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2010.04.05

■感想『Cinefex No.16 日本版 -アバター特集』

Cinefex_16_2 『Cinefex No.16 日本版 -アバター』
 日本語版 公式HP
 Cinefex 120  米国公式HP

 僕が『アバター』を映画4.0と考える理由は、3Dの映像もだけれど、やはりアニメーション(?)でフォトリアルな異世界を、思いのままの映像として実現したことであると思う。

 見終わった後に、この映像技術の革新について激しく知りたくなった。元々映画の制作過程を追ったドキュメントは好きなのだけれど、これほど映画メイキング本を読みたくなったのはどれだけぶりだろう。

 ところが日本ではそのメイキングに触れた本が出ていなかった!
 そんな時に救世主のように現れたのが、この本である(^^;)。いえ、茶化してるのではなく真面目にそのように思った先端映像ファンは多いと思う。

◆総論 (と言うか、僕の感激)

 この本のコンテンツは、『アバター』特集がカラー全71頁、『2012』特集が32頁、その他の記事は全くない。二つの映画のメイキングに集中して、読み応え充分。好きな映画について長文でドキュメントが読める幸せ(^^;)。映画館でパンフを買わずに待った甲斐があった。

 この本は、まさにキャメロン監督とスタッフたちが、『アバター』ために、様々な映像技術の開発を行った冒険の軌跡である。『アバター』の映像の秘密を知りたいファンにはまさしくお薦め。

◆『アバター』を作り上げた革新

 以下、僕が感激したその革新技術について、興味深い部分を御紹介。

<バーチャル・カメラ>
・監督がCGのシーンに対して、バーチャルカメラでカメラワークを試せる(p14)。
・バーチャルカメラは、その液晶画面に、CGワールドを映し出し、ズーム、ドリー、クレーン、ステディカムなどの動きをシミュレート可能(p22)。これによりCGが完成してからカメラワークを修正指示して再度レンダリングということがなくなった。
・バーチャルカメラは、モニターとコントローラだけの3kgのスウィングカム(p23)
・バーチャルカメラの映像はゲームの解像度相当のバージョン。キャメロンがカメラワークを付け最終的に映像に入るべきものが全て入っていた(p47)。

<フェイシャル・キャプチャー, パフォーマンス・キャプチャー>
・可動式フェイシャルキャプチャーシステムはNTSCカメラを用いている(p20)。
・フェイシャルキャプチャーは、人間とナヴィ族の顔の形の違いをリターゲットして動きを変換する(p19)。
・フェイシャルキャプチャーによるキャラクターの表情生成はキャプチャーデータが90%、残り10%をアニメータがHD補助カメラの映像を参考に動きを付ける(ヘッドリグの映像は魚眼だったため使えなかった)(p27)。
・体の動きを写したモーションキャプチャーの映像を観ながら顔の表情をアフレコするフェイシャルパフォーマンスリプレイスメント それによりアニメーションの最高の参考映像を手に入れた(p47)。

・パーフォーマンスキャプチャーは、ジャイアントスタジオ社が最高峰。マーカーを2~3見逃してもそれを補完するロジックが凄い(p30)。

<3D-CG>
・ナヴィ族はCGモデルから、3.2mの身長のラピッドプロトを制作した(p39)。
・3Dカメラは11-15kgと軽量(P50)。
・CGをその場で実写に合成するカメラ サイマルカム(p51)。CGとの融合を確認しながら実写を撮影。これってARだ。
・キャラクタ数百体が同一の画面でレンダリングする必要がある。効率的演算のために筋肉や脂肪、身体組織を物理計算させた。球面調和関数による効率的ライティング(p58)。
・種を植え木を育てるシミュレーションMassive(p68)。
・レンダリングのプルーニング技術。木々の映像は、遠ざかるとポリゴンが減る(p68)。
・浮遊島の映像は、Maya fluid、Maya particles+滝専用流体シミュレーション(p70)。

 これらの集積があの『アバター』世界を作り上げた。
 パフォーマンス・キャプチャ+3D-CGアニメーションということは知っていたが、俳優のモーションをデータとしてとらえ、それをアニメータが実写映像を参考に動きを仕上げている。さらにそのアニメータに参考にされた表情の実写も、俳優によりアフレコの様に全体の映像を見ながら撮り直されている。俳優の動きの最大限の利用、その利用方法の技術開発がひとつのエポックを作り上げたということのようである。しかし、まだまだ語りきられていない映像技術の集積があるのだと思う。特に立体映像のノウハウについてはほとんど語られていない。
 DVDのメイキング映像でさらに明らかにされることを期待。

◆関連リンク
『 アバター ブルーレイ&DVDセット』
Cinefex 日本版 16号 掲載記事に関する情報 : 『アバター』『2012』のメイキング記事へのリンク
 このリンク集は素晴らしい労作!!
・アバター - Wikipedia
WETA DIGITALの『アバター』へ至る偉業

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