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2011年8月14日 - 2011年8月20日

2011.08.19

■動画 ヤノベケンジ 「ロッキングマンモス」@豊田市美術館


ヤノベケンジ 「ロッキングマンモス」豊田市美術館 - YouTube

 2005.7月豊田市美術館で開催された「ヤノベケンジ個展 キンダガルテン」の様子を紹介する。撮影可の会場で、ハイビジョンハンディカムHDR-HC1で、僕が撮った映像。簡単に編集してみた。

ヤノベケンジ氏 公式HP ロッキングマンモス解説

 作品は、ヤノベ氏が自身で乗っていたトヨタ ハイエースを解体して、その廃材で構築されたオブジェ。特に白いボディの板金をうまくマンモスの体の曲線として表現したところがクール。内部の錆びた金属を覆い隠すようにして白い体表が凄く良い。

 そして体内にはディーゼルエンジンが搭載され、左目の上くらいにイグニションスイッチとステアリングがある。イグニッションにはキーが付いている。
 ヤノベが搭乗し、手動で巨大な鼻が動き、キーをひねるとエンジンが始動。

 幻となった2005年 愛知万博でのヤノベ「マンモスプロジェクト」のその最終形態。
 「マンモスプロジェクト」は街に巨大なマンモスを登場させ、名古屋の市街地を練り歩き、名古屋港からロシアへ向けて廃材のマンモスを船で送ろうという計画だったらしい。
 この動画のマンモスがさらに巨大になり(10倍くらい?)、都市に現れた様子を思わず空想してしまう。

 展示場でこのマンモスの隣には、火を噴く巨大ロボット「ジャイアント・トらやん」が佇んでいる。合わせて「ジャイアント・トらやん」のHD動画もアップしたので、そちらも後日Blog記事に整理します。

 最後に、音楽はフリー音楽サイト http://www.hmix.net/music_gallery/music_top.htm より、"作戦会議"という曲を使用させていただいた。ちょっと大げさだったかな(^^)

◆関連リンク
当Blog記事 2005.7 ヤノベケンジ個展 キンダガルテン@豊田市美術館
幻の万博 YANOBE KENJI  『KINDER GARTEN』
ハイビジョン レポート KENJI YANOBE 1969-2005
  ヤノベケンジ作品集出版記念イベント@豊田市美術館

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2011.08.18

■感想 加藤 泉『はるかなる視線』展 @ アートスペースSix

5会場で配布されていたフライヤー(折って立体的に立ち上がるw)と作品解説のチラシ

加藤 泉『はるかなる視線』 展
画家、加藤 泉の不思議な世界がアートスペースSixに出現

" 7月9日(土)~ 9月11日(日) @アートスペース Six
大阪府大阪市中央区南船場3-12-22 心斎橋フジビル 2F
tel.06-6258-3315 開館12:00~19:00 月休(月曜が祝日の場合は営業)"

会場で配布されたポスター(この下、二つ目の写真)裏面より

 

"文化人類学者のクロード・レヴィ=ストロースは、自らの著書のタイトルをどのように付けるかを考え抜いた挙げ句に、世阿弥の『風姿花伝』の中に「離見の見」という言葉を見いだし触発され、「はるかなる視線」というタイトルの名著が誕生した。「離見の見」とは、演技を行なうときは自分の眼で見る「我見」ではなく客席からの「離見」によって見るべきで、それによって観客と一体化する「見所同心」の境地に達するという意味である。
加藤泉こそまさに人間という存在を
「離見の見」の視点によって作品化しているアーティストと言えよう。グローバル化した世界観の中で、敢えてこの作家は、人間を自然風景の中に佇ませ、その風景に融け込ませることによって、文明化され強い自我を持った人間存在そのものを根底から捉え直そうとしている。人間の手足の先や身体の突起物から花が咲き、 眼が吹き、根が生えてくる。加藤は、現代人においても魂や身体性には原初的な風景が潜在していることを信じており、それを顕在化させる試みを繰り返している。レヴィ=ストロースは「離見の見」を「はるかなる視線」と訳し、離れた文明のが輪から自らを見る文化人類学の思想の表現だと考えた。
人間中心主義の自我が肥大化した現代社会の中で、加藤泉を迎え入れたSixという空間領域は、あたかも生と死が循環する大地のような存在と化す。本展覧会では、未発表の絵画シリーズを含めて、彫刻作品や絵画作品がSixに自生するかのようにインスタレーションされる。そこには、自己と他者の境界領域を軽々と 跳躍し、「
はるかなる視線」を蓄え込んだもうひとつの文明圏が現れる。"

1

 8/11(木)に大阪で加藤 泉『はるかなる視線』 展を鑑賞。
 以前に豊田市美術館 内なる子供展で、絵画は観たことがあったのだけれど、彫刻は初めてなのでワクワクして、熱帯の大阪心斎橋の雑踏からアートスペース Sixのエレベータに乗った。

 エレベータを降りてアートスペース Sixへの白い通路を歩いて行くと、観えてくる巨大な四脚の立像(作品解説チラシ下段右。加藤泉の作品は全て「無題」なので識別のため『加藤泉作品集 絵と彫刻』の掲載ページを記載(以下同)P36,38)。

 赤い額が突出し黄色い石の眼の印象的な顔、黒いグラマラスなボディと細く伸びた四本の脚。口と胸から出ている植物の芽によって高さは2.1mと巨大な彫像。

 特に眼が素晴らしい。黄色の透明感がある大きな石を中心に各4つのそれを取り囲む小さな石で構成されている。荒く削られた樹の質感と、この石の対比が見事で凝視してため息が漏れること頻り。

 そしてSixの細長い室内に飾られているのは、彫像3点とそれを区切るように、床面に背中合わせに3組立てられた絵画6点。

 真ん中の彫刻は鉄製のベッドに横たわる緑色の顔と体に赤い髪の幼児(チラシ下段左、作品集P2,3,51)。
 幼児と思わせるのはその頭と体のバランス故なのだが、実は体は大人の女性の体ではないか、と思わせるようなカーブを持っている。
 そしてこれも体から植物が3本生えている。口から出た茎の先には、花弁が咲いている。

4

 三つめの彫像は、床に横たわる3体の人(父母子の親子か)(チラシ下段中央、作品集P39)。体は薄い黄緑と茶。先の二作品と異なり、植物が体から生えているのでなく、直接天に伸ばした手脚が植物の茎となり葉を芽吹いている。
 直接、コンクリート打ちっぱなしの床に横たえられていることによる冷たい感じと植物の暖かさが、これも異様な迫力を生み出している。

 全体として、巨大な木彫に透明感のある彩色。回り込んで何度も観たくなるこの魅力。帰りたくない、というか連れ帰りたい(^^)という強い願望を齎してくる作品群である。

 彫像の顔がいつまでも観てても飽きない。何故かレントゲンで透視したかのような色彩と石が嵌められた深い眼。ちょうど体格は大人ぐらい。そして横たわる姿の持つ哀悼感(こんな言葉はないかもしれないが、哀愁ではなく哀悼と思わず書きたくなるイメージなのである)。
 とにかく圧倒的な存在感にその場を何度もグルグルと徘徊して眼を虜にされ、その空間に馴染んでいく鑑賞者の体と心、といった感じ。

 あえて分析的に書くならば(僕はまだ充分に加藤泉の作品を観ていないため、言語化してまとめるのは躊躇われるのだが、あえて現時点で書いてしまうとw)、

 この体の大きさによる圧倒的な存在感とその透明感のある色による非実在感、このぼんやりと幽界を彷徨うような風情。そしてそこから天に向けてくっきりと伸びた植物のコントラストが、加藤の彫像のイメージを形作っているものだと思う。

 大人とも子供ともつかない、中間的な成長しきれない人間、そういった病的なものをイメージさせる巨大な子供のような/大人のような体。

 そして眼だけがくっきりと明確な石の意志に彩られて、さらに活き活きと伸びている植物による再生のイメージ。

 安直には語れないけれども、何故だか、プリミティブでアフリカを連想させる外観の人だけれども、これは日本人そのものではないか、と感じさせる。そして植物と眼で表現される再生。
 汲めどもつかない加藤泉作品の魅力であるが、どこかそんな言語化を強制させてくるような雰囲気をひしひしと感じさせる展示であった。

 とにかく今後ももっと作品を直に観てみたいと感じさせる素晴らしい作品です。皆さんも機会があれば是非。

◆関連リンク
屹立する空間にて シックス 加藤 泉『はるかなる視線』 展

"具体的なメッセージを読 み取らせるモチーフは描かれていないものの、私たちを見据える人物の巨大な頭部は、どこまでも深い知をたたえているように見える。この絵が示唆する「漠然 とした何か」は、人間と世界との関係性に問いを投げかけ、立ち止まって再考させるような、スケールの大きな世界観である。(文=林 央子)"

 評論記事、あの空間が持っていた雰囲気をとてもうまく再現されている。
 会場の写真も4点掲載されているので、是非、リンク先を御覧下さい。
「はるかなる視線」展 生命の根源に触れる感覚(産経新聞)

"いまだ誰も分け入ったことのない緑深い原始の森にたたずみ、根源的な生命体と向き合っている-" 紹介されているデフォルメされた写真がリアルに雰囲気を伝えています。

8/2読売新聞に加藤泉さんの記事
 震災とアートについても述べられている。今回の作品集に載らなかった1994年以前の作品にも興味が湧く。
加藤泉 日本の新鋭アーティストの形を持たない怪しい胎児達 | デザインブログ バードヤード.

1992年に卒業後15年間、資金練りと家族、アート活動を天秤にかけながら細々と展示に出すも毎回売れず、絵画の賞金を狙って家族で生き抜く資金を稼いだりと、正に苦節の日々でした。

作品が世に認められるまで15年間の苦節の期間があったのですね。知りませんでした。作品紹介含め良記事ですね!
ソフビ彫刻作品集『加藤泉 Soft Vinyl Sculptures』本日完成
 @lindentoyさんからの情報。発売が予定されている本とのことです。期待!
Photo_3『加藤泉作品集 絵と彫刻』 青幻舎

"インタビュー:加藤泉×青野和子(原美術館主任学芸員)
アートディレクション:重実生哉
◆判型・仕様:B5判 2分冊(油彩120頁、彫刻64頁)◆函入り
◆定価:3,990円(本体3,800円+消費税)"

Izumi Kato Soft Vinyl Doll in Exclusive Colors for the Hara Museum (Hara Museum Online Shop)
 原美術館オンラインショップで通販されているソフビ

当Blog記事
感想 『加藤泉作品集 絵と彫刻』
新刊メモ 『加藤泉作品集 絵と彫刻』と出版記念展
豊田市美術館 内なる子供
加藤泉「人へ」 : KATO Izumi - Dear Human(ARATANIURANO(アラタニウラノ)こけら落とし)

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2011.08.17

■エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー「チェコ国における狼の再繁殖」とANALOGON エヴァ特集号

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◆「チェコ国における狼の再繁殖」

 エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー「チェコ国における狼の再繁殖」: Evy Švankmajerové "Vlci byli opět vysazeni v českých lesích" を表紙にした本がチェコで出版されているようなのでご紹介。

 これは昨日述べた図録『ヤン&エヴァ・シュヴァンクマイエル展 映画とその周辺』にあった他の絵のような、印象的な鋭い眼を隠してる。
 こちらによると、チェコのシュルレアリストの詩人František Dryje:フランチシェク・ドリイェ(昨日紹介した図録に長文のシュヴァンクマイエル論を寄せている方)の詩集につけられたグラフィックのようだ。

Analogon46

◆Analogon 46 (2006/I) | Analogon.cz

 図録『ヤン&エヴァ・シュヴァンクマイエル展 映画とその周辺』年譜にあった、チェコシュルレアリスム雑誌『ANALOGON 46:アナロゴン』Eva Švankmajerová:エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー特集号、特集タイトルは「複数のエヴァ」。

 Google翻訳でざっと目次が見れる。
 息子でシュルレアリストのヴァーツラフ・シュヴァンクマイエルの寄稿もあるようだ。
 勿論ヤンは寄稿してる。
 こうしたエヴァ特集号が今後日本で翻訳される可能性は、おそらくヤンの人気がだんだん上がっているにしても、限りなくゼロに近いのではないかと思う。
 そういう意味でも、エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーの魅力を、微力だけどここで紹介し続けたいと思う(^^;)。

 この特集号の表紙、おそらく(というか当然と言っていいのかな)エヴァの絵であろう。この情感に溢れたタッチは、好みの分かれるところだと思うが、僕はこうした部分に惹かれている。
 ヤンの本で、いくつかエヴァの文章を読むことが出来るが、いずれも相当に過激な戦闘的シュルレアリスムに溢れている。僕の興味は、その情感の深層にどんなものがあるのか、というところである。いくつかヒント的なことは、読んだこともあるが、もっとエヴァ本人の言葉として読んでみたいというのが、僕の希望である。

◆ANALOGON 公式HP

Analogon

 チェコシュルレアリスム雑誌『ANALOGON:アナロゴン』公式HPがこんなに充実しているとは知らなかったので、HPのタイトルページとバックナンバーのページを示します。
 バックナンバーの表紙(モノクロ+着色の紙への印刷)がとてもいい。
 ここから、面白いチェコの別のシュルレアリストを紹介できるといいのだけれど、いかんせんチェコ語が全くわからない。
 Google翻訳の能力向上を祈るばかりである(^^;;)。

◆関連リンク
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー 当Blog記事 Google 検索

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2011.08.16

■感想 図録『ヤン&エヴァ・シュヴァンクマイエル展 映画とその周辺』

The_works_of_japan15Jan and Eva - Activities of Jan Švankmajer In Japan Website

"「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展 the works for Japan」
会場 京都文化博物館
期間 2011年7月22日〜8月14日

「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展  〜映画とその周辺〜」
会場 ラフォーレミュージアム原宿(ラフォーレ原宿6F)
期間 2011年8月20日〜9月19日

「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展  〜映画とその周辺〜」
会場 京都文化博物館
期間 2011年10月7日〜10月23日"

 昨日、紹介した京都文化博物館で購入した図録『ヤン&エヴァ・シュヴァンクマイエル展 映画とその周辺』の情報と簡単な感想をまとめる。
 これはタイトルからもわかるように、ラフォーレミュージアム原宿8/20〜「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展  〜映画とその周辺〜」 と京都文博 後期10/7〜の図録を兼ねている。というより、むしろ図録タイトルからもわかるように、どちらかというと、8/20〜の「〜映画とその周辺〜」展をメインとした図録である。

 巻頭エヴァが生前、最後に手がけたという「チェコ国における狼の再繁殖」(2004)シリーズから「怪談」まで全173頁の図録である。以下、8つある各パートごとに内容の紹介を記す。(twitterでつぶやいた内容なので、各140文字以内となっているのは御容赦あれ(^^;))

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◆第1パート「エヴァの絵画」
 エヴァの絵画54点+陶磁器1点。僕が好きな赤系メディウム・ドローイング的作品は14点(うち「チェコ国における狼の再繁殖」8点)。最後の作品にも満ちるチェコの戦闘的シュルレアリスム。狼の鋭い視線たちが見つめていた物は何なのか、その奥底をとても知りたいと思わせる魅力的な絵。(右はショップで購入できるポストカードの絵「チェコ国における狼の再繁殖」引用)

◆第2パート「映画」
 ここでもエヴァさんの絵11点。ラテルナ・マギカの舞台のイメージ画、特に「オデュッセウス」のひとつ目の絵がいいです。あとヤンの『ルナシー』十字架のイエス、『ファウスト』の迫力の舞台装置! とか31点。この舞台装置は葉山の展示にもあったものではないか。実物の人間大の人形の迫力、これはとにかく見ものだと思う。

◆第3パート「ヤンのコラージュ」 5点。
 「天使のマクラクラン」って『ツイン・ピークス』の写真じゃないけれど、クーパー捜査官が切り刻まれているw。
 ここのパートはいまひとつかな(^^;)

◆第4パート「ヤンのドローイング、フロッタージュ、グラフィック」 28点。
 「移動式自慰マシーン"ダナ", "ロマン"」が圧巻(^^;)。巻末にはこの二点の詳細な解説もあり。
 「膝までの高さのハイソックス」って都条例下で展示していいのか? (嘘w)

◆第5パート「ヤンのオブジェ」 19点。
 やはりシュヴァンクマイエルの本領はここですね(個人的にw)。廃棄/腐敗した物ものが豊かなユーモアを身にまとい、冥界から復活する魔術的シュルレアリスム。葉山の展示と数点かぶっている様です

◆第6パート「触覚主義」 23点。
 触覚のオブジェ、コラージュ。京都で展示されていた「冬に全裸の人間」とかシュヴァンクマイエルのミニマリズム? このパートの作品は、やっぱ触れないとその神髄は解らない(^^;)

◆第7パート「日本での仕事」 120点。
 京都文化博物館の前期に相当する部分。ただし図録はその全部を載せているわけではない。特に「怪談」は3点のみ。まあ書籍が出ているのでこの省略は有ですが…。本を持っていなくて展示で気に入って図録を買った方は寂しいでしょうね。
 「妖怪木版画」の原画は載っているけれど、とても小さくて残念。

Prints_21_2011

◆特別展示パート「細江英公によるポートレート」 10点。
 京都文化博物館の前期相当部分。但し収録写真が物凄く小さくその真価は発揮できていない。素晴らしい写真なので、御待ちでない方は雑誌「プリンツ21」(大判の写真有。右引用)を御薦め。

◆図録『ヤン&エヴァ・シュヴァンクマイエル展 映画とその周辺』寄稿文
 書いているのは、シュヴァンクマイエル(エヴァの思いにも準ずる)、巖谷國士、椹木野衣、赤塚若樹、フランチシェク・ドリイェ、ペトル・ホ リー、保坂健二朗、小宮義宏。年譜 阿部賢一。
 かなり読み応えあり。

 素晴らしい図録に感謝! あ、値段は2500円です。

◆関連リンク
当Blog記事
チェコ ラテルナ・マギカ:Laterna magika『ワンダフル・サーカス:Kouzelny Cirkus』
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2011.08.15

■感想 ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展 『the works for Japan』@京都文化博物館

The_works_of_japan_horz_2

Jan and Eva - Activities of Jan Švankmajer In Japan Website

"「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展 the works for Japan」
会場 京都文化博物館
期間 2011年7月22日〜8月14日

「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展  〜映画とその周辺〜」
会場 ラフォーレミュージアム原宿(ラフォーレ原宿6F)
期間 2011年8月20日〜9月19日

「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展  〜映画とその周辺〜」
会場 京都文化博物館
期間 2011年10月7日〜10月23日"

■前置き と まとめ

The_works_of_japan06

 8/11盆休みに入るとともに、ヤン&エヴァ・シュヴァンクマイエル&シュヴァンクマイエロヴァー展@京都文化博物館に行ってきた。その後、加藤泉 『はるかなる視線』@コムデギャルソンギャラリースペースSixもまわる(後日レポート予定)。電車往復7時間あまりの青春18切符デヴューの旅(^^;)。

 まず、今回の展示会のネーミング「ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展」は、本来「ヤン・シュヴァンクマイエル&エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー展」と名付けるべきではないか、と思うので、ここではこのように記しておきます。エヴァさんファンのこだわりですw。

 会場はレンガ造りで高い天井の洋館、京都文化博物館の佇まいに、シュヴァンクマイエル作品が見事に融合して和める空間が創り出されている。
 作品は、小説の挿絵のコラージュ中心で、壮観に並んでいる。
 中でも、やはり妖怪浮世絵と人間椅子の触覚感が圧巻。

 会場の雰囲気、レイアウトは良かったのだけれど、作品の額を照らす照明に工夫が必要かと思った。
 作品をじっくり見たいのに、一部の照明が観客の顔を向いている。これにより作品を見る時に、手で影を作る等の処置を取らないといけなくなっている。
 この部分は、是非、後期展では改善していただきたいものである。

■『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』コラージュ

The_works_of_japan19

 まず入っていきなりは、映画『アリス』のエヴァによるポスター(原画ではない)。これはエヴァ作品もいくつか観られるかと期待したが、今回は残念ながら、ポスターが3枚と細江英公氏撮影のポートレートで使用されているだけであった。
 図録を観ると、ラフォーレと京都 後期にしっかり展示されるようだったので、そちらを待つしかない。

 会場の入り口から、『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』の挿絵コラージュが数十点並んでいる。いずれも本で見ていたのだけれど、原画の大きさは本の約二倍の面積で圧巻。コラージュ独特の写真の切り方、貼付けた時の浮きといったところが生々しく、じっくり観ているとシュヴァンクマイエルが辿った工程と思考をどこかで触れられたような気分になってくる。ペイズリー柄のようなグリグリは手描きになっていた。

■『人間椅子』 触覚のコラージュ

 ここはアリスの平面のコラージュとは異なり、立体的な造形物がイラストと組み合わされている。特に毛や布や石といった触覚を刺激する造形。
 もちろん触覚芸術である江戸川乱歩の『人間椅子』に敬意を評しているのと、もともとこの題材に、触覚のシュルレアリストであるシュヴァンクマイエルを惹き付ける必然。
 残念ながら当たり前だが、作品に触れることはできない。
 触れてこその作品であると思うのだけれど致し方ない。コラージュを眺めながら、その触覚を想像する。これがシュヴァンクマイエルの触覚のシュールレアリスムの楽しみ方であろう。
 目玉と手で表現された人間椅子くんの感覚をシミュレートして、そのゾクゾクする感覚を、展示作品の視覚刺激から得てみて下さいw。

■『サヴァイヴィング ライフ』 コラージュ、絵コンテ他

 新作映画の制作に使用された膨大な写真コラージュの一部と絵コンテ、イメージボード等が展示されている。残念ながら絵コンテは手描き原稿でなく、コピー。

Dommunehorz02 以下の写真は、DOMMUNE「ヤン・シュヴァンクマイエル、エルンスト、上原木呂展」放映時のスクリーンショットから。終了した展覧会の様子を知りたい方のために、会場の雰囲気を伝えるのに引用させていただきました。問題あれば削除します。
 興味深かったのは、クリップで留められて紐に吊るされていたコンテというか、制作のメモのようなもの。それぞれのシーンでPCとか書いてあって、制作の形態が想像できるようになっていた。かなりPCと描かれたものが多く、チェコの作家の工房にもディジタルは進出しているようだw。

 惜しむらくは、このコーナー、資料的価値があるのに、図録に掲載されたものは極僅か。『ヤン・シュヴァンクマイエル 創作術』にもしかしたら掲載されているのかもしれない。

■細江英公氏撮影のシュヴァンクマイエルポートレート

 雑誌「prints21」に掲載されたポートレートの大判の写真が休憩ソファのコーナーに置かれていた。このコーナーが実はとても落着く。高い天井の洋館の空間に置かれたソファで、細江氏のポートレートに囲まれて、図録をめくる贅沢は格別だった。

Dommunehorz01

 ひとつ欲を言えば、撮影に使用したようなプロジェクタを用意して、実際にシュヴァンクマイエルが裸の体にまとった白い布をそこにおいて、エヴァさんの作品他を投影しておいてほしかった。
 あ、そうだ、ソファの布が白だったのだか、そこにプロジェクタで映像を投影しておけば良かったのに。観客自身が作品の一部になれるw。
 ポートレートの成り立ちを立体的に表現できる構成だと思うのだけれど、、、。

■妖怪 木版画

 このコーナーが今回の展示の目玉だと思う。
 シュヴァンクマイエルの原画(下絵として展示されていた)を、江戸の浮世絵から伝統の木版画で表現。
 その下絵(一部)と版画の展示、そして版木の実物と一枚づつ色を付けていく過程の版画がプロセスを説明するように並べられている。

Dommunehorz03

 あわせて興味深かったのが、15分の木版画の茨城(渡部木版)と京都の工房(竹笹堂)を尋ねて、匠の職人さんと語り合う様子を撮影した興味深いビデオの上映。

 ビデオで京都の竹中木版 竹笹堂の職人さんが語られていたシュヴァンクマイエルが描いた時の筆致の想像とその再現、100枚にも及ぶ版木であの妖怪のぼんやりとした色彩を見事に写し取られているのには感心した。まさに神業。

 ただ展示されていた下絵とじっくり見比べると、わずかばかりだけれど、色の階調が荒い部分、細部の形状の違いがどうしても残されている。
 これは致し方ないところなのだろうけれど、あくまでも眼をさらのようにして(^^;)見比べないとわからない仔細なことである。なにしろ作家自身が版画を観て、自分の作品と間違えたと言っているくらいなのでw。

 シュルレアリスムと版画って実はピンと来なかったのだけれど、ビデオの中でシュヴァンクマイエルが語っていた話では、ダリが自身の油絵を日本の浮世絵の技術に惚れて、版画で再現したことがあるそうだ。これは詳細が知りたい。
 どなたか御存じないでしょうか。

■『怪談』 コラージュ

 そして最後のコーナーがラフカディオ・ハーンの小説の挿絵コラージュ。
 ここは、下にカラーの妖怪画(来日時に古本屋で購入されたという妖怪本からだろうか)を置いて、上にモノクロの印刷物をくりぬいた独特のコラージュ。明らかにカッターナイフによる切り口でこのような制作の様子が見て取れる。
 まるで表面上の人間の平凡な(モノクロの)生活の深層に、色あでやかな妖怪的世界が息づいているかのように……(^^)。

 それにしても同じコラージュでもこれだけいろいろな手法が取られていることに改めて感心。横並びに原画を一望できる展示なだけに、こうした部分が浮き彫りになっているのが、自分にとって収穫だった。

The_work_in_japan

◆関連リンク
ヤン・シュヴァンクマイエル、浮世絵木版画に妖怪画で挑戦。:上原木呂の目
 ビデオで紹介されていた版画の制作風景が写真入りでレポートされています。
ヤン・シュヴァンクマイエル監督サイン会決定! - news

"『サヴァイヴィング ライフー夢は第二の人生ー』公開記念
ヤン・シュヴァンクマイエル サイン会
日時:8月27日(土)15:00スタート(14:30開場)
場所:タワーレコード渋谷店7F TOWER BOOKS"

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