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2009年4月19日 - 2009年4月25日

2009.04.23

■原将人監督 最新作『マテリアル&メモリーズ』情報

LUNATYCA通信

2009年5月9日(土)20時から
原将人監督による新作上映「マテリアル&メモリーズ」 8ミリ 120分 2009年
3面マルチ8ミリフィルム上映&ライブ演奏(休憩あり)
音楽 原将人 吉本裕美子
場所 下北沢 スローコメディファクトリー

原将人 最新作『マテリアル&メモリーズ』上映
(シネアスト・オーガニゼーション・大阪エキシビション-CO2)

09.2/28日(土) 17:45〜19:15  演奏:原将人

スタッフ ブログ

------------- マテリアル&メモリーズ

 映画は身体(内蔵)であり、ビデオは脳である。
 映画はマテリアル(フィルム)だが、ビデオは情報だ。
 映画は表現だが、ビデオは伝達だ。

 三十年前、私は火災に遭った。
 もちろん、火災の中心部にあったなら焼失してしまっただろうが、火災の周縁部に置かれていた膨大な8ミリフィルムが微妙な熱処理を受けた。
 その熱は、フィルムの感光材の緑、青、赤の層をある周期を以て、微妙に剥離させ、見事なアブストラクトアートを展開してくれた。

(中略)
剥離と言っても一様に剥離される訳でなく、網目模様が入り、様々な色が織り込まれ、抽象画が展開されるのだ。それも一コマ一コマ異なったアラベスクだ。

(中略)
 そして、その熱の強度が弱い所では、喪失した映像、つまり本来そこに写っていた映像が見えることもある。喪失した映像とは、三十年前、ヨーロッパとアフリカを一年近く放浪したときの映像だった。ベルリンの壁も、パンクのロンドンも、ヒッピーに人気のあったマラケッシュも、剥離映像の合間に垣間見られて、いつか作品として成立するという予感とともに保存しておいた。私は封印しそれが使える時を待つことにした。そして、機は熟した。それがこの三面マルチのライブ映画「マテリアル&メモリーズ」だ。(以下略)
========================

 大阪で今年2月に初公開され、今度は東京で5/9上映会。
 原監督の演奏と三面マルチの8mmライブ上映は、いつか必ず観たいものですが、下北沢は遠ーい。

 いつかまた大阪か、東海地区で上映されるのを首を長くして待ちます。

◆関連リンク
webDICE - 骰子の眼 - 青山真治、ジム・オルーク、ドラびでお、束芋ら出演の「ただの映画祭」じゃないシネマ・フェス『CO2』

原将人による7年ぶりの新作『マテリアル&メモリーズ』が8ミリフィルムの3台同時映写で上映される。


映画『そうなんだ』blog
 会場では、原監督の限定本とCDも売られたようです!
映画芸術: 第5回シネアスト・オーガニゼーション・大阪(CO2)エキシビションを振り返る
平澤竹識(編集)

 『マテリアル&メモリーズ』上映中の様子。写真が掲載されている。
原將人オフィシャルサイト
 「映画楽講義(2009年 出版予定)執筆中です」とのこと。楽しみに待ちましょう。

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2009.04.22

■神山健治監督『東のエデン』第1話「王子様を拾ったよ」
  山崎浩司演出 近藤圭一作画監督

『ダ・ヴィンチ 2009年 05月号』 神山健治インタビュー

 やっかいなことに私は、ウィル・スミス、ブルース・ウィルス、そして宮崎駿に続く、四番目に世界を救おうとしている男なんですよ。

Eden_of_the_east_1
 やっとこの地方でも放映が始まったので、第一話のレビュウです。
 丁寧な作画と、シャープなOP、凝ったペーパーアニメのED、そして以前も書いたけれどハイ・コントラストで斬新な背景。映像的にも高度な仕上がりだったけれど、さらにストーリーも謎の提示がワクワクさせるし、キャラクタのセリフの端々が人物の奥行を想定させて、期待させる初回。
当Blog記事 神山健治監督 『攻殻機動隊S.A.C.2nd GIG』 23-26話

 茅葺総理のセリフ「一身独立して、一国独立す」。茅葺の連絡先は航空自衛隊の秘密部隊。で、米原潜への挑発。  つまり3rd GIGは日本と米帝の冷戦を描くわけですか? ということは現在のアメリカの行動を射るテーマ。難民問題から続いて、まさに今日的テーマを書いていこうとしているようです。すげえ。

 残念ながら3rd GIGはなかったけれど、この『東のエデン』は画面の口当たりは違うが、2nd GIGのこのテーマを引き継いだある意味、続編。

 セリフの端々に表れている主人公二人の「本気」に、2nd GIGから直結した神山監督の社会派視線を感じられた。なんといってもファーストシーンから「米帝」の本拠地が舞台だから(^^;)。
 そして再演ではないはずで、昨今の状況は益々米国の存在が世界に大きな傷をつけているわけで、神山監督の2nd GIGの先を行く、米帝批判を期待。冒頭で引用した神山インタビューの言葉は、2nd GIGを知るファンには、やはりそうか、という感慨があるけれど、ついにもろに口に出してしまわれましたか、神山監督。よほど今回は本気なのでしょうね。近頃のテレビが失った本来のジャーナリズムの役割を、この番組がなんらかカバーするのかもしれない。

 この時代にこのテーマ、視聴率良いみたいだし、今後の展開が本当に楽しみ。
 アメリカと日本と、それから世界の関係がどう描かれるのか!?

◆『東のエデン』第1話 感想リンク
shamonさんのひねもすのたりの日々
青の零号さんのBiting Angle
 出来たら、毎回クロスレビュウしてみたい。おふたり、いかがですか?
 一番先にねを上げそうなのが私なのですが、、、(^^)。

◆関連リンク
オリジナル・サウンド・トラック『東のエデン』
竹田悠介美術『東のエデン』  予告篇 HDR(High Dynamic Range)写真タッチの映像
Washington D.C.探訪 - 「東のエデン」聖地巡礼の旅 (2009-05-03 - ものくろーむな日常)
『ダ・ヴィンチ 2009年 05月号』
・エンド・クレジットで「協力」となっている羽海野チカ「3月のライオン」(ヤングアニマル)。第一話がウェブで見られる。
羽海野 チカ『3月のライオン』

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2009.04.21

■感想 アラン・ムーア原作/ザック・スナイダー監督『ウォッチメン』


『Watchmen: The Art of the Film』
ピーター・アペロー『WATCHMEN ウォッチメン Official Film Guide』

 ということでコミックに続き、映画を観てきたので続けて感想。

 冒頭のスナップ写真風(実は動画)タイトルバックと特に前半の80年代当時のポップス/ロックの使用が素晴らしい。
 これらと、そして実写になったことによるアメコミではないリアルなアメリカの歴史を感じさせる存在感が、グッと迫ってくる時代性の表現とアメリカという理不尽な存在を浮き彫りにしている。

 これは、コミックよりも映画の方が優れていると言えるのではないか。はさみこまれる歴史のドキュメント映像の存在が大きい。


 ★★★★ ★★★★ ネタばれ注意 ★★★★ ★★★★

 基本は原作コミックを映像にそのまま移し換えていくように映画化されているのだけれど、いくつか原作からずれがある。

 ストーリーの改変で気になったのは、Dr.マンハッタン/ジョン・オスターマンが火星へ行く前に、シルク・スペクター/ローリー・ジュスベクツィンがナイト・オウル/ダン・ドライバーグのもとへ行くところ。
 原作では、Dr.マンハッタンが火星に去り捨てられた形になったローリーがダンに直ぐ乗りかえるような蓮っ葉な女として描かれているが、ここを改変している。
 これはクライマックスでのヒューマニズムの視点を強調するためなのだろう。コミックにないローリーの存在(ひいては人の心の存在)こそが奇跡なのだという部分、映画を感動的に結ぶための方便として、原作のもつ非情な感覚をスポイルしている改悪部分だと思う。

 
 そしてさらに、後半のSFのコアが綺麗に無くなってしまっている。
 コミックにあった火星のオリュンポス山のシーンやクライマックスのセンス・オブ・ワンダーは、どこへいってしまったのだろう。
 昨日の記事で書いたアメコミの荒唐無稽をはらんだあの絵がらで、あのクライマックスが描かれたところが凄味になっていたのが綺麗さっぱりとなくなっている。

 よくある爆発のみで世界の結束を処理してしまったのが大変不満。
 Dr.マンハッタンが仮想敵になったという描写なのだろうけれど、そんなものでなく、異世界から侵略に対抗する、というところがSFの王道だったのに。

 映画的には、異世界の存在を描くシーンは、かなり難易度が高いだろう(ダラボン監督『ミスト』の後では似たイメージになってしまう危険が高い)。

 監督、わかってませんね。ザック・スナイダーは、アラン・ムーアと異なり、SFずきではないのかもしれない。
 スピルバーグだったらこうはならなかっただろうね。

 ここまで原作に忠実に映像化したのに見事にラストのセンス・オブ・ワンダーを表現できていないのが本当に残念。先に述べたシルク・スペクターの蓮っ葉なイメージを改変したヒューマニズムという一般受けする要素をクライマックスに持ってきたかったのが、原因なのかもしれない。

 オスマンディアスの哲学的な描写も綺麗に吹き飛んでいるので、なんだか薄い敵役にしか思えないところもとても残念。

 原作を読み終わって感じたあの奇妙な読後感。
 アメコミのタッチでワイド・スクリーン・バロックを見事に描いていたあの高揚感は映画にはなかった。

 前半のアメリカそのものをリアルなヒーロー像とともに描き出した部分が秀逸だっただけに残念。

◆関連リンク
ウォッチメン - Wikipedia
映画『ウォッチメン』公式ブログ - livedoor Blog(ブログ)
映画『ウォッチメン』オフィシャル・サイト

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2009.04.20

■感想 アラン・ムーア原作/デイブ・ギボンズ作画『ウォッチメン』

アラン・ムーア作/デイブ・ギボンズ画『WATCHMEN ウォッチメン』

 公開中の映画が観たくて、まずは原作を読みました。
 あまりに有名な作品で今更なのが恥ずかしいですが、映画のレビュウ前に、まずコミックの感想です。

 これはまぎれもない、傑作。そしてヒューゴー賞受賞に恥じない堂々たるSF(ネヴュラ賞でないところが残念だけど、、、(^^;)。当時のSF作家がこの才能に嫉妬してネヴュラは逃したりして、、、)。

 無数の画面を同時に眺める感覚はウィリアム・バロウズが提唱したカットアップ技法を思わせる。彼は、単語とイメージを一見無秩序に並べて提示することで論理的分析を避け、未来の印象を潜在意識的に把握させようとした。来るべき新世界を断片的に覗かせようとしたのだ。
 また、こうして大量の情報を同時に受け止める時の気分は、動く抽象絵画を見ているようでもある。
 隣接した光の明滅が頭脳をすり抜ける前に記号論的な混沌と結合し、一瞬かすかな意味を持つのだ。
 その曖昧な閃きを、素早く補足しなければならない。
(P347オジマンディアス/エイドリアン・ヴェイト)

 南極で世界のTVをザッピングし、分析しているオジマンディアスの独白。
 リアルにスーパー・ヒーローを描き出している点がまずは傑作たるゆえんなのだろうけれど、さらにこうしたセリフやDr.マンハッタンの神的能力、火星のシーン(P295の火星成層圏まで達するオリュンポス山の描写)。こうしたものがSFのセンス・オブ・ワンダーの源泉となっている。

 これらのシーンが、映画でさらにリアルに描き出されていたら、と思うとワクワクする。

 全体としては、70-80年代の冷戦の重苦しい雰囲気。核戦争の危機。このコミックは、我々の世代が体感してきた不安感の具現化になっている。
 絵空事のヒーローがリアルな人間関係の現実に放り込まれる様が、まさに戦争へのヒリヒリする危機感を表現するのに有効な装置として働いている。アメコミのあのタッチで語られるこの冷戦の記憶の物語は、貴重な人類の記録ですね(このまま核最終戦争が起きなければだけれど、、、)。


 ★★★★ ★★★★ ネタばれ注意 ★★★★ ★★★★

 ケネディの演説原稿を読んだかね?  今、この地に集う我々は、好むと好まざるとにかかわらず、世界の自由を守る城壁の見張り(ウォッチメン)となる運命なのです。
 鍵は超能力者の脳髄だ。(略)  この脳は超能力の共鳴器だ。怪物は死の瞬間に増幅された激烈な精神波動を放射した。単なる波動ではない・・・・。我々が膨大な量の情報を波動に組み込んだ。(略)  マックス・シェアが発想した異世界を、ハイラ・マニシュが視覚化し、リネット・バリーが音を加えた。  オジマンディアス/エイドリアン・ヴェイト(P390)

 さらにクライマックス。
 
 世界の戦争を終わらせるために、異次元からの侵略の危機を提示するという方法のなんたるワイド・スクリーン・バロック。コミックっぽい絵のタッチがここでも活きてくる。
 日本の漫画のタッチでこの描写をしても、絵空事に感じられるだけだろう。
 アメコミのタッチが、絵空事感と妙にマッチして、バロックな迫力を醸し出しているというところではないだろうか。クライマックスに、本当にワクワクさせられた。

 これも映画での描写が楽しみである。
 アメコミのタッチでなく、リアルな実写映像として、どうこのシーンを描くが、ザック・スナイダーのお手並み拝見。

◆関連リンク
『ウォッチメン [Soundtrack]』
『Watchmen [Original Motion Picture Score]』
ウォッチメン - Wikipedia

制作が終りに近付いた頃に、ムーアはこの作品がアウター・リミッツの一エピソード『ゆがめられた世界統一』(原題:The Architects of Fear)に似通った物となりつつある事に気付いた。
YouTube - The Architects of Fear(Part One)
映画『ウォッチメン』公式ブログ - livedoor Blog(ブログ)
映画『ウォッチメン』オフィシャル・サイト

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