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2009年2月15日 - 2009年2月21日

2009.02.20

■小林治監督『まんが日本昔ばなし みちびき地蔵』

Photo みちびき地蔵 宮城県の地震による大津波の昔話

ある若夫婦が導き地蔵の前を通ると、おびただしい数の人や馬がその前に現れ そして天に消えていった。 おそろしくなった夫婦は逃げるように家へ帰る。 数日後、異様なくらいの引き潮で村人全員が潮干狩りをしている。 するといきなりものすごい地響きと共に大きな津波が襲って来た。 若夫婦はどうにか高台へ逃げるて助かるが、他の村人はほぼ全滅。 この惨劇を目の当たりにして若夫婦は数日前みちびき地蔵での出来事を思い出す。 というものでした。 最後にこの津波被害はちゃんと当時の資料に記録されている、、、 といって〆でした。

まんが日本昔ばなし みちびき地蔵
            (ニコニコ動画)

 時々思い出したように、小林治氏の作画を観たくなる。地震の大津波の被害を重々しいタッチで描いている。
 まさに突然の災害で理不尽に命を奪われた人たちの無念の想いに満ちた沈痛な映像。

 これを重厚なタッチで、表現したのが小林治は、アニメートの技の個性的なタッチが忘れられない往年の名アニメータ。

 『天才バカボン』や『ど根性ガエル』で独特のデフォルメした傑作アニメートを芝山努氏と作り上げ、その後、亜細亜堂というスタジオを設立。

 今回、検索で見つけたのが、「みちびき地蔵」。

 まるで白土三平の絵のようなイメージ。これが絶妙のリミテッドアニメーションで動く。そしてこの演出。
 子供時代に見ていたら、トラウマになること間違いなしの強烈な仕上がり。

 当時の『まんが日本昔ばなし』や『まんが偉人物語』といった単発のシリーズは、一本一本をアニメータにまかせて、個性の競演が素晴らしかった。

 今もこうした試みがされたら、どんなアニメータが、どのような個性的な映像を作ってくれるか、、、、そんなことを夢想する。

◆関連リンク
タグで動画検索 小林治‐ニコニコ動画(ββ)
 他にも小林作品、多数。作画は別人のものもあります。
小林治 (アニメ演出家) - Wikipedia
 1945年生まれ。今年64歳ということです。最近、お名前を見ないけれど、どうされているのか。子どもと観た『怪傑ゾロリ』のエンディング作画が「小林治」だったので、あのタッチだし、てっきり亜細亜堂の小林氏と思ったら、若い方の小林氏でした。(実は若手の小林氏とは学生時代に金田伊功ファンどうしとして、手紙を何回かやりとりしたことがあります(^^;))

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2009.02.18

■感想 M・ナイト・シャマラン監督『ハプニング』

Happning 「ハプニング」オフィシャルサイト

 『サイン』『アンブレイカブル』で鮮烈なイメージをみせたシャマランだけれど、ここのところ低調。

 この映画、冒頭からの不安感を煽る雰囲気は、さすがシャマランという感じで、ドキドキして観た。

 おしむらくはその不安が、またもや人間関係だけに集約していくこと。

 これはちゃんとSF的な意味付けがほしかった。
 前半の不安を、みごとに収束させるネタがあれば、、、、。(アイデアをギリギリまで思考し、シナリオを徹底的に練り込む集中力が落ちているのだろうか??)

 映画を観終わって外へ出て「風」の音を聴いたら、少しだけドキッとする、そこはなかなか秀作な部分。

 演出力は素晴らしいから、次作はシナリオを優秀なライターにまかせて、監督に徹した方がいいのかも。

◆関連リンク
M・ナイト・シャマラン『ハプニング』

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2009.02.17

■感想 中沢 新一, 波多野 一郎『イカの哲学』

中沢 新一, 波多野 一郎『イカの哲学』

 21世紀の平和学はここから始まる 特攻隊の生き残りで、戦後スタンフォード大学に留学した在野の哲学者波多野一郎が、一九六五年に少部数のみ出版した書『イカの哲学』。(略)
 イカが人間とコミュニケーションがとれたら、という奇想天外な発想から、人間同士だけではなく森羅万象と人間との相互関係にまで議論の範囲を広げ、本質的な意味での世界平和を説く。『イカの哲学』全文収録。

 かなり飛躍した記述もあるが、提示されている「平常態」「エロティシズム態」「超戦争」「超平和」という視点がとても面白い。
 学術的にみたら論拠に貧しいが、しかしある種のフィクション(もちろんSF)として見ると、斬新なパースペクティブを提示して新しい眼で世界を眺められる装置となっており、素晴らしい。

 本書は在野の哲学者波多野一郎氏の著作を中心に据えているのだけど、でも実際はそれを一つのきっかけにして、中沢新一が思考し書き綴った人類と生命の関係をとらえなおした新しい視座が抜群に面白い。この視座の根っこには、波多野氏が特攻隊員として極限で考えたこと、先の大戦の大量殺戮の目撃が重く横たわっている。(波多野氏の文章は非常に軽妙に描かれているのだけれど、、、、)

 まず「平常態」と「エロティシズム態」として描かれた生命論。

 生物がまわりの環境から分離された、非連続な個体であり続けようとする側面こそ、生命というものの本質だ、と考えやすい。(略)生物には自分を非連続な個体として維持しようとする面ばかりではなく、むしろ非連続であることを自分から壊して、連続性の中に溶け込んでいこうとする強力な傾向が隠されているということを、バタイユは見出して、それを「エロティシズム」という概念でとらえようとした。(P91)

Photo_2  そして描かれる右図のような「平常態」、「エロティシズム態」における「戦争」と「平和」。ここから以下のふたつの平和概念が提示される。

「平和態の平和」
 労働と法によって豊かで穏やかな世界を作ろうとする

「エロティシズム態の平和」
 生命の奥にセットされた「個体性を壊してまでも連続性を自分の内に引き入れようとする」エロティシズムの原理をネガティブにしか実現しない戦争を否定する

 「エロティシズム態の平和」が「イカの哲学」に直結する。要約すると、他の生物の実存を認識しそれに対して共感する「平和」(精神的な連続性)。(「共感」ってP・K・ディックのキーワードでもある)

 この視点から、現在の食用とする生物を消費財としてしか見ていない現在は、「エロティシズム態の平和」が消えかかっていることが描かれる。
 資本主義の下での生命に対する軽視。
 この視点(イカの哲学)から考えたらマスコミの垂れ流すグルメ番組などは醜悪の極み。
 そこでは人間以外の生命の実存への心配りというものは消失している。

02  さらに拡大した視点で、この「エロティシズム態の平和」が消失したことを起点に生じた核爆弾等の大量殺戮兵器による近代の戦争を著者は「超戦争」と呼ぶ。他の生命の実存の完全否定。

 「超戦争」に対峙できる「超平和」とは。
 これはこれだけ要約して書くと、ひどく陳腐に受け取られる可能性があるので、ここでは省略する。興味を持った方は、本書を手に取ってほしい。

 一時期、人間の営みのあれこれをエントロピーで説明すると、非常にわかりやすく整理できるのではないかと思っていたことがあるのだけれど、この本の描いている「エロティシズム態」というのは、生命が基本として持っている、その形態を保つことによる「ネゲントロピー(負のエントロピー)」を破る行為のことを指していると考えるとわかりやすい。生命の本質を「ネゲントロピー」とすると、「エロティシズム」はそれを壊した時に生まれるものということになる。

 その状態で過去配慮されてきた「平和」。これは狩猟における動物の命に対する尊重、戦争における敵の死者に対する尊厳、といったものである。

 なんだか本書をなぞって紹介するだけになってしまったけれども、この視点でいろんな事象を眺めると、面白い分析ができそうだったのでまずは書いてみた。

 とりあえずは、『東のエデン:Eden of The East』の読解に使おうとしているな、と思った貴方は鋭い(^^;)。

◆関連リンク
ネゲントロピー - Wikipedia
イカ・ナビゲーションのイカ漁のページ
 イカは本書で書かれたような投げ網でとることもあるそうです。
amazonのカスタマーレビュウ いろいろと興味深い記述がある。
・当Blog記事
 中沢新一著『森のバロック』 総論 ←この本は大傑作。

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2009.02.16

■Apple:アップル
 DVR:ハイビジョンレコーダ付きアップルTVへの布石

Apple_pat_set_top_box アップル、DVR付きHDTVを開発か
~家電メーカーと直接競合の筋書き(U.S. FrontLine)

 アップルが、デジタル・ビデオ録画機(DVR)と通信機能を搭載した高精細テレビ(HDTV)の開発に取り組んでいるという憶測が浮上している。投資銀行のパイパー・ジャフレイ(Piper Jaffray)がその予想を公表した。

(略)録画機能を持つアップルTVを2009年末に発売し、そのDVRとアイチューンズを融合した薄型平面HDTVを2011年に発売する可能性がある。

(略)パイパー・ジャフレイは、その論拠として、アップルがLGとの間で最近交わした5億ドル相当の5年契約を挙げる。

 現在、日本では、Blu-Rayレコーダーがハイビジョンレコーダーの主流だけれど、ディスクは明らかにハードディスクに対して使いにくい。

 AppleがネットでのハイビジョンTV番組と映画の購入を手軽にできるようにして、かつハイビジョン放送を手軽に録画、ハードディスクベースで検索や閲覧のユーザビリティを圧倒的に向上させて、映像向けマン・マシン・インターフェースで革新を提示すれば、まさにiPhoneと同じ「黒舟」を実現することになる。

AppleInsider | Apple planning connected television, Apple TV with DVR - report

 元記事。
 上のリンク先の内容に加えて、iTuneのエコシステムの導入、iPhone,iPodのリモコン機能、TV用にはゲームマシンが欠かせないがAppleはAppStoreのゲームがある、と書いている。

Touch actuation controller for multi ... - Google Patents

 これが元記事にあるPAT。探すのに凄い苦労してしまった。でもGoogle Pat.って、なかなか便利。(自分の本業の特許も掲載されていてちょっと嬉しい(^^;))

 引用図はこの特許から。

 探した時の検索キーワードは、set top box inassignee:Apple

 iPod, iPhoneのインタフェースによるビデオのコントロール方法が詳細に記載されている。普及させたiPodとiTuneのエコシステムをコアにして、ビデオ領域まで浸食していく戦略なのでしょう。ちょっと

 僕はハードディスクなりSSDなりを録画メディアとしてどう使うかがポイントになるような気がするのだけれど、set top box hard disk inassignee:Appleというキーワードでは、らしい特許は見つからない。もっと凄い映像関係の特許があるのだろうか。

◆関連リンク
・当Blog記事
 ハイビジョンレコーダーの素朴な疑問  BD:ブルーレイディスク vs HDD:ハードディスク比較

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