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2011年10月23日 - 2011年10月29日

2011.10.28

■感想 『ヤン・シュヴァンクマイエル&エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー展〜映画とその周辺〜』

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ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展〜映画とその周辺〜
 @京都文化博物館 別館 後期展
(京都精華大学HP)

 『ヤン・シュヴァンクマイエル&エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー展〜映画とその周辺〜』を会期ギリギリの週末10/22(土)に観てきた。
 会場は、平日に行った前期展に比べて、凄く大勢の観客で賑わっていた。
 今回も若い女性がやはり多いが、高齢の方々も含め年齢層も幅が広がっていた。一般的な美術展へ参加する方も、随分と来られていた印象。京都の街のそんな方々が、チェコのシュルレアリストの奇妙な美術をどう受け止められたのか、とても興味が沸いた。
 
◆作品鑑賞
 総論としてまず書くと、1F入り口 ヤンの立体オブジェ作品と2Fのエヴァのメディウム・ドローイング系の作品が僕には圧巻だった。

 ファウストの2m近い人形や「黒魔術」「拷問されるフェティッシュ」「飛翔するフェティッシュ」(凄い名だw)等のオブジェ!
 そしてエヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーのドローイング「チェコ国における狼の再繁殖」等、毒々しい赤い色が印象的な絵画の前に、ずっと佇んで離れられなくなってしまったw。

 これらの作品が持つ圧倒的な存在感が、現在の僕にとってのヤン・シュヴァンクマイエル&エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァーへ強く惹かれる部分である。以下、特に惹かれた作品について幾つか個別にとりあげて、簡単に感想を。

「飛翔するフェティッシュ」
 大きな馬の頭蓋。骨と肉の固まりと大きな足。昔の飛行機のようなフォルム。
 フェティッシュと名付けられた作品は、どれも表面に粉っぽいものが吹き付けられた独特の質感を持っていて、深い味わい。そこから離れたくないこの感覚は何なのだろう。

「食虫植物1」
 鳩,河豚,貝殻,木屑,蝸牛の殻。大きな足。展覧会のイメージ作品として取りあげられている作品。この不気味だけれど可愛らしい造形は、シュヴァンクマイエルの日本での(特に若い女性の)人気の源泉なのではないかと思う。気味が悪い死体の組み合せなのだけれど、どこか滑稽で稚気に溢れている。
 僕が他の退廃的なアート作品(ゴス系とか)にどこか一線を引いて構えてしまうのは、きっとこの稚気のあるなしが大きく関係していると思う、今日この頃なのである(^^;)。

「黒魔術」
 焼け焦げた鳥の骸骨,蛇,蝸牛の殻。図録ではとても小さい写真しか出ていないが、これは素晴らしい傑作だった。思わず上から下から後ろから、散々360度、眺め回した。僕の鞄の中には3Dハンディカムが、、、。カメラを取り出してこの造形の立体映像をどれだけ撮りたかったことかw! なんとか思い止まり、脳内立体映像アーカイブにしかと格納しました。

「触覚の詩」
 手で触る触覚作品。他にも何点か触れる作品があり、触覚のシュルレアリスム作品鑑賞の貴重な機会が与えられた。
 これら固まった粘土から、作家の手の触感が伝わってくる。
 前回のラフォーレ展の際にサイン会で握手させていただいたヤン・シュヴァンクマイエルのあの生暖かいポッチャリとした手の感触が思い出される。
 「触覚の詩」と名付けられた作品を丁寧にひとつづつの造形物を触って、言語的に読み取ろうとしたが、何が書かれているかはついぞ理解できなかったけれど…。
 我々は触覚を意識して言語として表現するスキルを、多く持ち合わせていないことが残念に痛感される。

「知られざる神の人形」
 1.3mほどの大きなオヴジェ。貝殻の眼と鼻。脚の骨。木屑。
 『ファウスト』の舞台装置もだけれど、人間大の人形の持つ迫力と魔力を存分に浴びて帰ってきました。自分の家にもしこれらがあったら、と想像するとどこか震え上がるのですが、、、。まさに死がうちにやってくる感覚があります。

「十字架」(『ルナシー』より)
 2m近いキリストの像。これも迫力が素晴らしい。磔の鋲と無数の釘に打たれた人形の身体が痛々しい。この禍々しさは宗教的なものに対するシュヴァンクマイエルの批判的意志、触覚的に最大限の痛みの皮膚感覚で表現した作品であるように感じられた。

7

「チェコ国における狼の再繁殖」8点
 僕が好きな赤系メディウム・ドローイング的作品は14点。特にエヴァが亡くなる2005年の一年前に描かれたというこれら、最後の作品に満ちるチェコの戦闘的シュルレアリスムが凄まじい。
 これらの作品が1Fの目立つ部分でなく、2Fの狭い通路のようなスペースに置かれていたのが残念だった。近くからと離れて観るのと、両方の視点から眺めたいのであるが、通路的なスペースでは離れることが出来ない。
 何故、これらの素晴らしいシュルレアリスム作品がこのような扱いになったか、とても残念である。

 とはいえ、今、もっとも観たいメディウム・ドローイング系作品をこれだけの量、見せていただいたのは本当に貴重な機会だった。図録と記憶で反芻しながら、潜在意識がザワザワと騒ぎだす、これらの汲み尽くせない作品の魅力の言語化を少しでも続けてゆきたいものである(^^;)。

◆関連リンク
図録『ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展―映画とその周辺』

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感想 ヤン&エヴァ シュヴァンクマイエル展 『the works for Japan』@京都文化博物館
感想 図録『ヤン&エヴァ・シュヴァンクマイエル展 映画とその周辺』
エヴァ・シュヴァンクマイエロヴァー「チェコ国における狼の再繁殖」とANALOGON エヴァ特集号

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2011.10.26

■ヤノベケンジ 「Sun Child」記者発表 3D動画

ヤノベケンジ 「Sun Child」記者発表 - YouTube

 2011.10/22,23、大阪万博記念公園にて先行公開された<太陽の子 太郎の子> 「Sun Child」。今回は「おおさかカンヴァス推進事業」の応援作品としての出品。司会は大阪府の文科系の関係者だった。

 上は記者発表で語られた制作意図についてノーカット動画。6.2mの巨大彫刻の制作意図等を語っているヤノベケンジ氏の記者会見。
 撮影はSONY 3Dハンディカム HDR-TD10による。
 本来、3Dでアップする予定でなかったのだけど、編集ソフトがいうことを聞いてくれず3Dのまま(何故か2Dでは1分ほどしかアップできず、解像度を落とすべきだったかもw)。
 立体感は強調されていないので、この動画は、3Dボタンをクリックして「3Dをオフにする」で見て下さい。

 もちろん、立体造形作家を3Dで見ていただいても何ら問題はありません(^^;)。

 語られた制作意図は以下のようなものである(動画で説明されず、質疑応答で語られたことも含めて記しておく)。
 そのバックグランドには
もちろん「立ち上がる人々」ヤノベケンジより皆様へ(京都造形芸術大学ULTRA FACTORY)で書かれた今回の震災に対する想いがあるのだと思う。

放射能防護服:アトムスーツのヘルメットを脱いだ「Sun Child」は復興への意志。胸のガイガーカウンタが示すのは、我々が目指すべき「000」の数字。
「Sun Child」が見つめるのは、岡本太郎が語った「太陽の塔」の視線と同じ"宇宙"。そして「Sun Child」の眼には、地球の青空の色が映り込んでいる
「Sun Child」の造形でイメージしていたのは、ミケランジェロ「ダビデ像」。美術史的にはルネサンスへ繋がる作品として構想した。

 作品の意図をこれだけ作家が明瞭に語ってしまうのは、作品の魅力にとっては場合によってはマイナスに働く。だけれども今回ここまでヤノベが明瞭に語るのは、やはり震災と原発災害について世界に発したいメッセージが強いための表れであろう。(もともとヤノベは自作の意図を今までも明瞭に語っている作家ではあるのだけれど、、、。)

 是非、上の動画で作家の生の声を感じていただきたい。
 最後が突然切れたようになっているけれども質疑応答前の作家の言葉はほとんど拾えていると思います。質疑応答部分は撮っていなかったので、上の箇条書きで補足したけれども、どこかのマスコミカメラの映像がネットに上げられることを期待しませう。

 会場の公園には、報道陣が10社ほど来ていた。10社くらいのカメラの砲列の間に僕も貧弱な三脚でハンディカムを並べて撮った(^^)。そして、お客さんも100名ほど。

 報道と口コミを通して、どれだけの想いが伝わっていくか、このblogでは見届けていきたいと思う。(関連リンクに報道の結果としてのネット記事情報をいくつかまとめた。)

 会場には、トらやんの腹話術で有名なヤノベ氏のお父さんとお母さんの姿も。
 太陽の塔との共演ももちろんだが、公園に咲いた花とのコラボがいい。「Sun Child」の顔の傷のディテイルと花の対比。残念ながら天気は曇天だったが、その日の午後は日差しも現れ、復興のシンボルの初御目見えとしては、とてもふさわしい場所だったのではないか。

岡本太郎記念館『 ヤノベケンジ:太陽の子・太郎の子』

Photo

 展示期間:2011年10月28日(金)〜2012年2月26日(日)。

 東京の展示では、南青山の岡本太郎記念館の庭ににょっきりと顔を出すそうである。どんなインパクトを東京の街にもたらすか…。

 太郎101歳の誕生日2/26まで東京。その後はヤノベが万博の未来の廃墟で子ども時代を過ごした大阪茨木の駅前に恒久展示とのこと。モノレールの乗客と眼と眼が合う高さとか(^^)。

 そして会場にみえたUltraFactoryのスタッフの学生さんに聞くと、この像は「ジャイアントトらやん」とは異なり、型を起こして樹脂で成形されていて今回がプロトタイプ。あと一体作られる予定で、来年モスクワでの展示が決まっているらしい(!)。遥か西の世界でヤノベと岡本太郎の作品は、チェルノブイリの復興も祈ることになるのだろうか。

◆関連リンク
ダビデ像 (ミケランジェロ) - Wikipedia

ヤノベケンジ「Sun Child」産経ニュースも動画
 こちらは万博会場の様子と太陽の塔と並ぶ作品の映像。ULTRA FACTORYのふたりの学生さんも映っています。良かった僕は映り込んでいなかったw。報道陣のすぐ近くにいたんですがw。
ヤノベケンジ「Sun Child」記者会見動画 47NEWS
 残念ながら、掲載動画だと「Sun Child」制作意図が語られていない。
 明らかに抜粋の仕方がおかしい。前半のヤノベが万博体験を語るところは、明らかに前説で作品のコアではないでしょう。

 それにしても報道陣って何ていいかげんな仕事をするんだろう。
 10組ほど各2〜3名づつ来ていたマスコミ。かなりコストもかかっているのに、これらの情報をみても、伝えることに対するプロ意識がなさすぎるのではないか…。現在の放射能状況下でのメッセージをどう伝えるか、というところにもほとんど意志が感じられないし、、、。
 関西ではTVニュースとして流れたのだろうか。

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2011.10.24

■感想と3D動画 ヤノベケンジ「Sun Child : サン・チャイルド」


ヤノベケンジ「Sun Child」3D動画 - YouTube

 2011.10/22に大阪万博記念公園での先行公開された<太陽の子 太郎の子>「Sun Child」を観てきたので、動画レポートと感想。
 上の撮影はSONY 3Dハンディカム HDR-TD10によるもので、平行法/交差法での視聴をお薦めします。
 もし裸眼立体視が無理ならば、3Dと書かれた右下のメニューから「3Dをオフする」を選べば、ノーマルの2D表示に切り替えられます。

 今回の展示、もちろん一番の関心事は、身長6.2mの「Sun Child」と岡本太郎の巨大な造形物70mの「太陽の塔」とのコラボレーション。これが肉眼で観られるのは、10/22,23の二日間しかないということで勇んで出かけた。

 身長的には約1/10なのだけれど、太陽の塔の80mほど手前に
「Sun Child」が立てられているので、「Sun Child」側で見ている限りは、肉眼でも写真でも同等の大きさに映るため、違和感のない大きさ。たぶん、それを計算しての設置場所なのだろうと思う。

 どちらも同じ空の方向、上方をしっかりと見つめる視線が合わせてある。これがコラボレーションの大きな特徴を創り出している。
 この視線による力強い意志の表明。
 最初、
「Sun Child」の模型の映像を観た時は、正直、その顔のデザインにトらやんの延長上ではあるが、本当にこのままマンガチックな顔を巨大化して作品として成立するのだろうか、と不安も感じた。
 しかしこの岡本太郎の若かりし日を模したと思しき、この父ちゃん坊や顔(失礼、(^^;))、目線の力強さとこの後で述べる表面の質感、そして傷ついた顔がその不安をかき消し、今の時代のリアリティを獲得していた。
 いずれにしても太郎の作った太陽の塔の物凄い存在感が、この6.2mの像を強くバックアップしているのは確かである。

Sun Childの質感

 「Sun Child」は、今までのヤノベの巨大造形物、たとえば「ジャイアント・トらやん」と比べると質感が随分と違う。
 説明パネルのところに控えられていた京都造形芸術大 ULTRA FACTORY の学生さんに確認すると、今回は今までの発泡スチロールにアルミの板金を貼付けたものではなく、型取りから
成形した、強化プラスティック製で中に金属の骨組みが入っているのだという。
 成形になったことで、樹脂の滑らかな表現が可能となり、人間的なディテイルが出てきていると感じられた。滑らかな表面と、そこに丁寧に着色された造形の賜物。

111022_sun_child_hdr
ヤノベケンジ"Sun Child"(Facebook 究極映像研の写真アルバム)

 リンク先に僕が撮ったiPhone HDR画像等の静止画がいくつかあります。
 曇天の空とのコントラストで、境界線上にある巨大造形物の顔が
HDRでは暗くなってしまったものもあるけれど、、、。

 この像、夜には「太陽の塔」の眼と「Sun Child」の手の中の小さな太陽が光るという。夜景を観られなかったのはとても残念である。

 そして続いて、同時に開催されたヤノベ氏の記者発表の様子を動画でお伝えする(10/26(水)早朝の更新になります)。

◆関連リンク
sun child - 当Blog記事 Google 検索

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