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2010.08.23

■感想2 映画 「デヴィッド・リンチ「DARKENED ROOM」展@コムデギャルソン大阪 Six

鬼才デビッド・リンチ監督の展覧会、大阪で開催 : 映画ニュース - 映画.com

 "リンチ監督が学生時代に製作した短編映画とコミッションワークを収録したDVD「The Short Films of David Lynch」(2002)と、公式サイトで公開した短編映画をまとめたDVD「DYNAMIC:01-The Best of David Lynch.com」(07)の中から、12本(計約156分)を上映。本編の前には、リンチ監督による解説フッテージがついている。"

DVD『The Short Films of David Lynch』

DVD『Dynamic:01 - The Best Of DavidLynch.com』

 先週の続き、リンチ展の感想2。短編映画について、1本づつ、簡単なコメントを書いてみた。上にあるように短編はふたつのDVDに収録されているものから選定されている。
 以下、タイトル部分に貼付けた各作品のリンクはYoutubeの動画へ繋がっている。
 Youtubeの映像は公式にアップされたものではなく画質も悪いので、あくまでも参考にどんなものかを覗いてみる、というくらいに考えて、本来の作品を楽しみたい方は、この展示会会場へ足を運ぶか、関連リンクに掲載したDVDをご購入下さい。

◆"Six Figures Getting Sick (Six Times)"1966
 リンチのファーストフィルム。6人の男から黒いインクがにじみ出て下に溜っていく。バックにはサイレンの音。アニメーション作品であり、リンチの絵画がそのまま動くような映像である。抽象的すぎて映画というより、絵画として楽しむべきかと。

◆"The Alphabet"1968
 アニメーションと実写とそのコマ撮りの融合。こんなA,B,Cソングを「セサミ・ストリート」で放映したら、トラウマ少年少女続発。
 口を拡大した女性の映像が後年のリンチ映画作品を彷彿とさせる。

◆"The Grandmother"1970
 これが本展示映像の中でも、最大の問題作で傑作。特に絵画作品と映画作品のミッシングリンクを繋ぐ作品。自然に彼の映像と絵画のリンケージの関係が掴める。

◆"The Amputee"1974
 ソファに座る一人の女性のモノローグ。そして入ってくる医師。文学的な女性の語りを無視して進む医師の治療。たたえた恐怖がじわりと迫る。

◆"The darkened room"2002
 日本人女性のショットから開幕。どこかの暗い部屋には傷つけられた白人女性。そして入ってくるスリップの女。しかしこの作品は会場で上映されたものは、リンク先のYoutube映像と異なる部分がある。冒頭の日本人女性のバナナについての豆知識が追加されていた。どちらがオリジナル?

◆"Lumiere and Company"1995
 リミュエール兄弟のカメラを使ったリンチの映像。古典的な映像によるノアールフィルム。途中でくるマッドサイエンティストの研究室がいい。こんなシーンのあるリンチの60年代風SF映画がみたいものである。

◆"Lamp"2003
 これは問題作(^^;)。なんとリンチが自分の工作室で石膏(商品名:Fix It All)をねってランプシェードの支柱に塗り付けてるだけの映像を延々十数分(20分以上??)。リンチの形状と手の触感に関するこだわりははなはだ興味深いものだが、それにしても退屈(^^;)だっておじさんの日曜大工を延々眺められますか!?

◆"Boat"2007
 冒頭から続くものうげな女のナレーションはいかにもリンチだが、その後はリンチが運転するただのボート映像に。白く飛んだ海上の映像と、闇の先に走っていきたいというリンチの語りが意味深。

◆"Out yonder - neighbor boy"2001
 リンチが息子と登場。隣屋から巨大な少年が現れるという奇想であるが、とてもチープにそれを表現している。でもこれ、好きです。

◆"Industrial Soundscape"2002
 フォトショップを使って作ったことにいたく感激の様子のリンチ。『イレイザー・ヘッド』から使用していたタンク設備が取り壊されるので2日間ロケして撮ったという作品。リンチの個人的なワクワク感とは別で、単調な打撃音が睡魔をさそう。

◆"Bug crawls"2004
 火山灰の山地に立つ黒い家。そこに現れる巨大な昆虫と頭上の飛行船。昆虫が家によじ上り、、、。うーん、これも実験的だ。リンチの心象風景そのものなのだろう。

◆"Intervalometer experiment"2007
 カリフォルニアの陽光と階段の影。低速度撮影による長時間撮影で、影の位置が代わり色々な顔を見せる階段。この"STEP"以外にそうした低速度撮影フィルムが3本。

◆関連リンク
The Short Films of David Lynch - Wikipedia
Dynamic: 01 - the best of davidlynch.com - Wikipedia

DVD『デイヴィッド・リンチ・ワールド DVD-BOX』

 "「イレイザーヘッド デジタル・リマスター版」と、1967年から1995年までに制作された短編映画、デイヴィッド・リンチ自身が立ち上げた会員制サイトのみで発表された短 編作品、会員制サイトのために自ら画を描いて作ったアニメーションなどを収録したファン必携の豪華4枚組BOX。デイヴィッド・リンチ本人による解説映像 も収録。期間限定生産。"

批評の庭: レビュー|「デヴィッド・リンチ“DARKENED ROOM”展」

 "絵画を見るとき、私たちは実はきわめて複雑で膨大な時間の重なりを、前後の脈絡もなく体験しているのです。絵画を見るという体験は、実はまるで夢を見ているかのような、無時間的で因果律を無視した体験なのです。
  「ツインピークス」などのリンチ作品をご覧になった方なら誰もがおわかりになると思いますが、リンチ映画の中では時間が実に複雑に流れ、しかも登場人物の 見る夢が、非常に重要な役割を果たしています。通常の映画はまさに「Motion Picture」であって、絵画を線形的な時間に並べたものなのですが、リンチ作品はそうした通常の映画とは違って、この映画に特有な、時間の線形構造が 壊れているのです。その体験はまさに、私たちが絵画を見るとき、無意識のうちに経験していることと相似形なのだと言えます。" (樋口 ヒロユキ氏)

 時間軸で絵画とリンチの映画の関係を分析されているのが、とても興味深い。

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