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2010年11月7日 - 2010年11月13日

2010.11.12

■ヤン・シュヴァンクマイエル『サバイビングライフ』メイキング

Photo_2

Přežít svůj život pracovní foto(アタノオル公式サイト)

 先週、2010.11/4にチェコで公開されたヤン・シュヴァンクマイエルの新作長篇"サバイビングライフ Surviving Life:Přežít svůj život"。制作風景スナップ41点が制作プロダクションであるアタノオルのサイトで公開された。やはりアナログな切り絵アニメート。一部PCを覗いている写真もあるので、なんらかの形でディジタルがシュヴァンクマイエルのスタジオにも入って来たようだ。

 今回、特徴的なのが街の写真を背景に、人物の写真の切り抜きを多用しているところ。予告篇に観られるようにこの手法によって画面にコミカルな雰囲気が横溢している。

◆『サバイビングライフ』メイキング映画
 Presit svuj sen (Oralne variacie na sen/film Jana Svankmajera) (2009) - IMDb.

"An Agnes Dimun's graduate documentary film capturing Jan Svankmajer during the making of his new film Surviving Life. A mosaic pieced together from fragments of film shooting plunges the viewer into the depths of the maestro's alchemy of creation, incessantly oscillating between dream and reality."

 IMDbによると、この新作のメイキングドキュメンタリーが昨年作られていたようだが、どんなものか、詳細情報が見つかりません。(関連リンクに一部情報らしきものを掲載)

◆ヤン・シュヴァンクマイエルとエヴァ・シュヴァンクマイエロバー作品展示
 Exhibitions Eva Švankmajerová (アタノオル公式サイト)

10/08/2010 – 12/12/2010 Sala Expo La Alhondiga Segovia: Possibilities of dialogue SEGOVIA, SPAIN

10/22/2010 – 01/23/2011 Luc Tuymans: A vision of Central Europe BRUGGE, Groeningemuseum, BELGIUM

March 2011 – 05/31/2011 PRAGUE, Dům U Kamenného zvonu, CZECH REPUBLIC

04/15/2011 – July 2011 Diaf, German Institute for Animated Film RESDEN, GERMANY

June 2011 – September 2011 Kunsthalle Karlsruhe and Wien WIEN, AUSTRIA

 ヤン・シュヴァンクマイエルの新作を紹介しているこのアタノオルのサイト、他にも展覧会情報他、盛りだくさんのコンテンツ。
 嬉しいのはヤンとエヴァ・シュヴァンクマイエロバーの展覧会についても紹介されていること。そして彼女の傑作メディアム・ドローイングの絵が掲載されている!
 検索してもなかなかこれ以上の情報が見つからないが、メディアム・ドローイングがどこかで公開されているとしたら、あの魔的な世界を観られる観客は幸せである。

◆関連リンク
DL-Access.

"Presit svuj sen Oralne variacie na sen film Jana Svankmajera.FullVersion"

 ここでメイキング・ドキュメンタリーをダウンロードできそうなのに、サインアップしようとすると有料に。よくわからないので、有料サインアップしていません。本当に落とせるかどうかも不明なので、皆様、お気をつけて、自己責任でお願いします。もしうまく行ったら教えて下さい。
これからの上映 « 豆風ライブハウス 代官山「晴れたら空に豆まいて」

"「ヤン・シュヴァンクマイエル ナイト」 2010.11.15.月.
【上映】 「ヤン・シュヴァンクマイエルのキメラ的世界」 「2004 年大回顧展「フード」の記録映像」"

 この回顧展「フード」の記録映像も大いに興味があります。これについても情報があればご教示を。

・当Blog記事
 『GAUDIA(ガウディア)造形と映像の魔術師 シュヴァンクマイエル』
  エヴァさんのメディアム・ドローイングについて

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2010.11.11

■感想 ピート・ドクター, ボブ・ピーターソン監督"UP:カールじいさんの空飛ぶ家"

Angel_falls

ディズニー 「カールじいさんの空飛ぶ家」公式サイト

 ピート・ドクター,ボブ・ピーターソン監督"UP"をレンタルBlueRayで観た。
 3D定番の飛行映画。立体映画として劇場へ行かなかったことを後悔。
 素晴らしいCG映像、そして南米ギアナ高地。メインスタッフがベネズエラにロケハンした成果が生々しく活きている。(ブルーレイディスクに特典映像として入っているのが、「南米ベネズエラ冒険記」。ギアナ高地という言葉は何故か出てこない。映画の「パラダイスフォール」はテーブルマウンテンのアウヤンテプイ(Wikipedia)エンジェルフォール(Wikipedia)がそのモデル。実物のエンゼルフォールの3倍の高さ。)

 あの奇想な場所へ多分初めて芸術家が立って感じたことが画面の隅々に活きている。アーティストによる自然の景観の受容と表現。月とかも含めて、もっとこうしたアプローチが実施されるといいと思う。
 (引用写真 左がギアナ高地エンジェルフォール、右が"UP")

 しかしPIXARのCG、質感がますますUpしてますね。うちでは、これを立体視できないのが残念でたまらない。あとジョン・ラセターのもとで、彼より少し若い監督が頑張っている。

 物語について。今はうちの子供達は大きくなって親父とはいっしょに観てくれないのだけれどw、最高の家族映画ですね。

 あ、"UP"も良かったけれど、一度ギアナ高地を、IMAX 3D とか、立体映画で観てみたい。ハイビジョンでは何度もBS等で見ているのだけれど、あの景観を実写でも立体視したい!

◆関連リンク
BD『カールじいさんの空飛ぶ家 コレクターズ・ボックス』

●『カールじいさんの空飛ぶ家 ブルーレイ(本編DVD付)』
●「THE ART OF カールじいさんの空飛ぶ家」(徳間書店刊)(豪華装丁アートブック)
●スカイドーム(スノードーム)(サイズ:高さ約70mm×直径約83mm)

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2010.11.10

■デイヴィッド・リンチ AFI Fest 2010映像 & リトグラフ展 "David Lynch Lithos 2007-2009"

 デイヴィッド・リンチ二題。
American Film Institute

AFI News » Blog Archive » David Lynch Announced As First-Ever Guest Artistic Director Of AFI FEST 2010 presented by Audi.

Lynch Creates Art for the Festival to Serve as the Official Image and will Program Films that Influence and Inspire Him

AFI Fest 2010 Presented By Audi (Featuring David Lynch)

 AFIのフェスティバル映像をリンチが撮っている。
 最近のアート寄りの活動から、なかなかまとまった映像が観られないのはフラストレーションをつのらせるのだが、今回はアート作品と映像の合体。
 フェス自体は、リンチ作品は『イレイザーヘッド』だけの上映らしいが、この動画はいつもの音と映像で、リンチを堪能できる。

◆リトグラフ展 "David Lynch Lithos 2007-2009"

PhotoExposition David Lynch

 デイヴィッド・リンチのパリでのパリグラーベェリンギャラリー(Le musée de Gravelines)での、リトグラフ展 "David Lynch Lithos 2007-2009"。開催期間は、2010.6/27-10/17と先月まで。

David Lynch Adds Lithography to His Otherworldly Oeuvre - ARTINFO.com.

"The exhibition in Gravelines, which will be on view through October 17, includes 12 red, yellow, and black prints made from zinc plates. A larger series of 62 black-and-white works on Japan paper includes “I See Myself,” the piece that gave its name to Lynch’s previous exhibition, As in his films, Lynch meticulously frames his images and explores themes familiar to viewers of his movies: loneliness, love, eros, dreams, and death. The museum is also showing his first three short features, “The Alphabet,” “The Amputee,” and “The Grandmother.” Then, for those who still can’t get enough of David Lynch’s eerie world, the Frank Gehry-designed Cinémathèque Française in Paris will hold a retrospective of all of the director’s films in October."

 ここのニュース記事によると、12の亜鉛板を用いた赤と黒と黄の作品。62点の白黒の和紙を用いた作品が展示されたようである。
 そしてフランスでの制作風景の写真が掲載されている。
 で、以下はさらにその動画。

Dailymotion - EclectiK - David Lynch - une vidéo Cinéma.
 デイヴィッド・リンチが紹介するフランスでのリトグラフ制作スタジオの様子(動画)。最初のシーンでリンチがフランス語で語る、これがチャーミングwwである。

 それにしても、最近のリンチの活動はヨーロッパ、特にフランスに集中して来ている。日本のファンにとっては、寂しい限りである。

◆関連リンク
ArtSlant - June 27th Sunday - October 17th Sunday, Musée du Dessin et de l’Estampe Originale de Gravelines, David Lynch.
 ここにも、関連記事。

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2010.11.09

■滝本誠評論活動20周年記念読者感謝祭『余命反展 ―EXHIBITION?:TAKIMOTO×LY』

滝本誠評論活動20周年記念読者感謝祭『余命反展 ―EXHIBITION?:TAKIMOTO×LY|21世紀のポップ中毒者(川勝正幸氏Blog)

"ふだんは<黒く濁る家>に秘蔵されているデイヴィッド・リンチ・コレクション計7点(絵画5点、写真1点、リトグラフ1点)を、読者のみなさまにご覧いただくことができる場を持とう! という運びになりました。

開催:2010年12月1日(水)~12月5日(日)
開館:15時~20時 ※初日12月1日のみ、17時よりオープン!
会場:三鷹天命反転住宅  3F 気配コーディネーティングの部屋

入場方法:①部屋のスペースの関係もあり、みなさまにごゆっくり作品を観ていただけるよう、完全予約制にいたします。お手数ですが、事前にメールにてご予約をお願いします。ご予約に関しましては、11月15日(月)頃オープン予定の、<滝本誠公式ホームページ>の予約フォームよりお申し込みいただければ、幸いです(略)"

 以前から滝本誠さんのtwitterで予告されていた三鷹天命反転住宅でのイベントが、ついに正式告知された。
 しかしこの開催器官じゃないや期間に、果たして僕は三鷹へ赴くことが出来るのだろうか。この一週前だったら、実は本業で三鷹の某社へ出張する予定なのだけれど、、、。無理だろーなー。

◆関連リンク
<滝本誠公式ホームページ>(http://takimotomakoto.com/)

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2010.11.08

■感想 上田 早夕里『華竜の宮』

上田 早夕里『華竜の宮』 ハヤカワ・オンライン

"陸地の大半が水没した25世紀、人工都市に住む陸上民の国家連合と遺伝子改変で海に適応した海上民との確執の最中、この星は再度人類に過酷な試練を与える。黙示録的海洋SF巨篇!"

 先日、新刊メモで取り上げた上田早夕里『華竜の宮』を読了。
 イマジネーションとそして以下に述べる想いに溢れた熱い作品。

◆総論

 『日本沈没』『消滅の光輪』につながる破滅/救出SFの王道をゆく作品。
 破滅を描くSFのアプローチと、そして何よりも救出へ向けた主人公たちの知恵と熱い意志の物語。
 特に救出の意志については、小野寺俊夫、司政官マセ・PPKA4・ユキオの正統な後継である主人公の公使 青澄・N・セイジの強い救出への意志に心動かせられる力作になっている。(そして桂大使ほか官僚と、海のオサ ツキソメ)

 『日本沈没』『消滅の光輪』の対象が、日本/ひとつの恒星系であるのに対して、本作では地球、特に海洋世界の人類の救出がメインテーマである。僕は『日本沈没』と『消滅の光輪』にひときわ強い思い入れがあるので、この救出の物語部分にまず痺れました。P452で青澄が語る意志、ここで強くこれら二つの作品との共鳴が自分の中に沸き起こって熱くなった。

 丹念に描かれた青澄の物語、それによりエピローグで描かれる世界の様は、黙示的で悲劇的なのだけれど、その中で青澄に続く無数の名もなき意志の持ち主達が、それぞれの立場で、全力で破滅に対抗すべく動いている様が想像されて、奥深いエピローグとなっている。

 この小説は長編としての背骨部分の力点は、上記に書いたメインテーマに置かれているのだが、それ以外にも非常に多くのイマジネーションが投入されている。これが作品に、さらに重厚で豊潤なSFイメージを与えている。

◆溢れたSFイメージ

・やはり白眉は、水没後200年の地球生態系の描写。
 魚舟と獣舟、ムツメクラゲと病潮といった海の生態。ツキソメとエドが見る袋人といった新生物。大変革後の地球での新たな進化/人類の介入描写が異様な世界観で描かれている。

・人の副脳として常に寄り添って支援する人工知性体。「僕」という一人称で語られる彼らの物語も、もうひとつの骨格である。僕とR・Rとナンシーを描いている電脳情報戦描写にも興奮する。外交官の人工知性体同士の主人を客観視した会話とか面白い。

・プルームテクトニクス理論を用いた水没する地球。そして「華竜の宮」を想像して描かれるデザスターシーンの映像的な描写。ここは東宝特撮の衛星軌道からの映像と3D CGでのメカニズム説明を立体映画で観てみたい(^^;)。

・L計画:極限環境適応計画というのは『日本沈没』のD計画、人工知性体は『消滅の光輪』のロボット官僚SQ1をどうしても想起してしまう。まさに先行作品のオマージュ。

・月牙:ユエヤーとタイフォンの関係を描く部分は魚舟の設定が見事に活きている。そのラスト 深海底の甲殻類やウナギが死骸を食む描写(P428)もクールで凄絶。

・ツキソメのユズリハとの最後の歌、映像的というより音楽的なシーン(P547)。魚舟とのコミュニケーションが歌である、というのは物語に深い味わいをもたらしている。



◆ネタばれ

 ★★★★ネタばれ注意 読後の方のみお読み下さい★★★★

・ルーシィという雌雄同体への変異と疑似人間への進化による種の存続。
 人類が生き延びる手だてが涙を誘う。種を継続させるのって、強い衝動は本能的に感じるけれど、生命体にとって当たり前のことなんだろうかって単純な疑問も浮かぶ。
 青澄がポツリと述べる言葉(P433末尾)に受ける感慨は、案外、ベーシックに人が持つそんな疑問なのかもしれない。

・大団円を迎えたはずの物語に、青澄の実務上の重荷を背負わせた描写。これも物語はクライマックスとともに終わるのではなく、継続している、という強いベクトルを作り、エピローグに深みを与えている。

・「僕」が宇宙を行くシーン。
 この世界での別の物語をいろいろと想起させる広がりのある世界観の提示になっている。是非、宇宙へ向かった人工知性体と疑似人間(P571)の物語を読ませていただきたい。

・P496 ツキソメ「言語が私を作った」。疑似人間と言語の関係は、このツキソメの言葉に象徴的である。獣舟人の脳内に埋め込まれた言語回路。この辺りが異様な疑似人類世界を宇宙の何処かで構築される場合のキーイメージになっていくのかもしれない。SF的な想像力を夢想暴走させるキーイメージである。

◆関連リンク
『 S-Fマガジン 2010年 12月号』
 『華竜の宮』刊行記念・著者インタビュウが掲載
日本沈没 - Wikipedia
眉村 卓『消滅の光輪 上』

上田 早夕里『魚舟・獣舟』

"現代社会崩壊後、陸地の大半が水没した未来世界。そこに存在する魚舟、獣舟と呼ばれる異形の生物と人類との関わりを衝撃的に描き、各界で絶賛を浴びた表題 作。寄生茸に体を食い尽くされる奇病が、日本全土を覆おうとしていた。しかも寄生された生物は、ただ死ぬだけではないのだ。戦慄の展開に息を呑む「くさびらの道」。書下ろし中編を含む全六編を収録する"

当Blog記事
新刊メモ 上田 早夕里『華竜の宮』
『日本沈没』スクラップNo.3 『トリツカレ男』のスクラップ帳

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