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2010年7月25日 - 2010年7月31日

2010.07.30

■感想 片渕須直監督『マイマイ新子と千年の魔法』

DVD『マイマイ新子と千年の魔法』

 評判のいい『マイマイ新子と千年の魔法』、DVDが7/23発売されたので待ち望んでレンタルで観た。

 豊潤な土地と子供時代の描写が圧巻。
 ウィスキーボンボンの後のハンモックシーンくらいから涙腺の内圧が上がりっ放し。それが何故だか解析できない、、、片渕須直監督の組上げた魔法にやられました。

 涙腺内圧上昇の理由は、子供時代のディテイルの描き方がひとつの大きな要因だろう。自分が今、思い出す子供時代は記憶の時間のベールの向こう側でぼんやりとしている。この映画のディテイルは脳の皺の奥底に埋もれているその記憶を掘り起こしてくれるような感覚がある。

 見事な自然描写と、主に新子のモノローグによる子供時代の心象描写。色鉛筆をナイフで削る感覚、麦の中を進む足元。そして昭和30年の町並みと学校生活の細やかな描写。こうした諸々が過去の自分の記憶の残滓と共鳴し、脳内に立ち上がる。

 これが内圧上昇の根幹にあるものだと僕はぼんやりと感じた。

 随分とタイプは違うが、こうした作用で思い出すのが岩井俊二監督作品。特に『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』である。少年時代のほのかな恋愛感情と大人の事情による別離を描いたこの作品が描いたディテイルを僕は思い出していた。岩井監督も登場人物の心象を凄く繊細に画面に定着する演出をされるのだけれど、今回の片渕須直監督の筆致も、その演出力が素晴らしい。

 アニメーションのテクニックについては、日常芝居とファンタジーの緩急自在の作画とか良かったのだけれど、僕にとっての『マイマイ新子と千年の魔法』は、やはりこの演出につきる。もちろんその演出を支える映像技術、画面構成/作画監督の浦谷千恵、尾崎和孝両氏の功績が大きいことは言うまでもないのだが。

 映画の疑似体験としては、是非この映画は子供達に見せたいですね。
 一番いいのは、昔の小学校でやっていたような講堂での上映会。クラスのみんなとこういう映画をワクワクしながら観るのって、きっと得難い経験になると思うのだけれどなー。

■その他

・防府に一時住んでいた金田伊功氏と3年3組の関係について片渕監督が語られている。DVDの発売日は7/23だが、金田氏の一周忌の7/21でも良かったように思う。

・金田氏と今回の映画の作画のつながりとして、小林治的フォルムの登場人物が出ていたが、なんだかそのあたりは源流で繋がっている気が。

・浦谷千恵さんはアニドウ→ジブリ、尾崎和孝氏は『電脳コイル』の印象が強い。浦谷さんはFilm1/24とかにイラスト描かれていて昔から知っているので(もちろん誌面でだけw)、エンディングタイトルでメインスタッフと知って嬉しかった(^^)。

・今敏、細田守、片渕須直、磯光雄、湯浅政明といった各監督の作品をあのレベルで作り続けているマッドハウスって、既に実力的にはスタジオジブリ以上かも。少なくとも演出力では超えている。

・これだけ実力のある映画なので、宮崎駿が静かに一部の人気を得ていたのが、一気に大ヒットへ行ったように、今後、きっと片渕須直監督の映画は認められていくように思う。本来のジブリの正当な進化系がここにあるって感じ。

◆関連リンク
高樹のぶ子『マイマイ新子』
 演出の描いた心象風景の根幹にきっとこの原作があるように思う。この小説は是非一度読んでみたい。
片渕須直 - Wikipedia
岩井俊二監督『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

7/30追記
ファンタジア映画祭にて、最優秀アニメ賞を受賞! - 映画「マイマイ新子と千年の魔法」公式ブログ

ベスト・アニメーション(長篇):マイマイ新子と千年の魔法
ベスト・アニメーション(短篇):Bastien Dubois’ MADAGASCAL
ベスト実写映画(長篇):川の底からこんにちは(石井裕也監督)
実写部門グランプリ:川の底からこんにちは
アニメ観客部門グランプリ:サマー・ウォーズ(細田守監督)

 サマー・ウォーズとのダブル受賞。マッドハウス、凄い! スタッフの皆様、おめでとうございます!

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2010.07.29

■BLU監督「BIG BANG BIG BOOM - the new wall-painted animation」

BIG BANG BIG BOOM - the new wall-painted animation by BLU from blu on Vimeo
Twitter / 鈴木卓爾 ぶったまげました!

 ぶったまげました! RT @konoyono このアニメーションはちょっとほんとうに事件だとおもいます, 震撼 http://vimeo.com/13085676

 長編第二作『ゲゲゲの女房』の一般試写を先頃終えられた、鈴木卓爾監督のツィートで知って、夜中に凄いものを観てしまった(^^;)、ので皆さんにも御紹介。
 まずは騙されたと思って上の動画を一度観て下さい。

Twitter / 鈴木卓爾: @butfilp BLUって監督さんは何者

 BLUって監督さんは何者なんですかね。ドキュメンタリーとアニメーション、紙と絵と時間の境界を越えてしまっている。ストリートアーティストであり、デジタルアニメーション作家であり、ドキュメンタリストであり、ファンタジスト。

 本職の鈴木監督にこのように見事にまとめていただくと、僕が紹介する余地がなくなるのですが、本当に鈴木監督が言われるような領域を越境したダイナミックなアートがここにあります。

BLU VIDEO

 BLU監督のHP。ここに16本の動画が置かれている。
 ぼくはまだ数本しか観ていないが、しっかり全部いずれ観てみたいもの。

BLU > WALLS

 BLU氏の動画のベースになったアートが、ウォールペインティング。
 ここにその作品群がある。

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2010.07.28

■どんなカメラも立体映像化 LOREO 3D lens in a Cap 9005
 御手軽フルハイビジョン立体3Dビデオカメラ

Loreo_3d_camera

LOREO 3D Lens in a Cap 9005(Loreo Asia Ltd.)
(どんなカメラでも立体写真を撮影できるようにしてしまうレンズが発売 - GIGAZINE 経由)

 昨日予告した簡易的に3D撮影をするための秘密兵器、LOREO 3D lens in a Cap 9005を御紹介。香港の立体写真機器メーカ、ロレオ社の製品である。

 わずか150ドルの3Dカメラソリューション。これを通常の一眼デジタルカメラに装着すれば立体写真、動画機能があれば、立体ハイビジョン動画が撮れる(はず)。

Sample_3dlenscap9005apsc_004_1024

 ロレオのサイトにあったサンプルを引用して説明すると、このレンズキャップを装着すると、二眼分の左右映像がひとつの画面に収まって撮影される。そしてそれを裸眼平行視で観ると、貴方の脳内に3D画像が浮かび上がるというもの。

 現在、立体映画撮影をするのに最安価な商品だろう。

 欠点は、裸眼立体視のできる人しか観ることが出来ないこと。大画面では裸眼立体視が不可能なので、眼の間隔に近い大きさの上映が必要なこと。まあ昨日のパナソニックの1/100の価格なので、この程度の我慢はしかたないでしょう(^^;)。

Loreo Product Photographs - LOREO 3D Photokit MK II
 LOREOは僕にとってはなじみ深い。これに近いLOREOの立体写真カメラを持っているのだ。これも原理は上と同じで簡易だけれど、なかなかしっかり立体写真が撮れるので上のレンズも期待できるかと。

◆関連リンク
 僕はまだ一眼デジカメ(ハイビジョン動画付き)を持っていない。ハイビジョンカメラとしては、ソニー 小型ハイビジョンハンディカムHDR-HC1なので、これで3D動画が撮れるようなものを探してみた。
デジタルカメラ・デジタル一眼・レンズ通販サイトPentax Online Shop

レンズ前面に装着して立体写真をワンショットで撮影できるアダプターと、立体写真を見るための3Dイメージビュワーのセット。撮影したものが立体的に浮かび上がってくる、リアルな画像が楽しめます。

 このペンタックスのはレンズなしのタイプ。こちらの方が僕のハンディカムとの組み合せにいい。
『PENTAX ステレオアダプターDセット』

 ワンショット撮影で左右の視点の異なる像を分割して記録します。
 撮影した画像をプリントして、3Dイメージビュワーを用いて見ると、立体画像を鑑賞できます。
 使用可能なレンズは35ミリ判換算で、焦点距離が約50mm相当の画角が得られるズームまたは単焦点レンズです。

HDR-HC1はフィルター径 37mmなので、このアダプタの52mmに合わせるのには『カメラ用ステップアップリング(37mm-52mm)』が必要になる。
 と、ここのところはほとんど僕の個人メモですね(^^)。

Loreo 3D LENS IN A CAP(デジカメWatch)
Loreo Products Online - International Order Page
ソニー、3Dメガネ不要で360度立体表示が可能なディスプレイ「RayModeler」を開発 - GIGAZINE

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2010.07.27

■Panasonic 一体型二眼式フルHD3Dカメラレコーダー AG-3DA1

Step_into_3d

Ag3da1

AG-3DA1 | Professional 3D Production Systems | Panasonic
 世界初、一体型二眼式フルHD3Dカメラレコーダー。

・約2.8 kg以下の軽量ボディで、高い機動性を発揮。
・3.2型(16:9)約92.1万ドットのLCDモニターを装備。Lch/Rch/オーバーレイ表示への切り替えが可能。
・HD SDI(×2、サイマル出力)に加え、HDMI 1.4a(フレームシーケンシャル出力)を搭載。
・SDIで接続した外部レコーダーのRECスタート/ストップ制御が可能なAUTO REC機能搭載。

 トップの画像は、Panasonicの3Dへの取り組みを総合的に紹介するサイトの映像からキャプチャーしたもの。これがまず素晴らしい。NASAに是非ともこんな映像の3D中継を実現してほしいものである。そしてそれを地上にダウンリンクして、劇場または家庭で3Dプロジェクター上映する。
 そんなすぐそこにある未来が是非実現してほしい。

 その際に宇宙飛行士orロボットが使用するのが、ここで紹介するコンパクトな世界初のフルHD3Dビデオカメラかもしれない。
 わずか2.8kg、20年程前に家庭用のハンディビデオカメラが発売された時と同じくらいの重量で、フルハイビジョン動画を実現できるとは技術の進化に感動する。体格的にもちょうど僕が買った8mmビデオカメラと同じくらい。値段は桁がまだひとつ違う、220万円。

 というわけでまだ業務用で個人にはこれは手がでない。

 そこで明日は、今、現在個人が簡単に入手できるものすごーく安価な3Dハイビジョンビデオカメラについて、紹介する。最近見つけたのだけれど、これは僕もすぐ発注するつもり。AG-3DA1と値段の桁がふたつ違う(^^;) 乞うご期待!

◆関連リンク
イベント・展示会情報 | Professional 3D Production Systems | Panasonic
 AG-3DA1を体感できる。

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2010.07.26

■Takafumi Tsuchiya:土屋貴史監督の動画作品

With_rain

takcom™ 
 (公式HP)
motion:動画作品

 twitterで知り合ったアーティストtakcomstudioさんのPV作品をHPで拝見した。

 全部で7作品が掲載されている。どれも素晴らしい作品なのだけど、そのうちで僕が特に好きな作品を紹介させていただく。

With Rain _2007

for an artist called ‘aus’ (Released on Motteer, U.K) .

 黒の拡散の幻惑! 墨汁を水中に落とした映像を画像処理されているのだろうか。
 円谷英二の時代から核爆発等の特撮の表現として使用されている映像をデジタル処理化することで、幻惑的な作品として昇華している。
 女性ボーカルの声と相まって素晴らしい新鮮な感覚を生成している。

AIrport _2010
 Air_portvert

Video for U.S artist VITAL. officialvital.com Copyright ©2010 Black Sky Recordings LLC.

 引用させていただいた画像にあるように光の描写が素晴らしい!
 光に振動する都市。その上空を乱舞する光。そして時々挿入される女性の姿。
 爽快感と叙情がハイブリッドしている見事な映像。

20100725_171454_2

Pico_2009

Video for the experimental jazz quintet “SJQ”.

 シャープな図形が音楽に合わせて動く。動きの突飛さが凄く面白い。
 金田伊功氏のアニメートのデザイン画的な感覚が好きな方には、きっと楽しめると思う。シャープなイメージは他ではなかなか体験できないものだ。
 そして、これは3Dの大画面で、奥の奥まで図形が続いているようなものを観てみたい。きっと凄まじい映像ショーになるだろう。 

Photo_2

Ida walked away _2010

Video for portalnd band “AU”.

 足元の映像が視点を上げていって俯瞰になる瞬間とか、とても気持ちいい映像。
 特に右の引用部分が連続するシーンはみもの。

◆関連リンク
static(takcom™)
 CDジャケットの静止画像作品。
音に生命が宿るMVとは?土屋貴史監督 SJQ「Pico」

本MVの監督は、 東京で活動する映像作家・土屋貴史(takcom™)氏。土屋氏は1979年生まれ、大学在学中の1999年頃からデザイナーやディレクター映像制作に携 わる映像制作をスタート。現在はTV局のモーションID制作などを手がけるほか、モーショングラフィック・ツール「Quartz Composer」とVJソフト「Modul8」を駆使したビジュアル・ライブも精力的に行っている。

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