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2009年3月22日 - 2009年3月28日

2009.03.27

■山田太一脚本 田島大輔監督 『ありふれた奇跡』 最終回

『ありふれた奇跡』

 第1回の時に記事にしてから、はや3ヵ月弱。
 山田太一「最後の連続TVドラマ」と言われている 『ありふれた奇跡』 が、先週はやくもついに最終回を迎えてしまった。(最近、3ヵ月はあっという間)

 山田作品のクライマックスでよく用いられる登場人物がひと処に集まって議論するシーンが、この最終回でやはりあった(^^;)。

 今回、そのクライマックスで素晴らしかったのが、井川比佐志演じる田崎四郎氏のセリフと表情。
 戦災孤児としてどん底の時代を語り、そして孫によってその人生観に軌道修正をかける姿。戦後を想い出す深い視線とこの心変わりのシーンが素晴らしかった。

 
 『男たちの旅路』で山田の名前を中学生の時に覚えて、『岸辺のアルバム』を朝刊小説として読み、『想い出づくり』と『早春スケッチブック』の深さにまいって以来、単行本もほとんど全て読んできたファンとしては、これで山田氏の長編ドラマが観られないかと思うと感慨深くならざるを得ない。ちょっとこの後、感傷的なトーンの文章になるけれど、御容赦を。

 最終回を休日の朝、録画したもので観て、エンヤのOP曲「ありふれた奇跡」をiTune Storeでダウンロードして街へいつもの犬の散歩に出た。

 今回のドラマはある意味、山田作品のひとつの到達点と言える。
 僕が思ったのは、市井の生活と哲学の乖離と融合が山田太一の大きなテーマの一つと考えると、今回の『ありふれた奇跡』はその到達点ではないか、というもの。

 『早春スケッチブック』でこのテーマは顕著だったのだけれど、どちらかというと今まで山田の視点は哲学寄りにあったというのが僕の感想。今回は、そこが随分と抑えられているが、タイトルにも明らかなように、まさに市井にあるひとつひとつの人の営みが、じっくりと丁寧に、そして大切に描かれていた。

 「自殺」という現代の大きな問題を第一話で問題提起した山田ドラマは、こうした視点で、街のどこにでもある家の小さな奇跡と不幸を描くことで、ひとつの解決策の糸口を提示している。

 普段はやらないiPodを聞きながらの散歩。エンヤの「ありふれた奇跡」をBGMに街を歩いていると、このドラマの各シーンやセリフ、それから最後の連ドラという感慨で、今までの山田作品の彼是が想起される。そして町の各家を通り過ぎるたびに思うのが、今回山田太一が描いた市井のいろんな生活。

 近所には、「振袖がほしてある家」「最近新しい犬が来た家」、、、、いつもの街のデティルのひとつひとつがグッと来るから不思議。
 

  『ありふれた奇跡』 はドラマの中の物語だけでなく、その直後に歩く街のひとつひとつの事物に、かけがえないような輝きを持たせるだけの静かだけれど力強いドラマだった。

◆関連リンク
: エンヤ『雪と氷の旋律』 Enya - And Winter Came - Dreams Are More Precious
『ありふれた奇跡』サウンドトラック

当Blog記事
山田太一脚本 田島大輔監督 『ありふれた奇跡』 第1回

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2009.03.26

■デジタルカメラ ハイビジョンムービーとハイスピード撮影
 HD2000 vs FC100 vs TZ7 vs CX1 比較表

Photo_2

 最近のデジカメは、ハイスピード撮影(スローモーション)とハイビジョン動画が撮れるものが出てきている。そこで最新機種のスペックを比較してみた。(いや、7年使用しているコンデジを買い替えようかと思っているので、自分のためです(^^;))

 比較したのは、表の4機種。ハイビジョンとハイスピードで抽出したが、CX1はハイビジョン動画がないのだが、興味があるため。
 自分の眼にとまったものを抽出したけれど、もし他の選択肢もあれば、ご教示ください。

 これを見ると、EXILIMのコストパフォーマンスがダントツ。
 特にハイスピードについては、さすがに業界初を実現したCASIO、コンデジへの導入でもトップを走っている。

 これでほぼ決まりのようなものだが、捨てきれないのは、XACTI。
 もちろんハイビジョン動画がフルハイビジョンで、しかも60fpsのプログレッシブ。サンプルのムービーも素晴らしい出来なので、価格は高いが候補に残している。たいがいXACTIは次の機種が出るころに、前モデルが4万円台くらいまで値落ちするので、そこまで待って購入するのもありかと、、、。
 そろそろムービーカメラもハイビジョンハンディカムHDR-HC1のテープタイプから脱したいと思っているので、この際、これでデジカメと合わせて刷新としたい気持が大きくなっている。コンパクトさで有利なEXILIMとどっちにするか、悩むところ。

◆関連リンク
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 60fps 24Mbpsのプログレッシブ動画 すばらしく奇麗
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2009.03.25

■新刊メモ テレコム『アニメーション・バイブル』
 『アニメーション映画の演出術―『スカイ・クロラ』にみる映像技法』

アニメーションノート編集部『アニメーション映画の演出術―押井守監督作品『スカイ・クロラ』にみる映像技法』(誠文堂新光社)

本書はふたつのテーマをもって作られている。ひとつは、アニメーションにおける「演出」という職分が、どのような業務であるのか―具体的な例をあげて紹介するものだ。そしてもうひとつは、押井守映画の「映像技法」の技術的な到達点の検証である。

テレコムアニメーションフィルム『アニメーション・バイブル―アニメーション制作の教科書』(誠文堂新光社)

アニメーション制作において知らなければならない理論を、図解で分かりやすく解説します。基本的な動きの原理からキャラクターの制作、デフォルメ、特殊なCGアニメまで。

 アニメの制作現場からのノウハウ本が二冊。
 押井守演出については、今までもレイアウトを中心に解説した本が出ているが、今回のはCGとの融合技術等が目玉になっているのではないだろうか。

 一方のテレコムは、新人養成に力を入れているイメージがあるので、蓄積されたノウハウが活かされている本になっているのかも。

◆関連リンク
『 「イノセンス」METHODS押井守演出ノート』
『Methods―押井守「パトレイバー2」演出ノート』
『機動警察パトレイバーザ・レイバー・インダストリー ― レイバー開発全史』

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2009.03.24

■拡張現実技術実用化 仏Total Immersion社
 3Dアバターが飛び出す野球カードゲーム

Baseball_3d_vr 3Dアバターが飛び出すカードゲーム:拡張現実技術を利用 | WIRED VISION.

パソコン画面上で、漫画風の立体的な選手のミニチュアが、現実世界の画面に重ね合わせて表示される。カメラ追跡システムとウェブカメラ、そして仏Total Immersion社の画像処理ソフトウェアを組み合わせている。

 ひさびさのMR(Mixed Reality)ネタ。
 リンク先の動画を見ると、なかなか楽しそう。

toppstown (公式HP)

 カード会社のHP。ここで3Dデータを入手できる。
 現実に複合現実技術がこのように実用化されているのは、なかなか楽しい。

 やはりゲーム関係から登場するんですね、ヴァーチャルリアリティって。
 昔、任天堂のファミコン用に、NASAがやってたVR技術のデータグローブが登場した時はびっくりしたけれど、、、。

T_immersion

Total-Immersion - Home  (公式HP)

 仏Total Immersion社のHP。
 ここのギャラリーに各種のデモビデオが置かれている。

 圧倒的に日本が進んでいると思っていたのは、『電脳コイル』の幻影だったのか。これを超える日本メーカの動きに期待したい。

◆関連リンク
『電脳コイル』探索  複合現実と強化/拡張現実  ミックスドリアリティとオーグメンテッド・リアリティ  MR(Mixed Reality) & AR(Augmented Reality) 

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2009.03.23

■Sync Future | S-F Magazine 50th Anniversary Special
 磯光雄×飛浩隆『グラン・ヴァカンス―廃園の天使』予告

Sync_future

Sync Future | S-F Magazine 50th Anniversary Special

次の50年を担う遺伝子へ向けたメッセージ!
日本を代表する25人のクリエイターと25冊のSF小説が
コラボレーションを果たしたアートブック誕生!

磯光雄×飛浩隆 『グラン・ヴァカンス―廃園の天使』
菅原芳人×山田正紀 『神狩り』
森本晃司×伊藤 計劃 『虐殺器官』 他 全25作品

 SFマガジンの50周年(!)記念として、面白い企画が発表された。
 早川書房より2009年刊行。本来、SFマガジンの50周年ということであれば、小松左京、筒井康隆といった大御所の登場もあるべきだけれど、彼らの名前はない。過去の経緯で早川書房との関係は復旧されていないようだ。日本のSFにとってとっても残念。

 作家は若手中心に構成され(といっても光瀬龍とか神林長平もいるわけだけど)、特に僕が楽しみなのは引用した3作品。

 磯光雄氏の作品としては、『電脳コイル』完結後の初作品ということになる。
 そして飛浩隆氏のHPにこんな記述が、、、、。

2009-03-08 - 題材不新鮮 SF作家 飛浩隆のweb録

■磯光雄氏といろいろ お話できました
 贈賞式パーティーで磯氏とお話ししていて、イズモのことをいろいろ訊かれたりしました。 それで思ったのは、「土地の力」についてかなり強く意識されているのかなあ、ということ。(略)
 古い、根源的な力を蓄えている場があり、その上にかぶさった(本作で言えば電脳空間の)レイヤがある種の配置を取るとき、その力が浮上する、そんな感覚が この作品の――というか作者の――底に流れているのではと感じました。このような、作品の表面的なテイストや主題やネタやシノプシスのずっと以前にある、 作者の、なんというか欲望のみなもとみたいなもの、それをこそ「世界感」(誤字ではなく)、あるいは作家性と呼ぶべきでしょう。

 飛浩隆作品と磯光雄『電脳コイル』は、下記の記事で書いたように、電脳アイテムでシンクロしている部分があるので、このコラボは楽しみ。

・当Blog記事
『電脳コイル』探索 第2話「コイル電脳探偵局」
  ポストンくんと『グラン・ヴァカンス』グラスアイ

◆ メタバグと硝視体(グラスアイ)
 不思議な力を持つ電脳物質メタバグ。メタバグで思い出したのは、飛浩隆のSF『グラン・ヴァカンス』に出てくる硝視体(グラスアイ)と呼ばれる電脳世界の魔法の宝石。
 ミックスド・リアルな『電脳コイル』の世界と異なり、『グラン・ヴァカンス』は「数値海岸:コスタ・デル・ヌメロ」と呼ばれる完全電脳空間が舞台なのだけど、硝視体と呼ばれる宝石のようなものが町のここかしこで見つかる。そして電脳空間内の超能力ツールとして使用されていて、それを職人的に扱える特殊能 力者が登場する。
 硝視体の僕の脳内映像イメージは、まさに『電脳コイル』で映像化されたメタバグそのもの。

 『グラン・ヴァカンス』とそれに続く『ラキッド・ガール』は、それこそ磯監督で映像化されたらいいかも。(というより本当は早くオリジナル作品第二弾が観たいのだけれど、、、)

◆関連リンク
飛 浩隆『グラン・ヴァカンス―廃園の天使』
飛 浩隆『ラギッド・ガール ―廃園の天使』

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2009.03.22

■神谷健治監督 竹田悠介美術『東のエデン』 予告篇
 HDR(High Dynamic Range)写真タッチの映像

Photo
フジテレビ“ノイタミナ” TVアニメ 東のエデン SPECIAL SITE / Trailer
東のエデンBlog 春日晴男君(^^)のコメント

 これまで、神山・竹田コンビが作ってきた、緻密かつリアルな背景美術ではなく、 実在感を伴いながら、羽海野さんのキャラクターとの親和性を目指し、 監督と竹田さんとの間で、試行錯誤が繰り返されてきました。
 グラデーションを、イラストタッチの塗りわけで表現した、美しい美術ボードです。 神山監督のオーダーに応えつつ、常に新たな表現の幅を広げ続ける竹田さん。 神山監督が竹田さんに絶大な信頼を寄せているのも納得です。

 『東のエデン』の映像が東京国際アニメフェアの開催とともに解禁になった。
 予告篇のワクワクさせる導入感もいいけれど、まず素晴らしいのが、竹田悠介美術監督による背景。

 SPECIAL SITEでの予告篇と、その後に表示される背景画のスライドショーをよく見てほしい。端正に表現されたデザイン感覚に溢れた絵。どこかで観たことのあるタッチだと思ったら、、、、。

 これって、HDR(High Dynamic Range)写真のイメージに近いのではないか。(関連リンク 当Blog記事 HDR(High Dynamic Range)写真)

Photo  かなりのハイコントラストと、光のグラデーション。
 極彩色とまでは言えないけれど、鮮やかな色づかい。
 これらが醸し出しているのが、HDR(High Dynamic Range)写真のイメージに似ていると感じたわけ。

 そしてそれがかなりアニメのセルと調和して、素晴らしい。セルの二次元で、そしてくっきりした色づかいがHDR風の背景に見事にマッチ。こうしたタッチのアニメの画面は、今までもイラスト的な感覚の映像として、どこかにあったかもしれないけれど、かなり斬新なのではないか。
 さすが美術出身の神山監督。今回はこのアプローチですか。

 今まで、映像よりもどちらかというと、シナリオ重視にみえた神山作品だけれど、今回は練り込んだミステリアスでエスピオナージなシナリオと、斬新なHDR映像で勝負というように今のところ感じられる。

 ここで考えてみると、もともとアニメのセルは、HDRそのもの(どこまでも色合いがくっきりしているのが、まさに(^^)それ)。それと写実的な(狭いダイナミックレンジを)表現した油絵や水彩画風の背景は、考えてみれば浮いていた。そこを逆転させて、ハイダイナミックレンジに背景も表現したのは、もしかしてかなり本質的で画期的なアプローチかも知れない。

 物語の緊迫感と、そして映像の冒険と。
 今度の神山作品はどこまでアニメ映像の可能性を広げられるのか、楽しみな展開になってきた。

◆関連リンク
【レポート】ノイタミナにて放送される『東のエデン』と『東京マグニチュード8.0』の合同会見に押井守監督も登場!(マイコミジャーナル)

東京国際アニメフェアのフジテレビブース

神山健治監督「(略)いままでの僕の作品と比べて『東のエデン』で一番特徴的なのは、羽海野チカさんにキャラクターデザインをしていただいた点かなと思います。これは僕にとっては、非常に新しい大きな試みだと感じています。実際に、羽海野さんのキャラクターを生かした空間作りというのも意識して制作してます。ストーリーはもちろんです が、それ以外のビジュアルの部分にも注目してご覧いただけたらと思います」

押井守監督「神 山くんのオリジナル作品は、(略)アニメーションでここまでやっていいのか? と思うほどだけれども、僕自身も楽しみにしているので、頑張ってもらいたいなと思います」

Production I.G [作品詳細]

 この国の“空気”に戦いを挑んだ、ひとりの男の子と、彼を見守った女の子の、たった11日間の物語。

 引用した絵から醸し出される、街の情景と空気感。
 アメリカシーンと日本シーンで描き方が違うようにみえる。これが各国の"空気"を表現するものなのかどうか?これもチェックポイントです。(日本のシーン、焼き鳥屋「とり太郎」へ行ってみたいと思ったのは僕だけではないはず。この空気は好きです(^^))

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