絵はテスラコイルらしきイメージ。つけられたキャプションは「ドローイングウルトラより」。

 たしか今までに、このようなイベントは行われていないはず、、、。ということはもうすぐ開催される豊田市美術館ヤノベケンジ展:ウルトラ 4/11(SAT) - 6/21(SUN)で実現か。

 ネットを調べてみると、テスラコイルアーティスト薬試寺美津秀氏の言葉があった!

ハカセが行くよ Vol.6 薬試寺美津秀さん(イヌコン(犬山アートコンパ)実行委員会)

ハカセ:そういえば、今度ヤノベケンジさんとコラボレーションされるそうで!
薬試寺:うん、でもまだはっきりしたことは言えないんだ。
薬試寺:ヤノベさんと会って、最初に、テスラコイルって言うのは
    五感を刺激するものなんだよってお話させていただきました。
    まずはモーターの重低音・稲妻による光・放電による空気の振動・
    そして放電によってオゾンが発生して匂いも伝わってくる。
    人間の感性をダイレクトに刺激してくれる物なんです。
ハカセ:なるほどー。
薬試寺:そう説明したら、たいへん興味を持っていただいて!(笑)

 もしこの推測が本当に実現するとしたら、ヤノベ氏と京都造形大の学生とのコラボレーションとして完成するはず。

 ウルトラ・ファクトリーのBlog ULTRA  TODAY: IRON BLUEを見ると、「ヤノベケンジ展:ウルトラ」の造形物とおぼしきオブジェが、、、、。もしかしてこの鉄のアートがテスラコイルの火花とまみえるのか!?

■関連リンク
ULTRA  TODAY: 2月5、6日解体作業

二日間に渡って行われたジャイアント・トらやん解体作業。 業者さんの手によってあっという間に、消えてしまったトらやん。

次は、東京六本木。
あの大きな身体があばれます!!

 解体の様子が連続写真で掲載されている。
 ジャイアント・トらやんが六本木へ!! 東京のヤノベファンは心して待たれよ!!

◆ニコラ・テスラとテスラコイル リンク
・新戸雅章氏のHP 発明超人ニコラ・テスラ
テスラの著作特許(もしかして自筆の絵?)
 そしてテキスト "World System of Wireless Transmission of Energy"
薬試寺美津秀 日本唯一にして、最強のテスラコイル・パフォーマーとか。

 テスラコイルの研究を独学、自費で続け、2001年、人気ロックグループTUBEのツアーでは7m長の稲妻放電発生に成功。(略)
 2006年、世界クラス(東洋最大)のテスラコイルを製作。神奈川県川崎市で開催された「ニコラ・テスラ生誕150年記念イベント」で公開し、絶賛を博した。2007年には、映画「プレステージ」試写会イベントで、マジックとのコラボレーションに挑み、見事成功させた。

テスラ・コイル実演動画
Youtube Tesla coil 音と同期する火花
 映画ではたぶんSFXだったあのテスラ・コイルの実物映像がいろいろ見えます。
当Blog クリストファー・ノーラン監督『The Prestige:プレステージ』
 テスラ・コイルが登場する映画。

(09.6/17修正 薬師寺美津秀氏のお名前については、「薬師寺」という漢字が正しい表記です。今回の記事ではネットからの引用部分については、原文のままとしました)

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2009.03.08

■神山健治 『映画は撮ったことがない』刊行予定
 小説版『東のエデン』連載スタート予告

神山健治『映画は撮ったことがない』(INFASパブリケーションズ)

監督作「攻殻機動隊 SAC」のDVD販売が150万本を突破するなど、圧倒的支持を集めるアニメーション監督神山健治がカルチャー誌『STUDIO VOICE』にて創作の全て(?)を2年半に渡り綴った同名連載を書籍化。

★スペシャル対談収録
押井守(『スカイクロラ』、『イノセンス』ほか)
中島哲也(『嫌われ松子の一生』ほか)

 

東のエデンNewsで知ったけれど、神山監督の『STUDIO VOICE』での連載がまとまって3/下旬に刊行される。(先月の『STUDIO VOICE』には『東のエデン』の絵をバックに1ページの広告が出てた)

 押井監督との対談は、その短縮版が下記今月の『STUDIO VOICE』に掲載されている。

『STUDIO VOICE (スタジオ・ボイス) 2009年 04月号 スタジオ・ボイスの時代』

(STUDIO VOICE 公式HP)

「映画を撮る」とは? 師弟対談 押井守×神山健治

神山 僕は『攻殻機動隊SAC』を作るときに「30代の押井さんだったら、こう作るだろう」と、押井さんを擬似的に追体験して作ったんです。 神山 『攻殻』『守り人』と、僕は強い女性を描き続けてきましたが、どちらかというと、黒澤明の映画に登場するような「男萌え」が好きなんです。それが僕のフェティッシュなんだろうと思います。「強い女性」で描くとオブラートに包まれてやりやすいんだけど、今回の『東のエデン』でははじめて、それを男でやろうと思っています。

 「男萌え」という表現はともかく、「黒澤明の映画に登場するような」という言い方で、どんなイメージかよくわかる。  既に「クゼ」や「バトー」の描写で、そのあたりは充分表現されていると思う。今度は『東のエデン』において、主役でそうした人物を描くということだろうか。

 そしてもうひとつ、東のエデンNewsから楽しみなニュース。

4月6日発売の「ダ・ヴィンチ」5月号(メディアファクトリー刊)にて、神山健治著の小説版「東のエデン」の連載もスタートしますので、そちらもお楽しみに!

 もともと神山監督の表現は、映像に加えて、言葉の深さが重視されているので、小説の完成度も期待される。

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