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2011年7月31日 - 2011年8月6日

2011.08.04

■新刊メモ 『ヤン・シュヴァンクマイエル創作術』『馬たちよ、それでも光は無垢で』

『ヤン・シュヴァンクマイエル創作術 (東京カレンダーMOOKS)』

"『サヴァイヴィングライフ ー 夢は第二の人生 ー』公式読本。

もしかしたら、まったく新しいタイプの映画が、この方法でつくりうるかもしれません。実写とアニメーションのあいだにある何ものかが。
                  ヤン・シュヴァンクマイエル"

 撮影した写真をアニメーションで動かす手法を今回取っているということだけれど、それだけに収まらない創作の秘密が描かれているようだ。

 アニメーション評論をされている土居伸彰氏(Nobuaki Doi (NddN))が「明日発売の『ヤン・シュヴァンクマイエル 創作術』 on Twitpic」にて以下のように語られている。

"明日発売の『ヤン・シュヴァンクマイエル 創作術』という本の見本が届きました。『サヴァイヴィング・ライフ』のメイキング部分の編集を担当しましたので是非…大変だった…"

 土居氏によるメイキング、とても楽しみである。

Horz

古川日出男『馬たちよ、それでも光は無垢で』 新潮社

"私は福島県に生まれ た。声がする。そこへ行け――。

あの日以来、私は時間を喪失した。世界はテレビの向うにあり、自分こそが彼岸にいた。涙がこぼれる、自問する、どうして私は死なないのか。どうしたら苦をともにできるのか――。震災から一月、作家は福島県浜通りをめざす。被災、被曝、馬たちよ! 目にした現実とかつて描いた東北が共鳴する、小説家が全てを賭けた祈りと再生の物語。"

古川日出男『馬たちよ、それでも光は無垢で』刊行記念インタビュー|新潮社

"作品の最後に、想像力でエンディングの情景を作れるのか。想像力で作れればそれはイコール小説で、小説の善きことができる。善き想像力を使うことで善き小説 が生まれて、それはこの世界に対して有効だっていうことを試そうとしたんです。それで実際書いて、文学は有効だって分かったから、これからは「その先のど こか」に向かおうとしています。"

 雑誌『新潮』2011.7で読んだのは原稿用紙200枚。単行本は160ページ。雑誌に対して、書き足しか別の一篇が収録されるのか?
 まだ実物を見ていないので、確認していないが、この本は期待である。

◆『新潮』古川日出男「馬たちよ、それでも光は無垢で」感想メモ

 古川日出男の言葉に打ちのめされるように読み進めた。凄いビートある言葉たちが誌面から飛び出してくる。

 被災地ルポルタージュに『聖家族』の狗塚牛一郎がAR(拡張現実)で上書きされ、イヌとウシの彷徨う、時間が止まったような土地で語られる馬の歴史。
 最終2頁の詩的な描写に胸が詰まる。

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2011.08.03

■メモ 第三舞台 封印解除&解散公演「深呼吸する惑星」

Photo

劇団「第三舞台」が解散へ 小劇場ブームの中心的存在

"1980年代の「小劇場演劇ブーム」の中心的存在だった劇団「第三舞台」が解散する。主宰する鴻上尚史さんが21日、東京都内で記者会見し、11月から来年1月にかけて行われる公演「深呼吸する惑星」が最後と発表した(略)
 鴻上さんは解散理由について「“故郷”(劇団)に正式に別れを告げた方が、クリエーターとして次の地平に行けるのではないか」と語った。
 同劇団は鴻上さんが早大在学中の81年に結成。テンポのよいせりふ回し、ダンスやギャグを交えて時代を切り取る作風が若者の人気を集めた。代表作に「朝日のような夕日をつれて」など。"

第三舞台 封印解除&解散公演「深呼吸する惑星」 ごあいさつ

"(略)
そして、もうひとつ大切なお知らせ。
どんな芝居をやろうかメンバーと相談している中で、この公演をひとつの区切りにしようという思いが固まりました。
今回の芝居は、封印解除であり、同時に解散公演になります。 (略)

『第三舞台は変わらない。そして、変わり続ける。』

最後の第三舞台になります。よろしければ劇場でお会いしましょう。
鴻上尚史"

 このニュースが流れた時のショックは大きかった。
 まさかの復活公演が第三舞台解散公演になるとは、とても残念である。

 そして復活は当然『朝日のような夕日をつれて '12』だと思っていた。これは多くの第三舞台ファンに共通した暗黙の認識だったのではないだろうか。
 『朝日のような夕日をつれて '12』でなく、『深呼吸する惑星』という新作であることは、たぶん解散と関係してるんだろうと思う。

『深呼吸する惑星』CAST

"筧 利夫 長野里美 小須田康人 山下裕子 筒井真理子 / 高橋一生 / 大高洋夫"

 公式HPの出演者を見ると、何故かこれだけのメンバーしか出ていない。
 しかも男が4人。これでは『朝日のような夕日をつれて』は上演できない。全くの邪推であるが、解散と何か関係しているように思えてならない。

 以下、僕の個人的な話。
 20代で『朝日のような夕日をつれて』を名古屋で観て衝撃を受け、それからしばらく深くシンクロして第三舞台を探索していたw。第三舞台時代の鴻上尚史の戯曲と本は全部持ってて、芝居も東海地方のハンディ(いつも飛ばされている)を乗り越え(^^;)5〜6本は観た。
 それらを通して『朝日のような夕日をつれて』の衝撃の秘密を知ろうとしていたのだ。
 なので、解散はとても感慨深い。

351840381

 今後、鴻上尚史の活動の中心は、「虚構の劇団」になるんだろう。
 そして第三舞台のひとつの代表作『天使は瞳を閉じて』を大高洋夫が主演で8/2〜公演。
 「幻の第三の舞台」から「虚構」への移行である。

虚構の劇団『天使は瞳を閉じて』鴻上尚史×大高洋夫

"リアルですよね。メルトダウンした後の世界で生き残った人たちの話なので。それは状況としては非常に悲劇的なんですけど、ここではその中で懸命に生きようとしている人たちの姿を描いてる"

 横たわる不安な世界感覚を底流に描きつつ狂躁的でシャープな笑いの連打する幻のような舞台。もしかしたら現在、最も第三舞台が必要とされていそうなのに、解散はとても残念である。

◆関連リンク
封印時 鴻上尚史のごあいさつ

"お互いが生き延びていたら『第三舞台』として、10年後に会いましょう。その間、僕は創り続けます。最近、ようやく決心がつきました。んじゃ" 全員生き延びていたのに何故?

・関係者のtwitter @KOKAMiShoji @gibson_703 @SatomiNagano @KAKEI_TOSHIO @ito3com

第三舞台 鴻上尚史 当Blog 関連記事

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2011.08.02

■感想 『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』3Dとウィングスーツ立体映像メイキング

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Transformers: Dark of the Moon - Movie Trailers - iTunes
 『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン3D』、巨大ロボットものの立体視映画ということで、期待して観た。
 ドラマ部分は置いといて(モデルでもあるロージー・ハンティントン=ホワイトリーのプロポーションだけを観ていたような気がする(^^;))、月とチェルノブイリと、シカゴの街の大スペクタクル。3D映画では『アバター』以来の満腹で帰ってきた。
 息つく暇のない、センス・オブ・ワンダー映像の乱れ打ち、強烈なアクションのシャワーにまさに満腹。(今回、REAL Dで観たが、タイミング悪く字幕版になった。字幕による3D効果の邪魔な度合いが大。やはり3Dは吹き替えでないと駄目ですね)

 全体のまとめとして、人は映像でこのようなものをコントロールできる時代に突入したのか! ってちょっと大げさだけれども(^^;)、感慨。

 冒頭のアポロ11号のシーン。
 一部、実際のNASAの記録映像、JFKの打上とヒューストンの光景と月面映像の一部がなんと3D化されている。CGで新作した部分も多いが、2D変換でまさかあの映像が立体映画として観られると思っていなかったので感心。おまけに、オルドリン飛行士(たぶん実物)が登場するシーンもあり、アポロに感動した世代としては感涙ものである。

 先日、NHKコズミックフロント「旧ソ連 幻の宇宙計画 ~天才科学者コロリョフの見た夢~」で観た、ロシアの月着陸船があのままのデザインで登場したり、なかなか宇宙好きのマインドをくすぐる(と言いつつ、ストーリーはアポロ陰謀論に近いトンでも系列なんですが…。ここにも映像と物語の大きな断絶がw)。

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 そしていくつもあるクライマックスのうち、シカゴの摩天楼での人間とディセプティコンの追撃戦。
 ポール・グリモー『王と鳥』には摩天楼と巨大ロボットが出てくる。
 それに影響を受けて宮崎駿他が描き上げた高低差を利用した素晴らしいアクション映画が『カリオストロの城』と『長靴をはいた猫』である。

『王と鳥』公開記念 大塚康生氏 特別インタビュー (聞き手/叶精二)

"高低差を描くという意味で、技術的演出的な影響を受けたと言えるんじゃないでしょうか"

 個々のアイディアは宮崎駿ほどではないが、『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン3D』もこの高低差の演出は特筆すべきでアクションを作り上げている。そしてもちろん3D撮影を駆使することで、その迫力は比類ない。
 倒壊しつつある摩天楼の中での主人公たちのアクションで、それが最大限活かされる。ここの闘いの組み立ては高低差、ビルの傾きを最大限活かしていてなかなかのものと思う。
 惜しむらくは、「柱」が作動する摩天楼での攻防が丁寧に描かれていないこと。高低差を利用して、下から攻めていく段取りが丁寧に組まれていたら、もっと凄かったろうに。残念。

3d02

 『アバター』のヘリと翼竜の空中戦、『ヒックとドラゴン』のクライマックスの空中戦、それらと並ぶ立体視映画の切り拓いた新しい地平。
 『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン3D』では、特にヘリコプターと機械生命体が乱れ飛ぶCGシーンと合成されたウイングスーツのスタントは素晴らしい。

シカゴ摩天楼群での超絶立体映像メイキング 

3d3d

 このメイキングで紹介されているが、撮影は3台の3Dカムで撮られている。特にこの写真のヘッドマウントタイプの3Dカメラに興奮。
 実際に時速240kmで飛ぶウィングスーツのひとりの頭に付けられて撮影されたらしいが、スピード感と臨場感が素晴らしい。
 今後これでどんな凄い映像が撮られるか!期待である。

 あー、やっぱIMAXで観たかったなぁー。

◆関連リンク
・NHK #BSHiハイビジョン特集  Free as a Bird  〜大空の冒険者たちへ〜」、ウィングスーツに搭載したカメラのハイビジョン映像のスピード感が凄い。
ウィングスーツGoogle画像検索 Youtube動画
 1200mの絶壁から飛び降りて、高さ100mでパラシュート。
Twitter / @higuchishinji 樋口真嗣さん

"なんの話かというと、トランスホマ3の3D効果、今まで複雑すぎてなにがなんだかわからないロボット描写、どこまでがロボットの部品で、瓦礫で、壊されたメカの破片か?複雑すぎて脳内整理ができない情報量が今までに比べると随分と判りやすくなったような印象が。"

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2011.08.01

■感想 コズミック フロント「旧ソ連 幻の宇宙計画 ~天才科学者コロリョフの見た夢~」

Photo_2

「旧ソ連 幻の宇宙計画 ~天才科学者コロリョフの見た夢~」
 コズミック フロント | NHK宇宙チャンネル

"天才科学者セルゲイ・コロリョフ、彼なくしてソビエトの宇宙開発はあり得なかったと言われるほどの重要人物であり、その存在は国家機密だった。(略)
新たに見つかった貴重な映像や関係者の証言を基に、悲劇の天才科学者コロリョフの実像に迫り、ソ連宇宙開発の壮絶な舞台裏を描く。"

 ソ連宇宙開発の貴重な映像が観られて幸福だったw。
 60年代宇宙開発のチーフデザイナーだったが、その存在が隠されていた国家の最高機密セルゲイ・コロリョフの宇宙にかける夢と現実が素晴らしい。

セルゲイ・コロリョフ:Сергей Королёвによる月着陸計画

 ここに計画の資料が掲載されている。
 やはり宇宙機のデザインは、アメリカよりソ連の方がいいですねw。
 特に冒頭に引用した着陸船に痺れるw。この写真もSF魂直撃!

Cfpl_95

 '66年にコロリョフが急逝しなければアポロに先んじて月に降りたかも。そして宇宙競争は火星探査へ突入し今頃は…。いろいろな夢を見させてくれるドキュメントだった。(右はコロリョフのスケッチを元に番組が作成した火星宇宙船)

 そして、番組にはコロリョフを知る人物として、人類初の宇宙遊泳をしたアレクセイ・レオーノフ飛行士が登場。この方、70年代のSFマガジンの表紙を飾った宇宙画家でもある。絵を描くレオーノフ氏の姿も映し出されたが、残念ながら写されたのは宇宙画でなく地上の風景画だった。

 ここにあるレオーノフの言葉、何故、絵描きでなく宇宙飛行士になったかがとてもいい。

"もしも別の美しさと別の色〜永久に素晴しい空の色〜に心を奪われなかったならば、おそらく僕は画家になっただろう。ところが僕は空の色に近づくために飛行士になったのだ"

◆関連リンク
アレクセイ・レオーノフ飛行士と画家A・ソコロフの画集『画集 人間と宇宙:人類の夢と幻想の世界』
 日本語解説プリント付(残念ながらSOLD OUT)。
・ロシアのサイトでいくつかの絵が観られる。

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