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2011.07.05

■感想 「プリンツ21 2011年秋号 特集 ヤン・シュヴァンクマイエル」

Prints_21_2011

『prints (プリンツ) 21 2011年秋号 特集 ヤン・シュヴァンクマイエル』(amazon)
プリンツ公式HP

"■表紙■ 写真:細江英公
【CONTENTS】
撮り下ろし巻頭グラビア ヤン・シュヴァンクマイエル VS 細江英公
ヤン・シュヴァンクマイエルからの手紙
対談 ヤン・シュヴァンクマイエル×細江英公
極私的シュヴァンクマイエル論 
 『サヴァイヴィング ライフ』オブジェ少年の夢と現実 飯沢耕太郎
 『オテサーネク』飽食をめぐる三女神 やなぎみわ
 『アリス』シュヴァンクマイエルとルイス・キャロルのアナロジー 小谷元彦
 『悦楽共犯者』触覚フェティシズムに深く浸されることへの共感 柳下毅一郎
 『部屋』『男のゲーム』言語で変換できない快楽スイッチ ピエール瀧 
 『ファウスト』からくりの愉楽 宮沢章夫
 『ルナシー』人間も肉片の塊に過ぎない 松江哲明
フィルモグラフィ1964-2011
DVD・書籍リスト
ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展 〜映画とその周辺〜
 『自然の歴史』について 小宮義宏
京都精華大学「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展」のためのワークショップ・レポート
ヤン・シュヴァンクマイエル、マックス・エルンスト、 上原木呂 三人展
 シュルレアリストたちの宴 上原木呂
殊萬句舞繪鏤(しゅばんくまいえる)木版画 プリンツ21誌上ギャラリー
ふたりの巨匠が行く、「お岩稲荷」訪問機。
細江英公作品集 Eros and Thanatos——光と闇
細江英公略歴
細江英公巻頭作品 プリンツ21誌上頒布"

 amazonから雑誌「prints21 特集ヤン・シュヴァンクマイエル」が送られてきた。

 細江英公氏の写真が凄まじい。シュヴァンクマイエルを裸にして白い布をかぶせ、彼とエヴァ・ シュヴァンクマイエロヴァーの作品を投影。エヴァの赤い幻想がヤンと融合している! これはファンでなくても、シュールレアリスム好きの方は、必見!

 このポートレート、プリンツでオリジナルプリントの誌上頒布が告知されている(P95)。写真10点を各5部づつ限定販売。サイズは四つ切(254×305mm)、各12万円(!)。
 迫力の写真を家に置きたい気もするが値段が…。もちろんこの値段は細江英公氏の作品ということで適正とは思うのですが、、、。

 圧倒的にこのポートレートが素晴らしいのだが、その他、各氏のシュヴァンクマイエル論(僕は特に小谷元彦氏の文章を興味深く読んだ)、妖怪浮世絵他、各種作品掲載等、たいへん充実した内容になっている。このポートレートの高レベルによって、これまでに出たシュヴァンクマイエル特集の雑誌の中でも特筆すべきものになっている。

■その他情報

・対談で述べられているエヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーとの出会いのエピソードがとても良い。ヤン・シュヴァンクマイエルが次のように語る。"プラハにあるユダヤ人墓地に「ラビ・レーヴ」という中世時代に実在した<ゴーレム>伝説を作った高名な学者の墓がある。紙に希望を書いて小石に包んでその墓石に置くとその願いが叶うという言い伝えがある…彼女は私の舞台を観た後、「この人と結婚させて下さい」と書いてお墓に置いたそうです。"

・「prints21 特集ヤン・シュヴァンクマイエル」からの新情報。今年制作された京版画の妖怪浮世絵は、京極夏彦文、多田克己編・解説『妖怪図鑑』(国書刊行会)にインスピレーションを受けたものらしい。

■日本人女性にシュヴァンクマイエルが受け入れられる理由

 対談で女性ファンが多いことに対し、シュヴァンクマイエルは、"日本人女性はマゾヒストが多いのではないかと考えています。私の映画にあるサドの要素に共鳴するのではないでしょうか"と答えている。
 (^^)僕は、なんか違うと思うのだけど女性ファンの方々いかがですか?

 この特集を読みつつ、日本人女性ファンが多い理由を考えた。
 僕は、子供が喜んで粘土や骨や人形を弄り回しているような、稚気に溢れるシュヴァンクマイエルの映像がカワイク感じられるのでは、という仮説を思いつく。そして触覚感覚も元々幼児的な部分があるように思う。キーは母性かも。

 例えば、食べたくないから食物を人形に見立て歩かせたり、廃物を並べて動物の形を作ったり、鼻の穴にソーセージを突っ込んだり(^^;)。シュヴァンクマイエルの 映像が単に不気味でないのは、五感に直結したこうした稚気が溢れているからではないか。女性ファンは、もしかしたらそうしたシーンに、母性本能を刺激される…とかの仮説w。

 ということで、twitterでフォロワーの方に御意見をうかがった。

Twitter / @chisartさん

"こんばんは。いつもツイートを興味深く拝見しています。個人的には頷ける見解なのですが(自分はMっ気あります)、他の女性の方がどう思うのか自分も知りたいですσ(^_^;)"

Twitter / @butfilp

"ありがとうございます。僕が男だからかもしれないですが、あまりこの作家本人の見解にうなづけないのです。どちらかというとシュヴァンクマイエル作品ってMっぽい気が…そこに共鳴ならわかる気もするんですがw"

Twitter / @Uotsukiさん

"マゾヒストが多いから!実も蓋もない意見ですが、妙な説得力を感じます…(笑)日本では、シュヴァンクマイエルに限らず、いわゆる”耽美幻想系(?)”の 人気は女性を中心に結構根強いですし…。日本マゾヒスト説の是非はともかく、気になるテーマです。雑誌も面白そう…。"

Twitter / @Uotsukiさん

"Mでせう!日本で耽美文学を紹介した谷崎が思いっきりMですし(笑) 谷崎乱歩三島とやっぱり。母性だけでは括りきれない?RT @butfilp 耽美幻想系とは…本質がわかってないんです(^^;)あれもMなんですねw"

 まずい、母性論の敗北近し(^^)。
 もしこの記事をここまで読んでいただいたら、どなたか、シュヴァンクマイエル好きの方、皆さんのご意見も御聞かせ願いたいw。本記事のコメントに書き込んでいただければ、幸いです。

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コメント

 らびさん、はじめまして。貴重な御意見、有り難うございます。

>>女性に人気がある=作品中の懐かしさがあるのでは?と

 懐かしさ! 確かにキーワードになりそうですね。

>>でも、可愛いだけでなく 子供の頃のいたずらや大人には見えない不思議な物を見たような感覚がシュヴァンクマイエルの作品にはあるのです。

>>動く肉が可愛い、でも昔、肉が動いて喋っていたら…など考えていた子供時代を思い出して、子供の頃にかえっていく不思議な感覚に陥ることがあります。

 そうか母性だけでなく、自分の子供の頃の郷愁をかき立てるわけですね。

>>枯れた木の葉の中を走っていくと、そこはワンダーランド。シュヴァンクマイエルに対する私の感覚は、これです。

 枯れた木の葉はノスタルジーの象徴でしょうか。走っている間に自分が子供に帰っていく……そんな感覚は確かにありますね。

 シュヴァンクマイエル御本人にそのあたりの源泉について尋ねてみたいものです。

 とても参考になりました。今後とも、よろしくお願いします!

投稿: BP(らびさんへ) | 2011.07.31 23:41

はじめまして、記事読ませて頂きました。私もシュヴァンクマイエルファンの女ですが、女性ファンがなぜ沢山なのか。M、母性など、なるほど…!と思いつつ読ませて頂きました。


私の意見で恐縮ですが、女性に人気がある=作品中の懐かしさがあるのでは?と(母性と似ているかもしれないですが。)
私も、シュヴァンクマイエルの作品を観て可愛いな、と思うことは多いし、笑ってしまうことも沢山あります。好きすぎて可笑しくなっちゃう感覚です。


でも、可愛いだけでなく 子供の頃のいたずらや大人には見えない不思議な物を見たような感覚がシュヴァンクマイエルの作品にはあるのです。

動く肉が可愛い、でも昔、肉が動いて喋っていたら…など考えていた子供時代を思い出して、子供の頃にかえっていく不思議な感覚に陥ることがあります。

枯れた木の葉の中を走っていくと、そこはワンダーランド。シュヴァンクマイエルに対する私の感覚は、これです。

投稿: らび | 2011.07.31 14:45

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