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2012.05.11

■感想 "ジェームズ・アンソール ―写実と幻想の系譜―" @豊田市美術館

Photo

ジェームズ・アンソール ―写実と幻想の系譜― James Ensor

"2012年4月14日[土] ~ 6月17日[日]
Apr.14[Sat]-Jun.17[Sun]
 ジェームズ・アンソール(James Ensor, 1860-1949)は、ペーテル・パウル・ルーベンス以降もっとも名声高きベルギーの画家として、そしてルネ・マグリットやポール・デルヴォーと並んで ベルギー近代絵画を代表する画家として国際的に知られています。
 「仮面の画家」とも称される彼の作品には、仮面や怪物、骸骨といったグロテスクなモティーフが華麗な色彩で描かれ、人間の心の奥にある偽善や虚飾などの感情がユーモアを交えて表されています。あまりに斬新かつ個性的な彼の画風は、発表当時には世間では受け入れられませんでしたが、世紀転換期ごろから今日に至るまで高い評価を得ており、表現主義やシュルレアリスムを予言する「20世紀美術の先駆者」とも呼ばれています。(略)"

 シュルレアリスム以前に、「超現実」を描いたベルギーの画家 アンソールの作品を観てきた。髑髏と仮面とパペットを題材にした絵画が圧巻。
 豊田市美術館のポップ(説明書き)には「グロテスク美術」とあったけれど、それよりも「幻想」とか「超現実」と呼ばないとイメージが合わない。

 展示を観て、初めて知ったのだけど、アンソールの生家は土産物屋で彼はそこで育ったらしい。
 会場で映し出されていたアンソールを解説したビデオや、ミュージアム・ショップに置かれた画家の生家の特集本を観ていると、土産物屋には異様な剥製や骸骨から、日本や中国の骨董といった珍奇な物、そして仮面やパヘット等が並べられていたようでまさにヴンダーカマー。この環境が画家の潜在意識に潜んで、後年超現実的な絵画として現出したのかもしれない。

 アンソールの前期作品。同時代の作家の絵が多数出品されているが、比較して観ると、色使いが違う。
 他の写実絵画は暗いトーンの絵が多いのだけれど、アンソールの絵は、同様に陰鬱な色使いであるが、どこかに鮮烈な色彩が仕込まれている。それにより画面の緊張感が同時代の作家の絵と違ってみえる。

 そして、それが開化するアンソールの後期の作品、特に幻想的なものとしては下記のような作品が展示されており感銘を受けた。

"絵を描く骸骨"
 アンソールが絵を描いている写真を元に、自分を骸骨に置き換えて描いた作品。当時、骸骨の絵は他にもあったようだが、それを自画像に適用してしまうところの斬新性。
"首吊り死体を奪い合う骸骨たち"
 家族、親族で営んでいた土産物店を舞台に、親族と自身が骸骨として登場する作品。コミカルなトーンなのだけれど、家族間の感情的な陰が潜んでいる。
"愛の園"
 ウサギ耳の仮面の造形が良い。恋人の自画像と言われる"上向きの鼻の女性"と同様の顔がここにも登場。
"仮面劇 'かすみの効果' "
 コメディアデラルテと呼ばれるイタリアの仮面劇を描いた作品。
"仮面の中の自画像"
 不気味に無表情な仮面の中にアンソールのみ写実的な自画像として登場。なぜか右上に佇む猫が気になる。
"陰謀"
 今回の展示フライヤー(トップの引用画)にも使われている代表作。ここでも上目ずかいの仮面が多数登場している。チラシではトリミングされているが、右上の水木しげるのようなあごの出た骸骨が印象的。
"悲しみの人"
 いばらの冠に血だらけのキリスト。しかし鬼のようにみえる顔。これは日本の絵画の影響があるように感じられる。展示された作品としては、アンソールによる"北斎漫画柿本貴僧正(鬼)" 模写がある。

◆関連リンク
James Ensor - Googleイメージ 検索
MoMA | James Ensor | Introduction
 ニューヨークのMoMAでの展覧会HP。マルチメディアで多数の作品を閲覧できる。
James Ensor - YouTube
 いくつかのドキュメント作品とアンソールをテーマにした曲が存在する。
ジェームズ・アンソール - Wikipedia
新日曜美術館 生と死の寓話(ぐうわ) ~アンソールの幻想世界~ (NHKアーカイブス)

"フランドル幻想美術の巨匠、ジェームス・アンソール。彼の死後50年を 記念して、現在「アンソール大回顧展」がベルギー王立美術館で開催され ている。世界各地に散在している代表作約300点が一堂に集めたこの回 顧展は、今世紀最後の大美術展として注目を集めている。"

 日曜美術館で99年10月17日に特集されたとのこと。
 今回の展示会場でモニタで流されていたのは、この番組の映像だったかもしれない。

『James Ensor』  画集。
Ryunosuke『James Ensor』
 日本人の歌手が歌う、ジェームス・アンソールをテーマにした曲。リンク先でサンプルを聴くことが出来ます。
Franz Nicolay『James Ensor Redeemed』
 こちらは海外のアーティストが歌っている。"救済されたジェームス・アンソール"とでもいう曲名なのだろうか。
額装品 ポスター  デコラティブフレーム『ジェームズ アンソール Strange Masks』

ジェームズ・アンソール ―写実と幻想の系譜― James Ensor in Context.
 (豊田市美術館公式HP)

"●記念講演 「アンソールと美術の歴史」 ヘルヴィク・トッツ[アントワープ王立美術館学芸員、本展監修者] 4月14日[土] 午後2:00-3:30 逐次通訳あり 正午より配布する整理券と当日の展覧会観覧券が必要です[美術館講堂、172席] ●コンサート&レクチャー アンソールの作曲したピアノ曲を演奏します 4月30日[月・祝]、6月9日[土] 午後2:00-3:00 ピアノ:奥村理恵[愛知県立芸術大学、愛知教育大学講師] お話:鈴木俊晴[豊田市美術館学芸員] 正午より配布する整理券と当日の展覧会観覧券が必要です[美術館講堂、172席] ●30分で楽しむスライドレクチャー 「におう絵画:フランドル美術のスカトロジー」 5月5日[土・祝] 「画家の小宇宙:アンソールのアトリエ」 6月16日[土] いずれも午後3:00-3:30 講師:当館学芸員 [美術館講堂、172席] ●バグパイプ・コンサート ブリューゲルの時代の音楽を当時のバグパイプ[復元楽器]で演奏します 出演:ブリューゲルバンド 5月27日[日] 午後2:00-3:00"

 アンソールの作った曲の演奏とか、ブリューゲルの時代のバグパイプ演奏とか興味深い。

 

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コメント

アンソール、いいですよねぇ。

私は河出書房から出た『地球礁』の表紙に「陰謀」が使われたとき、
初めてこの画家を知りました。
いかがわしくて土俗的、かつ人間の素顔に迫るような作風は
ラファティの作品にも通じると思います。

投稿: 青の零号 | 2012.05.13 04:08

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