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2010年10月17日 - 2010年10月23日

2010.10.21

■ヴァーチャルリアリティ学会誌 磯光雄他「アニメ『電脳コイル』にみるリアルとバーチャルの接点〜複合現実感の未来実現形態を探る」

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バーチャルリアリティ学会
技術解説・報告 学術論文
(Rits:立命館大学情報理工学メディア情報学科Reality Media Lab.)

"田村秀行,稲見昌彦,蔵田武志,酒田信親,磯光雄:アニメ『電脳コイル』にみるリアルとバーチャルの接点〜複合現実感の未来実現形態を探る,日本バーチャルリアリティ学会誌,Vol. 13, No. 4, pp. 6 - 19 (2008.12)"

 上記、技術解説・報告のリンク先に、学会誌に掲載された2008年のバーチャルリアリティ学会での特別シンポジウムを論文化したものが、PDFで掲載されている。
 これは『電脳コイル』ファンは、ダウンロードして必読である。
 磯監督のARについての見解と『電脳コイル』での位置づけについて、およびVR研究者との突っ込んだ技術/哲学的な討論が楽しめる。そしてコイルの画像が使用された学会での報告資料といった貴重な資料も見られる。

※iPhoneまたはiPadの方は、SafariからアクセスするとiBooksに取込むかどうか聞いてくるので、そのままOKすれば本論文がダウンロードされ、iBooks上で、いつでも読むことが出来るようになる。

◆論文の中味 と 感想コメント

"ぜひDVDを。個人で全巻揃えるのは少し高いかも知れませんが,研究費で買えば大したことありません(笑)。学会のお墨付き,特別セッションでご推奨ですよ。学会員なら,堂々と研究室で数セット揃えて,バイブルにして下さい"

 なんと『電脳コイル』DVDは研究の必需品。VR学会、最高ですね(^^;)!

稲見昌彦氏"自分の体と電脳体とのずれというのは,テレイグジスタンス,テレプレゼンス的な問題意識,つまり自己の位置とは何かといったところで,学ぶべきところも多かったのではないかとも思いました"

 この問題意識を中心に据えて、ストーリーが構築されていたら、もっと本格的なSFになったのでしょうね!

岩田洋夫氏"「触れられる物だけが本物だ」と言われるシーンがあります...監督は電脳物質に触覚が無い方がいいとお考えなのか,仮にデバイスを通して電脳物質に触れるとなった時にストーリーはどのように変わるのか,是非お考えを伺いたいと思います"

磯光雄氏"企画書には,実はパワーグローブをはめている絵を一杯書いています.指先が無くてカッコイイ感じの手袋であったり,そこにちょっとメカニカルな物がくっついていたり"

 触覚についてはギリギリ悩んで、映像化のハードルが高く止めたと発言している。語られるコイルでのヴァーチャルリアリティ設定の裏側。

磯光雄氏"自分がアニメをやっていてすごく感じるのは「見かけ優先」の技術の力が非常に大きいことです..視覚と聴覚に訴えるしかないけれど..気持ちまで伝えることができる..聴覚と視覚のみで五感以上のものを伝達することができます"

磯光雄氏"アニメーションは実写 に比べると省略の力がすごく生きてくる..だんだんリアルになって実写に近づいて行くと技術が向上したと言われました..肝心の感情表現などがしにくくなって行く.."

 VR技術とリアルの関係も同じではないだろうか?
 たぶん、VR・ARの研究でも、省略技術の研究少ないのではないか。ここに人間の認識論と、VR・AR実用化への一つの切り口があるように思う。

磯光雄氏"精神世界と電脳空間との関係では「仮想」という概念は数千年の歴史があるのではないか..人間の脳みそっていうのは仮想をベースに生きている.人間の脳が発達して今と同じような思考が発生した大昔から実は仮想現実が存在していた"

 まさに切り口。この視点ですね。

磯光雄氏"次の作品は科学技術を中心とした話にならないかも知れない..もし『電脳コイル 2』があるとすればそれは「皆さんが作ったメガネが『電脳コイル2』だよ」と申し上げておきます.というわけで私も『電脳コイル2』を早く見たいなと(笑)"

 以上、一読して思ったのは、磯監督、研究者より10年は先を行ってる(^^;)というのが率直な感想。

◆林譲治氏との会話
 林譲治さん(@J_kaliy)/2010年10月16日 - Twilog

 という論文紹介をtwitterでつぶやいていたら、SF作家の林譲治さんから、いくつかのコメントをいただいた。上記リンクの9:40-10:40のところ。
 なかなか興味深かったので、以下、勝手ながら、一部引用させていただきます。
 以下で、RT以降が林氏のコメント引用。それ以外が僕のコメント。

" 電脳コイルはシミュレーテッドリアリティが現実と重なり合ってるというオメガポイントものとしても特異な位置にありますね。RT @J_kaliy いわゆるオメガポイントものでも自己の境界とか自己の位置に関する意識問題はほとんど顧みられてませんね。"

" もともとオメガポイントものはVRで、現実とピタリと並行に存在するARとは別の物語ですね。電脳コイルって、現実には死んだ人が並行して存在するオメガポイントから、その現実に干渉してくるという点でSFとして画期的だったのかも。そこを深化させた続きが見たい気もします。"

" 確かに『グランヴァカンス』って『電脳コイル』と親和性高かったですね。メタバグ出てたし(^^;) でもARでなくやはりVRですよね。 RT @J_kaliy @butfilp そも問題意識をいま一番作品に投入しているのはやはり飛さんの「グランヴァカンス」のシリーズですかね。"

" 『空の園丁』の刊行も待たれますね。その前にtwitterで執筆の模様がつぶやかれている(^^;)『零號琴』も楽しみです。あ、飛浩隆氏インタビュー発見。
 〈廃園の天使〉構想、興味深いですね。"

◆関連リンク
「電脳コイル」がブラウザゲーム「電脳コイル Online(仮)」となって世界展開へ
 磯光雄監督、新作の噂がないのは、これを作っているのかも(^^;)。邪推ですが…。

当Blog 過去記事
磯光雄監督 次回作と『電脳コイル2』!?を語る
 アニメ『電脳コイル』に見るリアルとバーチャルの接点

 上記、学会の様子を伝える記事についてコメントしたもの。

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2010.10.20

■天願大介 脚本・演出 métro第2回公演「舞台版・妹と油揚」

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演劇ユニットmetro公式HP 「舞台版・妹と油揚」の宣伝用動画

 2009年12月3日(木)〜13日(日) at SPACE雑遊

 天願大介のPFFアワード作「妹と油揚げ」の芝居が、昨年、公開されていた。
 公式HPの「過去の公演情報」にある芝居のポスターが強烈。左が自主映画版、右がmétroの舞台版。イヅナの鴇巣直樹氏が鬼気迫る表情。
 既に公演は一年近く前に終わっているが、この舞台、なんとかDVDが出ないものかな。演劇はその一回性が素晴らしいのだけれど、地方ファンのために、是非ともDVDをPlease!!

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 天願大介監督の自主映画「妹と油揚げ」を観たのは、既に20年くらい前だけれど、衝撃の一本だった。
 特に、鴇巣直樹演ずるイヅナは映画版でも凄かった。
 この作品、もう一度観たい。昨年末上映会が東京であったとは!

◆最近の天願大介の仕事
・métro 2010年の公演
 週刊大極宮 | 大極宮 -大沢オフィス公式ホームページ-

"月船さらら×出口結美子の演劇ユニットmetroの第三回公演がありました。
 一回目は「陰獣」、二回目は「妹と油揚げ」でありまして、今回は谷崎潤一郎『痴人の愛』。出演は月船さん(ナオミ)と池下重大さん(譲治)、天願チームの怪優・鴇巣直樹さん(痩せた男)。今回出口さんはプロデューサーと声の出演。
 一回目はミステリ、二回目は妖怪(全日本妖怪推進委員会推進舞台)ということで、僕なんぞにもお呼びがかかりまして、脚本・演出の天願大介さんとトークなどをさせていただきました。"

 京極夏彦がエッセイで上のように書いている。
 京極と天願の対談、これは興味深い。(残念ながら既に終了)

 最新では、天願大介、三池崇史監督の『十三人の刺客』で脚本書いている。巷の評判がいいので、僕も天願シナリオを観に行きたいのだが、なかなか時間が、、、。
 それにしても、『世界で一番美しい夜』(2008)に続く監督次回作はどうなってるんだろ?

◆旧作だけれど、、、 

 今村昌平監督『カンゾー先生』観た。天願大介との共同脚本。
 さすがに今村昌平の最高傑作、というわけではないけれどなかなか良かった。なにしろクライマックスで、あんなスペクタクルがあろうとは、、。老いても豪快ですね。そして天願のシナリオの力なのかも。

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2010.10.19

■iPhoneアプリ PRO HDR うちの近所はサイケデリック

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 何気ない、いつもの夕方、犬の散歩で撮った近所のサイケな光景。iPhoneアプリ"PRO HDR"で試し撮りしたHDR写真。

 以前書いたように、iOS4のHDRが物足りなかったので、この230円のアプリを入れたのだけど、なかなかいい。
 特に、明るさやコントラストをその場でいじって自分の好みの画質を作れるのが楽しい。夕焼けとか明暗の分かれた情景で威力を発揮する。

 これを見ると、サイケで妙竹林で、家の近所がまるで筒井康隆の「ポルノ惑星のサルモネラ人間」になったみたい(^^;)(ちょっと違うか)。

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 上記でHDRの作成方法を説明すると、、、。(説明と言うほど難しくなく、自動でできるため、至って簡単)
 Pro HDRは自動的に露出をアンダーとオーバーに振った写真を連続して2枚撮影(左の2枚)。そしてそれを合成した(3枚目)が自動で作成される。
 撮影者は、画面でこの3枚目の写真を見ながら、同時に画面に表示される各種の画質調整用のスライダをいじって好みの画像を作り出すだけ。

 同じ日に撮った別の画像。これもみんなご近所です(^^;)。

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 真ん中は、近所の園芸店の温室で撮ったカナリア茄子。日常が非日常へ(^^;)。
 
 さらに欲張ると、こういう動画が撮れるアプリも欲しい。
 一度に明暗の両サイドに振った露出の画像を撮って、それを融合処理しなければならないので、動画だと、CPUの恐ろしい高速化が必要だろう。
 ただ処理速度の向上は日進月歩なので、あと数世代たったら、iPhoneでも可能になるかもしれない。

 そして、そんな技術が出来上がったら、こんな色合いのシュヴァンクマイエルアニメも観てみたいものだ(^^;)。

 こういう写真を眺めていて、そのまま外に出ると、何だか街を見る眼がHDRしていて、ちょっと色合いが面白い風景を見ると、おっ、と思う。

 大友克洋の漫画を見た後に街へ出ると、まるでそま輪郭線が大友の絵のようにきっちりとして見えてくるのと、近い感覚。

 脳内HDR処理機能が働きだすのだろうね(^^;)。

◆関連リンク
Yasutaka Tsutsui "Salmonella Men on Planet Porno"
 このカバーはサイケでないがシュール 。ついでに"Paprika"もいいですね。

iPhone写真のHDRアプリ6種類チェック | favLife
iPhone 4 のHDR写真と、アプリ Pro HDR での写真を比較 | 酔いどれオヤジのブログwp
 あきらかにPro HDRのダイナミックレンジが広いのが、わかります。

・当Blog過去記事
 iOS 4.1 HDR撮影 下呂 禅昌寺 & 緑の館
 HDR(High Dynamic Range)写真

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2010.10.18

■MACULA プラハ旧市街 天文時計 建築+CGマッピングパフォーマンス : Mapping during 600 years anniversary of the astrological tower clock situated at Old Town Square in center of Prague

The 600 Years from the macula on Vimeo
 2010.9/10、ヤン・シュヴァンクマイエルの自宅からほど近い、チェコプラハの旧市街地区のマジック・リアリズムな映像空間を映し出したビデオ。
 これには鳥肌が立ちました。凄い。記事を読む前に、とにかく一見を。できれば大ボリュームで音響も楽しむことをお薦めします。

the macula(公式HP) 制作したアートグループ

"Mapping během oslav 600 let Staroměstského orloje na Staroměstském náměstí v Praze. Mapping Macula, Lukáš Duběda, Michal Kotek.

Mapping during 600 years anniversary of the astrological tower clock situated at Old Town Square in center of Prague.
Mapping by Macula, Lukáš Duběda, Michal Kotek.

hudba / music: data-live
foto & video/ photos & video: Michal Ureš
teaser audio: Hecq -Typhon"

『プラハの天文時計』600周年記念イベントで魅せた驚愕のプロジェク映像トパフォーマンス:カラパイア

"プラハの天文時計は、1410年に時計職人ミクラーシュとカレル大学の数学教授ヤン=シンデルが製作。今年が建立600周年にあたり、チェコの映像プロダクション『Tomato Prodaction』は、この時計台を使ったプロジェクトアートを上映した。"

Twitter / 俵屋宗達さん(Twitter/shamonさん経由)

"ラテルナ・マジカ」のチェコなので映像には驚かないけど、驚異の完璧マッピング!さすがとしか言いようがない。"

Twitter / 俵屋宗達さん

"『プラハの天文時計』は観光名所になって世界中から人を集めているけれど、作られた当時はハイテク技術の機密情報の塊だった。特許制度のなかった当時、作った 天才技術者はどうなったかというと…近隣諸国に技術移転して国家に経済的ダメージを与えないように、完成直後に捉えられて目を潰された。"

The 600 Years on Vimeo.

"Hi...thank you for very kind words. Yes, all was done with two Christie projectors (2x18000 lumens in HD). No additional lights in composition:)"

 映像はご覧になっただろうか。
 MACULAがコメントしているように、これはChristie社(クリスティ・デジタル・システムズ)の18000ルーメンのプロジェクタ2台のみを用いた建築物へのCG映像のマッピングプロジェクトの一大成果。

 映像のソリッドな感覚と壮大なディジタル音響の効果で、チェコプラハの旧市街地区が魔術的な空間に転移している。これを究極映像と言わずして、なんとしよう。この現場に立ち会えなかったのは、まさしく残念。そうそうチェコに行けるわけではないのだが、痛恨(^^;)。
 ヤン・シュヴァンクマイエルはこのパフォーマンスを観たのだろうか?

Photo

 この手法、日本の建造物には合わないかもしれないが、是非、国内でもイベントが実施されてほしいものである。

◆関連リンク
YouTube - Prague 600 years anniversery / Praha oslav 600 let Staroměstského orloje
 別のアングルからの動画。斜めからなので立体感がある。
・制作したMACURAの本プロジェクト公式HP
 時計塔に映し出された映像素材だけのムービー(一部)もあります。
 ※初めての方は、まず本ページトップの縦長動画を必ず先に観て下さい!
MACULAのプロジェクト
 他にも各地で歴史的建築物と映像のマッピングプロジェクトを繰り広げているようで、6つのプロジェクトの動画を観ることが出来る。チェコの魔術的芸術の血が流れていますね、まさにマジックリアリズム。
Tomato Production
 驚異の映像を企画したチェコのTomato Production。この公式HPはコンテンツがほとんどないですね。何をしているプロダクションなのか、よくわからない(^^;)
Data-Live
 音楽を担当したチェコのData-Liveの公式HP。
・その音楽はSOUND CLOUDのData-Liveのページで聴ける。
MACULAのVIMEOの動画HP
 公式HPになかった動画もある。Data-Liveとの別のパフォーマンスとか。
プラハの天文時計 - Wikipedia

"プラハの天文時計(てんもんどけい)またはプラハのオルロイ(Prague Orloj, チェコ語 Pražský orloj, [[praʒski: ɔrlɔi]])はチェコ共和国の首都プラハにある中世の天文時計のひとつ。同市の観光名所として名高い。 このオルロイは3つの主要な部分、すなわち空の太陽や月の位置などの天文図を示すための文字盤、「使徒の行進 (The Walk of the Apostles)」と呼ばれるキリストの使徒などが時間ごとに動く人形仕掛け、それから月々を表す浮き彫りの暦版からなる。"

◆当Blog関連 過去記事
チェコプラハ① ヤン・シュヴァンクマイエル他監督『Kouzelny Cirkus (Wonderful Circus)』at ラテルナマギカ
 プラハのマジックリアリズムの一つ、ラテルナ・マギカについて。
・ヤン・シュヴァンクマイエルが一部演出した舞台"kouzelny-cirkus"のビデオ

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2010.10.17

■MM9 特撮メイキング 限定公開中

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MM9 特撮メイキング(田口清隆特技監督Twitter)
 田口清隆監督が自らメイキングについてtwitterで紹介されてた。
 10.10/20までの限定公開なので、お見逃しなきよう。
 上はそのメイキングからの引用画像。

 ★ただし、最終話を観ていない方は、ネタばれになるので、上の引用写真はクリックしないように。また予告篇も観ない方が懸命です。

 最終話に登場した迫力の怪獣フルドネラは、CGだと思っていたが、ロッドパペットとのこと。
 メイキング映像には、絵コンテ、イメージ画やディテイルの作り込み、操演の様子等、貴重な映像が観られる。

◆関連リンク
田口清隆 - Wikipedia
樋口真嗣他『MM9 DVD-BOX I(仮)』

"DVD発売日: 2010/10/27
DISC1:第1話~第3話+映像特典 DISC2:第4話~第6話+映像特典
映像特典:MM9スピンオフドラマ「MMY 残ル業ニ給モ無シ」、メイキング映像
封入特典:「MM9」オリジナルサウンドトラックCD、全巻収納BOX パッケージ仕様:デジパック仕様
収録時間:本編150分+映像特典"

樋口真嗣他『MM9 DVD-BOX II(仮)』

"DVD発売日: 2010/11/26
DISC1:第7話~第9話+映像特典 DISC2:第10話~第13話+映像特典
映像特典:MM9スピンオフドラマ「MMY 残ル業ニ給モ無シ」、メイキング映像
封入特典:「MM9」解説書(仮) パッケージ仕様:デジパック仕様
収録時間:本編175分+映像特典"

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