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2009年11月1日 - 2009年11月7日

2009.11.06

■新刊メモ 『OTACOOL WORLDWIDE OTAKU ROOMS』

『OTACOOL WORLDWIDE OTAKU ROOMS』

日本だけにとどまらず、いまや世界中で日本の文化として認知されている「OTAKU」。本書は普段はのぞき見ることのできないオタク達のクールでスタイリッシュな部屋の様子を国内外通して眺めることができる書籍です。
月間200万ユニークユーザー、2000万PVを誇るサイト「ダニー・チュー.com」サイト内コンテンツの書籍化です。

 以前にいろんな人の書斎の写真集はあったけれど、これはそのオタク版。
 人の書斎って僕はとても興味あるのだけれど、これも楽しそう。

OTACOOL

 で、探してみたら、このサイトに写真が紹介されていた。
 こういう写真。

Otacool

 それぞれのこだわりを持った趣味の部屋。
 オタクといっても狭義のオタクで、フィギュアやコミック、目玉の大きい女の子キャラ(なんと古い言い方。今、なんと言うんでしたっけ?)を中心にした趣味部屋が大部分。それぞれの趣味の空間が心地よく広がっており、観ているだけでなんだかその人の好きな話を聞いているような気がしてくる。

 ただ僕が観たいのはもう少しサブカル寄りのオタク部屋かなー、とか思いつつ、このサイトを楽しんだ。こういう部屋が世界でもクールと認知されているのだろうか(ごく一部の世界?)。

 最近、新刊書籍を見ていても、目がチカチカしてくるようなキャラクタの絵と色彩が幅を効かせているのだけど、あきらかに現在はこうしたものをクールと呼ぶような状態にシフトしているのだろうか。世界はどうなるんでしょ(^^)。

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2009.11.05

■感想 山田正紀の超冒険小説 『白の協奏曲』

山田 正紀『白の協奏曲』(amazon) (公式HP)

1978年に「小説推理」誌に発表されていながら、今まで単行本化されることのなかった“ファン垂涎幻の作品”。オーケストラ団員が、東京をまるごとジャックするという奇想天外かつ大胆なストーリー。頭脳プレイ重視、ゲーム性抜の冒険小説。

 『謀殺のチェス・ゲーム』、『火神(アグニ)を盗め』で日本の冒険小説を切り開いていた頃の山田正紀作品。当時の僕がこんな小説を知っていたら一にも二にもなく読みたかったはずで、出版から一年ほどたってますが、やはり読みたくなって図書館で借りてきました。

 ずっとお蔵入りになっていたのは山田自身が気に入っていなかったものと考えられますが、この本も十分に楽しめます。ひさびさに山田正紀の冒険小説を読んだので、あの頃のワクワク感を思い出した。

 いやー、でも大好きだった山田正紀の70年代超冒険小説を新作で読めるとは幸せ。『白の協奏曲』は若書きの良さもあってお薦め。

Submarine_biber  これ、読後に、もしかして押井守『パトレイバー2』の元ネタ?と思ってしまった。
 東京に情況を作る雰囲気と、
情況を起こす目的の虚構性が似てる。

 そして存在しない架空の人物を描くところの雰囲気は『パト1』だったり。

 長いこと未刊だった作品なので、雑誌掲載で読んだ押井がごく一部のネタを使ったのかも。無意識的に??
押井守は山田正紀との対談で『神狩り』からのファンだと言ってるので、あり得ないことはない、と邪推。

◆関連リンク
submarine Biber – Wikipedia
 右上の写真は、本書で活躍するドイツの一人乗り特殊潜航艇『海狸』。

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2009.11.04

■感想 ジョージ・R・R・マーティン, 中村 融訳『洋梨形の男』

ジョージ・R・R・マーティン, 中村 融訳
 『洋梨形の男 (奇想コレクション)』
(河出書房新社)

身勝手な男が痩身願望の果てに“猿”に取り憑かれる「モンキー療法」、変わり果てた昔の友とのおぞましい再会譚「思い出のメロディー」、ひとりの作家の内面に巣くう暗黒をあぶり出す「子供たちの肖像」、酒場のホラ話ファンタジー「終業時間」、チェスの遺恨を晴らそうと企む男のSF復讐劇「成立しないヴァリエーション」の全6篇を収録。ネビュラ賞・ローカス賞・ブラム・ストーカー賞受賞。

 実は『サンドキングス』も未読のマーティン初心者(何故かいままで読む機会を逸していた)ですが、このアンソロジー、しっかり楽しめました。
 
 今回も名アンソロジスト中村融氏の目利きが素晴らしい一冊。奇想コレクションにしてはいずれの作品も読みやすいストレートな作品。(ただイメージは鮮烈で「奇想」を外している訳ではないので御安心を。)

 例によって(久々だけれど)、僕の好みの作品から短評です。

■成立しないヴァリエーション(1982)

 過去のチェスの大会を起点にした同窓生たちの物語。
 SFネタが何かはここで書かない方がいいと思うのだけれど、そのSFテーマとがっぷり四つに組んだ主人公達の姿勢の物語がここち良い。そして夫婦の回復の物語も。(チェスを知らなくてもこんなに楽しめたんだから、チェス好きにはさらに堪らないでしょうね)

■子供たちの肖像 (1985) ネヴュラ賞ノヴェレット部門受賞

 これが一番余韻をひいた。ある作家とその娘(画家)の物語。ふたりの人間関係が、実体化する登場人物達とともに描かれ、後味のわるーい読後感を残す。
 本当は父親を理解していて、物語の本質を読み取って絵画化していく娘と父親のアンヴィバレントな関係。他の超現実的な恐怖に対して、この作品は人間関係の闇が前面に出ていて鬼気迫るものがある。

■終業時間(1982)

 掌編だけれど、鮮烈なラストがとてもいい。
 いきなり加速度的に展開するところがまさにSF空間を構築している。

■思い出のメロディー(1981)

 これも「成立しないヴァリエーション」と同じく、アメリカ映画/文学で定番の同窓生もの。
 この悪夢はリアリティがある。現実にこれに近い形で友人に悩まされるアメリカ人って多数いるんだろう。そこの恐怖を超自然的にうまく描いている。

■洋梨形の男(1987) ブラム・ストーカー賞ノヴェレット部門受賞

 イラストレータの主人公にじわじわと染み込んでくる隣人の恐怖。
 絵に影響が出たり、嫌悪しつつひきづられていく感覚が怖い。平山夢明作品をなんだか想起した。これを読んだ後、カールおじさんの顔を思い出した。カール(スナック菓子)が食べられなくなります。

■モンキー療法(1983) ローカス賞ノヴェレット部門受賞

 最後のビジュアルはなかなかおぞましい。まさに悪夢。
 この手法、なんでもありダイエット健康雑誌に来月載ったりして(^^)。

◆関連リンク
ジョージ・R・R・マーティン - Wikipedia

当Blog記事
『願い星、叶い星』アルフレッド・ベスター/中村 融訳
『輝く断片』シオドア・スタージョン/大森望編
E・ハミルトン『フェッセンデンの宇宙』中村融編訳
エドモンド・ハミルトン『反対進化』中村融編
テリー・ビッスン『ふたりジャネット』中村融編訳

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2009.11.03

■『アニメージュオリジナル Vol.5 特集・金田伊功』

Animage_special_kanada02 『アニメージュオリジナル Vol.5 (ロマンアルバム) 特集・金田伊功』

去る7月に亡くなったカリスマアニメーター・金田伊功さん。その仕事の魅力と、影響力を探る! ビジュアルギャラリー
特別対談01=磯光雄×井上俊之
特別対談02=橋本敬史×村木靖
総論=小黒祐一郎

アニメージュ公式サイト

82年に徳間書店が出版した「金田伊功SPECIAL」の抜粋縮刷復刻版が別添小冊子として付きます(4C16P/A5変型)。

 特集は表紙を含め、わずか15ページでちょっと残念。ここまで表紙で特集をうたい、そして大人のためのアニメージュと言うなら、もっと硬派に充実した内容にしてほしかった。

 「金田伊功SPECIAL」の抜粋縮刷復刻版もかなり削られているので、持ってない人には少し嬉しいが、今ひとつ。

 この特集を「ユリイカ」か「美術手帖」誌でやってほしかったのは僕だけでしょうか。

◆CONTENTS
 本特集の内容は、下記の通り。

 表紙 ザンボット3 勝平の原画4枚
 特集中表紙 ブライガー見開き2ページ
 ブライガーOPより約150コマ 見開き4ページ
 井上俊之×磯光雄対談 2ページ
 ザンボット3 勝平の原画12枚 香月原画5枚
 橋本敬史×村木靖対談 2ページ
 幻魔大戦 バース さよなら999 画面写真とイメージスケッチ DVD紹介
 小黒祐一郎 「アニメの夢」はまだ醒めず

 一番面白かったのは、井上俊之×磯光雄対談。さすがにこのお二人のカリスマアニメータの語りは、実作者であり、しかも分析眼のある方達なので鋭い。

 僕が特に面白かった部分を引用すると

磯光雄 発言

 小林治さんと水が近い感じがある。源流とさえいえないほどの(略)

 コマ送りすると"消えちゃう"ものがある。「コマ送りすればこの作画の秘密が全部解明できるはずなのに・・・あれ? なんでわからないんだ」ってことになる。1コマづつ模写して、角度まで似せても、(金田さんの描いた動き通りには)再現できない。再現可能な部分は「金田モドキ」の人達もみんなやってるんだけど、再現できない何だかよくわからない部分が、特に初期の頃にはある。(略)
 金田さんの作画には絶対にまだ、2世代後くらいに発見されるような何かがあると思うーというのは私の仮説。まだ自分で検証したわけじゃないから、あくまでも仮説だけど、将来に向けて可能性だけは指摘しておきます。 

 亜細亜堂の小林治氏の作画との関係。これは金田氏が『ど根性ガエル』で仕事をしたことがある、という文脈もあるかもしれないが、体質的なところを言っているように読める。
 『ど根性ガエル』や『天才バカボン』での小林の作画は、あのコミカルで様式化された動きが素晴らしかった。『ザンボット3』の勝平が大口あけるところに顕著なように、その影響があることは間違いない。
 そして『まんが日本昔ばなし』や『まんが偉人物語』で小林が見せた独特の人物のフォルムとリミテッドアニメを活かしたあの動き。そこに一脈通底する部分を磯が指摘しているのだと思う。これはいままで指摘されたことはなかったと思うが、重要かも。(あとこの対談で初めて知ったけれど『アタックNo.1』も小林治が作画しているらしい。そして井上が、小林原画のフォルムのかっこいい鮎原こずえを、金田が好きだったのではと指摘)

Amori_cv5_f あと磯が指摘している「コマ送りすると"消えちゃう"もの」には僕も物凄く興味がある。もっとここの部分を磯に語ってほしかった。

 ネットで動画(主に映画予告編)を観てコマ送りをすることがある。
 そうすると動画として観ていた映像が急に生彩を失う。これは以前の記事で書いた脳内の映像処理機能に密接に関係していると思う。つまり、動画の時は、脳内で静止画のつながりから予想しながら間の(存在しない)画を補完して生成している可能性がある。それによるスムーズで活き活きとした映像が静止させることで、その補完機能を殺してしまい、ただの一枚づつの精彩を欠いた画像になってしまう、ということではないか。(詳しいことは以前の記事「アニメーター磯光雄と金田伊功と脳の構造の関係」を参照下さい)

 そして金田伊功の独特の動きは、現実に存在しない動きであるが故に、その補完機能がいままで体感したことのない動きの画像を追加しているのではないか。当然それは動いている時だけに脳内に生成される幻の映像であり、静止させてコマ送りしても見えない映像なのではないか。と、そんなことを考えていたので、この磯の発言には敏感に反応してしまった。

 あと金田氏のリミテッドアニメにおける全原画について語り、「金田モドキ」が中割りを入れたのに違和感をとなえる指摘も、全原画を展開している磯ならでは。磯の全原画も金田フォロワーな技術と思っていたのだけれど、そこのところの関係はどうなんだろうか。

 それにしても、この対談でも述べられているが金田伊功が分析的な人ではなかったので、彼自身による自己の作画の解析はほとんどコメントが残っていないのは残念。いまさらだけれども、この磯、井上両氏と金田氏の作画対談なんてものがなされていたら、と思うと残念でならない。この二人が金田氏に聞きこめていれば、金田作画の謎を解くヒントがいろいろと引き出せていたのではないか。今となっては想像するしかないのが本当に残念。

◆関連リンク
【仕事】「アニメージュオリジナル」第5号: 編集長メモ
小林治監督『まんが日本昔ばなし みちびき地蔵』

当Blog記事
池谷裕二 『進化しすぎた脳』 感想 3 + α アニメーター磯光雄と金田伊功と脳の構造の関係

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2009.11.02

■フィリップ・K・ディック  ドキュメンタリー
  "The Penultimate Truth about Philip K. Dick"
 『P.K.ディックに関する最後から二番目の真実』

The_penultimate_truth_about_philip_
YouTube - PHILIP K. DICK DOCUMENTARY PART 1 OF 9

"The Penultimate Truth about Philip K. Dick"
「フィリップ・K.ディックに関する最後から二番目の真実」

In 2007 I produced this documentary about the mystical experiences of sci-fi writer Philip K. Dick.
2007年に、私はSF作家のフィリップ・K.ディックの神秘的な体験に関するこのドキュメンタリーを製作しました。

 ディックに関するドキュメンタリーがYoutubeにあったので、御紹介。
 まず一本目は彼の神秘体験に関するドキュメント。例の『ヴァリス』のペースになった体験を扱っているのか?
 ディックの講演風景と、2番目,5番目の奥さん、高校の同窓生、セラピスト等へのインタビューで描かれていくディックの真実。
 まだ9本に別れたファイルの1本しか観てません。僕のヒアリングではしっかり紹介できないので、お好きな方、是非ご覧になって、コメント欄で解説いただければ幸い(他力本願(^^;))。

Philip_k_dick_a_day_in_the_afterlif YouTube - Philip.K. Dick - "Arena" 1/6

"Philip K. Dick A Day in the Afterlife"
Philip.K. Dick documentary on BBC's "Arena" originally broadcast on 9th April 1994. 

 こちらはBBCが1994年に制作したドキュメント。『フィリップ・K・ディックの来世の一日』?

 いきなりテリー・ギリアムがPKDスプレーを持って現れる。これ、「ユービック・スプレー」だよね(^^)。

 そしてトーマス・M・ディッシュが語る。動くディッシュ、初めて観ました。あとキム・スタンリー・ロビンスンとか。

 こちらも1/6しか僕は観てません。後日、じっくり観る予定。

 こうしたドキュメントが作られ放映されているのは、ディックって欧米では日本よりメジャーで、それなりの視聴率がとれるということなのかな。日本じゃBSでもこんな番組は成立しないよね。
 でも翻訳版、是非日本での放映を期待したい。

◆関連リンク
フィリップ・K. ディック, ロランス スーティン『フィリップ・K・ディック 我が生涯の弁明』

ディッ クは1974年2月から不思議な体験を重ね、これらを解釈しようとする企てに邁進し、日々展開する持論を日誌のように書きとめて、後にこの記録を釈義と呼 ぶにいたった。(中略)八年以上にわたって不断に継続された考察は、八千ページ、二百万語におよぶ。本書はこの膨大な釈義の枢要を示す初の精選集にあたる。

フィリップ・K・ディック - Wikipedia

当Blog記事
フィリップ・K・ディック アンドロイド・プロジェクト

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